以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1では、例えば宅内のように比較的狭い空間内に複数の無線端末装置が存在し、これらの無線端末装置間で、複数の無線通信方式(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、Bluetooth、およびPHSなどの規格に準じた無線通信方式)による通信リンクが混在している通信環境を想定する。特に、例えばIEEE802.11b、IEEE802.11g、およびBluetoothのように同一周波数帯域を使用する無線通信方式による通信リンクが混在している通信環境を想定する。
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。同図に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、無線端末装置100−1、無線端末装置100−2、無線端末装置100−3、無線端末装置100−4、および管理端末装置200を有している。
本実施の形態においては、無線端末装置100−1と無線端末装置100−2は、IEEE802.11gによる通信リンク300−1を介して無線通信を行うものとし、無線端末装置100−3と無線端末装置100−4は、Bluetoothによる通信リンク300−2を介して無線通信を行うものとする。そして、無線端末装置100−1は、IEEE802.11aによる通信リンク300−3を介して、無線端末装置100−2との通信を行う旨を管理端末装置200へ通知し、無線端末装置100−3は、IEEE802.11aによる通信リンク300−4を介して、無線端末装置100−4との通信を行う旨を管理端末装置200へ通知する。
なお、各通信リンク300−1〜300−4の無線通信方式は、上述のものに限定されないが、通信リンク300−1および通信リンク300−2の無線通信方式は、同一でも互いに異なっていても良く、通信リンク300−3および通信リンク300−4の無線通信方式は、通信リンク300−1および通信リンク300−2双方の無線通信方式に影響を与えないものとする。したがって、通信リンク300−3および通信リンク300−4の無線通信方式は、通信リンク300−1および通信リンク300−2双方の無線通信方式とは異なっているのが望ましい。しかし、例えば通信リンクごとにアンテナを別々に設け、各々のアンテナビームが重ならないように設定し、必要に応じてアンテナを切り替えたり、通信リンク300−3および通信リンク300−4の通信を専用のチャネルまたは専用のタイミングで行うようにしたりしても良い。さらに、通信リンク300−3および通信リンク300−4の無線通信方式が互いに異なっていても良い。
これらの各通信リンクの無線通信方式は、無線通信システムごとにあらかじめ決定しておけば良い。無線通信方式として採用可能なものは、他にもIEEE802.11b、PHS、特定小電力無線、UWB(Ultra Wide Band)などの超広帯域伝送方式、および赤外線通信などがある。好ましくは、通信リンク300−1をBluetoothとし、通信リンク300−2を特定小電力無線とし、通信リンク300−3、300−4をIEEE802.11aとした場合や、通信リンク300−1をIEEE802.11bとし、通信リンク300−2を特定小電力無線とし、通信リンク300−3、300−4をIEEE802.11aとした場合や、通信リンク300−1をBluetoothとし、通信リンク300−2を特定小電力無線とし、通信リンク300−3、300−4をPHSとした場合や、通信リンク300−1をIEEE802.11bとし、通信リンク300−2を特定小電力無線とし、通信リンク300−3、300−4をPHSとした場合などが挙げられる。
図2は、本実施の形態における無線端末装置100−1の要部構成を示すブロック図である。なお、無線端末装置100−2〜100−4も図2に示すような構成を有している。図2に示すように、無線端末装置100−1は、制御部110、通信プロファイル生成部120、記憶部130、および無線部140を有している。
制御部110は、無線部140に対して無線通信方式の切り替えを指示するとともに、通信プロファイル生成部120に対して通信プロファイル情報の生成を指示する。通信プロファイル情報については、後に詳述する。
通信プロファイル生成部120は、制御部110の指示に従って、無線端末装置100−2との通信に関する通信プロファイル情報を生成し、記憶部130へ出力する。
ここで、通信プロファイル情報とは、例えば使用する無線通信方式、使用周波数帯域、使用チャネル、通信開始時間、通信継続時間、変調方式、符号化率、送信電力、上り回線と下り回線の通信比率、送信元MAC(Media Access Control)アドレス、宛先MACアドレス、および通信の重要度など、通信リンク300−1および通信リンク300−2の通信に関するプロファイル情報を示すものである。通信プロファイル情報に含まれる情報としては、送信元MACアドレスおよび宛先MACアドレスの代わりに、無線端末装置に割り当てられたIPアドレスや製造番号に相当するシリアルナンバーなどとしても良い。また、特に無線端末装置を個別に特定する必要がなく、製品タイプのみを特定すれば良い場合には、製品番号(プロダクトナンバー)などを用いても良い。
通信プロファイル情報は、無線通信システム内の複数の無線通信方式で共有する無線リソースのうち、各通信リンクで必要とする無線リソースに関する情報を含んでいる。したがって、通信プロファイル情報は、少なくとも使用する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、および通信継続時間の情報を含んでいる。さらに、通信プロファイル情報は、変調方式、符号化率、送信電力、および拡散率の情報のうち少なくともいずれか1つを含んでいるのが好ましい。
なお、無線通信方式の規格によって定められた情報については、通信プロファイル情報に無線通信方式の情報が含まれていれば自明であるので、規格によって定められた情報を通信プロファイル情報に含める必要はない。すなわち、このような場合には、管理端末装置200にて取得する必要のある、使用する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、又は通信継続時間の情報を通信プロファイル情報に含めて送信すればよい。これにより、通信プロファイル情報の情報量の低減を図ることができる。
さらに、通信リンク300−1および通信リンク300−2の無線通信方式によっては、通信プロファイル情報に含まれる情報が異なっていても良い。すなわち、例えば、無線通信方式としてIEEE802.11aまたはIEEE802.11gが使用される場合は、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)ポイント数、サブキャリア数、サブキャリアあたりの変調方式、およびサブキャリアあたりの符号化率などを通信プロファイル情報に含めても良く、無線通信方式としてBluetoothが使用される場合は、周波数ホッピングパターンなどを通信プロファイル情報に含めても良い。
また、通信プロファイル情報の代わりに通信の要求を通知するトリガー信号のみを生成し、実際の情報本体については、管理端末装置200において、例えば記憶部230にあらかじめ保持しておいても良いし、また、インターネットなどを通じてダウンロードするようにしても良い。すなわち、後述する通信許可生成部220が、通信プロファイル情報を何らかの方法で取得できれば良い。この場合は、通信リンク300−1および通信リンク300−2における通信プロファイル情報があらかじめ記憶部230もしくは外部に登録されている必要があるが、通信リンク300−3および通信リンク300−4を伝送される情報量をさらに低減することができる。
記憶部130は、無線部140を各無線通信方式に応じた構成とするために必要な情報および通信プロファイル生成部120から出力される通信プロファイル情報を記憶する。
無線部140は、通信リンク300−1の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11g)および通信リンク300−3の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応可能なアンテナを有し、例えばソフトウェアの書き換えなどにより再構成可能なプログラマブルデバイスを用いて構成される。ここで、プログラマブルデバイスとは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、およびリコンフィギュラブルプロセッサなどのうち1つ、もしくは2つ以上の組み合わせからなる。これにより、無線部140は、通信リンク300−1の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11g)および通信リンク300−3の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応して構成を切り替えることができる。
そして、無線部140は、通信リンク300−1を介して無線端末装置100−2へデータを送信するとともに、通信リンク300−3を介して管理端末装置200へ通信プロファイル情報を送信する。さらに、無線部140は、管理端末装置200から送信される通信許可/不許可情報を受信する。なお、無線部140としては、プログラマブルデバイスを用いて構成するのではなく、各無線通信方式に対応した複数の無線部を独立に有する構成にしても良い。
図3は、本実施の形態における管理端末装置200の要部構成を示すブロック図である。図3に示すように、管理端末装置200は、無線部210、通信許可生成部220、および記憶部230を有している。
無線部210は、通信リンク300−3および通信リンク300−4の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応可能なアンテナを有し、無線端末装置100−1および無線端末装置100−3から送信された通信プロファイル情報を受信し、通信許可生成部220へ出力する。また、無線部210は、後述する通信許可生成部220によって生成された通信許可/不許可情報を送信する。
通信許可生成部220は、無線部210から出力される通信プロファイル情報と記憶部230に記憶されている通信許可履歴とを参照して、通信リンク300−1および通信リンク300−2における通信を許可するか否かを示す通信許可/不許可情報を生成し、この通信許可/不許可情報を無線部210および記憶部230に出力する。
ここで、通信許可/不許可情報は、上述した通信プロファイル情報と同様の情報に、通信プロファイル情報によって示される通信が可能であるか否かを示す通信可否情報を付加したものである。通信可否情報としては、例えば通信が可能であればACK、通信が不可能であればNACKを付加するようにすれば良い。
なお、通信許可/不許可情報としては、通信プロファイル情報と同様の情報を含まず、通信可否情報としてACKまたはNACKのみを含むようにしても良い。この場合は、通信プロファイル情報によって示される通信が可能である場合は、通信可否情報をACKとし、通信プロファイル情報によって示される通信に何らかの変更を加えなければ通信不可能である場合は、通信可否情報をNACKとする。また、通信プロファイル情報によって示される通信が可能である場合は、何の情報も生成しないようにしても良い。この場合は、無線端末装置100−1は、所定の時間が経過しても通信可否情報が受信されなければ、通信プロファイル情報によって示される通信を開始する。
記憶部230は、通信許可生成部220によって生成される通信許可/不許可情報を通信許可履歴として記憶する。
