JP4680630B2 - 半導体薄膜のキャリア移動度の測定用基板、測定装置及び測定方法 - Google Patents

半導体薄膜のキャリア移動度の測定用基板、測定装置及び測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体薄膜のキャリア移動度の測定用基板、キャリア移動度の測定装置、及びその測定方法に関する。
半導体のキャリア移動度(電荷移動度ともいう)は、半導体を用いた各種デバイスを作製し、動作させる上で極めて重要なパラメータであり、特に電子デバイスの設計においては、その測定は必要不可欠である。半導体、特に発光素子や薄膜トランジスタ等に使用される有機半導体のキャリア移動度の測定方法として、タイムオブフライト法(以下、TOF法という。)が報告されている(例えば非特許文献1を参照)。
図11は、TOF法の原理を示した概略断面図である。TOF法は、半導体111を透明電極112と電極113とで挟んだ構造の測定用セル110を用い、キャリア移動度は、その測定用セル110に直流電源114、負荷抵抗115及びデジタルオシロスコープ116を接続した装置で測定される。こうしたTOF法は、半導体111に電圧を印加した状態で、透明電極112側からパルス状の励起光117を照射し、その励起光117により生成したキャリア(電子又は正孔)が電極113に向かってドリフトするときの電流の時間的変化をデジタルオシロスコープ116で測定する方法である。ここで、電流の時間的変化からキャリア移動度を精度よく測定するためには、観測される過渡光電流の由来となるキャリアが試料中で発生する際におけるキャリア発生分布が明確になっていることが望ましい。すなわち、励起光によって発生するキャリアの分布が、透明電極の近傍の厚さ方向で十分に薄いことが必要であり、励起光波長の浸透長の10倍程度の厚さを半導体111の厚さとして設ける必要がある。そうした半導体の厚さとしては、現実的には10μm程度が必要とされている。
以上は半導体の膜厚方向の電荷輸送を観察する例だが、膜面内の過渡光電流を観測する試みとして、図12のような手法が知られている(例えば非特許文献2を参照)。この場合、電圧が印加された半導体薄膜121の広い範囲が励起光127で照射されているため、過渡光電流として観測される光生成電荷が初期状態に膜中に広く分布する。そのため、両電極122,123の間を流れる過渡光電流の総量を観測することはできるが、キャリア移動度を定量的に観測することは難しい。なお、符号128は励起光を透過する基板である。
図13は、上記のTOF法を一部変更した従来の変形TOF法の原理を示した概略断面図である。この変形TOF法は、パルス状の励起光をレンズで集光し、集光された励起光137を第1電極132の端部近傍に位置する半導体薄膜131に照射し、その照射により半導体薄膜131中の集光箇所で発生したキャリアが第2電極133までドリフトする際の電流の時間変化を測定する方法である(例えば、非特許文献3及び特許文献1を参照)。この変形TOF法においては、発生した個々のキャリアが第2電極133までドリフトする距離を一定にして移動度の算出を容易にするために、キャリアの発生領域を第1電極132の端部近傍としている。なお、符号138は励起光を透過する基板である。
R.G.Kepler, Phys.Rev. Vol.119, p1226 (1960) Masatoshi Kitamura, Tadahiro Imada, Satoshi Kako and Yasuhiko Arakawa, Jpn. J. Appl. Phys. Vol.43, p2326 (2004) 日経産業新聞、2003年12月2日記事 特開2004−311541号公報
上記のTOF法では、最低でも10μm程度の厚さの半導体薄膜が必要とされているが、一般的な半導体材料においてはそのような厚い膜を得ることが困難な場合もあり、更に膜厚が厚いときと薄いときとで膜質や粒界の影響を受けて異なったキャリア移動度を示すこともある。そのため、上記TOF法で得られたキャリア移動度は、測定に供する半導体材料によっては、実際の使用形態における半導体薄膜のキャリア移動度とは必ずしも一致しない可能性がある。更に、実際のデバイス動作において、キャリアのドリフトは半導体薄膜の厚さ方向ではなく面内方向になる場合があるが、従来のTOF法では、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を測定できないという難点があり、この点でも、測定に供する半導体材料によっては、実際の使用形態における半導体薄膜のキャリア移動度とは必ずしも一致しない可能性がある。
一方、変形TOF法においては、キャリアの発生領域を第1電極の端部近傍としているので、電極の端部近傍の半導体薄膜にのみ、ビーム径の小さな励起光を正確に照射する必要がある。そのため、複数個のレンズ又は鏡を用いた複雑な集光光学系や、高精度で高価な基板位置制御装置が必要になるという難点がある。また、変形TOF法では、集光された励起光の照射により狭い範囲でキャリアの生成が起こるが、観測可能な光電流信号を得るためには励起光の強度を高める必要があえう。しかし、励起光の強度を高めると、照射領域で空間電荷が形成され、正確な移動度の測定が困難になるという問題も発生する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、実際の使用形態に近い半導体薄膜を面内方向で測定できると共に、簡単且つ低コストで正確に測定することができる、キャリア移動度測定用基板、測定装置及び測定方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、第1の観点に係る本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板は、励起光を透過する基板と、当該基板上に形成されその一部に開口部を有する遮光層と、前記開口部に隣接して又は前記開口部の一部を覆う第1電極と、前記遮光層上に形成され前記第1電極から所定の間隔で設けられた第2電極とを有することを特徴とする。
