JP4685278B2 - シロイヌナズナ由来の花成制御遺伝子およびそれにコードされる蛋白質、並びにその利用方法 - Google Patents

シロイヌナズナ由来の花成制御遺伝子およびそれにコードされる蛋白質、並びにその利用方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、花成に関する遺伝子およびその遺伝子産物としての蛋白質と、その変異遺伝子および変異蛋白質と、この変異遺伝子を導入することによって、栄養成長期間を短縮可能とするトランスジェニック植物、およびその生産方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、植物においては、発芽後の栄養成長から生殖成長に移行すると、それまで葉を形成していた茎の先端や腋芽の成長点の構造が変化して、花が形成される。この栄養成長から生殖成長への移行現象を「花成」という。つまり花成は、植物の繁殖に直結する現象であるため、植物の生活環上で最も重要な現象であると見なすことができる。
【0003】
また、植物は繁殖のために種子を形成することが一般的であるため、花成は、植物の生存においても非常に重要な現象となる。すなわち、植物は、生活環を通してほぼ一定の場所に固着して生活することがほとんどであるが、花成を経て種子という形態をとると、強い環境耐性を実現できる。したがって、植物は種子となることで、生育に不適な環境から時間的・空間的に逃れることが可能になり、生存の可能性を飛躍的に高めることができる。
【0004】
換言すれば、花成を人為的に制御することが可能となれば、植物の繁殖と生育を効率的に制御できることになる。それゆえ、従来より、花成の制御機構の解明および理解は、学術的観点だけでなくアグリビジネスなどの産業的観点からも進められている。
【0005】
特に近年では、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を用いた研究によって、分子遺伝学的な検証に基づく花成の制御機構の解明と理解とが急速に進んでいる。
【0006】
シロイヌナズナは、世代時間が短い、生育が容易、個体が比較的小さい、1個体から多数の種子が得られるなど、実験植物としての利点が多い。しかも、既知の植物中ではそのゲノムサイズが最も小さい(約135Mb)ため遺伝学の材料としても好んで用いられる。それゆえ、シロイヌナズナは、各種農作物などの産業植物を含む高等植物のモデルとして注目されており、早くからゲノム構造解析が進められ、近年、ゲノム構造がほぼ明らかにされた。
【0007】
上記シロイヌナズナを用いた研究によって、花成の制御機構には、部分的に機能が重複する4つの制御経路が存在することが明らかとなっている。また、各制御経路上で機能する重要な遺伝子(花成制御遺伝子と称する)も同定され、個々の制御経路の解明および理解も進んでいる。それゆえ、現在、花成の制御機構において非常に大きな関心を集めているのが、上記4つの制御経路がどのように統合されて、最終的に花成を引き起こすのかという点である。
【0008】
本発明者らは、以前に、花成制御遺伝子の一つであるFLOWERING LOCUS T遺伝子(FT遺伝子)をクローニングして解析した結果、このFT遺伝子が上記4つの花成制御経路を統合する「花成のスイッチ遺伝子」の有力な候補であることを見出している(Y.Kobayashi, H.Kaya, K.Goto, M.Iwabuchi & T.Araki : Science, 286 1960-1962 (1999) 他)。上記FT遺伝子は、花芽分裂組織決定遺伝子の最も重要なものとして知られているLEAFY 遺伝子(LFY遺伝子)と同時に強制発現させることで、植物の発芽後に、栄養成長を経ずに直ちに花成して花芽を形成させることができる。
【0009】
それゆえ、花成の制御機構の解明および理解を進めることで、上記FT遺伝子を中心とした、花成の人為的な制御系を確立できる可能性が示唆されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記FT遺伝子については、実質的に研究が開始されたばかりであるため、FT遺伝子の詳細な機能については分からないことも多い。このFT遺伝子が、上記4つの制御経路を統合する作用に大きく関与していることはほぼ確実であるが、上記LFY遺伝子のように、FT遺伝子と組み合わせて発現させることで、花成をより効果的に促進できるような他の花成制御遺伝子が存在する可能性も強く示唆される。
【0011】
このような他の花成制御遺伝子が見出されれば、FT遺伝子の機能をより詳細に解明し、その理解を進めることが可能となり、FT遺伝子を中心とする花成の人為的制御系の確立の可能性をより一層高めることが期待される。
【0012】
また、上記他の花成制御遺伝子が、花成を効果的に促進でき、かつ花や種子の形成にも影響がないのであれば、この遺伝子のみでも、種苗産業分野へ有効に利用できる可能性がある。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、花成の制御機構の理解・解明と、花成の人為的制御系の確立とに応用できる可能性が高い、シロイヌナズナ由来の未知の花成制御遺伝子を見出し、その塩基配列およびそれがコードする蛋白質のアミノ酸配列を決定するとともに、特定された上記花成制御遺伝子を利用して、植物の花成を制御する方法を提案することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、その一部改変することで、正常な花の形態と正常な種子形成能に影響を及ぼさずに、花成を促進させるという、花成を制御する方法を実現することが可能であり、さらに、FT遺伝子を中心とする花成の人為的制御系の確立にも利用できる可能性が高い新たな花成制御遺伝子を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
すなわち、本発明にかかる遺伝子は、上記の課題を解決するために見出された新規な花成制御遺伝子であって、植物のゲノムから単離され、その一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮することを特徴としている。
【0016】
上記遺伝子としては、たとえば、シロイヌナズナの第4番染色体にコードされ、その一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮し、好ましくは、その一部を改変した状態で、かつFT遺伝子の過剰発現状態で植物中にて発現させることで、発芽後に本葉形成を回避して花を形成する花成制御遺伝子CRYPTIC PRECOCIOUS遺伝子(CRP遺伝子)を挙げることができる。
【0017】
上記構成によれば、上記遺伝子の一部を改変させた状態で、少なくともシロイヌナズナで発現させることにより、通常よりも栄養成長の期間を短縮することが可能になる。しかも、FT遺伝子の過剰発現とともに発現させることで、発芽後すぐに花を形成することも可能となる。すなわち、上記遺伝子を改変させれば、それ単独でも花成の促進が可能となる上に、FT遺伝子を過剰発現させれば、実質的に栄養成長を経ないで生殖成長に移行できるため、花成を極めて促進させることができる。
【0018】
上記FT遺伝子は「花成のスイッチ遺伝子」であることが公知であるが、本発明の完成により、上記遺伝子がFT遺伝子を中心とする花成の制御機構に重要に関与することが明らかとなった。その結果、本発明にかかる遺伝子は、FT遺伝子を中心とする花成の人為的制御系の確立に応用できる可能性が高いことが示唆される。
【0019】
上記遺伝子の具体的な一例であるCRP遺伝子は、具体的には、配列番号1に示す塩基配列からなるゲノムDNAであり、配列番号2に示す塩基配列をオープンリーディングフレームとして含むDNAであり、さらに、配列番号3に示す塩基配列を有するcDNAである。
【0020】
上記構成によれば、CRP遺伝子は約11kbp(塩基対、base pair )のサイズを有するDNAであり、そのオープンリーディングフレーム(ORF)の塩基配列は、約6.7kbpのサイズを有しており、そのcDNAは約7.1kbpのサイズを有している。それゆえ、本発明では、CRP遺伝子をコードするポリヌクレオチド、すなわちmRNA、cDNA、ゲノムDNAおよびそのフラグメントを含む遺伝子を得ることができる。