次いで、上記のように構成された無線端末装置100−1および管理端末装置200の動作について、図4(a)、(b)に示すシーケンス図を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明においては、既に無線端末装置100−3と無線端末装置100−4が通信リンク300−2を介してBluetoothによる通信を開始しているものとする。したがって、管理端末装置200の記憶部230には、無線端末装置100−3の通信プロファイル生成部120によって生成された通信プロファイル情報に対応する通信の通信許可履歴が記憶されている。この通信許可履歴としては、例えば、無線通信方式がBluetooth、変調方式がGFSK、符号化率が2/3、送信電力が1mW(ミリワット)、使用周波数帯域幅が79MHz(メガヘルツ)、使用チャネル(中心周波数)が2441MHz、通信開始時間が1秒、通信継続時間が5秒という情報が記憶されているものとする。
また、以下の説明においては、無線端末装置100−1が生成する通信プロファイル情報は、無線通信方式、変調方式、符号化率、送信電力、使用周波数帯域幅、使用チャネル(中心周波数)、通信開始時間、および通信継続時間を含んでいるものとする。そして、無線端末装置100−1による通信リンク300−1での通信要求は、上述した通信リンク300−2での要求発生後2秒後に発生し、通信リンク300−1に関する通信プロファイル情報は、無線通信方式がIEEE802.11g、変調方式が64QAM、符号化率が3/4、送信電力が10mW、使用周波数帯域幅が16.6MHz、使用チャネル(中心周波数)が2412MHz、通信開始時間が2秒、通信継続時間が3秒であるとする。
なお、無線端末装置100−1および無線端末装置100−3において通信要求が発生してから、通信プロファイル情報を管理端末200へ送信し、管理端末200から通信許可/不許可情報を受信するまでの時間は、通信開始時間や通信継続時間に比べて十分に短いものとする。
まず、無線端末装置100−1の制御部110において通信要求が発生すると(401)、制御部110から無線部140に対して、通信リンク300−3の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応した構成に切り替える旨の指示が出力される(402)。同時に制御部110から通信プロファイル生成部120へ通信プロファイル情報生成の指示が出力される(403)。
そして、通信プロファイル生成部120によって、通信リンク300−1における通信に関する通信プロファイル情報が生成される(404)。具体的には、無線通信方式がIEEE802.11g、変調方式が64QAM、符号化率が3/4、送信電力が10mW、使用周波数帯域幅が16.6MHz、使用チャネル(中心周波数)が2412MHz、通信開始時間が2秒、通信継続時間が3秒という情報を含む通信プロファイル情報が生成される。
この通信プロファイル情報の生成にあたっては、規格で定められているものに関しては規格通りに設定する。すなわち、例えば無線通信方式がBluetoothである場合は、使用周波数帯域幅は79MHz、使用チャネル(中心周波数)は2441MHzとする。また、通信継続時間に関しては、通信要求が発生する度に所定の時間を決定したり、フレーム長データに関するシステムパラメータを用いて決定したりする。また、通信継続時間は、送信すべきデータ量と規格などで定められている伝送速度から求めることも可能である。このようにして生成された通信プロファイル情報は、記憶部130へ出力され(405)、記憶部130によって記憶される(406)。
一方、無線部140は、制御部110からの指示に従って、通信リンク300−3の無線通信方式(IEEE802.11a)の構成情報および通信リンク300−1に関する通信プロファイル情報を記憶部130から読み込み(407)、IEEE802.11aに対応する構成に切り替わる(408)。その後、無線部140によって、通信プロファイル情報を含みIEEE802.11aの仕様に合った送信データが生成される(例えばデータフレームのフレームボディフィールド内に通信プロファイル情報が格納される)。そして、無線部140によって、送信データにIEEE802.11aの通信仕様および手順に従った畳み込み符号化、OFDM変調、直交変調、周波数変換、フィルタ処理、および増幅などの所定の送信処理が施され(409)、アンテナから管理端末装置200へ送信される(410)。
そして、送信データは、管理端末装置200の無線部210によって受信される。この受信信号は、無線部210によってIEEE802.11aの所定の受信処理が施され(411)、通信プロファイル情報が得られる。具体的には、無線端末装置100−1からの受信信号に対し、IEEE802.11aの仕様に従った増幅、フィルタ処理、周波数変換、直交検波、OFDM復調、およびビタビ復号などの所定の受信処理が施される。そして、受信処理後の受信信号からフレームボディフィールド部分のデータを取り出すことで、通信プロファイル情報を取得することができる。通信プロファイル情報は、通信許可生成部220へ出力される(412)。
そして、通信許可生成部220によって、記憶部230に記憶されている通信許可履歴(既に開始している通信リンク300−2の通信に関する通信許可履歴)が参照され(413)、通信許可履歴と通信プロファイル情報とが比較されることによって、通信リンク300−1における通信が可能であるか否かが判断される。すなわち、通信許可履歴として記憶されている通信(ここでは、通信リンク300−2の通信)によって使用される無線リソースと通信プロファイル情報に示される通信(ここでは、通信リンク300−1の通信)によって使用される無線リソースに重複が生じているか否かが判断される。
この判断の結果、通信プロファイル情報によって示される通信リンク300−1の通信が可能であると判断された場合は、通信プロファイル情報に通信可否情報としてACKが付加された通信許可情報が生成される(414)。
反対に、通信プロファイル情報によって示される通信リンク300−1の通信が不可能であると判断された場合は、通信プロファイル情報に含まれる各情報のうち、通信許可履歴として記憶されている通信と重複する無線リソースに関する情報が変更され、ACKが付加された通信許可情報が生成される(414)。なお、例えば通信許可履歴および通信プロファイル情報に通信の重要度に関する情報が含まれている場合は、重要度によって既に開始されている通信リンク300−2の通信を中断させるようにしても良い。
さらに、通信プロファイル情報に含まれる情報を変更しても通信不可能である場合は、通信プロファイル情報に通信可否情報としてNACKが付加された通信不許可情報が生成される(414)。なお、無線通信システム内で既に開始されている通信がない場合は、記憶部230に通信許可履歴が記憶されていないが、このときは、通信プロファイル情報によって示される通信が可能であると判断され、通信許可情報が生成されるとともに、通信プロファイル情報が通信許可履歴として記憶部230に記憶される。通信許可生成部220による通信許可/不許可情報の生成については、後に詳述する。
通信許可/不許可情報が生成されると、通信許可/不許可情報は、無線部210へ出力され(415)、同時に、通信許可/不許可情報は、記憶部230へも出力されて(416)通信許可履歴として記憶される(418)。このとき、通信許可履歴とともに、対応する通信プロファイル情報の履歴を記憶することにより、各無線端末装置からの通信の要求の頻度や通信内容に関する情報を管理端末装置200が把握することができ、この通信プロファイル情報履歴に基づいた効率的な処理を行うことができる。すなわち、例えば、通信の要求の頻度が高い通信に対しては、あらかじめ固定の無線リソースを割り当てておくといった制御が可能である。また、周期的に通信の要求が発生する通信に対しては、周期に従ってあらかじめ無線リソースを割り当てておくといった制御を行うことも可能である。
そして、無線部210によって、通信許可/不許可情報を含みIEEE802.11aの仕様に合った送信データが生成され、送信データにIEEE802.11aの通信仕様および手順に従った畳み込み符号化、OFDM変調、直交変調、および周波数変換などの所定の送信処理が施され(417)、アンテナから無線端末装置100−1へ送信される(419)。
そして、送信データは、無線端末装置100−1の無線部140によって受信される。この受信信号は、無線部140によってIEEE802.11aの所定の受信処理が施され(420)、通信許可/不許可情報が得られる。そして、通信許可/不許可情報に含まれる通信可否情報がACKであれば通信許可情報が受信された旨の通知が制御部110へ出力され、通信可否情報がNACKであれば通信不許可情報が受信された旨の通知が制御部110へ出力される(421)。通信可否情報がNACKである場合、すなわち通信不許可情報が受信された場合は、所定の時間経過後に、再び上述のような通信プロファイル情報の生成・送信処理が行われる。そこで、ここでは、通信可否情報がACKである、すなわち通信許可情報が受信されたものとして説明を続ける。
通信許可情報が受信された旨の通知が制御部110へ出力されると、制御部110から無線部140に対して、通信リンク300−1の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11g)に対応した構成に切り替える旨の指示が出力される(422)。無線部140は、この指示に従って、通信リンク300−1の無線通信方式(IEEE802.11g)の構成情報を記憶部130から読み込み(423)、IEEE802.11gに対応する構成に切り替わる(424)。
その後、無線部140によって、通信許可情報によって示されている変調方式、符号化率、送信電力、および通信継続時間に基づいて、IEEE802.11gによる通信が開始される(425)。このIEEE802.11gによる通信リンク300−1の通信は、Bluetoothによる通信リンク300−2の通信と重複した無線リソースを使用することがないため、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
次に、管理端末装置200の通信許可生成部220による通信許可/不許可情報の生成について、図5に示すフロー図を参照して説明する。
通信許可生成部220においては、まず、無線部210に受信された通信プロファイル情報(通信リンク300−1の通信プロファイル情報)と記憶部230に記憶されている通信許可履歴(通信リンク300−2の通信許可履歴)とが参照される(S1000)。そして、通信許可履歴の通信のスペクトラムと通信プロファイル情報の通信のスペクトラムとが周波数軸上で重複しているか否かが判断される(S1100)。
判断の結果、周波数軸上で重複していなければ、通信プロファイル情報によって示される通信が可能であると判断され、上述したように、通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。一方、例えば図6に示すように、通信リンク300−2に関する通信許可履歴の通信スペクトラム500と通信リンク300−1に関する通信プロファイル情報の通信スペクトラム510とが重なっている場合は、周波数軸上で重複していると判断され、通信プロファイル情報における使用チャネルを変更することが可能であるか否かが判断される(S1200)。
判断の結果、使用チャネルの変更が可能であれば、通信プロファイル情報の使用チャネルが通信可能なチャネルに変更された上で、変更後の通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。一方、例えば通信リンク300−2に関する通信許可履歴の通信がBluetoothを用いており、通信リンク300−1に関する通信プロファイル情報の通信がIEEE802.11gを用いる場合は、Bluetoothの使用周波数帯域に対してIEEE802.11gの使用可能な帯域が完全に重複しているため、通信プロファイル情報の使用チャネルを変更しても通信が不可能であると判断される。この場合、通信許可生成部220によって、通信許可履歴の通信の通信時間と通信プロファイル情報の通信の通信時間とが時間軸上で重複しているか否かが判断される(S1300)。
