JP4688262B2 - 超音波診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波診断装置に関し、特に、超音波画像を表示する超音波診断装置と超音波を利用した骨評価装置の両者の機能を併せ持つ複合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波診断装置は、人体などの生体組織(被検体)への超音波の送受波により超音波画像を形成する装置である。超音波画像としては、Bモード画像(二次元断層画像)、Mモード画像(ビーム上の組織の動きを表した画像)、二次元ドプラ画像(二次元血流画像)などの各種の画像をあげることができる。近年では、三次元超音波画像や三次元領域の積算画像を形成する超音波診断装置も実用化されている(例えば特開平10−33538号公報参照)。なお、超音波は音響インピーダンスの異なる境界面で反射する性質を有する。例えばBモード画像上では骨などの硬組織の表面で大きく反射し、その結果、骨の内部及び後方については超音波があまり到達せず画像上ではいわゆる黒抜けとなる。
【0003】
一方、超音波を用いた骨評価装置は、例えば、足の踵の両側に一対の送波素子及び受波素子を設け、踵を透過した超音波に基づいて、音速、減衰率、周波数特性の変化などを演算することによって、踵骨についての健全性を指標する評価値を演算する装置である。また、骨評価装置の中には、送波素子及び受波素子を内蔵した超音波探触子を利用して皮質骨の音速などを評価値として計測する装置もある。
【0004】
具体的に説明すると、超音波探触子が生体表面に当接された状態において送波素子から超音波が骨に送波されると、骨の皮質骨上を超音波が伝搬する。その後、皮質骨から放射された超音波が受波素子で受波される。その送受波時間や送受波距離などにより皮質骨内における超音波の音速等が演算される。
【0005】
ちなみに、骨評価装置の中には、超音波ビームやX線を二次元スキャンして位置決め用の画像を取得し、その画像上で測定点を決定する装置がある。しかし、それには生体内の断層画像やドプラ画像などを形成する機能はまったく具備されておらず、よって、それも骨評価専用の装置である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来においては、骨以外の軟組織の構造を診断するために超音波診断装置が利用され、その一方、骨の健全性を評価するための専用の骨評価装置が利用されており、それぞれの装置は独立した専用装置として構成されている。
【0007】
よって、各医療機関においては、それぞれの装置を個別的に用意する必要があり、費用負担や物量が増大するという問題があった。また、特に骨の評価に当たっては送受波点の位置決めが極めて重要となるが、従来の一般的な骨評価装置では盲目的に位置決めを行っており、測定精度及び再現性の面で問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、超音波診断及び骨評価を行える複合装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、超音波診断と骨評価とを組み合わせ、特に骨評価精度を向上させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させる送受波制御手段と、前記第1送受波制御により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記第2送受波制御により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、を含む。
【0011】
上記構成によれば、超音波探触子において第1送受波が行われ、これにより超音波画像が形成され、また、超音波探触子において第2送受波が行われ、これにより骨評価値が演算される。よって、軟組織の超音波診断と骨評価とを単一の装置を利用して実現できるので、コスト面で有利である。また、超音波画像上において骨評価の部位を確認してから骨評価を行うこともでき、その場合には骨の計測精度や再現性を向上できる。上記の超音波画像は、Bモード画像、Mモード画像、投影画像、立体的な三次元画像などである。また、上記の骨評価値は、骨中の超音波の音速、減衰、周波数特性などであってもよい。骨は一般に皮質骨とその内部の海綿骨とで構成されるが、例えば、皮質骨の音速を計測し、それを骨評価値とするようにしてもよい。皮質骨の音速は、海綿骨のそれよりも非常に大きく、計測期間を適宜設定することにより、海綿骨の影響を排除できる。
【0012】
同じ超音波振動子(望ましくはアレイ振動子)を利用して第1送受波と第2送受波の両方を行わせるようにすれば、既存の超音波探触子をそのまま利用できる利点がある。一方、第1送受波と第2送受波とで別々の専用超音波振動子を利用するようにすれば、一般に計測精度を向上できる。特に、第1送受波と第2送受波とで、異なる周波数やパワーを設定するような場合に後者を採用するのが望ましい。骨を含む生体組織は一般に人体であるが、人体以外の動物(例えば、馬)であってもよい。
【0013】
望ましくは、前記超音波探触子は生体組織に当接される送受波面を有し、前記第2送受波では、前記送受波面の第1部分から前記生体組織の骨に向けて超音波が送波され、かつ、前記送受波面における前記第1部分から離間した第2部分で前記骨を伝搬した超音波が受波される。
【0014】
上記構成によれば、第1部分と第2部分とによって骨評価のために超音波の送受波がなされ、例えば、それらの離間距離及び送受波期間が直接的又は間接的に音速演算のためのパラメータとして利用される。
【0015】
望ましくは、前記第1部分は前記送受波面の一方端部であり、前記第2部分は前記送受波面の他方端部である。この構成によれば、超音波が骨を伝搬する距離を延ばすことができるので、計測精度を高められる。
【0016】
