JP4688729B2 - 回転電機の固定子 - Google Patents

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本発明は、回転電機の固定子に関するものである。
回転電機においては、固定子鉄心と固定子巻線との間の絶縁性を確保することが重要であり、これらの間の絶縁には絶縁紙が一般に用いられている(例えば、特許文献1参照)。しかし、絶縁紙を用いたものにおいては、回転電機の振動等により固定子巻線がスロットのコーナ部等に接触した場合に、この部分の絶縁紙が損傷するおそれがある。そして、絶縁紙の損傷により固定子鉄心が露出した部分に固定子巻線が接触して、固定子巻線の絶縁被膜が損傷し、絶縁性を確保できなくなるおそれがある。
特開2000−92801号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、固定子巻線と固定子鉄心との間の絶縁性を確保することができる回転電機の固定子を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。
請求項1に記載の発明では、周方向に複数のスロットが形成された円筒状の固定子鉄心と、外周に絶縁被膜層を有する電気導体によって形成され、前記スロットに絶縁紙を介在させることなく収容される固定子巻線とを備えた回転電機の固定子において、前記スロットの内壁面に、樹脂コーティングによる樹脂層を設け、前記樹脂層は、前記電気導体の絶縁被膜層の被膜材より硬度が小さいことを特徴としている。
スロットの内壁面と電気導体との間における絶縁に樹脂を用いることで、絶縁紙による絶縁の場合に比べて絶縁材自体の損傷を抑止することができる。これにより電気導体に対して固定子鉄心が露出する可能性を小さくすることができる。また、この樹脂は電気導体の絶縁被膜の被膜材より硬度が小さいので、電気導体と樹脂層とが接触した場合でも電気導体の絶縁被膜層が損傷を受けるおそれが低く、電気導体の絶縁性を確保することができる。
請求項2に記載の発明では、前記樹脂層は、前記スロットの軸方向の中央付近よりも軸方向端部が厚く形成されていることを特徴としている。
回転電機が振動下に置かれた場合等には、固定子巻線を形成する電気導体はスロット内壁面の軸方向端部(スロット周縁部)と接触しやすい。この点、本請求項に記載の発明では、軸方向端部における樹脂層をそれよりも中央部分の樹脂層よりも厚く形成している。このため、接触しやすい部位における絶縁性を向上することができる。また、中央部分における樹脂層の厚さを薄くすることで、電気導体をスロット内に配置する際における電気導体とスロット内壁面との接触を抑止することができる。この結果、電気導体をスロット内に配置することが容易となる。
請求項に記載の発明では、前記スロットの内壁面における樹脂層を、電着塗装により形成したことを特徴としている。電着塗装により樹脂層を形成することで、スロットの内壁面のような奥まった部位にも樹脂層を形成することが容易となる。また、電着塗装の特性上、スロットの内部ほど薄く、端部ほど厚く樹脂層が形成される。このような電着塗装の特性を利用することにより、請求項2に記載の発明のように、スロットの中央部分は薄く、端部は厚く樹脂層を形成することが容易となる。
スロットの端部と対向して位置する電気導体の絶縁被膜層を保護するとともに、スロット内の導体占積率を維持するためには、請求項に記載の発明のように、前記スロットの軸方向端部における樹脂層を、40μmから70μmの範囲の厚さとすることが望ましい。さらに、前記スロットの軸方向端部における樹脂層を、50μmから60μmの範囲の厚さとすることがより望ましい。なお、固定子鉄心の製造方法によっては、軸方向端部におけるスロット周縁部が曲面状となっている場合がある。この場合、スロットの軸方向端部における樹脂層の厚さは、固定子鉄心の上面とスロットの内壁面との仮想交点から計測するものとする。
請求項に記載の発明では、前記電気導体の外周にエナメル層を設けるとともに、当該エナメル層の外周に押出被覆樹脂層を設けることにより、前記絶縁被膜層を形成したことを特徴としている。この構成とすることで、電気導体の絶縁被膜を厚く形成することが容易となる。この結果、電気導体の絶縁性を高めることが可能になる。また、電気導体とスロットの内壁面との間に所定の距離を確保することができるので、コロナ放電の発生を抑止することも可能となる。
電気導体の絶縁性を維持しコロナ放電を抑止するとともに、スロット内の導体占積率を維持するためには、請求項に記載の発明のように、前記電気導体に形成された絶縁被膜層を、100μmから170μmの範囲の厚さにすることが望ましい。さらに、前記電気導体に形成された絶縁被膜層を、110μmから150μmの範囲の厚さにすることがより望ましい。