判断の結果、時間軸上で重複していなければ、通信プロファイル情報によって示される通信が可能であると判断され、通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。一方、例えば図7に示すように、時刻T1に発生した通信要求520に応じた通信リンク300−2の通信が時刻T2から時刻T5まで継続するのに対して、時刻T3に発生した通信要求530に応じた通信リンク300−1の通信が時刻T4から時刻T6までの継続を予定している場合は、重複時間540が生じると判断され、通信プロファイル情報における通信開始時間を変更することが可能であるか否かが判断される(S1400)。なお、周波数が重複しているかどうかの判断(S1100)、他の周波数で通信可能かどうかの判断(S1200)、通信時間が重複しているかどうかの判断(S1300)、および通信開始時間の変更可能であるかどうかの判断(S1400)の順番については、これに限定されるものではなく、周波数が重複しているかどうかの判断(S1100)が他の周波数で通信可能かどうかの判断(S1200)よりも前にあり、かつ通信時間が重複しているかどうかの判断(S1300)がおよび通信開始時間の変更可能であるかどうかの判断(S1400)よりも前にあればよく、この条件を満たせば処理の順番を入れ換えてもよい。
判断の結果、通信開始時間の変更が可能であれば、通信プロファイル情報の通信開始時間が通信可能な時間に変更された上で、変更後の通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。一方、通信開始時間の変更が不可能であると判断された場合は、通信許可生成部220によって、通信プロファイル情報における変調方式および符号化率の変更が可能であるか否かが判断される(S1500)。
判断の結果、変調方式および符号化率双方の変更が可能であれば、通信プロファイル情報の変調方式および符号化率が変更された上で(S1600)、変更された変調方式および符号化率に対応する通信継続時間および送信電力が算出され(S1700)、通信プロファイル情報の通信継続時間および送信電力が算出されたものに変更される。そして、変更後の通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。また、変調方式および符号化率のいずれか一方のみの変更が可能であれば、通信プロファイル情報のいずれか変更可能である情報が変更された上で(S1600)、変更された変調方式または符号化率に対応する通信継続時間および送信電力が算出され(S1700)、通信プロファイル情報の通信継続時間および送信電力が算出されたものに変更される。そして、変更後の通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。
ここで、変調方式および符号化率の変更に伴う通信継続時間および送信電力の算出について説明しておく。
例として、例えば変調方式を64QAMからBPSKに変更可能であり、符号化率を3/4から1/2に変更可能であるものとする。図8は、無線通信方式がIEEE802.11gである場合の、変調方式および符号化率の変更前および変更後の受信CNR対BER特性を示す図である。すなわち、特性曲線550は、変更後(変調方式:BPSK、符号化率:1/2)の特性曲線を示し、特性曲線560は、変更前(変調方式:64QAM、符号化率3/4)の特性曲線を示している。
同図に示すように、IEEE802.11gにおいて、変調方式を64QAMからBPSKに変更し、さらに符号化率を3/4から1/2に変更することで、BERが10-3の場合を基準とすると約17dBの利得が得られる。この利得をもとに、通信リンク300−1に関する送信電力を10mWより10dB小さい1mWとすることで、通信リンク300−1のBER特性を保ったまま、重複した時間に行われる通信リンク300−2の通信に与える干渉の影響を抑制することができる。そして、さらに7(=17−10)dBの利得が得られるため、通信リンク300−2の通信からの干渉の影響を抑制することができ、互いに干渉の影響を抑制しながら通信を行うことが可能になる。
このとき、変調方式および符号化率を変更することで、通信継続時間も変更されることになる。すなわち、変調方式を64QAMからBPSKへ変更することで、伝送レートは1/6倍となり、符号化率を3/4から1/2へ変更することで、伝送レートは2/3倍となる。したがって、通信プロファイル情報によって示される通信継続時間の9(=6×(3/2))倍の時間が必要となる。このように、符号化率および変調方式の変更に伴って必要となる通信継続時間および送信電力を算出し、通信プロファイル情報の各情報が変更される。
再び図5を参照して、S1500における判断の結果、変調方式および符号化率のいずれも変更が不可能であれば、通信プロファイル情報によって示される通信リンク300−1の通信は不可能であると判断され、通信プロファイル情報にNACKが付加された通信不許可情報が生成される(S1900)。
このようにして生成された通信許可/不許可情報は、無線端末装置100−1へ送信され、通信リンク300−2の通信に干渉を与えずに、通信リンク300−1の通信が開始される。
以上のように、本実施の形態によれば、通信の要求が発生した通信リンクに関する通信プロファイル情報に基づいて、管理端末装置が他の通信リンクにおける無線リソースの競合が生じるか否かを判断するため、無線リソースの競合が生じる場合は通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
なお、本実施の形態では、各無線端末装置間の通信が開始される前にのみ、通信プロファイル情報が管理端末装置200へ通知されるものとしたが、各無線端末装置間の通信が終了した後にも、通信の結果に関する情報が管理端末装置200へ通知されるようにしても良い。通信の結果に関する情報としては、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)、搬送波対雑音比(CNR:Carrier to Noise Ratio)、ビット誤り率、フレーム誤り率、および受信信号の周波数特性などが挙げられる。これにより、管理端末装置200は、各無線通信リンクの通信結果や伝搬路特性についても把握することができ、さらに適切な制御を行うことが可能となる。
また、通信リンク300−3、300−4の通信は、無線通信に限定されるものではなく、これらの通信に例えば電灯線通信やEthernet(登録商標)などの有線通信を用いても良い。これにより、通信リンク300−3、300−4の通信が通信リンク300−1、300−2の通信へ与える影響をさらに低減することができる。
さらに、管理端末装置200に、通信プロファイル情報や通信許可履歴などを他の処理部または機器に対して出力する出力部を設けたり、外部から信号を入力する入力部を設けたりしても良い。これにより、出力部からパソコン、テレビ、およびプリンタなどの外部機器に通信プロファイル情報や通信許可履歴などを出力して、ユーザに通信の状況の情報を伝えたり、入力部を介してユーザが通信許可/不許可情報の割り当てを選択したりすることができる。
また、本実施の形態では、通信プロファイル情報を通知した無線端末装置100−1に対してのみ管理端末装置200から通信許可/不許可情報が送信される構成としたが、通信許可/不許可情報が全ての無線端末装置100−1〜100−4に対して送信される構成としても良い。これにより、管理端末装置200だけでなく、各無線端末装置100−1〜100−4においても通信リンク300−1の状況を把握することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の特徴は、無線端末装置と管理端末装置とが間に中継端末装置を介して通信することである。
図9は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。同図において、図1と同じ部分には同じ符号を付す。図9に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、2つの無線端末装置100−1、2つの無線端末装置100−2、2つの無線端末装置100−3、2つの無線端末装置100−4、中継端末装置600−1、中継端末装置600−2、および管理端末装置200を有している。なお、図9に示す中継端末装置および無線端末装置の数はそれぞれ任意で良く、例えば中継端末装置600−1を介して管理端末装置200と通信を行う無線端末装置の数と中継端末装置600−2を介して管理端末装置200と通信を行う無線端末装置の数が異なっていても良い。
本実施の形態においては、無線端末装置100−1と無線端末装置100−2は、Bluetoothによる通信リンク300−1を介して無線通信を行うものとし、無線端末装置100−3と無線端末装置100−4は、Bluetoothによる通信リンク300−2を介して無線通信を行うものとする。そして、無線端末装置100−1と中継端末装置600−1は、PHSによる通信リンク700−1を介して無線通信を行い、無線端末装置100−3と中継端末装置600−2は、特定小電力無線による通信リンク700−2を介して無線通信を行う。さらに、中継端末装置600−1は、IEEE802.11aによる通信リンク700−3を介して、無線端末装置100−1と無線端末装置100−2が通信を行う旨を管理端末装置200へ通知する。同様に、中継端末装置600−2は、IEEE802.11aによる通信リンク700−4を介して、無線端末装置100−3と無線端末装置100−4が通信を行う旨を管理端末装置200へ通知する。
本実施の形態において、無線端末装置100−1〜100−4および管理端末装置200の構成については、実施の形態1と同様であるため、その説明を省略する。
図10は、本実施の形態における中継端末装置600−1の要部構成を示すブロック図である。なお、中継端末装置600−2も図10に示すような構成を有している。図10に示すように、中継端末装置600−1は、無線部610、制御部620、および記憶部630を有している。
無線部610は、通信リンク700−1の無線通信方式(すなわち、PHS)および通信リンク700−3の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応可能なアンテナを有し、例えばソフトウェアの書き換えなどにより再構成可能なプログラマブルデバイスを用いて構成される。無線部610は、通信リンク700−1を介して無線端末装置100−1から送信される通信プロファイル情報を受信するとともに、この通信プロファイル情報を通信リンク700−3を介して管理端末装置200へ送信する。また、無線部610は、通信リンク700−3を介して管理端末装置200から送信される通信許可/不許可情報を受信するとともに、この通信許可/不許可情報を通信リンク700−1を介して無線端末装置100−1へ送信する。
制御部620は、無線部610に対して無線通信方式の切り替えを指示する。具体的には、制御部620は、通信リンク700−1を介した通信を行う場合には、無線通信方式をPHSとするように指示し、通信リンク700−3を介した通信を行う場合には、無線通信方式をIEEE802.11aとするように指示する。
記憶部630は、無線部610を無線通信方式に応じた構成とするために必要な情報を記憶する。
次いで、上記のように構成された無線端末装置100−1、中継端末装置600−1、および管理端末装置200の動作について、図11(a)、(b)に示すシーケンス図を参照しながら説明する。なお、図11(a)、(b)において、図4(a)、(b)と対応する部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。
まず、実施の形態1と同様に、無線端末装置100−1において通信要求が発生すると(401)、通信リンク300−1における通信に関する通信プロファイル情報が生成され(404)、無線部140が通信プロファイル情報を送信するための無線通信方式(すなわち、PHS)に対応する構成に切り替わる(408)。そして、無線部140によって、通信プロファイル情報を含む送信データにPHSの通信仕様および手順に従ってTDMA処理、変調、直交変調、周波数変換、フィルタ処理、および増幅などの所定の送信処理が施され(409)、アンテナから中継端末装置600−1へ送信される(801)。
