JP4681141B2 - 内視鏡の湾曲操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡の操作部に設けられたアングルツマミを回転操作して、内視鏡挿入部における湾曲部を所望の方向に湾曲させる内視鏡の湾曲操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡は、主に操作部とこの操作部に連結され体内に挿入される可撓性を有する挿入部から構成される。この挿入部は操作部に連結された可撓性を有する軟性部、この軟性部の先端側に連結された屈曲自在な湾曲部、この湾曲部の先端に連結され観察窓等が形成された先端硬質部から構成される。
【0003】
上記湾曲部を湾曲操作するため、内視鏡には、湾曲操作装置が設けられている。このような湾曲操作装置としては、内視鏡の操作部に設けられたアングルツマミによって回転される図8に示すようなプーリ101に各操作ワイヤごとに独立した2つの溝を並設し、各溝に操作ワイヤ102、103をそれぞれ巻回し、このプーリ101の回転に応じてプーリ101から延出した操作ワイヤ102、103の一方が巻取られて他方が繰出されることにより湾曲部を湾曲操作できるように構成されるものが、特開平8−82749号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内視鏡において観察性能を向上させるためには、上記湾曲部の湾曲角度を大きくすることが望まれる。そのためには操作ワイヤのワイヤストロークを大きくする必要がある。
【0005】
このため、従来は例えば操作ワイヤ102、103を巻回するプーリ101の巻径を大きくすることにより、ワイヤストロークを大きくするものがあるが、プーリの巻径を大きくするとプーリ101の回転トルクが増し、アングルツマミをより大きな力で操作しなければならないという問題があった。
【0006】
また、プーリ101の回転トルクを小さくするため、プーリ101の巻径を小さくするものもあるが、このようなものではプーリ101の巻径を小さくすればするほど、同じ角度だけ湾曲部を湾曲させる場合であっても、アングルツマミをより多くの角度だけ回転させなければならないため、操作性が低下する。さらに、ワイヤストロークを大きくしようとすればするほど、図8に示すようにプーリ101の同じ溝に一周以上巻かなければならなくなるので、次第に巻径が大きくなる。このため回転トルクが次第に大きくなって一様の回転トルクで操作できなくなるとともに、操作ワイヤが干渉するのでこれらが擦れて操作ワイヤの耐久性が低下するなどの問題がある。
【0007】
このような同じ溝に1本の操作ワイヤを一周以上巻くこと、いわゆる二重巻を避けるため、プーリに各操作ワイヤごとに形成する2つの溝をそれぞれ軸方向に螺旋状にするものがある。しかし、このようなものでは、操作ワイヤ1本につき少なくともプーリの軸方向に2段分の幅が必要となるので、湾曲部をアップダウン方向に湾曲させる操作ワイヤ2本で合計4段分の幅が必要になる。さらに、湾曲部をライトレフト方向に湾曲させる操作ワイヤ2本を追加すれば全部で8段分の幅が必要となる。従って、このようなものでは、プーリの軸方向に多くのスペースが必要になり、内視鏡が重量化して操作性が悪くなるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、湾曲操作を行う際に回転トルクが大きくなることを防止でき、操作ワイヤの干渉を避けることができ、しかも装置の小型化を図ることができ、操作性のよい内視鏡の湾曲操作装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、請求項1に記載のように、内視鏡操作部に回転操作可能に設けられたプーリに一対の操作ワイヤの一端部分を巻回するとともに他端部分を延出させ、このプーリの回転操作に応じて前記プーリから延出した各操作ワイヤの一方が巻取られて他方が繰出されることにより湾曲操作可能な内視鏡の湾曲操作装置において、前記プーリの溝は、このプーリの周方向に連続する螺旋状に形成して前記一対の操作ワイヤの共有溝にするとともに、前記溝のうちの一端からの一部と前記溝のうちの他端からの一部が前記プーリの軸方向に隣り合せに並列するとともに前記プーリの円周の接線方向に延在するように形成され、前記プーリの回転方向に応じて各操作ワイヤが交互に前記プーリの溝に巻取られるようにしたことを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置を提供する。一対の操作ワイヤを巻回するプーリの溝をプーリの周方向に連続する1つの溝で構成するため、二重巻を避けることができる。このため、湾曲部の湾曲操作を行う際に回転トルクが大きくなることを防止でき、同じ操作ワイヤの干渉を避けることができる。