【0021】
なお、本発明における「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」には、RNAおよびDNAが含まれるものとする。RNAには、mRNAが含まれ、DNAには、たとえば、クローニングや化学合成技術またはそれらの組み合わせで得られるようなcDNAおよびゲノムDNAを包含するDNAが含まれる。また、DNAは二本鎖でも、一本鎖でもよい。一本鎖DNAは、センス鎖となるコード鎖でもよく、アンチセンス鎖となるアンチコード鎖でもよい。
【0022】
さらに、上記構成によれば、CRP遺伝子のORFは、2235のアミノ酸残基からなる蛋白質をコードしていることが分かる。それゆえ、本発明にかかるCRP蛋白質とは、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質である。また、本発明にかかるDNAとは、配列番号4に示すポリペプチドをコードする、上記DNAとは異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。したがって、本発明にかかるDNAには、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするDNAであれば、配列番号2や配列番号3に示す塩基配列を含むDNAでなくてもよい。
【0023】
なお、上述した、配列番号4に示すポリペプチドをコードするポリヌクレオチドには、上記ポリペプチドをコードする単一の連続領域、またはイントロンで中断されているような不連続領域を含むポリヌクレオチドが包含される。
【0024】
上述したように、本発明にかかるCRP遺伝子は、その一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮するDNAであり、さらに、FT遺伝子の過剰発現状態で植物中にて発現させることで、ほぼ栄養成長期間を消失させるDNAである。それゆえ、本発明にかかるDNAには、上記CRP遺伝子の一部を改変した変異型CRP遺伝子も含まれ、特に、CRP遺伝子のORFである、配列番号2に示す塩基配列における塩基の一部を改変したDNAであって、植物中で発現することにより栄養成長期間を短縮することを特徴とするDNA、すなわち変異型CRP遺伝子も含まれる。
【0025】
また、上記変異型CRP遺伝子のより好ましい一例としては、配列番号2に示す塩基配列中の第296番目の塩基をシトシンからチミンに置換されてなるDNA、すなわち配列番号5に示す塩基配列を有するCRYPTIC PRECOCIOUS-1D 変異遺伝子(CRP−1D変異遺伝子)が挙げられる。
【0026】
また、本発明にかかるCRP蛋白質の変異体、すなわち変異型CRP蛋白質は、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質の変異体であって、植物中にて存在させることで発芽後の栄養成長期間を短縮させることを特徴とする蛋白質であればよい。
【0027】
この変異型CRP蛋白質のより好ましい一例としては、配列番号4に示すアミノ酸配列中の第99番目のアミノ酸がセリンからフェニルアラニンに置換されてなる蛋白質、すなわち、配列番号6に示すアミノ酸配列を有するCRP−1D変異蛋白質を挙げることができる。
【0028】
したがって、本発明にかかる変異型CRP遺伝子としては、配列番号6に示すCRP−1D変異蛋白質をコードするポリヌクレオチドであってもよい。
【0029】
また、本発明にかかる他のCRP遺伝子は、イネの第10番染色体にコードされ、配列番号1ないし3の何れかに示す塩基配列を有するDNAと相同性を有するDNAである。具体的には、たとえば、配列番号7に示す塩基配列からなるDNAを挙げることができ、配列番号8に示す塩基配列をオープンリーディングフレームとして含むDNAを挙げることができる。
【0030】
上記イネ由来のCRP遺伝子(OsCRP遺伝子と称する)は、イネゲノムのデータベースに対してホモロジー検索を行った結果得られたものであり、シロイヌナズナ由来の上記CRP遺伝子と高い相同性を示すものである。それゆえ上記構成によれば、OsCRP遺伝子も、FT遺伝子を中心とする花成の人為的制御系の確立に応用できる可能性が高いことが示唆される。
【0031】
また、本発明にかかる他のCRP蛋白質としては、配列番号9に示すアミノ酸配列を有する蛋白質、すなわちイネのCRP蛋白質(OsCRP蛋白質)が挙げられる。それゆえ、本発明にかかるOsCRP遺伝子となるDNAには、配列番号9に示すポリペプチドをコードする、異なる塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
【0032】
なお、本発明者らは、データベースに対する相同性の検索によって、タバコゲノム中にも、上記CRP遺伝子と相同性を有すると考えられるNtCRP遺伝子を見出している。このNtCRP遺伝子は、配列番号10に示す塩基配列を部分塩基配列として含むものであり、その遺伝子産物としてのNtCRP蛋白質は、配列番号11に示す部分アミノ酸配列を含むものである。
【0033】
また、本発明における「相同性」とは、たとえばポリヌクレオチドの場合、ロウ・ストリンジェント条件下で、ハイブリダイゼーションが起こり得る程度に類似性を有することを指す。また、本発明において「相同性」を具体的な数値限定として示せば、たとえば、汎用されている相同性検索アルゴリズムであるBLAST(Basic Local Alignment Search Tool )[S.F.Altschul, W.Gish, W.Miller, E.W.Myers & D.J.Lipman:J Mol Biol., 215(3)403-410(1990) ]によるアミノ酸配列レベルの相同性検索で、P-value(BLAST2の場合はE-value 。ただし、E-value <0.01の場合には、E-value とP-value とはほぼ等しいと見なせる)が0.001未満であるような一つまたは複数のhigh-scoring segment pair (HSP)が存在することとする。なお、上記数値限定における下限(最高度の相同性を意味する)は0である。
【0034】
本発明にかかる上記CRP遺伝子は、FT遺伝子を過剰発現させてなるシロイヌナズナを突然変異させることで得られる早咲き表現型を極端に昂進するcryptic precocious- 1D(crp−1D)突然変異体からクローニングされたものである。
【0035】
それゆえ、本発明には、上記crp−1D突然変異体のシロイヌナズナ、すなわち、第4番染色体にコードされている、配列番号2に示す塩基配列をオープンリーディングフレームとして含むCRP遺伝子を、配列番号5に示す塩基配列からなるCRP−1D変異遺伝子となるように改変し、より好ましくは、過剰発現するようにFT遺伝子を導入してなるシロイヌナズナも含まれる。
【0036】
このような突然変異型のシロイヌナズナでは、花成を促進させることができるだけでなく、形成される花にも種子にも異常が見られないため、実験植物として広く利用されているシロイヌナズナを迅速に繁殖させるような用途に好ましく用いることが可能である。
【0037】
なお、上記「過剰発現(高レベル発現)させているFT遺伝子」とは、組織・発生段階を問わずに高い転写活性を有するようなプロモーターによって発現が制御されるFT遺伝子のことを指す。具体的には、たとえば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35SRNAプロモーターにより発現が制御されるFT遺伝子を挙げることができる。
【0038】
また、本発明における有望な応用技術としては、たとえば、上記CRP−1D変異遺伝子、または、CRP遺伝子の一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮する変異型CRP遺伝子を導入したことを特徴とするトランスジェニック植物を挙げることができる。このトランスジェニック植物においては、上記のように、プロモーターの選択によって、FT遺伝子を過剰発現するように導入してなることがより好ましい。
【0039】
