JP4681265B2 - 合成ガスの製造方法および合成ガス製造用リアクター。 - Google Patents

合成ガスの製造方法および合成ガス製造用リアクター。 Download PDF

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Description

本発明は、メタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として含む炭化水素原料ガスを原料として、チューブラーリアクター中に充填された合成ガス製造用触媒の存在下の基にH2Oおよび/またはCO2リフォーミングによってCOとH2とを主成分とする合成ガスを製造する方法、およびその方法を実施するための合成ガス製造用リアクターに関する。
将来の石油代替エネルギー源として、近年天然ガスが注目されている。天然ガスは他の化石燃料と比較して燃焼特性がクリーンであるため、1次エネルギー、2次エネルギー原料として利用が促進されれば、環境保護の面でも極めて有益であるといえる。
このような観点から現在、天然ガスを化学的に転換し、メタノール、DME、合成石油などを製造する技術の開発が活発に行われている。これらの技術の主流は合成ガスを経由する間接転換法であり、当該合成ガスの製造技術はプロセス全体の経済性に大きなウエイトを占めている。
合成ガスの製造技術には、改質剤として水蒸気や炭酸ガスを用い、触媒の充填された反応管(チューブラーリアクター、あるいはリフォーマーチューブと呼ばれる)により改質を行う水蒸気改質法や炭酸ガス/水蒸気改質法がある。
天然ガスの炭酸ガス/水蒸気改質法では、原料に添加する炭酸ガスと水蒸気量をコントロールすることができ、例えば、FT(フィッシャー・トロプシュ)合成原料に適したH2/COモル比=2付近となる合成ガスを直接合成することが可能である。
このようにH2/COモル比=2付近を目標としたり、あらかじめ炭酸ガス含有率の高い天然ガスを使用すれば、必然的に、天然ガスの炭酸ガス/水蒸気改質法を採用し、かつ、炭酸ガス量および水蒸気量の最適化を図らなければならない。
しかしながら、例えば、H2/COモル比=1〜2付近を目標とする反応条件下では、反応平衡の観点から、必然的に生成ガスが触媒表面へのカーボン析出を起こしやすい組成となるため、長期の安定運転が不可能であるという問題が生じていた。従って、これまでの方法では触媒のカーボン析出による劣化を抑えるため、原料に過剰のスチームを添加しなくてはならず、また得られた水素過剰のガスから水素を分離してH2/COモル比を調整しなければならなかった。
このような実状のもとに、天然ガスの合成ガス化反応に必要な活性は保有するものの、その副反応である炭素析出反応はきわめて高レベルで抑制することができる触媒の設計が要望されていた。
このような課題を解決するために、本出願人は、すでに、国際公開番号WO98/46523号公報や国際公開番号WO98/46524号公報に新規な触媒構成を提案している。これによれば、本来、反応平衡から考察すれば、炭素析出が起こり易い組成領域における合成ガスの製造を実施しても、新規提案の触媒の独自の作用により炭素析出を高レベルで抑制でき、所望のH2/CO比の合成ガスが長期に亘って製造できるというものである。
さらに、原料に添加する水蒸気の低減は、加熱に必要なエネルギーを低減し、また生成ガスのH2/COモル比の調整工程が不必要となる等、より効率的なプロセス構築が可能となる。
ところで、原料ガスである天然ガスの中には、主成分であるメタン以外に、副成分である炭素数2以上(特に2〜6)の炭化水素を約10wt%前後含むものがある。
このように約10wt%前後の副成分(炭素数2〜6の炭化水素)を含む原料ガスを用い、スチームリフォーミング反応や炭酸ガスリフォーミング反応により、合成ガスを製造しようとすると、反応管の入口部では、炭素数2以上の炭化水素の分圧が高いため、熱分解に由来する炭素の析出が起こりやすくなるという現象が生じていることが分かってきた。
反応管の入口部における炭素の析出は、反応管の閉塞などの深刻な問題を引き起こすおそれがある。そのために反応管の入口部における炭素の析出を回避できるような新たな技術の提案が求められている。
なお、本願発明に類する発明として、リフォーマ−操作に至る前にプレリフォーマ−操作を行う装置を別途設置して、予備的な前処理を行う技術の提案がなされている(U.S.P 5004592、U.S.P 4985231 、U.S.P 6375916、U.S.P 5264202)。しかしながら、これらの提案は、リフォーマ−操作を行う装置以外に、極めて多量のスチームを導入して予備的なプレリフォーマ−処理を行うための装置を別途設ける構成を採択している。そのため、付帯設備が多くなり、設備コストが高くなる。また、2つの反応装置は、それぞれ全く構造が異なり、操作条件および操作の目的も異なることから、個別の反応処理操作条件の設定が必要であり、操作が煩雑になるという不都合が生じる。
U.S.P 5004592 U.S.P 4985231 U.S.P 6375916 U.S.P 5264202
このような実状のもと、本発明は、副成分として炭素数2以上の炭化水素を所定量含有する炭化水素原料ガスを原料として用いる合成ガスを製造する方法において、1つの同一のリアクターを用い、簡易に構造で、簡易な操作条件で、リアクターへの原料ガス導入初期段階でC2以上の炭化水素(副成分)が熱分解による炭素析出を起こさずに、C2以上の炭化水素を速やかに反応により消失させることができる合成ガスの製造する方法、およびその方法を実施するための合成ガス製造用リアクターを提供することにある。