この発明に係る測定用基板は、励起光が照射されることによりキャリアが発生し易い半導体薄膜のキャリア移動度の測定に好ましく用いられる。この発明によれば、開口部に隣接して又は前記開口部の一部を覆うように第1電極が形成されているので、この測定用基板に半導体薄膜を形成して前記の基板側から励起光を照射すれば、その開口部上の半導体薄膜でキャリアを発生させることができる。発生したキャリアは、形成された半導体薄膜内を第2電極に向かって移動するので、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を測定でき、実際に用いる素子に近い形態での面内方向のキャリア移動度を簡便且つ正確に測定することができる。
本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板においては、前記第1電極及び第2電極と、前記遮光層及びその一部に有する開口部との間に、励起光を透過する絶縁層が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、各電極と遮光層との間に、励起光を透過する絶縁層を設けたので、遮光層として例えばクロム薄膜等の導電性の遮光層を形成した場合であっても、導電性の遮光層と両電極とが接触しない。その結果、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を簡便且つ正確に測定することができる。
上記課題を解決するため、第2の観点に係る本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板は、励起光を透過する基板と、当該基板上に形成された第1電極と、前記基板と第1電極との間に又は前記第1電極の上に形成された電荷発生層と、前記基板上に形成され前記第1電極から所定の間隔で設けられた第2の電極とを有し、前記電荷発生層が、前記励起光が照射されることになる側に光学的に露出していて、かつ、第2の電極と接していないことを特徴とする。
この発明に係る測定用基板は、励起光が照射されてもキャリアが発生し難い半導体薄膜のキャリア移動度の測定に好ましく用いられる。この発明によれば、基板と第1電極との間に又は前記第1電極の上に電荷発生層が形成されているので、この測定用基板に半導体薄膜を形成して励起光を照射すれば、その電荷発生層でキャリアを発生させることができる。発生したキャリアは、形成された半導体薄膜内を第2電極に向かって移動するので、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を測定でき、実際に近い形態での面内方向のキャリア移動度を簡便且つ正確に測定することができる。
上記第1及び第2の観点に係る本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板において、前記第1電極と第2電極とが、対向配置されていることを特徴とする。
上記第1及び第2の観点に係る本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板において、前記第1電極と第2電極とが対向配置された同一の単位構造が、前記基板上に複数形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、キャリア移動度を測定する同一の単位構造が複数形成されているので、キャリア移動度測定用基板に半導体薄膜を形成した後に励起光を照射すれば、複数の箇所でキャリアを発生させてキャリア移動度を計測できる。その結果、測定される電流値を大きくできるので、より信頼性に優れたデータを得ることができる。
上記課題を解決するため、本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定装置は、上記第1又は第2の観点に係る本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板と、当該キャリア移動度測定用基板に励起光を照射する光照射部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第1電極に接続された電源部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第2電極に接続された電流測定部とを少なくとも備えることを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定方法は、上記第1又は第2の観点に係る本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板と、当該キャリア移動度測定用基板に励起光を照射する光照射部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第1電極に接続された電源部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第2電極に接続された電流測定部とを少なくとも備えるキャリア移動度測定装置を用いた半導体薄膜のキャリア移動度測定方法であって、前記キャリア移動度測定用基板上に被測定材料である半導体薄膜を形成する工程と、半導体薄膜が形成されたキャリア移動度測定用基板に前記光照射部から励起光を照射する工程と、前記電流測定部で得られた電流の時間的変化を測定する工程とを含むことを特徴とする。
