JP4692777B2 - Dc−dcコンバータ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば発光ダイオード、有機EL等の発光素子を電源電圧変動の大きい環境下で点灯させるのに好適なDC−DCコンバータに関する。
例えば、発光ダイオード(以下、LEDと呼ぶ。)、有機EL(electroluminescence)素子等の発光素子の発光光量は駆動電流にほぼ比例する。そのため、これら発光素子の点灯には定電流駆動回路が用いられる。図6は負荷であるLED50を定電流で点灯させるエミッタフォロワ型の定電流駆動回路の例である(特許文献1参照)。図中の定電圧ダイオードZD50の電圧をVZ、トランジスタQ50のベース−エミッタ間電圧をVBEとすると、LED50には (VZ−VBE)/R50の電流が流れる。この電流値は電源電圧Vの値が変動しても殆ど変化しな い。この定電流駆動回路は回路構成が簡単であり、電源電圧Vが変動しても安定した定電流をLED50に流すことができる。しかし、トランジスタQ50を活性領域で動作させるためトランジスタQ50には消費電力定格の大きいトランジスタを使用しなければならない。加えて抵抗R50、定電圧ダイオードZD50における消費電力も無視できない。
図7はDC−DCコンバータ方式により電源電圧VDCを負荷であるLED51の順方向電圧VF より僅かに高い定電圧に降圧させ、その定電圧をLED51と抵抗RCの直列回路に供給してLE D51に定電流を流す回路である(特許文献1参照)。この回路はスイッチング方式を採用しているため回路の電力損失が少ない利点がある。しかし、この回路はスイッチングレギュレータ50、スイッチングデューティ比変更部51、オシレータ52、コンパレータ53、基準電圧54等の多くの回路で構成されるため部品点数が非常に多くなる欠点を有する。
特開2005−29019号公報
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その課題は、部品点数の少ない簡単な回路構成でもってLED、有機EL等の発光素子を電源電圧変動の大きい環境下で点灯させるのに適した自励式のDC−DCコンバータを提供することにある。
前記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、直流電源線(5)と接地線(6)との間に電源線側から負荷(RL)、チョークコイル(L1)と、第1、第2の端子間に電流経路が形成され制御端子に第1の端子の電圧に対応した所定電圧が印加された時に第1、第2の端子間が導通状態となるトランジスタである第1のトランジスタ(Q1)を第2の端子を前記チョークコイル(L1)側に、第1の端子を接地線側にして直列接続し、前記チョークコイル(L1)と第1のトランジスタ(Q1)の接続点と前記直流電源線(5)との間に整流素子(D1)を逆接続した自励式DC−DCコンバータであって、前記直流電源線(5)と負荷(RL)の間に電流検出用抵抗(Rs)を挿入し、第1の端子を前記直流電源線(5)に、制御端子を前記電流検出用抵抗(Rs)と負荷(RL)の接続点に接続した第2のトランジスタ(Q2)を具備し、前記第2のトランジスタ(Q2)の第2の端子に一端を接続し、前記負荷(RL)とチョークコイル(L1)の接続点に他端を接続する第1の抵抗(R1)を具備し、第1の端子を前記直流電源線(5)に、制御端子を前記第2のトランジスタ(Q2)の第2の端子に、第2の端子を前記第1のトランジスタ(Q1)の制御端子に接続した第3のトランジスタ(Q3)を具備し、第3のトランジスタ(Q3)の制御端子と前記接地線(6)との間に第2の抵抗(R2)を具備し、前記第3のトランジスタ(Q3)の第2の端子と前記接地線(6)との間に第3の抵抗(R3)を具備したことを特徴とするDC−DCコンバータである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