JP4691296B2 - 電気泳動用支持体の調製方法、電気泳動用支持体及び電気泳動法 - Google Patents
電気泳動用支持体の調製方法、電気泳動用支持体及び電気泳動法 Download PDFInfo
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Description
本発明は、電気泳動用支持体の調製方法、電気泳動用支持体及び電気泳動法に関する。より詳しくは、本発明は、ゲル又は絡み合った高分子(entangled polymer)のような電気泳動用の支持体を、ケイ素を含有する支持部材上に形成する電気泳動用支持体の調製方法であって、支持部材の洗浄法に特徴の有る方法、及びこの方法により調製した支持体を用いた電気泳動法に関する。さらに本発明は、核酸又はPNA断片の分離に使用する電気泳動用ゲル及びこのゲル若しくは前記支持体を用いた核酸又はPNA断片を分離する電気泳動法に関する。
本発明の電気泳動用支持体の調製方法によれば、電気泳動用支持体の作成時における気泡の発生を抑制できるため、試料(例えば核酸など)の分離性能が向上する。また本発明の電気泳動用支持体またはゲルを用いた電気泳動法によれば、電気泳動における分離性能を高めることができる。そのため、特に塩基配列決定法で必要とされる、長鎖の核酸及びPNA断片の分離を良好に行うことができ、長鎖の塩基配列決定法へ適用する場合、特に有用である。
背景技術
30億もの塩基対をもつといわれるヒトゲノムの塩基配列が解析されつつある。特にヒトゲノムにおける多型性の解析は、個人個人に特有の形質とも関連し、医学的薬理的にも、また生物学的にもすこぶる高い関心がもたれている。従来ゲノムのような膨大な塩基配列を決定するためには、多試料を同時に高速に高感度に自動的に処理できるようなシーケンサーの開発が行われてきた。特に従来の平板状のスラブゲルに代わってゲルを充填したキャピラリーカラムを多数同時に用いるマルチキャピラリーDNAシーケンサーの出現は、塩基配列決定速度を高めることに著しく貢献してきた。現在、すでに96本(たとえばABI社シーケンサー3700、Molecular Dynamics社MegaBACE1000など)の、また最近では、さらにその4倍の384本(384本マルチキャピラリーシーケエンシングシステムの開発:第21回日本分子生物学年会抄録1P−570(1998年12月横浜))ものキャピラリーカラムを用いたマルチキャピラリーDNAシーケンサーが開発されている。
しかるに、キャピラリーカラムの本数を増加させる場合、配列を読み取るための検出器の性能や構造に起因する制約がある。また、単にキャピラリーカラムの本数を増加させるだけでは、キャピラリーカラム自体の供給及びキャピラリーカラムへの検体のローディング等に必要とされる労力は低減されない。
また、現在使用されているシーケンサーでは1本のキャピラリーカラムで500塩基前後が読み取れるといわれている。1本のキャピラリーカラムで読み取れる塩基数を増加させれば、すなわち分離性能を向上させれば、キャピラリーカラム自体の供給及びキャピラリーカラムへの検体のローディング等に必要とされる労力等を低減できるという利点がある。しかるに、個々のキャピラリーカラムについてさらに多くの塩基を一度に読み取れるようにするかについての検討は、あまり行われておらず、今後解決すべき一つの課題として残されていた。
例えば、DNAシーケンサーをはじめとする多くの電気泳動装置では、電気泳動用支持体を支持するための支持部材が使用される。この支持部材は、電気泳動の目的に応じて様々な形状を有する。例えば、スラブ電気泳動では支持部材として平板状の2枚のシリカガラスが使用され、またキャピラリー電気泳動では支持部材としてカラム状(中空円筒状)のシリカ製キャピラリーカラムが使用される。さらに、マイクロ電気泳動ではシリコンウェハ上に作成した微小な分離路のような形状を有する支持部材が使用される。これらの支持部材はいずれもシリカ等のケイ素を含有した材料からなるのが一般的である。
このようなケイ素を含有する支持部材(以下、単に「支持部材」ともいう)上に調製された電気泳動用支持体において良好な分離性能を得るためには、支持体は気泡を含まないことが好ましい。
例えば、2枚の支持部材の間に電気泳動用ゲルを作成する場合(スラブ電気泳動)や、支持部材の空胴中に絡み合った高分子溶液を注入する場合(キャピラリー電気泳動)、支持部材を洗浄することなく使用すると、特に、支持部材の幅や注入口が狭い(幅又は直径約1mm以下)場合に、支持部材の表面近く又はその微小空隙内に気泡が発生しやすくなる。このような気泡を含むゲルや高分子等の支持体では充分な分離性能が得られず、電気泳動用支持体としての本来の機能を果たし得ない。