望ましくは、前記第2送受波では、前記送受波面の第1部分から前記第2部分側に傾斜した送波用の超音波ビームが形成され、かつ、前記送受波面の第2部分から前記第1部分側に傾斜した受波用の超音波ビームが形成される。
【0017】
上記構成によれば、超音波ビームを形成して音響パワーを集束させて計測精度を向上できる。特に、各超音波ビームが傾いて設定されるため、骨への超音波の入射を効率的に行うことができ、また、骨から放射される超音波の検出精度を高められる。超音波ビームの形成は、通常の超音波診断装置に搭載されている機能としての電子フォーカス技術や開口合成技術をそのまま利用可能である。もちろん、専用の超音波振動子を傾けて配置したり、音響レンズを利用したりして、特定方向への音響パワーの集束を図ることもできる。
【0018】
望ましくは、前記第1送受波では、超音波ビームが走査されて二次元又は三次元のエコーデータ取込空間が形成され、前記画像形成手段は、前記二次元又は三次元のエコーデータ取込空間内にある生体組織を表す前記超音波画像を形成し、前記超音波画像により前記第2送受波の位置を確認することが可能である。
【0019】
二次元エコーデータ取込空間は、超音波ビームを電子走査することにより形成され、あるいは振動子を機械走査することにより形成される。三次元エコーデータ取込空間は、電子走査されるアレイ振動子ユニットを機械走査することや2Dアレイ振動子を利用することにより形成可能である。
【0020】
望ましくは、前記骨評価手段は、前記第2送受波における超音波の送波から受波までの送受波期間を計測する手段と、前記送受波期間に基づいて、前記骨評価値として、骨の皮質骨中における超音波の音速又はそれに基づく値を演算する手段と、を含む。
【0021】
上記構成によれば、超音波パルスの送波タイミングからの受波タイミングまでの時間と、送受波間距離あるいは骨中の伝搬距離と、に基づいて音速が演算される。超音波パルスの受波タイミングを包含するゲート期間を設定すれば、不要な超音波の漏れ込みを排除することができる。
【0022】
望ましくは、前記第1送受波及び前記第2送受波が所定パターンに従って時分割で実行される。この構成によれば、例えば、第1送受波と第2送受波とを交互に行って、超音波画像を形成しながら骨評価も行える。
【0023】
望ましくは、前記第1送受波及び前記第2送受波が同時に実行され、前記第1送受波による第1受信信号及び前記第2送受波による第2受信信号を弁別する手段が設けられる。第1受信信号と第2受信信号とを弁別するためには、送受信に2周波数を利用するのが望ましい。その場合、バンドパスフィルタなどを利用して各受信信号が弁別される。
【0024】
望ましくは、前記超音波探触子は、前記第2送受波の開始を指示するスイッチを含む。この構成によれば、例えば、超音波画像を観察して骨評価部位を確認した後、直ちに骨評価を行える。また、操作性を向上できる。
【0025】
(2)また、後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、複数の振動素子からなるアレイ振動子を含み、超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させる送受波制御手段と、前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記第2送受波制御により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、を含み、前記第1送受波では前記アレイ振動子上で超音波ビームが電子走査され、前記第2送受波では前記アレイ振動子上に相互に離間した骨評価用の送信部分及び受信部分が設定され、それらの間で骨を経由させて超音波の送受波が行われる
【0026】
アレイ振動子を超音波診断と骨評価で兼用でき、よって既存の超音波探触子及び送受信回路をそのまま利用することもできる。
【0027】
望ましくは、前記骨評価用の送信部分は前記アレイ振動子の一方端部に設定された送波用振動素子グループで構成され、前記骨評価用の受信部分は前記アレイ振動子の他方端部に設定された受波用振動素子グループで構成される。各グループはそれぞれ送信開口及び受信開口を構成するものであり、送信開口を利用して送波用の超音波ビームが形成され、受波開口を利用して受波用の超音波ビームが形成される。計測条件に応じて、開口の位置や大きさを調整できるように構成してもよい。
【0028】
望ましくは、前記送波用振動素子グループを用いて前記他方端部側に傾斜した送波用の超音波ビームが形成され、前記受波相振動素子グループを用いて前記一方端部側に傾斜した受波用の超音波ビームが形成される。
【0029】
(3)また、後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、超音波画像形成用の複数の振動素子からなるアレイ振動子と、骨評価用の送波素子及び受波素子とを含み、超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、超音波画像形成時には前記アレイ振動子に超音波の送受波を行わせ、骨評価時には前記送波素子及び受波素子間で超音波の送受波を行わせる送受波制御手段と、前記アレイ振動子から出力された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記受波素子から出力された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、を含む。
【0030】
上記構成によれば、超音波診断用のアレイ振動子とは別に、骨評価用の送波素子及び受波素子が設けられているため、それぞれの計測を専用の素子を利用して精度良く行える。
【0031】
