JP4695735B2 - 刺激誘導性I(κ)Bキナーゼ[IKK]シグナルソーム - Google Patents
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Description
本発明は、一般的に、核因子κB(NF-κB)の活性化を導くカスケードの研究およびこのような経路に関連する疾患の処置に有用な組成物および方法に関する。本発明は、より詳細には、刺激誘導性IκBキナーゼ[IKK]シグナルソーム(signalsome)、構成IκBキナーゼ、およびこのようなキナーゼの改変体に関する。本発明はまた、NF-κB経路を介したシグナル伝達を阻害または活性化する抗体および他の因子を同定するための、刺激誘導性IKKシグナルソームまたはIκBキナーゼの使用に関する。
発明の背景
NF-κB/Relファミリーの転写因子は、炎症、細胞増殖、およびアポトーシスに関与する遺伝子の重要なレギュレーターである(概説については、Vermaら、Genes Dev.9:2723-35,1995;Siebenlist,Biochem.Biophys.Acta 1332:7-13,1997;BaeuerleおよびHenkel,Ann.Rev.Immunol.12:141-79,1994;BarnesおよびKarin,New Engl.J.Med.366,1066-71,1997;BaeuerleおよびBaltimore,Cell 87:13-20,1996;Grilliら、NF-κB and Rel:Participants in a multiform transcriptional regulatory system(Academic Press,Inc.,1993),第143巻;BaichwalおよびBaeuerle,Curr.Biol.7:94-96,1997を参照のこと)。このファミリーの原型メンバーであるNF-κBは、p50 NF-κBおよびp65 RelAからなる(BaeuerleおよびBaltimore,Cell 53:211-17,1988;BaeuerleおよびBaltimore,Genes Dev.3:1689-98,1989)。NF-κBは、免疫、炎症、および急性期応答の遺伝子(インターロイキン1、インターロイキン8、腫瘍壊死因子、および特定の細胞接着分子を含む)で観察されるされる高度に特異的な遺伝子発現パターンにおいて中心的な役割を果たす。
転写アクチベーターのRelファミリーの他のメンバーと同様に、NF-κBは、ほとんどの細胞型において細胞質に不活性形態で隔離されている。種々の細胞外刺激(マイトジェン、サイトカイン、抗原、ストレス誘導因子、UV光、およびウイルスタンパク質を含む)は、最終的にNF-κBの放出および活性化を導くシグナル伝達経路を開始する。従って、シグナル伝達経路のインヒビターおよびアクチベーターを使用して、活性NF-κBのレベルを変化させ、そしてNF-κBの活性化に関連する疾患の処置における潜在的な有用性を有し得る。
これらの刺激の各々に応答したNF-κBの活性化は、細胞質中でNF-κBを保持する、阻害サブユニットIκBにより制御される。6つの既知メンバーがあるIκBタンパク質は、各々NFκB/Relダイマーとの会合および活性の阻害に必要とされる5〜7のアンキリン様反復を含む(Begら、Genes Dev.7,2064-70,1993;GilmoreおよびMorin,Trends Genet.9,427-33,1993;Diaz-Mecoら、Mol.Cell.Biol.13:4770-75,1993;Haskillら、Cell 65:1281-89,1991を参照のこと)。IκBタンパク質は、IκBαおよびIκBβを含む。
NFκB活性化は、IκBの連続的なリン酸化、ユビキチン化、および分解を含む。IκBのリン酸化は、標識残基に高度に特異的である。例えば、IκBタンパク質IκBαのリン酸化はセリン残基S32およびS36で起こり、そしてIκBβのリン酸化はセリン残基S19およびS23で起こる。改変および分解工程の編成されたシリーズは、それまでにIκBによりマスクされていたNFκB上の核局在化シグナルの暴露により転写的に活性なNFκBの核移入をもたらす(Begら、Genes Dev.6:1899-1913,1992)。従って、NFκB活性化は、1つ以上の特異的IκBキナーゼ、E1、E2、およびE3ユビキチン酵素の連関したシリーズ、26Sプロテアソーム、ならびに核輸入機構を含むシグナル伝達カスケードにより媒介される。IκBのリン酸化は、NF-κBの活性化において重要な工程であり、そしてIκBキナーゼの同定、ならびにそのキナーゼ活性を調節するタンパク質は、活性化プロセスのさらなる理解、ならびに治療方法の開発に重要である。
いくつかのプロテインキナーゼ(プロテインキナーゼA(GhoshおよびBaltimore,Nature 344:678-82,1990)、プロテインキナーゼC(GhoshおよびBaltimore,Nature 344:678-82,1990)、ならびに2本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(Kumarら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:6288-92,1994)を含む)は、インビトロでIκBをリン酸化することが見出されている。カゼインキナーゼIIによるIκBαの構成的リン酸化もまた観察されている(Barrogaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7637-41,1995を参照のこと)。しかし、これらのキナーゼのいずれもが、NF-κBのインビボ活性化を担わないようである。例えば、プロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼCによるインビトロでのIκBαリン酸化はNF-κBとのその会合を妨げ、そして2本鎖RNA依存性プロテインキナーゼによるリン酸化は、NF-κBの解離をもたらす。これらのいずれもが、インビボでのリン酸化の効果(S32およびS36でのIκBαリン酸化は、NF-κBからの解離をもたらさない)に即応しない。
他の以前に知られていないIκBキナーゼ活性を有するタンパク質が報告されているが、これらのタンパク質はまた、インビボで重要なアクチベーターではないようである。推定IκBαキナーゼは、Kunoら、J.Biol.Chem.270:27914-27919,1995により同定されたが、このキナーゼは、インビボ調節に重要であることが知られているS32およびS36ではなく、IκBαのC末端領域の残基をリン酸化するようである。Diaz-Mecoら、EMBO J.13:2842-2848,1994はまた、リン酸化部位が特徴付けられていない、50kD IκBキナーゼを同定した。Schoutenら、EMBO J.16:3133-44,1997は、推定IκBαキナーゼとしてp90rskiを同定したが;p90rskiTPAにより活性化されるのみであり、そしてSer32上でのみIκBαをリン酸化し、これはIκBαをユビキチン化の標的にするのに不十分である。最後に、Chenら、Cell 84:853-862,1996は、IκBαをリン酸化するキナーゼを同定したが、このキナーゼは、IκBαキナーゼ活性の非生理学的インデューサーを用いて同定され、そしてインビトロリン酸化のために外因性因子の添加を必要とする。
従って、インビボキナーゼの基質特異性および他の特性を有するIκBキナーゼが当該分野で必要とされる。NF-κBの活性化に関与するタンパク質の活性を調節し、そしてNF-κBの活性化に関連する疾患を処置するための改善した方法もまた必要とされる。本発明はこれらの必要を満たし、そして他の関連した利点をさらに提供する。
発明の要旨
手短に述べると、本発明は、大きなマルチサブユニットIKKシグナルソームまたはその成分もしくは改変体を使用する組成物および方法を提供する。1つの局面において、本発明は、外因性補因子の添加なく、残基S36およびS36でIκBαをならびに残基19および23でIκBβを特異的にリン酸化し得るIKKシグナルソームを提供する。
さらに関連した局面において、IKKシグナルソームの成分またはこのような成分の改変体を含むポリペプチドが提供され、ここでこの成分は、配列番号9に示される配列を有する。このようなポリペプチドをコードする単離されたDNA分子および組換え発現ベクター、ならびにトランスフェクトされた宿主細胞もまた提供される。
別の局面において、IKKシグナルソームを調製するための方法が提供され、この方法は、適切な緩衝液中にIKKシグナルソームの成分を組み合せる工程を包含する。
なお別の局面において、IKKシグナルソームの基質をリン酸化するための方法が提供され、この方法は、基質とIKKシグナルソームまたはその成分とを接触させ、それにより基質をリン酸化する工程を包含する。
さらなる局面において、本発明は、IKKシグナルソーム活性を調節する因子をスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、以下の工程:(a)候補因子とIKKシグナルソームとを接触させる工程であって、ここで接触させる工程が、候補因子およびIKKシグナルソームを相互作用させるのに十分な条件下および時間で行われる工程;および(b)続いて、候補因子が、IKKシグナルソームの活性を調節する能力を測定する工程、を包含する。
関連する局面において、本発明はIKKシグナルソーム活性を調節するためのスクリーニングのための方法を提供し、この方法は、以下の工程:上記のように候補因子とIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチドとを接触させる工程であって、ここで接触させる工程が、候補因子およびポリペプチドを相互作用させるのに十分な条件下および時間で行われる工程;および(b)続いて、候補因子が、ポリペプチドがIκBタンパク質をリン酸化する能力を調節する能力を測定する工程、を包含する。
別の局面において、IKKシグナルソームの成分(例えば、IKK-1および/またはIKK-2)に結合する抗体が提供され、ここで成分はIκBαをリン酸化し得る。
さらなる局面において、本発明は、患者のNF-κB活性を調節するための方法を提供し、この方法は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合せてIκBキナーゼ活性を調節する因子を患者に投与する工程を包含する。IKKシグナルソーム活性化に関連する疾患に冒されている患者を処置するための方法がまた提供され、この方法は、薬学的に受容可能なキャリアと組み合せて、IκBキナーゼ活性を調節する治療的に有効な量の因子を患者に投与する工程を包含する。
なお別の局面において、サンプル中のIKKシグナルソーム活性を検出するための方法が提供され、この方法は、以下の工程:(a)抗体がIKKシグナルソームを免疫沈降させるのに十分な条件下および時間で、サンプルとIKKシグナルソームに結合する抗体とを接触させる工程;(b)免疫沈降された物質をサンプルから分離する工程;および(c)免疫沈降された物質がインビボで特異性を有するIκBタンパク質を特異的にリン酸化する能力を決定する工程、を包含する。1つのこのような実施態様において、免疫沈降された物質が残基S32および/またはS36でIκBαをリン酸化する能力が決定される。
関連した局面において、適切な緩衝液と組み合せてIKKシグナルソームに結合する抗体を含む、サンプル中のIKKシグナルソーム活性を検出するためのキットが提供される。
さらなる局面において、本発明は、NF-κBシグナル伝達カスケードにおける上流キナーゼを同定するための方法を提供し、この方法は、候補の上流キナーゼがIKKシグナルソーム、その成分、またはこのような成分の改変体をリン酸化する能力を評価する工程、を包含する。
IKKシグナルソームの成分を同定するための方法もまた提供され、この方法は、以下の工程:(a)IKKシグナルソームを単離する工程;(b)シグナルソームを成分に分離する工程、および(c)成分の部分配列を得る工程、を包含する。
なお別の局面において、IKKシグナルソームを生物学的サンプルから調製するための方法が提供され、この方法は、以下の工程:(a)生物学的サンプルを2つ以上の画分に分離する工程;および(b)画分中のIκBキナーゼ活性をモニターする工程、を包含する。
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して明らかになる。本明細書中に開示される全ての参考文献は、各々が別々に援用されるように、それらの全体が参考として本明細書により援用される。
【図面の簡単な説明】
図1A〜1Cは、イムノブロット分析の結果を示すオートラジオグラムである。図1Aは、刺激の際のIκBαの高分子量複合体への動員(recruitment)を示す。無刺激Jurkat細胞またはPMA(50ng/ml)およびPHA(1μg/ml)刺激(10分)Jurkat細胞いずれかの細胞質抽出物を、ゲル濾過カラムで分画した。IκBαをイムノブロット分析により可視化した。上段パネルは、無刺激細胞の溶出プロフィールを示し、そして下段パネルは、PMA/PHA刺激細胞の溶出プロフィールを示す。分子量標準を上端の矢印により示す。
図1Bは、刺激依存性IκBαキナーゼ活性が、高分子量複合体(Mr 500〜700kDa)としてクロマトグラフしたことを示す。TNFα刺激(20ng/ml、7分)HeLa S3細胞の全細胞抽出物をSuperdex 200ゲル濾過カラムで分画し、そしてIκBαキナーゼ活性についてモニターした。GST IκBα 1-54(野生型)基質のリン酸化を、右側の矢印により示す。分子量標準を上端の矢印により示す。
図1Cは、IKKシグナルソームと共に共同クロマトグラフするタンパク質の同定を示す。IKKシグナルソームを、Q Sepharose、Superdex 200、Mono QおよびPhenyl Superoseカラムでの連続分画により、TNFα刺激HeLa S3細胞の抽出物から部分精製した。IKKシグナルソーム活性のピークを含むPhenyl Superose画分を、各パネルのそれぞれの左側に示されるいくつかの異なる抗体を用いたウェスタンブロット分析にかけた。IKKシグナルソーム活性のレベルを、漸増数の(+)により上部陰影領域に示す。
図2は、IKKシグナルソーム調製のための代表的な精製手順を示すフローチャートである。
図3Aおよび3Bは、ゲル濾過後のHeLa S3細胞質抽出物中のIκBαレベルのウェスタンブロット分析の結果を示すオートラジオグラムである。抽出物を、TNFαに暴露した細胞(図3B)および暴露していない細胞(図3A)から調製した。
図4Aおよび4Bは、インビトロキナーゼアッセイの結果を示すオートラジオグラムであり、ここで上記の細胞抽出物がIκBαのN末端部分をリン酸化する能力を評価した。図4Aは、TNFαで処理しなかった細胞に由来する抽出物を使用した結果を示し、そして図4Bは、細胞をTNFαで処理した場合の結果を示す。
