JP4695746B2 - 双方向増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、双方向CATVシステム、特に棟内CATVシステムの信号伝送用の伝送線上に設けられ、該伝送線にて双方向に伝送される各信号をそれぞれ増幅する双方向増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、外部の双方向CATVシステムから建造物内に引き込んだ下り信号を、建造物中に設けられた複数の加入者側の端末端子まで伝送すると共に、各端末端子から出力される上り信号を外部の双方向CATVシステムに送出するように構成された棟内CATVシステムが知られている。
【0003】
この種の棟内CATVシステムでは、建造物内の各部で発生した雑音が加入者側の端末端子等を介して伝送線に重畳され、そのうち、上り信号と同じ周波数成分のものは、いわゆる流合雑音として、上り信号と一緒に外部の双方向CATVシステムに出力されてしまう。
【0004】
そこで、このような外部の双方向CATVシステムへ流出する流合雑音を低減するため、ケーブルモデム等の加入者側端末装置にて生成された上り信号(双方向CATVシステムで伝送可能な周波数帯(例えば10MHz〜55MHz)の信号)をアップコンバータにて、元の周波数よりも高く、しかも、下り信号の伝送周波数(例えば70MHz〜770MHz)と重複することのないUHF帯(例えば821MHz〜879MHz)の上り信号(以下「棟内上り信号」という)に周波数変換して、引込線まで伝送し、棟内の伝送線から引込線へ上り信号を出力する直前で、棟内上り信号を、ダウンコンバータを用いて、元の周波数(換言すれば、双方向CATVシステムでの上り信号の伝送周波数)に変換することが行われている。
【0005】
また、棟内CATVシステムでは、衛星アンテナを介して放送衛星(BS)や通信衛星(CS)からの電波を受信し、これを棟内上り信号より高い周波数帯(例えば1032MHz〜2150MHz)の中間周波(IF)信号に変換して、下り信号と共に加入者側の端末端子に供給することも行われている。
【0006】
従って、棟内CATVシステムの伝送線上には、伝送線上を双方向に伝送される下り信号及びIF信号と棟内上り信号とを増幅するための双方向増幅器が設けられている。
ここで、図6は、この種の双方向増幅器の一般的な構成を表すブロック図である。
【0007】
図6に示すように、双方向増幅器100は、センタ装置や衛星アンテナ側の伝送線に接続される上流側端子T1、及び端末側の伝送線に接続される下流側端子T2を備えている。これら両端子T1,T2には、それぞれ、棟内上り信号,下り信号,IF信号の分波及び合波を行う上流側信号分離部30a及び下流側信号分離部30bが接続されており、分離される各信号に対応して3つの分岐経路L1〜L3が設けられている。
【0008】
なお、両信号分離部30(30a,30b)は、いずれも、ハイパスフィルタ(HPF)及びローパスフィルタ(LPF)を一体化した構成を有する周知のダイプレクサを2つ組み合わせることで構成されている。
即ち、信号分離部30は、下り信号の上限周波数(770MHz)を低域側のカットオフ周波数とし、棟内上り信号の下限周波数(821MHz)を高域側のカットオフ周波数とするダイプレクサD1と、棟内上り信号の上限周波数(879MHz)を低域側のカットオフ周波数とし、IF信号の下限周波数(1032MHz)を高域側のカットオフ周波数とするダイプレクサD2とを備え、ダイプレクサD2の低域側の信号が通過する低域端とダイプレクサD1の全域の信号が通過する共通端とを接続することにより構成されている。
【0009】
そして、上流側信号分離部30aのダイプレクサD2の共通端が上流側端子T1、下流側信号分離部30bのダイプレクサD2の共通端が下流側端子T2に接続されると共に、両信号分離部30の各ダイプレクサD1の低域端間に分岐経路L1、高域側の信号が通過する高域端間に分岐経路L2、各ダイプレクサD2の高域端間に分岐経路L3が接続されている。
【0010】
つまり、両信号分離部30により、下り信号の周波数帯以下の信号は分岐経路L1を通過し、棟内上り信号の周波数帯の信号は分岐経路L2を通過し、IF信号の周波数帯以上の信号は分岐経路L3を通過するようにされている。
そして、下り信号が通過する分岐経路L1には、上流側から下流側に向かう信号を増幅する下り増幅回路31、棟内上り信号が通過する分岐経路L2には、下流側から上流側に向かう信号を増幅する上り増幅回路32、IF信号が通過する分岐経路L3には、上流側から下流側に向かう信号を増幅するIF増幅回路33が設けられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ダイプレクサD1,D2の信号阻止域における信号の減衰量は有限であるため、通過域以外の信号を完全には除去できない。このため、信号レベルこそ小さいが、分岐経路L1を通過した下り信号、及び分岐経路L3を通過したIF信号の一部は、下流側信号分離部30bを介して分岐経路L2に回り込み、また、分岐経路L2を通過した棟内上り信号の一部は、上流側信号分離部30aを介して分岐経路L1,L3に回り込むことになる。
【0012】
なお、各増幅回路31〜33は、いずれも、増幅後の信号の歪みを抑えるために広帯域のものが用いられており、他の分岐経路からの回込信号も、本来増幅すべき信号と同じように増幅し、この増幅された回込信号は、信号分離部30を介して元の分岐経路に戻される。
【0013】
つまり、分岐経路L1,L2及び両信号分離部30のダイプレクサD1により、下り信号及び棟内上り信号が周回する第1ループ経路と、分岐経路L2,L3及び両信号分離部30のダイプレクサD1,D2により、棟内上り信号及びIF信号が周回する第2ループ経路とが形成されることになる。
【0014】