のDC−DCコンバータにおいて、前記負荷(RL)を前記直流電源線(5)と、前記第1の抵抗(R1)とチョークコイル(L1)の接続点との間に接続換えし、前記負荷(RL)があった位置に第4の抵抗(R4)を具備したことを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1および2に記載のDC−DCコンバータにおいて、前記第3のトランジスタ(Q3)の第1の端子と前記直流電源線(5)との間に追加接続した第5の抵抗(R5)を具備し、前記直流電源線(5)に第1の端子を、前記第3のトランジスタ(Q3)の第1の端子に制御端子を、前記第3のトランジスタ(Q3)の制御端子に第2の端子をそれぞれ接続して追加した第4のトランジスタ(Q4)を具備したことを特徴とするDC−DCコンバータである。
請求項1に記載のDC−DCコンバータは、従来のDC−DCコンバータのように多数の部品を必要とする発振回路、基準電圧生成回路、誤差増幅回路、コンパレータ等を構成に採り入れておらず、僅かな個数の部品での構成を可能とし、また、直流電源電圧が変動した場合でも負荷を定電流駆動できる利点を有する。さらに、汎用部品での構成が可能であることと、部品点数が少ないことから安価に製作できる利点を有する。
請求項2に記載のDC−DCコンバータは、従来のDC−DCコンバータのように多数の部品を必要とする発振回路、基準電圧生成回路、誤差増幅回路、コンパレータ等を構成に採り入れておらず、僅かな個数の部品での構成を可能とし、また、直流電源電圧が変動した場合でも負荷を定電圧駆動できる利点を有する。さらに、汎用部品での構成が可能であることと、部品点数が少ないことから安価に製作できる利点を有する。
請求項3に記載のDC−DCコンバータは請求項1および2に記載のDC−DCコンバータと同じ利点を有することに加え、直流電源電圧が更に大きく変動した場合でも負荷を安定した定電流または定電圧で駆動できる利点を有する。
以下、本発明に係るDC−DCコンバータを実施形態に分けて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るDC−DCコンバータ1の構成図である。本回路は直流電源で動作する回路であって、正の直流電圧VDCがプラス側直流電源線5に供給され、その基準電位が接地線6に与えられる。プラス側直流電源線5と接地線6との間には、プラス側直流電源線5から順に電流検出用抵抗Rs、負荷RL、チョークコイルL1、NPNトランジスタ(第1のトランジスタに相当)Q1が直列に接続されている。NPNトランジスタはコレクタ(第2の端子に相当)をチョークコイルL1側に、エミッタ(第1の端子に相当)を接地線6側にして接続されている。電流検出用抵抗Rs、負荷RL、チョークコイルL1の直列回路部分には、整流素子D1が逆並列に接続されている。整流素子D1には順方向電圧が低くてスイッチング速度の速いショットキーバリアダイオードが用いてある。
プラス側直流電源線5と、負荷RLとチョークコイルL1の相互接続点との間には第1のPNPトランジスタ(第2のトランジスタに相当)Q2と第1の抵抗R1とが直列に接続してある。第1のPNPトランジスタQ2のエミッタ(第1の端子に相当)はプラス側直流電源線5に、ベース (制御端子に相当)は電流検出用抵抗Rsと負荷RLの相互接続点に、コレクタ(第2の端子に相当)は第1の抵抗R1に接続してある。
更に、第2のPNPトランジスタ(第3のトランジスタに相当)Q3が、そのエミッタ(第1の端子に相当)をプラス側直流電源線5に、コレクタ(第2の端子に相当)をNPNトランジスタQ1のベースに、ベース(制御端子に相当)を第1のPNPトランジスタQ2のコレクタにそれぞれ接続して配置してある。第2のPNPトランジスタQ3のベースと接地線6との間には第2の抵抗R2が、NPNトランジスタQ1のベース(制御端子に相当)と接地線6との間には第3の抵抗R3がそれぞれ接続してある。