上記トランスジェニック植物は、上記CRP−1D変異遺伝子、または、CRP遺伝子の一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮する変異型CRP遺伝子を植物に導入するステップを少なくとも含み、好ましくは、過剰発現するようにFT遺伝子を導入するステップを含む生産方法によって生産され得る。
【0040】
上記構成または方法によれば、トランスジェニック植物の栄養成長期間を短縮化することが可能であり、特に、FT遺伝子の過剰発現状態では、ほぼ栄養成長を消失させることが可能である。それゆえ、本発明を好適に応用できる用途として、花成促進による繁殖、たとえば種子作物等を迅速に生産するような用途を挙げることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図53に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
本発明にかかる新規な花成制御遺伝子として、本実施の形態では、シロイヌナズナ由来の花成制御遺伝子CRYPTIC PRECOCIOUS遺伝子(CRP遺伝子)を挙げて説明する。上記CRP遺伝子は、突然変異によって、野生型背景で花成早化の表現型のみを示し、さらに、FLOWERING LOCUS T遺伝子(FT遺伝子)の過剰発現背景では、これによって引き起こされる早熟花成を劇的に昂進し、栄養成長相をほぼ完全に消失させる遺伝子である。それゆえ、上記CRP遺伝子は、植物の花成制御に重要に関わる新規な遺伝子であり、FT遺伝子の発現に重大に関与すると考えられる。
【0043】
上記CRP遺伝子は、図1に示すように、12個のエクソン(図中帯形状で表示)と11個のイントロン(図中線で表示)とから構成されている。後述するcrp−1D突然変異は、図中矢印で示す位置に存在する。なお、図1では、エクソンのうち、オープンリーディングフレーム(ORF)を網かけ部分として示し、1kbのスケールも併記する。
【0044】
上記CRP遺伝子のDNAとしては、図2ないし図10および配列番号1の塩基配列に示すように、11000塩基対(11kbp)のサイズを有している。上記CRP遺伝子は、シロイヌナズナ・ゲノムの第4番染色体に1コピーしか存在せず、シロイヌナズナ・ゲノム中には、CRP遺伝子と相同性を有する遺伝子は他には存在しない。なお、図2ないし図10および配列番号1の塩基配列に示すCRP遺伝子をゲノムCRP遺伝子と称する。
【0045】
ゲノムCRP遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)は、図11ないし図15および配列番号2の塩基配列に示すように、6708塩基対すなわち約6.7kbpのサイズを有している。また、ゲノムCRP遺伝子から得られるcDNAクローンは、図16ないし図21および配列番号3の塩基配列に示すように、7149塩基対すなわち約7.1kbpのサイズを有している。
【0046】
それゆえ、本発明にかかるCRP遺伝子としてのDNAは、植物のゲノム中に含まれる形態、すなわちイントロンなどの非コード配列を含む「ゲノム」形DNAであってもよいし、逆転写酵素やポリメラーゼを用いてmRNAを経て得られるcDNA、すなわちイントロンなどの非コード配列を含まない「転写」形DNAであってもよい。
【0047】
また、本発明にかかるCRP遺伝子としてのDNAには、コードされているCRP蛋白質の形成に悪影響を与えないか妨げない限りにおいて、他のDNA配列を含んでいてもよい。たとえば、後述する遺伝子組み換え等に用いるために、リンカーを末端に含ませることもできる。
【0048】
上記ゲノムCRP遺伝子は、図22および図23並びに配列番号4のアミノ酸配列に示すように、2235のアミノ酸残基からなるポリペプチドをコードしている。換言すれば、CRP遺伝子産物としての蛋白質は、2235のアミノ酸残基からなる蛋白質である。本発明では、この蛋白質をCRP蛋白質と称する。
【0049】
上記CRP蛋白質は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster )、ヒト、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)で転写メディエーター、または転写コアクチベーターとして知られる蛋白質と部分的な相同性を有している。すなわち、これら公知の転写メディエーターなどの蛋白質とCRP蛋白質とは類似した配列を含む領域を持つ。
【0050】
たとえば、CRP蛋白質と、キイロショウジョウバエの転写コアクチベーターkohtalo (kto) 蛋白質(2531アミノ酸)との間でアミノ酸配列を比較すると、図24に示すように、CRP蛋白質における61番目のアミノ酸:セリンから261番目のアミノ酸:ロイシンまでの領域は、kto蛋白質と非常に類似する配列を有している。特に、アミノ酸配列における62番目から67番目までの領域と、210番目から216番目までの領域とについては、CRP蛋白質とkto蛋白質との間で完全に一致している。
【0051】
一般に、転写調節因子による転写の調節、すなわち転写反応の促進または抑制には、転写メディエーターまたは転写コアクチベーターが介在するが、上記kto蛋白質とCRP遺伝子との相同性から鑑みて、本発明にかかるCRP遺伝子は、花成の制御機構に関わる転写メディエーターまたは転写コアクチベーターをコードする遺伝子であると推測される。
【0052】
従来、このような花成の制御機構に関わる転写メディエーターまたは転写コアクチベーターをコードすると推測される遺伝子はクローニングされておらず、それゆえ、CRP遺伝子は、この種の遺伝子としては初めてクローニングされたものとなる。
【0053】
上記FT遺伝子は、花成の制御機構において「花成のスイッチ遺伝子」として機能することが知られている。そのため、本発明にかかるCRP遺伝子は、FT遺伝子の発現の調節に応用できる可能性が高い。それゆえ、本発明にかかるCRP遺伝子は、花成の人為的な操作や花成の人為的な制御、さらには、FT遺伝子を中心とする花成の人為的制御系の確立に、有効に利用できる可能性がある。
【0054】
本発明にかかるCRP遺伝子のクローニング方法としては、従来公知の方法を利用することが可能であり、特に限定されるものではない。本発明においては、その目的が、従来知られていない全く新規の花成制御遺伝子をクローニングすることであったので、後述する実施例で説明するように、シロイヌナズナFT遺伝子を過剰発現するトランスジェニック・シロイヌナズナ(形質転換シロイヌナズナ)を、突然変異誘起剤エチルメタンスルフォン酸で処理して得られる早咲き表現型の突然変異体を用いて、シロイヌナズナのゲノムデータベースからCRP遺伝子を同定し、クローニングしている。
【0055】
本発明では、シロイヌナズナ由来の上記CRP遺伝子を用いて、他の植物からCRP遺伝子と相同性を有するDNAをクローニングすることが可能である。この場合のクローニング方法としても、従来公知の方法を利用することが可能であり、特に限定されるものではない。
【0056】
具体的には、ゲノムの少なくとも一部がデータベース化されている植物の場合には、上記CRP遺伝子の塩基配列に基づいて相同性のある塩基配列をデータベース中から検索すればよい。本発明では、後述するように、少なくともイネおよびタバコからCRP遺伝子との相同性を有する塩基配列を見出している。
【0057】
また、ゲノムがデータベース化されていない植物の場合には、たとえば、従来公知のDNAライブラリーを用いたハイブリダイゼーション法を用いることもできる。具体的には、適切なクローニング・ベクターを使用して対象となる植物からゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを調製するステップと、上記CRP遺伝子の少なくとも一部をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行い、ライブラリーから上記プローブにポジティブの断片を検出するステップとを含む方法を用いることができる。
【0058】
なお、本発明では、汎用されている相同性検索アルゴリズムである上記BLASTによる塩基配列およびアミノ酸配列レベルの相同性検索によって、後述するように、イネおよびタバコのゲノムのデータベースからCRP遺伝子との相同性を有する塩基配列を見出している。