このような気泡を支持体中に発生させないための方法としては、これまでにプロパノールやポリエチレングリコールを高分子の重合前に混入する方法が提唱されている(Anal.Chem.,1992;64;p2665−2671,J.Chromatogr.,1991;550:p823−830)。この方法によれば、確かに気泡を含まない支持体を得ることができる。しかし、この方法で得られた支持体は、従来のものと比較した場合に電気泳動における分離性能が低下してしまうという欠点があった。このため、上記方法は、高度の分離性能が要求される電気泳動法に対しては不向きである。
また、支持部材の表面にある不純物が気泡の芯になるという想定の下に、キャピラリーカラム内壁の不純物をNaOH溶液の強塩基性溶液、エタノールなどの有機溶媒、HClなどの酸性溶液、及びこれらと純水を組み合わせた溶液を用いて洗浄する方法により気泡の発生を押さえる試みもなされている(Electrophoresis 1996;17:p144−151)。しかるに、この方法は支持部材表面の気泡の発生を押さえることができたものの、前記方法と同様に、電気泳動の分離性能については満足の行くものではなかった。
したがって、支持部材に担持又は充填された支持体中における気泡の発生を有効に抑制でき、かつ良好な分離性能を得ることができる電気泳動用支持体の調製方法の提供がかねてから課題となっていた。
また、電気泳動用支持体の調製方法とは別に、電気泳動の分離性能を向上させる目的で、電気泳動用支持体自身についても改善の余地があった。しかし、電気泳動用支持体の材料等については、これまで十分な検討はなされていなかった。
そこで、本発明の目的は、電気泳動における上記課題を解決し、電気泳動時の分離性能を高め、試料の分離の向上、特に、核酸又はPNA断片においては、より長鎖の塩基配列も読み取ることを可能にする手段を提供することを目的とする。
より具体的には、本発明の目的は、ケイ素を含有する支持部材を用いて電気泳動用支持体を調製する場合に、支持体中に気泡が発生することを抑制できる電気泳動用支持体の調製方法の提供、及びこの調製方法により調製した電気泳動用支持体を用いた電気泳動法を提供することにある。
さらに本発明の別の目的は、500塩基を超える鎖長の塩基配列についてもコンプレッションを生じにくい電気泳動用ゲルの提供、さらにはこのゲルを用いてより長鎖の塩基配列の読み取りも可能になる電気泳動法を提供することにある。発明の開示
本発明者は、シリカ製キャピラリーカラムのようなケイ素を含有する支持部材にゲルや高分子のような支持体を支持(担持または充填)する際に、気泡が発生せず、かつ分離性能も向上できる支持体の調製方法につき鋭意検討を重ねた。
上述のように、支持部材を、強塩基性溶液を用いて洗浄すると、支持体中への気泡の発生は抑制できるが、気泡の発生が抑制されるにもかかわらず分離性能の向上は得られなかった。本発明者は、この原因を、強塩基性試薬の作用により支持部材表面がエッチングされて支持部材表面に凹凸が生じ、その結果、電気泳動の分離方向以外の拡散が生じ、あるいは支持部材表面の遊離シラノール基が増加して、電気泳動における分離性能の向上を妨げたと推測した。
そこで本発明者は、このような推測のもと、支持部材表面でエッチングが起こり難く、かつ支持体中における気泡の発生を抑制できる方法について種々検討した。その結果、弱塩基性溶液を用いて洗浄した支持部材に支持(担持または充填)した支持体には気泡の発生が見られず、かつ強塩基性溶液を用いた従来法に比べて電気泳動時の分離性能が向上することを見出し、本発明(電気泳動用支持体の調製方法)を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、電気泳動用支持体を支持するための部材(支持部材)のこの支持体と接触することになる表面の少なくとも一部を洗浄し、次いでこの支持体を前記支持部材に支持させることを含む電気泳動用支持体の調製方法であって、前記支持部材がケイ素を含有する材料からなり、かつ前記洗浄の少なくとも一部を、弱塩基性溶液を用いて行うことを特徴とする前記方法に関する。
本発明の第2の態様は、上記調製方法を用いて調製した電気泳動用支持体を用いた電気泳動法に関する。
また、本発明者は、従来より鎖長の長い核酸又はPNA断片まで、一本のキャピラリーカラムで一度に塩基配列を決定できる程度に分離することができ、その結果、塩基配列を決定できるように電気泳動用ゲルの組成を改良し、併せて当該ゲルを用いるときの電気泳動条件、特に電気泳動液についても検討した。
塩基配列決定のための電気泳動に用いられるゲルとしてはポリアクリアミドゲルが一般的に用いられる(参考:高木俊夫編著 PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)廣川書店1990年)。本発明者は、ポリアクリアミドゲルの調製を2種以上の極性有機溶媒、例えばメタノール及びホルムアミド、の存在下に行うことで得られたゲルが、上記課題を解決できることを見出し本発明(電気泳動用ゲル)を完成した。
すなわち、本発明の第3の態様は、2種以上の極性有機溶媒の共存下にアクリアミド又はその誘導体を重合することにより得られるポリアクリアミド系重合体からなる電気泳動用ゲルに関する。