このような課題を解決するために、本発明は、メタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として含む炭化水素原料ガスを原料として、チューブラーリアクター中に充填された合成ガス製造用触媒の存在下の基にH2Oおよび/またはCO2リフォーミングによってCOとH2とを主成分とする合成ガスを製造する方法であって、前記チューブラーリアクターは、原料ガス入口側から第1の触媒層および第2の触媒層を順次含み、前記第1の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で1200〜10000wt-ppm担持させた第1の触媒を充填することにより形成されており、前記第2の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で10〜1000wt-ppm担持させた第2の触媒を充填することにより形成されており、前記第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の97.5vol%を反応させて消失させてなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記炭化水素原料ガス中の炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率が、5〜20vol%であるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記炭化水素原料ガス中の炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率に応じて、前記第1の触媒層に用いる第1の触媒のロジウムないしルテニウムの担持量を設定してなるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の触媒層の出口温度が750℃以下となるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記第1および第2の触媒に用いられる合成ガス製造用触媒の酸化マグネシウム担体は、その比表面積が0.1〜1.0m2/gであるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記炭化水素原料ガス中の副成分が、炭素数2〜6の炭化水素であるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、原料である炭化水素由来の炭素モル数をCで表わしたとき、炭素1モル当たりのH2O/C(モル比)が0.1〜2.0及び/又はCO2/C(モル比)が0.1〜3.0の範囲内にあり、H2OリフォーミングとCO2リフォーミングを併用した場合には、H2O/CO2(モル比)が0.1〜10の範囲内にあるように構成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記リアクターの反応条件として、反応温度600〜1000℃、反応圧力0.3〜3.5MPaG、GHSV(gas hourly space velocity)=1000〜10000hr-1であるように構成される。
また、本発明は、メタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として5〜20vol%の割合で含む炭化水素原料ガスを原料として、合成ガス製造用触媒の存在下の基にH2Oおよび/またはCO2リフォーミングによってCOとH2とを主成分とする合成ガスを製造するための合成ガス製造用リアクターであって、前記合成ガス製造用リアクターは、原料ガス入口側から第1の触媒層および第2の触媒層を順次含むチューブラーリアクターであり、前記第1の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で1200〜10000wt-ppm担持させた第1の触媒を充填することにより形成されており、前記第2の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で10〜1000wt-ppm担持させた第2の触媒を充填することにより形成される。
また、本発明の好ましい態様として、前記第1の触媒層は、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の97.5vol%を反応させて消失させるように設計されてなるように構成される。
本発明は、副成分として炭素数2以上の炭化水素を所定量含有する炭化水素原料ガスを原料として用いる合成ガスを製造する方法において、リアクターの特定の部位に特定の触媒を充填させる構成を採択しているので、1つの同一のリアクターを用い、簡易な構造かつ簡易な操作条件で、リアクターへの原料ガス導入初期段階でC2以上の炭化水素(副成分)が熱分解による炭素析出を起こさずに、C2以上の炭化水素を速やかに反応により消失させることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、メタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として含む炭化水素原料ガスを原料として、チューブラーリアクター中に充填された合成ガス製造用触媒の存在下の基にH2Oおよび/またはCO2リフォーミングによってCOとH2とを主成分とする合成ガスを製造する方法である。
〔本発明における原料ガスに関する説明〕
本発明における原料ガスは、炭素数1のメタンを主成分とし、炭素数2以上(特に、炭素数2〜6の炭化水素)の炭化水素を副成分として含む炭化水素原料ガスを原料としている。
炭化水素原料ガス中における炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率は、5〜20vol%、好ましくは5〜15vol%である。副成分の含有率が5vol%未満となると、炭素数2以上の炭化水素が熱分解による炭素析出を起こしてしまうという本発明の課題の意義が薄れてしまう傾向がある。また、副成分の含有率が20vol%を超えると、本願発明では対処が困難となり、さらに別の方法を採択する必要が生じる傾向がある。