その結果、第1ループ経路では、下り信号や棟内上り信号に対するループゲイン、第2ループ経路では、棟内上り信号やIF信号に対するループゲインを1より小さくしなければ発振してしまい、双方向増幅器として使用できなくなってしまうため、信号分離部30を介した信号の回り込みを充分に抑える必要があった。
【0015】
また、下り信号は、その周波数帯(70MHz〜770MHz)内に、所定周波数(例えば6MHz)間隔で数十ものチャンネルを有しているため、これを増幅する下り増幅回路31では、図7(a)に示すように、各チャンネルの信号が互いに掛け合わされることにより生成される相互変調成分が、広い周波数範囲に渡って発生する。つまり、棟内上り信号用の分岐経路L2には、図7(b)に示すように、下り信号だけでなく、棟内上り信号の周波数帯に発生した相互変調成分(主として2次歪みf1+f2や3次歪みf1+f2±f3:但し、f1〜f3は下り信号の各チャンネルの周波数)が回り込むことになる。
【0016】
そして、分岐経路L2に回り込んだ相互変調成分が、分岐経路L2上の棟内上り信号を直接的に歪ませるだけでなく、分岐経路L2に回り込んだ下り信号が、上り増幅回路32の動作に影響を与えて、その出力を歪ませてしまうという問題があった。
【0017】
即ち、数十チャンネルもの信号を同時に増幅する下り増幅回路31としては、非常にパワーの大きいものが用いられているのに対して、せいぜい数チャンネル程度の信号を同時に増幅するに過ぎない上り増幅回路32としては、単一のトランジスタにて増幅を行ういわゆるシングル増幅器など比較的パワーの小さいもの、換言すれば、図7(c)に示すように、入出力特性がリニアとなる電力範囲が狭いものが用いられている。そして、下り信号を増幅するために上り増幅回路32にて消費される電力は、個々のチャンネルの信号について見れば充分に小さくても、チャンネル数が多いため下り信号全体を合計すると非常に大きなものとなる。従って、この回り込んだ下り信号のために上り増幅回路32のパワーが不足して、入出力特性が非線形な領域で増幅が行われることになり、下り増幅回路31の出力、ひいては本来増幅すべき棟内上り信号の増幅後の波形を歪ませてしまうのである。
【0018】
なお、このような下り信号用の分岐経路L1からの信号の回り込みにより、棟内上り信号が歪むことを防止するには、先に説明した第1及び第2ループ経路での発振を防止する場合と同様に、信号分離部30(ダイプレクサD1,D2)にて信号の回り込みを充分に抑える必要があり、具体的には、各ダイプレクサD1,D2を、通過域と阻止域とで減衰量の差が大きくなるように設計する必要がある。そのためには、ダイプレクサD1,D2を構成する各フィルタ(HPF,LPF)の遮断特性をより急峻なものとしなければならない。
【0019】
しかし、棟内CATVシステムでは、ダイプレクサD1,D2が分離すべき各信号の周波数帯が接近しており、ダイプレクサを構成する各フィルタ(HPF,LPF)のカットオフ周波数が50MHz程度しか離れていない。このため、フィルタの次数は既に十分に高くされており、更に、ダイプレクサD1,D2の遮断特性を向上させようとしても、信号分離部の構成が大型化するだけで効率よく遮断特性を向上させることができないという問題があった。
【0020】
また、ここでは、上り信号を棟内上り信号に変換して伝送するシステムを例にして説明したが、これに限らず、棟内上り信号に変換することなく上り信号をそのまま伝送するシステム、上り信号と棟内上り信号とを併用するシステム、IF信号を用いないシステムであっても同様の問題があった。
【0021】
本発明は、上記問題点を解決するために、双方向CATVシステム、特に棟内CATVシステムに用いる双方向増幅器において、双方向増幅器内部の信号の回り込みに基づいて発生する各種障害を効率よく防止することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための発明である請求項1記載の双方向増幅器では、上流側端子に供給される信号のうち、上流側信号分離手段にて下り信号の周波数帯を通過域として抽出された信号は、第1分岐経路上の下り増幅手段に入力される。そして、下り増幅手段が出力する信号のうち、下流側信号分離手段にて下り信号の周波数帯を通過域として抽出された信号が、下流側端子に供給される。
【0023】
また、同じく上流側端子に供給される信号のうち、上流側信号分離手段にてIF信号の周波数帯を通過域として抽出された信号が、第3分岐経路上のIF増幅手段に入力される。そして、IF増幅手段が出力する信号のうち、下流側信号分利手段にてIF信号の周波数帯を通過域として抽出された信号が、下流側端子に供給される。
【0024】
更に、下流側端子に供給される信号のうち、下流側信号分離手段にて棟内上り信号の周波数帯を通過域として抽出された信号は、第2分岐経路上の上り増幅手段に入力される。そして、上り増幅手段が出力する信号のうち、上流側信号分離手段にて棟内上り信号の周波数帯を通過域として抽出された信号が、上流側端子に供給される。
【0025】
これらの構成を有する双方向増幅器では、その内部に、上流側信号分離手段と下流側信号分離手段とを介して、第1分岐経路と第2分岐経路とによる第1ループ経路、第2分岐経路と第3分岐経路とによる第2ループ経路が形成されることになる。そして、第1ループ経路では、下り信号又は棟内上り信号に対するループゲインが1より大きい場合、また、第2ループ経路では、棟内上り信号又はIF信号に対するループゲインが1より大きい場合に、発振が生じて正常に動作させることができない。
【0026】
しかし、棟内上り信号の周波数帯を阻止域とする第1の信号阻止手段を、第1分岐経路に設ければ、第1ループ経路での棟内上り信号に対するループゲインが1より小さくなるため、上り信号の回り込みに基づいて発生する発振を確実に防止できる。
【0027】
また、棟内上り信号の周波数帯を阻止域とする第2の信号阻止手段を、第3分岐経路に設ければ、第2ループ経路での棟内上り信号に対するループゲインが1より小さくなるため、上り信号の回り込みに基づいて発生する発振を確実に防止できる。