さらに本発明の第4の態様は、極性有機溶媒の存在下で核酸又はPNA断片を電気泳動させて分離する方法に関する。
本発明の第3の態様のゲルは、デキストランのような水溶性高分子を共存させて得られる弾力性に富んだゲル(相澤克則、蛋白質核酸酵素43(1998)2191−2198)についても適応できる。
本発明を実施するための最良の形態
[電気泳動法用支持体の調製方法(第1の態様)]
本発明の電気泳動用支持体の調製方法では、支持体を支持するためにケイ素を含有する材料からなる支持部材を使用する。ここで用いる支持部材は、少なくともケイ素を含有し、電気泳動に用いることができるものであれば、材料については特に限定はない。このようなケイ素を含有する支持部材の材料として、例えば天然又は合成の石英、ホウケイ酸ガラス、アルカリ鉛ガラス、ソーダ石灰シリカガラス、オキシナイトライドガラスなどのガラス製品のほか、珪石質煉瓦、ゼオライト、コーディエライト、炭化珪素、シリコン、エナメルなどケイ素を主成分とするものが挙げられる。
本発明で用いる支持部材の形状については、分離する対象に応じて適宜決定することができる。そのような形状として、例えば、平板状、カラム状(中空円筒状)、顆粒状、繊維状の形状又はそれらの任意の組み合わせからなる形状などを挙げることができる。またマイクロチップ電気泳動やナノチップ電気泳動のウエハの形状についてもチップとして機能し得るものであれば、本発明の支持部材に含まれる。
また支持部材の径や長さについても、分離目的に応じて適宜決定することができる。例えば、キャピラリーカラムの場合、外径が100〜400μm、内径が2〜100μm、長さ10〜100cm程度であることが適当である。キャピラリーカラムにおいてシーケンサーなどで蛍光を測定する場合には、蛍光測定の妨げとならないような材質又は処理(無蛍光材質での被覆)がなされたものを用いることが望ましい。
本発明における支持部材は、電気泳動用ゲルと接触することになる表面を弱塩基性溶液を用いて洗浄する。洗浄に用いる弱塩基性溶液は、弱塩基性物質(有機性物質及び無機性物質を含む)を溶質として液体状の媒体、好ましくは水中に溶解させたものである。
弱塩基性溶媒の態様については、例えば、有機性溶液、無機性溶液又は有機物溶液と無機物溶液の任意の組み合わせからなる混合物を挙げることができる。
有機物溶液は、例えば、アミノブタン酸,2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール,2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール,2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール,アミノピリジン,ブチルアミン,クロリジン,ジエタノールアミン,ジエチルアミン,ジエチルバルビタール酸,ジメチルアミン,ジメチルイミダゾール,エフェドリン,エタノールアミン,エチルモルホリン,グリシルグリシン,ヒドロキシピロリン,ピペリジン,プロピルアミン,メチルアミン,メチルイミダゾール,トリエチルアミン,トリエタノールアミン,トリメチルアミン,トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタノールの群から選択されるいずれか1つ又は複数の組み合わせからなる有機物を溶媒に溶解させた溶液であり、室温で溶媒中に溶解したときのpK値が7〜12、pH値が7〜12、好ましくは8〜11のものを挙げることができる。
また、上記以外の有機物溶液としては、例えば、アミン類、アミド類、イミド類、アンモニア化合物、アミノ酸などの有機物を溶解した溶液、又はアンモニア水やGoodの緩衝液などの溶液であって、これらを溶液した時のpHが弱塩基性を示す溶液又は任意の試薬で弱塩基性に調製した溶液などが挙げられる。
一方、無機物溶液としては、例えば、リン酸、ピロリン酸、ホウ酸、炭酸の群から選ばれる物質であって、室温でpK値が7〜12、無機物を溶液したときにpHが弱塩基性(pH値7〜12、好ましくは8〜11)を示す物質又は任意の試薬で弱塩基性に調製した物質などが挙げられ、好ましくは炭酸塩の水溶液である。
さらに本発明において洗浄に使用する弱塩基性溶液は、任意の濃度の有機溶媒を混在させたものも用いることもできる。
本発明における洗浄は、少なくとも洗浄の一部を塩基性溶液で行う。即ち、本発明における洗浄には、弱塩基性溶液に他の溶液を併用することができる。併用できる溶液としては、例えば、純水(ミリQ処理した純粋)などの中性溶液、メタノール、エタノールなどの有機溶媒、弱塩基性溶液と酸性溶液とを組み合わせた溶液を挙げることができる。弱塩基性溶液以外の溶液を用いる場合の洗浄の順序については、弱塩基性溶液での洗浄を省略しない限り特に制限はなく、弱塩基性溶液による洗浄を先に行っても、又は後に行っても構わない。なお、弱塩基性溶液以外の溶液による洗浄は、任意であるため省略することもできる。