次に、このように構成された本実施形態のDC−DCコンバータ1の動作について図2に示した波形図を参照して説明する。このDC−DCコンバータ1の構成要素の内、第1、第2のPNPトランジスタQ2、Q3、第1〜第3の抵抗R1〜R3は、増幅率の高い電流出力型反転増幅回路 (コンパレータ回路)を構成している。第1のPNPトランジスタQ2の入力電圧をVINとする。入力電圧VINは、第1のPNPトランジスタQ2のベース電位を基準としたエミッタ電圧を指すものとする。
時刻t0においてプラス側直流電源線5に直流電圧VDCが印加されたとする(図2の(1)参照)。時刻t0直後には、第1のPNPトランジスタQ2はまだ非道通状態にあるためその出力コレクタ電流はゼロである。第2のPNPトランジスタQ3には、プラス側直流電源線5よりそのベース、第2の抵抗R2を通って接地線6に至る経路でベース電流IB3が流れる。ベース電流IB3が流れることにより第2のPNPトランジスタQ3はコレクタ電流IC3を出力する。コレクタ電流 IC3は、最初は第3の抵抗R3に流れるが、その両端電圧がNPNトランジスタQ1のベース− エミッタ接合の順方向電圧近くに達するとNPNトランジスタQ1のベースにも流れ込んでNPNトランジスタQ1を導通させる。NPNトランジスタQ1のベース電流をIB1とする。その電流 波形は図2の(4 )に示すように時刻t0直後に一定値に達する。
NPNトランジスタQ1が導通すると、プラス側直流電源線5より電流検出用抵抗Rs、負荷RL、チョークコイルL1、NPNトランジスタQ1を通って接地線6に流れる電流経路ができ、負荷RLに負荷電流ILが流れ始める。ここで、負荷RLは、抵抗又は図中に示すようなLEDであ るとする。電流経路にはチョークコイルL1が含まれているため、負荷電流ILは図2の(2)に 示すように漸増カーブで上昇する。
負荷電流ILの漸増により、電流検出用抵抗Rsの両端電圧であり第1のPNPトランジスタQ 2の入力電圧である電圧VINも図2の(3)に示すように漸増カーブで上昇する。入力電圧VINが第1のPNPトランジスタQ2のベース−エミッタ接合の順方向電圧VF近くにまで上昇すると、 第1のPNPトランジスタQ2にベース電流が流れ始める。これにより第1のPNPトランジスタQ2は活性領域に入ってコレクタ電流が流れ始める。そのため第1のPNPトランジスタQ2のコレクタ電流IC2は、第2のPNPトランジスタQ3と第2の抵抗R2の相互接続点に向けて流れる。
第1の抵抗R1と第2の抵抗R2には、第2のPNPトランジスタQ3のベース電流IB3と第 1のPNPトランジスタQ2のコレクタ電流IC2の双方が流れる。第1のPNPトランジスタQ 2がコレクタ電流IC2を供給し始めると第2のPNPトランジスタQ3のベース電位は上昇し、 そのコレクタ電流IC3は減少を始める。それに伴いNPNトランジスタQ1のベース電流IB1も減少を始める(図2、時刻t1付近)。第1のPNPトランジスタQ2のコレクタ電流IC2がゼ ロのときの第2のPNPトランジスタQ3のコレクタ電流IC3は大きな値になるようにしてある 。そのためコレクタ電流IC3が少し減少しても、NPNトランジスタQ1には大きなコレクタ電 流IC1を吸引できるベース電流IB1が供給され続ける。
従って、その間も負荷電流ILは上昇を続け、入力電圧VINも上昇していく。第2のPNPトラ ンジスタQ3のコレクタ電流IC3、NPNトランジスタQ1のベース電流IB1は減少を続ける。そして、入力電圧VINがあるしきい値電圧Vthに達した時点で、ベース電流IB1の減少によりN PNトランジスタQ1はそのときの負荷電流ILを十分には吸引できない状態となる。すると、N PNトランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間電圧が、それまでの約0.2Vの電圧から上昇に転ずる。
NPNトランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間電圧が上昇すると、負荷電流ILの上昇は鈍る
ものの、その値は入力電圧VINがしきい値電圧Vthに達した時の電流(しきい値電流)Ithを超えて上昇を継続する(図2、時刻t1〜t2)。入力電圧VINの上昇によりNPNトランジスタQ1のベース電流IB1は減少を続け、NPNトランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間電圧は上昇し ていく(NPNトランジスタQ1のコレクタ−エミッタ間抵抗が高くなっていく)。負荷電流IL の上昇は益々鈍り、やがて上昇率がゼロとなる。そして、今度は減少に転じようとする(図2、時刻t2付近)。
負荷電流ILが減少に転じ始めると、チョークコイルL1の両端に大きな逆起電力が生じる。逆 起電力は、チョークコイルL1のNPNトランジスタQ1側端子が負荷RL側端子より高くなる電圧である。この逆起電力のため、それまでNPNトランジスタQ1のコレクタに流れ込んでいた負荷電流ILは、経路を変えてダイオードD1を通るようになる。負荷電 流ILはダイオードD1、電流検出用抵抗Rs、負荷RLを通って再びチョークコイルL1に戻る 閉経路を流れ始める。その瞬間、ダイオードD1の順方向電流Id1は急激に増加する。反対にNPNトランジスタQ1のコレクタ電流IC1は急激に減少してゼロになる(図2、時刻t2付近) 。
このような動作により負荷電流ILは、入力電圧VINがしきい値電圧Vthに達した時刻t1(そ のときの負荷電流ILは、しきい値電流Ith=Vth/Rsに等しい。)より微小時間Δt1だけ遅 れた時刻t2に減少に転ずる。入力電圧VINも同じく時刻t2に減少に転ずる。
ここで、この微小な遅れ時間Δt1には、入力電圧VINの変化がNPNトランジスタQ1のコレクタ電流IC1の変化に現れるまでの信号遅延(伝搬)時間も影響している。入力電圧VINの変化 は 、第1のPNPトランジスタQ2、第2のPNPトランジスタQ3、NPNトランジスタQ1 の各電流増幅動作を経て初めてコレクタ電流IC1の変化として現れる。各トランジスタの電流増 幅動作には 、少数キャリアの拡散速度、ベース領域における少数キャリア蓄積効果、浮遊容量等 に起因する僅かな遅れ(遅延)がある。従って、入力電圧VINが、定常時にはNPNトランジスタQ1を非導通にさせ得る値に達したとしても、NPNトランジスタQ1は、その信号遅延(伝搬)時間だけ遅れて非導通になる。その遅延時間内にも負荷電流ILは増大を続ける。図2に示す時刻 t1とt2との間の微小時間Δt1には、このような信号遅延(伝搬)時間も含まれる。
ダイオードD1を通る閉経路を流れる負荷電流ILは、電流検出用抵抗Rs、負荷RL、ダイオ ードD1内で熱を発生させる。時刻t2以降に流れる負荷電流ILは、時刻t2の直前にチョーク コイルL1に蓄積されていた電磁エネルギー(1/2)・L1・IL2 に起因するものである。従 って、電流検出用抵抗Rsでの熱の発生、負荷RLの駆動等によりエネルギーが消費されると、その分だけチョークコイルL1に蓄積されていた電磁エネルギーが減少する。電磁エネルギーの減少は負荷電流ILの減少をもたらす。即ち、時刻t2を境として負荷電流ILと入力電圧VINは共に漸減カーブを描く(図2の(2)、(3)参照)。
下降開始後の暫くの間は第1のPNPトランジスタQ2が十分なコレクタ電流IC2を供給し続
けるため、第2のPNPトランジスタQ3のコレクタ電流IC3はゼロを維持する。そのためNP NトランジスタQ1のベース電流IB1もゼロのままで、NPNトランジスタQ1は非導通を継続 する(図 2、時刻t2〜t3)。
負荷電流ILが更に減少して入力電圧VINが前述のしきい値電圧Vthにまで減少すると、第1の PNPトランジスタQ2のコレクタ電流IC2が減少して第2のPNPトランジスタQ3のコレク タ電流IC3が流れ始める。するとNPNトランジスタQ1のベース電流IB1も増加を始め、NPNトランジスタQ1が再びコレクタ電流IC1を流し始める(図2、時刻t3付近)。