【0028】
更に、下り信号及び前記IF信号の周波数帯を阻止域とする第3の信号阻止手段を、第2分岐経路に設ければ、第1ループ経路での下り信号に対するループゲイン、及び第2ループ経路でのIF信号に対するループゲインが、いずれも1より小さくなるため、下り信号及びIF信号の回り込みに基づいて発生する発振を確実に防止できる。
【0029】
つまり、本発明によれば、これら第1〜第3の信号阻止手段を、ループゲインが1より大きくなる分岐経路に、適宜設けることにより、下り信号,棟内上り信号,IF信号のいずれに基づく発振にも、確実に対応することができる。
しかも、本発明では、第1〜第3の信号阻止手段を、いずれも上流側信号分離手段及び下流側信号分離手段とは別体にして、分岐経路上に設けているため、比較的フィルタの次数が小さいものを用いて構成することができ、信号分離手段の遮断特性をより急峻に構成する場合と比較して、ループ経路内での特定信号(下り信号又は棟内上り信号又はIF信号)を、小さな回路規模にて効率よく減衰させることができる。
【0030】
なお、上流側信号分離手段及び下流側信号分離手段は、具体的には、例えば請求項2記載のように、いずれも、下り信号の周波数帯以下を通過域として抽出された信号が下り経路を通過し、棟内上り信号の周波数帯以上を通過域として抽出された信号が上り経路を通過するように信号を分波する第1のダイプレクサと、IF信号の周波数帯以上を通過域として抽出された信号がIF経路を通過し、棟内上り信号の周波数帯以下を通過域として抽出された信号が第1のダイプレクサを通過するように信号を分波する第2のダイプレクサとにより構成することができる。
【0031】
ところで、両信号分離手段と、第1〜第3の信号阻止手段とは、いずれも周波数特性を有するものであり、両者を直接接続すると、互いに干渉し合って、総合的な周波数特性(遮断特性)を劣化させてしまう場合がある
そこで、請求項3記載のように、第1又は第2又は第3の信号阻止手段と上流側又は下流側信号分離手段との間には、使用周波数帯でのインピーダンス特性が平坦な分離回路を設けることが望ましい。この分離回路により、互いの干渉を抑制されるため、第1〜第3の信号阻止手段を設けたことによる効果を最大限に引き出すことができる。
【0032】
なお、分離回路としては、純抵抗からなる減衰器等でもよいが、下り増幅手段又はIF増幅手段又は上り増幅手段を構成する増幅回路であってもよい。より具体的には、これら増幅手段を2段構成とし、その間に第1〜第3の信号阻止手段を設ければ、干渉を防止するためだけの新たな構成を追加することなく、第1〜第3の信号阻止手段の性能を充分に引き出すことができる。
【0033】
また、特に第3の信号阻止手段は、棟内上り信号の周波数帯より高域及び低域の両方を阻止するいわゆるバンドパスフィルタの構成となり、しかも急峻な遮断特性が必要であるため、請求項5記載のように、誘電体フィルタ或いは表面弾性波フィルタを用いることが望ましい。この場合、第3の信号阻止手段を、抵抗,コンデンサ,インダクタを用いて構成する場合と比較して大幅に小型化できる。
【0034】
次に、請求項6記載の双方向増幅器では、下り増幅手段と下流側信号分離手段との間に設けられた歪み成分除去手段が、棟内上り信号の周波数帯を阻止域とし、下り増幅手段にて発生する相互変調歪み成分を除去するようにされている。
これにより、上り増幅手段が設けられた第2分岐経路への相互変調歪み成分の回り込みを低減でき、ひいては下り信号の相互変調歪み成分に基づいて棟内上り信号が歪むことを防止できる。
【0035】
しかも、本発明では、歪み成分除去手段を、下流側信号分離手段とは別体にして第1分岐経路上に設けているため、比較的フィルタの次数が小さいものを用いて構成することができ、下流側信号分離手段の遮断特性をより急峻に構成する場合と比較して、相互変調歪み成分を小さな回路規模にて効率よく減衰させることができる。
【0036】
また、請求項7記載の双方向増幅器では、上り増幅手段と下流側信号分離手段との間に設けられた回込信号除去手段が、下り信号の周波数帯を阻止域とし、下り経路から回り込んだ下り信号を除去するようにされている。
これにより、上り増幅手段に入力される第1分岐経路から回り込んできた下り信号の信号レベルが充分に低減されるため、この回込信号を増幅して上り増幅手段がパワー不足となることにより、棟内上り信号が歪んでしまうことを防止できる。換言すれば、回込信号除去手段を用いることにより、上り増幅手段を、パワーの小さい増幅回路を用いて構成することができる。
【0037】
しかも、本発明では、回込信号除去手段を、下流側信号分離手段とは別体にして第2分岐経路上に設けているため、比較的フィルタの次数が小さいものを用いて構成でき、下流側信号分離手段の遮断特性をより急峻に構成する場合と比較して、回り込んだ下り信号を小さな回路規模にて効率よく減衰させることができる。
【0038】
なお、請求項8記載の双方向増幅器のように、上り増幅手段を、大きな出力が得られるプッシュプル回路にて構成することにより、パワー不足を解消して棟内上り信号が歪んでしまうことを防止してもよい
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用された棟内CATVシステム全体の構成を表す構成図である。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の棟内CATVシステムは、外部の双方向CATVシステムの伝送線(CATV伝送線)2から分岐装置4を介して分岐された引込線6を、保安器8を介して、マンション,アパート等の建造物内に引き込むと共に、放送衛星(BS),通信衛星(CS)からの電波を受信するために、建造物の屋外に設置された衛星受信用アンテナ9からの伝送線を引き込むようにされている。そして、その建造物内に配線された同軸ケーブルからなる伝送線L、及び、この伝送線Lに設けられた合波器11,双方向増幅器12,分岐器14,分配器16等を介して、引込線6から入力された双方向CATVシステムの下り信号(周波数:70MHz〜770MHz)、及び合波器11を介して下り信号に合流する衛星受信用アンテナ9からのIF信号(1032MHz〜2150MHz)を、建造物内の各加入者宅に設置された直列ユニット等からなる複数の端末端子18まで伝送すると共に、加入者側の各種端末装置から後述のアップコンバータ20を介して端末端子18に入力された棟内上り信号を、引込線6まで伝送するものである。
