以下、本発明に係る電気料金試算システムの実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1及び2を参照して、電気料金試算システム1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る電気料金試算システム1を示すネットワーク図である。図2は、電気料金試算システム1の詳細構成を示すブロック図である。
図1に示す電気料金試算システム1は、インターネット等のネットワークを介して需要者側端末100に接続されている。電気料金試算システム1は、所謂サーバであり、CPU、RAMやハードディスク等のメモリ、及び通信手段を備えている。需要者側端末100は、電力需要者等のユーザの使用する所謂クライアント端末であり、CPU,RAMやハードディスク等のメモリ、通信手段、キーボードやマウス、及びモニタを備える。ネットワークは、インターネットやLANである。電気料金試算システム1と需要者側端末100は、例えばTCP/IP等の通信プロトコルを用いてデータの送受信を行う。
電気料金試算システム1のメモリには、オペレーションシステム及び電気料金シミュレーションのプログラムが記憶されている。電気料金試算システム1は、このプログラムに従ったCPUの処理及び通信手段の制御を行うことにより、図2に示すように、情報取得部2、計算部3、及び結果出力部4を備える。
情報取得部2は、契約内容取得部21、仮想使用電力量取得部22、及び実際量取得部23を備える。仮想使用電力量取得部22は、使用区分別取得部221、週間取得部222、月間取得部223、及び休日補正部224を備える。計算部3は、選定処理部31、按分率計算部32、区分時間帯別計算部33、及び料金計算部34を備える。
この電気料金試算システム1は、契約内容取得部21によるユーザが契約している契約料金プラン情報D21の取得、仮想使用電力量取得部22による月間使用電力量テーブルD4の取得、実際量取得部23による実際使用電力量データD23の取得、選定処理部31による契約可能な料金プランの選定、按分率計算部32、区分時間帯別計算部33、及び料金計算部34による契約可能な各料金プランの電気料金の計算、及び結果出力部4による計算結果の需要者側端末100への出力を行う。
契約料金プラン情報D21は、ユーザが契約している料金プランを示す情報であり、ユーザが契約可能な料金プランのグループを示す機能を果たす。選定処理部31は、この契約料金プラン情報D21に対応する料金プランのグループを検索することで、電気料金を計算する料金プランを選出する。
月間使用電力量テーブルD4は、一月の各日における所定時間毎の仮想使用電力量データD221を含んだデータである。この仮想使用電力量データD221は、ユーザの電力容量データD222及び所定時間毎の電力使用率データD223を乗じることにより算出される。電力容量データD222及び電力使用率データD223は、需要者側端末100側で作成されて送信される。
電気料金試算システム1は、料金プランが料金単価の違いによって区分する時間帯(以下、区分時間帯という)の始期及び終期を具体的に示す区分時間帯情報D81を予め記憶しており、按分率算出部32は、区分時間帯情報D81に合わせて一月の各日における所定時間毎の仮想使用電力量データD221を処理することにより、区分時間帯毎の電力量の按分率D32を算出する。
実際使用電力量データD23は、実際にユーザが使用した月当たりの使用電力量である。区分時間帯別計算部33は、実際使用電力量データD23に按分率D32を乗じることにより、区分時間帯情報D81別の使用電力量を算出する。料金計算部34は、区分時間帯情報D81別の使用電力量とその区分時間帯情報D81の料金単価と基本料金から電気料金を算出する。
電気料金試算システム1は、これら構成によるサービスをインターネット等のネットワークを介して需要者側端末100に提供する。例えば、クラウドコンピューティング技術によって、需要者側端末100のWebブラウザ上にて、契約料金プラン情報D211、電力容量データD222、電力使用率データD223、及び実際使用電力量D23等の各種情報の入力、及び電気料金の計算結果の表示が行われる。
このような電気料金試算システム1について、まず契約料金プラン情報D211の取得方法について図3を参照して詳細に説明する。図3は、プラン入力画面D1を示す模式図である。
電気料金試算システム1は、図3に示すプラン入力画面D1を予めメモリに記憶している。プラン入力画面D1には、契約料金プラン情報D211が入力される。契約内容取得部21は、プラン入力画面D1を需要者側端末100に送信し、需要者側端末100から送信されてきた契約料金プラン情報D211を取得する。プラン入力画面D1には、入力された契約料金プラン情報D211の送信処理のためのスクリプト言語等で記述されたプログラムが予め埋め込まれている。
プラン入力画面D1には、契約料金プラン情報D211のほかにも、各種の契約内容情報が入力される。契約内容情報としては、契約料金プラン情報D211の他、電力会社情報、標準検針日情報、検針日情報、契約容量情報D212、及び割引契約情報が含まれる。電力会社情報は、契約している電力会社を示す電力会社情報である。契約容量情報D212は、契約している電気容量を識別する情報である。割引契約情報は、割引契約等のオプション契約の名称である。
契約内容取得部21は、受信した契約料金プラン情報D211を含む契約内容情報を電気料金試算システム1のメモリに記憶しておく。
次に、月間使用電力量テーブルD4の取得方法について図4乃至9を参照して詳細に説明する。図4及び5は、月間使用電力量テーブルD4の取得動作を示すフローチャートである。図6は、1日の所定時間毎の仮想使用電力量データD221を取得するためのシートを示す模式図であり、業務用を例としている。図7は、週間使用電力量テーブルD3を示す模式図である。図8は、月間使用電力量テーブルD4を示す模式図である。図9は、休日選択ウィンドウD5を示す模式図である。
まず、図4及び5に示すように、使用区分別取得部221は、図6に示す使用状況入力シートD2を需要者側端末100に表示させる(S01)。この使用状況入力シートD2は、入力済みの使用状況入力シートD2の送信処理のためのスクリプト言語等で記述されたプログラムとともに送信される。
使用状況入力シートD2のフォーマットデータは、予め電気料金試算システム1のメモリに記憶されている。この使用状況入力シートD2は、横項目を時間帯とし、縦項目を電力容量データD222とした表形式となっている。横項目の電力容量データD222は、それぞれ使用区分に対応付けられている。各時間帯及び各使用区分に対応する各セルには電力使用率データD223が入力される。
