JP4700837B2 - 磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法および磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造、並びに磁気共鳴撮像装置 - Google Patents

磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法および磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造、並びに磁気共鳴撮像装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法に関し、詳細には、温度によってその特性値が変動する共振周波数規定素子が分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法および磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造並びに磁気共鳴撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気共鳴撮像装置(MRI装置)が、人体等被検体の断層像を得る装置として注目されているが、このMRI装置は、被検体の水素原子核(プロトン)の磁気性を利用するため、強く、均一で、安定した磁場を形成する必要がある。
【0003】
そして、このような主磁場に配置された被検体からの信号を精度よく検出するためには、送信コイルや受信コイルの共振周波数を、主磁場の周波数に対して安定的に一致させる必要がある。
【0004】
ここで、送信コイルや受信コイル(以下、これらを総称して、磁気共鳴撮像用コイルという。)の共振周波数は、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布的に配設された複数の共振周波数規定素子全体の合成された特性値によって規定される。このような共振周波数規定素子としては、コンデンサなどがあり、その特性値とは、例えばコンデンサの場合は容量値であり、またコイルパターンによるインダクタンスなどがある。
【0005】
ところで、磁気共鳴撮像用コイルに用いられているこれらの共振周波数規定素子は、通常、温度に応じてその特性値が変化する。このように温度に応じてその特性値が変化する性質を温度特性と称するが、温度特性を有する共振周波数規定素子は、作動による自己発熱や周辺の素子等から受ける熱によってその特性値が変動するため、特性値によって規定される磁気共鳴撮像用コイルの周波数も変動することになる。この周波数の変動を周波数ドリフトという。
【0006】
前述したように、MRI装置においては、磁気共鳴撮像用コイルの周波数を安定的に主磁場の周波数に一致させることが必要であるため、周波数ドリフトが生じるのは好ましくなく、したがって、現状のMRI装置においては周波数ドリフトを抑制するための種々の工夫が施されている。
【0007】
そのような工夫の一つとして、共振周波数規定素子に、温度特性を有しないものを用いる方法がある。温度特性を有しない共振周波数規定素子は、自己発熱や周囲からの伝熱によって、その温度が上昇しても特性値が変化しないため、周波数ドリフトを生じることがない。
【0008】
しかし、このように温度特性を有しない共振周波数規定素子は、温度特性を有する一般の素子に比べて高価であり、多数の素子を用いる必要があるMRI装置においては、装置の製造コストが大幅に上昇し、価格競争力の面からは好ましくない。
【0009】
そこで通常は、共振周波数規定素子としては温度特性を有する一般的なものを用いつつ、共振周波数規定素子の周囲に空気流を形成して、発熱した共振周波数規定素子から放熱させることによって、温度の上昇による周波数ドリフトを軽減する方法が採用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した空冷による方法では、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布して配設されている複数の共振周波数規定素子の全てに略均一に空気流を吹き付けるために、この空気流が流れる流路を長く、しかも複雑な経路で形成しなければならない。特に、クアドラチャ方式のように、磁気共鳴撮像用コイルを多重に配した構成の場合は、その経路は非常に複雑なものとなる。
【0011】
このように長い空気流の流路は、その流路の容量が大きくなるため、送風に要する消費電力も大きくなり、また、強度を確保し、かつ電界結合を回避をしつつ複雑な経路となる流路を設計するのは、困難を伴う場合が多い。
【0012】
本発明の第1の目的は、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することができる磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供することにある。
【0013】
また、磁気共鳴撮像用コイルは、磁気共鳴撮像用コイル同士(送信コイルと受信コイル)の電界結合によって、周波数ドリフトが生じる場合がある。通常、この周波数ドリフトは、デカップリングによって除去されているが、完全に除去できない場合もある。
【0014】
本発明の第2の目的は、磁気共鳴撮像用コイル同士の電界結合による周波数ドリフトの発生を容易に防止することができる磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供することにある。
【0015】
また、磁気共鳴撮像用コイルは、撮像対象である被検体の配置によっても、周波数ドリフトが生じる場合がある。そして、この周波数ドリフトも、完全に除去できない場合もある。
【0016】
本発明の第3の目的は、撮像対象である被検体の配置による周波数ドリフトの発生を容易に防止することができる磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供することにある。
【0017】
また、磁気共鳴撮像用コイルの共振周波数規定素子を冷却する場合、強度を確保し、かつ電界結合を回避をしつつ複雑な経路となる場合が多い。
【0018】