洗浄時間については、1秒〜数ヶ月の範囲内の時間であれば任意の時間を選択することができる。但し、操作の効率等を考慮すれば、洗浄時間としては数分間程度が好ましい。また洗浄時の温度についても、溶液が固化又は揮発又は沸騰しない温度であれば特に制限はないが、操作の容易性等の観点からは室温で洗浄することが望ましい。
なお、本発明における洗浄は、支持部材が電気泳動用支持体と接触する表面の少なくとも一部に対して行われる。但し、支持部材の洗浄は、この洗浄により電気泳動用支持体調製時の気泡発生を抑制することを目的とするものであるので、好ましくは電気泳動用支持体と接触する支持部材表面の全部について行う。
支持部材と接触することになる電気泳動用支持体は、電気泳動用の支持体として一般的に用いられる支持体をそのまま使用することができる。支持体は、ゲル又は絡み合った高分子であることもできるが、特にこれらに限定されるものではない。支持体としては、例えば、ポリアクリルアミド、アガロースゲル、分子ふるい効果を有する絡み合った高分子、すなわち直鎖上ポリアクリルアミド、水溶性セルロース誘導体、デキストランなどが挙げられる。また、このような支持体として後述する本発明の電気泳動用ゲルを用いることもでき、当該ゲルを用いた場合には特に核酸やPNA断片の分離に好適となる。
その他、支持部材と接触することになる電気泳動用支持体の調製における支持体の作成、充填等の条件及び方法については、通常の支持体に用いる一般的な条件及び方法を用いることもできる。さらに、この支持体が後述する本発明の電気泳動用ゲルである場合には、後述する条件に従って調製することができる。
[本発明の調製方法により調製された支持体を用いた電気泳動法(第2の態様)]
本発明は、上記本発明の調製方法で調製した支持体を用いた電気泳動法を包含する。この電気泳動法によれば、電気泳動に使用される支持体に応じて種々の物質を分離することができる。このような物質としては、例えば、陽イオン性及び/又は陰イオン性電荷を1又は2以上有する水溶性物質、電荷を有しない中性物質、又はこれらの任意の混合物を挙げることができ、この中には核酸(DNA又はRNA)やPNA断片も含まれる。加えて、有機物質、無機物質(金属イオン類を含む)、又はそれらの組み合わせからなる物質も上記物質の中に含まれることができる。また、分離する物質の状態についても固体、スラリー、粉体、液体など支持体や電気泳動の条件に従って適宜選択することができる。
本発明の電気泳動法に使用する緩衝液、電圧、時間等の電気泳動の条件については、支持体及び分離する物質等の特性に応じて適宜決定される。また、支持体が後述する本発明の電気泳動用ゲルである場合の電気泳動の条件を用いることもできる。
[電気泳動用ゲル(第3の態様)]
本発明の電気泳動用ゲルは、二種類以上の極性有機溶媒の存在下でアクリルアミド又はその誘導体を重合して得られるポリアクリルアミド系重合体からなる。本発明で使用される二種類以上の極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソブタノール、t−ブタノール等のアルコール類、ピリジン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスファミド等を挙げることができる。
本発明の電気泳動用ゲルは、アクリルアミド誘導体を重合する際に、前記極性有機溶媒を共存させて得られる。アクリルアミド誘導体を重合し、得られた重合体(マトリクス)の空隙に同様の二種類以上の極性有機溶媒を供給しても、本発明が目的とする効果は得られない。また、重合の際に用いる極性有機溶媒が1種類の場合にも、同様に、本発明が目的とする効果は得られない。
二種類以上用いられる極性有機溶媒の組み合わせには特に制限はないが、例えば、ホルムアミド及びアルコール類の組み合わせは好ましく、特に、ホルムアミドとメタノールの組み合わせが好ましい。
また、重合に用いるアクリルアミド誘導体には特に制限はないが、例えば、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドを挙げることができる。アクリルアミド誘導体は単独でも、1種以上の混合物であってもよい。また重合に用いる重合開始剤は、アクリルアミド誘導体の重合に通常用いられるものをそのまま使用することができる。また、ゲルの濃度(w/v%)は、分離したい核酸の分子量等を考慮して適宜決定できるが、通常3〜10w/v%の範囲、好ましくは約5w/v%とすることが適当である。
以下に本発明の電気泳動用ゲルの製造法をより具体的に説明する。
極性有機溶媒としてメタノール及びホルムアミド用い、100mlスケールで5%のゲルを作成する場合について説明する。