横項目の各時間帯は、0時を起点とし24時を終点として1日を所定収集時間で区分けすることで得られる。収集時間の周期は、各料金プランで定められた区分時間帯情報D81が示すどの区分時間帯の長さよりも短く、例えば1時間である。所定収集時間を1時間とすると、使用状況入力シートD2には、0時から24時までの0時から1時、1時から2時・・・等の各1時間が横項目の各時間帯として設定される。以下、当該時間帯をサンプリング時間帯という。
使用区分は、電力の使用形態の観点からグループ分けされた区分であり、電力使用率データD223を収集する単位である。使用形態には、電気機器の種類や使用の仕方を含む。使用状況入力シートD2には、例えば、「常時使用」、「照明」、「パソコン」、「空調」、「増設」等の使用区分が用意される。
即ち、横項目の電力容量データD222は、使用区分に該当する設備の最大電力容量であり、電力使用率データD223は、その設備の稼働率を意味する。例えば、「パソコン」の使用区分に対応する電力容量データD223には、100台のパソコンが全て稼働する場合の最大電力容量の値が入力され、対応する電力使用率データD223には、全てが稼働していれば「1.0」、50台が稼働していれば「0.5」が入力される。
使用状況入力シートD2の使用区分及び電力容量データD222の項目は書き換え可能及び追加可能である。但し、後述する休日設定のため、「常時使用」で示される常時使用区分D2aの電力容量データD222については、入力が必須である。
常時使用区分D2aは、ユーザの活動の有無に依らず常に使用される電気機器を包括した使用区分であり、この電気機器とは、例えば、常備灯、モデム、ルーター、サーバ、電話、FAX、及び冷蔵庫等の24時間に亘って稼働する機器である。
使用区分別取得部221は、この使用状況入力シートD2内の各セルに電力使用率データD223が入力されると(S02)、使用状況入力シートD2において表形式上対応関係にある電力使用率データD223と電力容量データD222とを乗じ(S03)、さらに同じサンプリング時間帯の各乗算結果を足し合わせる(S04)。
この処理により、使用区分別取得部221は、1日の仮想使用電力量データD221をサンプリング時間帯毎に算出する。使用区分別取得部221は、算出した仮想使用電力量データD221を使用状況入力シートD2に記録しておく。換言すると、算出した仮想使用電力量データD221を、その算出に用いた電力使用率データD223が属していたサンプリング時間帯を示すサンプリング時間帯と紐付けして電気料金試算システム1のメモリに記憶しておく。
1日の仮想使用電力量データD221をサンプリング時間帯毎に取得すると、週間取得部222及び休日補正部224は、図7に示す週間使用電力量テーブルD3を作成する。週間使用電力量テーブルD3は、1週間の各曜日及び各サンプリング時間帯の仮想使用電力量データD221を示すテーブルである。週間使用電力量テーブルD3は、縦項目が曜日、横項目がサンプリング時間帯、各セルが仮想使用電力量データD221となっている。
週間取得部222は、使用状況入力シートD2の各仮想使用電力量データD221を月曜日から金曜日までの対応するサンプリング時間帯のセルにコピーし、休日補正部224は、常時使用区分D2aの電気容量データD222が示す値を週間使用電力量テーブルD3内の土日の各サンプリング時間帯のセルにコピーする。これにより、週間使用電力量テーブルD3が作成される。
具体的には、週間取得部222は、紐付けされたサンプリング時間帯を示す情報とその時間帯の仮想使用電力量データD221を示す情報とを使用状況入力シートD2から読み出す(S05)。そして、週間取得部222は、週間使用電力量テーブルD3内において、読み出したサンプリング時間帯と仮想使用電力量データD221とを月曜日から金曜日までの各曜日を示す情報のそれぞれに紐づけする(S06)。この処理を全サンプリング時間帯について行う。
そして、休日補正部224は、常時使用区分D2aの電気容量データD222を使用状況入力シートD2から読み出し(S07)、読み出した電気容量データD222の値を仮想使用電力量データD221とし、当該仮想使用電力量データD221と土日の各曜日を示す情報と全サンプリング時間帯とを週間使用電力量テーブルD3内で紐付けする(S08)。
週間使用電力量テーブルD3が作成されると、週間取得部222は、この週間使用電力量テーブルD3を需要者側端末100に表示させ(S09)、週間使用電力量テーブルD3の修正結果を取得する(S10)。
週間使用電力量テーブルD3は、修正済みの週間使用電力量テーブルD3の送信処理のためのプログラムとともに送信される。週間使用電力量テーブルD3は、書き換え可能なデータ形式、例えば、CSV(Comma Separated Values)等のデータをカンマで区切ったテキストファイル形式である。この週間使用電力量テーブルD3は、需要者側端末100のキーボードを用いて、曜日及びサンプリング時間帯毎に仮想使用電力量データD221の修正が可能である。例えば、定休日、残業の多い曜日、又は早帰りの曜日等の個別の事情に合わせて修正が可能である。
週間使用電力量テーブルD3の修正結果を取得すると、月間取得部223は、図8に示す月間使用電力量テーブルD4を各月毎に作成する(S11)。具体的には、月間取得部223は、互いに紐付けされた曜日とサンプリング時間帯と仮想使用電力量データD221の一連のデータを修正後の週間使用電力量テーブルD3から読み出す。そして、この一連のデータの曜日情報が示す曜日に月間使用電力量テーブルD4内で対応づけられている月日情報と、一連のデータに含まれるサンプリング時間帯を示す時間帯情報と仮想使用電力量データD221とを月間使用電力量テーブルD4内で対応づけする。月間取得部223は、この処理を全ての一連のデータについて行い、かつ12ヶ月分の全ての月間使用電力量テーブルD4について行う。
月間使用電力量テーブルD4が作成されると、休日補正部224は、図9に示す休日選択ウィンドウD5を需要者側端末100に表示させる(S12)。
図9に示す休日選択ウィンドウD5には、各日付とその日付の休日候補理由と休日選択ボタン又は入力フィールドが配置されている。休日選択ボタンには、日付を示す休日特定情報が対応付けされている。休日特定情報は、休日選択ボタンの押下を契機として電気料金試算システム1に送信される。また、入力フィールドに日付又は日単位の期間が入力されると、その入力された日付又は期間内の各日付が休日特定情報として電気料金試算システム1に送信される。
休日補正部224は、休日特定情報を取得すると(S13)、休日特定情報が特定する日付を月間使用電力量テーブルD4から検索して、該当日の全サンプリング時間帯に紐づけられた仮想使用電力量データD221を常時使用区分D2aの電気容量データD222が示す値に変更する(S14)。
月間取得部223は、月間使用電力量テーブルD4が作成されると、この月間使用電力量テーブルD4を需要者側端末100に表示させ(S15)、月間使用電力量テーブルD4の修正結果を取得する(S16)。