以上のように、本発明のキャリア移動度測定用基板によれば、その測定用基板上に形成される半導体薄膜のキャリア発生位置と発生したキャリアの移動距離とが決定されるので、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を正確に測定でき、実際に近い形態での面内方向のキャリア移動度を簡便且つ正確に測定することができる。しかも、複雑な光学系や高価な基板位置制御装置が不要なので、簡便で低コストな測定系を構成できる。
本発明のキャリア移動度測定装置及び測定方法によれば、本発明のキャリア移動度測定用基板を用いるので、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を正確に測定することができると共に、複雑な光学系や高価な基板位置制御装置が不要なので、簡便で低コストな測定装置を構成できる。
以下、本発明の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板、測定装置及び測定方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態は本発明の説明のために挙げたものであり、本発明の技術的範囲が以下の説明及び図面に限定されるものではない。
(キャリア移動度測定用基板:第1実施形態)
図1は、本発明のキャリア移動度測定用基板の例を示す図である。図1において、(a)はその一形態の平面図であり、(b)はその断面図であり、(c)は他の形態の部分平面図であり、(d)はその断面図である。この形態に係るキャリア移動度測定用基板10は、励起光によりキャリアが発生し易い半導体薄膜のキャリア移動度測定に好ましく用いられるものであり、励起光を透過する基板11と、基板11上に形成されその一部に開口部13を有する遮光層12と、開口部13に隣接して又は開口部13の一部を覆う第1電極14と、遮光層12上に形成され前記第1電極14から所定の間隔で設けられた第2電極15とを有している。
基板11は、励起光を透過することができる基板であれば特に限定されず、その例としては、ガラス基板、石英基板、樹脂基板等を挙げることができる。なお、いずれの基板を選ぶかは、励起光の波長により任意に選択される。基板11の厚さも特に限定されないが、励起光の透過性や機械的強度等の観点から、通常0.7〜1.1mm程度のものが用いられる。
遮光層12は、基板11上に設けられ、その基板11側から照射された励起光を所定の部位に照射させるための開口部13を有する形態で設けられる。遮光層12の構成材料としては、クロム、タンタル等の遮光性を有する金属、アクリル系、ポリイミド系等の遮光層形成用樹脂材料、遮光層形成用材料となり得るフォトレジスト材料、又は無機材料等を挙げることができる。いずれの材料を選ぶかは、成膜のし易さや励起光の波長等により任意に選択される。遮光層12の厚さは、励起光を十分に遮光できる厚さであればよく、その厚さは各種の材料により異なるので一概には言えないが、通常0.5〜2μm程度である。
なお、遮光層12が導電性を有する場合、すなわち遮光層12がクロムやタンタル等の金属で形成されている場合には、遮光層12とその一部に形成された開口部13とを覆うように、絶縁層16が形成されていることが好ましい(後述する図2を参照。詳細は後述する)。図1に示すキャリア移動度測定用基板10は、遮光層12が導電性を有しない場合の構成を示している。
開口部13は、キャリア移動度測定の際に基板11側から照射される励起光を透過することができる部位であり、遮光層12の一部に形成されている。開口部13の平面視形状は特に限定されないが、例えば図1に示すようなスリット形状等を例示できる。スリット形状からなる開口部13の寸法は、スリット長Aとして例えば0.5〜10mm、好ましくは1〜4mm程度とすることができ、また、スリット幅Bとして例えば0.5〜5μm、好ましくは1〜2μm程度とすることができる。これらのうち、スリット長Aについては、基板11上における励起光の照射領域の面積と同等又はそれ以下にすることが好ましく、光励起による過渡光電流成分が大きくなるように設定される。一方、スリット長Bについては、少なくとも後述の第1電極14の端部から、第2電極15までの距離の1/10以下の領域に光励起キャリアの発生位置が限定配置されるように設定される。
本発明の測定用基板においては、長いスリット長Aと短いスリット幅Bとからなる開口部13を形成すると共に第1電極14の端部が開口部13を覆うことによって、輸送長に対して、スリット長Aよりも更に微細な幅のスリットを形成することができる。その結果、光励起によって生成したキャリアの発生位置が明確に規定されることになり、過渡光電流において該キャリアが第2電極に到達する時刻を高い信頼度で観測することができる。このことによって、キャリア移動度を精度よく測定することができる。
開口部13は、例えば、全面に形成された後の遮光層12を、フォトリソグラフィプロセス、プラズマを用いたドライエッチング、溶液を用いたウェットエッチング等を適宜用いて形成される。また、開口部13を、遮光層12を形成するのと同時に形成することもでき、例えば、リフトオフ法により、遮光層12の形成材料を選択的に成膜させ、遮光層12と開口部13とを同時に形成することができる。