NPNトランジスタQ1がコレクタ電流IC1を流し始めると、その電流によりプラス側直流電 源線5からチョークコイルL1にエネルギーが供給されるようになる。負荷電流ILの減少は鈍り
、やがて増加に転ずる。その瞬間からダイオードD1には逆方向に電圧が印加されるようになり、その電流Id1は急激に減少してゼロになる。それまでダイオードD1を流れていた負荷電流IL は、流路を変えてNPNトランジスタQ1を通って接地線6に流れ込むようになる。コレクタ電流IC1は一挙に増大する(図2、時刻t4)。一挙に増大した後、負荷電流ILはチョークコイルL1が存在するために時刻t1の少し前と同じ勾配で上昇する。負荷電流ILの上昇に合わせて入力 電圧VINも上昇する(図2、時刻t4〜t5)。
このような動作により負荷電流IL、入力電圧VINは、共に入力電圧VINがしきい値電圧Vthに 減少した時刻t3(そのときの負荷電流ILは、しきい値電流Ith=Vth/Rsに等しい。)より 微小時間Δt2だけ遅れた時刻t4に増加に転ずる。この微小な遅れ時間Δt2には、前述した微小時間Δt1の場合と同様に、入力電圧VINの減少がNPNトランジスタQ1のコレクタ電流IC 1の増加として現れるまでの信号遅延(伝搬)時間も含まれる。
時刻t4を境として入力電圧VINは上昇に転じ、時刻t5に再び前述したしきい値電圧Vthに達する。この時刻t5付近における動作は、時刻t1付近の動作と同じである。負荷電流IL、入力 電圧VINは共に上昇を継続して微小時間Δt1後の時刻t6にNPNトランジスタQ1は非導通となる。負荷電流ILは再びダイオードD1を流れるようになり、その値は減少に転ずる。時刻t6 付近の動作は時刻t2付近の動作と同じである。
以上の説明から明らかなように、本実施形態のDC−DCコンバータ1は、時刻t1〜t5間と同じ動作を繰り返し実行する。各部の電圧、電流波形は図2に示すような繰り返し波形となる。負荷電流ILは、しきい値電流Ithを中心として上下に僅かに変動する一定電流となる。入力電圧VINの波形は、しきい値電圧Vthを中心として上下に僅かに変動する波形となる。NPNトランジス タQ1は、時刻t1〜t5間の時間を1周期として導通/非導通のスイッチング動作を繰り返す。この回路は、外部から周期的な発振信号の入力を受けていない。自らが発振を起こして負荷RLを定電流駆動する。従って、このDC−DCコンバータ1は、負荷RLを定電流駆動する自励式のDC−DCコンバータとして機能する。
なお、ここで第1の抵抗R1が接続してあることの効果について説明する。第2のPNPトランジスタQ3のベース電流IB3は、第1の抵抗R1と第2の抵抗R2に流れる。第2の抵抗R2に 流れる電流は(VDC−VF)/R2、(VFは第2のPNPトランジスタQ3のベース−エミッタ接合の順方向電圧)の式で計算される。式から明らかなように、その値は直流電圧VDCの変動の影響を受ける。これに対して第1の抵抗R1を流れる電流は(負荷RLの両端電圧VL)/R2にほぼ
等しく、その値は(しきい値電圧Vth)・RL/Rsの式で計算される。式から明らかなように、その値は直流電圧VDCの影響を受けないほぼ一定値である。しきい値電圧Vthは、前述したように第2のPNPトランジスタQ3のベース電流IB3の値をほぼゼロにするのに必要な入力電圧VIN の値である。そのためベース電流IB3の値が直流電圧VDCの値により変動したのでは、しきい値 電圧Vthの値も変動することになる。この変動を防ぐため本実施形態のDC−DCコンバータ1では、第2の抵抗R2の値を大きくし、そこを流れる電流の値を小さくしている。こうすると、直流電圧VDCに起因する電流の変動量が小さくなる。そして、第2の抵抗R2を流れる電流を小さくした代わりに第1の抵抗R1の値を小さくして、第1の抵抗R1を流れる電流を大きくしている。第1の抵抗R1を流れる電流は、直流電圧VDCの影響を殆ど受けない。このようにすることにより、第2のPNPトランジスタQ3のベース電流IB3が直流電圧VDCの変動から受ける影響を少なく している。その結果として、しきい値電圧Vthは、直流電圧VDCの変動の影響を受けにくくなっている。第1の抵抗R1はこのような効果をもたらしている。