スターラーバーを入れたフラスコかビーカーを準備し、先ず最終濃度6Mになるように尿素36g、純水(好ましくはミリQ処理のもの)25ml、x10トリスホウ酸−EDTA緩衝液(以下「TBE」という、この場合は×10TBE)緩衝液15ml、アクリアミド誘導体としてはロングレンジャー(米FMC社)10mlを室温にて順に加えて攪拌し、尿素が溶けるのを待つ。尿素は核酸などの変性剤として添加されるが、添加しなくてもよく、尿素の濃度は0〜8Mの範囲とすることができる。なお、尿素の濃度が6Mを越えると、極性有機溶媒が存在しているために、低温(0〜10℃)では尿素が析出しやすくなる傾向がある。次に、常時攪拌を続けながら、極性有機溶媒であるメタノール10ml及びホルムアミド10mlを添加混合し、最終容量を100mlにし、さらによく混ぜ合わせる。この例では、メタノール及びホルムアミドは最終濃度がそれぞれ10%となる。但し、極性有機溶媒の濃度は、上記に限るものではなく、核酸分離特性等を考慮して適宜決定することができ、例えば、5〜15%の範囲とすることができる。また、2種以上用いる極性有機溶媒の濃度は同一である必要はなく、適宜変化させることができる。
本発明の電気泳動用ゲルには、所望によりデキストラン又はその他のセルロース誘導体のような水溶性高分子を添加することができる。これら水溶性高分子を添加することでゲルの弾力性を向上させることができる(相澤克則、蛋白質核酸酵素43(1998)2191−2198)。水溶性高分子は、例えば、1〜30w/v%、好ましくは2〜5w/v%程度添加する。水溶性高分子は、上記で得られた反応液に添加し、適宜攪拌することで、反応液に均一に分散溶解させることができる。
上記で得られた反応液は、反応液に含まれる微細なごみを除くことが好ましい。これは、キャピラリーカラムでの電気泳動は微細なごみの存在により障害を起こす場合があるからである。反応液中の微細なごみの除去には、例えば、ろ過フィルター(0.22ミクロン)を用いた吸引ろ過を用いることができる。但し、これに限るものではない。
不純物を除いた反応液は次にゲルの重合を抑えるために攪拌しながら氷冷する。氷冷する代わりに低温室においてもよい。充分冷却されたのを確認した後、重合開始剤である過硫酸アンモニウム液を適量添加し、さらに必要により脱気を行う。過硫酸アンモニウム液は、例えば、10%液を0.5ml程度添加することができる。但し、必ずしもこれに限るものではない。反応液の脱気は、例えば、反応液を攪拌しながら、減圧下で30分程度行うことができる。過硫酸アンモニウム液を添加し、必要により脱気した後に、重合開始剤であるN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下「TEMED」という)を0.05ml反応液に添加する。TEMED添加後、反応液を攪拌しつつ、さらに5〜10分脱気することが好ましい。上記のように重合開始剤を添加した時点で、重合は開始され、ゲル化が始まる。そこで、以上の工程は、上記のように氷冷下、または低温室にて行うことが、キャピラリーカラム等に充填前のゲル化を抑制するという観点から好ましい。
支持部材の準備等
本発明の電気泳動用ゲルに用いる支持部材は、前述した電気泳動用支持体の調製方法で用いられる支持部材と同様に、その材質、径や長さ等に特に制限はない。例えば、通常マルチキャピラリーDNAシーケンサーに用いられているものを使用することができる。その他、スラブゲルタイプの支持部材を使用することもできる。支持部材は、使用前に内面を、本発明の電気泳動用支持体の調製方法により調製しておくことが好ましい。
ゲルの支持部材への充填
重合開始剤を添加してゲル化が始まった反応液の支持部材(キャピラリーカラム)への充填は、ゲル充填装置、例えばGVT機(島津製作所製)などを用いて室温で行うことができる。但し、ゲル充填装置の種類は、これに限るものでもない。GVT機等のゲル充填装置を使用する場合、装置を加圧モードにすることで全キャピラリーカラムにゲル溶液(ゲル化が始まった反応液)が満たされる。キャピラリーカラムにゲル溶液が満たされたことを確認し、さらに1〜2分後に加圧モードを解除する。ゲル溶液が満たされたキャピラリーカラムは、例えば、3時間程度室温にて静置することで、重合を完了させ、そのまま使用することができる。
スラブゲルの場合には、従来と同様の方法で、重合開始剤を添加してゲル化が始まった反応液を支持部材(ゲル板)に充填し、一定時間室温に放置することで作製することができる。
[本発明のゲルを用いた電気泳動法(第4の態様)]
本発明は、さらに上記本発明のゲル又は本発明の調製方法により調製された支持体(ゲル)を用いて極性有機溶媒存在下に核酸又はPNA断片を分離する電気泳動法を包含する。分離対象である核酸はRNA及びDNAのいずれであってもよい。本発明のゲルを用いた電気泳動法で使用されるゲルは、本発明の調製方法(第1の態様)により調製した支持体であってもよい。このように調製された支持体をゲルとして用いて電気泳動を行えば、より鎖長の長い塩基配列まで分離できるためより好ましい。