【0059】
本発明にかかるCRP遺伝子の一部を改変することによって、変異型CRP遺伝子が得られるが、この変異型CRP遺伝子は、植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮することが可能なものが含まれる。中でも、より好ましい一例としては、本発明では、配列番号2に示す塩基配列中の第296番目の塩基をシトシン(c/C)からチミン(t/T)に置換してなるDNA、すなわち図25ないし図29および配列番号5に示す塩基配列をORFとして有するCRYPTIC PRECOCIOUS-1D 変異遺伝子(CRP−1D変異遺伝子)が挙げられる。
【0060】
このCRP−1D変異遺伝子のORFは、上記第296番目の塩基の改変を除いては、上記CRP遺伝子のORFと全く同じであり、サイズも6708塩基対である。しかしながら、上記CRP−1D変異遺伝子は、それ単体のみで植物中にて発現させても栄養成長期間を短縮化して花成を促進する機能を有しており、さらには、FT遺伝子が過剰発現されている状態で、植物中にて発現させれば、ほぼ栄養成長期間を無くすまでに花成を促進するという機能を有している。
【0061】
また、上記CRP遺伝子が上記CRP−1D変異遺伝子に改変されることによって発現する突然変異を、本発明では、後述する実施例に示すように、cryptic precocious-1D (crp−1D)と命名しており、本発明にかかるCRP遺伝子の名称もこれに由来している。なお、このcrp−1D突然変異は優性である。
【0062】
上記CRP−1D変異遺伝子産物は、図22および図23並びに配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質の変異体であって、図22および図23並びに配列番号4に示すアミノ酸配列中の第99番目のアミノ酸がセリン(Ser )からフェニルアラニン(Phe )に置換されてなる蛋白質、すなわち、図30および図31並びに配列番号6に示すアミノ酸配列を有するCRP−1D変異蛋白質である。
【0063】
このCRP−1D変異蛋白質は、上記第99番目のアミノ酸の置換を除いては、上記CRP蛋白質のアミノ酸配列と全く同じであり、サイズも2235のアミノ酸残基である。しかしながら、このCRP−1D変異蛋白質を植物中にて存在させると、少なくとも、その植物は、発芽後の栄養成長期間を短縮することができる。特に、FT遺伝子産物としてのFT蛋白質が過剰に存在する状況では、上記植物の栄養成長期間をほぼ無くすまでに短縮することが可能である。
【0064】
上記crp−1D突然変異が優性であることから、上記第99番目のアミノ酸の置換により、CRP−1D変異蛋白質は、CRP蛋白質と比較して、新しい機能が賦与されたか、共存する正常なCRP蛋白質の機能を阻害するような性質が賦与されたかの少なくとも何れかであると推測される。
【0065】
また、上記新しい機能または阻害性質の付与から鑑みれば、本発明にかかる変異型CRP蛋白質としては、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質の変異体であって、植物中にて存在させると発芽後の栄養成長が短縮するものであれば、上記CRP−1D変異蛋白質のみに限定されるものではない。
【0066】
具体的には、第99番目のセリンを、フェニルアラニンと共通する性質(芳香環を含む側鎖を持つ、あるいは、大きな側鎖を持つ)のアミノ酸へ置換することによっても、同様の機能が生じる可能性は高い。また、複数のアミノ酸が置換されることによっても同様の機能が生じる可能性もある。
【0067】
したがって、本発明にかかる変異型CRP蛋白質には、配列番号4に示すCRP蛋白質のアミノ酸配列において、数個、具体的には、5〜10個、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個、さらに好ましくは1個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加、あるいはそれらの組み合わせが生じているポリペプチドが含まれてもよい。勿論、特に好ましいのは、第99番目のアミノ酸残基がセリンからフェニルアラニン、またはそれに類似するアミノ酸に置換されたポリペプチドである。
【0068】
本発明者らは、上述したように、シロイヌナズナ由来のCRP遺伝子を用いて、イネ(Oryzae sativa )から相同遺伝子と考えられる遺伝子をクローニングしている。具体的には、データベースに登録されているイネの第10番染色体の塩基配列の中から、CRP遺伝子の相同遺伝子と考えられる塩基配列を見出し、この塩基配列を有する遺伝子を、OsCRP遺伝子と命名した。なお、OsCRP遺伝子の検索に関しては、BLAST2による相同性検索で、E-value =0である。
【0069】
上記OsCRP遺伝子としてのDNA(ゲノムOsCRP遺伝子)は、図32ないし図41および配列番号7の塩基配列に示すように、13000塩基対(13kbp)のサイズを有している。ゲノムOsCRP遺伝子が存在する領域は、現状では,イネ・ゲノムの第10番染色体に1コピー存在している。したがって、イネ・ゲノム中では、CRP遺伝子と相同性を有する遺伝子が、少なくとも1コピー存在することになる。このゲノムOsCRP遺伝子のORFは、図42ないし図46および配列番号8の塩基配列に示すように、6561塩基対すなわち約6.6kbpのサイズを有している。
【0070】
上記ゲノムOsCRP遺伝子は、図47および図48並びに配列番号9のアミノ酸配列に示すように、2186のアミノ酸残基からなるポリペプチドをコードしている。換言すれば、OsCRP遺伝子産物としてのOsCRP蛋白質は、2186のアミノ酸残基からなる蛋白質である。
【0071】
上記OsCRP蛋白質とCRP蛋白質との間で、アミノ酸配列の相同性を見た場合、図49ないし図51に示すように、上記kto蛋白質において相同性の高かった領域を含む第48番目から第268番目の領域、第534から第577番目までの領域、第634番目から第654番目までの領域、第669から第689番目までの領域、第924から第960番目までの領域、第1669から第1693番目までの領域、第2206から第2235番目までの領域等については、よく保存されている。
【0072】
上記の比較結果から、CRP遺伝子産物としてのCRP蛋白質においては、アミノ酸配列における第99番目のセリンと、第61番目のセリンから第261番目のロイシンまでの領域とが非常に重要であることが分かる。
【0073】
また、イネと同様に、データベースに登録されているタバコ(Nicotiana tabacum )のゲノムの塩基配列の中から、シロイヌナズナ由来のCRP遺伝子の相同遺伝子の一部と推測される塩基配列を見出し、この塩基配列を含む遺伝子を、NtCRP遺伝子と命名した。なお、NtCRP遺伝子の検索に関しては、予想される全アミノ酸配列の一割程度の長さであることもあり、BLAST2による相同性検索で、E-value =4e-10 程度である。
【0074】
図52および配列番号10に示す塩基配列は、NtCRP遺伝子のORFの部分塩基配列(285塩基対分)であり、CRP遺伝子における第1ないし第3エクソンを含む領域に対して相同性を有している。また、この部分塩基配列の遺伝子産物としての部分アミノ酸配列は、図53および配列番号11に示すように、N末端の96のアミノ酸残基分に相当する。
【0075】
このように、本発明にかかるシロイヌナズナ由来のCRP遺伝子と類似する遺伝子は、イネやタバコでも見出されており、さらにはキイロショウジョウバエ、ヒト、出芽酵母でも見出されている。したがって、CRP遺伝子に類似する塩基配列のDNAは、幅広い種のゲノム中で保存されていることが示唆される。
【0076】
それゆえ、本発明にかかる変異型CRP遺伝子を導入することで花成を促進させ得る植物としては、シロイヌナズナに特に限定されず、幅広い種類の植物を用いることができる可能性は非常に高い。特に、CRP−1D変異遺伝子を植物に導入して高いレベルで発現させれば、栄養成長期間を短縮し、花の形成を早めることができる可能性は非常に高いと推測される。この場合でも、シロイヌナズナの場合と同様、花の形態・種子形成能は正常であると推測される。特に、CRP−1D変異遺伝子とFT遺伝子を同時に導入し、植物内で高いレベルで発現させれば、実質的に、栄養成長期間を経ずに花を形成させ得る可能性は非常に高い。しかも、この場合にも、花の形態・種子形成能は正常であると推測される。