本発明の第4の目的は、簡単な構造によって周波数ドリフトを解消することができる磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造および磁気共鳴撮像装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子(コンデンサ等)がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法であって、前記磁気共鳴撮像用コイルの作動によって発熱した前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを、前記複数の共振周波数規定素子全体の合成された特性値(コンデンサの容量値や、コイルパターンによるインダクタンス等)が発熱前の合成された特性値と略同一となるように、冷却することを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供する。
【0020】
このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法によれば、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布して配設された共振周波数規定素子が温度上昇して、その特性値が変化しても、これらのうち一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を反対方向に変化させ、共振周波数規定素子全体としての合成された特性値が発熱前の合成された特性値と略同一となるようにすることによって、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを防止することができ、磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することができる。
【0021】
第2の観点では、本発明は、温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法であって、磁気共鳴撮像用コイルの電界結合によって生じる周波数ドリフトを補正するように、前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを冷却することを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供する。
【0022】
このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法によれば、磁気共鳴撮像用コイルの電界結合によって周波数ドリフトが生じても、この周波数ドリフトを補正するように、一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変化させ、共振周波数規定素子全体としての合成された特性値が周波数ドリフト前の合成された特性値と略同一となるようにすることによって、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを容易に防止することができ、しかも、磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することもできる。
【0023】
第3の観点では、本発明は、温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法であって、撮像対象である被検体の配置によって生じる周波数ドリフトを補正するように、前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを冷却することを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供する。
【0024】
このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法によれば、撮像対象である被検体の配置によって周波数ドリフトが生じても、この周波数ドリフトを補正するように、一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変化させ、共振周波数規定素子全体としての合成された特性値が周波数ドリフト前の合成された特性値と略同一となるようにすることによって、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを容易に防止することができ、しかも、磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することもできる。
【0025】
第4の観点では、本発明は、第1〜3の観点の発明において、共振周波数規定素子はコンデンサであることを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供する。このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法によれば、共振周波数規定素子としてコンデンサを用いているため、冷却によって容易にその特性値(容量値)を変動させることができる。
【0026】
第5の観点では、本発明は、第1〜3の観点の発明において、特性値はコイルパターンによるインダクタンスであることを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法を提供する。このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法によれば、特性値としてコイルパターンによるインダクタンスを用いているため、冷却によって容易にその特性値を変動させることができる。
【0027】
第6の観点では、本発明は、温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造であって、前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを冷却する冷却空気が流通する冷却路を設けたことを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造を提供する。
【0028】
このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造によれば、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布して配設された複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変動させることにより、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを防止することができ、しかも磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、簡単な構造として実現することができる。
【0029】