請求項に記載の発明では、前記電気導体として複数の導体セグメントを用い、当該複数の導体セグメントの端部を互いに接合して前記固定子巻線を形成したことを特徴としている。これにより、固定子巻線を形成する電気導体をスロット内に配置することが容易となるので、固定子巻線の製造が容易となる。
請求項に記載の発明では、前記導体セグメントの前記スロット内における断面形状を、前記スロット形状に沿った略矩形状としたことを特徴としている。これにより、スロット内における電気導体の占積率を高めることが容易となる。
請求項に記載の発明では、請求項1から請求項のいずれかに記載の固定子を車両に搭載される回転電機に適用することを特徴としている。回転電機が車両に搭載された場合には、車両の振動等により固定子巻線がスロットの内壁面等に接触しやすくなる。この点、本発明の固定子を採用することで、車両のような厳しい環境下においても、絶縁破壊を抑止することが可能となる。
以下、本発明の回転電機を車両駆動用のモータジェネレータ(MG)10として具現化した場合の一実施の形態について説明する。
まず、本実施形態のMG10の構成について説明する。図1は本実施形態のMG10の全体構造を示す断面図である。また、図2はMG10の回路図である。図1に示すように、本実施形態のMG10は、ハウジング11、回転子20、固定子30を含んで構成されている。
回転子20は、回転軸21、回転子鉄心22及び永久磁石23を含んで構成されている。回転子鉄心22は回転軸21に固定されている。また、回転軸21は一組の軸受12,13を介してハウジング11に回転自在に支持されている。永久磁石23は、回転子鉄心22の周方向に所定ピッチで複数個埋設して配置され、各永久磁石23の極性が周方向に交互に異なるように着磁されている。なお、回転子20の構造は、例えば、ランデルポールコアに界磁巻線を巻装した巻線界磁式等、公知の種々の形式に置換可能である。
固定子30は、回転子20の径方向外側に配置されている。固定子30は、固定子鉄心31と固定子巻線32とにより構成されている。固定子鉄心31は円筒状であり、ハウジング11の周壁内周面に固定されている。固定子巻線32は、固定子鉄心31の各スロットに巻装されている。また、固定子鉄心31の一方の軸方向端面からは固定子巻線32の第1コイルエンド部32aが回転軸21に沿った方向に突出しており、他方の軸方向端面からは固定子巻線32の第2コイルエンド部32bが回転軸21に沿った方向に突出している。
図2に示すように、固定子巻線32は、U相コイル32UとV相コイル32VとW相コイル32WとがY結線されて形成されている。U相コイル32Uは、周回コイルU1,U2,U3,U4が直列接続されて形成されている。同様に、V相コイル32Vは、周回コイルV1,V2,V3,V4が直列接続されて形成されている。同様に、W相コイル32Wは、周回コイルW1,W2,W3,W4が直列接続されて形成されている。
バッテリ40と、各相コイルの外部引き出し端子320U,320V,320Wとの間には、インバータ41が接続されている。インバータ41は、六つのパワー素子42から構成されている。
車両駆動時においては、コントローラ(図示略)からの指示により、パワー素子42が適宜スイッチング操作され、バッテリ40からインバータ41を介して固定子巻線32に三相交流電圧が印加される。この印加電圧により、回転子20が回転する。回転子20の回転軸21は、エンジンのクランク軸(図示略)に直結或いはクラッチ、ギヤ等を介して結合されている。直結の場合は、回転子20の回転軸21の回転により、エンジンが始動する。一方、充電時においては、クランク軸及び回転子20の回転軸21の回転により、固定子巻線32からバッテリ40に電流が流れる。この電流により、バッテリ40が充電される。
次に、固定子30の詳細について説明する。
図3に示すように、固定子鉄心31は、リング状の多数のコアシート36を積層して形成されている。コアシート36の内周側にはスロット35に対応する凹部37が等間隔に形成されている。このコアシート36は、プレス型を用いて薄い鋼板を打ち抜くことにより形成されている。なお、スロット35に対応する凹部37は、回転子20の磁極数に対応して三相の固定子巻線32をスロット35内に収容するために、96個形成されている。このコアシート36を多数積層することにより、周方向に多相の固定子巻線32が収容される96個のスロット35が形成されるとともに、隣接するスロット35間に96個のティース34が形成される。
図4は固定子巻線32を構成する基本セグメント33の模式的形状を示す斜視図である。固定子巻線32は、図4に示すような、略矩形断面(平角断面)をもった一定の太さの電気導体を略U字状に成形したセグメント33を接続して形成されている。基本セグメント33は、大セグメント331と小セグメント332とにより構成されている。