【0077】
したがって、本発明には、少なくともCRP−1D変異遺伝子を導入してなるトランスジェニック植物も含まれ、FT遺伝子を過剰発現するとともに、CRP−1D変異遺伝子を発現するトランスジェニック植物も含まれる。
【0078】
上記トランスジェニック植物では、CRP−1D変異遺伝子が発現するため、花成を促進することが可能である。しかも、特にFT遺伝子が過剰発現する条件下では、後述するシロイヌナズナを用いた実施例の結果を考慮すれば、ほぼ栄養成長を回避し得るまで花成を促進できる可能性が非常に高い。そのため、発芽から迅速に種子を得ることが可能である。しかも花や種子の形成能はほぼ正常であると推測されるため、本発明を好適に応用できる分野の一つとして、植物の種子を迅速に生産する用途を挙げることができる。
【0079】
本発明における上記植物としては、花を形成する植物を全て含めてよい。また、上記植物には、完全な植物だけでなく、その一部、例えば、葉、種子、塊茎、挿木等を含めてもよい。さらには、上記植物には、予め形質転換された遺伝子組み換え植物やその子孫を起源とする植物組織、プロトプラスト、細胞、カルス、器官、植物種子、胚芽、花粉、卵細胞、接合子などの増殖可能な植物材料;花、茎、実、葉、根などを含む植物の一部;等も含めてよい。なお、上記植物材料は、有性的または無性的にin vitroまたはin vivo で繁殖可能なものを指す。
【0080】
本発明において、植物にCRP−1D変異遺伝子やFT遺伝子を導入する方法としては、CRP−1D変異遺伝子やFT遺伝子を含むベクターを用いて、宿主細胞すなわち上記植物を形質転換することによって導入する方法を用いることが可能である。
【0081】
上記ベクターは、公知の形質転換方法によって植物(宿主細胞)に導入される。植物を形質転換する方法としては、具体的には、たとえば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウムによる形質転換法、直接遺伝子転移法、弾道粒子加速法、プロトプラスト形質転換/再生法などを挙げることができるが、特に限定されるものではない。また、上記形質転換方法としては、標的となる植物の種類、たとえば単子葉植物・双子葉植物などに応じて適宜選択されるものであり、特に限定されるものではない。
【0082】
本発明では、植物中でCRP−1D変異遺伝子を安定して発現させる等の目的で、CRP−1D変異遺伝子を組み換えてなる組み換えベクターを用いても構わない。なお、上記組み換え方法については、従来公知の方法を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。なお、以下の説明で、CRP−1D変異遺伝子の導入に関する技術は、組み換え技術等も含めて、FT遺伝子の導入および発現にも応用できることは言うまでもない。
【0083】
上記ベクターとしては、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどを挙げることができるが特に限定されるものではない。上記CRP−1D変異遺伝子やFT遺伝子は、シロイヌナズナ等由来となる植物から単離された形態で、好ましくは組み換えられて、ベクター中に組み込まれればよい。
【0084】
たとえば、上記組み換えの一例としては、プロモーター・シグナル配列・転写ターミネーター等の適切な調節配列とCRP−1D変異遺伝子(またはFT遺伝子)とを連結するような例が挙げられる。上記植物または植物細胞中で有効に機能し得るプロモーターとしては、たとえばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)19SRNAプロモーターまたは35SRNAプロモーターおよびCaMV二重プロモーター;ノパリンシンターゼプロモーター;病因関連(PR)蛋白プロモーター:等が挙げられるが特に限定されるものではない。
【0085】
導入されたCRP−1D変異遺伝子は、植物細胞中でベクターとして存在してもよいし、植物DNA中に「外部」DNA、又は「付加」DNAとして含まれてもよい。ここで言う「外部」DNAとは、植物ゲノム中には天然に存在しないが人為的操作の結果、植物ゲノム中に挿入されたDNAを意味する。また上記「付加」DNAとは、特定の植物ゲノム中に天然に存在するが、人為的操作の結果、さらに追加して植物ゲノム中に挿入されたDNAを意味する。
【0086】
上記ベクターとして、一般的に用いられるものとしては、たとえば、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens )のTiプラスミドを挙げることができる。このTiプラスミドは、双子葉植物の形質転換にも単子葉植物の形質転換にも用いることが可能である。この場合、上記CRP−1D変異遺伝子は、TiプラスミドのT−DNAに組み込まれた上で、植物細胞に導入される。
【0087】
上記Tiプラスミドを植物細胞に導入する方法としては、特に限定されるものではなく、Tiプラスミドを「完全な」植物に感染させる、上記植物材料に感染させる、あるいは、植物細胞をプロトプラスト化またはスフェロプラスト化して、これをアグロバクテリウム・ツメファシエンスと共に同時培養する等の方法を用いることが可能である。
【0088】
また、本発明では、シロイヌナズナ由来のCRP−1D遺伝子を、植物細胞のゲノムに導入し、その植物細胞から形質転換された「完全な」植物(形質転換植物)を再生して、必要なら増殖させ、さらに、親世代または継代される子孫世代として得られる形質転換植物から、植物の所望の一部、たとえば種子を得るような手法を用いることも可能である。なお、上記完全な植物の増殖には、水耕栽培や温室栽培等を含む、一般的な従来公知の農業の方法を利用すればよい。
【0089】
また、本発明では、親世代の植物には、CRP−1D変異遺伝子が安定して発現することが好ましいが、子孫世代の植物では、必ずしも安定して発現する必要はない。換言すれば、子孫世代の植物では、親世代の植物に導入されたCRP−1D変異遺伝子を意図的に消失させるような比較的「不安定」な形質転換法を選択することも可能である。
【0090】
たとえば、本発明の用途としては、植物の種子を迅速に生産する用途を想定することができる。たとえば、交配による育種の途中の段階で、少量でもよいから少しでも早く種子を得たいような場合には、本発明を好適に利用することができる。
【0091】
この場合、CRP−1D変異遺伝子とFT遺伝子とを発現させれば、対象となる植物の栄養成長期間をほぼ消失させて、迅速に植物の種子を得ることが可能である。しかしながら、上記対象となる植物が、たとえば園芸用の花卉であり、産業上利用するには、栄養成長でなければ生じない本葉が重要となる場合には、栄養成長期間の消失は好ましくないことになる。そこで、このような場合では、親世代のみで栄養成長期間を消失させ、子孫世代では、少なくともCRP−1D変異遺伝子が発現しないようにしておけば、上記問題点を解消することが可能である。
【0092】
本発明を利用することができる上記植物としては、花を形成する植物であればよい。具体的には、アサガオなど花そのものを利用する鑑賞用や園芸用の花卉、シロイヌナズナなどの実験植物、あるいは、花成後に生じる種子(ここでは果実も含む)を利用する種子作物を挙げることができる。特に種子作物の場合には、産業上の利用では、たとえば上述したような、親世代で消失した栄養成長を子孫世代で復活させるような必然性がない場合が多く、種子を迅速に生産できればよいため、好ましい利用対象植物として挙げることが可能である。
【0093】
上記種子作物としては、たとえば、イネ、キビ、アワ、トウモロコシ、大麦、コムギ、モロコシ、ライムギ、エンバク等の穀物類;大豆、小豆等のマメ科植物;ワタ、ナタネ等のその他の種子を利用する植物;トマト、キュウリ、ナスなどの実生の野菜;リンゴ、ナシ、サクランボ、ブドウ、柑橘類、バナナ等の果物;ココア、コーヒー等の嗜好品作物;等を挙げることができる。
【0094】
