以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<<第1実施形態>>
本実施形態では、遊技機において生じる複数種類の大当たりの発生期間を共通に示す大当たり信号と、遊技機の稼働状況を示す稼働信号とを受信して、前記大当たりの発生期間における遊技機の稼動状況を管理する管理システムについて説明する。なお、以下の説明では、遊技機をパチンコ機で構成した場合について説明するが、スロットマシン等の他の遊技機にも適用可能であることは明らかである。
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る管理システムのシステム構成を例示的に示したブロック図である。
図1に示すように、管理システムは、管理コンピュータ100、パチンコ機200、台コンピュータ300、島コンピュータ400、及び、これらの機器を接続するネットワーク501、502から構成されている。
管理コンピュータ100は、管理システムの全体を管理し、各パチンコ機のゲーム回数や大当たり回数といった稼働データを集計・管理する情報処理装置である。管理コンピュータ100は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)等で実現される。管理コンピュータ100は、ユーザから管理システムへの指示入力を受け付ける指示入力装置や、障害検出等の表示を行う表示装置等の、ユーザインタフェースを備えている。
パチンコ機200は、所定の入賞イベントの発生に応じてパチンコ玉(遊技球)の払い出しを行う遊技機である。一般的なパチンコ機200には、パチンコ玉の入賞に応じて所定数のパチンコ玉が払い出される通常入賞口、パチンコ玉の入賞に応じて抽選処理が始動される始動入賞口、通常は閉鎖されているが抽選に当選した場合に開放される大当たり入賞口等が備えられている。
台コンピュータ300は、接続されたパチンコ機200から稼働状況に係る稼働データを取得し、管理コンピュータ100、島コンピュータ400等に通知する情報処理装置である。
島コンピュータ400は、台コンピュータ300と管理コンピュータ100との接続を仲介する情報処理装置である。本実施形態の管理システムにおいては、複数の台コンピュータ300は1以上のグループ(島)に分類され、各グループ毎に台コンピュータ300を管理する。
ネットワーク501、502は、典型的には、LAN(Local Area Network)であるが、有線/無線を問わずデータ送受信可能な回線であればどのような構成でもよい。例えば、公衆回線(アナログ回線、ISDN(Integrated Services Digital Network)等)やWAN(Wide Area Network)、無線LAN等により構成してもよい。なお、ネットワーク501、502上の通信プロトコルは、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等を採用することができる。
なお、図1に例示した管理システムの構成は、本実施形態に係る構成の作用及び効果を説明するための基本的なものである。実際の遊技場において管理システムを運用する場合は、管理コンピュータ100がパチンコ機200の稼働状況に係る情報を取得できるならば、用途や目的、或いは、機器の配置等の制約条件に基づいて、多様な構成を取ることができる。例えば、図2のように、管理コンピュータ100にパチンコ機200が接続され、管理コンピュータ100はパチンコ機200から直に稼働状況に関する情報を取得するように構成してもよい。
(管理コンピュータ100)
次に、管理コンピュータ100のハードウェア構成について、図3を参照して説明する。図3は、管理コンピュータ100のハードウェア構成を模式的に示したブロック図である。
図3において、110はCPUである。CPU110は、後述するハードディスク装置105に格納されているアプリケーションプログラム、オペレーティングシステム(OS)や制御プログラム等を実行し、RAM102にプログラムの実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する制御を行う。
101はROMであり、内部には基本I/Oプログラム等のプログラム、基本処理において使用する各種データを記憶する。102は各種データを一時記憶するためのRAMであり、CPU110の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
103は記録媒体へのアクセスを実現するための外部記憶ドライブであり、メディア(記録媒体)104に記憶されたプログラム等を本コンピュータシステムにロードすることができる。尚、メディア104には、例えば、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、CD−R、CD−RW、PCカード、DVD、ICメモリカード、MO、メモリスティック等が含まれる。