大セグメント331は、内径側被収容部331a、外径側被収容部331b、ターン部331c、内径側開放端部331d及び外径側開放端部331eを有している。内径側被収容部331a,332aと外径側被収容部331b,332bとは、それぞれ所定の磁極ピッチ(本実施形態では12スロット分)だけ離間した二つのスロット35に収容されている。大セグメント331の内径側被収容部331aはスロット35における最内径側に配置されており、外径側被収容部331bはスロット35における最外径側に配置されている。ターン部331cは内径側被収容部331aの一端と外径側被収容部331bの一端とをスロット35の外で連結している。内径側開放端部331dは内径側被収容部331aの他端からスロット35の外に延在している。同様に、外径側開放端部331eは、外径側被収容部331bの他端からスロット35の外に延在している。
小セグメント332も、大セグメント331と同様に、内径側被収容部332a、外径側被収容部332b、ターン部332c、内径側開放端部332d及び外径側開放端部332eを有している。小セグメント332は、大セグメント331に囲まれるように配置されている。内径側被収容部332aと外径側被収容部332bとは、それぞれ所定の磁極ピッチだけ離間した二つのスロットに収容されている。内径側被収容部332aはスロット35における内径側被収容部331aの外径側に隣接して配置されており、外径側被収容部332bはスロット35における外径側被収容部331bの内径側に隣接して配置されている。ターン部332cは、内径側被収容部332aの一端と外径側被収容部332bの一端とを、スロット外で連結している。内径側開放端部332dは、内径側被収容部332aの他端からスロット外に延在している。同様に、外径側開放端部332eは、外径側被収容部332bの他端からスロット外に延在している。
図5は大セグメント331の断面図を示している。図5に示すように、セグメント331は電気導体からなる導体部33aの外周に絶縁被膜39を設けて形成されている。本実施形態では、導体部33aの外周にエナメル層39aが膜厚約40μmで設けられ、エナメル層39aの外周に押出被覆樹脂層としてのポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂層39bが膜厚約70μmで設けられている。小セグメント332についても、同様の構成となっている。
図6は固定子30の軸方向に垂直な断面を展開して部分的に示す図である。上述のように、固定子巻線32は複数の基本セグメント33の端部を接続して形成されている。そして、固定子鉄心31の各スロット35には、それぞれ偶数本(本実施形態では4本)のセグメント331,332の被収容部331a,331b,332a,332bが収容されている。一のスロット35内の4本のセグメント331,332の被収容部331a,331b,332a,332bは、固定子鉄心31の径方向に関して内側から内端層X1、内中層X2、外中層X3、外端層X4の順で一列に配列されている。
上述のように、各スロット35内に配置された被収容部331a,331b,332a,332bは、所定の磁極ピッチ(本実施形態では12スロット分)離れた他のスロット35内に配置した被収容部331a,331b,332a,332bと対をなしている。特に、第1及び第2のコイルエンド部32a,32bにおける複数のセグメント331,332間の隙間を確保し整列して配置するために、一のスロット35内の所定の層の被収容部331a,331b,332a,332bは、所定の磁極ピッチ離れた他のスロット35内の他の層の被収容部331a,331b,332a,332bと対をなしている。
例えば、図6に示すように、周回コイルU1における一のスロット35内の内端層X1の被収容部331aは、固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の外端層X4の被収容部331bと対をなしている。同様に、周回コイルU1における一のスロット35内の内中層X2の被収容部332aは固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の外中層X3の被収容部332bと対をなしている。
そして、これらの対をなす被収容部331a,331b,332a,332bは、固定子鉄心31の第1コイルエンド部32a側において連続線(ターン部331c、332c)により接続されている。したがって、固定子鉄心31の第1コイルエンド部32a側においては、内中層X2の被収容部332bと外中層X3の被収容部332bとを接続するターン部332cを、内端層X1の被収容部331aと外端層X4の被収容部331bとを接続するターン部331cが囲むこととなる。
一方、周回コイルU1における一のスロット35内の内中層X2の被収容部332aは、固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の内端層X1の被収容部331a'とも電気的に対をなしている。同様に、周回コイルU1における一のスロット35内の外端層X4の被収容部331b'は、固定子鉄心31の時計回り方向に向けて1磁極ピッチ離れた他のスロット35内の外中層X3の被収容部332bと電気的に対をなしている。