炭素数が2以上の炭化水素の個別の含有率の具体的一例を挙げると、例えば、C2が4〜10vol%、C3が1〜5vol%、C4が1〜5vol%、C5が1〜3vol%、C6が1〜3vol%程度とされる。
〔チューブラーリアクターの構成に関する説明〕
本発明におけるチューブラーリアクターは、原料ガス入口側から第1の触媒層および第2の触媒層を順次含む構成となっている。
第1の触媒層の説明
第1の触媒層は、特定性状の金属酸化物担体である酸化マグネシウム(MgO)担体に、ロジウム(Rh)およびルテニウム(Ru)のグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で1200〜10000wt-ppm、好ましくは1200〜5000wt-ppm、より好ましくは1500〜2500wt-ppm担持させた第1の触媒(合成ガス製造用触媒)を充填することにより形成されている。
ロジウム(Rh)やルテニウム(Ru)の触媒金属は、金属状態で担持されていても良いし、酸化物等の金属化合物の状態で担持されていてもよい。なお、上記触媒金属の担持量は、担体である酸化マグネシウム(MgO)に対する重量割合として算出される。
第1の触媒層の主たる目的は、合成ガス製造に際し、炭素数2以上の炭化水素である副成分が熱分解される前に、副成分の反応を促進させて早期に反応消失させ、炭素の析出を効果的に防ぐことにある。
第1の触媒における所定の貴金属の担持量が、1200wt-ppm未満となると、炭素数2以上の炭化水素である副成分を早期に反応させるだけの触媒活性が足らず、ガス温度が650℃になるまで所定割合の副成分を反応除去することができなくなってしまう。
この一方で、第1の触媒における所定の貴金属の担持量が、10000wt-ppmを超えると、触媒コストが高くなるとともに、触媒の炭素析出活性が高くなり触媒の使用に際して、炭素析出量が多くなるという不都合が生じてしまう。
このような第1の触媒の担体に用いられる酸化マグネシウム(MgO)の比表面積は、0.1〜1.0m2/g、より好ましくは0.2〜0.5m2/gとされる。このような比表面積の形成は、触媒金属の担持前に、酸化マグネシウムからなる担体を300〜1300℃、好ましくは650〜1200℃で焼成して作製することができる。次いで担体に触媒金属を担持させた後に得られた触媒金属担持生成物を300〜1300℃、好ましくは350〜1200℃で焼成することにより第1の触媒を得ることができる。一般には、焼成温度と焼成時間によって、得られる触媒または担体の比表面積をコントロールすることができる。
第1の触媒の担体の比表面積が1.0m2/gを超えると、カーボンの生成速度が大きくなり触媒の活性が低下するという不都合が生じる傾向がある。また、この値が0.1m2/g未満となると、単位触媒当たりの活性が不足してしまい、多量の触媒が必要となるという不都合が生じる傾向がある。
なお、使用する触媒(合成ガス製造用触媒)において、その触媒の比表面積と担体の比表面積とは実質的にほぼ同じであり、触媒の比表面積と担体の比表面積とは同義として扱うことができる。比表面積は、いわゆる「BET」法により測定されたものである。
触媒金属は、水溶液状で担体である酸化マグネシウム(MgO)に担持されるが、この場合の触媒金属は水溶性化合物の形態で用いられる。具体的には、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩(酢酸塩等)、錯塩(キレート)等が挙げられる。担体である酸化マグネシウム(MgO)に触媒金属を担持させる方法としては、スプレー含浸法や、浸漬法や、イオン交換法等を用いることができる。
担体である酸化マグネシウムに触媒金属を水溶液状で担持させた後、乾燥工程が施される。乾燥温度は例えば、50〜150℃程度とされる。得られた乾燥物は、そのままの状態で触媒として用いることもできるが、通常は、上述のごとく300〜1300℃程度の温度で焼成(2次焼成)される。このような2次焼成を行うことにより触媒金属の反応活性がさらに高まる。
触媒コストの低減化を図るには、担体に担持させる触媒金属の担持量をできるだけ少なくさせると同時に、少ない量で十分な反応活性を発現させる必要がある。そのために担体である酸化マグネシウムの結晶化を促進させることは好ましい手法の1つである。結晶化を促進させることにより、担体である酸化マグネシウムの表面に活性金属が効率良く担持される。
上記の要領で触媒を調製する場合、担体である酸化マグネシウム(MgO)は、市販の金属酸化物や、市販の金属水酸化物を焼成して得られる酸化マグネシウム(MgO)を用いることができる。この酸化マグネシウム(MgO)の純度は98重量%以上、好ましくは99重量%以上であることが要求され、特に、炭素析出活性を高める成分や、高温、還元ガス雰囲気下で分解する成分、例えば鉄、ニッケル等の金属や二酸化ケイ素(SiO2)等の混入は好ましくない。
用いられる第1の触媒の形態は、粉末状、顆粒状、球形状、円柱状、円筒状等のいずれであってもよい。
このような第1の触媒をチューブラーリアクターの入口付近に充填させることによって第1の触媒層が形成される。第1の触媒層の形成に際し、当該触媒層の中で原料ガス温度が680℃になるまでに副成分(炭素数2以上の炭化水素)の97.5vol%以上、好ましくは99.5vol%以上が反応して消失するように第1の触媒層が設計される。
原料ガス温度が680℃を超えた時点で副成分の反応割合が十分でなくて、97.5vol%未満であると、炭素数2以上の炭化水素の分圧が高いため、熱分解に由来する炭素の析出が起こりやすくなるという不都合が生じる。反応管中(触媒層中)での炭素析出は反応器を閉塞させてしまうという深刻な問題を引き起こすおそれがある。
原料ガス温度を680℃として規定しているのは、触媒活性が不十分な触媒を充填した場合に、炭素数が2以上の炭化水素がリフォーミングされず熱分解する速度が最高となる温度が680℃付近であり、温度の指標として適切であること、熱分解に由来する炭素の析出が起こりやすくなる熱分解温度の指標として適切であること、および基準となる温度を定めてこそ副成分の反応割合を規定する意義が存在するからである。