電気泳動用の緩衝液としては、例えば、TBE等の緩衝液に極性有機溶媒を加えたものを用いる。TBEとしては0.5〜5X、好ましく最終濃度が1.5Xのものを挙げることができる。極性有機溶媒としてはその種類、組み合わせ、量に特に制限はない。但し、ゲルの作製と同様に、2種以上の極性有機溶媒を用いることが好ましい。さらに好ましくは、アルコール類とホルムアミドの混合液、特に好ましくはメタノールとホルムアミドの混合液を挙げることができる。極性有機溶媒の濃度は、例えば、5〜15%、好ましくは10%(v/v)であることが適当である。2種以上の極性有機溶媒を用いる場合には、各溶媒の最終濃度が5〜15%、好ましくは10%(v/v)であることが適当である。試料のインジェクションは、通常の電気泳動で用いられている条件と同様に行うことができる。例えば、キャピラリーカラムの場合、0.1〜10kVで5〜600秒、好ましくは2kVで90秒がよい。泳動は20〜70℃好ましくは55℃、1〜20kV、好ましくは4.8kVで行うことが適当である。スラブゲルの場合も、試料のゲルへのローディングは、常法に従って行うことができる。
分離物の検出
本発明の電気泳動用ゲルを用いた電気泳動法で分離できる試料は、例えば、ローダミン類等で蛍光標識したDNAやRNA等の核酸又はPNA断片であることが、分離物を容易に検出できるという観点から好ましい。但し、これらに限るものでもなく、放射性同位元素等の標識を有するものであってもよい。蛍光標識したDNAやRNAは、キャピラリーシーケンサーなどに付属のレーザー光源と蛍光検出器などを用いて、バンドを検出することができる。スラブゲルの場合にもシーケンサー付属の光源と検出器を用いることができる。
実施例
以下の実施例を用いて本発明をさらに説明する。
なお、実施例における各々の分離度(Rs)は、シグナル波長がガウス型とし、分離データから次式により計算した。
Rs=(2ln2)1/2(tB・tA)/(W1/2A+W1/2B)
ここで、tAとtBは、それぞれA,Bシグナルのピークを検出した時間、W1/2AとW1/2BはA,Bシグナルのピーク高さ半分の高さにおけるシグナル幅である。
(実施例1)
ゲルマトリックス(100ml)は次の試薬を室温で常時攪拌しつつ順次混合して作製した。
1) 尿素36g(最終濃度6M)、
2) 純水(ミリQ処理のもの)25ml、
3) x10TBE緩衝液15ml、
4) ロングレンジャー(米FMC社)10ml(尿素が溶解した後添加する)
5) メタノール10ml
6) ホルムアミド10ml
以上を混合できたことを確認し、ミリQ純水で容量を100mlとして、再度よく混ぜ合わせる。さらに陰圧にてフィルター(0.22ミクロン)ろ過を室温で行った後、攪拌しながら氷冷(10分)または低温室に置く(30分)。
7) 10%過硫酸アンモニウム0.5ml
上記溶液を引き続き氷冷又は低温室で攪拌しながら、新規に調製した本試薬を添加していく。さらに攪拌しながら減圧にて30分ほど脱気を行う。
8) TEMD 0.05ml
速やかに本試薬を添加し、常時攪拌しながら氷冷又は低温室で10分ほどの追加脱気する。
このようにして得られた溶液をGVT機(島津製作所製)を用いてキャピラリー(SGE社、内径100μ、外径360μのフェーズドシリカ製、全長48cm)にゲルを室温にて充填した。充填後、室温にて3時間静置して本発明のゲルを充填したキャピラリーカラムを得た。このキャピラリーカラムを次に電気泳動に使用した。
試料のインジェクション
サイクルシーケンス法などで蛍光ラベルしたDNA断片を、脱塩又はエタノール沈殿法で純化する。このサンプルにホルムアミド又は緩衝液とホルムアミドの混合液を混入し、高温処理(95℃,2分)を行う。1cmキャピラリー長あたり5〜100ボルトの範囲で、5秒〜5分間印加電圧をかけて、陰極側のキャピラリー入口より、サンプルのキャピラリーへのインジェクションを行った。
電気泳動
電気泳動用緩衝液としては次の組成のものを常時攪拌、室温にて作製した。
1) 純水(ミリQ処理のもの)325ml
2) x10TBE 75ml
3) メタノール(和光純薬特級137−01823) 50ml
4) ホルムアミド(GibcoBRL15515−026) 50ml
電気泳動は55℃、4.8kVの条件で行った。
検 出
キャピラリーの陽極側に近い任意の位置に設置された検出用窓に、アルゴンレーザーを照射し、DNAサンプルの蛍光剤を励起こさせ、それによって生じる蛍光をホトマルにて検出した。
結 果
塩基配列読み取り能力は、一塩基長違うDNAフラグメント間の分離度が0.5または0.25を示す塩基配列数で表示した。用いたキャピラリーチューブ:外径360ミクロン、内径100ミクロンで全長48cmのSGE社製のフューズドシリカキャピラリー。これにゲルを充填する前に1N水酸化ナトリウム、精製水、1N塩酸、精製水の順でチューブ内面を洗浄した。
泳動条件:6kV、55℃、電極液は各々のゲル組成中のゲルとurea(尿素)を除く成分からなる溶液を使用した。
分析サンプル:M13mp18 single strand DNA(Takara社)を鋳型とし、BigDyeTMPrimer(PE Applied Biosystems社)Kitを用いてCycle sequencing反応にて蛍光ラベルしたDNA断片。
