JP4680289B2 - 睡眠評価装置及び睡眠評価方法 - Google Patents
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Description
このような睡眠評価装置としては、例えば以下に掲げる特許文献に開示されているようなものが知られている。
さらに特許文献3は、「人体の呼吸信号の変動のみを用いて睡眠段階を判定する」技術を開示する(以上、「」内は特許文献3の〔請求項1〕より)。
しかしながら、この正確性を確保するのは容易ではない。言い換えると、測定された心拍数等のデータは、必ずしも、現実の被験者の状態を正確に反映しているとはいえず、当該データが全幅の信頼のおける正確無比なものであるという保障があるわけではないのである。実際、寝返り等の大きな振動があった場合の取扱いは比較的困難であるし、睡眠時無呼吸障害や不整脈のある被験者の睡眠状態を評価する場合にも、前記出力結果の解釈が比較的難しくなるという問題がある。
これを改善するためには、測定されるデータが、可能な限り正確に、現実の被験者の状態を反映するように工夫すること、あるいはまた、仮に当該データに一定程度の不正確さが伴うにしても、その取り扱い方に工夫を加えるなどして睡眠評価手法の妥当性を確保すること等が重要となる。
このようなことから、本発明においては、心拍数データに一定程度の不正確さが伴う場合は、その代わりに、呼吸数データ、ないしはそれについての標準偏差(即ち、前記第2標準偏差)が用いられるということになる。
一般に、心拍数というのは、その性質上、観測値のばらつきがさほど大きくなるはずがなく、したがって、第1標準偏差>第1所定値が成立する場合とは、心拍数の値が、被験者の当該時点における正確な状況を反映していないという推測が成り立つ。そうすると、前述のような本発明に係る使い分けは極めて合理的な根拠に基づいているということができる。
このようにして、本発明によれば、一定の不正確性を伴う心拍数の標準偏差の利用が回避された上で、REM睡眠期の特定がなされる。
また、本発明によれば、まず、被験者の入眠時点が判定される。そして、前記窓の開始点としての意義を持つ第1時点が、この入眠時点を基準として定められる。
一般に、REM睡眠期というのは、入眠時点から一定程度の時間を経た後(例えば、90分後等)に訪れることが知られているから、REM睡眠期の判定を行うにあたっては、その入眠時点から経過時間を勘案した上で、前述の窓の設定、及びそれに基づくREM睡眠期の判定を行うのが合理的である。というのも、仮に、被験者の睡眠期間のすべてについて、REM睡眠期にあるかどうかの全探索を行う場合を想定すると明らかなように、処理時間の長期化等が懸念されるからである。
本発明によれば、このような意味において、被験者のREM睡眠期の特定が好適に行われ得る。
この態様によれば、被験者のREM睡眠期の特定が、より好適に行われ得る。
すなわち、本発明においては、前記の最大値対応第3時点(例えば、図10中の「a=start+I」によって指し示される時点が、その一具体例である。)だけをREM睡眠期と判定する場合を積極的に除外するわけではないが、一般に、REM睡眠期というのは一定時間継続するのが通常であるから、REM睡眠期にあると強く推定される最大値対応第3時点が特定されるのであれば、その周囲においてもやはり、被験者はREM睡眠期にあったと判断することが可能である。
本態様においては、最大値対応第3時点を含む第2時間幅(例えば、図10中の「−const4」及び「+const4」によって画される領域が、その一具体例である。)内において、被験者がREM睡眠期にあると判定するのであるから、前述の事情によりよく適合し、したがって、被験者のREM睡眠期の特定がより好適に行われ得るのである。
なお、本態様にいう「第2時間幅」の大きさは、前記の「第1時間幅」の大きさに等しくとも、あるいは、異なっていてもよい。
この態様によれば、例えば、ある窓についてのREM睡眠期が特定された後、次なる窓の設定が好適に行われ得ることになり、また、そのようにして次々に設定される窓について、REM睡眠期の特定が好適に行われ得ることになる。
なお、本態様にいう「REM睡眠期の端から所定の時間だけ隔たった時点」とは、例えば、図10中の「a=start+I」に、「+const4」が加えられ、更に、「+window_start1」が加えられた時点が、その一具体例として含まれる。
この態様によれば、ある窓において中途覚醒がある場合において、次なる窓の設定が好適に行われ得ることになる。なお、この態様における「中途覚醒の時点から覚醒が継続した時間だけ隔たった時点」というのを、被験者が再び入眠するに至った時点というのにほぼ同義であると考えるならば、本態様の技術的思想は、前述した、入眠時点を基準として第1時点を定める態様のそれと、本質的な相違はなく、その好適な発展形と捉えることも可能である。
この態様によれば、心拍数データ・呼吸数データが、体動データに基づいて検出されるようになっているから、例えば、これら心拍数・呼吸数を検出するために被験者に特別仕様の電極等を設置する、などといった必要がない。したがって、本態様によれば、心拍数・呼吸数を検出するために、被験者に余計な負担をかけることがないという利点が得られる。
なお、このような効果をより実効的に享受するためには、前記体動検出手段は、所定の流体を内封するマットレスを含み、前記流体の圧力変化に応じて、前記被験者の身体の動きを検出する、ように構成されてなお好適である。
なお、本態様にいう「第2検出時間間隔」は、前述の「第1検出時間間隔」と等しくとも、あるいは、異なっていてもよい。
この態様によれば、「第4標準偏差」が、前述した時系列データとしての体動データのばらつきの程度を、G個のグループごとに表現する。さらに、「標準偏差平均値」は、この「第4標準偏差」の平均値であるから、結局、その「第4標準偏差」が対象とする期間よりも長期に亘る体動データのばらつきの程度を表現(しかも、一定程度平準化した上で表現)することになる。
これら第4標準偏差と標準偏差平均値との間には、「第4標準偏差」が、被験者の比較的短時間における体動の変化の様子をよく表し、「標準偏差平均値」が、比較的長時間における体動の変化の様子をよく表す(特に、周期的な変化はキャンセルされ得る)、という特性の相違がある。
そして、本態様では特に、後者の「標準偏差平均値」を利用して、被験者の深睡眠期が好適に特定される。すなわち、この標準偏差平均値の変動がより小さければ、被験者は、身体動作の少ない深睡眠と判定されるのである。
また、この態様においては、前記L個の標準偏差平均値の各々が、前記gs個の標準偏差に関する移動平均値として求められる、ように構成してもよい。
このような構成によれば、L個の標準偏差平均値の設定が好適になされる。すなわち、1個1個の標準偏差平均値が、gs個の標準偏差の移動平均値であるということは、そのgsの適当な設定等によって、前述した平準化、あるいは周期的な変化のキャンセル(ここでは、「移動平均」という概念が導入されている以上、これらのことを特に「平滑化」と呼び得る。)等が、より好適になされ得ることになるからである。つまり、本態様によれば、比較的長期に亘る体動の変化の様子を表す指標として、「標準偏差平均値」を使用することの意義がより高まる。
以上によれば、前述した本態様に係る作用効果がより実効的に奏される。
ちなみに、ここでいう「移動平均値」とは、例えば、第p番目の標準偏差平均値が、第p,第(p−1),及び第(p−2)のグループに対応する標準偏差の平均値であって、第(p+1)番目の標準偏差平均値が、第(p+1),第p,及び第(p−1)のグループに対応する標準偏差の平均値であるという場合、を含む。なお、後述する実施形態の説明においては、本態様にいう「移動平均値」に含まれる他の例についても説明される。
この態様によれば、前述の「第4標準偏差」に基づいて、被験者の睡眠傾向が判定される。例えば、被験者の全睡眠期間におけるG個の第4標準偏差の変遷を確認し、その値の変動が大きい部分と小さい部分とを区分けするとともに、後者の部分の、前者及び後者の全部分に対する割合が一定値以上であれば、睡眠傾向は良い、などと判定することが可能である。この場合、体動データのばらつきが小さい部分が、全睡眠期間の大勢を占めていると考えることができるからである。
より具体的には、前記判定手段は、前記G個の第4標準偏差のうち、第q番目の第4標準偏差(ただs、qはq≦G−1を満たす整数)と第(q+1)番目の第4標準偏差との差の絶対値が第3所定値を下回るという条件を満たす場合は、当該条件を満たす各qについての前記絶対値の和を、当該条件を満たすqの個数で除した平均値を求め、この平均値の大小関係、及び、(G−前記条件を満たすqの個数)の大小関係に応じて、前記被験者の睡眠傾向を判定する、ように構成してもよい。