【0010】
また、プーリの回転方向に応じて各操作ワイヤが交互にプーリの溝に巻取られるため、一方の操作ワイヤが巻取られていくにつれて一方の操作ワイヤがプーリの溝を徐々に使用していくとともに、他方の操作ワイヤは徐々に繰出されていくため、プーリの溝は徐々に使用されなくなっていく。従って、プーリの溝は同時に使用されることはなく、各操作ワイヤ同士の干渉も避けることができる。
【0011】
さらに、プーリの溝を周方向に連続する1つの溝で構成することにより、この溝を各操作ワイヤが共通して使用することができるので、従来のように各操作ワイヤごとに溝を設ける場合に比して溝の長さを短くすることができる。特に、プーリの溝を、この溝のうちの一端からの一部と、溝のうちの他端からの一部とがプーリの軸方向に隣り合せに並列するように形成すれば、プーリの軸方向に溝が2段分設けられる幅で十分足りるため、プーリの軸方向の省スペース化を図ることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0012】
また、プーリの溝は一端からの一部と他端からの一部がプーリの軸方向に隣り合せに並列するように形成し、プーリの回転方向に応じて各操作ワイヤが交互にプーリの溝に巻取られるようにすることにより、プーリの溝が各操作ワイヤで共通して使用可能となり、その分だけ、各操作ワイヤのワイヤストロークを長くすることができる。
【0013】
また、請求項2に記載のように、前記操作ワイヤのうちの一方は、その一端部を前記溝の一端近傍に係止して、前記プーリの一方向の回転により前記溝に沿って巻取られるように巻回し、前記操作ワイヤのうちの他方は、その一端部を前記溝の他端近傍に係止して、前記プーリの反対方向の回転により前記溝に沿って前記一方の操作ワイヤとは逆周りに巻取られるように巻回するようにする。これにより多くの長さの溝を操作ワイヤの巻取り、繰出しに使用することができる。これにより、操作ワイヤのワイヤストロークをできる限り長くすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は医療用等として用いられる内視鏡の概略構成図である。内視鏡は、大別すると体腔内に挿入される挿入部1と、この挿入部1の基端部が連設される本体操作部2と、この本体操作部2から引き出され、光源およびプロセッサーに接続されるユニバーサルコード部3とからなる。
【0015】
上記挿入部1は操作部2に連結された可撓性を有する軟性部4、この軟性部4の先端側に連結された屈曲自在に構成された湾曲部5、この湾曲部5の先端に連結され観察窓、照明窓、送気・送水口、鉗子チャネルなどが形成された先端硬質部6から構成される。
【0016】
この内視鏡には上記湾曲部5を少なくとも2方向(例えばアップダウン方向)の所定の角度に湾曲操作させるための湾曲操作装置が設けられている。この湾曲操作装置は例えば次のように構成される。操作部2のケーシングには湾曲部5を湾曲操作するためのアングルツマミ7が回転自在に設けられている。上記操作部2内にはアングルツマミ7によって回転駆動されるプーリ8が回転自在に設けられている。そして、プーリ8には一対の操作ワイヤ9a、9bの一端部分が巻回されるとともに他端部分がプーリ8からその接線方向に延出されている。なお、プーリ8の構成の詳細については後述する。
【0017】