そして、固定子鉄心31の第2コイルエンド部32b側において、これらの被収容部332a,331a',331b',332bからスロット35の外に延在する開放端部332d,331d',331e',332eの端部同士は溶接等で接合され電気的に結線されている。したがって、固定子鉄心31の第2コイルエンド部32b側においては、内端層X1の電気導体と内中層X2の電気導体とを接続する接合部と、外中層X3の電気導体と外端層X4の電気導体とを接続する接合部とが、径方向に並んでいる。
基本セグメント33を規則的にスロット35に配置して、固定子鉄心31の周りを2周する各周回コイルが形成されている。なお、1周めと2周めとを接続するターン部は基本セグメント33とは形状の異なる異形セグメントで構成されている。また、各周回コイル間を接続するセグメント及び固定子巻線32の引出線を構成するセグメントも異形セグメントで構成されている。
図7は図6のA−A線断面図であり、スロット35の内部の状態が示されている。上述のように、薄い鋼板の打ち抜きによりコアシート36が形成されるため、各コアシート36の凹部37における打ち抜き方向入口側の周縁には、曲面部37aが形成されている。また、打ち抜き方向の出口側端部には、打ち抜き方向に向けて延びるばり37bが形成されている。ばり37bは先端が鋭利なものを含み、コアシート36の下面から最大約30μmて延びている。なお、図7においてはコアシート36が20枚積層された固定子鉄心31が示されているが、実際にはさらに多数のコアシート36を積層して固定子鉄心31が形成される。
また、コアシート36を積層する際には、周方向に所定の積層ばらつきが生じ得る。そのため、スロット35の内壁面には、わずかに段差が形成されている。通常、コアシート36の周方向の積層ばらつきの最大値は、40〜50μm程度である。
図7に示すように、固定子鉄心31の表面全体には、樹脂コーティングによる樹脂層38が形成されている。樹脂層38には、絶縁性及び耐熱性に優れるとともにセグメント33の絶縁被膜材であるエナメル及びPPS樹脂よりも硬度の小さいポリイミド系樹脂が用いられている。なお、樹脂コーティングによる樹脂層38の形成は電着塗装により行われる。
スロット35内においては、電着塗装の特性上、スロット35の軸方向中央付近ほど薄く、軸方向端部ほど厚く樹脂層38が形成されている。スロット35の中央付近での樹脂層38の厚さt1は約35μmであり、軸方向端部での厚さt2は約70μmとなっている。なお、上述のとおり、コアシート36は周方向に積層ばらつきを生じ得るため、スロット35内の周方向両面で樹脂層38の厚さが異なることが考えられる。このため、上記厚さは、スロット35の軸方向中央付近及び軸方向端部における各樹脂層38の厚さの平均値を示している。また、軸方向端部での厚さt2は、固定子鉄心31の端面側に配置されたコアシート36の上面部36aと凹部37の側面部37cとの仮想交点Xからの厚さとする。
次に、固定子30の製造工程を以下に説明する。
(コア形成工程)まず、コアシート36を複数枚積層して固定子鉄心31を形成する。そして、電着塗装により固定子鉄心31の全体に樹脂層38を形成する。
(挿入工程)図8に示すように、小セグメント332のターン部332cを大セグメント331のターン部331cが囲むように揃えられた状態で、基本セグメント33を固定子鉄心31の軸方向端面の一方側から挿入する。その際、大セグメント331の一方の収容部331aは固定子鉄心31の一のスロット35の内端層X1に、小セグメント332の一方の収容部332aは一のスロット35の内中層X2に、そして、大セグメント331の他方の収容部331bは固定子鉄心31の一のスロット35から時計方向に1磁極ピッチ離れた他のスロット35の外端層X4に、小セグメント332の他方の収容部332bも他のスロット35の外中層X3に挿入する。
その結果、図6に示すように一のスロット35には内端層X1側から、上述した収容部331a,332a,332b',331b'が一列に配置される。ここで、収容部332b',331b'は、1磁極ピッチずれた他のスロット35内の収容部と対をなしている大小のセグメント331,332の収容部である。
(折り曲げ工程)セグメント33の挿入後、第2コイルエンド部32b側におけるスロット35の出口近傍において、端層側に位置している外径側及び内径側の開放端部331d,331eは、大セグメント331が開く方向に半磁極ピッチ分(本実施形態では6スロット分)捻られて折り曲げられる。そして、中層に位置している外径側及び内径側の開放端部332d,332eは、小セグメント332が閉じる方向に半磁極ピッチ分捻られて折り曲げられる。その結果、第2コイルエンド部32bにおいては、径方向に隣接するセグメント331,332の開放端部331d,331e,332d,332eは周方向の逆向きに傾斜する。以上の動作が、全てのスロット35のセグメント33について行われる。