このように、本発明にかかるトランスジェニック植物は、上記CRP−1D変異遺伝子を植物に導入したものであるので、栄養成長期間を短縮化することが可能である。特に、FT遺伝子の過剰発現状態では、子葉が生じた後に、ほぼ栄養成長を経ずに花を形成する可能性が高い。そのため、花成促進による植物の繁殖、たとえば上記種子作物等を迅速に生産するような用途に応用することが可能となっている。
【0095】
さらには、本発明には、上述してきたトランスジェニック植物を生産する方法が含まれてもよい。すなわち、ある特定の植物を迅速に生産したい場合には、上述した各種の形質転換法を用いて、CRP−1D変異遺伝子、または、FT遺伝子およびCRP−1D変異遺伝子を植物に導入すればよい。
【0096】
また、本発明にかかる上記CRP遺伝子は、後述する実施例で詳細に述べるように、FT遺伝子を過剰発現させてなるシロイヌナズナを突然変異させることで得られる早咲き表現型を極端に昂進するcryptic precocious-1D (crp−1D)突然変異体からクローニングされたものである。したがって、上記crp−1D突然変異体のシロイヌナズナも十分利用価値を有する。
【0097】
シロイヌナズナは、(1)世代時間が約5〜6週間と非常に短いこと、(2)通常の実験室内で水耕栽培によって生育できること、(3)植物体そのものが20〜30cm程度と小さいこと、(4)自家和合性(同じ花の花粉で受精する)であるため、多数の種子(1個体当たり数百から数千個)が得られること、(5)染色体数が少ないため、遺伝子のマッピングが容易であること、(6)ゲノムサイズが既知の植物中最小であること等の利点があるため、小型の実験植物としては、非常によく用いられている。
【0098】
ここで、上記crp−1D突然変異型のシロイヌナズナでは、後記の実施例で述べるように、花成を促進させることができるだけでなく、形成される花にも種子にも異常が見られない。それゆえ、実験用等にシロイヌナズナを迅速に繁殖させるような用途には、上記crp−1D突然変異型のシロイヌナズナを特に好ましく用いることができる。
【0099】
上記crp−1D突然変異型のシロイヌナズナの生産方法は特に限定されるものではない。たとえば、後記の実施例に示すように、FT遺伝子を過剰発現するように形質転換したトランスジェニック・シロイヌナズナ(形質転換シロイヌナズナ)を、従来公知の突然変異誘起剤で処理することによって容易に得ることができる。あるいは、上述した従来公知の形質転換法を用いて、CRP−1D変異遺伝子を野生型のシロイヌナズナに導入してもよい。
【0100】
なお、FT遺伝子を過剰発現させる方法としては、特に限定されるものではなく、前述したCRP−1D変異遺伝子の導入に関する技術を応用すればよい。一般的には、組織・発生段階を問わずに高い転写活性を有するプロモーターを選択することによって、FT遺伝子を野生型よりも過剰に発現させればよい。たとえば、カリフラワーモザイクウイルス(CAMV)の35SRNAプロモーターにより発現が制御されるFT遺伝子を好ましく用いることができる。
【0101】
【実施例】
次に、本発明にかかるCRP遺伝子およびCRP−1D変異遺伝子、並びにCRP蛋白質およびCRP−1D変異蛋白質の具体的な取得方法について、図54および図55に基づいて、より詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
【0102】
〔突然変異体の取得〕
文献1:Y.Kobayashi, H.Kaya, K.Goto, M.Iwabuchi & T.Araki : Science, 286 1960-1962 (1999) に開示している、シロイヌナズナ由来のFT遺伝子がCAMVの35SRNAプロモーターにより過剰発現(高レベル発現)するトランスジェニック・シロイヌナズナ(形質転換シロイヌナズナ)を、突然変異誘起剤エチルメタンスルフォン酸で処理した。このときの処理方法については、文献2:『新版・モデル植物の実験プロトコール』(島本功・岡田清孝監修 秀潤社 2001)の第63〜68頁に記載している処理方法を用いた。
【0103】
得られた形質転換シロイヌナズナの子孫から、FT遺伝子の過剰発現による早咲き表現型を極端に昂進する突然変異体の系統を見出し、その性質の遺伝性を確認した。原因となる突然変異は優性であり、cryptic precocious-1D (crp−1Dと略す)と命名した。crp−1D突然変異体において突然変異をおこしている遺伝子を突然変異の名称にもとづいて CRYPTIC PRECOCIOUS (CRP)遺伝子と命名した。
【0104】
〔crp−1D突然変異体の性質の評価〕
上記CRP遺伝子の遺伝子型としてcrp−1D突然変異をホモ接合で有するシロイヌナズナと、対照標準(コントロール)として、野生型ホモ接合のシロイヌナズナ(正常なCRP遺伝子を有するシロイヌナズナ)とをそれぞれ15個体準備し、長日(16時間明・8時間暗)の条件で生育させた。この生育時における栄養成長期間の長さに基づいて、crp−1D突然変異体の性質を評価した。なお、栄養成長期間の長さについては、栄養成長の過程で形成されるロゼット葉の数を指標とした。
【0105】
図54に示すように、発芽後4週間目における花成の状態を比較すると、crp−1D突然変異をホモ接合で有するシロイヌナズナ(図中、形質転換植物と表現)ではすでに開花・結実が始まっているのに対して、野生型ホモ接合のシロイヌナズナではようやく蕾が形成された程度であった。
【0106】
また、最終的には、表1に示すように、野生型のシロイヌナズナ(図中、非形質転換植物と表現)では、crp−1D突然変異をホモ接合に持たせた場合には、本葉を形成する栄養成長期間(3〜4週間)が数日程度短縮された。なお、形成された花の形態や種子形成能には異常はなかった。
【0107】
【表1】
Figure 0004685278
【0108】
さらに、上記crp−1D突然変異をホモ接合で有するシロイヌナズナと、上記野生型ホモ接合のシロイヌナズナを、シロイヌナズナ由来のFT遺伝子で形質転換し、FT遺伝子を高いレベルで発現させた形質転換シロイヌナズナとした上で、上記と同様の条件にて、crp−1D突然変異体の性質を評価した。
【0109】
図55(a)および表2に示すように、FT遺伝子を過剰発現させると、正常なCRP遺伝子を有する野生型ホモ接合の形質転換シロイヌナズナ(図中、形質転換植物と表現)でも、子葉形成後、2〜4枚の本葉を形成する短い栄養成長期間を経たのみで、花が形成された(上記文献1参照)。
【0110】
さらには、図55(b)および表2に示すように、同じ形質転換シロイヌナズナがcrp−1D突然変異をヘテロ接合で有する場合では、発芽後、本葉を形成することなく花が形成された。なお、何れの場合でも、形成された花の形態や種子形成能には異常はなかった。また、図55(a)・(b)では、発芽後1週間目の結果を示している。
【0111】
【表2】
Figure 0004685278
【0112】
〔CRP遺伝子の同定〕
まず、上記文献2、および文献3:『モデル植物ラボマニュアル』(岩淵雅樹・岡田清孝・島本功監修 シュプリンガー・フェアラーク東京 2000)の第51〜66頁に記載している方法を用いて、crp−1D突然変異体を用いてCRP遺伝子の染色体上における位置を決定した。その結果と、データベースにあるシロイヌナズナのゲノムの塩基配列情報にもとづいて、CRP遺伝子が存在する領域を第4番染色体の約30000塩基対の範囲に限定した。その領域内に予測された遺伝子について、野生型株とcrp−1D突然変異株とで塩基配列の比較を行った。その結果、1つの遺伝子が両者の間で異なる塩基配列を持つことを確認し、その遺伝子がCRP遺伝子であると判断した。
【0113】
〔CRP遺伝子のcDNAクローンの取得〕
CRP遺伝子の塩基配列から、約7100塩基対のcDNAが予想され、完全長cDNAクローンを単一のクローンとして取得することは容易でないと判断した。そこで、cDNAを前半分と後半分の2つに分けて、それぞれを別々に取得したのち、それらを連結して完全長cDNAクローンを作成した。
【0114】
