JP4688288B2 - 線状加熱の加熱方案策定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は船殻等の曲がり外板の加工の如き金属板を素材から目的曲面形状へ曲げ加工するために、加熱線配置、加熱条件及び加熱順序を定める線状加熱の加熱方案策定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、船舶等に用いられる金属板の曲げ加工には、線状加熱による曲げ加工方法が採用されている。
【0003】
線状加熱は、金属板をガスバーナ等の点熱源で線状に局所加熱すると、周囲から拘束を受けて塑性歪を発生して変形する性質を利用し、金属板上に加熱個所を適当に配置することで対象金属板を目的曲面形状に曲げ加工する技術である。
【0004】
従来、線状加熱による金属板の曲げ加工は、熟練者が勘や技能により長い経験を経て修得する技能として、加熱位置、方向、加熱条件、加熱順序等を定めて行われていた。
【0005】
かかる線状加熱により金属板を3次元曲面に曲げ加工する場合、図10(イ)に示す如く、金属板1上にて複数の加熱線2が接近したり、図10(ロ)に示す如く、複数の加熱線2が交差することにより、それぞれの加熱線2に沿う加熱部が重畳する個所が発生する。特に、金属板1が厚い場合や目的曲面形状の曲率が大きい(曲りが大きい)場合には、加熱線2を高い密度で配置する必要があるため、このような個所が多くなる。
【0006】
一方、上記線状加熱では、その原理から必然的に加熱部の周辺には残留応力(弾性歪)が付随して発生する。このため、図10(イ)(ロ)に示した如く、加熱線2が接近又は交差して加熱部が重畳する個所では、先行して加熱を施された一方の加熱線2の周囲に付随する残留応力が、他方の加熱線2の加熱時に加熱部が重なって該個所における金属板1が加熱されて柔らかくなることにより顕現し、該個所に変形を生じさせるように働いて塑性変形に置き換わるので、金属板1には、個々の加熱線2の加熱を独立して行った場合の変形を足したものとは異なる変形が得られるようになり、このため加熱線2同士が接近又は交差する部分の数が多くなると、加熱方案の与える形状と目的形状との差が無視できない程度に大きくなる。しかし、加熱線2に必然的に付随する残留応力の影響は目に見えないため、これを定量的に捉えて事前に計画に盛り込むことはできず、このため、線状加熱による金属板の曲げ加工を実施する場合に、実際に起きる現象に対応する形で逐次対処せざるを得ず、その判断には長年の経験に基づく熟練を要していた。
【0007】
ところで、近年では、線状加熱を機械的に行う方法として、有限要素法(FEM)を応用して、金属板を目的形状に曲げるのに必要な線状の加熱位置(加熱線)と、該各加熱線にどれだけの熱を与えるかを決める加熱条件とをコンピュータで自動算出すると共に、該算出される各加熱線に対して所要の加熱順序を設定した加熱方案を策定し、該策定された加熱法案に基づいて、金属板上に配置された加熱線に沿って加熱源を移動させながら、該加熱源の移動速度を制御パラメータとして、上記加熱条件で定められた所定の入熱量となるように上記加熱順序に従って順次加熱線を局所加熱することにより、金属板全体を目的形状に曲げるようにする方法が採られるようになってきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記線状加熱を機械的に行う方法では、加熱方案を策定する際に加熱線に付随する残留応力を定量的に捉える手法は確立されておらず、したがって、加熱方案の与える形状が目的形状との差があまり大きくならないように、すなわち、加熱線同士が互いにあまり干渉せず、一つの加熱線の残留応力が他の加熱線の加熱時に影響することが少ないように、加熱線を一定の距離をおいて配置することを条件として成立していた。このため、緩やかな曲率の曲面のみを対象とせざるを得ないというのが実情である。
【0009】
そこで、本発明は、加熱線が接近又は交差して加熱部が重畳する個所における残留応力の影響を評価することができて、高い精度で曲げ加工を行うことが可能な加熱方案を策定できる線状加熱の加熱方案策定方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を得るため、金属板表面に加熱線を配置すると共に該各加熱線に対する加熱条件を定め、且つ上記各加熱線に加熱順序を設定する線状加熱の加熱方案策定方法において、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と加熱条件と加熱順序を定めた仮の加熱方案を策定し、次に、上記加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順序を境界にして加熱線を先行と後続のグループに分け、次いで、先行グループの加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行った後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく設定して自由変形させるシミュレーションを行い、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力を、ヤング率が低下したFEM要素に集中して顕在化させ、しかる後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素に該加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行い、該シミュレーションにより得られる金属板形状を目的曲面形状と比較して加熱方案を求めるようにする。
【0011】