図5Aおよび5Bは、TNFα処理HeLa S3細胞の細胞質抽出物を用いたインビトロキナーゼアッセイの結果を示すオートラジオグラムであり、ここで抽出物は、Q Sepharose分画に供される。基質は短縮型IκBα(残基1〜54)であり、図5Aは、野生型IκBα配列を用いて得た結果を示し、そして図5Bは、32位および36位にスレオニン置換を含むポリペプチドを用いて得た結果を示す。
図6Aおよび6Bは、TNFα処理HeLa S3細胞の細胞質抽出物を用いたインビトロキナーゼアッセイの結果を示すオートラジオグラムであり、ここでは、抽出物を、Q Sepharose、Superdex 200、Mono Q Sepharose、およびPhenyl Superoseによるクロマトグラフィー分画に連続して供した。基質は短縮型IκBα(残基1〜54)であり、図6Aは、野生型IκBα配列を用いて得た結果を示し、そして図6Bは、32位および36位にスレオニン置換を含むポリペプチドを用いて得た結果を示す。
図7は、ゲル濾過後にTNFα処理HeLa S3細胞の細胞質抽出物を用いて行われたイムノキナーゼアッセイ(抗MKP-1抗体を使用)の結果を示すオートラジオグラムである。アッセイを、基質GST-IκBα1-54野生型(レーン1)およびGST-IκBα1-54 S32/36→T(レーン2)を用いて行った。IκBαおよびGST-IκBα1-54の位置を左に示す。
図8A〜8Cは、イムノブロット分析の結果を示すオートラジオグラムである。図8Aにおいて、上段パネルは、シグナルソーム活性誘導の時間経過を示す。示された時間TNFα(20ng/ml)で刺激したHeLa S3細胞の抽出物からの抗MKP-1免疫沈降物を、標準的な免疫複合体キナーゼアッセイにより、IKKシグナルソーム活性についてアッセイした。4μgのGST IκBα1-54 WT(野生型)またはGST IκBα1-54 S32/36→T変異体(S>T)のいずれかを基質として使用した。下段パネルにおいて、上段パネルに記載されるように調製したHeLa細胞抽出物を、IκBα分解についてウェスタンブロット分析により調べた。IκBαスーパーシフト(supershifting)リン酸化は、刺激の3および5分後に観察され得、続いてIκBαが消失した。
図8Bは、TPCKによりブロックされる、IKKシグナルソームの刺激依存性活性化を示す。TNFα(20ng/ml、レーン2および6)、IL-1(10ng/ml、レーン3)、またはPMA(50ng/ml、レーン4)で7分間刺激されたか、あるいはTNFα誘導前にTPCK(15μM、レーン7)で30分間前処理されたかのいずれかされた、HeLa S3細胞の細胞抽出物からの抗MKP-1免疫沈降物を、IKKシグナルソーム活性について調べた。GST IκBα1-54 WT(4μg)を基質として使用した。
図8Cは、RelA:IκBα複合体において、IKKシグナルソームが、IκBαホロタンパク質のセリン32および36を特異的にリン酸化する能力を示す。TNFα(20ng/ml、7分)で刺激したHeLa S3細胞の細胞抽出物からの抗MKP-1免疫沈降物を、IκBα WT(レーン3)またはIκBα S32/36→A変異体(レーン4)ホロタンパク質のいずれかを含むバキュロウイルス発現RelA:IκBα複合体をリン酸化する能力について調べた。使用した特異的基質を上部に示す。リン酸化された基質の位置を、パネルの左に矢印により示す。
図9Aは、ペプチドがIKKシグナルソームによりリン酸化されるイムノキナーゼアッセイの結果を示すオートラジオグラムである。上段パネルにおいて、リン酸化されていないか、またはSer-32もしくはSer-36のいずれかで化学的にリン酸化されたIκBα(21-41)ペプチドを、γ-[32P]-ATPの存在下でIKKシグナルソームと共にインキュベートした。2つにリン酸化されたペプチドP32,36は、IKKシグナルソームによりリン酸化されず、そして遊離のセリンおよびスレオニン残基を有する無関係なc-Fos(222-241)ホスホペプチドは、シグナルソームの基質として機能しなかった。
図9Bは、IκBα(21-41)ペプチドによるGST-IκBα(1-54)のリン酸化の阻害を示すグラフである。IκBα(21-41)ペプチドP32,36は、14μMのKi値を有する産物インヒビターとしてGST-IκBα(1-54)を阻害する。無関係なホスホペプチドc-Fos(222-241)はインヒビターとして機能しない。このアッセイは、沈降した32P標識タンパク質のみを検出し、32P標識ペプチドを検出しない。単一にリン酸化されたか、またはリン酸化されていないIκBα(21-41)ペプチドの添加は、GST-IκBα(1-54)のより少ないリン酸化をもたらし、そして見かけの阻害をもたらす。
図10は、刺激誘導性IkBキナーゼ複合体内のユビキチンレベルのウェスタンブロット分析の結果を示すオートラジオグラムである。レーン1は100ngユビキチンの検出を示し、レーン2は10ngユビキチンを示し、そしてレーン3はPhenyl Superose工程により精製された3.4μgのIKKシグナルソーム(10キナーゼ反応に十分な量)を示す。ユビキチンの位置を左の矢印により示す。
図11Aは、IKKシグナルソームの精製手順を示す。全細胞抽出物を、TNFα刺激(20ng/ml、7分誘導)したHeLa S3細胞(1.2g総タンパク質)から調製した。次いで、IKKシグナルソームを、抗MKP-1抗体を用いて抽出物から免疫沈降させ、3.5M尿素を含む緩衝液で洗浄し、そして過剰なMKP-1特異的ペプチドの存在下で4℃にて一晩溶出させた。次いで、溶出したIKKシグナルソームをMono Qカラムで分画し、IκBキナーゼ活性画分をプールし、濃縮し、そして調製SDS-PAGEに供した。個々のタンパク質バンドを切り出し、そしてペプチド配列決定のために提出された。
図11Bは、SDS-PAGEおよび標準的な銀染色プロトコル後の活性なIKKシグナルソーム活性を含むMono Q画分を示す写真である。IKKシグナルソーム活性のピーク活性は、レーン3、4、および5に示される。IKK-1およびIKK-2に対応するタンパク質バンドを、図の左側に示す。分子量標準(kDa)を図の左側に示す。
図12Aおよび12Bは、ナノエレクトロスプレー質量分析法によるIKK-2の配列決定間に得られた質量スペクトルである。図12Aは、図11BのIKK-2バンドのゲル内消化(in-gel digestion)から生じたトリプシン処理ペプチドの非分離混合物の質量スペクトルの一部を示す。図12Bは、m/z 645.2のピークのタンデム質量スペクトルを示す。
図13Aは、IKK-1およびIKK-2のアミノ酸配列を示す。記号:矢印、キナーゼドメインの境界;下線、ナノエレクトロスプレー質量分析法により同定されたペプチド配列;星印、ロイシンジッパーモチーフを含むロイシンを示す;太文字、IKK-1とIKK-2との間で保存されるアミノ酸同一性を示す;強調した囲み、ヘリックス-ループ-ヘリックスドメイン;ダッシュ、アラインメントを最適化するために挿入されたギャップ。
図13Bは、成人ヒト組織におけるIKK-2 mRNAのノーザンブロット分析の結果を示すオートラジオグラムである。組織の供給源を上端に示す。ヒトIKK-2のコード領域およびβ-アクチンcDNAにわたるプローブを使用し、そして左に示す。分子量標準を右に示す。
図14Aは、IKK-1およびIKK-2を用いたキナーゼアッセイの結果を示すオートラジオグラムである。IKK-1およびIKK-2を、ウサギ網状赤血球溶解物から免疫沈降させた。これは、IκBαおよびIκBβをリン酸化する。HAタグ化IKK-1(レーン1)またはFlagタグ化IKK-2(レーン2)のいずれかを、左に矢印により示されるように、ウサギ網状赤血球溶解物中で翻訳し、免疫沈降し、そしてGST IκBα 1-54 WTおよびGST IκBβ 1-44をリン酸化する能力について調べた。IKK-1(レーン1)は、より長い暴露時間でのみ同定されるIKK-2(レーン2)とは対照的に、著しい自己リン酸化を受ける。
図14Bおよび14Cは、IKK-1およびIKK-2のキナーゼ不活性変異体が、TNFα刺激HeLa細胞におけるRelA転座を阻害する能力を評価するアッセイの結果を示す顕微鏡写真である。HeLa細胞を、HAタグ化IKK-1 K44→M変異体発現ベクター(14B)またはFlagタグ化IKK-2 K44→M変異体発現ベクター(14C)のいずれかを用いて一過的にトランスフェクトした。トランスフェクション後36時間に、細胞を、図の右に示すように、刺激しなかったか(Unstim)、または30分間TNFα刺激(20ng/ml)した(TNFα)。次いで、細胞を、IKK-1 K44→MまたはIKK-2 K44→Mの発現を視覚化するために、それぞれ抗HA抗体または抗Flag抗体を用いる免疫蛍光染色に供した。RelAの刺激依存性転座を、抗RelA抗体を用いてモニターした。使用した抗体を図の上端に示す。トランスフェクトされたIKK変異体を、図の左に示す。
図15Aおよび15Bは、インビトロ翻訳後に免疫沈降されたIKK-1およびIKK-2のオートラジオグラムである。図15Aにおいて、HAタグ化IKK-1およびFlagタグ化IKK-2を、示すように、別々にまたは組み合せてのいずれかで、コムギ胚芽溶解物中でインビトロ翻訳させた。次いで、プログラムされた翻訳混合物を、示した抗体を用いた免疫沈降に供した。サンプルをSDS-PAGEで泳動し、そしてオートラジオグラフィーに供した。図15Bにおいて、HAタグ化IKK-1およびFlagタグ化IKK-2を、示すように、別々にまたは組み合せてのいずれかで、ウサギ網状赤血球溶解物中でインビトロ翻訳させた。次いで、プログラムされた翻訳混合物を、示した抗体を用いて免疫沈降に供した。サンプルをSDS-PAGEで泳動し、そしてオートラジオグラフィーに供した。結果は、IKK-1およびIKK-2が、ウサギ網状赤血球溶解物中で翻訳させる場合に共沈することを示す。
発明の詳細な説明
上記のように、本発明は、一般に、NF-κB活性化を導くシグナル伝達を調節する(すなわち、刺激または阻害する)ための組成物および方法に関する。特に、本発明は、後のユビキチン化およびインビボでの分解に重要な2つのN末端セリン残基におけるIκBαおよびIκBβの刺激依存性リン酸化が可能なIκBキナーゼ(kinase)(IKK)シグナルソーム(本明細書中で「刺激誘導性IκBキナーゼ複合体」または「IκBキナーゼ複合体」とも呼ばれる)を含む組成物に関する。このような刺激依存性リン酸化は、外因性補因子を添加することなく達成され得る。特に、IKKシグナルソームは、IκBα(配列番号1)を残基S32およびS36で特異的にリン酸化し、そしてIκBβ(配列番号2)を残基S19およびS23で特異的にリン酸化する。本発明はまた、このようなIKKシグナルソームの1つ以上の成分またはこのような成分の改変体を含む組成物を包含する。本明細書中で「IKKシグナルソームキナーゼ」、「IκBキナーゼ」、またはIKKと呼ばれる好ましい成分は、IKKシグナルソームに組込まれた場合、IκBαをS32およびS36でリン酸化し得るキナーゼである。特に好ましい成分は、IKK-1(配列番号10)およびIKK-2(配列番号9)である。
IKKシグナルソームおよび/またはIκBキナーゼは、一般に、基質(すなわち、IκB(例えば、IκBα)またはインビボでリン酸化される残基でリン酸化され得るその一部もしくは改変体)をリン酸化するために、およびIκBキナーゼ活性のモジュレーターを同定するために使用され得る。このようなモジュレーターならびにインビボおよび/またはインビトロでIκBαキナーゼ活性を調節するためにそれらを使用する方法もまた、本発明により包含される。一般に、IκBキナーゼ活性を阻害する組成物は、IκBリン酸化を阻害し得るか、またはIκBキナーゼおよび/またはIKKシグナルソームの活性化を阻害し得る。
IKKシグナルソームは、いくつかの特有な特性を有する。このような複合体は安定であり(すなわち、その成分が本明細書中に記載されるような精製後に会合したままである)、そして高分子量(ゲル濾過クロマトグラフィーにより決定される場合、約500〜700kD)を有する。図3(AおよびB)ならびに図4(AおよびB)に示されるように、IKKシグナルソームのIκBキナーゼ活性は、それが、TNFα(すなわち、TNFαでの細胞の処理は、増大したIκBキナーゼ活性およびIκB分解をもたらす)および/またはNF-κBの1つ以上の他のインデューサー(例えば、IL-1、LPS、TPA、UV照射、抗原、ウイルスタンパク質、およびストレス誘導因子)により刺激されるという点で「刺激誘導性」である。TNFαによる刺激の速度論は、インビボで見出されるものに対応する。IKKシグナルソームのIκBキナーゼ活性はまた、IκBαのS32およびS36に特異的である。図5(AおよびB)ならびに図6(AおよびB)に示されるように、IKKシグナルソームは、IκBαのN末端配列(GST-IκBα 1-54;配列番号3)を有するポリペプチドをリン酸化し得るが、このようなリン酸化は、32位および36位にスレオニン置換を含むIκBα誘導体において検出され得ない。さらに、IκBキナーゼ活性は、2つにリン酸化された(すなわち、S32およびS36でリン酸化された)IκBαペプチドにより強力に阻害されるが、単一のホスホスレオニンを含む無関係なc-fosホスホペプチドにより阻害されない。IKKシグナルソームのさらなる特徴は、外因性補因子を添加することなく、標準的なキナーゼ緩衝液中でインビトロで基質をリン酸化する能力である。遊離ユビキチンは、非常に長い暴露でさえ、IKKシグナルソームの調製物中で検出され得ない(図10を参照のこと)。従って、IKKシグナルソームは、Chenら、Cell 84:853-62,1996により記載されるユビキチン依存性IκBαキナーゼ活性とは異なる。
IKKシグナルソームは、MKP-1(MAPキナーゼホスファターゼ-1;Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA #SC-1102)に対して惹起された抗体により免疫沈降され得、そしてその活性は、インビトロIκBαキナーゼアッセイを用いて検出され得る。しかし、以下でさらに議論されるように、MKP-1は、IκBキナーゼ複合体の成分であると思われない。免疫沈降したIKKシグナルソームの基質特異性は維持される(すなわち、野生型GST-IκBα 1-54(配列番号3)およびGST-IκBβ 1-44(配列番号4)の強力なリン酸化、ならびにGST-IκBα 1-54(ここで、セリン32および36はスレオニンにより置換されている)(GST-IκBα S32/36→T;配列番号5)またはGST-IκBβ 1-44(ここで、セリン19および23はアラニンにより置換されている)(GST-IκBβ 1-44 S19/23→A;配列番号6)の実質的に検出可能でないリン酸化が存在する)。
IKKシグナルソームは、ヒトまたは他の細胞から、そして種々の組織および/または細胞型の任意のものから単離され得る。例えば、標準的なプロトコルを用いて、細胞質および/または核/膜抽出物は、30ng/mL TNFαでの7分間の誘導後にHeLa S3細胞から調製され得る。次いで、抽出物は、Q Sepharose、ゲル濾過(HiLoad 16/60 Superdex 200)、Mono Q、Phenyl Superose、ゲル濾過(Superdex 200 10/30)、およびMono Qを含む一連のクロマトグラフィー工程に供され得る。この代表的な精製手順は図2に図解され、そして高度に富化されたIKKシグナルソームをもたらす(例えば、図5Aおよび6Aと比較のこと)。