第7の観点では、本発明は、上記第6の観点の発明において、共振周波数規定素子はコンデンサであることを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造を提供する。このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造によれば、共振周波数規定素子としてコンデンサを用いているため、冷却によって容易にその特性値を変動させることができる。
【0030】
第8の観点では、本発明は、上記第6の観点の発明において、特性値はコイルパターンによるインダクタンスであることを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造を提供する。このように構成された本発明の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造によれば、特性値としてコイルパターンによるインダクタンスを用いているため、冷却によって容易にその特性値を変動させることができる。
【0031】
第9の観点では、本発明は、略均一な静磁場を発生させる静磁場発生手段と、前記静磁場に勾配磁場を発生させる勾配磁場発生手段と、前記勾配磁場に配された被検体に対して所定のRF信号を付加する送信コイルと、前記被検体から発生したFID信号を受信する受信コイルと、前記受信コイルによって受信されたFID信号に基づいて、前記被検体の磁気共鳴断層像を再構成する再構成手段とを備えた磁気共鳴撮像装置であって、前記送信コイルを冷却する冷却構造として、上記第6〜8の観点のいずれかの発明にかかる磁気共鳴撮像用コイル冷却構造を備えたことを特徴とする磁気共鳴撮像装置(MRI装置)を提供する。
【0032】
このように、送信コイル等の磁気共鳴撮像用コイルに対する冷却構造を備えた磁気共鳴撮像装置によれば、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布して配設された複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変動させることにより、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを防止することができ、しかも磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、簡単な構造として実現することができる等、前述した第6〜8の観点の各発明に対応した効果を得ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明にかかる磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法およびこの周波数安定化方法を実施する磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造、並びにこの冷却構造を備えた磁気共鳴撮像装置についての実施の形態について説明する。なお、これらの実施の形態によって、各発明が限定されるものではない。
【0034】
ここで、図1は、本発明の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造を示す図、図2は図1に示した冷却構造の磁気共鳴撮像用コイルを用いた実施の形態にかかるMRI装置を示す図である。
【0035】
図示のMRI装置100は、被検体50が配置される空間に均一な静磁場を発生させる静磁場発生コイル20と、この静磁場に勾配磁場を発生させる勾配磁場発生コイル30と、被検体50にRF信号を付与する送信コイル11を含むコイルの冷却構造体10と、被検体50から発生したFID信号を受信する受信コイル40とが本体側に設けられ、これらのコイル等を制御するとともに、受信コイル40によって受信されたFID信号に基づいて、被検体の磁気共鳴断層像を再構成する再構成装置を含む制御装置60を備えた構成である。
【0036】
なお、図示においては省略しているが、被検体50の上方側にも、上記静磁場発生コイル20、勾配磁場発生コイル30、およびコイルの冷却構造体10が、被検体50の下方側のものと対向して、それぞれ配設されている。
【0037】
また、図示のコイル冷却構造体10の内部に配設された送信コイル11には、その共振周波数を調整するための、コンデンサ等からなる4つの共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dが、その磁気共鳴撮像用コイル11の全長に亘って分散して配設されている。また、この送信コイル11は、FRPからなるケース13の内部に収容されており、ケース13の内部に形成された円環状の溝13aに配置されている。ケース13の上面開口は、同じくFRPからなるカバー14によって覆われる。
【0038】
ここで、溝13aには、4つの共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dのうち1つの共振周波数規定素子12aを、他の3つの共振周波数規定素子12b,12c,12dから隔離するように、1つの共振周波数規定素子12aの両端側を仕切る仕切板13bが形成されており、これらの仕切板13bによって、1つの共振周波数規定素子12aが配設された溝空間と、他の3つの共振周波数規定素子12b,12c,12dが配設された溝空間とを仕切っている。
【0039】
また、ケース13の外周壁面には、共振周波数規定素子12aが配設された溝空間に所定の温度に冷却された冷却空気Kが流通するように、冷却空気Kを導入する空気導入管15およびこの冷却空気Kを排出する空気排出管16が設けられている。
【0040】
共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dはそれぞれ、温度Tに応じてその特性値cが図3に示すように変化する温度特性を有し、常温T0における特性値はc0、常温T0よりも高温の温度T1時には特性値c1、常温T0よりも低温の温度T2時には特性値c2、をそれぞれ示す。ここでは、送信コイル11の周波数fが、温度Tにおいて下記式によって規定されるものとする。
【0041】
f=1/{2π・(L・C)1/2
【0042】
ただし、Cは4つの共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの各特性値cを合成して得られた合成特性値であり、Lは送信コイル11のインダクタンス(コイルパターンによるインダクタンス)であり、常温T0における周波数f0(=1/{2π・(L・C0)1/2})は、主磁場(静磁場)の周波数に一致するように、共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの特性値cが調整されている。