先行する加熱線の加熱により生じる生成固有歪を与えて金属板を自由変形させるシミュレーションを行うと、上記先行する加熱線を加熱した場合の金属板の変形とその時点で生じる残留応力分布が求められ、この状態において、後続の加熱線の通過位置におけるヤング率を小さくすると、該位置における金属板が後続の加熱線の加熱時に柔らかくなった状態が模擬されるため、上記先行する加熱線に付随して生じていた残留応力が、該部分において顕現する場合の金属板の変形が求められる。したがって、その後、後続の加熱線の加熱により生じる生成固有歪を与えて金属板を自由変形させるシミュレーションを行うことにより、加熱線に付随する残留応力を評価した上で、仮の加熱方案に従って各加熱線を線状加熱した場合に得られる金属板の形状が求められる。
【0012】
よって、上記仮の加熱方案に従って線状加熱した場合に得られる形状と、目的曲面形状とを比較して、両者の差が小さくなるように加熱方案を求めると、該求められた加熱方案に従って金属板を曲げ加工することにより、目的曲面形状が高い精度で得られるようになる。
【0013】
又、金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を得るため、金属板表面に加熱線を配置すると共に該各加熱線に対する加熱条件を定め、且つ上記各加熱線に加熱順序を設定する線状加熱の加熱方案策定方法において、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と加熱条件と加熱順序を定めた仮の加熱方案を策定し、次に、上記加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順序を境界にして加熱線を先行と後続のグループに分け、次いで、先行グループの加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行った後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく設定して自由変形させるシミュレーションを行い、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力を、ヤング率が低下したFEM要素に集中して顕在化させ、しかる後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素に該加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行い、該シミュレーションにより得られる金属板形状を目的曲面形状と比較し、両者の差が大きい場合に該差の分布を基に目的固有歪を修正し更新して、上記差が小さくなるまで繰り返し行うことにより加熱方案を求めるようにすることにより、仮の加熱方案に従ってシミュレーションされる金属板形状と、目的曲面形状との差を小さくすることが容易となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本発明の線状加熱の加熱方案策定方法の実施の一形態として、作業手順のフローチャートを示すもので、先ず、金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための仮の加熱方案を策定する(ステップS1)。
【0016】
上記仮の加熱方案は、金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を予め求めておき、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と、該各加熱線にどれだけの熱を与えるかを決める加熱条件とをコンピュータで自動算出し、更に、該算出された各加熱線に対して所要の加熱順序を設定するようにしてある。
【0017】
次に、上記ステップS1にて策定された仮の加熱法案における各加熱線を、加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順番を境界にしてその前と後のグループに分ける(ステップS2)。この場合、たとえば、仮の加熱方案に基づいて、図2に示す如く、矩形の平板状の金属板1上に、長辺方向及び短辺方向にそれぞれ5本ずつの加熱線2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i,2jを配置すると共に、符号に添えたそれぞれのアルファベットの順序通りとなるように、先ず、長辺方向に延びる各加熱線2aから2eについて、外方から順に内側に移行するように加熱した後、短辺方向に延びる各加熱線2fから2jについて外方から順に内側に移行して加熱するように加熱順序を設定した場合には、加熱線2aから2eまではいずれも加熱部を重畳させることなく加熱することができ、次に、加熱線2fを加熱すると、上記2aから2eの各加熱線に対して加熱部の重畳が生じるようになり、以後同様に、2gから2jの各加熱線の加熱時にも加熱線2aから2eに対して加熱部の重畳が生じるようになるので、この場合は、2aから2eの各加熱線を先行グループとし、2fから2jの各加熱線を後続グループに分けるようにする。
【0018】
次いで、先行グループの各加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析にて行い、金属板が変形した形状と、そこでの残留応力分布を求めるようにする(ステップS3)。
【0019】
その後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく、たとえば、通常の1/1000程度に設定して自由変形シミュレーションを行う(ステップS4)。このようにヤング率を小さくすると、後続グループの加熱線を加熱した場合に、上記各FEM要素部分における金属板が昇温して局所的に柔らかくなった状態が模擬されるようになることから、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力は、ヤング率の小さくなったFEM要素に集中して顕現して、該FEM要素部分を変形させるため、金属板形状が変形されるようになり、同時に周辺に分布していた残留応力自体は開放されて低減する。