そして、送信データは、中継端末装置600−1の無線部610によって受信される。この受信信号は、無線部610によってPHSの通信仕様および手順に従って増幅、フィルタ処理、周波数変換、復調、TDMA復調などの所定の受信処理が施され(802)、通信プロファイル情報が受信された旨が制御部620へ通知される(803)。この旨が通知されると、制御部620から無線部610に対して、通信リンク700−3の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応した構成に切り替える旨の指示が出力される(804)。
無線部610は、制御部620からの指示に従って、通信リンク700−3の無線通信方式(IEEE802.11a)の構成情報を記憶部630から読み込み(805)、IEEE802.11aに対応する構成に切り替わる(806)。その後、無線部610によって、PHSによる通信リンク700−1を介して受信された通信プロファイル情報を含みIEEE802.11aの仕様に合った送信データが生成され、IEEE802.11aの通信仕様および手順に従った送信処理が施され(807)、アンテナから管理端末装置200へ送信される(808)。
そして、送信データは、管理端末装置200によって受信され、IEEE802.11aの所定の受信処理が施され(411)、実施の形態1と同様に通信許可/不許可情報が生成され(414)、通信許可/不許可情報を含む送信データにIEEE802.11aの通信仕様および手順に従った送信処理が施され(417)、アンテナから中継端末装置600−1へ送信される(809)。
本実施の形態においては、無線端末装置100−1、100−3と管理端末装置200とが中継端末装置600−1、600−2を介して通信プロファイル情報および通信許可/不許可情報の送受信を行うため、管理端末装置200と各中継端末装置600−1、600−2との間の通信リンク300−3、300−4で用いる無線通信方式を1つに決定しておけば(本実施の形態ではIEEE802.11a)、管理端末装置200が無線通信方式を切り替える必要がない。
そして、送信データは、中継端末装置600−1の無線部610によって受信され、IEEE802.11aの所定の受信処理が施され(810)、通信許可/不許可情報が受信された旨が制御部620へ通知される(811)。この旨が通知されると、制御部620から無線部610に対して、通信リンク700−1の無線通信方式(すなわち、PHS)に対応した構成に切り替える旨の指示が出力される(812)。
無線部610は、制御部620からの指示に従って、通信リンク700−1の無線通信方式(PHS)の構成情報を記憶部630から読み込み(813)、PHSに対応する構成に切り替わる(814)。その後、無線部610によって、IEEE802.11aによる通信リンク700−3を介して受信された通信許可/不許可情報を含みPHSの仕様に合った送信データが生成され、PHSの通信仕様および手順に従った送信処理が施され(815)、アンテナから無線端末装置100−1へ送信される(816)。
そして、送信データは、無線端末装置100−1によって受信され、PHSの所定の受信処理が施され(420)、通信許可情報が受信された場合は、無線端末装置100−1の構成が通信リンク300−1に対応するBluetoothに切り替わり(424)、無線端末装置100−2との通信が開始される。なお、通信不許可情報が受信された場合は、再び通信プロファイル情報の生成・送信処理が行われる。
以上のように、本実施の形態によれば、無線端末装置と管理端末装置が通信プロファイル情報および通信許可/不許可情報を中継端末装置を介して送受信するため、管理端末装置と中継端末装置との間の通信リンクに用いられる無線通信方式を1つに決定し、管理端末装置における無線通信方式の切り替えを不要とすることができる。結果として、管理端末装置の処理負荷を軽減するとともに処理に要する時間の短縮を図ることができる。
なお、本実施の形態においては、例えば中継端末装置600−1によって、いずれか一方の無線端末装置100−1から通信プロファイル情報が受信された場合に、この通信プロファイル情報をリアルタイムに管理端末装置200へ送信するのではなく一時的に記憶し、もう一方の無線端末装置100−1から受信される通信プロファイル情報とまとめて管理端末装置200へ送信するようにしても良い。これにより、リアルタイム性が必要とされない通信を行う場合には、管理端末装置200における受信トラフィックを軽減することができ、より高効率に通信プロファイル情報の伝送を行うことができる。
また、本実施の形態においては、中継端末装置600−1へ通信プロファイル情報を送信する無線端末装置100−1がいずれもPHSによる通信リンク700−1を介して通信を行うものとしたが、他の無線端末装置が例えば特定小電力無線による他の通信リンクを介して中継端末装置600−1へ通信プロファイル情報を送信することも考えられる。
このような場合には、中継端末装置600−1の無線部610が所定の時間ごとに無線通信方式を切り替えるようにすれば良い。すなわち、例えば特定の区間においては無線部610をPHSに対応する構成としておき、無線端末装置100−1から送信される通信プロファイル情報の受信を待機し、その後、無線部610を特定小電力無線に対応する構成に切り替えて、他の無線端末装置から送信される通信プロファイル情報の受信を待機すれば良い。これらの区間は必ずしもすべて同じ長さである必要はなく、各無線通信方式における通信時間、伝送レート、およびフレーム長などを考慮し、それぞれの無線通信方式に対応する区間長を決定しても良い。また、例えばタイムスロットなどを単位とした区間ごとに無線通信方式を切り替えても良い。これにより、中継端末装置が対応する無線通信方式によって、各中継端末装置が中継を行う無線端末装置の数が偏ることがなく、より高効率に通信プロファイル情報の伝送を行うことができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の特徴は、管理端末装置においてスループット期待値を用いて、無線端末装置間の通信を管理することである。
図12は、本実施の形態に係る無線通信システムの一例を示す図である。同図において、図1と同じ部分には同じ符号を付す。図12に示すように、本実施の形態に係る無線通信システムは、無線端末装置100−1、無線端末装置100−2、無線端末装置100−3、無線端末装置100−4、および管理端末装置1200を有している。
本実施の形態では、無線端末装置から管理端末装置1200に通信プロファイル情報とともに各通信リンクの所要スループット情報を送信し、管理端末装置1200では各通信リンクの周波数帯域、および通信時間の重複が避けられない場合、各通信リンクのスループットの期待値を算出し、各通信リンクの所要スループットを満たすように制御する。本実施の形態において、実施の形態1と異なる点は、管理端末装置1200における通信許可生成部の構成と、管理端末装置1200(特に、通信許可生成部)および無線端末装置の動作であり、その他の部分については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
図13は、本実施の形態における管理端末装置1200の要部構成を示すブロック図である。図13に示すように、管理端末装置1200は、無線部210、通信許可生成部1220、および記憶部230を有している。
無線部210は、通信リンク300−3および通信リンク300−4の無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応可能なアンテナを有し、無線端末装置100−1および無線端末装置100−3から送信された通信プロファイル情報および所要スループット情報を受信し、通信許可生成部1220へ出力する。また、無線部210は、通信許可生成部1220によって生成された通信許可/不許可情報を送信する。
ここで「所要スループット情報」とは、それぞれの通信リンクで最低限必要な所要スループットを示すものである。
通信許可生成部1220は、無線部210から出力される通信プロファイル情報と、所要スループット情報と、記憶部230に記憶されている通信許可履歴とを参照して、通信許可情報、もしくは通信不許可情報を生成し、無線部210および記憶部230へ出力する。また、通信許可生成部1220は、所要スループット情報を記憶部230へ出力する。なお、管理端末装置1200が例えば予め記憶部230に通信プロファイル情報および所要スループット情報を記憶している場合には、通信許可生成部1220は、記憶部230から通信プロファイル情報および所要スループット情報を取得してもよい。要は、通信許可生成部1220は何らかの方法で通信プロファイル情報および所要スループット情報を取得できればよい。
ここで、実施の形態1と異なり、通信許可生成部1220は、各通信リンクの周波数帯域および通信時間の重複が避けられないと判断した場合、各通信リンクのスループット期待値を算出し、この各通信リンクのスループット期待値が各通信リンクの所要スループットを満たすか否かを判断する。
この判断の結果、スループット期待値が所要スループットを満たさない場合、通信許可生成部1220は、通信プロファイル情報のパラメータを変更しスループット期待値を算出する処理を繰り返し、新たにスループット期待値を算出する度に所要スループットを満たすか否かを判断する。
この判断の結果、スループット期待値が所要スループットを満たした場合、通信許可生成部1220は、そのときの通信プロファイル情報に基づいて通信許可情報を生成し、無線部210および記憶部230へ出力する。
また、通信プロファイル情報のパラメータのいずれも変更不可能である場合、もしくは全ての通信プロファイル情報の変更可能なパラメータの全ての組み合わせを試行してもスループット期待値が所要スループットを満たせない場合、通信許可生成部1220は、通信不許可情報を生成し、無線部210へ出力する。
ここで「スループット期待値」とは、各通信リンクにおけるスループットの期待値のことであり、各通信リンクの周波数帯域、通信開始時間、通信継続時間、送信電力、変調方式、拡散率、無線通信方式、および符号化率などから求めることができる。
記憶部230は、通信許可生成部1220によって生成される通信許可/不許可情報を通信許可履歴として記憶する。また、記憶部230は、各通信リンクにおける所要スループット情報を記憶する。さらに、記憶部230は、あらかじめスループットパラメータ係数、干渉パラメータ係数、および各無線通信方式における標準スループットを記憶する。スループットパラメータ係数、干渉パラメータ係数、および標準スループットの詳細については後述する。
図14は、本実施の形態における通信許可生成部1220の要部構成を示すブロック図である。図14に示すように、通信許可生成部1220は、判断部1221、スループット期待値算出部1222、および生成部1223を有している。
判断部1221は、無線部210から出力される通信プロファイル情報と記憶部230に記憶されている通信許可履歴とを参照して、通信リンク300−1および通信リンク300−2における通信の周波数帯域および通信時間が重複するか否かを判断する。
そして、両リンクにおける通信の周波数帯域および通信時間が重複しないと判断した場合、判断部1221は、生成部1223に対して通信プロファイル情報を出力する。
一方、両リンクにおける通信の周波数帯域および通信時間が重複すると判断した場合、判断部1221は、周波数帯域および/または通信時間が変更可能か否か、およびこれらを変更することで周波数帯域および通信時間の重複が避けられるか否かを判断する。
そして、重複が避けられると判断した場合、判断部1221は、通信プロファイル情報の周波数帯域および/または通信時間を重複しないように変更し、生成部1223に対して通信プロファイル情報を出力する。