従来のDC−DCコンバータは発振回路、基準電圧生成回路、誤差増幅回路、コンパレータ等を構成に組み入れており、それらを構成するために多数の部品を必要とした。これに対して本実施形態のDC−DCコンバータ1は、僅かな個数の部品で回路が構成されている点に大きな特徴がある。部品点数が少ないため安価に製作できる利点がある。本実施形態のDC−DCコンバータ1は、負荷RLの抵抗値が大きく変化しても負荷RLには定電流を流すことができる。従って、負荷RLの位置にLED、有機EL等の発光素子を接続した場合、それらの順方向電圧、抵抗値のばらつきが大きくても定電流を流すことができ、ほぼ一定の発光強度で点灯させることができる。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係るDC−DCコンバータ2の構成図である。このDC−DCコンバータ2は、図1に示したDC−DCコンバータ1を、負荷に定電圧を供給するDC−DCコンバータに変形したものである。図1の構成と異なる点は、図1における負荷RLの位置に第4の抵抗R4を接続し、負荷RLは電流検出用抵抗Rsと第4の抵抗R4の直列回路に並列に接続した点である。それ以外は図1の構成と同じである。
第1の実施形態で説明したように、電流検出用抵抗Rsの両端電圧VINはしきい値電圧Vthにほぼ一致した値に制御される(しきい値電圧Vthの値は、第1のPNPトランジスタQ2のベース−エミッタ接合の順方向電圧VFにほぼ等しい。)。第1のPNPトランジスタQ2のベース電流は 小さいので無視して説明する。電流検出用抵抗Rsを流れた電流は、そのまま第4の抵抗R4を流れる。従って、負荷RLの両端の出力電圧VLは次のようになる。
VL=Vth・(Rs+R4)/Rs
即ち、出力電圧VLは一定となり、負荷RLは定電圧で駆動される。このDC−DCコンバータ2も僅かな個数の部品で回路を構成できる点に大きな特徴がある。部品点数が少ないため安価に製作できる利点がある。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係るDC−DCコンバータ3の構成図である。このDC−DCコンバータ3は、図1に示したDC−DCコンバータ1に第3のPNPトランジスタ(第4のトランジスタに相当)Q4と第5の抵抗R5を追加したものである。第5の抵抗R5は、プラス側直流電源線5と第2のPNPトランジスタQ3のエミッタの間に追加してある。第3のPNPトランジスタQ4は、エミッタ(第1の端子に相当)をプラス側直流電源線5に、ベース(制御端子に相当)とコレクタ(第2の端子に相当)は第2のPNPトランジスタQ3のエミッタとベースにそれぞれに接続してある。それ以外の構成は図1に示したDC−DCコンバータ1と同じにしてある。
図1に示したDC−DCコンバータ1では、第1のPNPトランジスタQ2のコレクタ電流IC 2がゼロであるとき、第2のPNPトランジスタQ3のベースにはIB3≒(VDC−VF)/R2+VL/R1の電流が流れる。VFは第2のPNPトランジスタQ3のベース−エミッタ接合の順方向電圧である。即ち、ベース電流IB3は、直流電源電圧VDCの変化の影響を直接に受ける。