望ましくは、前記送波素子及び前記受波素子は、互いに斜めに対向する向きで設けられる。望ましくは、前記送波素子及び前記受波素子は前記アレイ振動子を挟んでその両側に設けられる。望ましくは、前記アレイ振動子には少なくとも1つの欠落部が形成され、前記欠落部には前記送波素子及び前記受波素子の少なくとも一方が配置される。
【0032】
(4)また、後述する実施形態に係る装置は、生体組織内の骨の縦断面に相当する第1断層画像を形成するための第1送受波を実行する縦型アレイ振動子と、前記骨の横断面に相当する第2断層画像を形成するための第2送受波を実行する横型アレイ振動子と、を含む超音波探触子と、前記第1送受波より取得された第1受信信号に基づいて、前記骨の縦断面に相当する第1断層画像を形成する第1画像形成手段と、前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、前記骨の横断面に相当する第2断層画像を形成する第2画像形成手段と、前記第1断層画像及び前記第2断層画像を表示する表示手段と、を含む。
【0033】
上記構成によれば、第1断層画像及び第2断層画像の観察により、超音波探触子の当接位置や当接姿勢を調整でき、より正確に計測位置の位置決めを行える。よって、例えば、そのような高精度の位置決めの下、骨評価計測を行えば、骨評価精度を極めて向上することができる。
【0034】
望ましくは、前記縦型アレイ振動子を利用して骨中の超音波の音速を計測するための第3送受波が実行され、前記第3送受波により取得された第3受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段が設けられる。
【0035】
上記構成において、縦型アレイ振動子は骨の伸長方向に沿って設けられるものであり、当該方向に沿って皮質骨の音速が計測される。
【0036】
(5)また、後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させる送受波制御手段と、前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、前記超音波画像及び前記骨評価値を表示する表示器と、を含み、前記超音波画像上に骨評価のための基準位置を表すマーカーを合成表示する手段が設けられる。
【0037】
上記構成によれば、超音波画像上のマーカーを目安として、計測部位の位置決めを行えるので、良好な再現性を得ることができる。
【0038】
(6)また、後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させる送受波制御手段と、前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、前記超音波画像及び前記骨評価値を表示する表示器と、を含み、前記超音波画像上で骨の計測範囲を設定する手段が設けられ、前記設定された骨の計測範囲に従って前記第2送受波が制御され、あるいは、前記骨評価値の演算が遂行される。
【0039】
上記構成によれば、ユーザー設定されるあるいは自動設定される計測範囲に応じて、例えば、超音波の送受波条件が適合化され、あるいは、受信信号の処理条件が適合化される。
【0040】
(7)また、後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、三次元領域に対する超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させる送受波制御手段と、前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記三次元領域内の生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、前記超音波画像上で骨の二次元計測範囲を設定するための手段と、を含み、前記設定された二次元計測範囲に従って前記第2送受波が制御され、あるいは、前記骨評価値の演算が遂行される。
【0041】
上記構成によれば、三次元領域内の組織が超音波画像として表現されるため、その超音波画像を利用して、二次元計測範囲の設定を行うことができ、例えば、骨評価値の分布表示などを実現することができる。
【0042】
望ましくは、前記超音波探触子を生体組織に固定するための固定機構を含む。望ましくは、前記骨評価手段は前記二次元計測範囲内の各計測ラインごとに骨評価値を演算し、前記各計測ラインごとの骨評価値をグラフ表示する手段が設けられる。
【0043】
(8)また、後述する実施形態に係る装置は、骨を含む生体組織に当接され、超音波の送受波を行う超音波探触子と、前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させる送受波制御手段と、前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、前記超音波画像に含まれる骨領域を抽出する手段と、前記骨領域に基づいて骨評価値の計測範囲を設定する手段と、を含む。
【0044】
上記構成によれば、骨領域を自動認識して計測部位を決定できるので、操作の煩雑さを軽減し、また良好な再現性を得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0046】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す概念図である。
【0047】
図1に示す超音波診断装置は、超音波診断機能と骨評価機能とを有している。この超音波診断装置は、大別して、装置本体10と超音波探触子としてのプローブ12とで構成される。
【0048】
プローブ12は、本実施形態においていわゆるリニアプローブであり、その内部には、複数の振動素子からなるアレイ振動子22が設けられている。アレイ振動子22の被検者側には、1又は複数の音響整合層24と音響レンズ26とが設けられている。音響レンズ26の被検者側の面は送受波面を構成している。一方、アレイ振動子22の背面側には不要超音波を吸収するバッキング層28が設けられている。このようなプローブ12の構造は従来のプローブと同様である。