【0041】
そして、本実施形態の棟内CATVシステムでは、加入者側で、外部の双方向CATVシステムのセンタ装置を介してインターネットを楽しむ場合や、センタ装置に対して有料番組の視聴予約やテレビショッピング等のためのデータを送信する際には、その加入者側の端末端子18に、アップコンバータ20及びケーブルモデム22を介して、データ通信用の情報端末装置(パーソナルコンピュータ等)24を接続する。
【0042】
その結果、情報端末装置24から出力されたデータ通信用の送信データは、ケーブルモデム22にて、外部の双方向CATVシステムで伝送可能な所定周波数帯(本実施形態では、10MHz〜55MHz)のデジタル変調(例えばQAM)された上り信号に変換され、更に、この上り信号は、アップコンバータ20にて、所定周波数帯(本実施形態では、821MHz〜866MHz)の棟内上り信号に周波数変換されて、端末端子18に入力される。
【0043】
このため、棟内CATVシステムの伝送線Lと、外部の双方向CATVシステムからの引込線6との接続部分には、各端末端子18から伝送線Lを介して伝送されてきた棟内上り信号を、外部の双方向CATVシステムで伝送可能な元の上り信号に周波数変換するためのダウンコンバータ10が設けられている。
【0044】
尚、図1において、符号26は、アップコンバータ20が接続されない端末端子18(若しくはアップコンバータ20に設けられた下り信号の出力端子)に接続され、伝送線Lを介して伝送されてきた外部の双方向CATVシステムからの下り信号を受信して、所望チャンネルのテレビ放送を復調・再生するテレビ受信機を表す。
【0045】
ここで、図2は、本発明の主要部となる双方向増幅器12の構成を表すブロック図である。
なお、双方向増幅器12は、従来技術にて説明した双方向増幅器100(図6参照)とは、一部構成が異なるだけであるため、同じ構成については同一符号を付して説明を省略し、ここでは構成の異なる部分を中心に説明する。
【0046】
図2に示すように、双方向増幅器12は、センタ装置側の上流側端子T1に接続された上流側信号分離手段としての上流側信号分離部30aと、端末側の下流側端子T2に接続された下流側信号分離手段としての下流側信号分離部30bとの間に、下り信号用の第1分岐経路L1、棟内上り信号用の第2分岐経路L2、IF信号用の第3分岐経路L3が設けられている。
【0047】
そして、第1分岐経路L1には、下り増幅手段としての下り増幅回路31と下流側信号分離部30bとの間に、下り信号の周波数帯の上限周波数(770MHz)をカットオフ周波数とする第1の信号阻止手段及び歪み成分除去手段としてのローパスフィルタ(LPF)51が設けられている。
【0048】
また、第2分岐経路L2には、上り増幅手段としての一対の上り増幅回路32a,32bが設けられ、これら一対の上り増幅回路32a,32bの間に、第3の信号阻止手段としてのバンドパスフィルタ(BPF)42が設けられていると共に、上り増幅回路32aと下流側信号分離部30bとの間に、棟内上り信号の周波数帯の下限周波数(821MHz)をカットオフ周波数とする回込信号除去手段としてのハイパスフィルタ(HPF)52が設けられている。なお、BPF42は、ここでは誘電体フィルタ又は表面弾性波(SAW)フィルタにて構成されている。
【0049】
更に、第3分岐経路L3には、IF増幅手段としての一対のIF増幅回路33a,33bが設けられ、これら一対のIF増幅回路33a,33bの間に、下り信号の周波数帯の上限周波数(770MHz)及びIF信号の周波数帯の下限周波数(1032MHz)をカットオフ周波数とする第2の信号阻止手段としてのバンドエリミネーションフィルタ(BEF)43が設けられている。
【0050】
このように構成された双方向増幅器12では、センタ装置及び衛星アンテナ側の伝送線を介して上流側端子T1に入力された信号のうち、上流側信号分離部30aにて抽出された下り信号の周波数帯の信号は、第1分岐経路L1に供給され下り増幅回路31にて所定レベルまで増幅された後、下流側信号分離部30bを介して下流側端子T2まで伝送され、下流側端子T2から端末側の伝送線上に送出される。
【0051】
また、同じく上流側端子T1に入力された信号のうち、上流側信号分離部30aにて抽出されたIF信号の周波数帯の信号は、第3分岐経路L3に供給され、IF増幅回路33a,33bにて所定レベルまで増幅された後、下流側信号分離部30bを介して下流側端子T2まで伝送され、下流側端子T2から端末側の伝送線上に送出される。
【0052】
一方、端末側の伝送線を介して下流側端子T2に入力された信号のうち、下流側信号分離部30bにて抽出された棟内上り信号の周波数帯の信号は、上り増幅回路32a,32bにて所定レベルまで増幅された後、上流側信号分離部30aを介して上流側端子T1まで伝送され、上流側端子T1からセンタ装置側の伝送線上に送出される。
【0053】
なお、両信号分離部30(30a,30b)を構成する各ダイプレクサD1,D2は、各信号を完全に分離することはできず、棟内上り信号の一部が上流側信号分離部30aを介して第1分岐経路L1及び第3分岐経路L3に回り込み、また、下り信号及びIF信号の一部が下流側信号分離部30bを介して第2分岐経路L2に回り込む。
【0054】