一方、判断部1221は、周波数帯域および通信時間の両方が変更できないと判断した場合や、周波数帯域及び/又は通信時間を変更しても重複が避けられないと判断した場合は、スループット期待値算出部1222に対して、通信プロファイル情報を出力する。
そして、判断部1221は、この通信プロファイル情報に基づいてスループット期待値算出部1222にて算出されるスループット期待値と、所要スループット情報と、記憶部230に記憶されている通信許可履歴に含まれる各通信リンクの所要スループット情報とを参照して、各通信リンクにおけるスループット期待値が所要スループットを満たしているか否かを判断する。
そして、各通信リンクにおけるスループット期待値が所要スループットを満たしていると判断した場合、判断部1221は、生成部1223に対して通信プロファイル情報を出力する。
一方、各通信リンクにおけるスループット期待値が所要スループットを満たしていないと判断した場合、判断部1221は、通信プロファイル情報に含まれるパラメータを変更し、スループット期待値算出部1222に対してパラメータ変更後の通信プロファイル情報を出力する。
そして、判断部1221は、このパラメータ変更後の通信プロファイル情報に基づいてスループット期待値算出部1222にて算出されるスループット期待値が各通信リンクにおける所要スループットを満たしているか否かの判断を行う。
なお、この「パラメータを変更し、パラメータ変更後の通信プロファイル情報に基づいて算出されるスループット期待値が所要スループットを満たすかどうかの判断処理」は、スループット期待値が所要スループットを満たすまで、もしくは、全てのパラメータの組み合わせを試行するまで繰り返される。そして、スループット期待値が所要スループットを満たしたときに、判断部1221から生成部1223に対してパラメータの変更された通信プロファイル情報が出力される。また、全てのパラメータの組み合わせを試行してもスループット期待値が所要スループットを満たさない場合、判断部1221から生成部1223に対して通信不許可生成信号が出力される。また、スループット期待値が所要スループットを満たすなど通信許可と判断される場合、所要スループット情報が記憶部230に出力される。
スループット期待値算出部1222は、既に通信が開始されている、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−2)、および、これから通信が開始される可能性のある、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−1)の各々のスループット期待値を算出する。算出されたスループット期待値は、判断部1221に出力される。
具体的には、スループット期待値算出部1222は、既に通信が開始されている、スループット期待値算出対象の通信リンクについては、記憶部230に記憶されている通信許可履歴を参照してスループット期待値を算出する。また、スループット期待値算出部1222は、これから通信が開始される可能性のある、スループット期待値算出対象の通信リンクについては、判断部1221からの通信プロファイル情報に基づいて、スループット期待値を算出する。
生成部1223は、判断部1221から出力される通信プロファイル情報、もしくは通信不許可生成信号に基づいて、通信許可情報、もしくは通信不許可情報を生成し、これらを無線部210および記憶部230に出力する。
次いで、上記のように構成された無線端末装置100−1、および管理端末装置1200の動作について、図15(a)、(b)に示すシーケンス図を参照しながら説明する。なお、図15(a)、(b)において、図4(a)、(b)と対応する部分には同じ符号を付し、その詳しい説明を省略する。また、以下の説明においては、既に無線端末装置100−3と無線端末装置100−4が通信リンク300−2を介してBluetoothによる通信を開始しているものとする。したがって、管理端末装置1200の記憶部230には、無線端末装置100−3の通信プロファイル生成部120によって生成された通信プロファイル情報に対応する通信の通信許可履歴が記憶されている。この「通信許可履歴」としては、本実施の形態では、例えば、実施の形態1で記憶されている内容に加えて、占有帯域幅が1MHzという情報と周波数ホッピングパターン情報とが記憶されているものとする。また、通信リンク300−2の所要スループット情報についても記憶されており、本実施の形態では一例として0.95Mbpsとする。
ここで、「周波数ホッピングパターン情報」とは、Bluetoothによる通信において、どのタイミングでどの周波数が使われているかを示す情報であり、BluetoothクロックとBluetoothアドレスとから作成することができる。また、「占有帯域幅」とは、ある時間帯で占有している周波数帯域幅を示し、Bluetoothにおいては規格で1MHzと定められている。
また、以下の説明においては、無線端末装置100−1が生成する通信プロファイル情報は、無線通信方式、変調方式、符号化率、送信電力、使用周波数帯域幅、占有周波数帯域幅、使用チャネル(中心周波数)、通信開始時間、および通信継続時間を含んでいるものとする。また、Bluetoothによる通信では、通信プロファイル情報に周波数ホッピングパターン情報を含んでいるものとする。そして、無線端末装置100−1による通信リンク300−1での通信要求は、上述した通信リンク300−2での要求発生後2秒後に発生し、この通信リンク300−1に関する通信プロファイル情報の内容は、無線通信方式がIEEE802.11g、変調方式が64QAM、符号化率が3/4、送信電力が10mW、使用周波数帯域幅および占有周波数帯域幅が16.6MHz、使用チャネル(中心周波数)が2412MHz、通信開始時間が2秒、通信継続時間が3秒であるとする。
まず、実施の形態1と同様に、無線端末装置100−1において通信要求が発生すると(401)、通信リンク300−1における通信に関する通信プロファイル情報が生成され(404)、無線部140が通信プロファイル情報を送信するための無線通信方式(すなわち、IEEE802.11a)に対応する構成に切り替わる。このとき、通信プロファイル情報とともに通信リンク300−1における所要スループット情報も通信プロファイル生成部120で生成する。
この所要スループット情報の生成にあたっては、送信すべきデータ量、および通信継続時間から求めることが可能である。また、規格などで定められている伝送速度に対して任意の演算(例えば係数の乗算)を行うことでも求めることが可能である。ここでは一例として、所要スループットは50Mbpsとする。
このようにして生成された所要スループット情報は、通信プロファイル情報と同様に記憶部130へ出力され(405)、記憶部130によって記憶される(406)。
そして、無線部140によって、通信プロファイル情報と所要スループット情報を含む送信データにIEEE802.11aの通信仕様および手順に従って畳み込み符号化、OFDM変調、直交変調、周波数変換、フィルタ処理、および増幅などの所定の送信処理が施され(409)、アンテナから管理端末装置1200へ送信される(410)。
そして、送信データは、管理端末装置1200の無線部210によって受信される。この受信信号は、無線部210によってIEEE802.11aの所定の受信処理が施され(411)、通信プロファイル情報および所要スループット情報が得られる。この通信プロファイル情報および所要スループット情報は、通信許可生成部1220に出力される。
通信許可生成部1220は、これから通信が開始される通信リンク(通信リンク300−1)による通信の許可/不許可を判断し、判断結果に応じて、通信許可情報又は通信不許可情報を生成する(1501)。
ここで、この通信許可生成部1220による通信許可/通信不許可情報の生成について図16を参照して説明する。
まず、通信許可生成部1220の中の判断部1221において、記憶部230に記憶されている通信許可履歴(既に開始している通信リンク300−2の通信に関する通信許可履歴)が参照され(S1000)、通信許可履歴と通信プロファイル情報とが比較されることによって、通信リンク300−1における通信が重複せずに可能であるか否かが判断される(S1100)。すなわち、通信許可履歴として記憶されている通信(ここでは、通信リンク300−2の通信)によって使用される周波数と通信プロファイル情報に示される通信(ここでは、通信リンク300−1の通信)によって使用される周波数に重複が生じているか否かが判断される。
この判断の結果、通信プロファイル情報によって示される通信リンク300−1の通信が重複せずに可能であると判断された場合(S1100:NO)には、判断部1221は通信プロファイル情報を生成部1223に出力し、生成部1223において通信可否情報としてACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。このとき、判断部1221は、記憶部230に所要スループット情報を出力し、この所要スループットは記憶部230において保持される。
反対に、通信プロファイル情報によって示される通信リンク300−1の周波数が他の通信リンクの周波数と重複すると判断された場合(S1100:YES)には、通信プロファイル情報における使用チャネルを変更することが可能であるか否かが判断される(S1200)。
判断の結果、変更することが可能である場合(S1200:YES)には、判断部1221は、通信プロファイル情報の使用チャネルを使用可能なチャネルに変更した上で、生成部1223に出力し、生成部1223において通信可否情報としてACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。
判断の結果、使用チャネルを変更しても周波数の重複の回避が不可能である場合(S1200:NO)には、通信許可履歴の通信の通信時間と通信プロファイル情報の通信の通信時間とが時間軸上で重複しているか否かが判断される(S1300)。
判断の結果、時間軸上で重複していなければ(S1300:NO)、判断部1221は、通信プロファイル情報によって示される通信が可能であると判断し、通信プロファイル情報の使用チャネルを使用可能なチャネルに変更した上で、生成部1223に出力し、生成部1223において通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。
判断の結果、時間軸上で重複している場合(S1300:YES)には、通信プロファイル情報における通信開始時間を変更することが可能であるか否かが判断される(S1400)。
判断の結果、通信開始時間の変更が可能であれば(S1400:YES)、判断部1221は、通信プロファイル情報の通信開始時間を通信可能な時間に変更した上で、生成部1223に出力し、生成部1223において変更後の通信プロファイル情報にACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。
通信開始時間の変更が不可能であると判断された場合(S1400:NO)には、判断部1221は、スループット期待値算出部1222に対して、通信プロファイル情報を出力する。そして、スループット期待値算出部1222は、既に通信が開始されている、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−2)、および、これから通信が開始される可能性のある、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−1)の各々のスループット期待値を算出する(S2000)。そして、このスループット期待値は、判断部1221に出力される。なお、このスループット期待値の算出の詳細については後述する。
なお、周波数が重複しているかどうかの判断(S1100)、他の周波数で通信可能かどうかの判断(S1200)、通信時間が重複しているかどうかの判断(S1300)、および通信開始時間の変更可能であるかどうかの判断(S1400)の順番については、これに限定されるものではなく、周波数が重複しているかどうかの判断(S1100)が他の周波数で通信可能かどうかの判断(S1200)よりも前にあり、かつ通信時間が重複しているかどうかの判断(S1300)がおよび通信開始時間の変更可能であるかどうかの判断(S1400)よりも前にあればよく、この条件を満たせば処理の順番を入れ換えてもよい。