第1電極14は、キャリア移動度の測定における電圧印加用の電極であり、図1(a)(b)に示すように、開口部13の一部を覆うように形成される。例えば、第1電極14を、スリット状の開口部13の一部にその長手方向にわたって覆った形状とすることができる。また、第1電極14は、図1(c)(d)に示すように、開口部13を覆わないように、その開口部13に隣接して形成されたものであってもよい。例えば、第1電極14を、スリット状の開口部13の縁(第2電極側ではない側の縁)に沿った形状とすることができる。第1電極14の形成材料としては、金、アルミニウム、クロム、タンタル等の金属、アルミニウム−ネオジウム合金等の合金、ポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリスチレンスルフォネート等の導電性高分子等を使用することができる。なお、第1電極14は、暗電流成分の電荷注入によって電界の再分配による解析の困難化を避けるために、被測定材料である半導体薄膜と測定対象であるキャリア種についてはブロッキング接触であることが望ましい。
第2電極15は、キャリア移動度の測定における電流測定用の電極であり、第1電極14と電気的に独立するように、遮光層12上に第1電極から所定の間隔で形成されている。第2電極15の形成材料としては、上記の第1電極14と同じ材料を用いることができる。なお、この第2電極15は、第1電極と同じ材料で形成されることが便利であるが、独立に形成したものであってもよく、不透明であっても透明であっても構わない。
第1電極14と第2電極15とは、所定の間隔を隔てて対向配置されていることが好ましく、具体的には図1に示すように、対向する側の電極縁部が平行になるように形成されていることが好ましい。両電極は同じ工程で形成されることが便利であり、例えば遮光層12(開口部13を含む)上の全面に電極用材料からなる層を形成した後、フォトリソグラフィプロセス、プラズマを用いたドライエッチング、溶液を用いたウェットエッチング等を適宜用い、それぞれの電極14,15が形成される。こうしたプロセスで形成された第1電極14と第2電極15は、その厚さが同じになり、通常0.1〜0.3μm程度の厚さで形成される。
第1電極14と第2電極15との間隔は、対向する側の平行な電極縁部の距離で表され、その距離は特に限定されないが、例えば5〜50μmの範囲内となるように形成される。距離の設定は、使用する半導体薄膜の特性を考慮して行うことが望ましい。
例えば、キャリア移動度の大きな半導体薄膜ではドリフト時間が短くなって測定が困難になることがあり、その場合には、距離が長めに設定されたものであることが好ましい。なお、このような場合、従来のTOF法では電極間に形成する半導体を更に厚くする必要があり、測定試料の作製が困難であったが、本発明においては、電極間の距離を長くすればよく、様々な種類の半導体薄膜のキャリア移動度を測定することが可能である。一方で、電極間の距離を長くするに従い、半導体薄膜に特定の電界を印加するために必要とされる電源電圧は大きくなるが、実用的には容易に10V/μm程度の電界強度が得られる電極間距離に設定することが好ましい。
形成される半導体薄膜としては、発光素子や薄膜トランジスタ等に使用される有機半導体材料からなる半導体薄膜であることが好ましく、例えばその有機半導体材料としては、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)、ポリ―N―ビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン、ペンタセン、オキサジアゾール(PBD)、トリアゾール誘導体(TAZ)等の、電子輸送材料や正孔輸送材料等を挙げることができる。こうした半導体薄膜は、その材料形態によっても異なるが、真空蒸着法やスピンコート法等によって形成される。半導体薄膜の厚さは特に限定されないが、励起光が照射されることにより十分な量のキャリアが発生できるだけの厚さであればよく、例えば10〜500nm程度の厚さであればよい。
(キャリア移動度測定用基板:第2実施形態)
図2は、本発明のキャリア移動度測定用基板の他の一例を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)はその断面図である。この形態に係るキャリア移動度測定用基板20も上記同様、励起光が照射されることによりキャリアが発生し易い半導体薄膜のキャリア移動度の測定に好ましく用いられるものであり、励起光を透過する基板11と、基板11上に形成されその一部に開口部13を有する遮光層12と、開口部13に隣接して又は開口部13の一部を覆う第1電極14と、遮光層12上に形成され前記第1電極14から所定の間隔で設けられた第2電極15とを有している。特にこの形態の特徴は、第1電極及び第2電極と、遮光層12及びその一部に有する開口部13との間に、励起光を透過する絶縁層16が形成されていることにある。なお、基板11、遮光層12、開口部13、第1電極14及び第2電極15についての詳細は上述したので、ここでは省略する。
絶縁層16は、遮光層13が導電性を有する場合に遮光層13と電極との電気的接触を防止するために好ましく設けられる層であるが、遮光層13が導電性を有していない場合に設けられていても構わない。この絶縁層16は、図2に示すように、遮光層12とその一部に形成された開口部13とを覆うように形成される。絶縁層16の形成材料としては、励起光を透過する材料であり、SiO、Ta等の無機酸化物、LiF、MgF等の無機フッ化物、シクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の有機化合物、等が励起光の波長によって選択して使用可能である。