【0020】
ここで、先行グループの加熱線に付随する残留応力が金属板形状に与える影響を適切に捉えるためには、後続グループの加熱線のヤング率を適切に設定する必要がある。図3(イ)に示す如く、ヤング率Eは加熱部温度Tによって決まり、加熱源に依存して変わるものであるが金属板が軟鋼の場合には、たとえばT<500℃ならばE=21000kg/mm2、500℃≦T<750℃ならばE=5・21000−C・expV(Cは所要定数)、T≧750℃ならばE=0となる。又、図3(ロ)に示す如く、温度Tの分布は入熱量Qに依存し、図3(ハ)に示す如く、入熱量Qは、移動する加熱源の加熱速度、すなわち、加熱源の移動速度Vに依存する。そこで、熱源移動速度Vとヤング率E(結果として顕在化する変形に対応したマクロな概念であり、実際のヤング率とは異なった値を取り得る)との関係を同定する場合の概念図は図4に示す如きものとなる。ここでの未知数は、数回の実験を通じて同定することができる。これは、外部から見た関連付けであり、取り上げるFEM要素の大きさ等と関連してパラメータの値は変わってくる。上記ステップS4においては、加熱条件により昇温範囲が異なるので、これを図3(イ)(ロ)(ハ)及び図4に示すようなモデル化を行って実験と対比することにより、大括りに捉えて反映することもでき、これによりシミュレーションの精度を向上させることが可能となる。したがって、結果としての金属板の変形がシミュレーションと実際の加熱結果との間で同じになるような値を、このモデルを設定することで指定するようにすればよい。なお、ステップS4において選定するヤング率は、FEM要素全体の平均値としてのマクロなヤング率であり、実際に起きているヤング率ではない。
【0021】
しかる後、再びすべてのFEM要素のヤング率を常態に戻した状態で、後続グループの各加熱線が通過するFEM要素に該各加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析にて行い、ステップS1にて策定した仮の加熱方案に基づく線状加熱により曲げ加工される金属板の最終的な曲面形状を得る(ステップS5)。
【0022】
その後、上記ステップS5にて得られる金属板の曲面形状を、目的曲面形状と比較して、加熱部の重畳によって発生した計画からの変化分を両者の差ΔWとして求め(ステップS6)、該求められた差ΔWが予め設定した十分小さな値以下となる場合には、ステップS1にて設定した仮の加熱方案を実行案として採用する。
【0023】
一方、上記差ΔWが十分小さな値以下にならない場合には、該差ΔWの分布を基に目的固有歪を修正して更新(ステップS7)した後、ステップS1に戻って仮の加熱方案を再度策定し、以後、ステップS6において求められる差ΔWが十分に小さくなるまで各ステップを順次繰り返して行い、差ΔWが十分に小さくなった時点における仮の加熱方案を、実行案となる加熱方案として採用して計算を終了する。
【0024】
なお、上記ステップS1にて加熱線配置を算出する方法としては、たとえば、図5にフローチャートを示す如く、先ず、ステップIとして、金属板に目的曲面形状を与えるための目的固有歪に対して、該目的固有歪の面内収縮歪成分を、伸びを含まず且つどの方向にも等しい大きさを持つ方向性のない等方性の歪に置き換えて、面内収縮歪成分の主軸(主歪)の方向(図6(イ)参照)を、曲げ歪成分の主軸(主歪)の方向に揃える(図6(ロ)を参照)ようにして、剪断歪の影響を受けずに曲げ歪成分と面内収縮歪成分とを同時に与えることができるようにし、次に、ステップIIとして、単純な小さい矩形に多数分割してFEM要素(メッシュ区画)3を形成した通常のFEMメッシュ(図7(イ)参照)を、図6(ロ)に示す曲げ歪成分の接線方向と、該接線に直角な方向となる主軸の方向に沿って沢山の小さなFEM要素3が形成されるように割り直し(図7(ロ)参照)、次いでステップIIIとして、目的固有歪の面内収縮歪成分について、加熱線に対する垂直成分/接線成分比率(図8(イ)参照)を、加熱線が作り出す生成固有歪の垂直/接線成分比率に近い値に置き換えるようにして(図8(ロ)参照)、同じ曲面形状を与える等価の固有歪分布を与えるようにし、しかる後、ステップIVとして、上記前処理を施した目的固有歪に対して、これを精度よく作り出す加熱線の配置を算出して図9に示す如き求めた面内収縮歪分布の主歪流線の方向に加熱線2を配置する方法を採用するようにしてある。
【0025】
このように、策定した仮の加熱方案に従って配置される加熱線の加熱部が重畳する部分において、後続する加熱線の生成固有歪を与える前に、ヤング率を低下させることにより先行加熱される加熱線に付随した残留応力の影響を顕現させることができることから、加熱線の交差、接近による加熱部の重畳に伴う残留応力の影響を弾性計算で評価することができ、このシミュレーションにより得られる形状と目的曲面形状との差ΔWが十分小さくなる仮の加熱方案を実行案として採用できるので、採用された加熱方案による線状加熱を実施することにより、金属板を高い精度で曲げ加工することが可能となる。
【0026】
又、加熱線に付随する残留応力の影響を評価できるので、曲率の大きい板や厚い板等、1本の加熱線の与える変形に比べて目的曲面形状の要求する変形が大きいため、加熱線を高い密度で配置する必要があって、加熱線同士の交差配置や接近配置が多くならざるを得ない場合の加熱方案の策定に有効となる。
【0027】
更に、従来は、加熱に伴う残留応力の影響は、目に見えなくて定量的に扱うことができないものとしてあって、これに対処するには熟練者の熟練技能に頼らざるを得ないものとされていたが、上記本発明の方法によれば、残留応力の影響を、金属板の変形として可視化することができ、技能を理解し易くなるという効果も得られる。