Aゲル:6M Urea,10%(v/v)formamide,10%(v/v)methanol,10%(v/v)Long RangerTM,×1.5 TBE
Bゲル:6M Urea,20% methanol,10% Long RangerTM,x1.5 TBE
Cゲル:6M Urea,20% formamide,10% Long RangerTM,x1.5 TBE
Dゲル:6M Urea,10% Long RangerTM,x1.5 TBE
Eゲル:6M Urea,10% Long RangerTM,x1 TBE
塩基配列読み取り能力は、一塩基長違うDNAフラグメント間の分離度が0.5または0.25を示す塩基配列数で表示した。用いたキャピラリーチューブ:外径360ミクロン、内径100ミクロンで全長48cmのSGE社製のフューズドシリカキャピラリー。これにゲルを充填する前に1N水酸化ナトリウム、精製水、1N塩酸、精製水の順でチューブ内面を洗浄した。
泳動条件:6kV、55℃
分析サンプル:M13mp18 single strand DNA(Takara社)を鋳型とし、BigDyeTMPrimer(PE Applied Biosystems社)Kitを用いてCycle sequencing反応にて蛍光ラベルしたDNA断片。
Aゲル:6M Urea,10%(v/v)formamide,10%(v/v)methanol,10%(v/v)Long RangerTM,×1.5 TBE
Dゲル:6M Urea,10% Long RangerTM,x1.5 TBE
表1には、ゲル作製時に極性有機溶媒がどのような条件で存在すると、ゲルの塩基配列読み取り能力が改善されるかを比較したものである。ホルムアミドとメタノールを用いたこの実施例からわかるように、極性有機溶媒は少なくとも2種類必要で、単独では効果がなかった。また、調べた限りでは二つの有機溶媒の濃度は各々10%が最適であった。この条件では、場合によっては900塩基以上が読み取れることもあった。
表2は、ゲル作成時の極性有機溶媒の有無と、電気泳動用の緩衝液中での極性有機溶媒の有無とで、ゲルの塩基配列読み取り能力がどのように影響を受けるかをみた結果である。この表から明らかなように、有機溶媒はゲル作成時にも、電気泳動中にも存在させることが最もよい結果を与えることが判明した。
(実施例2)
使用した支持部材
本発明の電気泳動用支持体の調製方法では、支持部材としてMoritex社製フューズドシリカキャピラリーカラムを用いた。このキャピラリーカラムは、全長が48cm、入口から検出窓までの長さが39.5〜40cm、外径が300μm、内径が100μmであり、その内側表面がコーティング処理されていないものを384本使用した。
洗 浄
洗浄は、室温で0.1M NaHCO3(pH9.0)、純粋(ミリQ処理のもの)、1M HCl、純粋(ミリQ処理のもの)の順に行った。また比較するために、室温で1M NaOH(pH13〜14)、純粋(ミリQ処理のもの)、1M HCl、純粋(ミリQ処理のもの)の順で従来法による洗浄を行った。また各溶液の洗浄時間は3分間とした。
支持体(ゲル)の作成及びカラムへの充填
洗浄した上記384本のフューズドシリカキャピラリーカラム内でゲルマトリックス(100ml)を作成した。
先ず、ゲルマトリックスの作成にはアクリルアミド/ビス、市販品のロングレンジャー(米FMC社製)又はページプラス(Amresco社製)のモノマー溶液を利用した。重合前の溶液の組成は次のとおりであった。
1) 4%(アクリルアミド(ビスアクリルアミドによる架橋度5%)/7M尿素/x1TBE緩衝液)
2) 4%(アクリルアミド(ビスアクリルアミドによる架橋度5%)/10%(v/v)ホルムアミド/10%(v/v)メタノール/7M尿素/x1TBE緩衝液)
3) 10%(v/v)(ページプラス(Amresco社製)/7M尿素/x1TBE)
4) 10%(v/v)(ページプラス(Amresco社製)/ホルムアミド/10%(v/v)メタノール/7M尿素/x1TBE)
5) 10%(v/v)(ロングレンジャー(米FMC社製)/7M尿素/x1TBE)
6) 10%(v/v)(ロングレンジャー(米FMC社製)/ホルムアミド/10%(v/v)メタノール/7M尿素/x1TBE)
重合前の上記各組成の溶液に最終濃度が0.06%(v/v)のTEMEDを添加し、氷冷させながら30分間脱気した。続いて最終濃度が0.05%(w/v)過硫酸アンモニウムを加えてさらに5分間脱気した。
重合反応を開始した時点で、実施例1と同様の方法で上記384本のキャピラリーカラムにそれぞれのゲルを充填した後、室温で静置した。
また、上記ゲルの作成とは別に、シークエンシング用標準サンプル(pGEM−3Zf(+))/21M13フォワードプライマー(forward primer))及び蛍光ラベル剤(ビッグダイターミネータ(BigDye terminator)/サイクルシークエンシング及び精製)を調製した。
電気泳動