【0049】
生体組織14は例えば人体の腕部分であり、その生体組織14の内部には骨16が存在している。例えばこの骨16は、腕の橈骨あるいは尺骨である。その骨16は、一般に、外側の皮質骨20とその内部に存在する海綿骨18とで構成される。超音波画像を表示する場合には、アレイ振動子22に対する電子リニアスキャンが実行され、これにより超音波ビーム30がアレイ振動子22のアレイ方向に沿って平行移動する。これによって二次元の矩形の走査面が形成され、その走査面に対応したBモード画像が形成される。一方、そのようなBモード画像を観察しながらプローブ12の位置決めを行って、超音波ビーム30が骨16の中心軸を横切るような適当な計測状態が構築されたならば、その状態で、アレイ振動子22の一方端部分22Fと他方端部分22Rとが利用され、それらの間で超音波パルスの送受波が行われる。具体的には、一方端部分22Fを構成する1又は複数の振動素子から超音波パルスが放射され、それが骨16内の特に皮質骨20内を伝搬し、その皮質骨20から放出された超音波32が他方端部分22Rを構成する1又は複数の振動素子にて受波される。このような超音波の送受波に係る時間をタイマー計測することによって既知の伝搬距離から皮質骨20内における超音波の音速を容易に演算することができる。そして、その音速が骨評価値となる。
【0050】
ちなみに、一方端部分22F及び他方端部分22Rが複数の振動素子にて構成される場合には、いわゆる電子フォーカス技術が適用され、これにより送信ビーム及び受信ビームが電子的に形成される。これに関しては後に図3を用いて説明する。なお、図2には、図1に示したプローブ12の斜視図が示されている。この図2に示すプローブ12は、送受波面54が湾曲して体表面に沿って緩やかな凹面型をなしている。その曲率はアレイ方向に沿って均一である。
【0051】
図1において、送信部34は、アレイ振動子22を構成する各振動素子に対して送信信号を供給する回路である。各振動素子に供給する送信信号の位相あるいはタイミングを調整することにより、送信ビームを形成することができ、また送信ビームの方位を自在に設定することができる。受信部36は複数の振動素子から出力される受信信号に対して整相加算を実行し、これにより受信ビームを電子的に形成する回路である。整相加算により合成された受信信号は本実施形態において骨評価部40及び断層像処理部44に出力されている。
【0052】
本実施形態において、送信部34及び受信部36の両者が超音波診断と骨評価の双方で兼用されており、これによって装置コストを極めて低減することができる。もちろん、超音波診断用の第1送受波における超音波の周波数や音響的なパワーと、骨評価のための第2送受波における周波数や音響パワーとを互いに異ならせることも可能である。またバーストパルスを構成する波数などを各計測条件に応じて適宜設定することもできる。
【0053】
制御部38は、装置本体10の全体的な動作を制御しており、特に送信部34、受信部36、骨評価部40及び断層像処理部44の制御を行っている。骨評価部40は、音速演算部42を有しており、この音速演算部42は骨評価を実行する場合における送波タイミングから受波タイミングまでの期間を計測し、その期間で既知の伝搬距離を除することにより、皮質骨中の音速を演算している。ここで、その伝搬距離は一方端部分24Fから他方端部分22Rまでの距離であってもよいが、皮質骨への入射点及び皮質骨からの出射点の想定間隔を利用するようにしてもよい。この場合においては、送波ビーム及び受波ビームの傾斜角度や体表面から皮質骨までの深さなどが考慮される。そのようなパラメータは必要に応じてユーザー設定させるようにしてもよいし、計測部位を入力することにより、計測部位から自動的にそのようなパラメータを読み取るようにしてもよい。
【0054】
いずれにしても、本実施形態においては骨評価値として音速が演算されており、その音速の大きさに応じて骨の健全性を評価することが可能となる。ちなみに、骨評価値としては、これ以外にも超音波の減衰度合いや周波数スペクトラムの変化などを利用することもできる。さらに各種の計測値を組み合わせることによって骨評価値を演算してもよい。
【0055】
断層像処理部44は、受信信号に基づいてBモード画像を形成する回路である。表示処理部46は、表示器48に表示される画像を合成する機能を有しており、本実施形態においては、断層画像と骨評価値とを含む画像が合成され、その画像データが表示器48に出力されている。その表示例については後に図4を用いて説明する。
【0056】
制御部38には入力操作パネル50が接続されており、その入力操作パネル50を利用して各種のパラメータ設定や動作条件の設定を行うことができる。スイッチ52はフットスイッチあるいはプローブ12に設けられるスイッチであり、そのようなスイッチを利用して例えば計測モードの切換えを行うことができる。特に、本実施形態においては、このスイッチ52を操作することにより骨評価計測を開始させることができる。
【0057】
図3には、骨評価時における送波ビーム及び受波ビームの形成原理が示されている。一方端部分22Fは複数の振動素子で構成され、その部分がいわゆる送信開口を形成している。それを構成する各振動素子に対して所定の遅延時間をもった送信信号を供給することにより、超音波の位相が合成されて送波ビームが形成される。これと同様に、他方端部分22Rも複数の振動素子により構成され、それが受信開口として機能する。各振動素子から出力される受信信号に対して所定の遅延時間を設定し、さらにそれらを合成することにより仮想的に受信ビームが形成される。その送波ビーム及び受波ビームは骨16の中心軸に対して一定角度だけ傾斜して設定されており、すなわち骨への超音波の入射がより円滑になるように送波ビームが傾けて設定され、また骨16からの超音波の成分をより効果的に受波できるように受波ビームが傾けて設定されている。骨16上における超音波の入射点及び出射点は必要に応じて可変設定することもできる。