上記プーリ8から延出した各操作ワイヤ9a、9bの他端部には連結ワイヤ10a、10bに連結するための角棒状の連結部材11a、11bが接続されている。この連結部材11a、11bは図示しないガイドに沿って往復運動自在に操作部2内に支持されている。また連結ワイヤ10a、10bは湾曲部5の先端部内に設けられたスリーブ12に固定されている。なお、この操作ワイヤ9a、9b及び連結ワイヤ10a、10bは例えば多数の細いステンレス鋼線を撚り合わせた撚り線が用いられている。また、操作ワイヤ9a、9b及び連結ワイヤ10a、10bは耐久性を高めるため、合成樹脂コーティング又は被覆を施すようにしてもよい。なお、操作部2には図1に示すようにアングルツマミ7をロックして湾曲部5の角度を固定するためのロックツマミ13を設けてもよい。
【0018】
このような湾曲操作装置においては、アングルツマミ7を回転操作することにより、プーリ8を回転させると、このプーリ8の回転に応じてプーリ8から延出した操作ワイヤ9a、9bの一方が巻取られて他方が繰出されることにより湾曲部5が所望の角度に湾曲操作される。
【0019】
次に、上記プーリ8の構成の詳細について図2乃至図7を参照しながら説明する。図2はプーリ8の外観構成を示す図である。図3はプーリ8の側断面図であり、図4はプーリ8の図2に示すA−A断面図である。図5は図4の状態におけるプーリ8の溝22の展開図である。
【0020】
上記プーリ8は、図2及び図3に示すように、プーリ軸21の一端部に取付けられている。このプーリ軸21は略円筒状に形成され、その他端部は図1に示すアングルツマミ7に取付けられている。具体的には、例えばアングルツマミ7の内周面に図示しない嵌合孔が形成され、この嵌合孔にプーリ軸21が嵌合されるようになっている。これにより、アングルツマミ7を回転するとプーリ軸21が回転し、アングルツマミ7の回転角の分だけプーリ8も回転する。
【0021】
上記プーリ8の外周には、図4に示すように操作ワイヤ9a、9bを巻回する溝22が形成されている。この溝22は、図2乃至図5に示すように、上記プーリ8の周方向に連続する螺旋状をなしている。また、溝22のうちの一端22aからの一部22cと溝22のうちの他端22bからの一部22dが上記プーリ8の軸方向に隣り合せに並列する。
【0022】
また、プーリ8の溝22は、図2に示すように、一端22aからの一部22cをプーリ8の同一平面上に形成し(第1段)、他端22bからの一部22dを上記一部22cと並列するようにプーリ8の軸方向にずらした平面の同一平面上に形成し(第2段)、これら溝22の第1段部22cと溝22の第2段部22dとを連通する中間部22eはプーリ8の軸方向に徐々にずれるように形成している。すなわち、この溝22だけを展開すると、図5に示すように第1段部22cと第2段部22dはプーリ8の軸方向にずれた直線状となり、これら第1段部22cと第2段部22dを連通する中間部22eはプーリ8の軸方向に斜線状となるように形成している。
【0023】
上記プーリ8における溝22の一端22aの近傍には、図4に示すように操作ワイヤ9a、9bの一端に取付けられた球状の係止部材25a、25bを側方から挿入可能な円筒状の係止孔23a、23bが形成されている。具体的には、例えば図4及び図5に示すように係止孔23aはプーリ8の周方向(実線矢印方向)に溝22の一端22aを越えた部位に設けられ、係止孔23bはプーリ8の周方向(点線矢印方向)に溝22の他端22aを越えた部位に設けられている。また、係止孔23a、23bの中心は、プーリ8の半径方向においてプーリ軸21よりも外側であって、上記プーリ8の溝22の底部よりも中心側に位置している。
【0024】
また、図4及び図5に示すように、溝22の一端22aの部分は上記係止孔23aに連通するように連通孔24aが設けられており、また溝22の他端22bの部分は上記係止孔23bに連通するように連通孔24bが設けられている。また、上記連通孔24aは図2におけるプーリ8の一方の側面(図中左側側面)に開口しており、上記連通孔24bは図2におけるプーリ8の他方の側面(図中右側側面)に開口している。
【0025】
上記操作ワイヤ9aは、図4に示すように係止部材25aをプーリ8の係止孔23aに一方の側面から挿入するとともに、操作ワイヤ9aを連通孔24aへ挿入し、プーリ8の溝22に巻付けて挿着する。これにより、上記操作ワイヤ9aは巻取り方向及び繰出し方向に係止される。このように、操作ワイヤ9aはプーリ8の実線矢印方向(一方向)の回転により溝22に沿って巻取られ、プーリ8の点線矢印方向(逆方向)の回転により溝22に沿って繰出されるように巻回される。図4に示す状態における操作ワイヤ9aは、図5に示す溝22の斜線部分25axの部分に存在している。