この態様によれば、前記でいうところの、「小さい部分」たる、幾つかの第4標準偏差の特定が、より好適に行われるとともに、そのような第4標準偏差のうちの隣り合うもの同士の差の絶対値が利用されて、被験者の睡眠傾向の判定がなされるようになっているので、より現実の状況に適合した睡眠傾向判定が行われ得る可能性が高まる。
いずれにせよ、これらの態様によれば、本発明に言う「睡眠の質」の判定が、より実効的に行われることになる。
なお、これらの態様の一具体例については、後の実施形態において、図11及び図12等が参照されながら説明される。そこにおいては、例えば、本態様にいう「第3所定値」が“const5”などというように、より具体化されたかたちで呈示される。
この態様によれば、心拍数の標準偏差が第4所定値を下回り、又は、前記呼吸数の標準偏差が第5所定値を下回る場合に限り、被験者の浅睡眠期の特定が行われる。その反面として、本態様においては、心拍数の標準偏差が第4所定値以上であり、かつ、前記呼吸数の標準偏差が第5所定値以上である場合は、その浅睡眠期の判定が行われないのである。これは、そのような場合は、既に述べたように、心拍数及び呼吸数に一定程度の不正確さが伴っていると考えられるからである。
このようなことから、本態様によれば、一定の不正確性を伴う心拍数、あるいは呼吸数の標準偏差の利用が回避された上で、浅睡眠期の特定がなされる。
なお、この態様では、前記第4及び第5所定値の少なくとも一方は、前記被験者の睡眠傾向が良いか、そうではないかに応じて、その大きさが異なる、ように構成してもよく、あるいは、前記第6所定値は、前記第4及び第5所定値に基づいて定められる、ように構成してもよい。
これらの態様によれば、第4、第5、及び第6所定値が好適に設定されることを通じて、被験者の浅睡眠判定が好適に行われ得ることになる。なお、前者の態様では、当然ながら、前述した「睡眠傾向」の判定が行われることを前提としている。
なお、以上の浅睡眠期を判定する態様の一具体例については、後の実施形態において、図13及び図14等が参照されながら説明される。そこにおいては、例えば、本態様にいう「第4所定値」が“const13”又は“const14”と、「第5所定値」は“consto15”又は“const16”と、「第6所定値」は“std・const17”と、などというように、より具体化されたかたちで呈示される。
この態様によれば、深睡眠期特定の修正が行われる。すなわち、前述の睡眠傾向判定の結果が“良い”であるのに、特定された深睡眠期が比較的少ない場合は、本来、深睡眠期であると判定されるべき時間が、そうではないと判定されているおそれが高いので、本態様では、そのような場合において、その見落とし部分をきちんと深睡眠期と判定するべく、一種の再処理が行われるようになっているのである。
この際、本態様では、前述した深睡眠期の判定においては「標準偏差平均値」が用いられていたところ、「前記gs個の第4標準偏差についての標準偏差」が用いられる。つまり、両者間で使われる指標が異なっているので、深睡眠期特定の修正はよりよく行われることになる。
また、この態様の一具体例については、後の実施形態において、図15等が参照されながら説明される。そこにおいては、例えば、本態様にいう「第7所定値」は“const18”、「第5時点」は“epoch−const20とepoch+const20とに挟まれた時間の中のある時点”、などというように、より具体化されたかたちで呈示される。
この態様によれば、REM睡眠期特定の修正が行われる。すなわち、前述の睡眠傾向判定の結果が“悪い”とされているわけではないのに、特定されたREM睡眠期が比較的少ない場合は、本来、REM睡眠期であると判定されるべき時間が、そうではないと判定されているおそれが高いので、本態様では、そのような場合において、その見落とし部分をきちんとREM睡眠期と判定するべく、一種の再処理が行われるようになっているのである。
この際、本態様においても、前述したREM睡眠の判定において用いられていた、第2及び第3標準偏差の使い分けと同様の、第6及び第7標準偏差の使い分けが行われるので、やはり、一定の不正確性を伴う心拍数の標準偏差の利用が回避された上での、REM睡眠期特定の修正がなされることになる。
また、本態様にいう「第7時点」と「第6時点」との間の時間幅の大きさは、前記の「第2時点」と「第1時点」との時間幅の大きさと同じであってよいが、好ましくは、前者が後者よりも小さい方がよい(この場合は従って、「第3時間幅」は、「第1時間幅」又は「第2時間幅」よりも小さい方が通常は好ましい。)。というのも、前述の「第1時点」等が関わる処理は、REM睡眠期が全く特定されていない状況で、それを新たに特定するという意義をもつものであるから、窓はできる限り大きい方が好ましいのに対して、本態様に係る処理は、いわば判定し損ねたREM睡眠期を見つけてその特定をやり直すという意義をもつものであるから、窓(この場合は「第2の窓」)はそれほど大きくなくともよいからである。
さらに、この態様の一具体例については、後の実施形態において、図16、図17、図18及び図19等が参照されながら説明される。そこにおいては、例えば、本態様にいう「第8所定値」が“const21”、「第9所定値」が“const23”、 「第5標準偏差」が図17又は図19中の“std_range_hr”、「最大値対応第8時点」が図19中の“maxEp=Repc+I”によって指し示される時点、等々というように、より具体化されたかたちで呈示される。
図1において、睡眠評価装置1は、寝具に横臥した人体の生体信号を検出するためのセンサ部2と、センサ部2に接続され睡眠段階の判定及び睡眠の質の評価を行なう制御ボックス3とを備える。制御ボックス3は、睡眠段階の判定結果及び睡眠の評価指標などのガイダンス表示などを行なう表示部4及び電源オン/オフ又は測定開始/終了などの操作を行なう操作部5を備える。
ちなみに、本実施形態に係る睡眠評価装置1は、図1に示すように、被験者の身体を特に拘束することはない。これは、上述のように、センサ部2が寝具の下に配置されるだけで被験者の体動を検出することが可能となっていることによる。
センサ部2が検出した圧力変化には、被験者の心拍、あるいは呼吸に伴う身体位置変動によって引き起こされる圧力変化が含まれる。その圧力変化は、心拍、あるいは呼吸が通常一定の周期をもって行われることから、周期的な変化を含んでいる。
心拍・呼吸検出部201は、このことを利用して心拍・呼吸を検出するが、そのためには、当該心拍・呼吸検出部201は、圧力変化信号中の適当な帯域を通過させるフィルタ等を含んで好適である。
解析部30は、センサ部2が検出した被験者の姿勢変化等の様子や、計時部11で計測された現在時刻等の情報に基づいて、被験者のその時時における睡眠状態やその質等を、演算、解析及び評価等を通じて判定ないし判断する。
記憶部20は、前述の解析部30における判定結果等を記憶する。あるいは、記憶部20は、必要に応じて、解析部30における演算途中で得られた中間結果、中間成果情報、等々を記憶するほか、睡眠評価装置1の動作に必要となるその他の各種情報やプログラム等を記憶する。
制御部CPは、センサ部2から直接受けた入力信号、あるいは心拍・呼吸検出部201を介して受けた入力信号をデジタル信号に変換するADコンバータ、あるいはCPU(Central Process Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、等その他必要な要素を備える(いずれも不図示)。
この制御部CPは、その他、本実施形態に係る睡眠評価装置1全体を調和的に動作させるため、当該睡眠評価装置1に係る全般的な制御を行う。
次に、制御部CPは、測定開始の指令の有無を判断する(図3のステップS3)。この指令は、例えば、操作部5に対するユーザの測定開始ボタンの押下に基づいて発せられたり、あるいは、一定の時刻の到来に基づいていわば自動的に発せられたりする。また、ここでいう測定とは、センサ部2によって検出される被験者の体動の時間的変化を計測することを指す。
この一連の処理により、記憶部20内には、例えば観念的には図4に示されるようなデータテーブルT11が構築される。このデータテーブルT11は、記憶部20のアドレス番号1から100までに対応する体動データの書込みを順次受ける。図では、これら各アドレスに対応して、体動データが、512,356,…,457,615,…,824と書き込まれていることがわかる。ちなみに、これらの変数名は、D[0],D[1],…,D[99]が対応している(なお、体動データの個数が100個とされているのは単なる一例である。)。