即ち、この月間使用電力量テーブルD4も週間使用電力量テーブルD3と同様に書き換え可能なデータ形式を有し、需要者側端末100のキーボードを用いた各仮想使用電力量データD221の修正が可能である。例えば、使用電力量の季節変動に応じて所定月の月間使用電力量テーブルD4が修正される。
以上の電力使用状況の取得処理によって、電気料金試算システム1は、ユーザの個別事情を反映したサンプリング時間帯毎の仮想使用電力量データD221を1年分の各日について取得する。なお、料金計算のためには、少なくとも一月分の仮想使用電力量データD221が存在すればよい。
次に、実際量取得部23による実際使用電力量データD23の取得方法について図面を参照して詳細に説明する。図10は、実際量取得部23が表示させる実際使用量入力画面D6を示す模式図である。
実際量取得部23は、メモリ及び通信手段を含み構成されており、図10に示す実際使用量入力画面D6をメモリから読み出して需要者側端末100に送信し、需要者側端末100から送信されてきた実際使用電力量データD23をネットワークを介して取得する。
図10に示すように実際使用量入力画面D6には、実際使用電力量データD23が月別に入力される。また、実際使用電力量入力画面D6には、実際使用電力量データD23の他にも月別の料金情報が入力され、電気料金試算システム1に送信される。料金情報には、基本料金、電力料金、燃料費調整、割引額、及び合計金額の各種料金詳細が含まれる。
実際量取得部23は、受信した月別の実際使用電力量データD23と料金情報とを月識別情報に紐付けして電気料金試算システム1のメモリに記憶しておく。
以上により、契約料金プラン情報D211と、1年分の各日の各サンプリング時間帯を示す情報が紐付けされた仮想使用電力量データD221と、月別の実際使用電力量データD23とが、契約可能な料金プランの選定及び料金計算に必要な情報として取得される。
次に、選定処理部31による契約可能な料金プランの選定方法について図面を参照して詳細に説明する。
まず、契約可能な料金プランについて図11を参照して説明する。図11は、各種料金プランをグループ分けした概念図である。例えば、東京電力の場合、各料金プランは、低圧グループ、500KW未満の高圧グループ、500KW以上の高圧グループ、500KW未満の業務用グループ、及び500KW以上の業務用グループに大別できる。低圧グループは、モータ等の動力で使用されて50KW未満の契約電力が供給される料金プランであり、低圧電力と低圧高負荷の料金プランが含まれる。
契約可能な料金プランのグループは、ユーザの業務形態によって決まり、そのグループ内の各料金プランが契約可能な料金プランとなる。選定処理部31は、メモリに記憶されている契約プラン情報D21を参照して契約可能な料金プランを選定する。選定処理部31は、メモリを含み構成され、このプラン属性テーブルD7を予め記憶している。
図12に示すプラン属性テーブルD7は、料金プランとその料金プランが属するグループとの対応付けを示すデータである。即ち、一枚のプラン属性テーブルD7には、プラン識別情報D71とグループ情報D72とが含まれている。プラン識別情報D71は料金プランを識別する情報であり、グループ情報D72は料金プランの属するグループを識別する情報である。このプラン属性テーブルD7は、全ての料金プランについて作成されて予め記憶されている。
尚、プラン属性テーブルD7には、パターン識別情報D73も含まれている。パターン識別情報D73は、区分時間帯情報D81のパターンを識別する情報である。このパターン識別情報の使用方法については後述する。
図13は、選定処理部31のプラン選定動作を示すフローチャートである。まず、選定処理部31は、メモリに記憶されている契約料金プラン情報D211と同一内容のプラン識別情報D71が含まれるプラン属性テーブルD7を検索し(S21)、該当のプラン情報テーブルD7からグループ情報D72を取得する(S22)。そして、選定処理部31は、取得したグループ情報D72を含んだ他のプラン属性テーブルD7を検索する(S23)。検索により抽出されたプラン属性テーブルD7が示す料金プランが、契約可能な料金プランであり、電気料金のシミュレーション対象となる。
次に、計算部3による契約可能な各種料金プランの電気料金の計算方法について図面を参照して詳細に説明する。
計算部3では、料金プランの選定が終了すると、区分時間帯別の使用電気量の計算し、この計算結果と料金単価を用いた乗算、及び乗算結果の総計と基本料金の加算を行うことで電気料金の計算を行う。まず、区分時間帯別の使用電力量の算出方法について図面を参照して詳細に説明する。
按分率計算部32は、各区分時間帯で使用した仮想使用電力量データD221を求め、一月の仮想使用電力量データD221で除することによって、各区分時間帯の按分率D32を算出する。区分時間帯別計算部33は、実際使用電力量データD23が示す一月分の実際の使用電力量に各按分率D32を乗じることで、各区分時間帯の使用電力量を算出する。
この按分率計算部32は、メモリに記憶されている図14に示す按分率計算プログラムD8に従って命令を実行するCPUである。按分率計算プログラムD8は、電気料金試算システム1のメモリに予め記憶されている。この按分率計算プログラムは、パターン識別情報D73別に記憶されている。換言すると、区分時間帯情報D81の区分け方のパターン別に予め作成され、メモリに記憶されている。
図14は、この按分率計算プログラムD8を示す概念図である。按分率計算プログラムD8は、パターン識別情報D73で識別され、1パターンの区分時間帯情報D81の変数値を按分率D32の計算メソッドとともにモジュール化したオブジェクトである。換言すると、按分率計算プログラムD8には、按分率D32の計算プログラムとこのプログラムのパラメータである区分時間帯情報D81の具体的な値が含まれている。例えば、ある按分率計算プログラムD8には、第1の区分時間帯情報D81(22:00〜8:00)と第2の区分時間帯情報D81(8:00〜23:00)と按分率D32の計算コードとが含まれている。
尚、ある料金プランでは、夏季の平日については、22:00〜8:00が夜間時間帯、8:00〜13:00及び16:00〜22:00が昼間時間帯、13:00〜16:00がピーク時間帯となる一方、夏季の土日とその他の季節については、22:00〜8:00が夜間時間帯であり、8:00〜22:00が昼間時間帯となり、区分時間帯の区分け方のパターンが変化するパターンもある。このパターンに対応する按分率計算プログラムD8は、一群の区分時間帯情報D81とともに夏季の平日を示す月日情報の変数値を有し、これにより計算対象を絞り込みし、他群の区分時間帯情報D81とともに夏季の土日とその他の季節を示す月日情報の変数値を有し、これにより計算対象を絞り込みしている。
図15は、この按分率D32の算出及び各区分時間帯の使用電力量の算出動作を示すフローチャートである。