【0026】
また、上記操作ワイヤ9bは、係止部材25bをプーリ8の係止孔23bに他方の側面から挿入するとともに、操作ワイヤ9bを連通孔24bへ挿入し、プーリ8の溝22に巻付けて挿着する。これにより、上記操作ワイヤ9bは巻取り方向及び繰出し方向に係止される。このように、操作ワイヤ9bはプーリ8の点線矢印方向(逆方向)の回転により溝22に沿って巻取られ、プーリ8の実線矢印方向(一方向)の回転により溝22に沿って繰出されるように巻回されている。図4に示す状態における操作ワイヤ9bは、図5に示す溝22の斜線部分25bxの部分に存在している。
【0027】
このような構成の本実施の形態にかかる湾曲操作装置においては、アングルツマミ7によってプーリ8がいずれかの方向に回転することによって、一方の操作ワイヤ9a(又は9b)が巻取られていくにつれて、他方の操作ワイヤ9b(又は9a)が繰出されていくため、図1に示す湾曲部5が所望の角度に湾曲する。
【0028】
このときの作用を図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、プーリ8の回転方向と巻取られる操作ワイヤ9a、9bの様子を示すものである。図7(a)、(b)、(c)はそれぞれ操作ワイヤ9a、9bが図6(a)、(b)、(c)の位置にある場合に対応し、プーリ8の溝22だけを展開したものである。図6(b)に示す状態では、両方の操作ワイヤ9a、9bはともに同じ長さだけプーリ8から延出しているため、湾曲部5は湾曲していない状態である。
【0029】
先ず、この図6(b)に示す状態からアングルツマミ7が操作されてプーリ8が点線矢印の方向へ回転すると、図6(c)に示すように他方の操作ワイヤ9bが巻取られるとともに、一方の操作ワイヤ9aが繰出される。これにより、例えば湾曲部5がアップ(又はダウン)方向に湾曲する。
【0030】
このとき、プーリ8の溝22は図7(b)の状態から図7(c)の状態へ移る。すなわち、他方の操作ワイヤ9bが巻取られていくにつれてこの他方の操作ワイヤ9bが使用するプーリ8の溝22の長さが徐々に長くなっていく。そして、図6(c)の状態のときには、図7(c)に示すように操作ワイヤ9bは斜線部分25bxの部分を使用する。これに対して、一方の操作ワイヤ9aは徐々に繰出されていくため、プーリ8の溝22を使用する部分は徐々に少なくなっていく。そして、図6(c)の状態のときには、図7(c)に示すように操作ワイヤ9aが使用する溝22は斜線部分25axの部分となる。
【0031】
次に、上記図6(b)に示す状態からアングルツマミ7が操作されてプーリ8が実線矢印の方向へ回転すると、図6(a)に示すように一方の操作ワイヤ9aが巻取られるとともに、他方の操作ワイヤ9bが繰出される。これにより、例えば湾曲部5がダウン(又はアップ)方向に湾曲する。
【0032】
このとき、プーリ8の溝22は図7(b)の状態から図7(a)の状態へ移る。すなわち、一方の操作ワイヤ9aが巻取られていくにつれてこの一方の操作ワイヤ9aが使用するプーリ8の溝22の長さが徐々に長くなっていく。そして、図6(a)の状態のときには、図7(a)に示すように操作ワイヤ9aは斜線部分25axの部分を使用する。これに対して、他方の操作ワイヤ9bは徐々に繰出されていくため、プーリ8の溝22を使用する部分は徐々に少なくなっていく。そして、図6(a)の状態のときには、図7(a)に示すように操作ワイヤ9bが使用する溝22は斜線部分25bxの部分となる。
【0033】
このように、本実施の形態においては、一対の操作ワイヤ9a、9bを巻回するプーリ8の溝をプーリ8の周方向に連続する1つの溝で構成するため、二重巻を避けることができる。このため、湾曲部5の湾曲操作を行う際に回転トルクが大きくなることを防止でき、同じ操作ワイヤの干渉を避けることができる。これにより、操作性がよく、操作ワイヤの耐久性のよい装置を提供することができる。
【0034】