また、このようなデータテーブルT11の構築に基づいて、呼吸数データ及び心拍数データそれぞれのデータテーブルT12及びT13が構築される。これらのデータテーブルT12及びT13は、それぞれ、記憶部20のアドレス番号501から600まで、及び、601から700までに対応する呼吸数データ及び心拍数データの書込みを順次受ける。なお、このようなデータテーブルT12及びT13に埋められるべき数値は、本実施形態においては、後述する図5のステップS32において求められる。
制御部CPは、このようなデータテーブルT11乃至T13の構築と並行して、現在時刻を取得し(図3のステップS9)、表示する(図3のステップS10)。
このデータ解析が終了すれば、制御部CPは、その結果を表示し(図3のステップS12)、現在時刻表示に戻るかどうかを判断した後、これが肯定され得れば前述した繰り返し処理に戻る(図3のステップS13;YESからステップS1へ)。なお、このステップS13における判断は、言い換えると、例えば当該解析結果の表示がユーザの視認に十分な時間だけ行われたかどうか、と読み替えることができる。これは、制御部CPによる一定時間経過判断によってもよいし、ユーザによる指令によってもよい。
Hensa[x]=sqr〔(1/(z+1))・Σ(D[i]−Ave・D)2〕 … (1)
である。ただし、i=s,s+1,…,s+zである。また、“sqr”は平方根を表す(以下同様である。)。
なお、本実施形態では特に、s=10x、かつ、z=9とされる。したがって、図4のデータテーブルT3に示すように、例えばHensa[0]は、D[0],D[1],…,D[9]に関する標準偏差をもち、Hensa[5]は、D[50],D[51],…,D[59]に関する標準偏差をもつ。本実施形態では、全体動データ数が100個であるから、Hensa[x]も、Hensa[0],Hensa[1],…,Hensa[9]の10個が定義される。
ちなみに、上述したような演算処理は、図5のステップS22において行われる処理に同じである。かかる処理により、前記データテーブルT3には、Hensa[0],Hensa[1],…,Hensa[9]の各具体値が書き込まれていく。なお、データテーブルT3は、記憶部20内のアドレス番号211から220に対応する。
HenAv[x]=(Hensa[t],Hensa[t+1],…,Hensa[t+y])/(y+1) … (2)
である。
なお、本実施形態では特に、t=x−1、かつ、y=2とされる。したがって、図4のデータテーブルT4に示すように、例えばHenAv[1]は、Hensa[0],Hensa[1],及びHensa[2]に関する平均値をもつ。本実施形態では、Hensa[x]の全個数が10個であるから、HenAv[x]は、Hensa[1],Hensa[2],…,Hensa[8]の8個が定義される。ただ、本実施形態ではこれに加えて、HenAV[0]と、HenAV[9]が特別に“0”に設定され、全部で10個のHenAV[x]が定義される。
ちなみに、上述したような演算処理は、図5のステップS23において行われる処理に同じである。かかる処理により、前記データテーブルT4には、HenAv[0],HenAv[1],…,HenAv[9]の各具体値が書き込まれていく。なお、データテーブルT4は、記憶部20内のアドレス番号221から230に対応する。
図4では、データテーブルT2において、Stage[0]及びStage[9]が“1”をとっており、被験者は、これらエポック0及び9において覚醒状態にあることが表されている。一方、Stage[1]は“0”をとっており、被験者は、このエポック1において睡眠状態にあることが表されている。
なお、以下においては、Stage[x]がとるべき値として、上記“1”のほか、これと同義の記号として、“Wake”を用いることがある。その意義は上述したところ明らかであるが、要するに、Stage[x]が、値1あるいは値Wakeをとるとき、被験者は覚醒状態にあるということである。
なお、このような各Stage[x]の値の設定は、後述する図7(深睡眠判定処理)、図8及び図9(REM睡眠判定処理)、図13及び図14(覚醒修正処理)、図15(深睡眠修正処理)、図16、図17及び図18(REM睡眠修正処理)に係る処理において行われる。Stage[x]については、その際に改めて触れる。
あるStage[x]に、1及び0のいずれをとらせるべきかを決めるにあたっては、上記以外の基準も利用可能であるが、その判定基準例等については、例えば特願2007−338993号公報を参照されたい。本発明は、この公報に記載されている覚醒状態及び睡眠状態の別を区分けする各種の判定手法を、その範囲内に収める。
いずれにせよ、このような前提処理が実行される結果、Stage[x](x=1,2,3,…)は、図6に示すように、1又は0をもつ状態が作り出されることになる(図6では、たまたま、Stage[0],Stage[2],Stage[9]に、1が代入されている例が示されている)。
なお、ここでいう心拍数・呼吸数は、例えば前記体動データの取得間隔を基準として求められる。最も単純には、体動データの取得間隔と、心拍数及び呼吸数が求められるべき時間間隔とは一致していてよい。例えば、体動データが時間tkごとに取得されるのであれば、その時間tk内の心拍数及び呼吸数が逐次求められる、などというようである。もっとも、本発明は、このような形態に限定されるわけではない。
このようにして構築されるデータテーブルT12及びT13については、すでに図4を参照して説明した。
まず、図7において、適宜使用される変数(ここではI)の初期設定が行われた後(図7のステップS161)、解析部30は、次の条件式の真偽を判断する(図7のステップS162)。
ABS〔HenAv[I]−HenAV[I+1]〕≦a0 … (4)
ただし、“ABS”は〔〕内の値の絶対値をとることを意味する(以下同様である。)。
この条件式はつまり、HenAV[x]のうち、隣り合う値同士の差の絶対値が所定の値“a0”以下であるかどうか、の判断が行われることを表現している。
また、解析部30は、この式(4)が真であれば、続いて、
Stage[I]≠Wake … (5)
の真偽を判断する(図7のステップS163)。
ABS〔HenAv[I+a1]−HenAV[I+1+a1]〕≦a0 … (4)’
また、解析部30は、この式(4)’が真であれば、続いて、
Stage[I+a1]≠Wake … (5)’
の真偽を判断する(図7のステップS166)。
これらの式(4)’及び式(5)’のいずれもが真である限りは、a1の値の1ずつの増加を伴いながら(図7のステップS167)、これら(4)’及び(5)’の判断が繰り返し行われる。
まず、図20では、メインルーチンから引数(stg,start,end,base)が与えられる。
以上を前提に、図20においては、適宜使用される変数(ここではI)に、定数“start”が代入される(図20のステップS321)。次に、定数“base”に、I(即ち、最初の時点では“start”)を加えた値が、(Stage[x]の配列数)−1よりも小さいか否かが判断される(図20のステップS322)。これが肯定されれば、Stage[I]には、定数“stg”が代入される(図7のステップS323)。このような処理は、Iの1ずつの増加に伴い(図20のステップS324)、そのようなIが、定数“end”に一致するか(図20のステップS325)、あるいは、前記のStage配列数に係る判断が否定されるまで繰り返し行われる(図20のステップS322;NO参照)。
以上によると結局、図20では、Stage[start]から数えて所定数のStage[x](つまり、Stage[start],Stage[start+1],Stage[start+2],…)に、状態値stgが代入される処理が実行されることになる。ここでいう「所定数」の上限を画するのは、endの値、あるいは、base+Iの値とStage配列数との大小関係如何による。
なお、図7のステップS162及びステップS163のいずれかにおいて否定判断が下される場合には、前述した、所定値a1が関連する処理、あるいはStage[x]の設定処理等は行われず、単に、図7上のIの増加が行われて、再び、前記式(4)に係る判断処理以降の処理が繰り返し行われる(図7のステップS162;NO又はステップS163;NOから、ステップS170への流れ参照)。