なお、このような温度と反応割合の規定は、炭化水素原料ガス中における炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率が、特に、5〜20vol%である範囲において実効がある。
触媒層の中で原料ガス温度が680℃になるまでに副成分の97.5vol%が反応して消失するように設計するための具体的な要素(パラメータ)としては、例えば、(1)炭化水素原料ガス中における炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率に対する貴金属担持量の選定、(2)原料ガスの触媒へ実質的な接触時間(滞留時間)の選定、(3)原料天然ガスの組成(C2+炭化水素含有率)、(4)原料のH2O/CO2/C(モル比)、(5)高活性触媒の充填層高、(6)触媒層温度分布等が挙げられる。
なお、第1の触媒層の入口の温度は、450〜550℃程度、出口温度は、650〜750℃程度とされる。
第2の触媒層の説明
第1の触媒層に続いて設置される第2の触媒層は、特定性状の酸化マグネシウム(MgO)担体に、ロジウム(Rh)およびルテニウム(Ru)のグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で10〜1000wt-ppm、好ましくは、100〜900wt-ppm、より好ましくは、500〜800wt-ppm担持させた第2の触媒(合成ガス製造用触媒)を充填することにより形成されている。
ロジウム(Rh)やルテニウム(Ru)の触媒金属は、金属状態で担持されていても良いし、酸化物等の金属化合物の状態で担持されていてもよい。なお、上記触媒金属の担持量は、担体である酸化マグネシウム(MgO)に対する重量割合として算出される。
第2の触媒層の主たる目的は、メタンからの合成ガス製造をメインに行い、その際に、例えば、メタンからのカーボン析出、および生成ガスである一酸化炭素からのカーボン析出を防止することにある。
第2の触媒における所定の貴金属の担持量が、10wt-ppm未満となると、活性が不十分となり所望の組成の合成ガスを得られないばかりか、メタンからの炭素析出が顕著になってくるという不都合が生じるようになり、この一方で、第2の触媒における所定の貴金属の担持量が、1000wt-ppmを超えると、メタン、一酸化炭素からの炭素析出量が増加してくるという不都合が生じてしまう。
第2の触媒の担体に用いられる酸化マグネシウム(MgO)は、前述した第1の触媒の担体と同様の仕様とすればよい。担体や触媒の製造方法も前述した第1の触媒に準ずればよい。
第2の触媒層の入口の温度は、650〜750℃程度、出口温度は、800〜900℃程度とされる。
チューブラーリアクターの構成
管状のリアクターの原料入口側に第1の触媒を充填することにより第1の触媒層を形成し、次いで、第2の触媒を充填することにより第2の充填層を形成する。第1の触媒層の層高(層長さ)をH1とし、第2の触媒層の層高(層長さ)をH2とした場合、H2/H1の比率は、1.0〜5.0、好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは2.0〜3.5とされる。この値が、1.0未満となると、触媒コストが高くなるばかりでなく、メタン、一酸化炭素からの炭素析出量が増加してくるという不都合が生じる傾向があり、また、この値が5.0を超えると、熱分解による炭素析出を十分抑制できなくなるという不都合が生じる傾向がある。
合成ガスの製造方法
合成ガスの製造は、合成ガス製造用触媒の存在下において、原料ガス(特に、天然ガスであるメタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として所定量含む)を、スチーム及び/又は二酸化炭素(CO2)とを反応させる。このようなスチーム及び/又は二酸化炭素によるリフォーミングにより所望のモル比の合成ガスであるH2、COが得られる。
すなわち、主成分であるメタンを中心に考えると、
(i)メタン(CH4)と二酸化炭素(CO2)を反応させる方法(CO2リフォーミング)の場合、その反応は下記式(1)で示されるように進行する。
CH4 + CO2 ⇔ 2CO +2H2 …式(1)
(ii)また、メタン(CH4)とスチーム(H2O)を反応させる方法(スチームリフォーミング)の場合、その反応は下記式(2)で示されるように進行する。
CH4 + H2O ⇔ CO +3H2 …式(2)
この改質反応条件下では、触媒がシフト能を有するために上記(2)式と同時に下記式(3)の水性ガスシフト反応が進行する。
CO + H2O ⇔ CO2 +H2 …式(3)
上記(1)、(2)の化学量論式より、メタンのCO2リフォーミングではH2/COモル比=1の合成ガスが、メタンのスチームリフォーミングではH2/COモル比=3の合成ガスが生成する。従って、これらの反応を組み合わせることによりH2/COモル比=1〜3の合成ガスが生成ガスからの水素などガス分離を行うことなく直接合成することが可能となる。
すなわち、メタノール、FT合成、DME原料となるH2/COモル比=1〜2付近の合成ガスを直接合成することが可能となる。
しかしながら、このようなモル比を直接合成する反応条件下では、生成ガスが触媒表面上へのカーボン析出を起こしやすい組成となり、カーボン析出による触媒劣化が生じる。このような問題を解決することができる所定の触媒が、上記説明の合成ガス製造用触媒である。
また、原料ガス中には副成分として炭素数2以上の炭化水素が所定量含まれる。そのため、本発明では所定の貴金属を、重量基準で1200〜10000wt-ppm担持させた第1の触媒(合成ガス製造用触媒)を充填して第1の触媒層を形成し、この触媒層の中で原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の97.5vol%が反応して消失するように第1の触媒層の設計をしている。