cDNAの中ほどに制限酵素SphIの認識・切断部位が1箇所ある。そこで、前半分と後半分がいずれも制限酵素SphIの認識・切断部位を含むように一部重複するかたちでcDNAを二分し、文献4:『新版・植物のPCR実験プロトコール』(島本功・佐々木卓治監修 秀潤社 1997)の第106〜109頁に記載している方法を用いて、それぞれをRT−PCR法により増幅・取得した。その結果得られた前半分と後半分を制限酵素SphIで切断し、DNAリガーゼにより連結し、完全長cDNAクローンとした。
【0115】
なお、本実施例でクローニングされたCRP遺伝子およびCRP−1D変異遺伝子、これら遺伝子にコードされているCRP蛋白質およびCRP−1D蛋白質、並びに、前記実施の形態で述べたOsCRP遺伝子とそれにコードされているOsCRP蛋白質、NtCRP遺伝子とそれにコードされているNtCRP蛋白質の配列について、改めて表3として以下にまとめておく。
【0116】
【表3】
Figure 0004685278
【0117】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる遺伝子は、植物のゲノムから単離され、その一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮する遺伝子であり、具体的には、シロイヌナズナの第4番染色体にコードされるCRP遺伝子を挙げることができる。上記遺伝子は、その一部を改変した状態で、かつFT遺伝子の過剰発現状態で植物中にて発現させることで、発芽後に本葉形成を回避して花を形成するものである。
【0118】
それゆえ、上記構成では、花成を促進させるという、花成制御の一つの方法を実現できる上に、FT遺伝子を中心とする花成の制御機構に重要に関与することが明らかであるため、FT遺伝子を中心とする花成の人為的制御系の確立に応用することができるという効果を奏する。
【0119】
上記CRP遺伝子は、具体的には、配列番号1に示す塩基配列からなるDNAであり、配列番号2に示す塩基配列をオープンリーディングフレームとして含むDNAであり、さらに、配列番号3に示す塩基配列を有するcDNAである。
【0120】
また、本発明にかかるCRP蛋白質とは、上記塩基配列を有するCRP遺伝子の遺伝子産物であり、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質である。また、本発明にかかるDNAとは、配列番号4に示すポリペプチドをコードする、上記DNAとは異なる塩基配列を有するポリヌクレオチド(遺伝子)であってもよい。
【0121】
さらに、本発明にかかる変異型CRP遺伝子は、CRP遺伝子のORFであり、配列番号2に示す塩基配列における塩基の一部を改変したDNAであって、植物中で発現することにより栄養成長期間を短縮するDNAである。この変異型CRP遺伝子のより好ましい一例としては、配列番号2に示す塩基配列中の第296番目の塩基をシトシンからチミンに置換されてなるCRP−1D変異遺伝子が挙げられる。
【0122】
また、本発明にかかるCRP蛋白質の変異体、すなわち変異型CRP蛋白質は、配列番号4に示すアミノ酸配列を有する蛋白質の変異体であって、植物中にて存在させることで発芽後の栄養成長が短縮する蛋白質である。この変異型CRP蛋白質のより好ましい一例としては、配列番号4に示すアミノ酸配列中の第99番目のアミノ酸がセリンからフェニルアラニンに置換されてなる蛋白質、すなわち、配列番号6に示すアミノ酸配列を有するCRP−1D変異蛋白質が挙げられる。
【0123】
したがって、本発明にかかる変異型CRP遺伝子としては、配列番号6に示すCRP−1D変異蛋白質をコードするDNAであってもよい。
【0124】
また、本発明にかかる他のCRP遺伝子は、イネの第10番染色体にコードされ、配列番号1ないし3の何れかに示すDNAと相同性を有するDNA、たとえば、配列番号7に示す塩基配列からなるDNAを挙げることができ、配列番号8に示す塩基配列をオープンリーディングフレームとして含むDNAを挙げることができる。
【0125】
また、本発明にかかる他のCRP蛋白質としては、配列番号9に示すアミノ酸配列を有する蛋白質、すなわちイネのCRP蛋白質(OsCRP蛋白質)が挙げられる。
【0126】
さらに、本発明には、上記crp−1D突然変異体のシロイヌナズナも含まれる。このcrp−1D突然変異体のシロイヌナズナでは、花成を促進させることができるだけでなく、形成される花にも種子にも異常が見られないため、実験植物として広く利用されているシロイヌナズナを迅速に繁殖させるような用途に、特に好ましく用いることができるという効果を奏する。
【0127】
本発明における有望な応用技術としては、たとえば、上記CRP−1D変異遺伝子、または、CRP遺伝子の一部を改変した状態で植物中にて発現させることで、栄養成長期間を短縮する変異型CRP遺伝子を導入したことを特徴とするトランスジェニック植物が挙げられる。また、上記CRP−1D変異遺伝子または変異型CRP遺伝子を植物に導入するステップを少なくとも含むことを特徴とするトランスジェニック植物の生産方法が挙げられる。
【0128】
上記構成または方法によれば、トランスジェニック植物の栄養成長期間を短縮化することが可能であり、特に、FT遺伝子の過剰発現状態では、ほぼ栄養成長を消失させることも可能である。その結果、花成する植物の繁殖、たとえば種子作物等を迅速に生産するような用途に応用することが可能となるという効果を奏する。
【0129】
【配列表】
Figure 0004685278
Figure 0004685278
Figure 0004685278
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Figure 0004685278

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるCRP遺伝子のエクソンおよびイントロンの概略構造を示す遺伝子構造図である。
【図2】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す配列図である。
【図3】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図2の続きとなる配列図である。
【図4】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図3の続きとなる配列図である。
【図5】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図4の続きとなる配列図である。
【図6】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図5の続きとなる配列図である。
【図7】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図6の続きとなる配列図である。
【図8】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図7の続きとなる配列図である。
【図9】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図8の続きとなる配列図である。
【図10】配列番号1に対応するゲノムCRP遺伝子の塩基配列を示す、図9の続きとなる配列図である。
【図11】配列番号2に対応するゲノムCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す配列図である。
【図12】配列番号2に対応するゲノムCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図11の続きとなる配列図である。
【図13】配列番号2に対応するゲノムCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図12の続きとなる配列図である。
【図14】配列番号2に対応するゲノムCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図13の続きとなる配列図である。
【図15】配列番号2に対応するゲノムCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図14の続きとなる配列図である。