(接合工程)そして、第2コイルエンド部32bにおいて、外端層X4の開放端部331e'と外中層X3の開放端部332e、並びに内中層X2の開放端部332dと内端層X1の開放端部331d'とが、溶接、超音波溶着、アーク溶接、ろう付け等の手段によって電気的導通を得るように接合され固定子30が得られる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
本実施形態では、固定子鉄心31におけるスロット35の内壁面にはポリイミド系樹脂による樹脂層38が形成されている。樹脂層38による絶縁を採用することで絶縁紙による絶縁の場合に比べて絶縁材自体の損傷を抑止することができる。これにより、固定子巻線32に対して固定子鉄心31が露出する可能性を抑止でき、固定子鉄心31と固定子巻線32との間の絶縁性を確保することができる。
本実施形態では、スロット35をコーティングしている樹脂よりも硬度が大きい被膜材でセグメント33の絶縁被膜層39が形成されている。一般に硬度の大きい材料の部材と硬度の小さい材料の部材とが接触した場合には、硬度の小さい材料の部材が損傷を受ける。このため、セグメント33がスロット35の樹脂層38と接触しても、セグメント33の絶縁被膜層39が損傷を受けるおそれが低く、セグメント33の絶縁性を確保することができる。
MG10が振動下に置かれた場合には、固定子巻線32を形成するセグメント33が固定子鉄心31の端面側におけるスロット35の周縁(スロット35の内壁面の軸方向端部)と接触しやすい。また、セグメント33の折り曲げ工程においても、スロット35の周縁部36と接触しやすい。この点、本実施形態では、スロット35の内壁面をコーティングしている樹脂層38は、軸方向の中央付近よりも軸方向端部において厚く形成されている。このため、セグメント33が接触しやすい部位における絶縁性を向上することができる。また、軸方向の中央付近の樹脂層38を薄くすることで、セグメント33をスロット35内に挿入する際におけるセグメント33とスロット35の内壁面との接触を抑制できる。この結果、挿入工程が容易になり生産性が向上する。また、樹脂層38は電着塗装により形成されているので、軸方向の中央付近を薄く、端部を厚くコーティングすることが容易となる。
固定子鉄心31は、スロット35の形状が打ち抜かれたコアシート36を積層して形成されている。したがって、スロット35の内壁面には、打ち抜きによって生じたばり37bが存在している。この点本実施形態では、スロット35内には樹脂層38が形成されており、その厚みは軸方向の中央付近でも約35μmとなっている。このため、突出長さが約30μmのばり37bを樹脂層38で覆うことができ、ばり37bによるセグメント33の絶縁被膜39の損傷を抑止することができる。また、スロット35の内壁面に樹脂層38を形成することで、ばり37bやコアシート36の積層ばらつきがあっても、スロット35の内壁面を滑らかにすることができる。この結果、セグメント33をスロット35内に挿入する際や、固定子30が振動下に置かれた場合にも等においても、セグメント33の絶縁被膜39が損傷を受けることを抑止することが可能となる。また、上記のようにスロット35内の樹脂層38の厚さを規定することで、万一セグメント33の絶縁被膜39が損傷を受けた場合でも最低限の絶縁性を確保することができる。
本実施形態では、セグメント33に施された絶縁被膜39の厚さは、エナメル層39aとPPS層39bとを合わせて約110μmとなっている。これにより、セグメント33の絶縁性を高めることが可能になる。また、スロット35の内壁面との間に所定の距離を確保することができるので、コロナ放電の発生を抑止することも可能となる。
本実施形態では、エナメル層39a及び押出被覆樹脂層としてのPPS樹脂層39bで絶縁被膜39を形成している。エナメル層39aのみで厚被膜化することは容易ではないが、エナメル層39aとPPS樹脂層39bとを組み合わせて二重の絶縁被膜39とすることで厚被膜化が容易となる。
本実施形態では、固定子巻線32は略U字状のセグメント33をスロット35内に挿入した後、それらの端部を接合して形成されている。固定子巻線32を形成する電気導体をセグメント状とすることで、セグメント33をスロット35内に配置することが容易となる。これにより、固定子巻線32の製造が容易となる。また、セグメント33は断面が略矩形状であり、スロット35の形状に沿ったものとなっている。これにより、スロット35内におけるセグメント33(電気導体)の占積率を高めることが容易となる。