本発明におけるリアクター反応の操作条件において、原料である炭化水素由来の炭素モル数をCで表わしたとき、炭素1モル当たりのスチーム(H2O)の比であるH2O/C(モル比)が0.1〜2.0及び/又はCO2/C(モル比)が0.1〜3.0の範囲内とされる。好ましくは、H2O/C(モル比)が0.3〜1.5及び/又はCO2/C(モル比)が0.3〜2.0の範囲内とされる。
また、H2OリフォーミングとCO2リフォーミングを併用することが好ましく、この場合において、H2O/CO2(モル比)は、0.1〜10.0の範囲、好ましくは0.4〜3.0の範囲内とされる。
また、リアクター全体の反応条件として、反応温度は600〜1000℃、反応圧力0.3〜3.5MPaG、GHSV(gas hourly space velocity)=1000〜10000hr-1とされる。
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
触媒調製例1(Ru:700wt-ppm)
市販の純度98.7wt%以上の酸化マグネシウム(MgO)の粉末に滑択材として3.0wt%のカーボンを混合したものを、1/8インチペレットにタブレット形成した。次いで、このペレットを空気中で1180℃で3hr(時間)焼成し、MgO触媒担体を得た。
次いで、このMgO触媒担体に向けて、0.47wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し700wtppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例2(Ru:2000wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、1.32wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し2000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例3(Ru:5000wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、3.24wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し5000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例4(Ru:10000wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、6.27wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し10000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例5(Ru:20000wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、11.80wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し20000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例6(Ru:50wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、0.033wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し50wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例7(Ru:5wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、0.0033wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し5wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例8(Rh:700wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、0.47wt%のRhを含有するロジウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRhが付着したMgO担体を得た。
次いで、Rhが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において600℃で2.0hr焼成し、Rhが担持された触媒を得た。この触媒はRhをRh金属として触媒に対し700wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例9(Rh:2000wt-ppm)
上記触媒調整例1で用いたMgO触媒担体を準備し、このMgO触媒担体に向けて、1.32wt%のRhを含有するロジウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRhが付着したMgO担体を得た。
次いで、Rhが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において600℃で2.0hr焼成し、Rhが担持された触媒を得た。この触媒はRhをRh金属として触媒に対し2000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は0.4m2/gであった。
触媒調製例10(Ru:2000wt-ppm ;アルミナ担体)
市販の純度97.6wt%以上の酸化アルミニウム(Al23)の粉末に滑択剤として3.0wt%のポリビニルピロリドンを混合したものを1/8インチタブレットに成型した。