以上、図1及び図2に示す構成からなる本発明のキャリア移動度測定用基板10,20は、励起光が照射されることによりキャリアが発生し易い半導体薄膜のキャリア移動度の測定に好ましく用いられる。そして、本発明によれば、開口部13に隣接して又は開口部13の一部を覆うように第1電極14が形成されているので、このキャリア移動度測定用基板10,20に半導体薄膜を形成して基板側から励起光を照射すれば、その開口部13上の半導体薄膜でキャリアを発生させることができる。発生したキャリアは、形成された半導体薄膜内を第1電極14から第2電極15に向かって移動するので、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を測定でき、実際に半導体薄膜を用いる素子に近い形態での面内方向のキャリア移動度を簡便且つ正確に測定することができる。
(キャリア移動度測定用基板:第3及び第4実施形態)
図3及び図4は、本発明のキャリア移動度測定用基板のさらに他の例を示す図であり、それぞれ、(a)は平面図であり、(b)はその断面図である。この形態に係るキャリア移動度測定用基板30,40は、励起光が照射されてもキャリアが発生し難い半導体薄膜のキャリア移動度の測定に好ましく用いられるものであり、励起光を透過する基板11と、基板11上に形成された第1電極14と、基板11と第1電極14との間に又は第1電極14の上に形成された電荷発生層17と、基板11上に形成され第1電極14から所定の間隔で設けられた第2の電極15とを有し、その電荷発生層17が、励起光が照射されることになる側に光学的に露出していることに特徴がある。
この形態の測定用基板30,40は、遮光層12及び開口部13が形成されていない点で図1及び図2に示した測定用基板10,20と相違している。すなわち、図1及び図2に示した測定用基板10,20は、励起光の照射によるキャリア発生部18を遮光層12と開口部13とによって特定しているのに対し、図3及び図4に示した測定用基板30,40は、励起光の照射によるキャリア発生部18を第1電極14の上又は下に設けられた電荷発生層17によって特定している。なお、基板11、第1電極14及び第2電極15についての詳細は上述したので、ここでは省略する。
電荷発生層17は、励起光が照射されることにより検出可能な電流変化をもたらすだけのキャリア発生材料で形成された層である。電荷発生層17は、上記の基板11と第1電極14との間に形成してもよいし(図3を参照)、上記の第1電極14の上にその第1電極14を覆うようにして形成してもよい(図4を参照)。なお、より詳細には、電荷発生層17は、少なくともその一部が第1電極14と第2電極15との間に存在していればよく、図3及び図4に示すように、電荷発生層17は、第1電極14の上又は下に設けられていることが好ましい。
電荷発生層17の形成材料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料等が用いられ、それらの材料をシャドウマスクを介した真空蒸着法により形成した後に、又はスピンコート法や電着法等で形成した後に、フォトリソグラフィプロセス等によって所望のパターンに形成できる。
こうした電荷発生層17が形成されたキャリア移動度測定用基板30,40は、励起光の照射によって発生する電流が微弱であるために光電流の過渡応答の観測が困難な半導体薄膜に対して好ましく用いられる。そうした半導体薄膜を形成する材料としては、蛍光性の強い材料一般を挙げることができる。このような場合の励起光としては、対照とする半導体薄膜自体が吸収を有さない波長の光を用い、その波長で効率よく電荷を発生する電荷発生層17を形成すれば、良好に電荷輸送特性を観測することができる。電荷発生層17で生成した多くのキャリアは、半導体薄膜内を移動して十分な大きさの過渡応答信号として測定される。このように、励起光に対して吸収を持たない半導体薄膜(電荷輸送層)のキャリア移動度の測定を、遮光層を設けることなく行うことができる。
以上、図3及び図4に示す構成からなる本発明のキャリア移動度測定用基板30,40は、励起光が照射されることによりキャリアが発生し難い半導体薄膜のキャリア移動度の測定に好ましく用いられる。そして、本発明によれば、基板11と第1電極14との間に又は第1電極14の上に、電荷発生層17が形成されているので、この測定用基板30に半導体薄膜を形成して励起光を照射すれば、その電荷発生層17でキャリアを発生させることができる。発生したキャリアは、形成された半導体薄膜内を第2電極15に向かって移動するので、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を測定でき、実際に近い形態での面内方向のキャリア移動度を簡便且つ正確に測定することができる。
(キャリア移動度測定用基板:第5実施形態)
図5は、本発明のキャリア移動度測定用基板の他の形態の一例であり、図5(a)は開口部形成パターンの平面図であり、図5(b)は電極形成パターンの平面図であり、図5(c)は櫛形形状の電極を組み合わせて作製した測定用基板の平面図である。このキャリア移動度測定用基板50は、第1電極14と第2電極15とが対向配置された同一の単位構造が、基板11上に複数形成されていることに特徴を有している。
図5に示す例では、基板11上の全面に遮光層12を形成した後、図5(a))に示す開口部形成パターン51を用いて開口部13を形成する。次いで、遮光層12及び開口部13を基板上の全面に電極材料からなる層を形成した後、図5(b)に示す電極形成パターン52で所定のパターンからなる層を除去して、いずれも櫛形形状の第1電極14と第2電極15とを形成する。このとき、第1電極14の櫛形の各々の歯部は、所定間隔で形成された各開口部13上に形成される。この形態のキャリア移動度測定用基板50において、励起光を透過する開口部14は、図5(b)を平面視したとき、第1電極14の歯部の上下に幅Cで形成されている。また、第1電極15と第2電極15とは、図5(b)を平面視したとき、上下方向に距離Lで形成されている。