すなわち、HenAv[x]は、前述のように、xを中心とした3つの単位期間における被験者の体動のばらつきの程度の平均値を表現しているので、式(4)中にみられる、“HenAv[I]−HenAV[I+1]”とは、これを書き下せば、期間(I−1),I,(I+1)についてのばらつきの程度の平均値と、期間I,(I+1),(I+2)についてのそれとの差を意味することになる(HenAvが移動平均値であるから、両単位期間は一部重なり合っている。)。そして、その絶対値が“a0”以下であるというのは、被験者は、そのIから(I+1)への遷移において、一定程度安定した状態を維持したことを意味する。
このことは、前記式(4)’についても同様にいえる。違うのは、所定値a1が加算されているか否かだけである。
このことにより、期間a1においては、被験者は深睡眠状態にあったことが強く推定されることになる。したがって、基本的には、図7のステップS169において、Stage[tq],Stage[tq+1],…,Stage[tq+a1]に値Deepが代入される処理が行われる、即ち、被験者の深睡眠期が特定されることになるのである。
なお、この場合において、図7のステップS168では、a1>a2なる判断が行われているが、これは、a1が大きすぎる、換言するとa1が通常考えられるような深睡眠期間を超える非常識な値をもつような場合に、そのようなa1を基に深睡眠期判定を下すのを回避することを目的としている。このようなことから、所定値a2は、例えば、“人間一般を基準とした通常の深睡眠継続期間”を表現するものとして定めることができる。もっとも、このa2の具体的な値は、その他の目的をもって、あるいは、何らかの別の基準からみて、長すぎるa1を排除するために定められてもよい。
また、前記a1の増加が続行するためには前記式(4)’に加えて前記式(5)’が肯定される必要があるが、これは、仮に前記式(4)’が満たされるにしても、Stage[I+a1]≠Wakeが満たされない、つまり被験者は覚醒状態にある場合に、それを深睡眠状態と判断することを回避する目的をもつ。図7のステップS163における前記式(5)に係る処理の意義についても、いま述べたところと基本的に同じである。
その処理の詳細は、図22に示される。この入眠エポック演算処理ではまず、適宜使用される変数(ここではI)の初期設定が行われた後(図22のステップS141)、解析部30は、Stage[I]が“Wake”に一致するかどうかを判断する(図22のステップS142)。これが否定されれば、本処理に戻る(図22のステップS142;NOから図8のステップS183へ)。一方、肯定されれば、Iを1つだけ増加して、先の処理を繰り返す(図22のステップS142;YESからステップS143、及び、ステップS144、参照。)。
要するに、この入眠エポック演算処理では、Stage[x]の中から、“Wake”をもたないものが探索される。したがって、図18の処理を経る結果、本処理(ここでは、図8の処理)の側から見ると、Stage[I]が値“Wake”をもたない場合、あるいはIの増加につれてもたなくなった場合における、“I”(以下、「入眠時のI」ということがある。)の値が返されてくることになる。
図8のステップS182では、このように返されてきた入眠時のIを、変数startに代入する。
start+const1>(Stage[x]の配列数)−1 … (6)
ここで、const1は適当な定数である。
この式(6)が肯定される、言い換えると、入眠時のIたるstartにconst1を加えた値が、既にStage[x]の配列数を超えていれば、REM睡眠判定処理は終わる(図8のステップS183;YES参照)。なお、この式(6)中のstartは、後に説明するように、適宜その内容が変わるので(図9のステップS203及び205等参照)、startが、いつもその値として入眠時のIをもっているわけではない。
次いで、図8上のIに、“window_start1”なる値が代入されて(図8のステップS185)、次の条件式の真偽が判断される(図8のステップS186)。
start+I<(Stage[x]の配列数)−1 … (7)
この判断が真である場合は、変数flg_rangeに1が代入された後(図8のステップS187)、変数flg_rangeが1であるか否かが判断される(図9のステップS201)。図8のステップS187を通過する限りは、これは当然に肯定されるから、REM睡眠判定処理はここで終わる。ここで、Iは、後に説明するように1ずつ増加していくことになるが(図9のステップS199参照)、入眠開始時startに、そのようなI、即ち、順次window_start1,window_start1+1,window_start1+2,…をとっていくIを加えた値が、Stage[x]の配列数を下回る場合には、本処理はいわば自動的に終了する。
Stage[start+I]=Wake … (8)
の真偽が判断される(図8のステップS188)。
そして、これが偽である場合(つまり、被験者が睡眠状態にある場合)は、「窓内の心拍数の標準偏差」の算出処理が行われる(図8のステップS188;NOから図9のステップS193)。ここでいう「窓」とは、前記window_start1(窓の始点)と、後述するwindow_end1(窓の終点。図9のステップS206参照)とによって区切られた領域をいう(図10参照。なお、この図については後にも触れる。)。そして、その中の「心拍数の標準偏差」とは、図4に示す記憶部20に格納された心拍数データ中、前記窓に含まれる心拍数データに基づいて算出された標準偏差を意味する(図4中の符号srh1参照)。この標準偏差の求められ方は、前述した、体動データに基づくHensa[x]の求められ方と基本的に全く同じである。即ち、算出に利用されるデータの範囲(即ち、前記窓)の定められ方に違いはあるが、“標準偏差”それ自体は、前記(1)式中の変数が適宜適当なものに変更された式に従って求められてよい。
次に解析部30は、このstdとtempの大小関係について判断する(図9のステップS196)。ここでstd>tempが成立する場合は、変数aに、start+Iが代入され(図9のステップS197)、変数tempにstdが代入されて(図9のステップS198)、図8及び図9上のIが1だけ増加させられる(図9のステップS199)。他方、図9のステップS196において、std≦tempが成立する場合は、単に、図8及び図9上のIが1だけ増加させられる(図9のステップS196;NOからステップS199)。Iは、当初、window_start1に等しいから(図8のステップS185参照)、以後、これを振り出しに、I=window_start1,window_start1+1,window_start1+2,…と順次増大していく。
ここで、もし、前記式(8)が真である場合(つまり、被験者が覚醒状態にある場合)は、解析部30は、覚醒継続エポックを求める(図8のステップS189)。
なお、図8の処理においては、図23におけるIとの関係から、覚醒継続エポック演算処理に入る前に、I=start+Iが実施され(図8のステップS1881)、同処理を抜けた後I=I−startが実施される(図8のステップS1891)。
前記ステップS152において、Stage[I+X]=Wakeが否定されれば、本処理に戻る(図23のステップS152;NOから図8のステップS190へ)。一方、肯定されれば、Xを1つだけ増加して、先の処理を繰り返す(図23のステップS152;YESからステップS153、及び、ステップS154、参照)。
要するに、この覚醒継続エポック演算処理では、Stage[x](ただし、ここでいうxは、覚醒開始時点であるstart+(図8上のI)以上である。)の中から、どこまで“Wake”が維持されたのかが探索される。したがって、図23の処理を経る結果、本処理(ここでは、図8の処理)の側から見ると、Stage[I+X]が値“Wake”をもたない場合における、あるいは、Xの増加につれてもたなくなった場合における、“X”(以下、このようなXを、「覚醒継続のX」ということがある。)の値が返されてくることになる。
図8のステップS189では、このように返されてきた覚醒継続のXを、変数bに代入する(以下、このbも、「覚醒継続のb」ということがある。)。
他方、b>const2である場合、つまり、覚醒継続の期間が一定程度長い場合は、変数aに、start+I+bが代入され(図8のステップS191)、変数flg_wakeに1が代入される(図8のステップS192)。さらに、これに引き続き、既に述べた図9のステップS201の判断処理が行われる。ここで、flg_range=1が成立する場合(図9のステップS201;YES)は、既に述べたようにREM睡眠判定処理は終わる。一方、flg_range=1が成立しない場合は、flg_wake=0が成立するかどうかが判断される(図9のステップS202)。