【0043】
次に、この実施の形態であるMRI装置100および送信コイル11の冷却構造体10の作用について説明する。まず、制御装置60の制御によって、静磁場発生コイル20が、被検体50の配置される空間に均一な強度の静磁場を発生させる。次いで、勾配磁場発生コイル30によって、被検体50の撮像範囲について勾配磁場を発生させつつ、送信コイル11から所定のRF信号を被検体50に付与し、被検体50から発生するFID信号を受信コイル40によって受信し、以上の操作を繰り返して得られたFID信号に基づいて、制御装置60が被検体50の磁気共鳴断層像を再構成する。
【0044】
ここで、常温T0時においては、送信コイル11の各共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの特性値は、図3に示すようにそれぞれc0であり、その合成値はC0となり、送信コイル11の周波数fは、上記式より1/{2π・(L・C0)1/2}、すなわちf0となる。したがって、主磁場の周波数と一致する共振周波数となっている。
【0045】
次に、環境温度が常温T0より高温となって、あるいは、送信コイル11の作動による発熱によって、各共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの温度がT1になった場合について説明する。
【0046】
この場合、各共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの特性値は、温度T1に対応する値c1となり、これらの合成値はC1となって、送信コイル11の周波数fは、1/{2π・(L・C1)1/2}、すなわち共振周波数f0からずれたものとなる(周波数ドリフト)。したがって、被検体50のプロトンをフリップさせることができず、FID信号を得ることもできない。
【0047】
ここで、空気導入管15から共振周波数規定素子12aが配設された溝空間に、所定の温度T2に冷却された冷却空気Kを導入する。共振周波数規定素子12aが配設された溝空間に導入された冷却空気Kは、共振周波数規定素子12aを温度T2まで冷却して、空気排出管16から外部に排出される。
【0048】
温度T2まで冷却された共振周波数規定素子12aの特性値は、図3より、c2となり、特性値c1となっている他の3つの共振周波数規定素子12b,12c,12dとの合成特性値はC0となる。この結果、送信コイル11の周波数fは、1/{2π・(L・C0)1/2}、すなわち共振周波数f0となり、周波数ドリフトの発生を防止することができる。
【0049】
なお、空気導入管15から導入される冷却空気の温度T2は、このように、4つの共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの合成特性値がC0となるように、他の3つの共振周波数規定素子12b,12c,12dの温度T1に応じて適宜設定される。
【0050】
このように、本実施の形態のMRI装置100および送信コイル11の冷却構造体10によれば、送信コイル11の全長に亘って分布して配設された4つの共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dが温度上昇して、その特性値が変化しても、これらのうち1つの共振周波数規定素子12aを冷却空気Kによって冷却して、その特性値を反対方向(低温方向)に変化させ、共振周波数規定素子12a,12b,12c,12d全体としての合成特性値Cを発熱前の合成特性値C0と一致させることによって、送信コイル11の周波数ドリフトを防止することができ、しかも、送信コイル11全体に冷却空気Kを接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することができる。
【0051】
なお、本実施の形態のMRI装置100および送信コイル11の冷却構造体10は、共振周波数規定素子12a,12b,12c,12dの温度上昇による周波数ドリフトを防止するものとして説明したが、送信コイル11と受信コイル40との間で生じた電界結合による周波数ドリフトを解消させるために用いることもできる。この場合、電界結合によって生じた周波数のずれΔfをゼロにするように、すなわち合成特性値をC0に戻すように設定された温度の冷却空気Kを、共振周波数規定素子12aが配設された溝空間に導入すればよい。
【0052】
また、撮像対象である被検体50の配置によって生じる送信コイル11の周波数ドリフトを解消させるために用いることもできる。この場合、被検体50の配置によって生じた周波数のずれΔfをゼロにするように、すなわち合成特性値をC0に戻すように設定された温度の冷却空気Kを、共振周波数規定素子12aが配設された溝空間に導入すればよい。
【0053】
また、本実施の形態のMRI装置100および送信コイル11の冷却構造体10は、垂直磁場方式のMRI装置100のみならず、水平磁場方式のMRI装置に適用することもできる。すなわち、図4に示す水平磁場方式のMRI装置においては、送信コイル11はバードゲージ型に形成されており、共振周波数規定素子12A,12Bは、同図に示すように、円筒形状のケース13の両端部にそれぞれ複数配設されるが、このタイプの場合は、例えば図示左端部側に配設されている共振周波数規定素子12Aのみを隔離するように、ケース13内部の空間を仕切る仕切板13bを設け、この仕切られた共振周波数規定素子12Aを含む内部空間に、冷却空気Kを導入するように形成すればよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法によれば、次の効果が得られる。
【0055】
第1に、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布して配設された共振周波数規定素子が温度上昇して、その特性値が変化しても、これらのうち一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を反対方向に変化させ、共振周波数規定素子全体としての合成された特性値が発熱前の合成された特性値と略同一となるようにすることによって、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを防止することができ、磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することができる。
【0056】