105は外部記憶装置であり、本実施形態では大容量メモリとして機能するHD(ハードディスク装置)を用いている。HD105には、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等が格納される。
106は指示入力装置であり、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネル等がこれに相当する。指示入力装置106を用いて、ユーザは、管理コンピュータ100に対して、装置を制御するコマンド等を入力指示する。
107はディスプレイであり、指示入力装置106から入力されたコマンドや、それに対する管理コンピュータ100の応答出力等を表示したりするものである。
109はシステムバスであり、管理コンピュータ100内のデータの流れを司るものである。108はインターフェイス(以下、I/Fという)であり、このI/F108を介して外部装置とのデータのやり取りを行う。
尚、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
本実施形態では、メディア104から本実施形態に係るプログラム及び関連データを直接RAM102にロードして実行させる例を示すが、これ以外にも、本実施形態に係るプログラムを動作させる度に、既にプログラムがインストールされているHD105からRAM102にロードするようにしてもよい。また、本実施形態に係るプログラムをROM101に記録しておき、これをメモリマップの一部をなすように構成し、直接CPU110で実行することも可能である。
また、本実施形態では、説明の便宜のため、管理コンピュータ100を1つの装置で実現した構成について述べるが、複数の装置にリソースを分散した構成によって実現してもよい。例えば、記憶や演算のリソースを複数の装置に分散した形に構成してもよい。或いは、管理コンピュータ100上で仮想的に実現される構成要素毎にリソースを分散し、並列処理を行うようにしてもよい。
(パチンコ機200)
次に、パチンコ機200の構成、及び、パチンコ機200における遊技の概要について、図4を参照して説明する。図4は、パチンコ機200の外観構成の概略を例示した模式図である。
図4のように、パチンコ機200は、パチンコ機本体210、表示器230を有する。また、パチンコ機200の下部に打玉量をカウント可能なアウトボックス(不図示)220を備えている。
パチンコ機本体210には盤面211が設けられ、盤面211上には、図柄表示装置212、始動入賞口(アタッカ)213、大当たり入賞口214、釘215、通常入賞口(不図示)等が備えられている。また、パチンコ機本体210の下部には、打ち込むパチンコ玉や払い出されたパチンコ玉を格納する上皿221や、パチンコ玉の打ち込みの強さを調整するハンドル222等が備えられている。表示器(呼び出しランプ)230は、大当たり発生等のイベント発生に応じて所定の表示を行う。
図柄表示装置212は、抽選等に係る図柄の演出表示を行う表示装置であり、例えば、液晶パネル等のディスプレイ装置やドラム等により構成される。図柄表示装置212は、例えば、複数の数字や図形等の図柄を変動可能に表示したり、抽選に係るデモ画面を表示したりする。
始動入賞口213は、ハンドル222等の操作により打ち出されたパチンコ玉が入賞すると、パチンコ玉の入賞を検知する。このパチンコ玉が検知されると内部的な抽選が行われ、当選した場合は大当たり等が発生する。また、始動入賞口213へのパチンコ玉の入賞を契機として、図柄表示装置212は、複数の数字や図形等の図柄を変動可能に表示する。図柄表示装置212は、変動表示の開始後、所定の変動時間を経過すると図柄の変動表示を停止し、図柄の組合せやデモ表示等により抽選結果の報知や演出表示を行う。
大当たり入賞口214は、通常はパチンコ玉が入賞しないように閉鎖されているが、大当たりに当選した場合に開放される。大当たり入賞口214にパチンコ玉が入賞すると、相当数(例えば、入賞したパチンコ玉1個につき15個)のパチンコ玉が払い出される。大当たり入賞口214の開放は、大当たり発生後、所定時間(例えば、30秒)が経過するまで、又は、所定数のパチンコ玉が大当たり入賞口214に入賞するまで継続する。この一回の開放をラウンドと呼ぶ。一般的に、大当たり入賞口214はパチンコ玉が通過しやすい位置に設けられるため、大当たりの発生期間(ラウンド中)においては大量のパチンコ玉が払い出されることになる。なお、大当たり中には、図柄表示装置212は、図柄の組合せやデモ表示等により大当たり中における演出表示を行い、表示器230は大当たりの累積回数や演出画像等を表示する。
また、パチンコ機200は、盤面211において、ラウンド中に1個以上のパチンコ玉が通過した場合に次のラウンド発生の権利が与えられる不図示の特定領域(Vゾーン)を有する。このため、パチンコ機200においては、ラウンド中にパチンコ玉がVゾーンを通過することにより、大当たり入賞口214の開放が連続することになる。なお、連続するラウンドの最大回数(例えば、15回)は予め設定されており、ラウンドがその最大回数連続すると、大当たり入賞口214の開放は終了する。