ここでflg_wake=0が成立しない場合は、変数startに、aが代入される(図9のステップS203)。他方、flg_wake=0が成立する場合は、Stage[x]変数の設定処理が行われる(図9のステップS204)。この処理については、既に図20を参照して説明した。すなわち、この処理は、引数(stg,start,end,base)が与えられて始動するが、このREM睡眠判定処理の場面では、図9に示すように、(REM,−const4,const4,a)が引数として与えられる。ここで値“REM”は、REM睡眠を意味する。このことから結局、図9のステップS204の処理では、aを中心として、Stage[−const4],Stage[−const4+1],Stage[−const4+2],…,Stage[a],…,Stage[const4−1],Stage[const4]が値REMをとる、という状態が作り出されることになる。以上の処理が終わると、変数startに、a+const4が代入される(図9のステップS205)。
すなわち、本処理の大きな目的は、被験者がREM睡眠期にあった時期を特定し、これをStage[x]に反映することにある。
そして、図8及び図9の処理では特に、この目的を達成するために、心拍数の標準偏差std_range_hrの値の利用が図られており、しかも、その値の正確性が勘案されている。つまり、このstd_range_hrが一定の理由により正確でないおそれがあるときには、REM睡眠期の特定作業が変更されるようになっているのである。
まず、この図10では、図中左方において被験者の入眠時点が表現され、そこから右方に向かって実時間が進行していく様子が描かれている。入眠時点は、前述のように図8のステップS182によって求められる。
このような図10を用いると、図8のステップS185からステップS206までの処理は、以下のように説明される。すなわち、まず、入眠開始時startから所定の時間、window_start1の分だけ隔たった時点から、window_end1の時点までの窓が設定されるとともに(図10の上段参照。図8のステップS185・図9のステップS206も参照)、この窓内における心拍数の標準偏差std_range_hrが求められる(図10の最上段参照。図9のステップS193も参照)。
この窓内では、I=1,2,3,…と増加していくに連れて、そのそれぞれに対応するstdが求められていくが(図10の中段参照。図9のステップS195及びS200も参照)、このstdは、当該窓内における心拍数の標準偏差std_range_hrの、所定値const3に対する大小関係に応じて、呼吸数又は心拍数の標準偏差を表現する(図9のステップS194、ステップS195、ステップS200参照)。
つまり、ここでは、std_range_hr>const3が成立する場合、そのような心拍数の標準偏差が捨てられて、呼吸数の標準偏差の値が利用されることになる。これは、原理的に考えて、心拍運動、あるいはそれに基づいて発生した体動の観測上のばらつきがさほど大きくなるはずがなく、したがって、心拍数の標準偏差が一定程度大きな値をとる場合は、その心拍数の値が、被験者の当該時点における正確な状況を反映していない、言い換えると、心拍数以外の何らかの体動が心拍数データの値として拾われてしまっている可能性が高いという推測に基づいている。したがって、かかる場合は、心拍数データの中に一定の不正確さが伴っていると考えられるので、その代わりに、呼吸数データの利用が図られるのである。
そして、このようにして求められた時点aは、呼吸数又は心拍数の標準偏差が最大値をとる時点なのであるから、少なくともREM睡眠期の一部に含まれている可能性が大きい。このような考え方に基づき、図9のステップS204では、図20上の引数baseにaが当てられることで、既に述べたように、Stage[−const4],…,Stage[a],…,Stage[const4]が、値REMをとる、という状態が作り出されることになる。
もっとも、window_start1及びwindow_end1それ自体は、一般的に人間が睡眠状態におちたときから概ね90分後程度にREM睡眠期が訪れることが知られているから、この「入眠後90分」を有力な基準として定められることが好ましい。例えば、window_start1及びwindow_end1が、この「入眠後90分」を挟むように設定されていることが好ましく、より具体的にいえば、そのそれぞれが、実時間でみて、入眠後60分後及び、入眠後120分後などと定められるのが最適な例の1つである。このようにしておけば、REM睡眠期の特定がより正確・的確に行われ得ることになる。
まず、図11において、各種の変数についての初期化が行われる(図11のステップS211)。ここで、各種の変数の中には、tl,nw,ave,Iがある。その意義ないし役割については後に説明される。ただし、Iについては、この睡眠傾向判定処理において適宜使用される変数という意味をもつだけで、特別な意味はない。
ABS〔Hensa[I]−Hensa[I+1]〕≧const5 … (9)
この条件式はつまり、Hensa[x]のうち、隣り合う値(あるいは、隣り合う単位期間)同士の差の絶対値が所定値const5以上であるかどうか、の判断が行われることを表現している。上述した式(4)及び式(4)’が、HenAv[x]が関係する判断であったのとは異なる。
ave=ABS〔Hensa[I]−Hensa[I+1]〕+ave … (10)
が実行される(図11のステップS217)。つまり、変数aveに、それまでのaveと式(9)の左辺との加算値が代入される。
この後、式(9)の真偽に関わらず、変数tlが1だけ増加され(図11のステップS218)、さらにIも1だけ増加される(図11のステップS218)。
なお、const6>const7>const9>const11が成立し、const8>const10が成立する。
また、ave>const6が成立しない場合(図12のステップS220;NO)であっても、ave>const7が成立する場合(図12のステップS222;YES)であり、かつ、前述したnwをtlで除した値がconst8を下回る場合(図12のステップS223;YES)も、trendに値“bad”が代入される。
さらに、前記のステップS222において、ave>const7が成立しない場合(図12のステップS222;NO)でも、ave>const9が成立する場合(図12のステップS225;YES)であり、かつ、nw/tl<const10が成立する場合(図12のステップS226;YES)もやはり、trendに値“bad”が代入される。
また、前記のステップS226において、nw/tl<const10が成立しない場合(図12のステップS226;NO)であっても、nw/tl<const8が成立しない場合(図12のステップS227;NO)も、trendに値“good”が代入される。
さらに、前記のステップS225において、ave>const9が成立しない場合(図12のステップS225;NO)であっても、ave>const11が成立しない場合(図12のステップS229;NO)は、trendに値“good”が代入される。また、ave>const11が成立する場合(図12のステップS229;YES)であっても、nw/tl<const8が成立しない場合(図12のステップS230;NO)はやはり、trendに値“good”が代入される。
また、前記のステップS230において、nw/tl<const8が成立する場合(図12のステップS230;YES)も、rendに値“border”が代入される。
まず、前記のtlは、前記式(9)の真偽に関わらず増加していくから、これは単純に単位期間の数を意味している。ただし、ここでいう単位期間は、被験者が非覚醒状態にある場合の単位期間だけを意味する(図11のステップS212参照)。また、nwは、前記式(9)が真である場合に増加していくから、前記tlのうち、被験者の体動が比較的激しい場合の数である。したがって、nw/tlは、tlのうち被験者の体動が比較的激しかった場合の数の割合ということになる。他方、aveは、前記式(9)が偽である場合の、その左辺の値を、Iの増加に連れて足し込んでいったものを、前記単位期間の数(即ち、tl)で割った値なのであるから(図12のステップS219参照)、被験者の体動が比較的小さな場合におけるHensa[x]に関する一種の平均値を意味する(Hensa[x]それ自体の平均値ではない。)。
以上のことから、以下では、これらtl, nw, nw/tl, 及びaveのそれぞれを、非覚醒時期数tl、体動期数nw、体動期割合nw/tl、及び微体動平均値aveと呼ぶことがある。