【0058】
図4には、図1に示した表示器48の表示例が示されている。図4に示す例では、Bモード画像としての断層像56が表示されており、ここにおいて符号60は軟組織の画像部分を表し、符号62は骨あるいはそれより深部側の部分を表している。骨と軟組織との間における大きな音響インピーダンスの差により、断層像56上においては骨表面ライン62Aが高輝度に表現される。断層像56の近傍には音速の表示58がなされ、その音速の表示58により骨評価を行うことができる。
【0059】
したがって、例えば、図5に示すように、骨16に対する走査面Sの位置をプローブ12の当接位置や当接姿勢を適宜調整することにより可変し、その場合において図4に示す断層像56における骨表面ライン62Aの高さすなわち体表面から骨表面ライン62Aまでの距離Dを観察することにより、そのDが最も小さくなった状態として、走査面Sが骨16の縦断面に相当することを認識することができる。その状態で骨評価を行えば、骨評価精度を向上可能である。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置によれば、超音波診断によって断層像を画面表示し、その断層像を観察して骨評価部位を適切に位置決めできるため、骨評価の精度を向上できると共に計測の再現性を向上できるという利点がある。さらに、単一の装置上において超音波診断と骨評価とを行えるため、装置のコストを低減できると共に、計測時間も削減することができる。
【0061】
図6には、図1に示した実施形態の動作がフローチャートとして示されている。S101では、プローブ12において超音波ビームの走査が実行され、それに伴って表示器48上に断層像が表示される。その状態においてプローブの当接位置や当接姿勢が調整され、所望の計測状態が構築されたならば、例えばスイッチ52を操作することにより、処理がS102からS103へ以降し、超音波ビーム30のスキャンが停止されると共に、断層像がフリーズされる。すなわち図4に示した断層像56の状態がそのまま固定される。
【0062】
S104では、上述した骨評価用の送受波が実行され、S105では骨評価部40により評価値としての音速が演算される。そして、それが表示画面上に表示されることになる。S106では以上の各動作を繰り返し実行するか否かが判断されている。
【0063】
図6に示す動作例では超音波診断の後に骨評価用の計測が実行されていたが、それらを交互に行うこともでき、また2周波数などを利用することによってそれらを同時に実現することも可能である。例えばいわゆる時分割処理を利用して2つの計測を交互に行う場合には、図7に示すように、まず断層像を形成するための超音波ビーム#1が形成され、その次に骨評価用の送受波#2が実行され、次に断層像用の超音波ビーム#3が形成され、さらに骨評価用の送受波#4が実行され、というように各送受波が交互に実行され、これが繰り返される。このような送受波制御によれば、リアルタイムで超音波画像を観察しながら骨評価を行うことができるという利点がある。もちろん、図7に示す送受波制御は一例であって、例えば超音波ビームを1スキャンした後に骨評価計測を1回実行し、それをワンセットとして繰り返すようにしてもよい。あるいは、他のパターンでそれらの送受波を切り換えるようにしてもよい。また、2周波数を利用する場合には、受信部に弁別回路が設けられる。
【0064】
図8には、他の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。図9には、当該超音波診断装置に設けられるプローブ66の模式的な外観が斜視図として示されている。
【0065】
図8において、この超音波診断装置は装置本体64とプローブ66とで構成される。プローブ66は、第1アレイ振動子68及び第2アレイ振動子70を有している。第1アレイ振動子68は骨の縦断面を計測するためのものであり、第2アレイ振動子70は骨の横断面を計測するためのものである。またプローブ66には骨評価計測の開始を指示するためのスイッチ72が設けられている。
【0066】
図9を参照しながら、さらにプローブ66について説明すると、プローブ66は、骨16の伸長方向に沿って設けられた縦長部分74とそれに交差する横長部分76とで構成されており、縦長部分74には図8に示した第1アレイ振動子68が設けられ、横長部分76には図8に示した第2アレイ振動子70が設けられる。また、スイッチ72が縦長部分74の先端部近傍に設けられ、縦長部分74の基端部からケーブルが引き出されている。ちなみに、図10にはプローブ66の送受波面から見た構造が示されており、縦長部分74と横長部分76は十字型をなしており、これに伴って、第1アレイ振動子68と第2アレイ振動子70も十字にクロスしている。そのクロスポイントにおいては本実施形態では第1アレイ振動子68の中央部分が切り欠かれ、その部分を第2アレイ振動子70が貫通しているが、このクロス部分の処理については他の構成を採用することもできる。
【0067】
図8に戻って、装置本体64には第1送信部78及び第2送信部80が設けられている。第1送信部78は第1アレイ振動子68に対して送信信号を供給する回路であり、第2送信部80は第2アレイ振動子70に対して送信信号を供給する回路である。また、装置本体64には第1受信部82及び第2受信部84が設けられており、第1受信部82には第1アレイ振動子68からの受信信号が入力され、第2受信部84には第2アレイ振動子70からの受信信号が入力されている。制御部38は、装置本体64内の各回路の動作を制御するものである。
【0068】
この実施形態においては、第1受信部82の後段に第1断層像処理部88が接続され、第2受信部84の後段に第2断層像処理部90が接続されている。それぞれの断層像処理部88,90によりBモード断層画像が形成され、それらの断層画像の画像データは表示処理部46を介して表示器48に出力されている。