本実施形態に係るパチンコ機200は、大当たり入賞口214に入賞したパチンコ玉1つにつき払い出されるパチンコ玉数や、1ラウンドの継続時間、連続するラウンドの最大回数等がそれぞれ異なる、複数種類の大当たり状態を有する。なお、大当たり状態には、いわゆる突然確変(突確)が含まれる場合がある。ここで、確率変動(確変)及び突然確変について簡単に説明する。
確率変動は、大当たりの当選確率を通常よりも高い値に変動させることである。始動入賞口へのパチンコ玉の入賞を契機として大当たりの当選が発生する確率は予め低い値(例えば、1/500〜1/300)に設定されている。しかし、大当たりの当選が発生する確率が低いまま変動しないならば、パチンコ機の遊技が単調なものになる。そこで、遊技の興趣を盛り上げるために、近年のパチンコ機の多くは、予め定められたイベントの発生を契機として、当選確率を通常よりも高い値(例えば、1/50〜1/30)に変動させる確率変動の機能を備えている。確率変動の状態(確変状態)は、例えば、始動入賞口やその他の所定の領域をパチンコ玉が通過したこと等を契機として行われる、確変発生に係る抽選に当選した場合に発生する。また、確変状態は、一般に、次の大当たりが発生するまで継続する。なお、確変状態においては、例えば、図柄表示装置212や表示器230の背景色を通常と異なる色にすることで、遊技者に確変中であることが通知される。
一方、突然確変とは、遊技の興趣を盛り上げるために、遊技者に突然、確変状態に遷移したと思わせる演出である。例えば、図柄表示装置212で大当たりの報知をせずに、大当たり入賞口214の開放時間を短時間(例えば、0.5秒)にすることで、大当たり状態であることを遊技者に認識させ難くして、突然に確変状態になったように思わせる。突然確変による大当たり入賞口214の開放は短時間であるため、パチンコ玉の払い出しは少ない(全くないことも多い)。
本実施形態に係るパチンコ機200は、パチンコ機において生じる複数種類の大当たりの発生期間を共通に示す大当たり信号と、パチンコ機の稼働状況を示す稼働信号とを外部装置へ送出するためのインタフェース(不図示)を備える。
大当たり信号は、例えば、大当たり状態と通常状態に対応する2つの状態を有し、当該信号の立ち上がり、又は立ち下がりにより遊技状態の切り替えを通知するように構成することができる。なお、大当たり信号はパチンコ機において生じる複数種類の大当たりの発生期間を共通に示す。即ち、大当たり信号は、いずれかの大当たりが発生しているか否かを、大当たりの種類を区別せずに外部に示すものである。稼働信号には、パチンコ機200から払い出されたパチンコ玉(出玉)の数量に係る出玉信号と、パチンコ機に打ち込まれたパチンコ玉(打玉)の数量に係る打玉信号とが含まれる。これらの信号は、例えば、パチンコ玉の払い出しや打ち込みに応じてパルスを出力するように構成することができる。
後述するように、管理コンピュータ100は、大当たり信号と稼働信号とを受信し、これらの信号に基づいて当該パチンコ機200の大当たりの発生期間における稼動状況を管理する。
尚、以上の装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。例えば、入賞判定や入賞時の払い出しの制御等はソフトウェアやハードウェア装置等によって実現することができる。
また、本実施形態では説明の便宜のため、上記のように、パチンコ機200をパチンコ機本体210、アウトボックス220、表示器230で実現した構成について述べるが、このような構成に限られない。例えば、パチンコ機200を1つの装置で実現した構成としてもよい。
(台コンピュータ300)
次に、台コンピュータ300のハードウェア構成について、図5を参照して説明する。図5は、台コンピュータ300のハードウェア構成を模式的に示したブロック図である。
図5において、301は、稼働データを一時的に記憶するためのRAMであり、本実施形態では、パチンコ機200から取得された、打玉数や出玉数等のパチンコ機200の情報を記憶する。
302、303は外部装置との通信インタフェースとしての、それぞれ第1通信部、第2通信部である。第1通信部302はネットワーク502に接続するための通信インタフェースであり、第2通信部303はパチンコ機200に接続するための通信インタフェースである。
304は、システムバス(バス)であり、台コンピュータ300内のデータの流れを司るものである。
図5に例示した構成では、第2通信部303に4つのパチンコ機200が接続されているが、第2通信部303に接続されるパチンコ機200の数はこれに限られない。即ち、用途や目的に応じて適切な台数のパチンコ機200を接続して構成することができる。
第2通信部303が、パチンコ機200から稼働データを受け取ると、その情報に基づいてRAM301に記憶されたパチンコ機200の稼働データが更新される。そして、第1通信部302は、RAM301に記憶されたパチンコ機200の稼働データを読み取り、読みとった情報をネットワーク502を介して島コンピュータ400に送出する。