この形態の測定用基板50によれば、キャリア移動度を測定する同一の単位構造が複数形成されているので、キャリア移動度測定用基板50に半導体薄膜を形成した後に励起光を照射すれば、複数の箇所でキャリアを発生させてキャリア移動度を計測できる。その結果、測定される電流値を大きくできるので、より信頼性に優れたデータを得ることができる。
(キャリア発生部)
ここで、以上説明した各形態に係るキャリア移動度測定用基板が有するキャリア発生部18について説明する。
キャリア発生部18は、励起光が照射されることによりキャリアを発生する部位である。具体的には、図1及び図2に示す測定用基板10,20においては、半導体薄膜に励起光が照射する部分で、かつ第1電極14と第2電極15とに挟まれる部分がキャリア発生部18となる。第1電極14が励起光を透過しない場合においては、その第1電極14が覆っている部分以外の開口部13の寸法が、キャリア発生部18の寸法となる。
また、図3及び図4に示す測定用基板30,40においては、電荷発生層17に励起光が照射する部分で、かつ第1電極14と第2電極15とに挟まれる部分がキャリア発生部18となる。
(キャリア移動度測定用基板の作製方法)
次に、図1〜図4の各キャリア移動度測定用基板の作製方法について説明する。
図1に示すキャリア移動度測定用基板10の作製方法の一例としては、先ず、基板11を準備し、その基板11上の全面に遮光層12を塗布等により形成した後に開口部3をフォトリソグラフィプロセス等により形成する。その後、第1電極14及び第2電極15の材料からなる層(例えばアルミニウム層)を形成し、フォトリソグラフィプロセス等により、第1電極14と第2電極15とを形成する。こうして図1に示すキャリア移動度測定用基板10を作製できる。
図2に示すキャリア移動度測定用基板20の作製方法の一例としては、先ず、基板11を準備し、その基板11上の全面に遮光層12を塗布等により形成した後に開口部3をフォトリソグラフィプロセス等により形成する。次いで、遮光層12及び開口部13を覆うように絶縁層16を形成した後、第1電極14及び第2電極15の材料からなる層(例えばアルミニウム層)を形成し、フォトリソグラフィプロセス等により第1電極14と第2電極15とを形成する。こうして図2に示すキャリア移動度測定用基板20を作製できる。
図3に示すキャリア移動度測定用基板30の作製方法の一例としては、先ず、基板11を準備し、その基板11上に電荷発生層17をフォトリソグラフィプロセス等によって所望のパターンで形成する。次いで、電荷発生層17を含む基板全面を覆うように、第1電極14及び第2電極15の材料からなる層(例えばアルミニウム層)を形成し、フォトリソグラフィプロセス等により第1電極14を前記の電荷発生層17の上に形成し、第2電極15を基板11上に形成する。こうして図3に示すキャリア移動度測定用基板30を作製できる。
図4に示すキャリア移動度測定用基板40の作製方法の一例としては、先ず、基板11を準備し、その基板11上に第1電極14及び第2電極15の材料からなる層(例えばアルミニウム層)を形成し、フォトリソグラフィプロセス等により第1電極14と第2電極15を形成する。次いで、両電極を含む基板全面上にレジスト膜を形成した後、電荷発生層17を形成する予定の第1電極14周辺のレジスト膜を露光・現像等により除去し、除去した部位に電荷発生層17をスピン塗布により充填する。その後、残りのレジスト膜を全て除去する。こうして図4に示すキャリア移動度測定用基板40を作製できる。
(キャリア移動度測定装置)
図6は、本発明のキャリア移動度測定装置の一例を示す図である。本発明のキャリア移動度測定装置60は、図1〜図4に例示した本発明に係るキャリア移動度測定用基板61と、キャリア移動度測定用基板61に励起光66を照射する光照射部62と、キャリア移動度測定用基板61が有する第1電極14に接続された電源部63と、キャリア移動度測定用基板61が有する第2電極15に接続された電流測定部64と、を少なくとも備えることに特徴がある。図1〜図4に例示した本発明に係るキャリア移動度測定用基板10,20,30,40については、既に説明したのでここでは省略する。なお、図6は、図2に示したキャリア移動度測定用基板20を用いた例を示す図である。
光照射部62は、半導体薄膜65が形成された測定用基板61にパルス状の励起光66を照射するための装置であり、その光源としては、例えば窒素ガスレーザー、Nd:YAGレーザー、キセノンフラッシュランプ等が用いられる。パルス状の励起光66は、被測定材料である半導体材料のバンドギャップよりも大きいエネルギーを持ち、オンタイムの時間幅は0.1ns〜100ns、オフタイムはオンタイムと比べて無視できる程度に短いものが利用される。
電源部63は、第1電極14に直流電圧を印加するための装置である。
電流測定部64は、負荷抵抗67とデジタルオシロスコープ68を含み、第2電極15に接続される。この電流測定部64においては、測定精度をさらに上げるために、デジタルオシロスコープ68と第2電極15とがプリアンプ(図示しない)を介して接続されていてもよい。なお、励起光66のパルスとデジタルオシロスコープ68とは、例えばファンクションジェネレータ(図示しない)を用いて同期される。第1電極14と第2電極15との間に流れる電流変化は、第2電極15に接続された負荷抵抗67の両端の電圧降下の電圧変化としてデジタルオシロスコープ68で検出される。
(キャリア移動度測定方法)