まず、按分率算出部32は、按分率D32算出の分母となる月の仮想使用電力量データD221を算出する(S31)。月の仮想使用電力量データD221の算出では、一月分の月間使用電力量テーブルD4に含まれている全ての仮想使用電力量データD221を合算する。
月の仮想使用電力量データD221を算出すると、按分率算出部32は、選定処理部31が選定した料金プランのプラン属性テーブルD7からパターン識別情報D73を取得し(S32)、このパターン識別情報D73で識別される按分率計算プログラムD8を呼び出し(S33)、処理を開始する。
按分率計算プログラムD8を呼び出して処理を開始すると、按分率算出部32は、按分率計算プログラムD8に含まれる一の区分時間帯情報D81の仮想使用電力量データD221を算出する(S34)。この算出では、按分率算出部32は、区分時間帯情報D81が示す区分時間帯に属する各サンプリング時間帯の各仮想使用電力量データD221を一月分の月間使用電力量テーブルD4から取得し、取得した仮想使用電力量データD221を合算する。そして、按分率算出部32は、区分時間帯の仮想使用電力量データD221を月の仮想使用電力量データD221で除することでそれぞれの按分率D32を算出する(S35)。
例えば、図7に示す月間使用電力量テーブルD4においては、7月の仮想使用電力量データD221は、各日の全てのサンプリング時間帯の仮想使用電力量データD221を合算することで26638kWhと算出される。そして、夜間時間(22:00〜8:00)の月の仮想使用電力量データD221は、各日におけるこの時間帯の仮想使用電力量データD221を合算することで5641kWhと算出される。また、7月は夏季であるため、ピーク時間(13:00〜16:00)の月の仮想使用電力量データD221は、月曜日から金曜日におけるこの時間帯の使用電力量を合算することで5715kWhと算出される。また、昼間時間(8:00〜13:00、及び16:00〜22:00)の月の仮想使用電力量データD221は、月曜日から金曜日におけるこの時間帯と土日における8:00〜22:00の各仮想使用電力量データD221を合算することで15282kWhと算出される。
これらの算出結果から、5641kWh/26638kWh×100%の計算を更に行うことで、7月の夜間時間を示す区分時間帯の按分率D32として21.1%が取得される。また、5715kWh/26638kWh×100%の計算を更に行うことで、7月のピーク時間帯の按分率D32として21.5%が取得される。また、5715kWh/26638kWh×100%の計算を更に行うことで、7月のピーク時間帯の按分率D32として21.5%が取得される。
按分率算出部32は、算出した按分率D32を電気料金試算システム1のメモリに記憶しておく。メモリには、按分率D32、区分時間帯、月、及び料金プランを紐づけて記憶しておく。具体的には、S31からS36で用いたプラン属性テーブルD7に含まれるプラン識別情報D71、按分率計算プログラムD8の区分時間帯情報D81、及び月間使用電力量テーブルD4の月識別情報を、算出した按分率D32に紐づけて記憶しておく。以下、この紐付けされた一群のデータを料金算出元データという。
按分率算出部32は、このS34からS35の処理を、全ての区分時間帯情報D81及び各月の月間使用電力量テーブルD4について行う。また、このS31からS35の処理を、検索された全プラン属性テーブルD7に基づいて行う。即ち、全プラン属性テーブルD7の各パターン識別情報D73で識別される各按分率計算プログラムD8を呼び出して処理を実行する。尚、季節に応じて複数の区分時間帯のパターンが含まれている場合、按分率算出部32は、参照する月間使用電力量テーブルD4に含まれる月識別情報を読み出し、月識別情報が示す月に応じて一の区分時間帯のパターンを選択する。
按分率D32が算出されると、区分時間帯別計算部33は、実際使用電力量データD23が示す値に各按分率D32を乗じることで、各区分時間帯の使用電力量を算出する(S36)。この使用電力量の算出は、算出した全ての按分率D32を元にそれぞれ行われる。具体的には、区分時間帯別計算部33は、各料金算出元データを順次対象とし、対象の料金算出元データに含まれる按分率D32を用いて使用電力量の算出を行い、算出結果をその対象の料金算出元データに付加する。
次に、料金計算部34による電気料金の計算方法について図16及び17に基づき説明する。図16は、料金計算プログラムD9を示す概念図である。図17は、料金計算動作を示すフローチャートである。尚、以下、料金算出元データは、料金プランごとに予め統合されているものとして説明する。換言すると、同一のプラン識別情報D71を含む料金算出元データを予め統合しているものとして説明する。
料金算出部34は、契約可能な各料金プランの各区分時間帯別の使用電力量に料金単価を乗じて基本料金を加えることで、各料金プランの電気料金を算出する。この料金算出部34は、料金プラン毎に予めメモリに記憶されている図16に示す料金計算プログラムD9に従った命令実行を行うCPUである。
電気料金試算システム1は、図16に示す料金計算プログラムD9を料金プラン毎に予めメモリに記憶している。料金計算プログラムD9は、一のプラン識別情報D71で識別され、料金情報D91の変数値を料金計算メソッドとともにモジュール化したオブジェクトである。換言すると、料金計算プログラムD9には、料金計算のプログラムとこのプログラムのパラメータである料金情報D91の具体的な値が含まれている。料金情報D91には、基本料金を示す基本料金情報、及び料金単価を示す単価情報が含まれている。夏季とその他の季節で料金単価が異なる場合、料金計算プログラムD9には、夏季用に用いられる料金情報D91とその他の季節に用いられる料金情報D91が含まれている。
図17に示すように、料金算出部34は、まず、計算対象の料金算出元データからプラン識別情報D71を読み出し(S41)、同一のプラン識別情報D71で識別される料金計算プログラムD9を呼び出す(S42)。
料金計算プログラムD9を呼び出すと、料金算出部34は、計算対象の料金算出元データ内から一の使用電気量を取得し、その使用電気量に対応づけられている区分時間帯情報D81の単価情報とを乗じる(S43)。料金算出部34は、全ての単価情報と使用電気量とを乗じて合算値を取得する。
料金算出部34は、料金計算プログラムD9に含まれている基本料金と乗算結果の全てとを合算する(S44)。これにより、一つの料金プランについての電気料金が算出される。
このS41からS44の処理は、全ての契約可能な料金プランについて繰り返される。具体的には、計算対象となっていない料金算出元データを検索し、新たにS41からS44を繰り返す。
以上により、契約可能な各料金プランの電気料金シミュレーション処理は完了する。電気料金シミュレーション処理が終了すると、結果出力部4は、各電気料金の算出結果を料金プランに対応付けて需要者側端末100に送信し、Webブラウザ上に表示させる。