ゲルを充填したキャピラリーカラムを使用して、印加電圧4.8kV、温度50℃でRISAシーケンサー(島津製作所製)を用いてシーケンス(電気泳動)を行った。なお、その他の条件は実施例1と同様である。
結 果
表3に示すように、例えばページプラスのみからなるゲルの場合、0.1M NaHCO3で洗浄したときは、分離度0.5で750の塩基配列数まで解読することができた。これはRISAシーケンサーで解読可能な塩基配列の数とほぼ一致した。これに対し、1M NaOHで洗浄したときは、分離度0.5で560の塩基配列数までしか解読することができなかった。このように、重合前の溶液の組成が同一であるゲル同士を比較すると、いずれの種類のゲルであっても0.1M NaHCO3で洗浄した場合の方が1M NaOHで洗浄した場合よりも鎖長の長い塩基配列まで解読することができた。
また、同一の洗浄液で洗浄した場合に、ホルムアミドとメタノールが含まれたゲルとそれらが含まれていないゲルを比較すると、いずれの種類のゲルであってもホルムアミドとメタノールが含まれた方が鎖長の長い塩基配列まで解読することができた。
さらに、0.1M NaHCO3又は1M NaOHのいずれで洗浄した場合であっても、ホルムアミドとメタノールが含まれたゲルの方がそれらが含まれていないゲルよりも鎖長の長い塩基配列まで解読することができた。
このことから、ゲル中のホルムアミドとメタノールの存在による効果と、洗浄に0.1M NaHCO3を用いる効果とは相乗的に作用することが分かった。
なお、0.1M NaHCO3で処理した場合、キャピラリーカラム内にあるいずれの種類のゲルにおいても気泡はみなれなかった。また、洗浄に0.1M NaHCO3(pH9.0)を使用した場合には、1M NaOHを使用した場合よりも取扱いなどの作業面で安全性が増した。
Claims (19)
- 電気泳動用支持体を支持するための部材(以下、支持部材)の前記支持体と接触することになる表面の少なくとも一部を洗浄し、次いで前記支持体を前記支持部材に支持させることを含む電気泳動用支持体の調製方法であって、前記支持部材がケイ素を含有する材料からなり、かつ前記洗浄の少なくとも一部を、弱塩基性溶液を用いて行うことを特徴とする前記方法。
- 電気泳動用支持体は、ゲル又は絡み合った高分子である請求項1に記載の方法。
- 支持部材の形状は、平板状、カラム状(中空円筒状)、顆粒状、繊維状のいずれか又はそれらの任意の組み合わせからなる形状である請求項1又は2に記載の方法。
- 弱塩基性溶液は、有機物溶液、無機物溶液又はそれらの任意の組み合わせである請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 弱塩基性溶液は、炭酸塩の水溶液である請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- ホルムアミド及びアルコール類を含む二種類以上の極性有機溶媒の存在下でアクリルアミド又はその誘導体を重合して得られるポリアクリルアミド系重合体からなる電気泳動用ゲル。
- アクリルアミド誘導体は、N,N'−ジメチルアクリルアミド又はN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドである請求項6に記載のゲル。
- アルコール類は、メタノールである請求項6に記載のゲル。
- アクリルアミド又はその誘導体の重合の際に水溶性高分子をさらに共存させる請求項6〜8のいずれか1項に記載のゲル。
- 水溶性高分子は、デキストラン、ポリエチレングリコール又はセルロース誘導体である請求項9に記載のゲル。
- キャピラリーゲル又はスラブゲルである請求項6〜10のいずれか1項に記載のゲル。
- 電気泳動用支持体が請求項6〜11のいずれか1項に記載のゲルである請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法により調製した支持体を用いることを特徴とする電気泳動方法。
- 電気泳動により分離する物質は、陽イオン性及び/又は陰イオン性電荷を1又は2以上有する水溶性物質、電荷を有しない中性物質、又はこれらの任意の混合物であり、固体、スラリー、粉体又は液体の状態である請求項13に記載の方法。
- 電気泳動により分離する物質は、核酸である請求項14に記載の方法。
- 請求項6〜11のいずれか1項に記載のゲル又は請求項12に記載の方法により調製したゲルを用いて極性有機溶媒存在下に核酸又はPNA断片を分離する電気泳動法。
- 電気泳動時に用いる極性有機溶媒は、ホルムアミド及びアルコール類を含む請求項16に記載の方法。
- 電気泳動時に用いるアルコール類は、メタノールである請求項17に記載の方法。
- 核酸は、DNA又はRNAである請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
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