判断部1221は、スループット期待値算出部1222から出力されるスループット期待値と、所要スループット情報(ここでは、通信リンク300−1の所要スループット情報)と、記憶部230に記憶されている通信許可履歴に含まれる各通信リンクの所要スループット情報(ここでは、通信リンク300−2の所要スループット情報)とを参照して、各通信リンクにおけるスループット期待値が所要スループットを満たしているか否かを判断する(S2100)。
所要スループットを満たしていると判断した場合(S2100:YES)には、判断部1221は、生成部1223に対して通信プロファイル情報を出力し、生成部1223においてACKが付加された通信許可情報が生成される(S1800)。このとき、判断部1221は、記憶部230に所要スループット情報を出力し、この所要スループットは記憶部230において保持される。
所要スループットを満たしていないと判断した場合(S2100:NO)には、判断部1221は、変更可能なパラメータが存在するかどうか、すなわち変更可能なパラメータの全組合せを試行したか否かを判断する(S2200)。具体的には、通信プロファイル情報のパラメータ(変調方式、符号化率、および送信電力)のいずれかが変更可能であるか(試行していない組み合わせが存在するかどうか)が判断される。
変更可能なパラメータが存在する場合(S2200:NO)には、判断部1221は、通信プロファイル情報に含まれるパラメータを変更する(S2300)。このパラメータ変更後の通信プロファイル情報は、スループット期待値算出部1222に対して出力される。そして、スループット期待値算出部1222は、既に通信が開始されている、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−2)、および、これから通信が開始される可能性のある、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−1)の各々のスループット期待値を再度算出する(S2000)。なお、これから通信が開始される可能性のある、スループット期待値算出対象の通信リンク(本実施の形態では、通信リンク300−1)のスループット期待値は、パラメータ変更後の通信プロファイルに基づいて算出される。
これらの処理(S2300、S2000、S2100)は、スループット期待値が所要スループットを満たすまで、もしくは、変更可能なパラメータの全ての組み合わせを試行するまで繰り返される。この処理の繰り返しにより、スループット期待値が所要スループットを満たした場合(S2100:YES)、判断部1221は、生成部1223に対してパラメータの変更された通信プロファイル情報を出力し、生成部1223においてACKが付加された通信許可情報が生成されることとなる(S1800)。また、S2200において、変更可能なパラメータの全ての組み合わせを試行したと判断する場合(S2200:YES)、判断部1221は、生成部1223に対して通信不許可生成信号を出力し、生成部1223においてNACKが付加された通信不許可情報が生成される(S1900)。
図15に戻って、1501において通信許可/不許可情報が生成されると、通信許可/不許可情報は、無線部210へ出力され(415)、同時に、通信許可/不許可情報は、記憶部230へも出力されて(416)通信許可履歴として記憶される(418)。
次いで、この通信許可/不許可情報は無線部210から無線端末装置100−1へ送信され、無線端末装置100−1では通信許可/不許可情報に基づいて処理が行われる。これらの動作については、実施の形態1と同様のため、説明を省略する。
ここで、スループット期待値の算出方法について説明する。スループット期待値は以下の式(1)によって求めることが可能である。
式(1)において、「標準スループット」とは、各無線通信方式においてある定められたパラメータ(本実施の形態では変調方式および符号化率)におけるスループットのことである。「スループットパラメータ係数」とは、各無線通信方式の標準スループットにおける各パラメータに対して、各パラメータについて変更を行った場合のスループットの変化を示す係数でそれぞれ一例として表1、表2のように示すことが可能である。
ここで、表1はIEEE802.11aおよびBluetoothの標準スループットを示す。表2(a)、(b)、および表3(a)、(b)は、IEEE802.11aおよびBluetoothの各々における変調方式および符号化率のスループットパラメータ係数を示す。
これらの標準スループットおよびスループットパラメータ係数は、各無線通信方式の規格から求めることが可能である。例えば、IEEE802.11aにおいて、標準スループットのパラメータを変調方式については64QAM、符号化率については3/4とすると、標準スループットは54Mbpsとなる。
また、スループットパラメータ係数は、標準スループットに対して変調方式、符号化率の各パラメータを変化させたときのスループットの変化量であるから、表2のとおりとなる。一例として、変調方式を64QAMからQPSKに変更する場合、スループットは54Mbpsに対して1/3の18Mbpsになることから、スループットパラメータ係数は1/3となる。また、同様にBluetoothにおけるスループットパラメータ係数を表3に示す。
また、式(1)において、「干渉度」とは、他の通信リンクから受ける干渉の大きさを示すもので、式(2)で求められる。
式(2)において、「干渉パラメータ係数」とは、各無線通信方式においてある定められたパラメータ(変調方式および符号化率)における干渉による影響度を1としたときの、各パラメータについて変更を行った場合の干渉に対する影響度の変化を示す係数で、一例として表4および表5のように示すことが可能である。
また、表4(a)、(b)、および表5(a)、(b)は、IEEE802.11aおよびBluetoothの各々における変調方式および符号化率の干渉パラメータ係数を示す。
例えば、IEEE802.11aにおいて、64QAMにおける干渉による影響度を1とすると、QPSKにおける干渉による影響度は1/20になることを示す。これらの干渉パラメータ係数は、各無線通信方式における各変調方式および符号化率ごとの受信感度特性(CNR対BER特性)などから求めることが可能である。
また、式(2)において、「自帯域」および「自電力」とは、スループット期待値の算出を行う対象の通信リンクの周波数帯域および送信電力であり、「重複帯域」とは自帯域中で他の通信リンクと重複している周波数帯域である。また、「重複他通信リンク電力」とは、重複帯域における他の通信リンクの送信電力である。
以上の演算により、各通信リンクのスループット期待値を求めることができる。具体的な数値を用いて以下で説明する。本実施の形態では、図17に示すように、通信リンク300−1の通信において使用される周波数(1701〜1705)と通信リンク300−2の通信において使用される周波数(1706〜1710)は、5回のホッピングにつき1回の割合で重複するものとする。また、単位時間は1秒間とする。
まず、スループット期待値算出部1222は、通信リンク300−1の干渉度を算出するため、式(2)に各パラメータを代入(設定)する。つまり、スループット期待値算出部1222は、式(2)により干渉度を算出する演算装置として機能する。ここで、干渉パラメータ係数は変調方式が64QAM、符号化率が3/4であることからともに1となり、重複帯域、自帯域、自電力、および重複他通信リンク電力は、それぞれ1MHz、16.6MHz、10mW、および1mWとなる。また、周波数帯域が重複する時間は1秒間のうち1/5秒であり、残りの4/5秒については周波数帯域が重複しないことから、干渉度は以下の式(3)のようになる。
そして、スループット期待値算出部1222は、スループット期待値を算出するため、この干渉度と、他の値(標準スループットおよびスループットパラメータ係数)とを式(1)に代入(設定)する。つまり、スループット期待値算出部1222は、式(1)によりスループット期待値を算出する演算装置として機能する。
ここで、標準スループットは54Mbps、スループットパラメータ係数は変調方式が64QAM、符号化率が3/4であることからともに1となり、スループット期待値は以下の式(4)のように求められる。
同様に、通信リンク300−2の干渉度およびスループット期待値を求めると、以下のとおりになる。
以上の手順により、各通信リンクにおけるスループット期待値を求めることができる。
次いで、各通信リンクのスループット期待値が所要スループットを満たすかどうかの判断について説明する。上述の式(4)および式(6)で求められたスループット期待値と、各通信リンクの所要スループットを表6に示す。表6より、通信リンク300−1については所要スループットを満たすが、通信リンク300−2については所要スループットを満たさないと判断する。
次いで、通信プロファイル情報のパラメータの変更について説明する。判断部1221では、表6より通信プロファイル情報の通信リンク300−1は所要スループットを満たしているが、すでに通信を行っている通信リンク300−2が所要スループットを満たしていないため、通信リンク300−1が他の通信に与える干渉の影響を小さくすることによって各通信リンクのスループット期待値が所要スループットを満たすようにパラメータを変更する。本実施の形態では一例として送信電力を変更するものとする。
ここで、通信プロファイル情報のパラメータのうち送信電力のみを変更する場合、式(1)および式(2)を用いて所要スループットを満たす送信電力の条件を求めることが可能である。その具体的な手順について以下で述べる。
通信リンク300−2において必要な所要スループットは0.95Mbpsであることから、干渉度は以下の式(7)を満たす必要がある。
この式(7)から、スループット期待値が所要スループットを満足する干渉度の条件は式(8)のようになる。
この条件を、通信リンク300−1の送信電力を変数として式(1)に代入することにより、通信リンク300−1の送信電力の条件を求めることができる。式(8)を式(1)に代入したものが式(9)である。
以上のことから、通信プロファイル情報の送信電力を5.533mW以下に変更することで、通信リンク300−2の所要スループットを満たすことが可能となることがわかる。本実施の形態では一例として送信電力を5mWに変更するものとする。
次いで、通信プロファイル情報の送信電力を10mWから5mWに変更し、この変更された通信プロファイル情報をスループット期待値算出部1222に出力し、再度式(1)および式(2)を用いて各通信リンクのスループット期待値を算出する。この算出については上で述べた手順と同様のため省略する。この算出で得られる各通信リンクのスループット期待値を表7に示す。
表7より、通信プロファイル情報の送信電力を5mWに変更することによって、どちらの通信リンクにおいても所要スループットを満足するスループット期待値が得られることがわかる。
以上の手順により、通信プロファイル情報のパラメータを変更し、スループット期待値を算出する。ここで、本実施の形態では、送信電力を変更するものとしたが、これに限定されるものではなく、変調方式や符号化率を変更するものとしてもよい。また、パラメータを変更する際に所要スループットから送信電力の条件を求めるものとしたが、これに限定されるものではなく、各パラメータについて値を順に変化させ、はじめに各通信リンクの所要スループットを満たすパラメータの組み合わせを通信プロファイル情報として用いるものとしてもよい。また、全てのパラメータの組み合わせについてスループット期待値を算出したのち、各通信リンクの所要スループットを満たすパラメータの組み合わせのうち、スループット期待値の合計値が最大となるパラメータを通信プロファイル情報として用いるものとしてもよい。
このようにして生成された通信許可/不許可情報は、無線部210を通じて無線端末装置100−1へ送信され、通信リンク300−2の通信に干渉を与えずに、通信リンク300−1の通信が開始される。