代替精製手順は、MKP-1抗体によるIKKシグナルソームの認識に基づく、2段階アフィニティ方法を使用する(図11A)。TNFα刺激HeLa細胞からの全細胞溶解物は、抗MKP-1抗体で免疫沈降され得る。IKKシグナルソームは、それに対して抗体が生成された特定のMKP-1ペプチドを用いて溶出され、そしてMono Qカラムでさらに分画され得る。
分画の間を通じて、インビトロキナーゼアッセイを使用して、IKKシグナルソームのIκBキナーゼ活性をモニターし得る。このようなアッセイにおいて、画分が適切な基質(例えば、IκBα(配列番号1)またはその誘導体もしくは改変体)をリン酸化する能力は、当業者に明らかな任意の種々の手段により評価される。例えば、基質は、32P γ-ATP、ホスファターゼインヒビター、およびプロテアーゼインヒビターを含むプロテインキナーゼ緩衝液中でクロマトグラフィー画分と組み合わされ得る。混合物は、30℃で30分間インキュベートされ得る。次いで、反応は、SDSサンプル緩衝液の添加により停止され、そして後のオートラジオグラフィーと共にSDS-PAGEを用いて分析され得る。適切な基質は、完全長IκBα(配列番号1)、IκBαのN末端54アミノ酸を含むポリペプチド、完全長IκBβ(配列番号2)、およびIκBβのN末端44アミノ酸を含むポリペプチドを含む。任意のこれらの基質は、N末端タグととともにまたはともなわずに使用され得る。1つの適切な基質は、IκBαの残基1-54およびN末端GSTタグを含むタンパク質(本明細書中でGST-IκBα 1-54;配列番号3と呼ばれる)である。IκBキナーゼ複合体の特異性を評価するために、32および36位にスレオニンまたはアラニン残基および/または他の修飾を含むIκBα変異体が使用され得る。
あるいは、IKKシグナルソームは、その成分(これもまた本発明に含まれる)から調製され得る。このような成分は、以下により詳細に記載されるように、周知の組換え技術を用いて生成され得る。IKKシグナルソームの成分は天然であり得るか、または天然成分の改変体であり得る(すなわち、成分改変体を含む複合体のIκBαを特異的にリン酸化する能力が、実質的に減少されなければ、成分配列は1つ以上の置換および/または修飾において天然配列とは異なり得る)。置換および/または修飾は、一般的に、天然タンパク質の重要でないおよび/または重要な領域において作製され得る。改変体は、一般的に、Lアミノ酸、Dアミノ酸、またはその任意の組み合せの残基を含み得る。アミノ酸は天然に生じ得るか、または少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基が分子内に存在するのであれば、非天然であり得;αおよびβアミノ酸が一般的に好ましい。改変体はまた、任意の広範な種々の側鎖修飾および/または置換(例えば、メチル化、ベンジル化、t-ブチル化、トシル化、アルコキシカルボニル化など)の存在または非存在下で、1つ以上の希なアミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリンもしくはヒドロキシリジン)、有機酸またはアミド、ならびに/あるいは一般的なアミノ酸の誘導体(例えば、エステル化された(例えば、ベンジル、メチル、もしくはエチルエステル)またはアミド化されたC末端カルボン酸および/あるいはN末端アミノ基の修飾(例えば、アセチル化またはアルコキシカルボニル化)を有するアミノ酸)を含み得る。成分改変体はまた、あるいは、他の修飾(ポリペプチド活性に対して最小の影響を有するアミノ酸の欠失または付加を含む)を含み得る。特に、改変体は、アミノおよび/またはカルボキシ末端にさらなるアミノ酸配列を含み得る。このような配列は、例えば、成分ポリペプチドの精製または検出を容易にするために使用され得る。一般的に、1つ以上の置換および/または修飾の効果は、本明細書中で提供される代表的なアッセイを用いて評価され得る。
成分は、一般的に、周知の組換え方法を用いて成分をコードするDNA配列から調製され得る。IKKシグナルソームの成分をコードするDNA配列は、例えば、適切な発現ライブラリー(すなわち、IKKシグナルソームを発現する細胞株または組織(例えば、脾臓、白血球、HeLa細胞、またはJurkat細胞)から調製されたライブラリー)をIKKシグナルソームに対してまたはその1つ以上の成分に対して惹起された抗体を用いてスクリーニングすることにより単離され得る。次いで、タンパク質成分は、周知の組換え技術を用いて、同定されたDNA配列の発現により調製され得る。
あるいは、成分の部分配列は、標準的な生化学的精製および微量配列決定技術を用いて得られ得る。例えば、上記のような精製された複合体は、SDS-PAGEゲル上で泳動され得、そして個々のバンドは単離され、そしてタンパク質微量配列決定に供され得る。次いで、成分をコードするDNA配列は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および当業者に周知の方法を用いて、適切なヒトcDNAライブラリーからの増幅により調製され得る。例えば、IKKシグナルソームを発現する細胞株または組織(例えば、HeLaもしくはJurkat細胞)から調製されたアダプター連結cDNAライブラリーは、縮重5’特異的正方向プライマーおよびアダプター特異的プライマーを用いてスクリーニングされ得る。縮重オリゴヌクレオチドはまた、当業者に周知の方法を用いてcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。さらに、既知のタンパク質は、特異的抗体を用いたウェスタンブロット分析を介して同定され得る。
IKKシグナルソームの成分はまた、当業者に公知の任意の種々のタンパク質-タンパク質相互作用アッセイを行うことにより同定され得る。例えば、既知の成分は、他の調節分子を同定するための標準的なツーハイブリッドスクリーニングにおいて「おとり(bait)」として使用され得、これはIKK-1、IKK-2、NFκB1、RelA、IκBβ、および/またはp70 S6キナーゼを含み得る(Kieranら、Cell 62:1007-1018,1900;Nolanら、Cell 64:961-69,1991;Thompsonら、Cell 80:573-82,1995;Groveら、Mol.Cell.Biol.11:5541-50,1991)。
IKKシグナルソームの特に好ましい成分はIκBキナーゼである。IκBキナーゼは、1つ以上のIκBタンパク質をリン酸化するその能力に基づいて同定され得、これは本明細書中に記載される代表的なキナーゼアッセイを用いて容易に決定され得る。一般的に、IκBキナーゼは、このようなアッセイを行う前に本明細書中に記載されるIKKシグナルソームに組込まれる。なぜなら、複合体会合しないIκBキナーゼは、複合体会合IκBキナーゼと同じリン酸化活性を示さないかもしれないからである。上記のように、IKKシグナルソーム内のIκBキナーゼは、特定の刺激に応答して、IκBαを残基S32およびS36で特異的にリン酸化し、そしてIκBβを残基19および23でリン酸化する。
上記のように、IKK-1およびIKK-2は、特に好ましいIκBキナーゼである。IKK-1およびIKK-2は、ピークIκBキナーゼ活性を含むMono Qカラムからの画分をプールし、そしてプールされた画分を調製用SDSゲル電気泳動に供することにより調製され得る。約85および約87kDaの2つの顕著なタンパク質バンドの強度(それぞれ、IKK-1およびIKK-2として図11Bにおいて銀染色により示される)は、IκBキナーゼ活性のプロフィールと相関する。IKK-1に対応する約85kDaバンドは、本発明の状況でCHUK(保存されたヘリックス-ループ-ヘリックス偏在キナーゼ;ConnelyおよびMarcu,Cell.Mol.Biol.Res.41:537-49,1995を参照のこと)として同定されている。約87kDaバンドは、IKK-2を含む。
配列分析は、IKK-1およびIKK-2が、タンパク質相互作用モチーフを含む関連したタンパク質セリンキナーゼ(51%同一性)であることを明らかにする(図13A)。IKK-1およびIKK-2の両方は、N末端にキナーゼドメイン、ならびにそれらのC末端領域にロイシンジッパーモチーフおよびヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフを含む。ノーザン分析は、IKK-2をコードするmRNAが、約4.5kbおよび6kbの転写物サイズでヒト組織に広く分布することを示す(図13B)。IKK-1およびIKK-2の配列はまた、それぞれ、配列番号7および8として提供される。
本発明の状況において、IKK-1またはIKK-2を含むウサギ網状赤血球溶解物免疫沈降物は、正しい基質特異性でIκBαおよびIκBβをリン酸化することが見出された(図14Aを参照のこと)。これらのキナーゼの変化したバージョンは、RelAのTNFα刺激HeLa細胞核への転座を妨げる。従って、IKK-1およびIKK-2は、NFκB活性化の著しく初期の段階を制御するようである。
IKKシグナルソームの他の成分もまた本発明により意図される。このような成分は、上流キナーゼ(例えば、MEKK-1(Leeら、Cell 88,:213-22,1997;Hiranoら、J.Biol.Chem.271:13234-38,1996)またはNIK(Malininら、Nature 385:540-44,1997));IKK-1:IKK-2相互作用を媒介するアダプタータンパク質;抗MKP-1と交差反応する成分;誘導性RelAキナーゼ;および/または多(multi)ユビキチン鎖をリン酸化IκBに移すE3ユビキチンリガーゼ(HershkoおよびCiechanover,Annu.Rev.Biochem.61:761-807,1992)を含み得るが、これらに限定されない。
IKKシグナルソームの成分は、一般的に、培養宿主細胞(安定な細胞株または一過的にトランスフェクトされた細胞であり得る)におけるDNA発現により成分をコードするDNAから調製され得る。好ましくは、宿主細胞は、細菌、酵母、バキュロウイルス感染昆虫細胞、または哺乳動物細胞である。組換えDNAは、当業者に周知の技術を用いて、宿主細胞内での使用に適した任意の発現ベクターにクローニングされ得る。発現ベクターは、エピトープをコードするDNAを含むかもしれないが、含む必要はなく、その結果組換えタンパク質は、NまたはC末端にエピトープを含む。エピトープ(例えば、グルタチオン-Sトランスフェラーゼタンパク質(GST)、HA(赤血球凝集素)タグ、FLAG、およびヒスチジンタグ)は、当業者に周知の技術を用いて付加され得る。
この様式で発現されるDNA配列は、上記のように、IKKシグナルソームの天然成分をコードし得るか、または天然成分の一部または改変体をコードし得る。改変体をコードするDNA分子は、一般的に、標準的な変異誘発技術(例えば、オリゴヌクレオチド指定部位特異的変異誘発)を用いて調製され得る。あるいは、DNA配列の断片はまた、短縮ポリペプチドの調製を可能にするために除去され得、そしてさらなる配列をコードするDNA(例えば「タグ」)は、DNA分子の5’または3’末端に付加され得る。
IKKシグナルソーム成分は、一般的に、IKKシグナルソームを再構成するために使用され得る。このような再構成は、適切な緩衝液中でIKKシグナルソーム成分を組み合せることによりインビトロで達成され得る。あるいは、再構成は、本明細書中に記載されるように、適切な宿主細胞(例えば、HeLaまたはHUVEC)において成分を発現させることによりインビボで達成され得る。
発現されたIKKシグナルソームまたはその成分は、実質的に純粋な形態で単離され得る。好ましくは、IKKシグナルソームまたは成分は、少なくとも80重量%の純度まで、より好ましくは少なくとも95重量%の純度まで、そして最も好ましくは少なくとも99重量%の純度まで単離される。一般的に、このような精製は、例えば、本明細書中に記載の代表的な精製法、または硫酸アンモニウム分画、SDS-PAGE電気泳動、およびアフィニティクロマトグラフィーの標準的技術を用いて達成され得る。本発明の方法における使用のためのIKKシグナルソームおよび成分は、天然であるか、精製されているか、または組換え体であり得る。
本発明の1つの局面において、IKKシグナルソームおよび/またはその1つ以上の成分を使用して調節因子を同定し得、これは抗体(例えば、モノクローナル)、ポリヌクレオチド、または他の薬物であり得、NF-κBカスケードを介したシグナル伝達を阻害または刺激する。調節は、NF-κB活性の抑制または増強を含む。調節はまた、IκBリン酸化の抑制もしくは増強、または活性化された(すなわち、リン酸化された)IKKシグナルソームが基質をリン酸化する能力の刺激もしくは阻害を含み得る。IκBリン酸化を阻害することによりNF-κB活性を阻害する組成物は、IκBαキナーゼ活性を阻害またはブロックする1つ以上の因子(例えば、IKKシグナルソームを中和する抗体、IκBキナーゼの基質結合ドメインまたはIκBのリン酸化モチーフを代表する競合ペプチド、IκBキナーゼの転写および/または翻訳を妨げるアンチセンスポリヌクレオチドまたはリボザイム、複合体に結合することによりIKKシグナルソームを不活化する分子、IκBに結合しそしてIKKシグナルソームによるリン酸化を妨げる分子、あるいはキナーゼから基質へのリン酸基の転移を妨げる分子)を含み得る。特定の実施態様で、調節因子は、IKK-1および/またはIKK-2の発現または活性を阻害または増強する。
一般的に、調節因子は、試験化合物とIKKシグナルソーム、IκBキナーゼ、またはIκBキナーゼをコードするポリヌクレオチドとをインビトロまたはインビボで組み合せ、そして例えば、本明細書中に記載の代表的なアッセイを用いて、IκBキナーゼ活性に対する試験化合物の効果を評価することにより同定され得る。キナーゼ活性の増大または減少は、放射性化合物(例えば、32P-ATP)を添加し、そしてIKKシグナルソームの適切な基質への放射能取り込みを観察し、それにより化合物がキナーゼ活性を阻害または刺激するか否かを決定することにより測定され得る。簡単には、候補因子は、IKKシグナルソーム、IκBキナーゼ、またはIκBキナーゼをコードするポリヌクレオチドと共に、キナーゼ反応に必要な化合物(本明細書中に記載される)およびIκB基質を含む反応混合物中に含まれ得る。一般的に、このようなアッセイにおける使用のための抗体または他の因子の適切な量は、約0.01μM〜約10μMの範囲である。次いで、IκBキナーゼ活性に対する因子の効果は、[32P]リン酸のIκB(例えば、IκBα)(またはその誘導体もしくは改変体)への取り込みを定量し、そして候補因子の添加なしでIκBキナーゼを用いて達成した取り込みレベルを比較することにより評価され得る。あるいは、IκBキナーゼの転写に対する候補調節因子の効果は、例えば、ノーザンブロット分析またはプロモーター/レポーターに基づく全細胞アッセイにより測定され得る。