つまり、双方向増幅器12には、第1及び第2分岐経路L1,L2、両信号分離部30のダイプレクサD1による、下り信号及び棟内上り信号が周回する第1ループ経路と、第2及び第3分岐経路L2,L3、両信号分離部30のダイプレクサD1,D2による、棟内上り信号及びIF信号が周回する第2ループ経路が存在している。
【0055】
そして、第1分岐経路L1に回り込んだ棟内上り信号は、下り増幅回路31にて増幅されるが、他の分岐経路に回り込む時に両信号分離部30のダイプレクサD1にて減衰されるだけでなく、LPF51でも減衰され、結局、第1ループ経路での棟内上り信号のループゲインが1より小さくなるようにされている。
【0056】
同様に、第3分岐経路L3に回り込んだ棟内上り信号は、IF増幅回路33a,33bにて増幅されるが、他の分岐経路に回り込む時に両信号分離部30のダイプレクサD1,D2にて減衰されるだけでなく、BEF43でも減衰され、結局、第2ループ経路での棟内上り信号のループゲインが1より小さくなるようにされている。
【0057】
また、第2分岐経路L2に回り込んだ下り信号及びIF信号は、上り増幅回路32a,32bにて増幅されるが、他の分岐経路に回り込む時に両信号分離部30のダイプレクサD1,D2にて減衰されるだけでなく、BPF42や特に下り信号はHPF52でも減衰され、結局、第1ループ経路での下り信号、及び第2ループ経路でのIF信号のループゲインが、いずれも1より小さくなるようにされている。
【0058】
ところで、多チャンネルの下り信号を増幅する下り増幅回路31では、各チャンネルの成分が互いに混合されることにより、広い周波数範囲に渡って相互変調歪み成分が生成される。
この相互変調歪み成分のうち、棟内上り信号の周波数帯に発生したものは、回り込んできた棟内上り信号と共にLPF51にて減衰され、下流側信号分離部30bを介した第2分岐経路L2への回り込みが充分に抑えられるようにされている。
【0059】
また、第2分岐経路L2に回り込んだ下り信号は、上り増幅回路32aの前段にあるHPF52にて充分に減衰され、上り増幅回路32aが、下り信号の増幅のために無駄なパワーを消費しないようにされている。
以上説明したように、本実施形態では、双方向増幅器12に存在する第1ループ経路、及び第2ループ経路について、両信号分離部30での遮断特性を向上させることで信号の回り込み量を低減するのではなく、回り込んだ信号をLPF51,BPF42,BEF43にて減衰させることにより、ループゲインが1より小さくなるようにされている。
【0060】
従って、本実施形態によれば、既にフィルタの次数が高いダイプレクサD1,D2の遮断特性を改善するより、小さな回路構成にて、回り込んだ信号を効率よく減衰させることができ、装置構成の増大を必要最小限に抑えることができる。
即ち、ダイプレクサD1,D2から分離してLPF51,BPF42,BEF43を設けたことにより、これらのフィルタの次数を小さくすることができ、その結果、回路構成を小さくすることができるのである。
【0061】
特に、BPF42は、誘電体フィルタ或いはSAWフィルタからなるため、回路構成をより小型にできる。
また、本実施形態では、BPF42及びBEF43は、それぞれ2段構成の上り増幅回路32a,32b及びIF増幅回路33a,33b(本発明の分離回路に相当)の間に設けられており、他のフィルタ回路(ダイプレクサD1,D2やHPF52)と干渉して特性が劣化することのないようにされているので、所望の特性が得られる回路を簡単に設計することができる。
【0062】
更に、本実施形態では、下り増幅回路31にて生成された相互変調歪み成分のうち棟内上り信号と同じ周波数を有するものを、下り増幅回路31の後段に設けたLPF51によって減衰させると共に、第2分岐経路L2に回り込んできた下り信号を、上り増幅回路32aの前段に設けたHPF52により減衰させており、つまり、棟内上り信号を歪ませる2つの要因を除去しているため、棟内上り信号の歪み、ひいては外部の双方向CATVシステムへ送出される流合雑音を低減することができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、第2の信号阻止手段としてBEF43を用いたが、IF信号の周波数帯の下限周波数(1032MHz)をカットオフ周波数とするHPFを用いてもよい。
また、上記実施形態では、LPF51が、第1の信号阻止手段と歪み成分除去手段とを兼ねているが、下り増幅回路31を2段構成とし、その間に、下り信号の周波数帯の上限周波数をカットオフ周波数とする第1の信号阻止手段としてのLPFを設けてもよい。
【0064】
更に、上記実施形態では、下り信号と共にIF信号も端末側に向けて伝送する場合の双方向増幅器12を示したが、IF信号を伝送しない場合には、図3に示すように、IF信号用の第3分岐経路L3、及び両信号分離部30a,30bのダイプレクサD2を省略した双方向増幅器12aを用いればよい。
【0065】
この場合、BPF42の代わりに、棟内上り信号の周波数帯の下限周波数をカットオフ周波数とするHPFを用いてもよい。
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
【0066】
本実施形態の棟内CATVシステムは、第1実施形態と同様に、下り信号、IF信号、棟内上り信号(以下、本実施形態では「上りHigh信号」という)を双方向に伝送するだけでなく、アップコンバータ20を介することなく端末端子18に入力された所定周波数帯(10MHz〜55MHz)の上り信号(以下「上りLow信号」という)を、そのまま引込線6まで伝送するものである。
【0067】
従って、本実施形態では、ダウンコンバータ10及び双方向増幅器12の構成のみが、第1実施形態とは異なっているため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
まず、ダウンコンバータ10は、第1実施形態のものと同様に、各端末端子18から伝送線Lを介して伝送されてきた上りHigh信号を外部の双方向CATVシステムで伝送可能な元の上り信号に周波数変換するだけでなく、同じく各端末端子18から伝送線Lを介して伝送されてきた上りLow信号を、周波数変換することなくそのまま転送するように構成されている。