このような電気料金試算システム1と需要者側端末100の全体動作を図18及び19に基づき説明する。図18及び19は、電気料金試算システム1と需要者側端末100の全体動作を示すフローチャートである。
電気料金試算システム1は、まず契約料金プラン情報D211と実際使用電力量データD23の入力を受け付ける(S51)。次に、電気料金試算システム1は、サンプリング時間帯ごとの電気使用率データD223と使用区分毎の電気容量データD222の入力を受け付け(S52)、入力に応じて、サンプリング時間帯毎の仮想使用電力量データD221を算出する(S53)。
そして、電気料金試算システム1は、1日分のサンプリング時間帯毎の仮想使用電力量データD221から週間使用電力量テーブルD3を作成する(S54)。更に電気料金試算システム1は、需要者側端末100側からの週間使用電力量テーブルD3の修正を受け付ける(S55)。
次に、電気料金試算システム1は、週間使用電力量テーブルD3から月間使用電力量テーブルD4を作成する(S56)。また、電気料金試算システム1は、需要者側端末100側からの月間使用電力量テーブルD4の修正を受け付ける(S57)。
1年分の各日の仮想使用電力量データD221をサンプリング時間帯毎に取得すると、電気料金試算システム1は、取得した契約プラン情報とプラン属性テーブルD7とから契約可能な料金プランを選定する(S58)。
次に、電気料金試算システム1は、N=1、M=1として(S59)、選定された第N番目の料金プランのM月についての区分時間帯毎の使用電力量の按分率D32を算出し(S60)、各按分率D32とM月の実際使用電力量データD23とを乗じる(S61)。
更に、N番目の料金プランの料金単価と使用電力量とを区分時間帯毎にそれぞれ乗じた上で基本料金とともに合算する(S62)。これにより、N番目の料金プランについてM月分の電気料金が算出される。
そして、電気料金試算システム1は、M=M+1とし(S63)、M>12でなければ(S64,No)、S60からS63を繰り返す。M>12であれば(S64,Yes)、N=N+1とし(S65)、選定された料金プランの数をNが超えていなければ(S66,No)、S60からS65を繰り返す。
選定された料金プランの数にNが到達していれば(S66,Yes)、電気料金試算システム1は、算出した電気料金を需要者側端末100に表示させる(S67)。電気料金の表示の際には、全ての電気料金を表示させてもよいし、最安の電気料金をその料金プラントとともに表示させてもよい。
以上のように、本実施形態に係る電気料金試算システム1は、需要者側端末100を用いたユーザの入力に基づいて1日分の所定時間毎の仮想使用電力量データD2221を取得する。そして、この1日分の所定時間毎の仮想使用電力量データD221から、月間使用電力量テーブルD4、即ち所定時間で区分された各時間帯情報と、該時間帯情報が示す時間帯の仮想使用電力量データD221とを、少なくとも1月分の全日付情報のそれぞれに対応づけたデータを作成する。そして、該月間使用電力量テーブルD4に基づいて各種料金プランの電気料金を計算する。
従って、本実施形態に係る電気料金試算システム1によれば、ユーザの労力は一日分の情報入力のみで済む。同時に月間使用電力量テーブルD4はユーザの個別事情を反映している。即ち、ユーザの労力低減とユーザの個別事情を反映した最適な料金プランの提示が両立される。
また、1日分の所定時間毎の電力使用率データD223と電力容量データD222とを入力してもらうことで、より細やかなユーザの事業態様の変化を電気料金計算結果に反映できる。
また、常時使用区分D2aの電力容量データD222をシステム側で休日の仮想使用電力量データD221として扱うため、ユーザの入力の手間は効果的に改善されるとともに、適切な料金プランを提示できる。
また、休日選択ウィンドウD5を表示させることで取得した休日特定情報を用いることで、ユーザの個別事情に基づく休日の仮想使用電力量データD221を簡便に補正できるため、ユーザの更なる労力低減とユーザの個別事情の更なる反映を図ることができる。
また、1月分各日及び各サンプリング時間帯の仮想使用電力量データD221を修正可能に前記端末の画面に表示させ、修正結果を取得するため、ユーザの個別事情をより的確に反映できる。
また、プラン識別情報D71とグループ情報D72とを対応づけたプラン属性テーブルD7を料金プラン毎に更に予め記憶し、契約料金プラン情報D211とプラン属性テーブルD7とに基づいて、試算する料金プランをシステム側で選定するようにしたため、ユーザに要求される知識レベルをより低いものとすることができるとともに、ユーザの労力低減をより図ることができる。
(変形例)
料金プランによっては、動力で使用する電力の契約と電灯で使用する電力の契約とを1契約で行うことができる。例えば、東京電力の低圧高負荷なる料金プランがそれに該当する。以下、この低圧高負荷の料金プランを例に当該料金プランについての電気料金をシミュレーションするケースについて説明する。尚、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図20に低圧高負荷のプラン属性テーブルD7を示す。低圧高負荷のプラン属性テーブルD7には、電灯動力合算フラグD74が含まれている。電気料金試算システム1は、電灯電力合算フラグD74が含まれているプラン属性テーブルD7で示される料金プランについては、予め電灯に関する仮想使用電力量データD221も取得し、使用状況入力シートD2に入力された仮想使用電力量データD221との合算を行ってから、按分率D32の計算、区分時間帯毎の使用電力量の算出、次いで低圧高負荷の料金プランを適用した場合の電気料金の計算を行う。
図21は、この変形例における仮想使用電力量取得部22の詳細構成を示すブロック図である。この変形例において仮想使用電力量取得部22は、電灯追加判断部225と仮想電力量合算部226とを更に備える。
電灯追加判断部225は、契約内容取得部21が取得した契約料金プラン情報D211と同一のプラン識別情報D71が含まれるプラン属性テーブルD7のグループ情報D72を参照し、同一のグループ情報D72を含むプラン属性テーブルD7に電灯電力合算フラグD74が含まれているか判断する。
判断の結果、電灯電力合算フラグD74が含まれていれば、電灯追加判断部225は、使用区分別取得部221に、電灯用に使用状況入力シートD2を別途表示させ、1日のサンプリング時間帯ごとの仮想使用電力量データD221を別途取得させる。電灯用の使用状況入力シートD2は、第1の実施形態の使用状況入力シートD2と同一であり、使用区分別取得部221の処理は、第1の実施形態と同一である。
週間取得部222及び休日補正部224は、第1の実施形態と同一の処理により、電灯使用状況取得用の使用状況入力シートD2を作成し、月間取得部223及び休日補正部224は、第1の実施形態と同一の処理により、月間使用電力量テーブルD4を作成する。尚、休日補正部224による休日選択ウィンドウD5の別途表示処理、及び休日特定情報の別途取得処理は省略することができる。