あるいは、試験化合物がIKKシグナルソームと組み合せられるアッセイについて、異なるIKKシグナルソーム活性に対する効果がアッセイされ得る。例えば、IKKシグナルソームはまた、p65キナーゼ活性およびIKKホスファターゼ活性を示す。このような活性に対する試験化合物の効果を評価するためのアッセイは、周知の技術を用いて行われ得る。例えば、p65キナーゼ活性についてのアッセイは、一般的に、Zhongら、Cell 89:413-24,1997により記載されるように行われ得る。ホスファターゼ活性について、アッセイは、一般に、組換えリン酸化IκBキナーゼを基質として用いて、Sullivanら、J.Biomolecular Screening 2:19-24,1997により記載されるように行われ得る。
本発明の別の局面において、IKKシグナルソームまたはIκBキナーゼは、IκB(例えば、IκBα)(またはその誘導体もしくは改変体)をリン酸化して、それをユビキチン化および続く分解のための標的にするために使用され得る。IκBは、IKKシグナルソームまたはIκBキナーゼとIκBとを、適切な緩衝液中で30℃で30分間インキュベートすることによりインビトロでリン酸化され得る。一般的に、約0.01μg〜約9μgのIκBキナーゼ複合体は、約0.5μg〜約2μgのIκBをリン酸化するために十分である。次いで、リン酸化された基質は、GSH-sepharoseに結合し、そして洗浄することにより精製され得る。基質リン酸化の程度は、一般的に、[γ-32P]ATPを試験アリコートに添加し、そして本明細書中に記載されるように基質リン酸化レベルを評価することによりモニターされ得る。
IKKシグナルソーム、その成分、調節因子、ならびに/あるいは成分および/または調節因子をコードするポリヌクレオチドはまた、患者のNF-κB活性を調節するために使用され得る。このような調節は、任意の種々の機構(成分または調節因子を用いたIκBリン酸化の直接阻害または増強;あるいはIKKシグナルソームまたはその成分を用いた上流アクチベーター(例えば、NIKまたはMEK)の阻害を含むが、それらに限定されない)により起こり得る。本明細書中で使用する「患者」は、任意の哺乳動物(ヒトを含む)であり得、そしてIκBキナーゼ活性化およびNF-κBカスケードに関連する疾患に罹患していてもよく、または検出可能な疾患がなくてもよい。従って、処置は、現存する疾患の処置であり得るか、または予防であり得る。NF-κBカスケードに関連する疾患は、炎症性疾患、神経変性疾患、自己免疫疾患、ガン、およびウイルス感染を含む。
処置は、IKKシグナルソーム、その成分、および/またはIκBキナーゼ活性を調節する因子の投与を含み得る。患者への投与のために、1つ以上のこのような化合物は、一般的に、薬学的組成物として処方される。薬学的組成物は、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液、またはエマルジョンであり得、これは生理学的に受容可能なキャリア(すなわち、活性成分の活性を妨げない非毒性物質)をさらに含む。当業者に公知の任意の適切なキャリアは、本発明の薬学的組成物中に使用され得る。代表的なキャリアは、生理学的食塩水溶液、ゼラチン、水、アルコール、天然または合成油、糖類溶液、グリコール、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、またはこのような物質の組み合せを含む。任意に、薬学的組成物は、保存料、および/もしくは他の添加剤(例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および/もしくは不活性ガス)、ならびに/または他の活性成分をさらに含み得る。
あるいは、薬学的組成物は、生理学的に受容可能なキャリアと組み合せて、(成分および/または調節因子がインサイチュで生成されるように)IKKシグナルソームの成分および/または調節因子をコードするポリヌクレオチドを含み得る。このような薬学的組成物において、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の任意の種々の送達系(核酸、細菌およびウイルス発現系、ならびにコロイド分散系(リポソームを含む)を含む)内に存在し得る。適切な核酸発現系は、患者における発現のために必要なポリヌクレオチド配列(例えば、適切なプロモーターおよび終結シグナル)を含む。DNAはまた、例えば、Ulmerら、Science 259:1745-49,1993に記載されるように「裸」であり得る。
標的化された患者細胞に核酸配列を導入するために使用され得る種々のウイルスベクターは、ワクシニアまたは他のポックスウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、またはアデノウイルスを含むが、それらに限定されない。DNAをこのようなベクターに取り込むための技術は、当業者に周知である。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリレトロウイルス(モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)を含むが、これらに限定されない)の誘導体である。レトロウイルスベクターは、(形質導入された細胞の同定または選択を助けるために)選択マーカー遺伝子および/または(ベクター標的を特異的にするために)特定の標的細胞上のレセプターに対するリガンドをコードする遺伝子を、さらに転移または組込み得る。例えば、レトロウイルスベクターは、糖、糖脂質、またはタンパク質をコードするヌクレオチド配列を挿入することにより標的特異的にされ得る。標的化はまた、当業者に公知の方法により、抗体を用いて達成され得る。
ウイルスベクターは、代表的には、感染性ベクター粒子を産生するために補助を必要とする非病原性(欠損)の複製コンピテントウイルスである。この補助は、例えば、LTR内の調節配列制御下のレトロウイルスの全ての構造遺伝子をコードするプラスミドを含むが、カプセル化のためのRNA転写物を認識するパッケージング機構を可能にするヌクレオチド配列がない、ヘルパー細胞株を使用することにより提供され得る。このようなヘルパー細胞株は、Ψ2、PA317、およびPA12を含むが、それらに限定されない。このような細胞に導入されたレトロウイルスベクターはパッケージングされ、そしてベクタービリオンが産生され得る。次いで、この方法により産生されたベクタービリオンを使用して、組織細胞株(例えば、NIH 3T3細胞)を感染し、多量のキメラレトロウイルスビリオンを産生し得る。
別のポリヌクレオチドの標的化送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系は、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、および脂質に基づく系(水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む)を含む。インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとしての使用に好ましいコロイド系はリポソーム(すなわち、人工膜小胞)である。大型単層小胞(LUV)(サイズが0.2〜4.0μmの範囲である)は、大きな巨大分子を含む水性緩衝液の実質的な割合をカプセル化し得ることが示されている。RNA、DNA、およびインタクトなビリオンは水性内部内にカプセル化され、そして生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.6:77,1981)。哺乳動物細胞に加えて、リポソームは、植物、酵母、および細菌細胞におけるポリヌクレオチドの送達に使用されてきた。リポソームが効率的な遺伝子導入ビヒクルであるために、以下の特徴が存在すべきである:(1)高い効率での目的の遺伝子のカプセル化(一方、それらの生物学的活性を傷つけない);(2)非標的細胞と比較して標的細胞への優先的および実質的な結合;(3)高い効率での標的細胞質への小胞水性含有物の送達;および(4)遺伝情報の正確なおよび効果的な発現(Manninoら、Biotechniques 6:882,1988)。
リポソームの標的化は、解剖学的および力学的要因に基づいて分類され得る。解剖学的分類は感受性レベルに基づき、そして例えば、器官特異的、細胞特異的、および/または細胞小器官特異的であり得る。力学的標的化は、受動的または能動的であるか否かに基づいて区別され得る。受動的標的化は、リポソームが洞様毛細血管を含む器官における網内皮細胞系(RES)細胞に分布する自然の傾向を利用する。一方、能動的標的化は、リポソームを特異的リガンド(例えば、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、またはタンパク質)に結合させることによるか、または天然に存在する局在化部位以外の器官および細胞型への標的化を達成するためにリポソームの組成またはサイズを変えることによるリポソームの改変を含む。
投与の経路および頻度、ならびに用量は、患者間で変化する。一般的に、薬学的組成物は、静脈内的、腹腔内的、筋肉内的、皮下的、腔内的、または経皮的に投与され得る。1〜6用量が毎日投与され得る。適切な用量は、NF-κBカスケードに関連した疾患に罹患した患者の徴候において改善を示すに十分な量である。このような改善は、炎症応答(例えば、浮腫、移植拒絶、過敏)をモニターすることにより、または疾患に関連した臨床徴候における改善を通して検出され得る。投薬量は、一般的に、調節因子の性質および処置されるべき疾患に依存して変化し得る。代表的には、1用量に存在する調節因子の量、または1用量に存在するDNAによりインサイチュで生成された調節因子の量は、宿主1kgあたり約1μg〜約200mgの範囲である。適切な用量サイズは患者のサイズと共に変化するが、代表的には、10〜60kg動物について約10mL〜約500mLの範囲である。
別の局面において、本発明は、サンプル中の刺激誘導性IκBキナーゼ活性レベルを検出するための方法を提供する。IκBキナーゼ活性レベルは、一般的に、イムノキナーゼアッセイを介して決定され得、ここでIKKシグナルソームは、複合体に結合する抗体で最初に免疫沈降される。次いで、免疫沈降された物質は、本明細書中に記載のようにキナーゼアッセイに供される。基質特異性は、刺激誘導性IκBキナーゼ複合体の活性を他のキナーゼ活性から区別するために、本明細書中に記載のようにさらに評価され得る。
本発明はまた、サンプル中のIKKシグナルソームまたはその成分のレベルを検出するための方法を提供する。IKKシグナルソーム、IκBキナーゼ、またはIκBキナーゼをコードする核酸の量は、一般的に、IκBキナーゼ、またはその成分をコードするDNAもしくはRNAに結合する試薬を用いて決定され得る。成分をコードする核酸を検出するために、標準的なハイブリダイゼーションおよび/またはPCR技術が、核酸プローブまたはPCRプライマーを用いて使用され得る。適切なプローブおよびプライマーは、成分配列に基づいて当業者により設計され得る。IKKシグナルソームまたはその成分を検出するために、代表的には、試薬は抗体であり、これは以下に記載のように調製され得る。
サンプル中のタンパク質を検出するために、抗体を用いた当業者に公知の種々のアッセイフォーマットがある。例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。例えば、抗体は、それがタンパク質に結合し、そしてサンプルからタンパク質を取り出し得るように、固体支持体に固定化され得る。次いで、結合したタンパク質は、抗体/タンパク質複合体に結合し、そして検出可能なレポーター基を含む第2の抗体を用いて検出され得る。あるいは、競合アッセイが利用され得、ここで固定化抗体に結合するタンパク質は、レポーター基で標識され、そして抗体とサンプルとのインキュベーション後に固定化抗体に結合させられる。サンプル成分が標識タンパク質の抗体への結合を阻害する程度は、サンプル内のタンパク質レベルの指標である。これらの方法にける使用に適切なレポーター基は、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、基質、補因子、インヒビター、色素、放射性核種、発光基、蛍光基、およびビオチンを含むが、それらに限定されない。
本発明に包含される抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、そしてIKKシグナルソームおよび/または1つ以上のその成分(例えば、IKK-1および/またはIKK-2)に結合し得る。好ましい抗体は、上記のように、インビボおよびインビトロアッセイ内でIκBキナーゼ活性を阻害またはブロックする抗体である。他の好ましい抗体は、1つ以上のIκBタンパク質に結合する抗体である。上記のように、IκBキナーゼ活性に対して所望の効果を有する抗体および他の因子は、インビボでのIκB(例えば、IκBα)のリン酸化を調節するために、(予防的であるかまたは現存する疾患の処置のためであるかのいずれかで)患者に投与され得る。
抗体は、当業者に公知の任意の種々の技術により調製され得る(例えば、HarlowおよびLane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと)。1つのこのような技術では、目的のタンパク質を含む免疫原は、好ましくは、1回以上の追加抗原刺激免疫を組込む予め決定されたスケジュールに従って、適切な動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、およびヤギ)に最初に注射され、そして動物は周期的に採血される。次いで、タンパク質に特異的なポリクローナル抗体は、例えば、適切な固体支持体に結合したタンパク質を用いるアフィニティクロマトグラフィーによりこのような抗血清から精製され得る。
IKKシグナルソームまたはその成分に特異的なモノクローナル抗体は、例えば、KohlerおよびMilstein,Eur.J.Immunol.6:511-519,1976の技術およびそれに対する改良を用いて調製され得る。簡単には、これらの方法は、所望の特異性(すなわち目的の複合体および/または成分との反応性)を有する抗体を産生し得る不死細胞株の調製を含む。このような細胞株は、例えば、上記のように免疫された動物から得られた脾臓細胞から生成され得る。次いで、脾臓細胞は、例えば、ミエローマ細胞融合パートナー(好ましくは、免疫された動物と同系のもの)との融合により不死化される。例えば、脾臓細胞およびミエローマ細胞は、2、3分間非イオン性界面活性剤と組み合せられ、次いで、ハイブリッド細胞の増殖を支持するが、ミエローマ細胞の増殖を支持しない、選択培地上に低い密度でプレーティングされ得る。好ましい選択技術は、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択を使用する。十分な時間(通常、1〜2週間)の後、ハイブリッドコロニーが観察される。単一のコロニーが選択され、そしてポリペプチドに対する結合活性について試験される。高い反応性および特異性を有するハイブリドーマが好ましい。