NPNトランジスタQ1を非道通にするには、第2のPNPトランジスタQ3のコレクタ電流IC3を殆どゼロにする必要がある。そのためには、第1のPNPトランジスタQ2のコレクタから 、第2のPNPトランジスタQ3のベースに向けてそのベース電流IB3≒(VDC−VF)/R2+VL/R1に等しいコレクタ電流IC2を流してやる必要がある。ベース電流IB3の値が変化すると、そのために必要なコレクタ電流IC2の値も変化する。必要なコレクタ電流IC2の値が変化すると、そのコレクタ電流IC2を流すために必要な第1のPNPトランジスタQ2のベー ス電流も変化する。その必要なベース電流が変化すると、それを流すに必要な入力電圧VINの値も変化する。その結果、前述した入力電圧VINのしきい値電圧Vth、しきい値電流Ithの値が変化する。それらの値が変化すると、負荷電流ILの平均値が変化する。こうしたことから図1に示した DC−DCコンバータ1には、直流電源電圧VDCが変化すると負荷RLに流れる電流値ILの値が 変化しやすい弱点がある。
本実施形態のDC−DCコンバータ3は、直流電源電圧VDCが変化しても負荷RLに流れる電流値ILが殆ど変化しないように改善したものである。そのようにするため、第1のPNPトランジ スタQ2のコレクタ電流IC2がゼロであるときの第2のPNPトランジスタQ3のベース電流IB3が、直流電源電圧VDCの影響を受けないようにしている。図3に示したDC−DCコンバータ3では、直流電源電圧VDCが上昇して第2のPNPトランジスタQ3のベース電流IB3が増加しようとすると、第4の抵抗R4の両端電圧が増加する。すると、第3のPNPトランジスタQ4のベース電流が増加してそのコレクタ電流も増加する。増加した第3のPNPトランジスタQ4のコレクタ電流は、第2の抵抗R2に流れて第2のPNPトランジスタQ3のベース電位を上昇させる。そのベース電位の上昇は、ベース電流IB3を減少させて第4の抵抗R4を流れるエミッタ電流の 増加を抑える。
こうした動作により第2のPNPトランジスタQ3のエミッタ電流は、直流電源電圧VDCが変化してもほぼ一定値VF/R4を維持する。VFは第3のPNPトランジスタQ4のベース−エミッタ接合の順方向電圧である。第2のPNPトランジスタQ3のエミッタ電流が変化しなければ、そのコレクタ電流IC3、ベース電流IB3も変化せず、ほぼ一定値となる。コレクタ電流IC3、ベー ス電流IB3が一定値であれば、コレクタ電流IC3をゼロにするために第1のPNPトランジスタQ2が出力しなければならないコレクタ電流IC2の値も一定となる。コレクタ電流IC2の値が一定であれば、それを流すために必要な第1のPNPトランジスタQ2のベース電流も一定でよい。従って、入力電圧VINのしきい値電圧Vth、負荷電流ILのしきい値電流Ithも一定で変化しない ことになる。
こうした動作により本実施形態のDC−DCコンバータ3は、直流電源電圧VDCが変化しても一定の定電流を負荷RLに流すことができる。本実施形態のDC−DCコンバータ2は、第1の実施形態のDC−DCコンバータ1に部品を2個追加したのみである。全体として僅かな個数の部品で回路を構成できる点に大きな特徴がある。部品点数が少ないため安価に製作できる利点がある。本実施形態のDC−DCコンバータ3は、負荷RLの抵抗値が大きく変化しても、また直流電源電圧VDCが大きく変化しても負荷RLに定電流を流すことができる。従って、負荷RLの位置にLED、有機EL等の発光素子を接続した場合、それらの順方向電圧、抵抗値のばらつきが大きくても定電流を流すことができ、ほぼ一定の発光強度で点灯させることができる。
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態に係るDC−DCコンバータ4の構成図である。このDC−DCコンバータ4は、第3の実施形態のDC−DCコンバータ3が第1の実施形態のDC−DCコンバータ1に第3のPNPトランジスタQ4と第4の抵抗R4を追加したと同様に、第2の実施形態に係る図3のDC−DCコンバータ3に第3のPNPトランジスタQ4と第5の抵抗R5を追加したものである。追加の位置は第3の実施形態の場合と同じである。