尚、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
また、本実施形態では、説明の便宜のため、台コンピュータ300を1つの装置で実現した構成について述べるが、複数の装置にリソースを分散した構成によって実現してもよい。例えば、記憶や演算のリソースを複数の装置に分散した形に構成してもよい。或いは、台コンピュータ300上で仮想的に実現される構成要素毎にリソースを分散し、並列処理を行うようにしてもよい。
(島コンピュータ400)
次に、島コンピュータ400のハードウェア構成について、図6を参照して説明する。図6は、島コンピュータ400のハードウェア構成を模式的に示したブロック図である。
図6において、401はCPUであり、後述するROM402等に格納されたオペレーティングシステム(OS)や制御プログラム等を実行し、RAM403にプログラムの実行に必要な情報、ファイル等を一時的に格納する制御を行う。
402はROMであり、内部には基本I/Oプログラム等のプログラム、システム管理において必要な各種データを記憶する。403は各種データを一時記憶するためのRAMであり、CPU401の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
404は、システムバス(バス)であり、島コンピュータ400内のデータの流れを司るものである。
405、406は外部装置との通信インタフェースとしての、それぞれ第1通信部、第2通信部である。本実施形態では、第1通信部405はネットワーク502を介して台コンピュータ300に接続するための通信インタフェース、第2通信部406はネットワーク501を介して管理コンピュータ100に接続するための通信インタフェースである。
尚、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
また、本実施形態では、説明の便宜のため、島コンピュータ400を1つの装置で実現した構成について述べるが、複数の装置にリソースを分散した構成によって実現してもよい。例えば、記憶や演算のリソースを複数の装置に分散した形に構成してもよい。或いは、島コンピュータ400上で仮想的に実現される構成要素毎にリソースを分散し、並列処理を行うようにしてもよい。
(処理の概要)
次に、本実施形態に係る管理システムにおける処理の概要について説明する。本実施形態に係る管理システムにおいて、管理コンピュータ100は、上述の大当たり信号と稼働信号とを受信し、これらの信号に基づいてパチンコ機200の大当たりの発生期間における稼動状況を管理する。なお、大当たり信号と稼働信号は管理コンピュータ100からの要求信号に応じて送出されるため、管理コンピュータ100は、信号の受信タイミングに基づいてパチンコ機200を識別することができる。なお、大当たり信号、稼働信号にパチンコ機を識別する情報を含めるようにしてもよいことは明らかである。
図7は、管理コンピュータ100とパチンコ機200の間の情報の流れを模式的に示した図である。図7のように、本実施形態では、管理コンピュータ100に対して、大当たり信号及び出玉信号は表示器230から、打玉信号はアウトボックス220から送出される。ただし、打玉信号はパチンコ機本体210からも送出されうる。
また、管理システムが、例えば、図1に例示したような構成の場合は、これらの信号は台コンピュータ300及び島コンピュータ400を経由して、パチンコ機200から管理コンピュータ100へ転送される。或いは、例えば、図2に例示したような構成の場合は、パチンコ機200から直接管理コンピュータ100へ転送される。なお、図1のような構成の場合、台コンピュータ300や島コンピュータ400等の中継装置において、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理や、信号を所定フォーマットのパケットに変換する処理等がなされる場合がある。これらの処理は、当業者にとって自明であるため、本実施形態では説明を省略する。
なお、大当たり信号及び稼働信号(出玉信号、打玉信号を含む)が送出される装置は、これらの信号が管理コンピュータ100へ伝達されるならば、図7に例示したものに限られない。例えば、これらの信号の全てがパチンコ機本体210から送出されるようにしてもよい。また、管理コンピュータ100が受信する稼働信号は出玉信号、打玉信号に限られない。例えば、始動入賞口213にパチンコ玉が入賞したこと、図柄が確定したこと等を示す信号が含まれるようにしてもよい。
図8は、上述の大当たり信号と稼働信号とを受信した管理コンピュータ100が実行する処理の概略を模式的に示した図である。図8のように、管理コンピュータ100は、一時データ領域151、判別用テーブル152、累積稼働データ領域153をHD105等の記憶装置に有する。これらのデータ構造等に関する詳細は後述する。