モノクローナル抗体は、増殖ハイブリドーマコロニーの上清から単離され得る。さらに、種々の技術(例えば、ハイブリドーマ細胞株の適切な脊椎動物宿主(例えば、マウス)の腹膜腔への注射)が、収量を増強するために使用され得る。次いで、モノクローナル抗体は、腹水または血液から採集され得る。汚染物は、従来の技術(例えば、クロマトグラフィー、ゲル濾過、沈降、および抽出)により抗体から除去され得る。
本発明の関連した局面では、サンプル中のIKKシグナルソーム、IκBキナーゼ、IκBキナーゼをコードする核酸、および/またはIκBキナーゼ活性のレベルを検出するためのキットが提供される。任意の種々のサンプル(真核生物細胞、細菌、ウイルス、このような生物から調製された抽出物、および生存生物内で見出される体液を含む)が、このようなアッセイにおいて使用され得る。一般的に、本発明のキットは、アッセイにおいて使用される要素(例えば、試薬または緩衝液)を囲む1つ以上の容器を含む。
IKKシグナルソーム、IκBキナーゼ、またはIκBキナーゼをコードする核酸のレベルを検出するためのキットは、代表的には、目的の化合物に結合する試薬を含む。IκBキナーゼをコードする核酸を検出するために、試薬は、核酸プローブまたはPCRプライマーであり得る。IKKシグナルソームまたはIκBキナーゼを検出するために、試薬は、代表的には、抗体である。このようなキットはまた、試薬の直接的または間接的検出に適切なレポーター基を含む(すなわち、レポーター基は、試薬に共有結合し得るか、または第2の分子(例えば、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン、またはレシチン)(これ自体が試薬に結合し得る)に結合し得る)。適切なレポーター基は、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、基質、補因子、インヒビター、色素、放射性核種、発光基、蛍光基、およびビオチンを含むが、それらに限定されない。このようなレポーター基は、当業者に公知の標準的な方法を用いて、試薬のサンプル成分への結合を直接的または間接的に検出するために使用され得る。
なお別の局面において、IKKシグナルソームは、当業者に周知の方法を用いて、1つ以上のネイティブな上流キナーゼ(すなわち、インビボでIKKシグナルソームをリン酸化および活性化するキナーゼ)またはIκBキナーゼ活性に影響する他の調節分子(例えば、ユビキチン化に関与するホスファターゼまたは分子)を同定するために使用され得る。例えば、IKKシグナルソーム成分は、このような成分と相互作用するタンパク質を同定するために、酵母ツーハイブリッドシステムにおいて使用され得る。あるいは、発現ライブラリーは、IKKシグナルソームまたはその成分をリン酸化するcDNAについてスクリーニングされ得る。
以下の実施例は、例示のために提供され、そして限定のために提供されるのではない。
実施例
実施例1
活性化の間のNFκBのIKKシグナルソーム中への漸増
本実施例は、NFκBの、IκBキナーゼおよび他のシグナリングタンパク質を含むタンパク質複合体(IKKシグナルソーム)への漸増を例示する。
非刺激Jurkat細胞または刺激Jurkat細胞のいずれかの細胞質抽出物を、Superdex 200ゲル濾過カラムで分画し、そしてIκBαを免疫ブロット分析により視覚化した。Jurkat細胞を1.5×106細胞/mlの細胞密度まで増殖し、そして刺激しなかったか、またはPMA(50ng/ml)/PHA(1μg/ml)で10分間誘導したかのいずれかであった。細胞を採集し、そして2容量のHLB緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、2mM EDTA、1mM EGTA、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、300μM Na3VO4、1mMベンズアミジン、2mM PMSF、10μg/mlアプロトニン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlペプスタチン、1mM DTT)に懸濁し、0.1% NP40とし、そして15分間氷上に放置し、そしてガラスDounceホモジナイザーで溶解した。核を、Sorval SS34ローター中で10,000rpmで20分間ペレット化した。上清を、Ti50.1ローター中で40,000rpmで60分間さらに遠心分離した。全ての手順は4℃で行った。S-100画分を濃縮し、そしてGF緩衝液(20mM Tris HCl(pH8.0)、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、5%グリセロール、0.025%Brij35、1mMベンズアミジン、2mM PMSF、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、300μM Na3VO4、10μg/mlアプロトニン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlペプスタチン、1mM DTT)で平衡化した、Hi Load 16/60 Superdex 200プレップグレードゲル濾過カラムでクロマトグラフした。単離された画分を、抗IκBαまたは抗JNK抗体(Santa Cruz,Inc.,Santa Cruz,CA)のいずれかを用いてウェスタンブロット分析により分析した。
図1Aに示されるように、非刺激細胞からの細胞抽出物中のIκBαは、不活性NFκB-IκB複合体のクロマトグラフィー特性(BaeuerleおよびBaltimore,Genes Dev.3:1689-98,1989)と一致して、約300kDaの見かけの分子量で溶出した(レーン5〜7)。対照的に、リン酸化されたIκBα(刺激された期間が短すぎてタンパク質の完全な分解を可能にしなかった細胞に由来する)は、同じクロマトグラフィーカラムで約600kDaで移動した(レーン2、3)。移動におけるこの差異は、IκBに特異的であった。なぜなら、同じ画分の分析は、Jun N末端キナーゼJNK1およびJNK2が低い見かけの分子量で移動することを示し、そして刺激細胞と非刺激細胞との間のクロマトグラフィー挙動における差違を示さなかったからである。IκBのこのより大きなタンパク質複合体への刺激依存性漸増はリン酸化IκBの出現と一致し、これは複合体がIκBリン酸化を仲介する特異的IκBキナーゼを含んでいたことを示唆する。これらの結果は、NFκB活性化が、IκBキナーゼおよび他のシグナリングタンパク質を含むタンパク質複合体(IKKシグナルソーム)中への漸増を含むことを証明する。
実施例2
IKKシグナルソームの部分精製および同時精製成分の同定
本実施例は、IκBキナーゼを含む抽出物の分画を例示する。TNFα刺激細胞からの全細胞抽出物を、上記のように、ゲル濾過、イオン交換、および他のクロマトグラフィー方法により分画した。画分中のIκBキナーゼ活性を、GST-IκBα(1-54)(配列番号3)またはGST-IκBβ(1-44)(配列番号4)のリン酸化によりアッセイした。キナーゼアッセイを、20mM HEPES(pH7.7)、2mM MgCl2、2mM MnCl2、10μM ATP、1〜3μCi γ-[32P]-ATP、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、300μM Na3VO4、1mMベンズアミジン、2μM PMSF、10μg/mlアプロトニン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlペプスタチン、1mM DTT)中で30℃で30〜60分間、示された基質の存在下で行った。キナーゼ反応を、6×SDS-PAGEサンプル緩衝液の添加により止め、SDS-PAGE分析に供し、そしてオートラジオグラフィーを用いて視覚化した。上記のアッセイにおける使用のためのGST-IκB基質を、細菌発現GSTタンパク質のための標準的な技術を用いて調製した(Current Protocols in Molecular Biology 2:16.7.1-16.7.7,1996を参照のこと)。細菌細胞を溶解し、GSTタンパク質をGSTアガロースビーズへの結合を介して精製し、数回洗浄し、グルタチオンでビーズから溶出させ、キナーゼアッセイ緩衝液に対して透析し、そして-80℃で保存した。キナーゼの特異性を、セリン32、36がスレオニンに変異した変異体GST-IκBα(1-54)(配列番号5)、およびセリン19、23がアラニンに変異したGST-IκBβ(1-44)(配列番号6)を用いることにより確立した。
IκBキナーゼ活性は、非刺激細胞からの抽出物において観察されなかったが、一方5〜7分間のTNFαでの刺激は、キナーゼ活性の強力な誘導をもたらした。図1Bに示されるように、刺激細胞に由来するIκBキナーゼ活性は、NFκB活性化に必要とされる他の成分を潜在的に含む大きなタンパク質複合体におけるその存在と一致して、約500〜700kDaの広いピークとしてゲル濾過でクロマトグラフした。
NFκBの活性化は、MAPキナーゼ経路もまた刺激する条件下で起こることが知られている(Leeら、Cell 88:213-22,1997;Hiranoら、J.Biol.Chem.271:13234-38,1996)。従って、IKKシグナルソーム精製の種々の段階でMAPキナーゼおよびホスファターゼカスケードに関連するタンパク質を検出するために、さらなる実験を行った。RelAおよびIκBβに加えて、MEKK-1および約55および約40kDaの2つのチロシンリン酸化タンパク質は、IκBキナーゼ活性と共に同時精製した(図1C)。RelAおよびIκBβに対する抗体を、Santa Cruz Biotechnology,Inc.(Santa Cruz,CA)から得、そしてMEKK-1に対する抗体を、Upstate Biotechnology(Lake Placid,NY)から得た。他のシグナリング成分(PKCζ、PP1、およびPP2Aを含む)を、初期クロマトグラフィー段階においてIκBキナーゼと同じ画分中に検出したが、より後期のクロマトグラフィー段階で同時精製しなかった(データ示さず)。最も興味深いことには、MKP-1に対する抗体とのその交差反応により検出された約50kDaの同定されなかったタンパク質は、いくつかの精製段階を通してIκBキナーゼと共に同時精製した(図1C)。このタンパク質は、本物のMKP-1の分子量が38kDaであるので、MKP-1自身ではないようである。
実施例3
HeLa S3細胞抽出物からのIKKシグナルソームの調製
本実施例は、IKKシグナルソームの代替調製および複合体の特徴付けを例示する。
HeLa S3細胞を約0.6×106/mLの細胞密度まで増殖させ、10倍濃縮し、そして7分間TNFα(30ng/mL)で誘導した。次いで、ホスファターゼインヒビター(10mMフッ化ナトリウム、0.3mMオルトバナジウム酸ナトリウム、および20mMβ-グリセロホスフェート)を含む氷冷PBSの2容量を添加した。細胞をスピンダウンし、ホスファターゼインヒビターを含む氷冷PBSで1回洗浄し、そして急速凍結した。
次いで、標準的なプロトコルを使用して、細胞質および核抽出物を調製した。より詳細には、凍結したHeLa S3細胞ペレットを37℃で急速解凍し、2容量の氷冷低張溶解緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、2mM EDTA、1mM EGTA、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、0.3mM Na2VO4、5mMリン酸ナトリウム、1mMベンズアミジン、2mM PMSF、10μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、および1μg/mlペプスタチン)に再懸濁し、そして氷上で30分間放置し、インキュベートした。次いで、膨張した細胞を堅い乳棒で30回すりつぶし(dounced)、そして核を、4℃で15分間10,000rpmでペレット化した。上清を超遠心分離(4℃で1時間50,000rpm)を介して清澄して、最終細胞質抽出物を生成した。核/膜ペレットを、等容量の高塩抽出緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、0.5M NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、0.25% Triton X-100、20mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、0.3mM Na2VO4、1mMベンズアミジン、1mM PMSF、10μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、および1μg/mlペプスタチン)に再懸濁し、そして4℃で30分間回転させた。細胞破片を、4℃で30分間12,500rpmの遠心分離を介して除去し、そして得られた上清を、核/膜抽出物として保存した。
次いで、これらの抽出物を、独立して、Pharmacia FPLCシステム(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)を用いる一連のクロマトグラフィー工程(図2に示される)に供した:
(1)Q Sepharose(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)−このカラムを、0.0M NaCl Q緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、0.5mM EDTA、0.5mM EGTA、0.025% Brij 35、20mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、0.3mM Na2VO4、1mMベンズアミジン、1mM PMSF、2mM DTT、10μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、および1μg/mlペプスタチン)で始まり、そして0.5M NaCl Q緩衝液で終わる直線勾配で作動させた。IκBαキナーゼ活性は、0.25〜0.4M NaClで溶出した。
(2)ゲル濾過HiLoad 16/60 Superdex 200)(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)−このカラムを、ゲル濾過緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、150mM NaCl、1mM EDTA、1mM EGTA、0.05% Brij 35、20mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、0.3mM Na2VO4、1mMベンズアミジン、1mM PMSF、1mM DTT、10μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、および1μg/mlペプスタチン)で作動させた。ピークIκBαキナーゼ活性は40〜48mLで溶出し、これは731kD〜623kDの分子量に対応する。