【0028】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、ステップS1にて、加熱線の配置を定める方法としては、図5にフローを示した如き方法以外の方法を採用してもよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明の線状加熱の加熱方案策定方法によれば、金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を得るため、金属板表面に加熱線を配置すると共に該各加熱線に対する加熱条件を定め、且つ上記各加熱線に加熱順序を設定する線状加熱の加熱方案策定方法において、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と加熱条件と加熱順序を定めた仮の加熱方案を策定し、次に、上記加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順序を境界にして加熱線を先行と後続のグループに分け、次いで、先行グループの加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行った後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく設定して自由変形させるシミュレーションを行い、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力を、ヤング率が低下したFEM要素に集中して顕在化させ、しかる後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素に該加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行い、該シミュレーションにより得られる金属板形状を目的曲面形状と比較して加熱方案を求めるようにしてあるので、策定した仮の加熱方案に従って配置される加熱線の加熱部が重畳する部分において、後続する加熱線の生成固有歪を与える前に、ヤング率を低下させることにより先行加熱される加熱線に付随した残留応力の影響を顕現させることができ、加熱線の交差、接近による加熱部の重畳に伴う残留応力の影響を弾性計算で評価することができることから、各加熱線の生成固有歪を付与することにより得られる形状と目的曲面形状との差が十分小さくなる加熱方案を求め、該求められた加熱方案に従って金属板の曲げ加工を実施することにより、金属板を高い精度で曲げ加工することが可能となり、又、曲率の大きい板や厚い板等、加熱線を高い密度で配置する必要があって、加熱線同士の交差配置や接近配置が多くならざるを得ない場合の加熱方案の策定に有効となり、更に、従来は、加熱に伴う残留応力の影響は、目に見えなくて定量的に扱うことができないものとされていて、これに対処するには熟練者の熟練技能に頼らざるを得ないとされていたが、上記本発明の方法によれば、残留応力の影響を、金属板の変形として可視化することができ、技能を理解し易くなるという優れた効果を発揮する。又、金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を得るため、金属板表面に加熱線を配置すると共に該各加熱線に対する加熱条件を定め、且つ上記各加熱線に加熱順序を設定する線状加熱の加熱方案策定方法において、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と加熱条件と加熱順序を定めた仮の加熱方案を策定し、次に、上記加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順序を境界にして加熱線を先行と後続のグループに分け、次いで、先行グループの加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行った後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく設定して自由変形させるシミュレーションを行い、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力を、ヤング率が低下したFEM要素に集中して顕在化させ、しかる後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素に該加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行い、該シミュレーションにより得られる金属板形状を目的曲面形状と比較し、両者の差が大きい場合に該差の分布を基に目的固有歪を修正し更新して、上記差が小さくなるまで繰り返し行うことにより加熱方案を求めるようにすることにより、仮の加熱方案に従って変形をシミュレーションされる金属板形状と、目的曲面形状との差を小さくすることが容易となるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の線状加熱の加熱方案策定方法の実施の一形態を示すもので、作業手順のフローチャートを示すものである。
【図2】図1の方法のステップS2において加熱線をグループ分けする際の基準となる加熱線配置と加熱順序を示した図である。
【図3】図1の方法のステップS4においてヤング率を適切に設定するために用いるためのもので、(イ)はヤング率と加熱部温度との関係を、(ロ)は温度分布と入熱量との関係を、(ハ)は入熱量と熱源移動速度との関係をそれぞれ示す図である。
【図4】図3(イ)(ロ)(ハ)に示したヤング率と加熱部温度と入熱量と熱源移動速度との関係より導かれたヤング率と熱源移動速度との関係を同定するための概念図である。