次いで、この成型体を空気中で1180℃で3hr(時間)焼成し、アルミナ触媒担体を得た。
次いで、このアルミナ触媒担体に向けて、0.56wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したアルミナ担体を得た。
次いで、Ruが付着したアルミナ担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し2000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は23m2/gであった。
触媒調製例11(Ru:2000wt-ppm ;比表面積30m 2 /g)
市販の純度98.7wt%以上の酸化マグネシウム(MgO)の粉末に滑択材として3.0wt%のカーボンを混合したもの1/8インチペレットにタブレット形成した。次いで、このペレットを空気中で600℃で3hr(時間)焼成し、MgO触媒担体を得た。
次いで、このMgO触媒担体に向けて、0.99wt%のRuを含有するルテニウム(III)クロライド水溶液を噴霧(スプレー)してRuが付着したMgO担体を得た。
次いで、Ruが付着したMgO担体を空気中において110℃の温度で10hr乾燥させた後、空気中において400℃で2.0hr焼成し、Ruが担持された触媒を得た。この触媒はRuをRu金属として触媒に対し2000wt-ppmの割合で含有していた。また、触媒の比表面積は30m2/gであった。
リフォーミング反応実験
上記の各触媒調製例1〜11により調整された触媒1〜11の中から適宜、触媒を2種類選定して組み合わせ、下記の反応実験を行った。
〔反応実験1〕
第1の触媒の触媒として、「触媒2(Ru:2000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用い、これらの触媒を下記の要領で反応管に充填して、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
反応管内の触媒層の全体の高さは30cmとした。原料入口である上部側から10cmのまでの部分に第1の触媒を10ml充填して第1の触媒層を形成し、残りの20cmの部分に20mlの第2の触媒を充填して第2の触媒層を形成した。
充填後における触媒は、予めH2気流中、500℃で1hr還元処理を行った。
炭化水素原料ガス:CO2:H2O:H2(モル比)=1:0.42:1.20:0.05の混合原料ガスを、圧力2MPaG(20kg/cm2G)、温度500〜850℃(第1の触媒層500〜690℃、第2の触媒層690〜850℃)、炭化水素ガス基準のGHSV=3000hr-1の条件で処理した。
原料ガスの組成は、メタン/エタン/プロパン(vol%)=88.2/8.6/3.2であった。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ65.3%であった。なお、炭化水素転化率は下記式で定義される。
炭化水素転化率 =(1−CH4out/Cin)×100
ここで、Cinは原料炭化水素中の炭素モル数(mol/h)を示し、CH4outはリアクター出口のメタンモル数(mol/h)を示す。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は97.5vol%であった。
また、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.1wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.05wt%であった。
なお、炭素析出量は、JIS G1211(鉄及び鋼中の炭素定量方法)に示す方法にて触媒中の炭素量を定量した。測定は触媒試料に助燃剤を適当量添加し、レコカーボン分析装置にて測定することにより行なった。
〔反応実験2〕
第1の触媒として、「触媒3(Ru:5000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ65.3%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は98.7vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.05wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.06wt%であった。
〔反応実験3〕
第1の触媒として、「触媒4(Ru:10000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ65.3%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は99.9vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.03wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.06wt%であった。
〔反応実験4〕
第1の触媒として、「触媒9(Rh:2000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒8(Rh:700wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ65.3%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は97.5vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.12wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.06wt%であった。
〔反応実験5*(比較例)〕