図7は、本発明のキャリア移動度測定方法の一例を示す図である。本発明のキャリア移動度測定方法は、図1〜図4に例示した本発明に係る半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板61と、キャリア移動度測定用基板61に励起光を照射する光照射部62と、キャリア移動度測定用基板61が有する第1電極14に接続された電源部63と、キャリア移動度測定用基板61が有する第2電極15に接続された電流測定部64とを少なくとも備えるキャリア移動度測定装置を用いた測定方法であり、キャリア移動度測定用基板61上に被測定材料である半導体薄膜65を第1電極14及び第2電極15に接するように形成する工程と、半導体薄膜65が形成されたキャリア移動度測定用基板61に光照射部62から励起光66を照射する工程と、電流測定部64で得られた電流の時間的変化を測定する工程と、を含んでいる。なお、図7は、図2に示したキャリア移動度測定用基板20を用いた例を示す図である。図3、図4に示したキャリア移動度測定用基板30、40を用いるときは、半導体薄膜65を少なくとも電荷発生層17及び第2電極15に接するように形成する。
先ず、キャリア移動度測定用基板61上に、被測定材料である半導体薄膜65を形成する。半導体薄膜65は、各種の手段で形成することができ、例えば塗布や真空蒸着等により形成することができる。半導体薄膜の形成材料その他については、半導体薄膜の説明箇所で説明したので省略する。
次に、半導体薄膜65が形成されたキャリア移動度測定用基板61に光照射部62から励起光66を照射する。励起光66の照射領域は、キャリア発生部18が含まれていればよい。すなわち、図1及び図2においては、少なくとも開口部13の形成領域が含まれていればよく、図3及び図4においては、電荷発生層17の形成領域が含まれていればよい。
本発明の測定用基板のうち、図1及び図2に示す測定用基板10,20を用いた測定方法では、キャリア発生部18が遮光層12と開口部13とで特定されるので、励起光66を基板11側から照射することが必要である。一方、図3及び図4に示す測定用基板30,40を用いた測定方法では、キャリア発生部18が第1電極14の上又は下に設けられた電荷発生層17で特定されるので、励起光66を基板11側から照射してもよいし、上方の半導体薄膜側から照射してもよい。
励起光66で照射された半導体薄膜66は、その励起光66を吸収してキャリアを発生する。半導体薄膜65内では第1電極14に印加された直流電圧により電界が発生しており、発生したキャリアは、その電界により第2電極15の側にドリフトする。第2電極15に達したキャリアは消滅するが、この間の半導体薄膜に流れる電流の時間的変化を電流測定部64で測定する。
図8は、励起光をオフした後において、第2電極15に流れた電流変化の典型的な例を示すグラフであり、その電流変化の形態により非分散型伝導と分散型伝導とに大別できる。図8(a)は非分散型伝導を示すグラフであり、図8(b)は分散型伝導を示すグラフであり、図8(c)は対数軸で表したときの分散型伝導を示すグラフである。
図8(a)に示す非分散型伝導において、電流が減衰を始める時間を過渡時間tとして表すことができる。しかし、一般には、発生したキャリアは半導体薄膜中でガウス型の拡がりを持つため、電流の伝導型は、図8(b)に示すような分散型伝導のグラフになり、非分散型伝導のような明瞭な過渡時間tは現れない。こうした非分散型伝導の場合には、図8(c)に示すように、両軸を対数軸としたグラフとし、グラフの傾きが異なる屈曲点を過渡時間tとして求めることができる。
以上のようにして求めた過渡時間tは、キャリア発生部18で発生したキャリアが第2電極15に向かってドリフトし、その間に要した時間(以下、ドリフト時間という)を表している。従って、キャリア発生部18と第2電極15との距離をLとし、電極間に印加した電圧をVとすると、移動度μ(cm/Vs)は、μ=L/(V・t)の式で表され、移動度μを算出できる。
次に、半導体薄膜のキャリア移動度の温度依存性を測定する方法について説明する。測定対象である半導体薄膜の電荷輸送特性について詳細な情報を得るためには、電荷輸送能の温度依存性を測定することが有効である。
キャリア移動度の温度依存性を測定する方法としては、測定対象になる半導体薄膜上に保護層を設けたものを使用することが好ましい。なお、この保護層は絶縁性であることが必要である。
保護層を半導体薄膜上に形成することにより、その保護層形成面を下にして(すなわち、基板11面を上にして)温調ステージに載せることができる。そして、上方から励起光を照射することにより、温度調節された半導体薄膜のキャリア移動度を測定することができる。その結果、キャリア移動度の温度依存性を測定することができる。なお、保護層を形成しない場合であっても、基板11面を下にして温調ステージに載せることにより、温度調節された半導体薄膜のキャリア移動度を測定することができる。この場合の温調ステージには貫通孔が設けられていることが望ましく、温調ステージの下方から励起光を照射することにより、キャリア移動度の温度依存性を測定することができる。
以上説明したように、本発明のキャリア移動度測定方法によれば、半導体薄膜の面内方向でのキャリア移動度を測定することができる。なお、電源部から印加される直流電源の極性により、電子の移動度を測定したり正孔の移動度を測定したりすることができる。
基板11として厚さ0.7mmのガラス基板を用い、その基板11上にスリット長4mm×スリット幅1μmの開口部13を有する遮光層12を形成した。遮光層12は金属クロム層であり、真空蒸着により形成した後にフォトリソグラフィプロセスにより開口部13を形成した。次に、その遮光層12及び開口部13を含む基板全面に、絶縁層16として厚さ0.5μmのSiO層を形成した。次に、その上に真空蒸着で厚さ0.3μmのアルミニウムを形成した後、フォトリソグラフィプロセスにより第1電極14と第2電極15を形成した。