以上のように、本実施の形態によれば、通信の要求が発生した通信リンクに関する通信プロファイル情報に基づいて、管理端末装置が他の通信リンクにおける無線リソースの競合が生じるか否かを判断するため、無線リソースの競合が生じる場合は通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。さらに、通信プロファイル情報に基づいて、管理端末装置が各通信リンクにおけるスループット期待値を算出し、各通信リンクにおける所要スループットを満たすように無線リソースを管理することにより、周波数帯域および通信時間が重複する場合でも、お互いの所要スループットを満足した状態で通信を行うことが可能となる。
なお、本実施の形態では、各無線端末装置間の通信が開始される前にのみ、通信プロファイル情報が管理端末装置1200へ通知されるものとしたが、各無線端末装置間の通信が終了した後にも、通信の結果に関する情報が管理端末装置1200へ通知されるようにしても良い。通信の結果に関する情報としては、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)、搬送波対雑音比(CNR:Carrier to Noise Ratio)、ビット誤り率、フレーム誤り率、および受信信号の周波数特性などが挙げられる。これにより、管理端末装置1200は、各無線通信リンクの通信結果や伝搬路特性についても把握することができ、さらに適切な制御を行うことが可能となる。また、各通信リンクでの実際のスループットを管理端末装置1200へ通知するものとしてもよい。このとき、管理端末装置1200において、この実際のスループットとスループット期待値の差に基づいてスループットパラメータ係数、または干渉パラメータ係数を更新することにより、より正確なスループット期待値の算出が可能となる。
また、本実施の形態では、通信プロファイル情報のパラメータを変更することによって、通知のあった通信リンクの通信に関するパラメータを変更するものとしたが、これに限定されるものではなく、通信プロファイル情報に各通信リンクの重要度を付加する構成とし、この優先度にしたがって重要度の低い通信リンクからパラメータの変更または通信の中断を行う構成としてもよい。これにより、重要度の低い通信リンクが通信リソースを占有し、重要度の高い通信リンクが通信できなくなるといった状況を防ぐことが可能となる。
また、本実施の形態では、スループットパラメータ係数および干渉パラメータ係数について、変調方式と符号化率の2つのパラメータについて述べたが、これに限定されるものではなく、例えばスペクトラム拡散を行う無線通信方式の場合には、拡散率についてもスループットパラメータ係数および干渉パラメータ係数をもとめ、変更するパラメータのひとつとしてもよい。
また、本実施の形態では、既に通信の行われている通信リンクが一種類としたが、これに限定されるものではなく、既に通信の行われている通信リンクが複数ある場合にも本発明は適用可能である。この場合、自帯域のうち、他の通信リンクの一つ以上と重複している周波数帯域を重複帯域とし、重複帯域における他の無線通信リンクの送信電力の合計を重複他通信リンク電力とすることで、同様の手順でスループット期待値を求めることが可能である。これにより、複数の無線通信リンクに対して、管理端末装置1200で対応することが可能となる。
また、上記説明においては、既に通信の行われている通信リンクについてのパラメータは変更せずに、これから通信が開始される可能性のある通信リンクのパラメータを変更し、両通信リンクのスループット期待値が所要スループットを満たす変更パラメータを上記通信が開始される可能性のある通信リンクに適用する場合について説明を行った。しかしながらこれに限定されるものではなく、上記既に通信が行われている通信リンクにおける所要スループットに余裕がある、すなわち所要スループットがスループット期待値よりも大きい場合などには、上記既に通信が行われている通信リンクのパラメータを変更するようにしてもよい。もちろん、両通信リンクにおける所要スループットに余裕がある場合には、両通信リンクのパラメータを変更してもよい。
本発明の第1の態様に係る無線端末装置は、他の無線端末装置との通信要求が発生した場合に、前記通信要求に対応する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、又は通信継続時間の情報を含む通信プロファイル情報を生成する生成手段と、生成された通信プロファイル情報を管理端末装置へ送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報を管理端末装置へ送信するため、管理端末装置において無線リソースの競合が生じるか否かを判断することができ、無線リソースの競合が生じる場合は通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
本発明の第2の態様に係る無線端末装置は、上記第1の態様において、前記生成手段が、前記情報に加えて、さらに前記通信要求に対応する変調方式、符号化率、送信電力、および拡散率のうち少なくともいずれか1つを含む通信プロファイル情報を生成する構成を採る。
本発明の第3の態様に係る無線端末装置は、上記第1の態様において、前記生成手段が、前記通信プロファイル情報に加えて、さらに前記通信要求に対応する所要スループット情報を生成し、前記送信手段が、生成された前記通信プロファイル情報および前記所要スループット情報を管理端末装置へ送信する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報を管理端末装置へ送信するため、管理端末装置において無線リソースの競合が生じるか否かを判断することができ、無線リソースの競合が生じる場合は通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
さらに、管理端末装置は通信プロファイル情報と所要スループット情報を取得することができるため、通信プロファイル情報に基づいて、各通信リンクにおけるスループット期待値を算出することができる。そして、管理端末装置は、各通信リンクにおける所要スループットを満たすように無線リソースを管理することにより、周波数帯域および通信時間が重複する場合でも、お互いの所要スループットを満足した状態で通信を行うことが可能となる。
本発明の第4の態様に係る無線端末装置は、上記第1の態様において、前記送信手段が、前記通信要求に対応する無線通信方式とは異なる無線通信方式で前記通信プロファイル情報を送信する構成を採る。
この構成によれば、通信要求に対応する無線通信方式とは異なる無線通信方式で通信プロファイル情報を送信するため、通信プロファイル情報の送受信が無線端末装置間の通信に対して影響を与えることがない。
本発明の第5の態様に係る無線端末装置は、上記第1の態様において、前記管理端末装置から前記通信プロファイル情報に対応する通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を受信する受信手段、をさらに有し、前記送信手段が、通信許可情報が受信された場合に、前記他の無線端末装置との通信を開始する構成を採る。
この構成によれば、通信許可情報が受信された場合に無線端末装置間の通信を開始するため、他の無線端末装置間における通信との無線リソースの競合が発生せず、通信品質を向上することができる。
本発明の第6の態様に係る無線端末装置は、上記第5の態様において、前記生成手段が、通信不許可情報が受信された場合に、新たな通信プロファイル情報を生成し、前記送信手段が、通信不許可情報が受信された場合に、生成された新たな通信プロファイル情報を前記管理端末装置へ送信する構成を採る。
この構成によれば、通信不許可情報が受信された場合に新たな通信プロファイル情報を送信するため、通信許可情報が受信されるまで新たな通信プロファイル情報を送信し続け、確実に無線端末装置間の通信を行うことができる。
本発明の第7の態様に係る無線端末装置は、上記第5の態様において、前記受信手段が、前記通信プロファイル情報に含まれる少なくとも1つの情報が変更された変更通信プロファイル情報を含む通信許可情報を受信し、前記送信手段が、前記変更通信プロファイル情報に従った前記他の無線端末装置との通信を開始する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報に含まれる情報を変更して通信を開始するため、無線端末装置間の通信が許可される可能性が高くなり、無線リソースの競合を防ぎつつ、より高効率で無線端末装置間の通信を行うことができる。
本発明の第8の態様に係る無線端末装置は、上記第1の態様において、前記管理端末装置から前記通信プロファイル情報に対応する通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を受信する受信手段、をさらに有し、前記送信手段が、前記管理端末装置からの通信許可情報に基づいた通信が終了した後、前記通信の終了の通知を前記管理端末装置に送信する構成を採る。
この構成によれば、無線端末装置が管理端末装置に対して通信の終了を通知するため、管理端末装置は当該終了した通信に当てていた無線リソースを他の通信に当てることができるので、無線リソースの効率的利用が可能となる。
本発明の第9の態様に係る無線端末装置は、上記第1の態様において、前記管理端末装置から前記通信プロファイル情報に対応する通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を受信する受信手段をさらに有し、前記送信手段が、前記管理端末装置からの通信許可情報に基づいた通信における実際のスループットを、前記管理端末装置に送信する構成を採る。
この構成によれば、管理端末装置において、通信許可情報に基づいた通信における実際のスループットを取得することができ、この実際のスループットと、当該スループットが得られた前記通信に関して算出されたスループット期待値との差に基づいて、スループット期待値算出の際に利用する係数を実体に即して更新することができるため、より正確なスループット期待値の算出が可能となる。この正確なスループット期待値に基づいて無線リソースを管理することにより、各無線リンクにおける、より好適な通信が可能となる。
本発明の第10の態様に係る管理端末装置は、通信相手が他の無線端末装置との間で使用する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、および通信継続時間の情報を含む通信プロファイル情報を取得する情報取得手段と、前記通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴とを比較して、前記通信プロファイル情報に従った通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を生成する生成手段と、生成された通信許可/不許可情報を前記無線端末装置へ送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴との比較結果から生成される通信許可/不許可情報を無線端末装置へ送信するため、無線リソースの競合が生じる場合は通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
本発明の第11の態様に係る管理端末装置は、上記第10の態様において、前記情報取得手段が取得する前記通信プロファイル情報が、前記情報(無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、および通信継続時間の情報)に加えて、さらに前記通信相手が前記他の無線端末装置との間で使用する変調方式、符号化率、送信電力、および拡散率のうち少なくともいずれか1つを含む構成を採る。