仮想電力量合算部226は、月間取得部223が作成した動力用と電灯用の2枚の月間使用電力量テーブルD4を合算により統合した1枚の月間使用電力量テーブルD4を作成する。具体的には、同一月日の同一サンプリング時間帯に対応付けられた仮想使用電力量データD221を2枚の月間使用電力量テーブルD4からそれぞれ取得して合算し、合算値を同一月日の同一サンプリング時間帯に対応づけて新たな月間使用電力量テーブルD4に記憶させる。
尚、契約内容取得部21による契約容量情報D212の取得処理においては、動力及び電灯の契約容量が入力され、その合算値を契約容量情報D212とする。実際量取得部23による実際使用電力量データD23の取得処理においては、動力と電灯の合算値が入力される。
この変形例における仮想使用電力量データD221の取得動作について図22を参照して説明する。
電灯追加判断部225は、S51からS57(図18参照)の処理を経て動力用の月間使用電力量テーブルD4が修正された後、契約料金プラン情報D211と同一のプラン識別情報D71が含まれるプラン属性テーブルD7を検索し(S71)、該当のプラン属性テーブルD7からグループ情報D72を取得する(S72)。そして、電灯追加判断部225は、取得したグループ情報D72を含む他のプラン属性テーブルD7を検索し(S73)、該当の全プラン属性テーブルD7の何れかに電灯電力合算フラグD74が含まれているか判断する(S74)。
判断の結果、電灯電力合算フラグD74が含まれていなければ(S74,No)、電気料金試算システム1は、S58の料金プラン選定以降(図18参照)の処理に移行する。
一方、電灯電力合算フラグD74が含まれていれば(S74,Yes)、使用区分別取得部221は、需要者側端末100に使用状況入力シートD2を別途表示させ(S75)、電灯用にサンプリング時間帯ごとの常時使用区分D2aを含む各使用区分の電気容量データD222と電気使用率データD223の入力を受け付け(S76)、入力に応じて、サンプリング時間帯毎の電灯の仮想使用電力量データD221を算出する(S77)。
そして、週間取得部222及び休日補正部224は、1日のサンプリング時間帯毎の電灯の仮想使用電力量データD221から週間使用電力量テーブルD3を別途作成する(S78)。更に週間取得部222は、需要者側端末100側からの週間使用電力量テーブルD3の修正も受け付ける(S79)。
次に、月間取得部223及び休日補正部224は、別途作成した週間使用電力量テーブルD3から月間使用電力量テーブルD4を別途作成する(S80)。また、月間取得部223は、需要者側端末100側からの月間使用電力量テーブルD4の修正も受け付ける(S81)。
電灯用の月間使用電力量テーブルD4の作成が終了すると、仮想電力量合算部226は、同一月日の同一サンプリング時間帯に対応付けられた仮想使用電力量データD221を2枚の月間使用電力量テーブルD4からそれぞれ取得して合算し(S82)、合算値を同一月日の同一サンプリング時間帯に対応づけて新たな月間使用電力量テーブルD4に記憶させる(S83)。
以降、電気料金試算システム1は、S58の料金プラン選定以降(図18参照)の処理に移行し、新たな月間使用電力量テーブルD4を参照した処理を行う。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る電気料金試算システム1は、実際の使用電力量が増減する見込みを更に加味して各種料金プランの電気料金を計算することで、更にユーザの個別事情に合わせてより最適な料金プランを提示することができるものである。以下、第2の実施形態に係る電気料金試算システム1について図面を参照して詳細に説明する。尚、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図23は、第2の実施形態に係る電気料金試算システム1の契約内容取得部21及び実際量取得部23の詳細な構成を示すブロック図である。契約内容取得部21は、契約容量補正部211を備え、実際量取得部23は、増減量取得部231、月間増減量設定部232、及び使用量補正部233を備える。増減量取得部231は、使用電力量の増減量データD231を取得する。月間増減量設定部232は、入力された増減量データD231を各月に反映させる。使用量補正部233は、月間の増減量データD231を算出して、各実際使用電力量データD23に加算する。契約容量補正部211は、実際使用電力量データD23の変更に合わせて契約容量情報212を補正する。
図24は、第2の実施形態に係る実際量取得部23と契約容量補正部211の動作を示すフローチャートである。この動作は、第1の実施形態におけるS41の実際使用電力量データD23の入力処理に対応する動作である。
まず、実際量取得部23は、実際使用量入力画面D6を表示させる(S91)。需要者側端末100にて月ごとの実際使用電力量データD23が入力されると(S92)、実際量取得部23は、実際使用電力量データD23と月識別情報とを対応付けて記憶する(S93)。
実際使用電力量データD23を取得すると、増減量取得部231は、図25に示す増減量入力シートD61を需要者側端末100に表示させる(S94)。この増減量入力シートD61の表示は、例えば需要者側端末100のWebブラウザ上にボタンを表示させ、ボタンの押下を契機としてもよい。
図25に示すように、増減量入力シートD61は、縦項目を曜日とし、縦項目をサンプリング時間帯とし、各セルを使用電力量の増減量データD231とした表である。増減量取得部231は、この増減量入力シートD61とともに、入力済みの増減量入力シートD61を電気料金試算システム1に送信するためのスクリプト言語等で記述されたプログラムも送信する。
需要者側端末100では、Webブラウザ上に表示された増減量入力シートD61内に増減量データD231が入力される(S95)。
具体的には、ユーザは、需要者側端末100のキーボードを用いて、使用電力量の増減が見込まれるサンプリング時間帯及び曜日毎にその増減量データD231を入力する。例えば、前日の午後及び当日の午前中に行われた取引の決済処理を行うサーバを導入し、そのサーバを毎営業日の13時から17時まで稼動させる見込みであり、そのサーバの電気容量が18kWであった場合、この増減量入力シートD61の月曜日から金曜日の13時から17時の各サンプリング時間帯にそれぞれ「18」という数値がキーボード等を用いて入力される。
増減量データD231が入力されると、月間増減量設定部232は、図26に示す月間増減量集計テーブルD10を作成する(S96)。月間増減量集計テーブルD10は、増減量入力シートD61の各曜日のサンプリング時間帯の各増減量データD231を12ヶ月分の月間増減量集計テーブルD10の対応する各曜日及びサンプリング時間帯にコピーすることで作成される。月間増減量集計テーブルD10には、月を示す月識別情報が付加される。