例えば、微体動平均値aveが、相当程度大きいconst6よりも大であれば、それだけで睡眠傾向は悪いと判定される(図12のステップS220;YESからステップS221の流れ参照)。これは、微体動平均値aveが、寝苦しさ、緊張、興奮、睡眠時無呼吸症候群等による一定程度の連続性ある細かな体動を表現していると考えられ、したがって、眠りの浅さの指標として用いられうるからである。
また、微体動平均値aveがそれほど大きな値ではないが、それでも一定の大きさをもち(=const7又はconst9よりも大きく)、それにも関らず体動期割合nw/tlが一定の閾値(const8又はconst10)よりも小さいならば、やはり睡眠傾向は悪いと判定される(図12のステップS222;YESからステップS221に至る流れ参照。あるいは、図12のステップS225;YESから、ステップS226;YESを経て、ステップS221に至る流れの場合も同様である。)。体動期割合nw/tlが小さい場合に睡眠傾向が悪いとするのは、大きな体動がないにもかかわらず一定程度連続性のある細かな体動が続くことを重視するからである。
もっとも、微体動平均値aveが、相当程度小さなconst11よりも小であれば、それだけで睡眠傾向は良いと判定される(図12のステップS229;NOからステップS224の流れ参照)。
まず、図13において、解析部30は、入眠エポックを求める(図13のステップS241)。この処理については、既に図22を参照して説明した。すなわち、この処理を経ることによって、入眠時のIが返されてくることになる。
次に、この入眠時のIを使い、かつ、そのIを基準としてこれを1ずつ増加させながら(図13のステップS244)、Stage[I]=Wakeの真偽が判断される(図13のステップS242)。ここに述べたステップS242及びS244の処理は、Stage[I]=Wakeの判断が偽である以上(即ち、被験者の睡眠状態が続く以上)は、Iが、Stage[x]の配列数に一致するまで繰り返される(図13のステップS245参照)。
他方、肯定されるときは、図13及び図14上のIから覚醒継続のbだけ離れた領域間(つまり、I及び(I+b)間)にある心拍数データを用いて、その標準偏差が算出されるとともに(図13のステップS247)、同じく図13及び図14上のI及び(I+b)間にある呼吸数データを用いて、その標準偏差が算出される(図13のステップS248)。両者はそれぞれ、変数std_hr及びstd_resに代入される。
そして、この新たに設定されたstdを用いて、今度は、呼吸数の標準偏差std_res<stdが判断される(図14のステップS256)。これが再び否定される場合は、前記の図13のステップS244の処理(Iの1だけ増加処理)に戻る(図14のステップS256;NOから接続記号E3の流れ参照)。
Hensa[I+II]<std・const17 … (11)
これが真である場合は、Stage[I+II]に値“Shallow”が代入された後(図14のステップS259)、IIが1だけ増加させられる(図14のステップS260)。そうでない場合は、単にIIが1だけ増加させられる(図14のステップS258;NOからステップS260)。ここで値“Shallow”は、浅い眠りを意味する。
以上の処理は、IIが、覚醒継続のbに至るまで繰り返し行われる(図14のステップS261参照)。
すなわち、この処理の目的は、いったんは覚醒状態と確定されたStage[x](x=1,2,3,…)の中から、“浅い眠り”と判定されるべきStage[x]を改めて抽出しようとすることにある。
そして、図13及び図14の処理では特に、この目的を達成するために、心拍数の標準偏差std_hr、呼吸数の標準偏差std_res、及び、図11及び図12の処理によって求められた睡眠傾向変数trendの値の利用が図られていることに特徴がある。しかも、本処理の目的を達成する上において、前記2つの標準偏差std_hr及びstd_resの利用に際しては、これらの標準偏差std_hr又はstd_resの値の正確性が勘案されている。つまり、これらstd_hr又はstd_resが一定の理由により正確でないおそれがあるときには、“浅い眠り”の抽出作業が変更又は中止されるようになっているのである。
すなわち、図13のステップS249からステップS252までは、実際に求められた心拍数の標準偏差std_hrが所定の基準値const13又はconst14以上となるとき、このstd_hrの不正確性が推認される(図13のステップS252;NO及び接続記号E2以後、参照)。この際、基準値const13及びconst14(>const13)の使い分けが行われているのは、睡眠傾向が良い場合とそうではない場合とで、標準的な心拍数の標準偏差に差が生じることが推測されるからである。すなわち、睡眠傾向変数trendが値goodをとるときは、より安定的な睡眠状態が推定されるから心拍数の標準偏差も小さいことが推定され、そうでないときは、そういうことが推定されないのである。
同じことは、呼吸数の標準偏差std_resについても行われる。すなわち、図14のステップS253からステップS256までは、実際に求められた呼吸数の標準偏差std_resが所定の基準値const15又はconst16以上となるとき、このstd_resの不正確性が推認される(図14のステップS256;NO及び接続記号E3以降、参照)。この場合も、基準値const15及びconst16(>const15)の使い分けが行われるが、その背景は、上述と同様である。
すなわち、上で、図8及び図9の処理の意義を説明する際に触れた通り、心拍運動、呼吸運動、あるいはそれらに基づき発生する体動は、性質上、その観測値のばらつきがさほど大きくなるはずはないので、その標準偏差が一定程度大きな値をとる場合は、それは被験者の当該時点における正確な状況を反映していないといえる。したがって、図13のステップS252においてstd_hrが基準値const13及びconst14たりうるstdを下回るのであれば、一定の正確性が推認されるし、図14のステップS256においてstd_resが基準値const15及びconst16たりうるstdを下回るのであれば、やはり一定の正確性が推認されるのである。そして、いずれの条件も満たされない場合は、何らかの意味において心拍数データ及び呼吸数データの取得に失敗しているおそれが考えられるから、そのような場合は、前述した“浅い眠り”の認定処理それ自体が行われないようになっているのである(図13のステップS252;NO→ステップS256;NO→図14及び図13の接続記号E3参照)。
なお、図13及び図14の処理では、“浅い眠り”の認定の場面において、その判断基準に“std”が用いられているが(図14のステップS258)、これにより、当該認定にあたっては、睡眠傾向の相違が加味されることになる。この点も、図13及び図14の処理の特徴といえる。
まず、図15において、解析部30は、所定の条件を満たすStage[x]の配列数を数える(図15のステップS271)。この処理の詳細は、図21(HowManeStage処理)に示される。
まず、図21では、メインルーチンから引数(stg,start,end)が与えられる。
以上を前提に、図21においては、各種の変数の初期化が行われる(図21のステップS331)。ここで各種の変数の中には、I,Xが含まれ、I=0、X=0なる初期化が行われる。なお、Iについては、このREM睡眠判定処理において適宜使用される変数という意味をもつだけで、特別な意味はない。
続いて、Iが定数“end”以下であるかどうかが判断され(図21のステップS332)。これが肯定される場合は、Stage[I]が、値 “stg”をもつかどうかが判断され(図21のステップS333)、これが肯定される場合は、Xが1だけ増加させられた後(図21のステップS334)、Iが1だけ増加させられる(図21のステップS335)。他方、ステップS333の判断が否定される場合は、単にIが1だけ増加させられる(図21のステップS335)。
この処理は、Iがendと一致する値を持つに至るまで繰り返し行われる(図21のステップS332参照)。
以上によると結局、図21では、Stage[x]のうち値stgをもつものの数が、変数Xの持つ値として返されてくることになる。
図15のステップS272では、このように返されてきた入眠時のIを、変数startに代入する。