なお、開口部形成パターンと電極形成パターンは、図5に示したものと同じであり、約4mm×4mmのパターン形成領域内に5000個のスリット状のキャリア発生部18を形成した。キャリア発生部18と第2電極15との間のドリフト距離Lが9μmとなるように形成した。
測定試料は、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(TPD)を真空蒸着法で200nm成膜したものを使用した。こうして測定用の試料を作製した。
キャリア移動度測定は、両電極間に2.2×10V/cmの電界を加えた状態で、光源が波長337nmで3ns幅の窒素ガスレーザーをパルス状の励起光として基板11側から照射して行った。
図9は、測定により得られた過渡光電流波形である。図9より、典型的な非分散型伝導がみられ、その屈曲点より、過渡時間tは4.9μsであった。これから算出された正孔移動度は、8.3×10−4cm/Vsであった。同様にして、電界強度を種々変化させてキャリア移動度を測定した。図10は、種々の電界強度とキャリア移動度との関係を示すグラフである。図10には、得られた結果と、従来法(TOF法)により得られた結果とを併せて示してあるが、両者は良く一致している。
本発明のキャリア移動度測定用基板の例を示す図である。 本発明のキャリア移動度測定用基板の他の例を示す図である。 本発明のキャリア移動度測定用基板のさらに他の例を示す図である。 本発明のキャリア移動度測定用基板のさらに他の例を示す図である。 本発明のキャリア移動度測定用基板の他の形態の一例である。 本発明のキャリア移動度測定装置の一例を示す図である。 本発明のキャリア移動度測定方法の一例を示す図である。 励起光をオフした後において、第2電極に流れた電流変化の典型的な例を示すグラフである。 実施例1の測定により得られた過渡光電流波形である。 種々の電界強度とキャリア移動度との関係を示すグラフである。 TOF法の原理を示した概略断面図である。 膜面内の過渡光電流を観測する従来の方法を示した概略断面図である。 従来の変形TOF法の原理を示した概略断面図である。
符号の説明
10,20,30,40,50,61 キャリア移動度測定用基板
11 基板
12 遮光層
13 開口部
14 第1電極
15 第2電極
16 絶縁層
17 電荷発生層
18 キャリア発生部
51 開口部形成パターン
52 電極形成パターン
60 キャリア移動度測定装置
62 光照射部
63 電源部
64 電流測定部
65 半導体薄膜
66 励起光
67 負荷抵抗
68 デジタルオシロスコープ
A 長いスリット長
B 短いスリット幅
C 対向する電極の電極縁部と平行な方向の長さ
D 対向する電極の電極縁部に直交する方向の長さ

Claims (7)

  1. 励起光を透過する基板と、当該基板上に形成されその一部に開口部を有する遮光層と、前記開口部に隣接して又は前記開口部の一部を覆う第1電極と、前記遮光層上に形成され前記第1電極から所定の間隔で設けられた第2電極とを有することを特徴とする半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板。
  2. 前記第1電極及び第2電極と、前記遮光層及びその一部に有する開口部との間に、励起光を透過する絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板。
  3. 励起光を透過する基板と、当該基板上に形成された第1電極と、前記基板と第1電極との間に又は前記第1電極の上に形成された電荷発生層と、前記基板上に形成され前記第1電極から所定の間隔で設けられた第2の電極とを有し、前記電荷発生層が、前記励起光が照射されることになる側に光学的に露出していて、かつ、第2の電極と接していないことを特徴とする半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板。
  4. 前記第1電極と第2電極とが、対向配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板。
  5. 前記第1電極と第2電極とが対向配置された同一の単位構造が、前記基板上に複数形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板と、当該キャリア移動度測定用基板に励起光を照射する光照射部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第1電極に接続された電源部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第2電極に接続された電流測定部とを少なくとも備えることを特徴とする半導体薄膜のキャリア移動度測定装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体薄膜のキャリア移動度測定用基板と、当該キャリア移動度測定用基板に励起光を照射する光照射部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第1電極に接続された電源部と、前記キャリア移動度測定用基板が有する第2電極に接続された電流測定部とを少なくとも備えるキャリア移動度測定装置を用いた半導体薄膜のキャリア移動度測定方法であって、前記キャリア移動度測定用基板上に被測定材料である半導体薄膜を形成する工程と、半導体薄膜が形成されたキャリア移動度測定用基板に前記光照射部から励起光を照射する工程と、前記電流測定部で得られた電流の時間的変化を測定する工程とを含むことを特徴とする半導体薄膜のキャリア移動度測定方法。
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