【0069】
一方、第1受信部82の後段には骨評価部も接続されている。この骨評価部40は図1に示した骨評価部40と同じものである。図11には、表示器48に表示される画像の一例が示されており、この実施形態においては第1アレイ振動子68に対応した第1断層像100と第2アレイ振動子70に対応して第2断層像102とが並列的に表示されている。すなわち、第1断層像100は骨の縦断面に相当するものであり、第2断層像102は骨の横断面に相当するものである。更にそれらの断層像100,102と共に骨評価値を表す表示103も含まれている。
【0070】
上記の実施形態によれば、縦断面及び横断面の観察により、骨の評価部位の位置決めをより的確に行うことができるという利点がある。
【0071】
図12には、更に他の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。
【0072】
図12に示す超音波診断装置は、装置本体104とプローブ106とで構成されるものである。ここで、プローブ106の構成例が図13及び図14に示されている。
【0073】
このプローブ106はアレイ振動子22と、送波素子108及び受波素子110とを含むものである。アレイ振動子22は超音波画像を形成するためにのみ利用されるものであり、送波素子108及び受波素子110は骨評価値の計測を行う場合にのみ利用されるものである。
【0074】
具体的には、図13に示すように、アレイ振動子22の長手方向の両端側に送波素子108及び受波素子110が斜め向きで配置されている。このようにそれぞれ専用の送受波手段を設ければ、それぞれの計測をより的確に行えるという利点がある。ここで、送波素子108及び受波素子110はアレイ振動子22を構成する各振動素子よりも大きな単振動子で構成されるものであり、このような振動子によれば、送波パワーの増大及び受信感度の向上を図ることができる。
【0075】
図14に示す構成例では、アレイ振動子116の一部分に切欠部116Aが形成されており、その切欠部116A内に送波素子108が設けられている。受波素子110については図13に示した構成と同じである。
【0076】
図12に戻って、装置本体104においては、骨評価用送信部112が送波素子108に対して送信信号を供給しており、また受波素子110からの受信信号が骨評価用受信部114に入力されている。アレイ振動子22には断層像用送信部34及び断層像用受信部36が接続されている。
【0077】
断層像用受信部36から出力される受信信号は断層像処理部44に入力され、その断層像処理部44により上述同様にBモード画像が形成される。一方、骨評価用受信部114から出力される受信信号は骨評価部40に入力され、上述同様に骨評価値としての音速が演算される。それ以外の構成については図1に示したものと基本的に同様である。
【0078】
次に、図14に示すようにプローブを当接した時の表示例を図15に示す。この実施形態においては、表示処理部46の作用により、断層像123内にガイドライン120Aが表示される。このガイドライン120Aは図14に示すように、アレイ振動子116における特定の位置120を表すものである。すなわち、骨表面ライン126上において、特定の関節部などを表す特有形状126Aにガイドライン120Aが合うようにプローブの位置決めを行えば、常に一定の計測部位に対して骨評価を行えるという利点がある。具体的には、図14において、アレイ振動子116における特定位置120が常に関節部122の所望の位置に位置決めされ、その結果、その関節部122を基準として送波素子108及び受波素子110による骨評価範囲を常に一定にすることが可能となる。これに測定の再現性を極めて良好にできるという利点がある。また、この表示例にあっても、骨評価値としての音速の表示124がなされている。もちろん、ガイドライン120Aに代えて他のマーカーを表示させることもでき、また上記実施形態では特有の形態をもった関節部を目安としたが、他の部位を位置決め用の対象とするようにしてもよい。
【0079】
図16には更に他の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成がブロック図として示されている。
【0080】
この超音波診断装置は、装置本体130と3Dプローブ132とで構成される。3Dプローブ132はいわゆる三次元エコーデータ取込用超音波探触子であり、アレイ振動子136を有する振動子ユニット134と、その振動子ユニット134を機械的に運動させる機械走査機構138とを含むものである。機械走査機構138は、駆動源としてのモータ140と、そのモータ140による駆動力を振動子ユニット134の機械走査運動に転換する機構142と、モータ140の回転角度を検出するエンコーダ143と、で構成される。
【0081】
すなわち、アレイ振動子136上における超音波ビームの電子走査により走査面が形成され、その走査面をそれと直交する方向に機械的に運動させることにより後述する三次元エコーデータ取込空間を形成することができる。よって、その空間内存在にする組織の投影像や立体的な三次元画像を形成することができる。
【0082】
装置本体130において、走査制御部144は、機械走査機構138による機械走査を制御する手段である。その走査制御部144は、装置全体の制御を司る主制御部146によって制御されている。
【0083】
アレイ振動子136には送信部34及び受信部36が接続されている。受信部36には骨評価部40が接続され、また画像処理部147が接続されている。骨評価部40は骨評価値としての音速を演算する機能を有している。画像処理部147は例えば特開平10−33538号公報に記載された画像処理手法などによって三次元エコーデータ取込空間内の組織の三次元投影像を形成する手段である。もちろん、他の投影像や積算画像を形成するものであってもよい。上記のように形成された画像は表示処理部46を介して表示器58に表示される。