【図16】配列番号3に対応するCRP遺伝子のcDNAクローンの塩基配列を示す配列図である。
【図17】配列番号3に対応するCRP遺伝子のcDNAクローンの塩基配列を示す、図16の続きとなる配列図である。
【図18】配列番号3に対応するCRP遺伝子のcDNAクローンの塩基配列を示す、図17の続きとなる配列図である。
【図19】配列番号3に対応するCRP遺伝子のcDNAクローンの塩基配列を示す、図18の続きとなる配列図である。
【図20】配列番号3に対応するCRP遺伝子のcDNAクローンの塩基配列を示す、図19の続きとなる配列図である。
【図21】配列番号3に対応するCRP遺伝子のcDNAクローンの塩基配列を示す、図20の続きとなる配列図である。
【図22】配列番号4に対応するCRP蛋白質のアミノ酸配列を示す配列図である。
【図23】配列番号4に対応するCRP蛋白質のアミノ酸配列を示す、図22の続きとなる配列図である。
【図24】CRP蛋白質と、キイロショウジョウバエの転写コアクチベーターkto蛋白質とにおけるアミノ酸配列の相同性を示す比較配列図である。
【図25】配列番号5に対応するCRP−1D変異遺伝子のORFの塩基配列を示す配列図である。
【図26】配列番号5に対応するCRP−1D変異遺伝子のORFの塩基配列を示す、図25の続きとなる配列図である。
【図27】配列番号5に対応するCRP−1D変異遺伝子のORFの塩基配列を示す、図26の続きとなる配列図である。
【図28】配列番号5に対応するCRP−1D変異遺伝子のORFの塩基配列を示す、図27の続きとなる配列図である。
【図29】配列番号5に対応するCRP−1D変異遺伝子のORFの塩基配列を示す、図28の続きとなる配列図である。
【図30】配列番号6に対応するCRP−1D変異蛋白質のアミノ酸配列を示す配列図である。
【図31】配列番号6に対応するCRP−1D変異蛋白質のアミノ酸配列を示す、図30の続きとなる配列図である。
【図32】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す配列図である。
【図33】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図32の続きとなる配列図である。
【図34】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図33の続きとなる配列図である。
【図35】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図34の続きとなる配列図である。
【図36】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図35の続きとなる配列図である。
【図37】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図36の続きとなる配列図である。
【図38】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図37の続きとなる配列図である。
【図39】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図38の続きとなる配列図である。
【図40】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図39の続きとなる配列図である。
【図41】配列番号7に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子の塩基配列を示す、図40の続きとなる配列図である。
【図42】配列番号8に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す配列図である。
【図43】配列番号8に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図42の続きとなる配列図である。
【図44】配列番号8に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図43の続きとなる配列図である。
【図45】配列番号8に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図44の続きとなる配列図である。
【図46】配列番号8に対応するイネ由来のゲノムOsCRP遺伝子のORFの塩基配列を示す、図45の続きとなる配列図である。
【図47】配列番号9に対応するイネ由来のOsCRP蛋白質のアミノ酸配列を示す配列図である。
【図48】配列番号9に対応するイネ由来のOsCRP蛋白質のアミノ酸配列を示す、図47の続きとなる配列図である。
【図49】OsCRP蛋白質とCRP蛋白質とにおけるアミノ酸配列の相同性を示す比較配列図である。
【図50】OsCRP蛋白質とCRP蛋白質とにおけるアミノ酸配列の相同性を示す、図49の続きとなる比較配列図である。
【図51】OsCRP蛋白質とCRP蛋白質とにおけるアミノ酸配列の相同性を示す、図50の続きとなる比較配列図である。
【図52】配列番号10に対応するタバコ由来のNtCRP遺伝子のORFの部分塩基配列を示す配列図である。
【図53】配列番号11に対応するタバコ由来のNtCRP蛋白質の部分アミノ酸配列を示す配列図である。
【図54】crp−1D突然変異をホモ接合で有するシロイヌナズナと、野生型ホモ接合のシロイヌナズナとにおいて、発芽後4週間目での生育状態を示す図である。
【図55】(a)は、野生型ホモ接合のシロイヌナズナをFT遺伝子で形質転換して、FT遺伝子を高レベルで発現させた場合の、発芽後1週間目の生育状態を示す図であり、(b)は、シロイヌナズナをFT遺伝子で形質転換して、FT遺伝子を高レベルで発現させた植物にcrp−1D突然変異をヘテロ接合で持たせた場合の、発芽後1週間目の生育状態を示す図である。

Claims (13)

  1. 配列番号4に示すアミノ酸配列中の第99番目のアミノ酸がセリンからフェニルアラニンに置換されてなることを特徴とする蛋白質、あるいは、配列番号4に示すアミノ酸配列中の第99番目のアミノ酸がセリンからフェニルアラニンに置換されているアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸残基が置換、欠失または付加、あるいはそれらの組合せが生じており、かつ、植物中にて存在させることで発芽後の栄養成長期間が短縮することを特徴とする蛋白質
  2. 請求項に記載の蛋白質をコードするDNA。
  3. 列番号2に示す塩基配列中の第296番目の塩基がシトシンからチミンに置換されてなる請求項に記載のDNA。
  4. 請求項2または3に記載のDNAを植物中にて発現させるステップを含む植物の栄養成長期間を短縮する方法
  5. 請求項2または3に記載のDNAをFT遺伝子の過剰発現状態で植物中にて発現させるステップを含む植物の栄養成長期間を消失させる方法
  6. 植物の栄養成長期間を短縮するための、請求項2または3に記載のDNAの、使用。
  7. 植物の栄養成長期間を消失させるための、請求項2または3に記載のDNAとFT遺伝子との組合せの、使用。
  8. シロイヌナズナの第4番染色体にコードされている、配列番号2に示す塩基配列をオープンリーディングフレームとして含む遺伝子を、配列番号5に示す塩基配列となるように改変したことを特徴とするシロイヌナズナ。
  9. さらに、過剰発現するようにFT遺伝子を導入してなることを特徴とする請求項に記載のシロイヌナズナ。
  10. 請求項2または3に記載のDNAを導入したことを特徴とするトランスジェニック植物。
  11. さらに、過剰発現するようにFT遺伝子を導入してなることを特徴とする請求項10に記載のトランスジェニック植物。
  12. 請求項2または3に記載のDNAを植物に導入するステップを少なくとも含むことを特徴とするトランスジェニック植物の生産方法。
  13. さらに、過剰発現するようにFT遺伝子を導入するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載のトランスジェニック植物の生産方法。
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