第1の触媒として、「触媒5(Ru:20000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ、65.3%および58.9%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は88.3vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、6.5wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、2.8wt%であった。
〔反応実験6*(比較例)〕
第1の触媒として、「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用いた。すなわち、反応管はすべて同じ触媒1で充填されている。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ、65.3%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は90.0vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.5wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.08wt%であった。
〔反応実験7〕
第1の触媒として、「触媒3(Ru:5000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒6(Ru:50wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ65.3%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は98.7vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.06wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.08wt%であった。
〔反応実験8*(比較例)〕
第1の触媒として、「触媒3(Ru:5000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒7(Ru:5wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、200hr、500hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は58.2%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から200hr経過後および500hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ43.3%および36.5%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は98.7vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(500hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.07wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(500hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、5.8wt%であった。
〔反応実験9*(比較例)〕
第1の触媒として、「触媒3(Ru:5000wt-ppm)」を用い、第2の触媒として「触媒2(Ru:2000wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ65.3%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は98.7vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、0.05wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、0.82wt%であった。
〔反応実験10*(比較例)〕
第1の触媒として、「触媒10(Ru:2000wt-ppm;アルミナ担体)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ52.3%および28.4%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は38.3vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、16.2wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、9.2wt%であった。
〔反応実験11*(参考例)〕
第1の触媒として、「触媒11(Ru:2000wt-ppm;比表面積30m2/g)」を用い、第2の触媒として「触媒1(Ru:700wt-ppm)」を用いた。それ以外は、上記反応実験1と同じ要領で、炭化水素原料のH2O/CO2リフォーミング試験を実施した。
触媒層出口における炭化水素の転化率を5hr、500hr、1000hr毎に測定した。反応開始から5hr経過後の炭化水素転化率は65.3%(実験条件下の炭化水素の平衡転化率は65.3%)であった。また、反応開始から500hr経過後および1000hr経過後の炭化水素転化率はそれぞれ42.1%および16.4%であった。
本反応実験において、第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の反応消失率は73.1vol%であった。