増減量入力シートD61の作成により、入力された増減量データD231が各月に反映されると、使用量補正部233は、月間の増減量データD231を算出する(S97)。月間の増減量データD231の算出では、使用量補正部233は、月間増減量集計テーブルD10にコピーされた全増減量データD231を総計する。
月間の増減量データD231を算出すると、使用量補正部233は、実際使用電力量データD23を月識別情報を参照して検索し(S98)、月間の増減量データD231を加算する(S99)。
実際使用電力量データD23の検索では、使用量補正部233は、月間増減量集計テーブルD10に付加された月識別情報と同一の月識別情報が対応付けられた実際使用電力量データD23を検索する。計算結果の加算では、使用量補正部233は、検索により得られた実際使用電力量データD23が示す値に月間の増減量データD231の総計結果を加算する。
そして、使用量補正部233は、実際使用電力量データD23が示す値と月間の増減量データD231の総計結果とを合計した合計値を新たな実際使用電力量データD23としてメモリに記憶させる(S100)。
さらに、契約容量補正部211は、新たな実際使用電力量データD23を参照して、契約内容情報D212の増減が必要であれば、増減を行う(S101)。契約容量補正部211は、各種の契約容量を予め記憶しておき、新たな実際使用電力量データD23以上且つ最も近い契約容量を契約内容情報D212として新たに記憶する。
以上の本実施形態に係る電気料金試算システム1によれば、実際使用電力量データD23の増減量データD231を入力させる画面を需要者側端末100に表示させ、実際使用電力量データD23に増減量データD231を加算する修正を行うようにしたため、将来の使用電力量の増減見込みを反映することができ、より適切な料金プランの提示が可能となる。
(第3の実施形態)
第2の実施形態に係る電気料金試算システム1による実際使用電力量データD23の増減及び契約内容情報D212の増減の結果、契約可能な料金プランの属するグループが変更される場合がある。例えば、低圧グループは、50kW未満を条件とするが、実際使用電力量データD23の増加の結果、50kW以上の電力使用が見込まれ、500kW未満高圧グループが契約可能な料金プランとなる場合がある。また、契約料金プラン情報D211は、500kW未満高圧グループであるが、実際使用電力量データD23の減少の結果、50kW未満の電気使用が見込まれ、低圧グループが契約可能な料金プランとなる場合がある。同様に、500kW未満高圧グループから500kW以上高圧グループへ、また500kW未満業務用グループから500kW以上業務用グループへ契約可能な料金プランのグループが変更となる場合がある。
第3の実施形態に係る電気料金試算システム1は、このようなケースに対応するものであり、以下、第3の実施形態に係る電気料金試算システム1について図面を参照して詳細に説明する。尚、第1、2、及び変形例の実施形態と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
選定処理部31は、実際量取得部23が実際使用電力量データD23を増減すると、契約可能な料金プラン選定の前処理として、増減された実際使用電力量データD23の値を予め定められた値と比較し、比較の結果に応じて料金プランを選定する。
ここで、図27に示すように、プラン属性テーブルD7には、プラン識別情報、グループ情報、及びパターン識別情報の他、ダミー料金プランフラグD75が含まれている場合がある。このダミー料金プランフラグD75が含まれたプラン属性テーブルD7は、料金プランの各種グループに関連付けてそれぞれ一枚記憶されている。これらダミー料金プランフラグD75が含まれたプラン属性テーブルD7は、ダミーのプラン識別情報D71が含まれている。ダミーとは、現実には存在しない料金プランである。
低圧グループには、低圧ダミーをプラン識別情報D71として含むプラン属性テーブルD7、500kW未満高圧グループには、高圧未満ダミーをプラン識別情報D71として含むプラン属性テーブルD7、500kW以上高圧グループには、高圧以上ダミーをプラン識別情報D71として含むプラン属性テーブルD7、500kW未満業務用グループには、業務用未満ダミーをプラン識別情報D71として含むプラン属性テーブルD7、500kW以上業務用グループには、業務用以上ダミーをプラン識別情報D71として含むプラン属性テーブルD7が予め記憶されており、これら各プラン属性テーブルD7は、ダミー料金プランフラグD75を含んでいる。
このような選定処理部31の料金プラン選定動作を説明する。図28は、選定処理部31による本実施形態に係る契約可能な料金プランの選定動作を示すフローチャートである。
選定処理部31は、まず、実際使用電力量データD23が増減されたかを判断する(S111)、判断の結果、増減されていなければ(S111,No)、第1の実施形態のS21からS23のプラン選定処理を行う(図13参照)。
一方、増減されていれば(S111,Yes)、増減後の実際使用電力量データD23が示す値が50kW未満か判断する(S112)。判断の結果、50kW未満であれば(S112,Yes)、契約料金プラン情報D211を低圧グループに属する低圧ダミーを示す情報に書き換える(S113)。
50kW以上であれば(S112,Yes)、500kW以上であるか(S114)及び契約料金プラン情報D211が高圧グループに属するか(S115)を判断する。
500kW未満であり(S114,No)、且つ契約料金プラン情報D211が高圧グループに属するものであれば(S115,Yes)、契約料金プラン情報D211を500kW未満高圧グループに属する高圧未満ダミーを示す情報に書き換える(S116)。一方、500kW以上であり(S114,Yes)、且つ契約料金プラン情報D211が高圧グループに属するものであれば(S115,Yes)、契約料金プラン情報D211を500kW以上高圧グループに属する高圧未満ダミーを示す情報に書き換える(S117)。
また、500kW未満であり(S114,No)、且つ契約料金プラン情報D211が高圧グループに属するものでなければ(S115,No)、契約料金プラン情報D211を500kW未満業務用グループに属する業務用未満ダミーを示す情報に書き換える(S118)。一方、500kW以上であり(S114,Yes)、且つ契約料金プラン情報D211が高圧グループに属するものでなければ(S115,No)、契約料金プラン情報D211を500kW以上業務用グループに属する業務用以上ダミーを示す情報に書き換える(S119)。