また、本実施形態の構成を採用することで、振動等が頻繁に生じ得る車両搭載時においても絶縁破壊を効果的に抑止することが可能となる。また、本実施形態のように、スロット内における電気導体の高占積率化を実現することで、車両駆動用としても適した高出力のMG10を実現することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記実施形態では、固定子鉄心31の全体を樹脂でコーティングした。しかし、本発明の目的を達成するためには、必ずしも固定子鉄心31の全体を樹脂でコーティングする必要はなく、少なくともスロット35の内壁面に樹脂層38を形成すればよい。
上記実施形態では、スロット35の軸方向端部における樹脂層38の厚さを70μmとした。しかし、スロット35の軸方向端部に位置するセグメント33の絶縁被膜39を保護するとともに、スロット35内の導体占積率を高くするためには、40〜70μm程度の厚みとすればよい。
上記実施形態では、セグメント33の絶縁被膜39は、エナメル層39aとPPS樹脂層39bとを合わせて約110μmとした。しかし、絶縁性を維持し、コロナ放電を抑止するとともに、スロット35内の導体高占積率を維持するためには、絶縁被膜39の厚みを100〜170μmとすればよい。
上記各実施形態では、回転子20の磁極数に対応してスロット35の数を96とした。しかし、スロット35の数は96に限るものではなく、回転子20の磁極数に対応して変更が可能である。
上記各実施形態では、エナメル層39aの外周に設けられた押出被覆樹脂層をPPS樹脂を用いて形成した。しかし、押出被覆樹脂層としては押出加工が可能なものであればよく、ポリプロピレン(PP)やポリメチルペンテン(PMP)等を用いることも可能である。
第一実施形態のモータジェネレータの全体構造を示す断面図。 第一実施形態のモータジェネレータの回路図。 第一実施形態のコアシートを積層して形成される固定子鉄心の説明図。 第一実施形態の固定子巻線を構成するセグメントの模式的形状を示す斜視図。 第一実施形態の電気導体の断面図。 第一実施形態の固定子の部分的な模式断面図。 図6のA−A線断面図。 第一実施形態の固定子鉄心に対するセグメントの挿入工程を示す斜視図。
符号の説明
10…モータジェネレータ(MG)、11…ハウジング、12,13…軸受、20…回転子、21…回転軸、22…回転子鉄心、23…永久磁石、30…固定子、31…固定子鉄心、32…固定子巻線、33…セグメント、34…ティース、35…スロット、36…コアシート、36a…上面部、37…凹部、37a…曲面部、37b…ばり、37c…側面部、38…樹脂層、39…絶縁被膜、39a…エナメル層、39b…ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂層。

Claims (9)

  1. 周方向に複数のスロットが形成された円筒状の固定子鉄心と、
    外周に絶縁被膜層を有する電気導体によって形成され、前記スロットに絶縁紙を介在させることなく収容される固定子巻線とを備えた回転電機の固定子において、
    前記スロットの内壁面に、樹脂コーティングによる樹脂層を設け、
    前記樹脂層は、前記電気導体の絶縁被膜層の被膜材より硬度が小さいことを特徴とする回転電機の固定子。
  2. 前記樹脂層は、前記スロットの軸方向の中央付近よりも軸方向端部が厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機の固定子。
  3. 前記スロットの内壁面における樹脂層を、電着塗装により形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転電機の固定子。
  4. 前記スロットの軸方向端部における樹脂層を、40μmから70μmの範囲の厚さとしたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  5. 前記電気導体の外周にエナメル層を設けるとともに、当該エナメル層の外周に押出被覆樹脂層を設けることにより、前記絶縁被膜層を形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  6. 前記電気導体に形成された絶縁被膜層を、100μmから170μmの範囲の厚さにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  7. 前記電気導体として複数の導体セグメントを用い、当該複数の導体セグメントの端部を互いに接合して前記固定子巻線を形成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の回転電機の固定子。
  8. 前記導体セグメントの前記スロット内における断面形状を、前記スロット形状に沿った略矩形状としたことを特徴とすることを特徴とする請求項7に記載の回転電機の固定子。
  9. 車両に搭載される回転電機に適用することを特徴とすることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の回転電機の固定子。
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