なお、反応後の触媒層上部(入口付近)に位置する第1の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ10cm平均値)は、14.3wt%であり、触媒層下部(出口付近))に位置する第2の触媒層中での炭素析出量(1000hr経過後の触媒高さ20cm平均値)は、8.6wt%であった。
これらの反応実験の条件および結果を下記表1に整理して示した。
Figure 0004681265
表1の結果より、本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、副成分として炭素数2以上の炭化水素を所定量含有する炭化水素原料ガスを原料として用いる合成ガスを製造する方法において、リアクターの特定の部位に特定の触媒を充填させる構成を採択しているので、1つの同一のリアクターを用い、簡易な構造かつ簡易な操作条件で、リアクターへの原料ガス導入初期段階でC2以上の炭化水素が熱分解による炭素析出を起こさずに、C2以上の炭化水素を速やかに反応により消失させることができる。また、触媒層全体としての炭素析出量も少なく、長期の安定したリフォーミング運転が可能となる。
天然ガスを化学的に転換し、メタノール、DME、合成石油などを製造するための合成ガスを製造する産業に利用される。

Claims (10)

  1. メタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として含む炭化水素原料ガスを原料として、チューブラーリアクター中に充填された合成ガス製造用触媒の存在下の基にH2Oおよび/またはCO2リフォーミングによってCOとH2とを主成分とする合成ガスを製造する方法であって、
    前記チューブラーリアクターは、原料ガス入口側から第1の触媒層および第2の触媒層を順次含み、
    前記第1の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で1200〜10000wt-ppm担持させた第1の触媒を充填することにより形成されており、
    前記第2の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で10〜1000wt-ppm担持させた第2の触媒を充填することにより形成されており、
    前記第1の触媒層により、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の97.5vol%を反応させて消失させてなることを特徴とする合成ガスの製造方法。
  2. 前記炭化水素原料ガス中の炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率が、5〜20vol%である請求項1に記載の合成ガスの製造方法。
  3. 前記炭化水素原料ガス中の炭素数2以上の炭化水素である副成分の含有率に応じて、前記第1の触媒層に用いる第1の触媒のロジウムないしルテニウムの担持量を設定してなる請求項1または請求項2に記載の合成ガスの製造方法。
  4. 前記第1の触媒層の出口温度が750℃以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の合成ガスの製造方法。
  5. 前記第1および第2の触媒に用いられる合成ガス製造用触媒の酸化マグネシウム担体は、その比表面積が0.1〜1.0m2/gである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の合成ガスの製造方法。
  6. 前記炭化水素原料ガス中の副成分が、炭素数2〜6の炭化水素である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の合成ガスの製造方法。
  7. 原料である炭化水素由来の炭素モル数をCで表わしたとき、炭素1モル当たりのH2O/C(モル比)が0.1〜2.0及び/又はCO2/C(モル比)が0.1〜3.0の範囲内にあり、
    2OリフォーミングとCO2リフォーミングを併用した場合には、H2O/CO2(モル比)が0.1〜10の範囲内にある請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の合成ガスの製造方法。
  8. 前記リアクターの反応条件として、反応温度600〜1000℃、反応圧力0.3〜3.5MPaG、GHSV(gas hourly space velocity)=1000〜10000hr-1である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の合成ガスの製造方法。
  9. メタンを主成分とし、炭素数2以上の炭化水素を副成分として5〜20vol%の割合で含む炭化水素原料ガスを原料として、合成ガス製造用触媒の存在下の基にH2Oおよび/またはCO2リフォーミングによってCOとH2とを主成分とする合成ガスを製造するための合成ガス製造用リアクターであって、
    前記合成ガス製造用リアクターは、原料ガス入口側から第1の触媒層および第2の触媒層を順次含むチューブラーリアクターであり、
    前記第1の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で1200〜10000wt-ppm担持させた第1の触媒を充填することにより形成されており、
    前記第2の触媒層は、酸化マグネシウム担体に、ロジウムおよびルテニウムのグループから選ばれる少なくとも1種の貴金属を、重量基準で10〜1000wt-ppm担持させた第2の触媒を充填することにより形成されてなることを特徴とする合成ガス製造用リアクター。
  10. 前記第1の触媒層は、原料ガス温度が680℃になるまでに炭素数2以上の炭化水素である副成分の97.5vol%を反応させて消失させるように設計されてなる請求項1に記載の合成ガス製造用リアクター。
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