(3)HR 5/5 MonoQ(Phamacia Biotech,Piscataway,NJ)−このカラムを、0.0M NaCl Q緩衝液で始まり、そして0.5M NaCl Q緩衝液(Phenyl Superoseカラムのためのサンプルを調製するためにBrij界面活性剤を含まない)で終わる線状勾配で作動させた。IκBαキナーゼ活性は、0.25〜0.4M NaClで溶出した。
(4)HR Phenyl Superose(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)−このカラムを、Phenyl Superose緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、0.25mM EDTA、1mM EGTA、20mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、0.1mM Na2VO4、1mMベンズアミジン、1mM PMSF、1mM DTT、10μg/mlアプロチニン、1μg/mlロイペプチン、および1μg/mlペプスタチン)中の1.0M〜0.0M硫酸アンモニウムの線上勾配で作動させた。IκBαキナーゼ活性は、0.35〜0.2M硫酸アンモニウムで溶出した。
(5)ゲル濾過Superdex 200 HR 10/30(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)−このカラムを、ゲル濾過緩衝液(上記(2)を参照のこと)で作動させた。活性ピークは8〜10mLで溶出し、これは720kD〜600kDの分子量に対応する。
(6)HR 5/5 MonoQ−このカラムを、0.05% Brij 35が全てのQ緩衝液に含まれる以外は、上記の(3)のように作動させた。
類似した基質特異性および分子量を有するIκBαキナーゼ活性を、細胞質および核/膜両方の抽出物から単離した。
分画の各工程で、IκBキナーゼ活性をインビトロアッセイを用いてモニターした。アッセイを、2μgの各IκB基質(以下に記載されるような、GST-IκBα 1-54(野生型)またはGST-IκBα(S32/36→T))と、3〜5μLのクロマトグラフィー画分および20μLのγ32P-ATPを含むキナーゼアッセイ緩衝液(20mM HEPES(pH7.4)、10mM MgCl2、10mM MnCl2、20mM NaCl、1M DTT、20mM PNPP、20μM ATP、20mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、0.1mM Na2VO4、1mMベンズアミジン、1mM PMSF)とを組み合せ、そして30℃で30分間インキュベートすることにより行った。キナーゼ反応を、8μLの6×SDS-PAGEサンプル緩衝液を添加することにより終結させた。全サンプルを、12%ポリアクリルアミドゲル上で泳動させ、乾燥させ、そしてオートラジオグラフィーに供した。
上記のアッセイにおける使用のためのIκB基質を、標準的な技術(Haskillら、Cell 65:1281-1289,1991を参照のこと)を用いて調製した。GST-IκBα 1-54(野生型)またはGST-IκBα(S32/36→T)基質を、細菌発現したGSTタンパク質のための標準的な技術を用いて調製した。細菌細胞を溶解し、GSTタンパク質をGSTアガロースビーズへの結合を介して精製し、数回洗浄し、グルタチオンでビーズから溶出させ、50mM NaClキナーゼアッセイ緩衝液に対して透析し、そして-80℃で保存した。
IκBキナーゼ活性のTNFα誘導性を、ゲル濾過後のHeLa S3細胞質抽出物中のIκBレベルのウェスタンブロット分析により最初に評価した。10%SDS PAGEで18μLのゲル濾過画分を泳動させ、標準的なブロッティング技術を用いてニトロセルロース膜(Hybond-ECL,Amersham Life Sciences,Arlington Height,IL)に移し、そして抗IκBα抗体(Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)でプローブすることにより、IκBαをアッセイした。TNFα誘導性を、TNFα(上記のように7分間30ng/mL)に暴露した細胞(図3B)と暴露しなかった(図3A)細胞におけるIκBαレベルを比較することにより評価した。
これらの細胞質抽出物のIκBキナーゼ活性を、上記のキナーゼアッセイを用いて評価した。図4Bに示されるように、TNFα処理細胞の抽出物はGST-IκBα 1-54(野生型)をリン酸化し、一方、未処理細胞抽出物は、著しく低いレベルのIκBαキナーゼ活性を示した(図4A)。
TNFα処理HeLa S3細胞の細胞質抽出物(Q Sepharose分画後)もまた、基質としてIκBαのN末端部分(残基1〜54)を用いてインビトロキナーゼアッセイに供した。野生型基質を用いると、GST-IκBα 1-54のリン酸化は容易に明らかであった(図5A)。対照的に、32および36位にスレオニン置換を含む基質はリン酸化されなかった(図5B)。
Q Sepharose、Superdex 200、MonoQ Sepharose、およびPhenyl Superoseによるクロマトグラフィー分画後、インビトロキナーゼアッセイは、IκBキナーゼ活性の実質的な精製を示した(図6A)。IκBキナーゼのさらなる精製は、サンプルを、分析Superdex 200およびMonoQ HR5/5に連続して通過させることにより達成し、銀染色により決定されるような8つの主要なタンパク質バンドをもたらした。以前のように、32および36位にスレオニン置換を含む基質の使用は、リン酸化を著しく低減した(図6B)。これらの結果は、外因性因子の添加なくIκBαの32および36位のセリン残基を特異的にリン酸化する、刺激誘導性IκBαキナーゼ複合体の精製を証明する。
実施例4
抗MKP-1抗体を用いたIKKシグナルソームの免疫沈降
本実施例は、刺激細胞から調製された細胞質抽出物に由来するIκBキナーゼ活性の免疫沈降を例示する。
A.HeLa細胞に由来するIκBキナーゼ複合体の免疫沈降
HeLa細胞をTNFα処理し(30μg/mL、7分)、そして実施例3に記載のようにゲル濾過により分画した。20μLのゲル濾過画分#6(約700kD分子量に対応する)および1μgのMKP-1に対して惹起された精製抗体(Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)を、400μLの氷冷1×プルダウン(Pull Down)緩衝液(20mM Tris(pH8.0)、250mM NaCl、0.05% NP-40、3mM EGTA、5mM EDTA、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、300μM Na3VO4、1mMベンズアミジン、2mM PMSF、10μg/mlアプロトニン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlペプスタチン、1mM DTT)に添加した。サンプルを4℃で1時間穏やかに回転し、この時に40μLのプロテインA-アガロースビーズ(50:50スラリー、Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)を添加した。次いで、サンプルを、4℃でさらに1.5時間回転させた。プロテインA-アガロースビーズを4℃で2分間3,000rpmでペレット化し、そしてペレットを氷冷プルダウン緩衝液(洗浄あたり800μL)で3回洗浄した。
ペレットを、基質として2μgのGST-IκBα1-54(野生型)または2μgのGST-IκBα1-54(S32/36→T)のいずれかを用いて、(上記のように)標準的なインビトロIκBαキナーゼアッセイに供した。
図7に示される結果は、MKP-1に対して指向された抗体は、刺激誘導性IκBαキナーゼ活性を免疫沈降することを証明する。このIκBαキナーゼ活性の基質特異性は、インビボで記載されたもの(GST-IκBα1-54(野生型)の強力なリン酸化およびGST-IκBα1-54(S32/36→T)を用いたリン酸化なし)に一致する。
B.免疫沈降されたIKKシグナルソームの特徴づけ
これらの研究のために、小規模の免疫沈降を、HeLa細胞の2つの150mmプレート(刺激細胞および非刺激細胞)を用いて行った。全細胞溶解物を、2×プルダウン緩衝液(40mM Tris(pH8.0)、500mM NaCl、0.1% NP-40、6mM EDTA、6mM EGTA、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、300μM Na3VO4、1mMベンズアミジン、2μM PMSF、10μg/mlアプロトニン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlペプスタチン、1mM DTT)で4倍に希釈し、そして2〜4μgの示された抗体を添加した。溶解物を1〜2時間氷上でインキュベートし、10μlのプロテインAまたはGビーズを添加し、そして溶解物を、4℃でさらに1時間穏やかに回転しながらインキュベートしたままにした。次いで、免疫沈降物を、2×プルダウン緩衝液で3回、ATPを含まないキナーゼ緩衝液で1回洗浄し、そして実施例2に記載のようにキナーゼアッセイに供した。免疫沈降物を、例えば、RIPA緩衝液(20mM Tris、250mM NaCl、1% NP-40、1% DOC、0.1% SDS、3mM EDTA、3mM EGTA、10mM β-グリセロホスフェート、10mM NaF、10mM PNPP、300μM Na3VO4、1mMベンズアミジン、2μM PMSF、10μg/mlアプロトニン、1μg/mlロイペプチン、1μg/mlペプスタチン、1mM DTT)でのより激しい洗浄、または3.5M尿素までの洗浄に供した。
試験された大きなパネルの抗体のうち、3つの抗MKP-1抗体のうちの1つは、HeLa細胞ならびに初代ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)由来の誘導性IκBキナーゼ活性を効率的に共同免疫沈降した。共同免疫沈降キナーゼ(IKKシグナルソームキナーゼ)は、非刺激HeLa細胞において不活性であったが、TNFα刺激の数分内で迅速に活性化された(図8A、上方のパネル)。IKKシグナルソームキナーゼは、セリン残基32および36がスレオニンに変異している変異体GST-IκBαタンパク質をリン酸化しなかった(図8A上方のパネル、偶数のレーン)。シグナルソームキナーゼの活性化は5分で最大であり、そしてその後低下し、時間経過は同じ条件下のIκBαリン酸化および分解の時間経過と一致した(図8A、下方のパネル)。期待されたように、シグナルソームIκBキナーゼはまた、IL-1またはPMAでの細胞の刺激により活性化され(図8B、レーン1〜4);さらに、その活性は、NFκB活性化の既知のインヒビターであるTPCKで処理された細胞において阻害された(図8B、レーン7)。さらに、IKKシグナルソームキナーゼは、生理学的RelA-IκBα複合体の状況において、完全長野生型IκBαを特異的にリン酸化したが、セリン32、36でのアラニン変異を有する変異体IκBαをリン酸化しなかった(図8C、レーン3、4)。同時に、これらの結果は、抗MKP-1抗体がIKKシグナルソームを共同免疫沈降したことを示す。シグナルソーム関連IκBキナーゼは、標準のIκBキナーゼの期待される全ての基準を満たし、そして検出可能なIκBαC末端キナーゼ活性を有さなかった。
IKKシグナルソームキナーゼの特異性は、速度論的分析により、ならびに種々のペプチドおよび組換えタンパク質基質に対するその活性を調べることによりさらに確立された(図9A)。これらの研究のために、合成ペプチド(Alpha Diagnostics International,San Antonio,TX)を以下の配列を用いて調製した:
IκBα(21-41):CKKERLLDDRHDSGLDSMKDEE(配列番号11)
IκBα(21-41)S/T変異体:CKKERLLDDRHDTGLDTMKDEE(配列番号12)
c-Fos(222-241):DLTGGPEVAT(P03)PESEEAFLP(配列番号13)
MKP-1:CPTNSALNYLKSPITTSPS(配列番号14)
cJun(56-70):CNSDLLTSPDVGLLK(配列番号15)
cJun(65-79):CVGLLKLASPELERL(配列番号16)
これらのペプチド(100μM)のリン酸化を、上記のようにキナーゼ反応を用いて行った。反応は、室温で1時間であり、そしてSDS-PAGEローディング緩衝液の添加により終結させた。16% Tris/トリシンゲル(Novax,San Diego,CA)または4〜20% Tris/グリシンゲル(Novax,San Diego,CA)を用いたSDS-PAGEを使用して、反応産物を特徴付けた。ゲルを洗浄し、真空乾燥し、そしてオートラジオグラフフィルムに暴露した。
免疫精製されたIKKシグナルソーム活性の阻害を、上記の反応条件を用いた不連続アッセイにおいてGST-IκBα(1-54)への32P取り込みにより測定した。阻害研究において使用されるGST-IκBα(1-54)およびATPの濃度は、それぞれ0.56μMおよび3μMであった。酵素反応(32μL)を、室温で1時間96ウェルアッセイプレートのウェル中で行い、そしてトリクロロ酢酸(TCA)(12.5% w/vの150μL/ウェル)の添加で終結させた。続く20分のTCAとのインキュベーションによって、タンパク質は沈降したが、溶液からはペプチドは沈降しなかった。TCA沈降物を、96ウェルガラスファイバープレート(Packard)上に収集し、そしてPackard Filermate 196を用いてウェルあたり約0.3mLのダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)(Sigma)で10回洗浄した。シンチレーション液(0.50mL、MicroScint,Packard)を各ウェルに添加し、そしてプレートを、Packard TopCountシンチレーションカウンターを用いて32Pについて分析した。10%未満のATPをアッセイ反応の経過において代謝回転させ、速度論データが初速度データを示すことを確実にした。P32、P36ペプチドの阻害定数を、Dixon分析(DixonおよびWebb,In Enzymes(Academic Press:New York,第3版,1979),350-51頁)により決定した。
キナーゼは、正常なミカエリス-メンテン速度論を示し、これは異なる非関連キナーゼの混合物でないことを示唆した。キナーゼは、IκBα(21-41)ペプチド(図9Aおよび9B)ならびに2つの異なるIκBα(21-41)ペプチド(各々、32または36位のいずれかに遊離セリン、および他の位置にホスホセリンを有する)(図9Aおよび9B、レーン2、3)をリン酸化し得た。期待されたように、両方の位置にホスホセリンを有するペプチドは、全くリン酸化されず(図9B、上方)、本発明者らの反応条件下でリン酸の有意なターンオーバーが存在しなかったことを示す。これらの実験は、セリン32および36の両方がIKKシグナルソームキナーゼのホスホアクセプター部位であることを示し、従って、それと他のキナーゼ(例えば、セリン32のみでIκBαをリン酸化するpp90Rsk(Schoutenら、EMBO J.16:3133-44,1997))とを区別する。