次に、睡眠傾向変数trendが、値“good”をもつかどうかが判断され(図15のステップS273)、これが否定される場合は、深睡眠修正処理は終了する。他方、trendがgoodをもつ場合は続いて、DeepをもつStage[x]の数を表すXがconst18を下回るかどうかが判断され(図15のステップS274)、これが否定される場合にも、深睡眠修正処理は終了するが、肯定される場合には続いて、Htempに定数const19が代入される(図15のステップS275)。
そして、そのような処理が終了すると、Stage[x]の設定処理が行われる(図15のステップS282)。この処理については、既に図20を参照して説明した。すなわち、この処理は、引数(stg,start,end,base)が与えられて始動するが、この深睡眠修正処理の場面では、図15に示すように、(Deep,epoch−const20,epoch+const20,0)が引数として与えられる。このことから結局、図15のステップS282の処理では、Stage[epoch−const20],Stage[epoch−const20+1],Stage[epoch−const20+2],…,Stage[epoch+const20−1],Stage[epoch+const20]が値Deepをとる、という状態が作り出される。
この図15の処理の目的は、本来であれば深睡眠判定がなされるべきStage[x]がないかどうかを確認し、それがあれば、当該のStage[x]に、正しく、値Deepをもたせることにある。その際、この図15の処理においては、睡眠傾向変数trendの利用等が図られている。
すなわち、睡眠傾向が良いと判定されている場合であるのに、現時点における、DeepをもつStage[x]の数を表すXの値がそれほど大きくない場合(図15のステップS273及びS274参照)は、Stage[x]中、本来は深睡眠と判定されるべきものについての見落としが存在する可能性が高い。
そこで、図15の処理では、そのような場合、Hensa[x]に関する、上述したような標準偏差Hstdを求め、このHstdが、const19(あるいは、あるHstdがHtempを下回る場合は、そのconst19よりも更に小さいHstd=Htemp(図15のステップS278参照))以下の場合におけるエポックI(=epoch)を基準に、深睡眠期認定をやり直すようになっている(図15のステップS279及びステップS282間では、epochを通じて相互に関連性がもたされている。)。このHstdが小さければ小さいほど、体動は鎮静的であり、したがって被験者が深睡眠状態にあったことが強く推定されるからである。
このように、図15の処理では、睡眠傾向判定処理が行われること等を前提に、Hensa[x]の標準偏差Hstdに基づいて、より正確な深睡眠認定が行われることになる。
まず、図16において、解析部30は、所定の条件を満たすStage[x]の配列数を数える(図16のステップS291)。この処理については、既に図21を参照して説明した。すなわち、この処理は、引数(stg,start,end)が与えられて始動するが、このREM睡眠修正処理の場面では、図16に示すように、(REM,0,Stage[x]の配列数−1)が引数として与えられる。このことから結局、図16のステップS291の処理では、値REMをもつStage[x]の数はXである、という結果が得られることになる(以下では、このようなXを、「REMをもつStage[x]の数を表すX」と呼ぶことがある。)。
次いで、睡眠傾向変数trendが、値“bad”をもつかどうかが判断され(図16のステップS293)、これが肯定される場合は、REM睡眠修正処理は終了する。他方、trendがbadをもつ場合は続いて、REMをもつStage[x]の数を表すXが定数const21を下回るかどうかが判断され(図15のステップS294)、これが否定される場合にも、深睡眠修正処理は終了するが、肯定される場合には続いて、J=0とされ(図16のステップS295)、各種の変数についての初期化が行われる(図16のステップS296)。ここで、各種の変数の中には、I,max,maxEpが含まれ、このうち特に、Iを除いては、max=0、maxEp=0なる初期化が行われる。なお、Iについては、このREM睡眠修正処理において適宜使用される変数という意味をもつだけで、特別な意味はない。
要するに、ここで行われる処理は、前記の図8及び図9で行われた、window_start1及びwindow_end1間の窓内の心拍数データに基づく標準偏差を求める処理と、基本的に同じ考え方にもとづいている。したがって、算出に利用されるデータの範囲(即ち、前記窓)の定められ方に違いはあるが、図17のステップS302における標準偏差それ自体は、前記(1)式中の変数が適宜適当なものに変更された式に従って求められてよい。
次に解析部30は、このstdと変数maxとの大小関係について判断する(図17のステップS306)。ここでstd>maxが成立する場合は、変数maxEpに、Repc+Iが代入され(図17のステップS307)、変数maxにstdが代入されて(図17のステップS308)、図16の処理へと戻る(図17及び図16の接続記号F5参照)。他方、図17のステップS306において、std≦maxが成立する場合は、単に、図16の処理へと戻る(図17及び図16の接続記号F5参照)。
既に述べたが、以後は、Iが、window_end2以上となるまで、以上の処理が繰り返し行われる(図16のステップS301;NOから接続記号F0参照)。
この図16乃至図18の処理の目的は、本来であればREM睡眠判定がなされるべきStage[x]がないかどうかを確認し、それがあれば、当該のStage[x]に、正しく、値REMをもたせることにある。その際、この図15の処理においては、睡眠傾向変数trendの利用等が図られている。
すなわち、睡眠傾向が悪いと判定されているわけではないのに、現時点における、REMをもつStage[x]の数を表すXの値がそれほど大きくない場合(図16のステップS291及びS294参照)は、Stage[x]中、本来はREM睡眠と判定されるべきものについての見落としが存在する可能性が高い。
そこで、図16乃至図18の処理では、そのような場合、まず、window_start2及びwindow_end2間の窓内における心拍数の標準偏差std_range_hrを求め、このstd_range_hrとconst23との間の大小関係に応じて、心拍数又は呼吸数の標準偏差stdが求められる。この際、この標準偏差stdは、図16乃至図18上のIの増加に連れて逐次変わっていくが、図17のステップS306〜ステップ308では、そのような各stdのうち最大の値をもつものが選別され、さらに、その最大値max(=最大のstd)が現れる時点であるRepc+Iが、maxEpに格納される処理が実行される。そしてREM睡眠修正処理は、そのようにして求められた時期maxEpとの関連の上で行われるのである(図18のステップS310参照)。
また、これに関連して、次の窓を設定するにあたっても、図19では、更新後のRepc(図18のステップS311参照)が、図10におけるa+const4(図9のステップS205参照)と同等の役割を果たす(図19下段に示す「新たなRepc」参照)。
また、図19では、図10とは異なって、全エポックを対象としているわけではないので、REM睡眠期の設定が所定回数だけ完了したら、REM睡眠修正処理を抜けるようになっている(図16のステップS298参照。同図に示す所定値const22はここでいう「所定回数」を意味し、Jは、REM睡眠期設定の回数をカウントする役割を果たす。)。
(1) 本実施形態の睡眠評価装置1は、例えば、図9のステップS194、図13のステップS252、図14のステップS253、及び図17のステップS303などの判断処理を通じて、一定の不正確さを伴っていると考えられる、心拍数・呼吸数、あるいはそれら各々の標準偏差の利用が好適に排除されるようになっている。したがって、本実施形態によれば、現実の状況をより正確に反映した睡眠評価が行われ得ることになる。
また、これに関連して、本実施形態においては、例えば図16乃至図18のREM睡眠修正処理が、上述の睡眠傾向処理の結果を利用する等というように、各処理が有機的に関連し合っているので、前述のような多角的評価等の効果はより実効的に奏されるようになっている。
(1) 上記実施形態では、図9のステップS195、ステップS200、図13のステップS247、ステップS248、図17のステップS304、ステップS305において、心拍数、あるいは呼吸数の標準偏差が求められているが、場合によっては、これらの各処理においては、当該標準偏差に代えて、心拍数の最大値、あるいは呼吸数の最大値が用いられてもよい。これによると、例えば図17のステップS307では、maxEpが、その最大値たる心拍数、あるいは呼吸数に対応するエポックの値をもつことになり、図18のステップS310において、そのようなmaxEpに基づく、REM睡眠期の修正特定が行われることになる。つまり、このような置換を行っても、図16乃至図18の全体の処理の趣旨は本質的な変更を受けないのである。