【0068】
次に、双方向増幅器12bは、図4に示すように、センタ装置側の上流側端子T1に接続された上流側信号分離部30cと、端末側の下流側端子T2に接続された下流側信号分離部30dとの間に、下り信号用の第1分岐経路L1、上りHigh信号用の第2分岐経路L2、IF信号用の第3分岐経路L3に加えて、上りLow信号用の第4分岐経路L4が設けられている。
【0069】
そして、両信号分離部30(30c,30d)は、ダイプレクサD1,D2に加えて、上りLow信号の上限周波数(55MHz)を低域側のカットオフ周波数とし、下り信号の下限周波数(70MHz)を高域側のカットオフ周波数とするダイプレクサD3を備えており、ダイプレクサD1の低域側の信号が通過する低域端とダイプレクサD3の全域の信号が通過する共通端とを接続することにより構成されている。
【0070】
そして、両信号分離部30の各ダイプレクサD1の高域端間に第2分岐経路L2、各ダイプレクサD3の低域端間に第4分岐経路L4、同じく高域端間に第1分岐経路L1、各ダイプレクサD2の高域端間に分岐経路L3が接続されている。 このうち、第1〜第3分岐経路L1〜L3は、第1実施形態のものとほぼ同様に構成されている。但し、第1分岐経路L1では、LPF51の代わりに、下り信号の周波数帯の下限周波数(70MHz)及び上限周波数(770MHz)をカットオフ周波数とするBPF51xが用いられ、第3分岐経路L2ではBEF43の代わりに、IF信号の下限周波数(1032MHz)をカットオフ周波数とするHPF43xが用いられている。
【0071】
そして、上りLow信号が通過する第4分岐経路L4には、下流側から上流側に向かう信号を増幅するゲート付き増幅器34が設けられ、このゲート付き増幅器34と下流側信号分離部30dとの間に、上りLow信号の上限周波数(55MHz)をカットオフ周波数とするLPF54が設けられている。
【0072】
ここで、ゲート付き増幅器34は、図5(a)に示すように、LPF54側と接続するための入力端子T3から、上流側信号分離部30c側と接続するための出力端子T4に到る伝送経路上に、入力端子T3から入力される信号を増幅して出力端子T4へ出力する1対の増幅回路60a,60bと、この一対の増幅回路60a,60bの間を接続する伝送路を、制御信号S1に従って断続する断続回路62とが設けられている。なお、増幅回路60a,60bの電力供給線上には、制御信号S2に従って動作電力の供給,遮断を行う電力供給遮断回路64a,64bが設けられている。
【0073】
また、入力端子T3と増幅回路60aとの間には、制御信号S2に従って、入力端子T3から入力された信号を増幅回路60aに通過させるか、或いは入力端子T3(増幅回路60aの入力)を抵抗68aを介して接地する入力側切換回路66aが設けられ、出力端子T4と増幅回路60bとの間には、同じく制御信号S2に従って、増幅回路60bが出力する信号を出力端子T4側に通過させるか、或いは出力端子T4(増幅回路60bの出力)を抵抗68bを介して接地する出力側切換回路66bが設けられ、更に、制御信号S1,S2を供給する制御回路70が設けられている。
【0074】
これら切換回路66(66a,66b)は、いずれも同じ構成を有しており、図5(b)に示すように、制御回路70からの制御信号S2が入力される制御端子T5と、入力端子T3(出力端子T4)側に接続される信号端子T6と、増幅回路60(60a,60b)側に接続される信号端子T7と、抵抗68(68a,68b)に接続される接地端子T8とを備えている。また、信号端子T6,T7を接続する伝送路上に信号通過用の一対のコンデンサ72,73が設けられ、このコンデンサ72,73の共通接続端と制御端子T5との間に高周波信号を阻止するためのチョークコイル74が接続され、同じくコンデンサ72,73の共通接続端と接地端子T8との間に、共通接続端から接地端子に向かう方向を順方向とするダイオード76が接続されている。
【0075】
このように構成された切換回路66では、制御端子T5に入力される制御信号S2がロウレベル(接地レベル)であれば、ダイオード76がオフ状態となることにより信号端子T6,T7間は導通状態となる。一方、制御信号S2がハイレベルであれば、ダイオード76がオン状態となることにより、信号端子T6,T7から入力された信号は、ダイオード76,接地端子T8,抵抗68を介して接地される。
【0076】
なお、抵抗68は、切換回路66が接地側の設定である場合に、各端子T3,T4に接続されるCATV伝送線のインピーダンスと整合する大きさに設定されている。
次に、断続回路62は、制御信号S1に従って動作し、3つの経路のいずれかを選択する一対のスイッチ80a,80bを備え、この一対のスイッチによって選択される第1の経路では、増幅回路60aの出力をそのまま増幅回路60bに入力し、第2の経路では、増幅回路60aの出力を、30MHzをカットオフ周波数とするHPF82を介して増幅回路60bに入力し、第3の経路では、増幅回路60aの出力、及び増幅回路60bの入力をそれぞれダミー抵抗84a,84bを介して接地するようにされている。
【0077】
そして、制御回路70には、手動スイッチ(図示せず)が設けられており、この手動スイッチを操作することにより、断続回路62の第1或いは第2の経路が選択された時には、これに応じた制御信号S1と共に、切換回路66を導通側かつ電力供給遮断回路64を供給側に設定する制御信号S2を出力し、一方、第3の経路が選択された時には、これに応じた制御信号S1と共に、切換回路66を遮断側かつ電力供給遮断回路64を遮断側に設定する制御信号S2を出力するようにされている。
【0078】