第3の実施形態にて説明した理由と同じ理由により、このDC−DCコンバータ4は第2の実施形態に係る図3のDC−DCコンバータ3よりも直流電源電圧Vの変化に対する出力電圧VLの変動が小さくなる利点がある。このDC−DCコンバータ4も僅かな個数の部品で回路を構成できる点に大きな特徴がある。部品点数が少ないため安価に製作できる利点がある。
第1の実施形態に係るDC−DCコンバータ1の構成図である。 第1の実施形態に係るDC−DCコンバータ1の波形図である。 第2の実施形態に係るDC−DCコンバータ2の構成図である。 第3の実施形態に係るDC−DCコンバータ3の構成図である。 第4の実施形態に係るDC−DCコンバータ4の構成図である。 従来技術に係る定電流駆動回路の構成例である。 従来技術に係るDC−DCコンバータの構成例である。
符号の説明
図面中、1、2、3、4はDC−DCコンバータ、5はプラス側直流電源線、6は接地線、D1はダイオード、L1はチョークコイル、Q1は第1のトランジスタ(NPNトランジスタ)、Q2は第2のトランジスタ(第1のPNPトランジスタ)、Q3は第3のトランジスタ(第2のPNPトランジスタ) 、Q4は第4のトランジスタ(第3のPNPトランジスタ) 、R1は第1の抵抗、R2は第2の抵抗、R3は第3の抵抗、R4は第4の抵抗、R5は第5の抵抗、RLは負荷、Rsは電流検出用抵抗を示す。

Claims (3)

  1. 直流電源線(5)と接地線(6)との間に電源線側から負荷(RL)、チョークコイル(L1)と、第1、第2の端子間に電流経路が形成され制御端子に第1の端子の電圧に対応した所定電圧が印加された時に第1、第2の端子間が導通状態となるトランジスタである第1のトランジスタ(Q1)を第2の端子を前記チョークコイル(L1)側に、第1の端子を接地線側にして直列接続し、前記チョークコイル(L1)と第1のトランジスタ(Q1)の接続点と前記直流電源線(5)との間に整流素子(D1)を逆接続した自励式DC−DCコンバータであって、
    前記直流電源線(5)と負荷(RL)の間に電流検出用抵抗(Rs)を挿入し、
    第1の端子を前記直流電源線(5)に、制御端子を前記電流検出用抵抗(Rs)と負荷(RL)の接続点に接続した第2のトランジスタ(Q2)を具備し、
    前記第2のトランジスタ(Q2)の第2の端子に一端を接続し、前記負荷(RL)とチョークコイル(L1)の接続点に他端を接続する第1の抵抗(R1)を具備し、
    第1の端子を前記直流電源線(5)に、制御端子を前記第2のトランジスタ(Q2)の第2の端子に、第2の端子を前記第1のトランジスタ(Q1)の制御端子に接続した第3のトランジスタ (Q3)を具備し、
    第3のトランジスタ(Q3)の制御端子と前記接地線(6)との間に第2の抵抗(R2)を具備し、
    前記第3のトランジスタ(Q3)の第2の端子と前記接地線(6)との間に第3の抵抗(R3)を具備したことを特徴とするDC−DCコンバータ。
  2. 請求項1に記載のDC−DCコンバータにおいて、
    前記負荷(RL)を前記直流電源線(5)と、前記第1の抵抗(R1)とチョークコイル(L1)の接続点との間に接続換えし、
    前記負荷(RL)があった位置に第4の抵抗(R4)を具備したことを特徴とする請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
  3. 請求項1および2に記載のDC−DCコンバータにおいて、
    前記第3のトランジスタ(Q3)の第1の端子と前記直流電源線(5)との間に追加接続した第5の抵抗(R5)を具備し、
    前記直流電源線(5)に第1の端子を、前記第3のトランジスタ(Q3)の第1の端子に制御端子を、前記第3のトランジスタ(Q3)の制御端子に第2の端子をそれぞれ接続して追加した第4のトランジスタ(Q4)を具備したことを特徴とするDC−DCコンバータ。
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