本発明の第12の態様に係る管理端末装置は、上記第10の態様において、前記情報取得手段が、前記通信プロファイル情報に加えて、前記通信相手と前記他の無線端末装置との間の所要スループット情報をさらに取得し、前記生成手段が、前記通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴を用いて各通信リンクにおけるスループット期待値を算出し、前記スループット期待値と前記所要スループット情報とを比較することにより、前記通信プロファイル情報に従った通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を生成する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報に基づいて算出されるスループット期待値と所要スループット情報との比較結果から生成される通信許可/不許可情報を無線端末装置へ送信するため、各通信リンクにおける周波数帯域および通信時間が重複する場合でも、お互いの所要スループットを満足した状態で通信を行うことが可能となる。
本発明の第13の態様に係る管理端末装置は、上記第12の態様において、前記情報取得手段が、前記通信プロファイル情報および前記所要スループット情報に加えて、実際のスループットを前記無線端末装置から取得し、前記生成手段が、前記通信プロファイル情報および前記所要スループット情報に加えてさらに前記実際のスループットを用いてスループット期待値を算出し、前記スループット期待値と前記所要スループット情報とを比較することにより、前記通信プロファイル情報に従った通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を生成する構成を採る。
この構成によれば、管理端末装置において、通信許可情報に基づいた通信における実際のスループットを取得することができ、この実際のスループットと、当該スループットが得られた前記通信に関して算出されたスループット期待値との差に基づいて、スループット期待値算出の際に利用する係数を自体に即して更新することができるため、より正確なスループット期待値の算出が可能となる。この正確なスループット期待値と所要スループット情報との比較結果から生成される通信許可/不許可情報を無線端末装置へ送信するため、各通信リンクにおける周波数帯域および通信時間が重複する場合でも、お互いの所要スループットを更に満足した状態で通信を行うことが可能となる。
本発明の第14の態様に係る管理端末装置は、上記第10の態様において、前記情報取得手段が、前記通信相手が他の無線端末装置との間で使用する無線通信方式とは異なる無線通信方式で前記通信プロファイル情報を受信し、前記送信手段が、前記受信手段の無線通信方式と同一の無線通信方式で前記通信許可/不許可情報を送信する構成を採る。
この構成によれば、通信相手が他の無線端末装置との間で使用する無線通信方式とは異なる無線通信方式で通信プロファイル情報を送受信するため、通信プロファイル情報の送受信が無線端末装置間の通信に対して影響を与えることがない。
本発明の第15の態様に係る管理端末装置は、上記第10の態様において、前記生成手段が、前記通信プロファイル情報に含まれる少なくとも1つの情報を変更すれば通信の許可が可能である場合に、当該情報が変更された変更通信プロファイル情報を含む通信許可情報を生成する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報に含まれる情報を変更するため、無線端末装置間の通信が許可される可能性が高くなり、無線リソースの競合を防ぎつつ、より高効率で無線端末装置間の通信を行うことができる。
本発明の第16の態様に係る管理端末装置は、上記第12の態様において、前記生成手段は、前記通信プロファイル情報に含まれる少なくとも1つの情報を変更すれば各通信リンクにおけるスループット期待値が所要スループットを満たすことが可能である場合に、当該情報が変更された変更通信プロファイル情報を含む通信許可情報を生成する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報に含まれる少なくとも1つの情報を変更すれば各通信リンクにおけるスループット期待値が所要スループットを満たすことが可能である場合に、変更通信プロファイル情報を無線端末装置へ送信するため、各通信リンクにおける周波数帯域および通信時間が重複する場合でも、お互いの所要スループットを満足した状態で通信を行うことが可能となる。
本発明の第17の態様に係る管理端末装置は、上記第12の態様において、前記生成手段は、各通信リンクにおけるスループット期待値の合計が最大となるように前記通信プロファイル情報に含まれる少なくとも1つの情報を変更し、当該情報が変更された変更通信プロファイル情報を含む通信許可情報を生成する構成を採る。
本発明の第18の態様に係る管理端末装置は、上記第10の態様において、通信許可情報に対応する通信プロファイル情報を通信許可履歴として記憶する記憶手段、をさらに有する構成を採る。
この構成によれば、通信許可情報に対応する通信プロファイル情報を通信許可履歴として記憶するため、実際に無線端末装置間で行われる通信の状況を管理端末装置において正確に把握することができる。
本発明の第19の態様に係る管理端末装置は、上記第18の態様において、通信許可履歴に加えて、さらに通信許可情報に対応する所要スループット情報を記憶する記憶手段、をさらに有する構成を採る。
本発明の第20の態様に係る無線通信システムは、複数の無線端末装置および管理端末装置を有する無線通信システムであって、前記無線端末装置は、他の無線端末装置との通信要求が発生した場合に、前記通信要求に対応する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、又は通信継続時間の情報を含む通信プロファイル情報を生成する生成手段と、生成された通信プロファイル情報を前記管理端末装置へ送信する送信手段と、を有し、前記管理端末装置は、前記通信プロファイル情報を前記無線端末装置から受信する受信手段と、受信された通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴とを比較して、前記通信プロファイル情報に従った通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を生成する生成手段と、生成された通信許可/不許可情報を前記無線端末装置へ送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、無線端末装置が通信プロファイル情報を管理端末装置へ送信し、管理端末装置が通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴との比較結果から生成される通信許可/不許可情報を無線端末装置へ送信する。このため、無線リソースの競合が生じる場合は、管理端末装置が通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
本発明の第21の態様に係る無線通信システムは、上記第20の態様において、前記無線端末装置と前記管理端末装置との間における前記通信プロファイル情報および前記通信許可/不許可情報の送受信を中継する中継端末装置、をさらに有する構成を採る。
この構成によれば、通信プロファイル情報および通信許可/不許可情報を中継するため、管理端末装置と中継端末装置との間の無線通信方式をあらかじめ決定して、管理端末装置における無線通信方式の切り替えを不要とすることができる。
本発明の第22の態様に係る無線通信システムは、複数の無線端末装置および管理端末装置を有する無線通信システムであって、前記無線端末装置は、他の無線端末装置との通信要求が発生した場合に、通信の要求を通知するトリガー信号を生成する生成手段と、生成されたトリガー信号を前記管理端末装置へ送信する送信手段と、を有し、前記管理端末装置は、前記トリガー信号を前記無線端末装置から受信する受信手段と、前記トリガー信号が受信されると前記通信要求に対応する無線通信方式に関する通信プロファイル情報を取得する取得手段と、取得された通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴とを比較して、前記通信プロファイル情報に従った通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を生成する生成手段と、生成された通信許可/不許可情報を前記無線端末装置へ送信する送信手段と、を有する構成を採る。
この構成によれば、無線端末装置がトリガー信号を管理端末装置へ送信し、管理端末装置がトリガー信号に応じて取得した通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴との比較結果から生成される通信許可/不許可情報を無線端末装置へ送信する。このため、管理端末装置は、例えば自装置にあらかじめ記憶されている通信プロファイル情報を取得したり、インターネットを介して外部から通信プロファイル情報をダウンロードしたりする。したがって、無線端末装置は、情報量が多い通信プロファイル情報を管理端末装置へ送信する必要がなく、無線端末装置から管理端末装置へ伝送される情報量を低減することができる。
本発明の第23の態様に係る無線通信方法は、複数の無線端末装置および管理端末装置を有する無線通信システムにおける無線通信方法であって、他の無線端末装置との通信要求が発生した場合に、前記無線端末装置が前記通信要求に対応する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、又は通信継続時間の情報を含む通信プロファイル情報を生成するステップと、前記無線端末装置が生成された通信プロファイル情報を送信するステップと、前記管理端末装置が前記通信要求に対応する無線通信方式、使用周波数帯域、通信開始時間、および通信継続時間の情報を含む前記通信プロファイル情報を取得するステップと、前記管理端末装置が当該取得した通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴とを比較して、当該通信プロファイル情報に従った通信の許可または不許可を示す通信許可/不許可情報を生成するステップと、前記管理端末装置が生成された通信許可/不許可情報を前記無線端末装置へ送信するステップと、を有するようにした。
この方法によれば、管理端末装置が通信プロファイル情報を取得し、通信プロファイル情報と過去の通信許可履歴との比較結果から生成される通信許可/不許可情報を無線端末装置へ送信する。このため、無線リソースの競合が生じる場合は、管理端末装置が通信プロファイル情報を変更したり通信の開始を不許可にしたりして、複数の無線通信方式が混在する通信環境下における干渉を低減し、通信品質を向上することができる。
本発明の第24の態様に係る演算装置は、第1の通信リンクが当該第1の通信リンクと異なる無線通信方式が適用される第2の通信リンクから受ける干渉の大きさを示す干渉度を算出する演算装置であって、前記第1の通信リンクに適用される無線通信方式における各通信パラメータを変更した場合の干渉に対する影響度変化の相対比を示す干渉パラメータ係数と、干渉度を算出する単位時間と、当該単位時間内の各タイミングにおける前記第1の通信リンクで利用する周波数帯域を示す第1リンク帯域幅と、各タイミングにおける前記第1の通信リンクで利用する周波数帯域と前記第2の通信リンクで利用する周波数帯域との重複帯域の帯域幅を示す重複帯域幅と、各タイミングにおける前記第1の通信リンクにおける第1電力値と、前記重複帯域における前記第2の通信リンクにおける第2電力値とを設定する設定手段と、設定された値から次式を用いて前記干渉度を算出する算出手段と、を具備する構成を採る。
本発明の第25の態様に係る演算装置は、第1の通信リンクが当該第1の通信リンクと異なる無線通信方式が適用される第2の通信リンクから受ける干渉の大きさを示す干渉度と、前記第1の通信リンクに適用される無線通信方式に関する標準スループットと、当該標準スループットに対応する前記パラメータを他のパラメータに変更した場合のスループットの前記標準スループットに対する比率を示すスループットパラメータ係数とを設定する設定手段と、設定された値から次式を用いて前記第1の通信リンクにおけるスループットの期待値を算出する算出手段と、を具備する構成を採る。