従って、手動スイッチにより第1の経路を選択する設定がなされた場合は、ゲート付き増幅器34は、上りLow信号の全域(10MHz〜55MHz)を増幅し、第2の経路を選択する設定がなされた場合は、上りLow信号のうち高域側(30MHz〜55MHz)のみを増幅し、第3の経路を選択する設定がなされた場合は、増幅回路60の両端が接地され遮断状態となるようにされている。
【0079】
このように構成された双方向増幅器12bには、第1及び第2分岐経路L1,L2、両信号分離部30のダイプレクサD1,D3による、下り信号及び上りHigh信号が周回する第1ループ経路と、第2及び第3分岐経路L2,L3、両信号分離部30のダイプレクサD1,D2による、上りHigh信号及びIF信号が周回する第2ループ経路に加えて、第1及び第4分岐経路L1,L4、両信号分離部30のダイプレクサD3による、下り信号及び上りLow信号が周回する第3ループ経路と、第3及び第4分岐経路L3,L4、両信号分離部30のダイプレクサD1,D2,D3による、IF信号及び上りLow信号が周回する第4ループ経路が存在している。
【0080】
そして、第1及び第3分岐経路L1,L3に回り込んだ上りLow信号は、第1実施形態における棟内上り信号(即ち上りHigh信号)と同様に、下り増幅回路31或いはIF増幅回路33a,33bにて増幅されるが、他の分岐経路に回り込む時に両信号分離部30のダイプレクサD1〜D3にて減衰されるだけでなく、BPF51x或いはHPF43xでも減衰され、結局、第3及び第4ループ経路での上りLow信号のループゲインが1より小さくなるようにされている。
【0081】
また、第4分岐経路L4に回り込んだ下り信号及びIF信号は、ゲート付き増幅器34にて増幅されるが、他の分岐経路に回り込むときに両信号分離部30のダイプレクサD1〜D3にて減衰されるだけでなく、LPF54でも減衰され、結局、第3ループ経路での下り信号、及び第4ループ経路でのIF信号のループゲインが、いずれも1より小さくなるようにされている。
【0082】
更に、下り増幅回路31にて生成される相互変調歪み成分のうち、上りHigh信号及び上りLow信号の周波数帯に発生したものは、第1分岐経路L1に回り込んだ上りHigh信号及び上りLow信号と共にBPF51xにて減衰され、下流側信号分離部30dを介した第2及び第4分岐経路L2,L4への回り込みが十分に抑えられるようにされている。
【0083】
また、第4分岐経路L4に回り込んだ下り信号は、ゲート付き増幅器34の前段にあるLPF54にて十分に減衰され、第2分岐経路L2に回り込んだ下り信号と同様に、ゲート付き増幅器34が、回り込んだ下り信号の増幅のために無駄なパワーを消費しないようにされている。
【0084】
従って、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加え、棟内上り信号(上りHigh信号)に対する場合と同様に、上りLow信号を歪ませる要因を除去することができる。
また、本実施形態では、上りLow信号を使用しない場合には、ゲート付き増幅器34にて、上りLow信号の伝送経路を遮断でき、しかも遮断部分にてインピーダンスの不整合に基づく反射が生じないようにされている。従って、流合雑音を確実に低減できるだけでなく、遮断部分からの信号やノイズの反射によって、双方向増幅器12bの端末端子18側に接続される各種端末機器や、ヘッドエンド側に接続されるセンタ装置等の動作に影響を与えてしまうことを確実に防止できる。
【0085】
更に、本実施形態では、ゲート付き増幅器34にて、上りLow信号のうち、特に流合雑音の多い30MHzより周波数の低い信号を遮断し、30MHz〜55MHzのみを伝送するように設定することが可能であるため、上りLow信号の伝送に伴う流合雑音の増加を、必要最小限に抑えることができる。
【0086】
ところで、使用する周波数帯の狭い上りHigh信号や上りLow信号を増幅する上り増幅回路32(32a,32b)や、ゲート付き増幅器34の増幅回路60(60a,60b)は、通常、一つのトランジスタにて増幅を行うシングル回路が用いられるが、これらを、シングル回路と比較して大きな出力が得られるプッシュプル回路にて構成してもよい。この場合、回り込んできた多チャンネルの下り信号によって、増幅回路32,60がパワー不足となることがなく、パワー不足に基づく信号の歪みを確実に除去できる。
【0087】
そして、プッシュプル回路からなる増幅回路32,60が十分なパワーを有している場合には、第2及び第4分岐経路L2,L4に回り込んだ下り信号を除去するためのフィルタ52,54を省略した構成としてもよい。
なお、第2実施形態では、下り信号,IF信号,上りHigh信号,上りLow信号を扱う双方向増幅器12bを示したが、IF信号を伝送しない場合には、IF信号用の第3分岐経路L3、及び両信号分離部30のダイプレクサD2を省略したり、上りHigh信号を伝送しない場合には、上りHigh信号用の第2分岐経路L2、及び両信号分離部30のダイプレクサD1を省略した構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 棟内双方向CATVシステムの全体構成を表す説明図である。
【図2】 第1実施形態の双方向増幅器の構成を表すブロック図である。
【図3】 第1実施形態の双方向増幅器の変形例を表すブロック図である。
【図4】 第2実施形態の双方向増幅器の構成を表すブロック図である。
【図5】 ゲート付き増幅器の詳細な構成を表す説明図である。
【図6】 従来の双方向増幅器の構成を表すブロック図である。
【図7】 従来の問題点を明確にするための説明図である。
【符号の説明】