また、プーリ8の回転方向に応じて各操作ワイヤ9a、9bが交互にプーリ8の溝22に巻取られる。すなわち、一方の操作ワイヤが巻取られていくにつれて一方の操作ワイヤがプーリ8の溝22を徐々に使用していくとともに、他方の操作ワイヤは徐々に繰出されていくため、プーリ8の溝22は徐々に使用されなくなっていく。従って、プーリ8の溝22は同時に使用されることはなく、各操作ワイヤ9a、9b同士の干渉が生じることはない。
【0035】
また、プーリの溝はプーリの周方向に連続する螺旋状に構成するため、各操作ワイヤがプーリからずれて延出するので、操作ワイヤが繰出すときの各操作ワイヤ同士の干渉を避けることができる。
【0036】
さらに、プーリ8の溝22を周方向に連続する1つの溝22で構成することにより、この溝22を各操作ワイヤ9a、9bが共通して使用することができるので、従来のように各操作ワイヤごとに溝を設ける場合に比して溝22の長さを短くすることができる。特に、本実施の形態においては、プーリ8の溝22を、この溝22のうちの一端22aからの一部22cと、他端22bからの一部22dとがプーリ8の軸方向に隣り合せに並列するように形成するため、プーリ8の軸方向に溝が2段分設けられる幅で十分足りるため、従来のように4段分の幅を必要としていた場合に比して、プーリ8の軸方向の省スペース化を図ることができ、装置の小型化を図ることができる。なお、プーリ8の溝22の長さとしては、プーリ8の周方向に一周以上で、二周よりも短かいものにしても、プーリ8の軸方向に溝が2段分設けられる幅で足りるので、このようにしてもよい。
【0037】
また、本実施の形態においては、プーリ8の溝22は一端22aからの一部22cと他端22bからの一部22dがプーリ8の軸方向に隣り合せに並列するように形成し、プーリ8の回転方向に応じて各操作ワイヤが交互にプーリ8の溝22に巻取られるようにすることにより、プーリ8の溝22が各操作ワイヤ9a、9bで共通して使用可能となり、その分だけ、各操作ワイヤ9a、9bのワイヤストロークを長くすることができる。
【0038】
また、操作ワイヤのうちの一方はその一端部を溝22の一端22a近傍に係止するとともに、操作ワイヤのうちの他方はその一端部を溝22の他端22b近傍に係止することによって、より多くの長さの溝22を操作ワイヤの巻取り、繰出しに使用することができる。これにより、操作ワイヤのワイヤストロークをできる限り長くすることができる。
【0039】
なお、上記プーリ8に形成する溝22は、プーリ8の周方向に連続する螺旋状に形成されていればよく、プーリ8の軸方向に徐々にずらして形成してもよい。すなわち、溝だけを展開したときに斜めの直線になるように形成してもよい。本実施の形態のように、この溝22だけを展開したときに図5に示すように第1段部22cと第2段部22dはプーリ8の軸方向にずれた直線状となり、これら第1段部22cと第2段部22dを連通する中間部は軸方向の斜線状となるように形成すれば、プーリ8の幅をより小さくすることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、2本の操作ワイヤ9a、9bで湾曲部5をアップダウン方向に湾曲操作を行うものについて説明したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、2本の操作ワイヤ9a、9bで湾曲部5をライトレフト方向に湾曲操作を行うものであってもよい。
【0041】
さらに、もう一つのアングルツマミを設けるとともに、このアングルツマミにより独立して回転するプーリをもう一つ設け、このプーリに上記プーリ8の溝22と同様の溝22を形成し、各プーリにそれぞれ操作ワイヤを2本ずつ取付けることにより、湾曲部5をアップダウン方向及びライトレフト方向の両方に湾曲操作するようにしてもよい。この場合には、各プーリ8の軸方向に溝がそれぞれ2段分、合計4段設けられる幅で十分足りるため、従来のように8段分の幅を必要としていた場合に比して、より一層、プーリの軸方向の省スペース化を図ることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、一対の操作ワイヤを巻回するプーリの溝をプーリの周方向に連続する1つの溝で構成するため、二重巻を避けることができる。このため、湾曲部の湾曲操作を行う際に回転トルクが大きくなることを防止でき、同じ操作ワイヤの干渉を避けることができる。これにより、操作性がよく、操作ワイヤの耐久性のよい装置を提供することができる。