第2に、磁気共鳴撮像用コイルのカップリングによって周波数ドリフトが生じても、この周波数ドリフトを補正するように、一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変化させ、共振周波数規定素子全体としての合成された特性値が周波数ドリフト前の合成された特性値と略同一となるようにすることによって、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを容易に防止することができ、しかも、磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することもできる。
【0057】
第3に、撮像対象である被検体の配置によって周波数ドリフトが生じても、この周波数ドリフトを補正するように、一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変化させ、共振周波数規定素子全体としての合成された特性値が周波数ドリフト前の合成された特性値と略同一となるようにすることによって、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを容易に防止することができ、しかも、磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、複雑な流路設計の労力を軽減するとともに、流路容量を大幅に減少することもできる。
【0058】
また、本発明の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造および磁気共鳴撮像装置によれば、次の効果が得られる。
【0059】
すなわち、磁気共鳴撮像用コイルの全長に亘って分布して配設された複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子を冷却して、その特性値を変動させることにより、磁気共鳴撮像用コイル全体としての共振周波数が変化するのを防止することができ、しかも磁気共鳴撮像用コイル全体に空気流を接触させる必要がないため、簡単な構造として実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造体を示す図である。
【図2】図1に示した冷却構造の磁気共鳴撮像用コイルを用いた実施の形態にかかるMRI装置を示す図である。
【図3】共振周波数規定素子の温度特性を示すグラフである。
【図4】本発明の他の実施の形態である磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造体を示す図である。
【符号の説明】
10 磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造体
11 磁気共鳴撮像用コイル
12a〜12d 共振周波数規定素子
13 ケース
14 カバー
15 空気導入管
16 空気排出管
100 MRI装置
K 冷却空気

Claims (9)

  1. 温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法であって、
    前記磁気共鳴撮像用コイルの作動によって発熱した前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを、前記複数の共振周波数規定素子全体の合成された特性値が発熱前の合成された特性値と略同一となるように、冷却することを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法。
  2. 温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法であって、
    前記磁気共鳴撮像用コイルのカップリングによって生じる周波数ドリフトを補正するように、前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを冷却することを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法。
  3. 温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法であって、
    撮像対象である被検体の配置によって生じる周波数ドリフトを補正するように、前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを冷却することを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法。
  4. 前記共振周波数規定素子はコンデンサであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法。
  5. 前記特性値はコイルパターンによるインダクタンスであることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の磁気共鳴撮像用コイルの周波数安定化方法。
  6. 温度に応じて特性値が変動する複数の共振周波数規定素子がその全長に亘って分布して配設された磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造であって、
    前記複数の共振周波数規定素子のうち一部の共振周波数規定素子のみを冷却する冷却空気が流通する冷却路を設けたことを特徴とする磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造。
  7. 前記共振周波数規定素子はコンデンサであることを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造。
  8. 前記特性値はコイルパターンによるインダクタンスであることを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造。
  9. 略均一な静磁場を発生させる静磁場発生手段と、前記静磁場に勾配磁場を発生させる勾配磁場発生手段と、前記勾配磁場に配された被検体に対して所定のRF信号を付加する送信コイルと、前記被検体から発生したFID信号を受信する受信コイルと、前記受信コイルによって受信されたFID信号に基づいて、前記被検体の磁気共鳴断層像を再構成する再構成手段とを備えた磁気共鳴撮像装置であって、
    前記送信コイルを冷却する冷却構造として、請求項6〜8のうちいずれかに記載の磁気共鳴撮像用コイルの冷却構造を備えたことを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
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