IKKシグナルソームキナーゼはIκBペプチドを効率的にリン酸化したが、遊離セリンおよび遊離スレオニンを含むc-Fosホスホペプチド(図9B、上方)、2つのc-Junペプチド(それぞれセリン63および73を含む)(図9A、上方のパネル、レーン4、5)、または4つのセリンおよび3つのスレオニンを含むMKP-1ペプチド(図9A、レーン6)をリン酸化しなかった。後者のペプチドは、JNK2の基質であった(図9A、下方のパネル、レーン4〜6)。セリン32および36がスレオニンにより置換されたIκBα(21-41)ペプチドは、野生型セリン含有ペプチドより少なくとも10倍少ないシグナルソームによりリン酸化され、これは、細胞におけるIκBα(S32/S36→T)のより遅いリン酸化および分解速度論(DiDonatoら、Mol.Cell.Biol.16:1295-1304,1996)、ならびに完全長IκBαおよびGST-IκBα(1-54)の両方における32、36位でのスレオニンを越えるセリンに対するキナーゼの優先(図8AおよびC)と一致した。さらに、キナーゼは、低い親和性にもかかわらず、GST-IκBβ(1-54)をリン酸化した。ほとんどの実験において、IκBキナーゼ活性はまた、強力なRelAキナーゼ活性(図8C、レーン3、4)に関連したが、いくつかの他の基質(ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、GST-ATF2(1-112)、GST-cJun(1-79)、GST-ERK3、GST-Elk(307-428)、GST-p38、およびIκBα(242-314)のC末端領域を含むGST融合タンパク質を含む)に対する活性は観察されなかった。
IKKシグナルソームキナーゼの特異性は、産物阻害に対するその感受性によりさらに強調された(図9B、下方)。キナーゼは、32および36位の両方にホスホセリンを有する二重にリン酸化されたIκBαペプチドにより強力に阻害されたが、単一のホスホスレオニンを含む非関連c-Fosホスホペプチドにより阻害されなかった。単一にリン酸化されたIκBαペプチド、およびリン酸化されなかったIκBαペプチドは、あまり効果的なインヒビターでなかった。
実施例5
精製IKKシグナルソームにおける遊離ユビキチンの非存在
本実施例は、実施例3におけるように調製されたIKKシグナルソームを用いた検出可能な遊離ユビキチンの非存在を例示する。標準的なウェスタンブロット手順を行った(Amersham Life Scienceプロトコル、Arlington Heights,IL)。100ngユビキチン、10ngユビキチン、および20μl精製IκBαキナーゼ複合体を、16%Tricine SDS-PAGE(Novex,San Diego,CA)に供し、Hybond ECLニトロセルロース膜(Amersham Life Science, Arlington Heights,IL)に移し、そしてユビキチンに対して指向された抗体(MAB1510;Chemicon,Temecula,CA)でプローブした。結果を図10に示す。遊離ユビキチンは、精製IκBαキナーゼ調製物中で検出され得なかった(非常に長い曝露でさえ)。本明細書中に記載の複合体は、IκBαキナーゼ活性を検出するために内因性ユビキチンの添加を必要としないし、遊離ユビキチンは、本発明の精製IκBαキナーゼ調製物における成分でもない。
実施例6
NFκBシグナルソームの精製ならびにIKK-1およびIKK-2の同定
本実施例は、MKP-1抗体によるその認識に基づくIKKシグナルソーム精製(図11Aに示される)およびIκBキナーゼ同定のための2段階アフィニティ方法を例示する。
大規模IKKシグナルソーム精製のために、HeLa S3細胞を20ng/ml TNFα(R&D Systems,Minneapolis,MN)で7分間刺激し、採集し、全細胞溶解物を調製し(1.2g総タンパク質)、そして約5mgの抗MKP-1抗体(Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)を添加し、そして穏やかに回転しながら4℃で2時間インキュベートした。続いて、50mlのプロテインAアガロース(Calbiochem,San Diego,CA)を添加し、そして混合物をさらに2時間インキュベートした。次いで、免疫沈降物を、4×プルダウン緩衝液、2×RIPA緩衝液、2×プルダウン緩衝液、1×3.5M 尿素-プルダウン緩衝液、および3×プルダウン緩衝液で連続的に洗浄した。次いで、免疫沈降物を10mlのプルダウン緩衝液の添加により厚いスラリーにし、25mgの特異的MKP-1ペプチド(これに対して抗体が作製された(Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA))を添加し、そして混合物を、穏やかに回転しながら4℃で一晩インキュベートした。次いで、溶出されたIKKシグナルソームを、50mM Q緩衝液で平衡化したPD 10脱塩カラム(Phamacia Biotech,Piscataway,NJ)で脱塩し、そしてMono Qカラム(Pharmacia Biotech,Piscataway,NJ)でクロマトグラフした。ピークIkBキナーゼ活性を含む画分をプールし、濃縮し、そして調製SDS-PAGEに供した。約85および約87kDaの2つの顕著なタンパク質バンド(それぞれ、IKK-1およびIKK-2として図11Bにおいて銀染色により示される)の強度は、IκBキナーゼ活性のプロフィールと相関した。
クマシー染色された約85および約87kDaバンドを切除し、トリプシンでインゲル消化し(Wilmら、Nature 37:466-69,1996)、そして上清の少ないアリコートを、Shevchenkoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14440-45,1996により記載されるように、高質量精度MALDIペプチド質量マッピングにより分析した。IKK-1バンドに由来するペプチド質量マップを、EMBL Heidelbergの建物において開発されたプログラムPeptideSearchを用いて包括的タンパク質配列データベースに対して検索した。8つの測定されたペプチド質量が、30ppm内でCHUK(保存性ヘリックス-ループ-ヘリックス偏在(ubiquitous)キナーゼ;ConnelyおよびMarcu,Cell.Mol.Biol.Res.41:537-49,1995)に由来する計算されたトリプシン処理ペプチド質量に適合し、このタンパク質を明瞭に同定した。IKK-2バンドのペプチド質量マップは明らかな同定をもたらさず、従ってサンプルは、ナノエレクトロスプレー質量分析(WilmおよびMann,Anal.Chem.68:1-8,1996)に供された。ゲル断片の抽出後に得られたペプチド混合物を、50nLのPOROS R2樹脂(PerSeptive Biosystems,Framingham,MA)を含む毛細管で微量精製した。洗浄後、ペプチドを、ナノエレクトロスプレー針へ5%ギ酸中の50%MeOH 0.5μlで段階溶出した。この針をAPIII質量分析計(Perkin-Elmer,Sciex,Toronto,Canada)に移し、そしてサンプルを約20分間スプレーした。この時間の間、質量スペクトルから明らかなペプチドイオンを選択し、そして順に単離し、そして質量分析計の衝突チャンバー内でフラグメント化した。タンデム質量スペクトルから、配列の短い範囲を、ペプチド配列タグに組み立て(MannおよびWilm,Anal.Chem.66:4390-99,1994)、そしてタンパク質配列データベースに対してか、またはPeptideSearchを用いるdbESTに対して検索した。
3つのペプチドがIKK-1配列に適合した。A1:IIDLGYAK(配列番号17);A2:VEVALSNIK(配列番号18);A3 SIQLDLER(配列番号19)。3つの他のペプチドがdbESTにおいてヒトEST配列に適合し;B1:ALELLPK(配列番号20)、B2:VIYTQLSK(配列番号21)、B6:LLLQAIQSFEK(配列番号22)、全てがESTクローンAA326115に適合する。配列LGTGGFGNVIR(配列番号23)を有するペプチドB4は、クローンR06591において見出された。完全長IKK-2配列が(以下に記載のように)得られた後、さらに2つのペプチドB3:ALDDILNLK(配列番号24)およびB5:DLKPENIVLQQGEQR(配列番号25)はこの配列において見出された。ペプチドA1は、IKK-1およびIKK-2両方の配列に存在する。同定された全てのESTクローンは、今まで未知であった機能のセリン/スレオニンキナーゼである、ヒトおよびマウスCHUKに明らかに相同であった。一旦IKK-2の完全なコード配列が(以下に記載のように)得られると、全ての配列決定されたペプチド(IKK-1に由来する2つのペプチドを除いて)は、このタンパク質に割り当てられ得る。
代表的な質量スペクトルを図12Aおよび12Bに示す。図12Aにおいて、Aと標識したピークは、フラグメント化、それに続くペプチド配列タグでのデータベース検索の際にIKK-1のトリプシン処理ペプチドに適合させられた。B2、B4、B6と標識したピークは、タンパク質データベースに見出されなかったが、その代わりヒトEST配列に適合した。ヒトESTクローンに適合するもう1つのペプチド(B1)はm/z392.2で観察された。そしてこれはパネルAに示さない。図12Bにおいて、連続シリーズのC末端含有フラグメント(Y”-イオン)を使用して、囲んだ文字により示されるようにペプチド配列タグを構築した。このタグの検索は、ヒトESTクローンAA326115中のペプチドLLLQALQSFEK(配列番号22)に対する適合をもたらした。もう2つのペプチドB1(ALELLPK;配列番号20)およびB2(VIYTQLSK;配列番号21)は、同じESTクローンの配列において見出された。
完全長ヒトIKK-1およびIKK-2 cDNAを、Genome Systems,Inc.(St.Lois,MO)から得た、ヒトESTクローンに基づいてクローニングした。正確なヌクレオチド配列を決定し、そしてこれを使用して、ヒトHeLa細胞cDNAライブラリー(Clontech,Inc.,Palo Alto,CA)からヒトIKK-2をPCRクローニングするためのプライマーを設計した。いくつかのIKK-2 cDNAクローンを単離し、そして配列決定した。完全長マウスIKK-1および部分的ヒトIKK-1ヌクレオチド配列は、包括的データベースにおいて利用可能であり、それぞれのヒトおよびマウスIKK-1 cDNAをPCRクローニングするためのプライマーを設計した。部分的ヒトIKK-1コード領域を使用して、標準的な手順を用いて完全長ヒトIKK-1 cDNAクローンを得るために、HeLa cDNAファージライブラリー(Stratagene,Inc.,La Jolla,CA)をプローブした。
これらのクローンの配列分析は、IKK-1およびIKK-2が、タンパク質相互作用モチーフを含む関連プロテインセリンキナーゼ(51%同一性)であることを明らかにした(図13A)。IKK-1およびIKK-2の両方は、N末端にキナーゼドメインならびにC末端領域にロイシンジッパーモチーフおよびヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフを含む(図13A)。ノーザン分析は、IKK-2をコードするmRNAが、約4.5kbおよび6kbの転写サイズでヒト組織に広く分布することを示した(図13B)。IKK-1(CHUK)転写物の分布は以前に報告されている(Connelyら、Cell.Mol.Biol.Res.41:537-49,1995)。IKK-1 mRNAおよびIKK-2 mRNAは、Jurkat、HeLa、およびHUVEC細胞株において構成的に発現され、そしてそれらのレベルは、NFκBインデューサー(例えば、TNFα(HeLa、HUVEC)または抗CD28+PMA(Jurkat))での刺激後8時間まで変えられない。
IKK-1およびIKK-2の特性をさらに特徴付けるために、組換えHAタグ化IKK-1およびFlagタグ化IKK-2は、別々または単独のいずれかで、コムギ胚芽またはウサギ網状赤血球溶解物(Promega,Madison,WI)においてインビトロで転写および翻訳された。反応を、製造者のプロトコルに記載のように正確に行った。次いで、エピトープタグ化IKK-1およびIKK-2は、適切な抗タグ抗体で免疫沈降した。これらのタンパク質を含む免疫沈降物は、正しい基質特異性でIκBαおよびIκBβをリン酸化した(すなわち、IKK-1およびIKK-2の免疫沈降物は、GST-IκBα(図14A、パネル3)およびGST-IκBβ(パネル4)の両方をリン酸化したが、T変異体タンパク質に対応するS32/36をリン酸化しなかった)。ウサギ網状赤血球溶解物において発現されたIKK-1もまた自己リン酸化が可能であったが(図14A、パネル2、レーン1)、一方IKK-1のキナーゼ不活性バージョン(ここで保存性リジン44がメチオニンに変異している)は自己リン酸化を示さなかった。対照的に、IKK-2は、溶解物中で等価なレベルで発現したが(レーン1)、非常に弱い自己リン酸化を示した(パネル2、レーン2)。
IKK-1およびIKK-2のキナーゼ不活性変異体(KからM)の発現は、免疫蛍光研究により実証されるように、両方がNFκB活性化において重要な役割を果たすことを示す(図14Bおよび14C)。これらの研究のために、HeLa細胞を、HAタグ化IKK-1またはFlagタグ化IKK-2のいずれかで一過的にトランスフェクトした。細胞を、メタノールで30分間固定した。免疫蛍光染色のために、細胞を、10%ロバ血清および0.25% Triton X-100を含むPBS中の1次抗体で2時間、続いて蛍光結合またはテキサスレッド結合2次抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories,Inc.,West Grove,PA;1:500希釈で使用)で室温で1時間、連続的にインキュベートした。カバーガラスをリンスし、そしてスコア付けおよび代表的な視野の写真撮影の前にVectashield(Vector Laboratories,Burlingame,CA)でカバーガラスを付けた。免疫蛍光染色に使用された1次抗体は、RelA(Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)、HAタグ(Babco,Berkeley,CA)、およびFlagタグ(IBI-Kodak,New Haven,CT)に対する抗体を含んだ。