【図5】図1の方法のステップS1において加熱線の配置を求める方法の一例のフローチャートを示す図である。
【図6】図5に示すフローチャートのステップIの内容を示すもので、(イ)は面内収縮歪分布を示す概略図、(ロ)は曲げ歪分布を示す概略図である。
【図7】図5に示すフローチャートのステップIIの内容を示すもので、(イ)はFEMメッシュを割り直す前のFEM要素を示す図、(ロ)は割り直し後のFEM要素を示す図である。
【図8】図5に示すフローチャートのステップIIIの内容を示すもので、(イ)は面内収縮歪分布の垂直成分/接線成分比の変更前の状態の一例を示す図、(ロ)は加熱線の垂直成分/接線成分比に変更した後の状態の一例を示す概略図である。
【図9】図5に示すフローチャートのステップIVの内容を示すもので、加熱線の配置状況の一例を示す概略図である。
【図10】金属板上の加熱線の重畳する個所を例示するもので、(イ)は加熱線が接近した場合を、(ロ)は加熱線が交差した場合をそれぞれ示す概略図である。
【符号の説明】
1 金属板
2,2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i,2j 加熱線
3 FEM要素
Claims (2)
- 金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を得るため、金属板表面に加熱線を配置すると共に該各加熱線に対する加熱条件を定め、且つ上記各加熱線に加熱順序を設定する線状加熱の加熱方案策定方法において、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と加熱条件と加熱順序を定めた仮の加熱方案を策定し、次に、上記加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順序を境界にして加熱線を先行と後続のグループに分け、次いで、先行グループの加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行った後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく設定して自由変形させるシミュレーションを行い、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力を、ヤング率が低下したFEM要素に集中して顕在化させ、しかる後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素に該加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行い、該シミュレーションにより得られる金属板形状を目的曲面形状と比較して加熱方案を求めることを特徴とする線状加熱の加熱方案策定方法。
- 金属板を目的曲面形状に曲げ加工するための目的固有歪を得るため、金属板表面に加熱線を配置すると共に該各加熱線に対する加熱条件を定め、且つ上記各加熱線に加熱順序を設定する線状加熱の加熱方案策定方法において、金属板上をFEM要素となる多数の区画にメッシュ分割すると共に、上記目的固有歪を得るために必要な加熱線の配置と加熱条件と加熱順序を定めた仮の加熱方案を策定し、次に、上記加熱順序に従って加熱した場合に、他の加熱線と加熱部が重畳する加熱線が発生する順序を境界にして加熱線を先行と後続のグループに分け、次いで、先行グループの加熱線が通過するFEM要素に対して、それぞれの加熱線を加熱することにより与えられる変形を、生成固有歪としてインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行った後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素におけるヤング率を小さく設定して自由変形させるシミュレーションを行い、上記先行グループの各加熱線に付随して発生した残留応力を、ヤング率が低下したFEM要素に集中して顕在化させ、しかる後、後続グループの加熱線が通過するFEM要素に該加熱線の生成固有歪をインプットして自由変形させるシミュレーションを弾性FEM解析により行い、該シミュレーションにより得られる金属板形状を目的曲面形状と比較し、両者の差が大きい場合に該差の分布を基に目的固有歪を修正し更新して、上記差が小さくなるまで繰り返し行うことにより加熱方案を求めることを特徴とする線状加熱の加熱方案策定方法。
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JPH0576947A (ja) * | 1991-09-18 | 1993-03-30 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 線状加熱による鋼板の曲げ加工方法 |
JPH0760368A (ja) * | 1993-08-26 | 1995-03-07 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 線状加熱による金属板の曲げ加工方法 |
JPH10146621A (ja) * | 1996-11-13 | 1998-06-02 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 線状加熱による金属板の曲げ加工方法 |
JPH10277650A (ja) * | 1997-02-10 | 1998-10-20 | Kobe Steel Ltd | 金属材原板管理システム、金属材原板、金属材原板の加工用データ作成方法、および加工用データ作成用プログラムを記憶する記憶媒体 |
-
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