管理コンピュータ100は、大当たり有りを示す大当たり信号を受信すると(801)、大当たり無しを示す大当たり信号を受信するまで、稼働信号に基づくパチンコ機200の稼働データを一時データ領域151に累積的に格納する。ただし、一時データ領域151は大当たりの終了毎にクリアされるため、一時データ領域151には大当たりの発生期間毎の稼働データが一時的に格納されることになる。なお、後述するように、稼働データには出玉数、打玉数等の情報が含まれる。
次に、大当たり無しを示す大当たり信号を受信すると(802)、管理コンピュータ100は、一時データ領域151に格納された稼働データに基づいて大当たりの種類の判別を行う(803)。この大当たりの種類の判別の原理について、図9を参照して説明する。図9は、大当たりの発生と、大当たり信号及び稼働信号との関係を模式的に示した図である。
図9において、横方向は時間の経過を示しており、時間区間t2に大当たりaが、時間区間t4に大当たりbが発生している。901は大当たり信号の時間経過に伴う推移を示している。この場合、大当たり信号はt2、t4の時間区間で立ち上がるようになる。902は差玉、又は、出玉の累積値の時間経過に伴う推移を示している。ただし、差玉は、出玉と打玉との差分(出玉−打玉)である。903は大当たりaの発生期間における差玉又は出玉、904は大当たりbの発生期間における差玉又は出玉を示している。
一般に、大当たりの継続時間は大当たりの種類によって異なる。このため、管理コンピュータ100は、受信した大当たり信号に基づいて大当たりの継続時間を計時し、計時された前記継続時間に基づいて大当たりの種類を判別することができる。
また、大当たりの発生期間における出玉又は差玉は、一般に、大当たりの種類毎に所定の確率分布に基づき一定の範囲内に収まる傾向にある。このため、管理コンピュータ100は、大当たりの発生期間における出玉に基づいて大当たりの種類を判別することができる。或いは、大当たり信号、打玉信号、出玉信号に基づいて、大当たりの発生期間における差玉を算出し、算出された差玉に基づいて大当たりの種類を判別することができる。
管理コンピュータ100は、判別用テーブル152を参照して上記の判別を行う。ただし、判別用テーブル152は稼働データの範囲と大当たりの種類との対応関係を示す情報である。後述するように、管理コンピュータ100は、大当たりの発生期間に一時データ領域151に格納された稼働データが含まれる稼働データの範囲と、判別用テーブル152において対応関係を有する大当たりの種類を、その大当たりの種類と判別する。なお、上記の差玉、出玉等の値は大当たりの種類毎に所定の確率分布に基づき一定の範囲内に収まる傾向にあるが、予め想定された範囲を超える値が観測される場合が小さい確率で存在する。このような場合、いずれか1つのパラメータのみに基づいて大当たりの種類を判定する従来の構成においては、大当たりの種類の判定に係る誤差を補正することができなかった。これに対し、本実施形態において、管理コンピュータ100は、大当たりの終了を契機として、大当たりの継続時間に基づく判別、出玉に基づく判別、差玉に基づく判別をそれぞれ実行し、判別された大当たりの種類毎に稼働データを集計する。これにより、システム管理者は、大当たりの種類毎に集計された稼働データを解析することにより、より正確な稼働状況に係る情報を取得することが可能になるものである。
大当たりの種類の判別を行うと、管理コンピュータ100は、判別された大当たりの種類に対応する累積稼動データ領域153の値を、大当たりの発生期間に受信した稼働信号に基づいて更新する(804)。ただし、累積稼働データ領域153は、稼働情報記憶領域としての記憶領域であり、大当たりの種類毎に設定され、稼働信号に基づくパチンコ機200の稼働データの累積値を含む稼動情報が記憶される。つまり、管理コンピュータ100は、大当たりの発生期間に一時データ領域151に格納された稼働データを、判別された大当たりの種類に対応する累積稼動データ領域153の累積値に加算して当該累積値を更新する。なお、累積稼働データ領域153に記憶される稼働情報は、パチンコ機200毎に管理される。
(一時データ領域151)
次に、一時データ領域151の構造について、図10を参照して説明する。図10は、一時データ領域151の構造を模式的に示した図である。
図10のように、一時データ領域151には、大当たりの発生期間における大当中稼働データ1010と、大当たりの種類を判別するために用いられる判別用データ1020が格納される。
大当中稼働データ1010には、例えば、打玉1011、出玉1012等が含まれる。これらの情報は、大当たりの発生期間に、受信された打玉信号、出玉信号等の稼働信号に基づいて増加される。例えば、出玉信号が1個のパチンコ玉の払い出す度に1つのパルスを伝達するものである場合、管理コンピュータ100は、出玉信号においてパルスを受信する毎に出玉1012の値を1増加するように構成することができる。