IKK-1およびIKK-2のキナーゼ不活性バージョン(K44からM)は、非刺激HeLa細胞におけるRelAの亜細胞局在化に対して効果を有さなかった。なぜならRelAは、エピトープタグ化タンパク質を発現する細胞および隣接したトランスフェクトされていない細胞の両方において細胞質に残存したからである(図14Bおよび14C、上のパネル)。対照的に、両方の変異体タンパク質は、TNFα刺激細胞におけるRelA核転座を阻害した(図14Bおよび14C、下のパネル)。IKK-2変異体により媒介される阻害は著しくかつ完全であったが(図14C:同じ視野における、変異体IKK-2発現細胞とトランスフェクトされていない細胞を比較せよ)、明らかに等価なレベルで発現された変異体IKK-1タンパク質により媒介される阻害は、有意であったが不完全であった(図14B)。2つの変異体キナーゼの機能的活性における差異は、NFκB活性化におけるこれらの2つのキナーゼの異なる役割を示し得る。
IKK-1およびIKK-2におけるロイシンジッパーおよびヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフの存在は、それらがシグナルソームにおける他のタンパク質を機能的に相互作用したことを示唆した。明らかな可能性は、タンパク質が互いにヘテロまたはホモダイマーを形成したことであった。HAタグ化IKK-1およびFlagタグ化IKK-2は、単独または共にのいずれかで、ウサギ網状赤血球溶解物において翻訳され、次いで適切なエピトープタグに対する抗体で免疫沈降した。この実験は、IKK-2がIKK-1免疫沈降物に存在し(図15A、レーン3)そして逆もまた同じ(レーン4)ことを明らかに証明し、これはこれらのタンパク質が直接的に会合するか、またはウサギ網状赤血球溶解物に存在するアダプタータンパク質/IKKシグナルソーム成分を介して会合するかのいずれかを示唆した。しかし、対照的に、コムギ胚芽溶解物おいて同時翻訳されたIKK-1およびIKK-2の会合についての証拠はなく(図15B)、これはタンパク質が直接的にヘテロダイマーを形成しなかったことを示唆した。完全長IKK-1が、タンパク質相互作用モチーフをなお有したIKK-1の短縮バージョンと共にコムギ胚芽抽出物において共に翻訳された場合、会合の証拠もなく、IKK-1もまたこれらの条件下でホモダイマーを形成し得なかったことを示唆した。
IKK-1およびIKK-2キナーゼの両方は、それらが自己リン酸化し得たので、コムギ胚芽抽出物において発現された場合に活性であったが、それらはIκB基質のリン酸化に関して不活性であった。自己リン酸化および基質リン酸化の両方はウサギ網状赤血球溶解物においてインタクトであったので、より高次のタンパク質複合体へのIKK-1およびIKK-2の会合とIKK-1およびIKK-2免疫沈降物における特定のIκBキナーゼ活性の存在との間に直接的相関があると思われる。このより高次の複合体は、ほとんどIKKシグナルソーム自身であるらしい。確かに、抗MKP-1抗体でのウサギ網状赤血球溶解物の免疫沈降は、IKKシグナルソームに特徴的な低いレベルの活性IκBキナーゼの活性を下げた。
IKKシグナルソームが、IKK-1およびIKK-2に加えて複数のタンパク質成分を含むことは明らかである(図11B)。これらのうちのいくつかは、上流のキナーゼ(例えば、MEKK-1(Chenら、Cell 84:853-62,1996)またはNIK(Malininら、Nature 385:540-44,1997))であり得;他は、IKK-1:IKK-2相互作用を媒介するアダプタータンパク質であり得る。実際に、MEKK-1を、IKKシグナルソーム活性と共に同時精製し(図1C)、そして他の2つのシグナルソームタンパク質を機能的に同定している。抗MKP-1と交差反応性のタンパク質が、この抗体と同時沈降したIκBキナーゼ活性が2〜4M尿素での洗浄に安定であるので、IKKシグナルソームキナーゼの内因性成分である。さらに、IKK-1免疫沈降物、およびIKKシグナルソームを含むMKP-1免疫沈降物(図8C)の両方は、その活性化速度論が、同じ免疫沈降物におけるIκBキナーゼのものと類似している誘導性RelAキナーゼを含む。シグナルソーム複合体におけるタンパク質の別の強力な候補は、多ユビキチン(multiubiquitin)鎖をリン酸化IκBに転移するE3ユビキチンリガーゼである(Hershkoら、Annu.Rev.Biochem.61:761-807,1992)。
これらの結果は、IKK-1およびIKK-2が、IκBリン酸化およびNFκB活性化を媒介する、IKKシグナルソーム内で機能的キナーゼであることを示す。IKK-1およびIKK-2の適切な調節は、より高次のタンパク質複合体へのそれらの組み立てを必要とし得、より高次のタンパク質複合体は、アダプタータンパク質、完全なIKKシグナルソーム、またはIKK-1およびIKK-2の両方を含むいくつかの中間亜複合体により促進にされるヘテロダイマーであり得る。
前述から、本発明の特定の実施態様が、例示の目的のために本明細書中で記載されたが、種々の改変が、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得ることが認識される。
配列表
(1)一般的情報:
(i)出願人:マーキュリオ、フランク
ズー、ヘンギー
バルボサ、ミゲル
リー、ジャン
マーレイ、ブライオン ダブリュ
(ii)発明の名称:刺激誘導性I(κ)Bキナーゼ[IKK]シグナルソーム
(iii)配列数:25
(iv)連絡住所:
(A)名称:シード アンド ベリー エルエルピー
(B)番地:フィフス アベニュー 701、コロンビア センター 6300
(C)市:シアトル
(D)州:ワシントン
(E)国:アメリカ合衆国
(F)郵便番号:98104
(v)コンピューター読み出し形態:
(A)媒体型:フロッピー ディスク
(B)コンピューター:IBM PC互換用
(C)OS:PC-DOS/MS-DOS
(D)ソフトウェア:パテントイン リリース#1.0,バージョン#1.30
(vi)現在の出願データ:
(A)出願番号:us
(B)出願日:1997年8月12日
(C)分類:
(viii)代理人/事務所情報:
(A)氏名:マキ,デビッド ジェイ.
(B)登録番号:31,392
(C)照会/記録番号:860098.413c1
(ix)電話回線情報:
(A)電話:(206)622-4900
(B)テレファックス:(206)682-6031
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(xi)配列:配列番号1:
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(2)配列番号4の情報:
(i)配列の特徴:
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(xi)配列:配列番号4:
(2)配列番号5の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:282アミノ酸
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(xi)配列:配列番号5:
(2)配列番号6の情報:
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(2)配列番号7の情報:
(i)配列の特徴:
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(xi)配列:配列番号7:
(2)配列番号8の情報:
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(xi)配列:配列番号8:
(2)配列番号9の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号10の情報:
(i)配列の特徴:
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(xi)配列:配列番号10:
(2)配列番号11の情報:
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(xi)配列:配列番号11:
(2)配列番号12の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号13の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:19アミノ酸
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(ix)配列の特徴:
(A)特徴を表す記号:改変部位
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(D)他の情報:/記載=「Xaaはトレオニンのリン酸エステルである。」
(xi)配列:配列番号13:
(2)配列番号14の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号16の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号17の情報:
(i)配列の特徴:
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(xi)配列:配列番号17:
(2)配列番号18の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号19の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:8アミノ酸
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(xi)配列:配列番号19:
(2)配列番号20の情報:
(i)配列の特徴:
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(2)配列番号21の情報:
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(2)配列番号22の情報:
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(2)配列番号23の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:11アミノ酸
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(2)配列番号24の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:9アミノ酸
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(2)配列番号25の情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:15アミノ酸
(B)型:アミノ酸
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(D)トポロジー:直鎖状
(xi)配列:配列番号25:
Claims (15)
- 外因性補因子の添加なく、IκBαを残基S32およびS36で特異的にリン酸化し得るIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチドであって、ここで該成分は、配列番号9に示される配列からなる、ポリペプチド。
- 前記ポリペプチドがヒト組織または細胞株に由来する、請求項1に記載のIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチド。
- 請求項1に記載のポリペプチドをコードする単離されたDNA分子。
- 請求項3に記載のDNA分子を含む組換え発現ベクターであって、該DNA分子は、配列番号8の配列からなる、組換え発現ベクター。
- 請求項4に記載の発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞。
- 請求項5に記載の宿主細胞であって、ここで該宿主細胞は、細菌、酵母、バキュロウイルス感染昆虫細胞、および哺乳動物細胞からなる群より選択される、宿主細胞。
- 請求項1に記載のIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチドを調製するための方法であって、適切な緩衝液中に該IKKシグナルソームの成分を組み合せる工程を包含する、方法。
- IKKシグナルソームの基質をリン酸化するための方法であって、基質と請求項1に記載のIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチドとを接触させ、それにより該基質をリン酸化する工程を包含する、方法。
- 前記基質がIκBαまたはその改変体である、請求項8に記載の方法。
- IKKシグナルソーム活性を調節する因子をスクリーニングするための方法であって、以下の工程:
(a)候補因子と請求項1に記載のIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチドとを接触させる工程であって、ここで該シグナルソームは、IκBαをリン酸化するためにユビキチンを必要とせず、接触させる工程が、該候補因子および該IKKシグナルソームを相互作用させるのに十分な条件下および時間で行われる工程;および
(b)続いて、該候補因子が該IKKシグナルソーム活性を調節する能力を測定する工程、
を包含する、方法。 - 前記調節されるIKKシグナルソーム活性が、IκBキナーゼ活性、p65キナーゼ活性、およびIKKホスファターゼ活性からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
- IκBポリペプチドのリン酸化を調節する因子をスクリーニングするための方法であって、以下の工程:
(a)候補因子と請求項1に記載のIKKシグナルソームの成分を含むポリペプチドとを接触させる工程であって、ここで接触させる工程が、該候補因子および該ポリペプチドを相互作用させるのに十分な条件下および時間で行われる工程;および
(b)続いて、該候補因子が、該ポリペプチドがIκBポリペプチドをリン酸化する能力を調節する能力を測定する工程、
を包含する、方法。 - サンプル中のIKKシグナルソーム活性を検出するための方法であって、以下の工程:
(a)抗体がIKKシグナルソームを免疫沈降させるのに十分な条件下および時間で、サンプルとIKK-2(配列番号9)に結合する抗体とを接触させる工程;
(b)免疫沈降された物質を該サンプルから分離する工程;および
(c)該免疫沈降された物質がインビボで特異性を有するIκBタンパク質をリン酸化する能力を決定する工程、
を包含する、方法。 - 前記免疫沈降された物質がIκBαを残基S32およびS36でリン酸化する、請求項13に記載の方法。
- 適切な緩衝液と組み合せてIKK-2(配列番号9)に結合する抗体を含む、サンプル中のIKKシグナルソーム活性を検出するためのキット。
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