本発明においては、呼吸数についての「第2標準偏差」あるいは「第6標準偏差」なる概念が用いられ、心拍数についての「第3標準偏差」あるいは「第7標準偏差」なる概念が用いられているが、これらの概念は、上に述べたような意味において、それぞれ、「呼吸数の最大値」、又は「心拍数の最大値」と置換されることが可能である。
本発明は、そのような場合も、その範囲内に収める。
さらに、これに関連して、上記実施形態における体動データは、センサ部2から取り込まれたアナログ信号に対してAD変換を実行することで、デジタルデータとして取得されると好適であるが、この場合、そのAD変換におけるサンプリング間隔の長さは、基本的に自由に定められ得る。ただ、当該サンプリング間隔が比較的長期に設定されるのであれば、体動データの全個数は減少する可能性が強く、短期に設定されるのであれば、増加する可能性が強い、ということはいえる(“可能性”というのは、寝床上の在留時間の長短が、被験者ごとに、あるいは同じ被験者でも日々の相違により、等々、一般に異なるからである。)。
Claims (13)
- 被験者の心拍数及び呼吸数の各々を、第1検出時間間隔ごとの時系列として検出する心拍・呼吸検出部と、
前記心拍・呼吸検出部の検出結果に基づいて、前記被験者の睡眠の質を判定する判定手段と、
を備える睡眠評価装置であって、
前記判定手段は、
前記被験者の入眠時点を判定し、
前記時系列上にある、前記入眠時点から第1の所定時間だけ隔たった第1時点から、前記第1時点から第2の所定時間だけ隔たった第2時点までの窓を設定し、
当該窓内に存在する前記心拍数についての第1標準偏差が第1所定値よりも大きい場合は、
当該窓内のA個の第3時点(ただし、Aは、A≧2を満たす整数)の各々を中心とした第1時間幅内において、前記第1検出時間間隔ごとに検出された複数の前記呼吸数についてのA個の第2標準偏差を求め、
そうではない場合は、
当該窓内のA個の第3時点の各々を中心とした第1時間幅内において、前記第1検出時間間隔ごとに検出された複数の前記心拍数についてのA個の第3標準偏差を求め、
前記A個の第2又は第3標準偏差のうち最大値をもつものに対応する前記第3時点である最大値対応第3時点を求め、
少なくとも当該最大値対応第3時点において、前記被験者はREM睡眠期にある、
と判定する、
ことを特徴とする睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記最大値対応第3時点を含む第2時間幅内において、前記被験者はREM睡眠期にある、
と判定することを特徴とする請求項1に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記時系列上で前記窓を複数設定するとともに当該窓ごとに前記被験者のREM睡眠期を判定し、
そのような複数の窓のうち、
前記時系列上のある窓における前記第1時点には、
その直前に位置する窓において特定されたREM睡眠期の端から所定の時間だけ隔たった時点が含まれる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記窓内における前記被験者の中途覚醒の有無を判定し、
前記中途覚醒がある場合、
前記時系列上、その中途覚醒があった窓の直後の窓における前記第1時点には、
前記中途覚醒の時点から覚醒が継続した時間だけ隔たった時点が含まれる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の睡眠評価装置。 - 前記被験者の身体の動きを、第2検出時間間隔で、数値化されたN個の体動データ(ただし、Nは、N≧2を満たす整数)として検出する体動検出手段を更に備え、
前記心拍・呼吸検出部は、
前記体動検出手段の検出結果に基づいて、前記心拍数及び呼吸数を検出する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記N個の体動データを区分けするG個のグループ(ただし、Gは、2≦G<Nを満たす整数)の各々及び当該各々に含まれる体動データについての、G個の第4標準偏差を求め、
前記G個の第4標準偏差の中から選択された、連続するgs個の第4標準偏差(ただし、gs<G)に基づいて、L個の標準偏差平均値(ただし、Lは、2≦L≦Gを満たす整数)を求め、
当該L個の標準偏差平均値のうち、第p番目の標準偏差平均値(ただし、pはp≦L−1を満たす整数)と第(p+1)番目の標準偏差平均値との差の絶対値が第2所定値以下である場合に、
前記第p番目の標準偏差平均値に対応する第4時点において、前記被験者は深睡眠期にある、
と判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記G個の第4標準偏差に基づいて、前記被験者の睡眠傾向を、良い、悪い及び両者の中間のいずれか1つに該当するものと判定する、
ことを特徴とする請求項6に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記G個の第4標準偏差のうち、第q番目の第4標準偏差(ただs、qはq≦G−1を満たす整数)と第(q+1)番目の第4標準偏差との差の絶対値が第3所定値を下回るという条件を満たす場合は、
当該条件を満たす各qについての前記絶対値の和を、当該条件を満たすqの個数で除した平均値を求め、
この平均値の大小関係、及び、(G−前記条件を満たすqの個数)の大小関係に応じて、前記被験者の睡眠傾向を判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記時系列上における前記被験者の覚醒状態の有無を判定し、
当該覚醒状態が一定時間以上、継続すると判定される場合において、
その継続時間内に存在する前記心拍数及び前記呼吸数の標準偏差を求め、
前記心拍数の標準偏差が第4所定値を下回り、又は、
前記呼吸数の標準偏差が第5所定値を下回る場合に限り、
前記継続時間中の任意の時点に対応する前記G個の標準偏差のうちの1つが、第6所定値を下回るとき、当該時点における前記被験者は浅睡眠期にある、
と判定する
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の睡眠評価装置。 - 前記第4及び第5所定値の少なくとも一方は、
前記被験者の睡眠傾向が良いか、そうではないかに応じて、その大きさが異なる、
ことを特徴とする請求項9に記載の睡眠評価装置。 - 前記第6所定値は、前記第4及び第5所定値に基づいて定められる、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記被験者の睡眠傾向が良いと判定される場合であり、かつ、
前記深睡眠期と判定された時間が、第7所定値を下回る場合には、
前記gs個の第4標準偏差についての標準偏差のうち最小値をもつものに対応する第5時点を求め、
少なくとも当該第5時点において、前記被験者は深睡眠期にある、
と改めて判定する、
ことを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の睡眠評価装置。 - 前記判定手段は、
前記被験者の睡眠傾向が悪くないと判定される場合であり、かつ、
前記REM睡眠期と判定された時間が、第8所定値を下回る場合には、
前記REM睡眠期と判定された期間の少なくとも一部を含んで、前記時系列上の第6時点から第7時点までの第2の窓を設定し、
当該第2の窓内に存在する前記心拍数についての第5標準偏差が第9所定値よりも大きい場合は、
当該第2の窓内のB個の第8時点(ただし、Bは、B≧2を満たす整数)の各々を中心とした第3時間幅内に存在する前記呼吸数についてのB個の第6標準偏差を求め、
そうではない場合は、
当該第2の窓内のB個の第8時点の各々を中心とした第3時間幅内に存在する前記心拍数についてのB個の第7標準偏差を求め、
前記B個の第6又は第7標準偏差のうち最大値をもつものに対応する前記第8時点である最大値対応第8時点を求め、
少なくとも当該最大値対応第8時点において、前記被験者はREM睡眠期にある、
と改めて判定する、
ことを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の睡眠評価装置。
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