【0044】
また、プーリの回転方向に応じて各操作ワイヤが交互にプーリの溝に巻取られるため、一方の操作ワイヤが巻取られていくにつれて一方の操作ワイヤがプーリの溝を徐々に使用していくとともに、他方の操作ワイヤは徐々に繰出されていくため、プーリの溝は徐々に使用されなくなっていく。従って、プーリの溝は同時に使用されることはなく、各操作ワイヤ同士の干渉も避けることができる。また、プーリの溝はプーリの周方向に連続する螺旋状に構成するため、各操作ワイヤがプーリからずれて延出するので、操作ワイヤが繰出すときの各操作ワイヤ同士の干渉を避けることができる。
【0045】
さらに、プーリの溝を周方向に連続する1つの溝で構成することにより、この溝を各操作ワイヤが共通して使用することができるので、従来のように各操作ワイヤごとに溝を設ける場合に比して溝の長さを短くすることができる。特に、プーリの溝を、この溝のうちの一端からの一部と、溝のうちの他端からの一部とがプーリの軸方向に隣り合せに並列するように形成すれば、プーリの軸方向に溝が2段分設けられる幅で十分足りるため、従来のように4段分の幅を必要としていた場合に比して、プーリの軸方向の省スペース化を図ることができ、装置を小型化することができる。
【0046】
また、プーリの溝は一端からの一部と他端からの一部がプーリの軸方向に隣り合せに並列するように形成し、プーリの回転方向に応じて各操作ワイヤが交互にプーリの溝に巻取られるようにすることにより、プーリの溝が各操作ワイヤで共通して使用可能となり、その分だけ、各操作ワイヤのワイヤストロークを長くすることができる。
【0047】
また、操作ワイヤのうちの一方はその一端部を溝の一端近傍に係止するとともに、操作ワイヤのうちの他方はその一端部を溝の他端近傍に係止することによって、より多くの長さの溝を操作ワイヤの巻取り、繰出しに使用することができる。これにより、操作ワイヤのワイヤストロークをできる限り長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる内視鏡の概略構成を説明する図。
【図2】図1に示すプーリの構成を示す外観図。
【図3】図1に示すプーリの構成を示す側断面図。
【図4】図2に示すAーA断面図。
【図5】図1に示すプーリの溝だけを平面に展開した図。
【図6】本実施の形態にかかる作用説明図。
【図7】本実施の形態にかかる作用説明図。
【図8】従来の内視鏡の湾曲操作装置におけるプーリの断面図。
【符号の説明】
1…挿入部
2…操作部
4…軟性部
5…湾曲部
6…先端硬質部
7…アングルツマミ
8…プーリ
9a、9b…操作ワイヤ
22…溝
23a、23b…係止孔
25a、25b…係止部材
Claims (2)
- 内視鏡操作部に回転操作可能に設けられたプーリに一対の操作ワイヤの一端部分を巻回するとともに他端部分を延出させ、このプーリの回転操作に応じて前記プーリから延出した各操作ワイヤの一方が巻取られて他方が繰出されることにより湾曲操作可能な内視鏡の湾曲操作装置において、
前記プーリの溝は、このプーリの周方向に連続する螺旋状に形成して前記一対の操作ワイヤの共有溝にするとともに、前記溝のうちの一端からの一部と前記溝のうちの他端からの一部が前記プーリの軸方向に隣り合せに並列するとともに前記プーリの円周の接線方向に延在するように形成され、前記プーリの回転方向に応じて各操作ワイヤが交互に前記プーリの溝に巻取られるようにしたことを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置。 - 請求項1に記載の内視鏡の湾曲操作装置であって、前記操作ワイヤのうちの一方は、その一端部を前記溝の一端近傍に係止して、前記プーリの一方向の回転により前記溝に沿って巻取られるように巻回し、前記操作ワイヤのうちの他方は、その一端部を前記溝の他端近傍に係止して、前記プーリの反対方向の回転により前記溝に沿って前記一方の操作ワイヤとは逆周りに巻取られるように巻回したことを特徴とする内視鏡の湾曲操作装置。
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