【0084】
図17には3Dプローブ132の模式的な外観図が斜視図として示されている。この実施形態においては、グリップ152が形成された台座148上に被検組織としての腕が載せられ、固定機構150によって腕149の上に3Dプローブ132が固定される。ここで、固定機構150は2つの支柱154及びそれらの間に設けられた支持板156とを含み、その支持板156に3Dプローブ132が固定されている。
【0085】
この図17に示すような状態において、3Dプローブ132内において、図示されていないアレイ振動子において電子走査が繰り返し実行されつつ、それを備えた振動子ユニット134が機械的に走査される。
【0086】
その結果、図18に示すような三次元エコーデータ取込空間Vが形成される。この空間Vは超音波ビーム30の電子走査によって形成されるSをさらにそれに直交する方向に運動させた空間として観念されるものである。このような場合において、走査面S内において骨評価用の計測が実行され、すなわちアレイ振動子136の一方端部及び他方端部を利用して超音波パルスの送受波32が行われる。したがって、骨の複数の部位において音速が演算されることになる。
【0087】
ちなみに、図18において、符号158は三次元エコーデータ取込空間Vの投影面を表しており、符号160は投影像を示している。
【0088】
図19には、図16に示した表示器58における表示例が示されている。符号160は図18に示した投影像に相当しており、この例では腕の橈骨190及び尺骨192を3Dプローブ132から透視した状態が表現されている。
【0089】
本実施形態においては、図16に示す入力操作パネル50を利用して、計測を行う範囲を設定可能である。具体的には、例えばライン194の設定により、一次元の計測範囲を設定した場合には、当該ライン上における走査面上において骨評価のための送受波が実行され、その結果が表示されることになる。一方、符号196で示すように、二次元の計測範囲を設定したならば、その計測範囲上において複数の音速が計測され、それが例えば符号180で示すように分布表示されることになる。この例ではA〜A’までの一定幅における音速の分布がグラフとして表示されている。よってこのようなグラフを利用して骨のより詳細な分析を行うことが可能となる。
【0090】
さらに、本実施形態においては、そのような二次元計測範囲内における最大音速182、最小音速184及び平均音速186が演算され、それらが数値として表示されており、かかる数値情報によっても骨の総合診断を行うことが可能となる。
【0091】
さらに、投影像160において、骨190,192の輪郭をエッジ検出などの手法を利用して抽出し、それにより抽出された画像を二値化処理し、その二値化画像上において自動的に音速の計測範囲を設定させることも可能である。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、超音波診断機能と骨評価機能とを併せ持つ複合装置を実現できる。また、本発明によれば、特に骨評価精度を向上できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】 プローブの斜視図である。
【図3】 送信ビーム及び受信ビームを示す説明図である。
【図4】 表示例を示す図である。
【図5】 当接位置及び当接姿勢の調整を説明するための図である。
【図6】 図1に示す装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】 時分割による送受波制御を説明するための図である。
【図8】 他の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図9】 図8に示す超音波診断装置のプローブの斜視図である。
【図10】 図9に示すプローブにおける2つアレイ振動子の配置関係を示す図である。
【図11】 図8に示す超音波診断装置における表示例を示す図である。
【図12】 他の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【図13】 図12に示す超音波診断装置におけるプローブの模式的な断面図である。
【図14】 図12に示す超音波診断装置のプローブの他の構成例を示す模式的な断面図である。
【図15】 ガイドラインを含む断層像を説明するための図である。
【図16】 他の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図17】 3Dプローブの固定方法を説明するための図である。
【図18】 三次元エコーデータ取込空間の概念を示す図である。
【図19】 図16に示す超音波診断装置における表示例を示す図である。
【符号の説明】
10 装置本体、12 プローブ、14 生体組織、16 骨、22 アレイ振動子、34 送信部、36 受信部、40 骨評価部、42 音速演算部、44 断層像処理部、48 表示器。

Claims (9)

  1. 骨を含む生体組織に当接され、超音波の送受波を行う複数の振動素子からなるアレイ振動子を有する超音波探触子と、
    前記アレイ振動子に対して、送信ビームを形成するために位相調整された複数の送信信号を供給する送信部と、
    前記アレイ振動子からの複数の受信信号に対して受信ビーム形成用の整相加算処理を実行する受信部と、
    前記送信部及び前記受信部を制御することにより前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を選択的に又は同時に実行させると共に前記第1送受波と前記第2送受波とで超音波周波数を異ならせる送受波制御手段と、
    前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像としての断層画像を形成する画像形成手段と、