2…CATV伝送線、4…分岐装置、6…引込線、8…保安器、9…衛星受信用アンテナ、10…ダウンコンバータ、11…合波器、12,12a,12b…双方向増幅器、14…分岐器、18…端末端子、20…アップコンバータ、22…ケーブルモデム、24…情報端末装置、26…テレビ受信機、30a,30c…上流側信号分離部、30b,30d…下流側信号分離部、31…下り増幅回路、32a,32b…上り増幅回路、33a,33b…IF増幅回路、34…ゲート付き増幅器、42,51x…バンドパスフィルタ(BPF)、43…バンドエリミネーションフィルタ(BEF)、51,54…ローパスフィルタ(LPF)、43x,52…ハイパスフィルタ(HPF)、60a,60b…増幅回路、62…断続回路、64a,64b…電力供給遮断回路、66a,66b…切換回路、68a,68b,84a,84b…抵抗、70…制御回路、72,73…コンデンサ、74…チョークコイル、76…ダイオード、80a,80b…スイッチ、D1,D2,D3…ダイプレクサ、L…伝送線、L1〜L4…分岐経路、T1…上流側端子、T2…下流側端子、T3…入力端子、T4…出力端子、T5…制御端子、T6,T7…信号端子、T8…接地端子

Claims (8)

  1. 端末側からセンタ装置側に向けて送出される上り信号を、センタ装置側から端末側に向けて送出される下り信号よりも高い周波数帯の棟内上り信号に周波数変換して伝送すると共に、衛星アンテナにて受信され前記棟内上り信号より高い周波数帯に周波数変換されたIF信号を、前記下り信号と共に端末側に向けて伝送する棟内CATVシステムの伝送線上に設けられ、前記棟内上り信号,下り信号,IF信号をそれぞれ増幅する双方向増幅器であって、
    センタ装置及び衛星アンテナ側の伝送線に接続される上流側端子と端末側の伝送線に接続される下流側端子との間に設けられた第1,第2,第3分岐経路と、
    前記上流側端子に供給される信号のうち、前記下り信号の周波数帯を通過域として抽出した信号を前記第1分岐経路の上流側に通過させ、前記IF信号の周波数帯を通過域として抽出した信号を前記第3分岐経路の上流側に通過させると共に、前記第2分岐経路の上流側に供給される信号のうち、前記棟内上り信号の周波数帯を通過域として抽出した信号を前記上流側端子に通過させる上流側信号分離手段と、
    前記下流側端子に供給される信号のうち、前記棟内上り信号の周波数帯を通過域として抽出した信号を前記第2分岐経路の下流側に通過させると共に、前記第1分岐経路の下流側に供給される信号のうち、前記下り信号の周波数帯を通過域として抽出した信号、及び前記第3分岐経路の下流側に供給される信号のうち、前記IF信号の周波数帯を通過域として抽出した信号を前記下流側端子に通過させる下流側信号分離手段と、
    前記第1分岐経路上にて上流側から入力された信号を増幅して下流側に出力する下り増幅手段と、
    前記第2分岐経路上にて下流側から入力された信号を増幅して上流側に出力する上り増幅手段と、
    前記第3分岐経路上にて上流側から入力された信号を増幅して下流側に出力するIF増幅手段と、
    を備えると共に、
    前記第1分岐経路に設けられ、前記棟内上り信号の周波数帯を阻止域とし、前記上流側信号分離手段及び下流側信号分離手段を介して前記第1分岐経路と前記第2分岐経路とが形成する第1ループ経路の前記棟内上り信号に対するループゲインを1より小さくする第1の信号阻止手段、
    前記第3分岐経路に設けられ、前記棟内上り信号の周波数帯を阻止域とし、前記上流側信号分離手段及び下流側信号分離手段を介して前記第2分岐経路と前記第3分岐経路とが形成する第2ループ経路の前記棟内上り信号に対するループゲインを1より小さくする第2の信号阻止手段、
    前記第2分岐経路に設けられ、前記下り信号及び前記IF信号の周波数帯を阻止域とし、前記第1ループ経路の前記下り信号に対するループゲイン、及び前記第2ループ経路の前記IF信号に対するループゲインを、いずれも1より小さくする第3の信号阻止手段、
    のうち、少なくともいずれか一つを設けたことを特徴とする双方向増幅器。
  2. 前記上流側信号分離手段及び前記下流側信号分離手段は、いずれも、
    前記下り信号の周波数帯以下を通過域として抽出された信号が前記下り経路を通過し、前記棟内上り信号の周波数帯以上を通過域として抽出された信号が前記上り経路を通過するように信号を分波する第1のダイプレクサと、
    前記IF信号の周波数帯以上を通過域として抽出された信号が前記IF経路を通過し、前記棟内上り信号の周波数帯以下を通過域として抽出された信号が前記第1のダイプレクサを通過するように信号を分波する第2のダイプレクサと、
    からなることを特徴とする請求項1記載の双方向増幅器。
  3. 前記第1又は第2又は第3の信号阻止手段と前記上流側又は下流側信号分離手段との間に、使用周波数帯でのインピーダンス特性が平坦な分離回路を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の双方向増幅器。
  4. 前記分離回路は、前記下り増幅手段又は前記IF増幅手段又は前記上り増幅手段を構成する増幅回路であることを特徴とする請求項3記載の双方向増幅器。
  5. 前記第3の信号阻止手段は、誘電体フィルタ或いは表面弾性波フィルタからなることを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか記載の双方向増幅器。
  6. 前記下り増幅手段と前記下流側信号分離手段との間に、前記棟内上り信号の周波数帯を阻止域とし、前記下り増幅手段にて発生する相互変調歪み成分を除去する歪み成分除去手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか記載の双方向増幅器。
  7. 前記上り増幅手段と前記下流側信号分離手段との間に、前記下り信号の周波数帯を阻止域とし、前記下り経路から回り込んだ下り信号を除去する回込信号除去手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか記載の双方向増幅器。
  8. 前記上り増幅手段は、プッシュプル回路からなることを特徴とする請求項1ないし請求項7いずれか記載の双方向増幅器。
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