判別用データ1020には、差玉1021、出玉1022、大当たり継続時間1023等が含まれる。この中で、差玉1021は、大当中稼働データ1010中の打玉1011及び出玉1012の差分(出玉−打玉)に基づいて求められる。出玉1022は、出玉1012と同じ値を格納するようにすることができる。大当たり継続時間1023は、大当たり信号に基づいて計時される大当たりの継続時間である。即ち、通常状態から大当たり状態へ変化した時からの経過時間が格納される。なお、大当たりの継続時間の計時は、一般的な情報処理装置が備えるタイマ(計時手段)を用いて行うことができる。このようなタイマは、例えば、水晶振動子等により実現される。
(判別用テーブル152)
次に、判別用テーブル152の構造について、図11を参照して説明する。図11は、判別用テーブル152の構造を模式的に示した図である。
図11のように、判別用テーブル152には、判別用データの種類(差玉1110、出玉1120、大当たり継続時間1130)毎に、判別用データの範囲と大当たりの種類との対応関係が示されている。ただし、差玉1110、出玉1120、大当たり継続時間1130は、それぞれ一時データ領域151の判別用データ1020における、差玉1021、出玉1022、大当たり継続時間1023に対応する。
例えば、差玉により大当たりの種類を判別する場合は、大当たりの発生期間における差玉の値が−300以上300未満の範囲にある場合は大当たり1、300以上1000未満の範囲にある場合は大当たり2、1000以上3000未満の範囲にある場合は大当たり3と判別される。或いは、例えば、出玉により大当たりの種類を判別する場合は、大当たりの発生期間における出玉の値が0以上100未満の範囲にある場合は大当たり1、100以上1000未満の範囲にある場合は大当たり2、1000以上3000未満の範囲にある場合は大当たり3と判別される。或いは、例えば、大当たり継続時間により判別する場合は、大当たりの継続時間が0秒以上5秒未満の範囲にある場合は大当たり1、5秒以上120秒未満の範囲にある場合は大当たり2、120秒以上600秒未満の範囲にある場合は大当たり3と判別される。なお、上記の範囲以外の値が検出された場合は範囲外と判別される。例えば、差玉の値が3000以上の場合、出玉の値が3000以上の場合、大当たり継続時間が600秒以上の場合は範囲外と判別される。
(累積稼働データ領域153)
次に、累積稼働データ領域153の構造について、図12を参照して説明する。図12は、累積稼働データ領域153の構造を模式的に示した図である。
図12のように、累積稼働データ領域153は、大当たりの種類の判別方式の種類、及び、大当たりの種類毎に設定される、複数の稼動情報記憶領域1211〜1214、1221〜1224、1231〜1234を有する。ただし、図12において、大当たりの種類には範囲外も含まれる。各稼動情報記憶領域1211〜1214(1210)、1221〜1224(1220)、1231〜1234(1230)には、稼働信号に基づくパチンコ機200の稼働データの累積値を含む稼動情報が記憶される。図12には、記憶する稼働データの種類として大当たり回数、打玉、出玉が格納される場合を例示している。なお、上述のように、累積稼働データ領域153に記憶される稼働情報は、パチンコ機200毎に管理される。
上述のように、判別された大当たりの種類に対応する累積稼動データ領域153の値は、大当たりの発生期間に受信した稼働信号に基づいて更新される。ただし、本実施形態では、大当たりの種類の判別方式に対応する累積稼働データの領域153の値が更新される。
(大当たり振り分け処理)
次に、管理コンピュータ100が実行する処理の詳細な手順について、図13を参照して説明する。図13は、管理コンピュータ100が実行する処理の手順を示したフローチャートである。なお、以下の処理はパチンコ機200のそれぞれについて独立に実行する。
まず、ステップS101において、管理コンピュータ100は、パチンコ機において生じる複数種類の大当たりの発生期間を共通に示す大当たり信号と、パチンコ機の稼働状況を示す稼働信号と、を受信する。上記のように、稼働信号には、出玉信号、打玉信号等が含まれる。
次に、ステップS102において、受信した大当たり信号を解析し、大当たり中であるか否かを判定する。例えば、大当たり信号が大当たり状態と通常状態に対応する2つの状態を有し、当該信号の立ち上がり、又は立ち下がりにより遊技状態の切り替えを通知する場合は、どちらの状態であるか否かを判定する。解析の結果、大当たり中である場合(ステップS102でYES)はステップS103へ進み、大当たり中でない場合(ステップS102でNO)はステップS104へ進む。
ステップS103では、受信した稼働信号に基づいて、一時データ領域151に大当中稼働データ1010と、大当たりの種類を判別するために用いられる判別用データ1020を更新する。即ち、上記のように、例えば、出玉信号が1個のパチンコ玉の払い出す度に1つのパルスを伝達するものである場合、管理コンピュータ100は、出玉信号においてパルスを受信する毎に、大当中稼働データ1010に含まれる出玉1012の値を1増加する。