    前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、
    を含み、
    前記第1送受波では、前記アレイ振動子により画像形成用送信ビーム及び画像形成用受信ビームが電子的に走査され、
    前記第2送受波では、前記アレイ振動子における複数の振動素子からなる一方端部が利用され、当該一方端部により骨評価用送信ビームが形成され、且つ、前記アレイ振動子における複数の振動素子からなる他方端部が利用され、当該他方端部により骨評価用受信ビームが形成される、ことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 請求項記載の装置において、
    前記第2送受波では、前記一方端部から前記他方端部に傾斜した骨評価用送信ビームが形成され、かつ、前記他方端部から前記一方端部に傾斜した骨評価用受信ビームが形成されることを特徴とする超音波診断装置。
  3. 請求項1記載の装置において、
    前記骨評価手段は、
    前記第2送受波における超音波の送波から受波までの送受波期間を計測する手段と、
    前記送受波期間に基づいて、前記骨評価値として、骨の皮質骨中における超音波の音速又はそれに基づく値を演算する手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  4. 請求項1記載の装置において、
    前記第1送受波及び前記第2送受波が所定パターンに従って時分割で実行されることを特徴とする超音波診断装置。
  5. 骨を含む生体組織に当接され、超音波の送受波を行う超音波探触子と、
    前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、画像形成用の第1送受波及び骨評価用の第2送受波を実行させる送受波制御手段と、
    前記第1送受波により取得された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、
    前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、
    を含み、
    前記第1送受波及び前記第2送受波が同時に実行され、
    前記第1送受波による第1受信信号及び前記第2送受波による第2受信信号を弁別する手段が設けられたことを特徴とする超音波診断装置。
  6. 請求項1記載の装置において、
    前記超音波探触子は、前記第2送受波の開始を指示するスイッチを含むことを特徴とする超音波診断装置。
  7. 骨を含む生体組織に当接され、超音波画像形成用の複数の振動素子からなるアレイ振動子と、骨評価用の送波素子及び受波素子とを含み、超音波の送受波を行う超音波探触子と、
    前記超音波探触子における超音波の送受波を制御する手段であって、超音波画像形成時には前記アレイ振動子に超音波の送受波を行わせ、骨評価時には前記送波素子及び受波素子間で超音波の送受波を行わせる送受波制御手段と、
    前記アレイ振動子から出力された第1受信信号に基づいて、前記生体組織を表す超音波画像を形成する画像形成手段と、
    前記受波素子から出力された第2受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、
    を含み、
    前記送波素子及び前記受波素子は、互いに斜めに対向する向きで設けられ、
    前記アレイ振動子には少なくとも1つの欠落部が形成され、
    前記欠落部には前記送波素子及び前記受波素子の少なくとも一方が配置されたことを特徴とする超音波診断装置。
  8. 生体組織内の骨の縦断面に相当する第1断層画像を形成するための第1送受波を実行する縦型アレイ振動子と、前記骨の横断面に相当する第2断層画像を形成するための第2送受波を実行する横型アレイ振動子と、を含み、前記縦型アレイ振動子により骨中の超音波の音速を計測するための第3送受波も実行される超音波探触子と、
    前記縦型アレイ振動子に対して、送信ビームを形成するために位相調整された複数の送信信号を供給する第1送信部と、
    前記縦型アレイ振動子からの複数の受信信号に対して受信ビーム形成用の整相加算処理を実行する第1受信部と、
    前記横型アレイ振動子に対して、送信ビーム形成のために位相調整された複数の送信信号を供給する第2送信部と、
    前記横型アレイ振動子からの複数の受信信号に対して受信ビーム形成用の整相加算処理を実行する第2受信部と、
    前記第1送信部及び前記第1受信部を制御することにより前記第1送受波を制御し、前記第2送信部及び前記第2受信部を制御することにより前記第2送受波を制御し、前記第1送信部及び前記第1受信部を制御することにより前記第3送受波を制御する手段であって、前記第1及び第2送受波と前記第3送受波とで超音波周波数を異ならせる送受波制御手段と、
    前記第1送受波より取得された第1受信信号に基づいて、前記骨の縦断面に相当する第1断層画像を形成する第1画像形成手段と、
    前記第2送受波により取得された第2受信信号に基づいて、前記骨の横断面に相当する第2断層画像を形成する第2画像形成手段と、
    前記第3送受波により取得された第3受信信号に基づいて、骨評価値を演算する骨評価手段と、
    前記第1断層画像前記第2断層画像及び前記骨評価値を表示する表示手段と、
    を含むことを特徴とする超音波診断装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の装置において、
    前記超音波探触子を生体組織に固定するための固定機構を含むことを特徴とする超音波診断装置。
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