更に、更新された大当中稼働データ1010に基づいて、判別用データ1020を更新する。例えば、上記のように、差玉1021を、大当中稼働データ1010中の打玉1011及び出玉1012の差分(出玉−打玉)に基づいて算出する。或いは、出玉1022を、大当中稼働データ1010の出玉1012と同じ値に更新する。或いは、大当たり継続時間1023を通常状態から大当たり状態へ変化した時からの経過時間に更新する。そして、ステップS101へ戻り、処理を継続する。
一方、ステップS104では、大当たりが終了した、即ち、大当たり状態から通常状態へ切り替わったか否かを判定する。大当たりの終了の判定は、例えば、ステップS104に進む直前に大当たり中だったか否かを評価することにより行うことができる。大当たりが終了した場合(ステップS104でYES)はステップS105へ進む。大当たりが終了していない、即ち、以前から通常状態だった場合(ステップS104でNO)はステップS101へ戻り、処理を継続する。
ステップS105では、大当たりの種類を判別する。本実施形態では、差玉に基づく判別と、出玉に基づく判別と、大当たりの継続時間に基づく判別と、を行う。大当たりの判別は、上述のように、判別用テーブル152を参照し、判別用データ1020の値が含まれる値の範囲に対応する大当たりの種類を検証することにより行う。
次に、ステップS106において、ステップS105で判別された大当たりの種類、及び、大当たりの種類の判別方式に対応する稼動情報記憶領域の累積値を、大当たりの発生期間に受信した稼働信号に基づいて更新する。具体的には、一時データ領域151に格納された稼働データを累積値に加算することにより、累積値の更新を行う。ただし、累積値の更新は、処理対象のパチンコ機200毎に対応する稼働データについて行う。
次に、ステップS107において、一時データ領域151に格納された値をクリア、即ち、初期値(0等)に設定する。そして、ステップS101へ戻る。
上記のように、本実施形態に係る構成においては、大当たりの終了毎に大当たりの種類を判定し、当該判定に基づいて稼働情報記憶領域の累積値を更新する。このため、本実施形態に係る構成によれば、大当たりの発生期間におけるパチンコ機の稼動状況に係る情報を、リアルタイムに取得することが可能となる。
また、本実施形態に係る構成においては、差玉、出玉、大当たり継続時間のそれぞれに基づいて大当たりの種類を判別し、判別方式毎に稼働データを管理する。このため、本実施形態に係る構成によれば、大当たりの種類の判別方式毎に記録された情報を比較し、それらの情報に矛盾がないか否かを検証することが可能となる。このため、例えば、大当たりの種類の判定に係る誤差や、或いは、遊技者による不正行為等の検出を、記録された情報を解析することにより行うことが可能になる。また、例えば、矛盾を含むと考えられる情報を除外すること等により、稼動状況に係る正確な情報を取得することができる。
このことについて具体例を挙げて更に説明する。図12において、1211、1221、1231を参照すると、大当たりの判定手法によって大当たり1の発生回数が相違している。これは、差玉、出玉等の値は、予め想定された範囲を超える値が観測される場合が小さい確率で存在するためである。このような場合、本実施形態に係る構成を利用するシステム管理者は、例えば、判定手法毎に集計された稼働データの平均値をとる等の解析を行うことで、より正確な稼働データを取得することができる。或いは、稼働データを比較して複数の判定手段の中から所望とするものを選択することができる。
稼働データの解析を可能にするために、本実施形態に係る構成は、大当たりの種類の判別に係る判別方式の選択を受け付け、受け付けた判別方式に対応する、大当たりの種類毎に設定された累積稼働データ領域の累積値を提供する。判別方式の選択は、キーボードやポインティングデバイス、タッチパネル等の指示入力装置106により、ユーザから受け付けることができる。或いは、I/F108を介して指示情報を入力したり、メディア104に記録された指示情報を読み込むことにより、外部装置から判別方式の選択を受け付けることができる。また、受け付けた判別方式に対応する、大当たりの種類毎に設定された累積稼働データ領域の累積値をディスプレイ107に表示することにより、ユーザにその累積値を提供することができる。或いは、I/F108を介してその累積値を外部装置へ送出したり、メディア104にその累積値を記録することにより、外部装置にその累積値を提供することができる。
このように、本実施形態に係る構成は、判別方式の選択を受け付け、受け付けた判別方式に対応する、大当たりの種類毎に設定された累積稼働データ領域の累積値を提供するため、ユーザは所望とする判別方式に対応する稼働データを容易に取得することができる。従って、本実施形態に係る構成によれば、ユーザは稼働データに係る矛盾検証や平均値計算等の、稼働データに係る解析を容易に行うことができる。
また、本実施形態に係る構成においては、累積稼働データ領域153には大当たりの発生回数が記憶されるため、判別手法、及び、大当たりの種類毎に大当たりの発生回数を取得することができる。なお、上述のように、本実施形態に係る構成は、パチンコ機200毎に稼働データを管理するため、管理システムのユーザは、パチンコ機200がそれぞれどのような種類の大当たりをどの程度の回数発生したかを知ることができる。なお、パチンコ機200における遊技の趣向は、突然確変等の大当たりの発生傾向に依存するものである。従って、本実施形態に係る構成によれば、管理システムのユーザは、稼働データに基づいてパチンコ機200毎に遊技の趣向を知ることができる。
<<第2実施形態>>
第1実施形態に係る構成においては、差玉、出玉、大当たり継続時間のそれぞれに基づいて大当たりの種類を判別していたが、これらの情報の全てに基づいて判別を行う必要はない。例えば、差玉、出玉、大当たり継続時間のうち、いずれか2つに基づいて大当たりの種類を判別し、判別方式毎に稼働データを管理するように構成してもよい。以下、差玉、出玉のそれぞれに基づいて大当たりの種類を判別し、判別方式毎に稼働データを管理する構成について説明する。なお、このような構成は基本的には第1実施形態に係る構成と同様であるため、第1実施形態に係る構成との相違点を説明する。
まず、図10において、一時データ領域151の判別用データ1020は、大当たり継続時間に係るデータ1023を有する必要はなく、差玉及び出玉に係るデータ1021、1022を有する。また、図11において、判別用テーブル152は、大当たり継続時間に係るデータ1130を有する必要はなく、差玉及び出玉に係るデータ1110、1120を有する。また、図12において、累積稼働データ領域153は、大当たり継続時間に係るデータ1230を有する必要はなく、差玉及び出玉に係るデータ1210、1220を有する。大当たりを振り分ける処理については第1実施形態に係る構成と同様であるが、大当たりの種類の判別において、大当たり継続時間は用いず、差玉及び出玉のそれぞれを用いて行う点が第1実施形態に係る構成と相違する。
上記の構成によれば、大当たり継続時間を大当たりの振り分けに用いないため、記憶装置や演算装置の処理負担を小さくすることができる。なお、稼働情報記憶領域の累積値の更新は第1実施形態に係る構成と同様に行っているため、本実施形態に係る構成においても、大当たりの発生期間におけるパチンコ機の稼動状況に係る情報をリアルタイムに取得することが可能である。
また、本実施形態に係る構成においても複数の判別用データのそれぞれに基づいて大当たりの種類を判別し、判別方式毎に稼働データを管理している。このため、本実施形態に係る構成においても、大当たりの種類の判別方式毎に記録された情報を比較し、それらの情報に矛盾がないか否かを検証することが可能である。このため、例えば、大当たりの種類の判定の誤差や、或いは、遊技者による不正行為等の検出を行うことができ、また、稼動状況に係る正確な情報を取得することができる。
なお、上記では、差玉、出玉のそれぞれに基づく構成について説明したが、例えば、出玉と大当たり継続時間、或いは、大当たり継続時間と差玉に基づいて同様の処理を行うように構成してもよいことは明らかである。
<<その他の実施形態>>
上記の実施形態に係る構成においては、複数の判別用データのそれぞれに基づいて大当たりの種類を判別していたが、これらのうちのいずれかに基づいて大当たりの種類を判別し稼働データを管理するように構成してもよい。このような構成によれば、さらに記憶装置や演算装置の処理負担を小さくすることができる。なお、稼働情報記憶領域の累積値の更新は上記の実施形態に係る構成と同様に行っているため、このような構成においても、大当たりの発生期間におけるパチンコ機の稼動状況に係る情報をリアルタイムに取得することが可能である。
また、上記の実施形態では、管理コンピュータ100は、受信した大当たり信号、打玉信号、出玉信号に基づいて、大当たりの発生期間における差玉を算出していた。しかし、例えば、パチンコ機200側で差玉を算出し、管理コンピュータ100はその算出結果を取得して利用するように構成してもよい。
また、上記の実施形態においては、管理対象の遊技機としてパチンコ機を想定して説明を行った。しかし、上述の管理システムは、例えば、パチスロ(スロットマシン)やパチロット等の他の遊技機に対しても適用可能であることは明らかである。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様を取ることが可能である。
本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、このコンピュータにインストールされるプログラム自体も本発明の技術的範囲に含まれる。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含む。この場合、プログラムの提供方法としては、CD−ROM、DVD等の記憶媒体を用いて提供する方法や、電気通信回線を介して提供する方法等が含まれる。