契約料金プラン情報D211の書き換えが終了すると、選定処理部31は、第1の実施形態と同様に、契約料金プラン情報D211と同一内容のプラン識別情報D71が含まれるプラン属性テーブルD7を検索し(S21)、該当のプラン情報テーブルD7からグループ情報D72を取得し(S22)、取得したグループ情報D72を含んだ他のプラン属性テーブルD7を検索する(S23)。検索により抽出されたプラン属性テーブルD7が示す料金プランが、契約可能な料金プランとなる。
この選定処理部31の処理を経ると、契約料金プラン情報D211がダミーに書き換えられていた場合、S21の検索の結果、書き換えられた契約料金プラン情報D211が示すダミーの料金プランが属するグループのプラン属性テーブルD7が抽出されることとなる。
例えば、ユーザは、500kW未満高圧グループに属する料金プランを契約しているが、減少後の実際使用電力量データD23が50kW未満となるものとする。この場合、選定処理部31は、S101からS109までの処理の結果、S21において低圧グループを選定することとなる。
また、契約料金プラン情報D211がダミーに書き換えられていた場合、S23の検索の結果、ダミーのプラン識別情報D71を含むプラン属性テーブルD7以外が示す料金プランが契約可能な料金プランとして選定されることとなる。即ち、プラン識別情報D71がダミーであってもその後の料金計算処理にエラーを生じさせることはない。
以上、本実施形態に係る電気料金試算システム1によれば、実際使用量電力量データD23が増減したときは、その増減結果と所定値とを比較し、比較結果に応じて一のグループ情報D72を取得し、該グループ情報D72に対応すると同一の情報を含む他のプラン属性テーブルD7を検索することで契約可能な料金プランを選定するようにしたため、使用電力量の将来的な増減の見込みを反映させたより的確な料金プランを提示できる。
(第4の実施形態)
高圧グループに属する料金プランを動力の電力契約としている場合、電灯の電力契約は別途の契約となる。一方、業務用のグループに属する料金プランでは、動力と電灯の電力契約が一つの契約となっており、合算された使用電力量に基づいて電気料金が計算される。
第4の実施形態に係る電気料金試算システム1では、高圧グループに属する料金プランを契約しているユーザに対して、業務用のグループに属する料金プランに変更した場合の電気料金も併せて提示する。
この第4の実施形態に係る電気料金試算システム1について詳細に説明する。尚、第1乃至第3及び変形例の実施形態と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
この第4の実施形態に係る電気料金試算システム1は、電灯に関する仮想使用電力量データD221と実際使用電力量データD23を別途取得し、動力に関する仮想使用電力量データD221と実際使用電力量データD23をそれぞれに合算することで、使用状況と使用実績を統合し、統合後の仮想使用電力量データD221と実際使用電力量データD23と必要に応じて変更された契約内容情報D212の増減に基づいて業務用グループに属する料金プランの電気料金の計算を別途行う。
電灯に関する仮想使用電力量データD221の別途取得、及び動力に関する仮想使用電力量データD221と電灯に関する仮想使用電力量データD221の合算による仮想使用電力量データD221の統合については、変形例と同一につき、その詳細な説明を省略する。別途取得及び統合のタイミングは、高圧グループの電気料金の計算後である。
電灯に関する実際の使用電力量の取得、及び動力に関する実際の使用電力量との統合について説明する。
まず、実際量取得部23は、実際使用量入力画面D6(図10参照)と同一の入力画面を電灯に関する実際の使用電力量を取得するために需要者側端末100に表示させ、入力された電灯に関する実際使用電力量データD23を取得する。
実際量取得部23は、動力に関する実際使用電力量データD23が示す値と電灯に関する実際使用電力量データD23が示す値とを合算し、合算値を実際使用電力量データD23として記憶する。
新たな実際使用電力量データD23に基づいて業務用グループに属する料金プランの電気料金の計算する場合、まず、契約内容取得部21は、電灯に関する契約容量情報D212の取得のために、プラン入力画面D1(図3参照)と同一の入力画面を需要者側端末100に表示させ、入力された電灯に関する契約容量情報D212を取得する。
選定処理部31は、動力に関する契約容量情報D212が示す値と電灯に関する契約容量情報D212が示す値とを合算し、業務用グループのいずれに属するか判断する。合算に先立って、選定処理部31は、電灯に関する契約容量情報D212が示す値の単位をアンペア又はkVAからkWに変更する計算を行う。
業務用グループのいずれに属するかの判断では、選定処理部31は、新たな実際使用電力量データD23の値を予め定められた値と比較し、比較の結果に応じてグループを選択する。予め定められた値は、500kWである。東京電力の場合、500kW未満か以上かによって、500kW未満業務用グループと500kW以上業務用グループとに分かれるからである。
本実施形態に係る電気料金試算システム1は、第3の実施形態と同様のダミー料金プランフラグが含まれているプラン属性テーブルD7(図27参照)を予め記憶しており、選定処理部31は、第3の実施形態に係る電気料金試算システム1と同様に、判断の結果、500kW未満であれば、契約料金プラン情報D211を500kW未満業務用グループに属する業務用未満ダミーを示す情報に書き換える。一方、500kW以上であれば、選定処理部31は、契約料金プラン情報D211を500kW以上業務用グループに属する業務用以上ダミーを示す情報に書き換える。
以下、選定処理部31は、第1及び3の実施形態と同様に、契約料金プラン情報D211と同一内容のプラン識別情報D71が含まれるプラン属性テーブルD7を検索し、該当のプラン情報テーブルD7からグループ情報を取得し、取得したグループ情報D72を含んだ他のプラン属性テーブルD7を検索する。そして、電気料金試算システム1は、第1の実施形態と同様にS59からS67(図19参照)を行うことで、業務用グループに属する各料金プランについても電気料金の計算を行い、その結果を需要者側端末100のWebブラウザ上に表示する。
以上の実施形態に係る電気料金試算システム1によれば、高圧グループに属する料金プランを動力の電力契約としている場合でも、業務用グループについての料金プランの提示が可能となり、ユーザにより適切な料金プランを提示できる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る電気料金試算システム1は、使用状況を入力するシートを簡易なシートとしたものである。この第5の実施形態に係る電気料金試算システム1について図面を参照して詳細に説明する。尚、第1乃至第4及び変形例の実施形態と同一構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。特に、契約内容取得部21、実際量取得部23、選定処理部31、区分時間帯別計算部33、料金計算部34、及び結果出力部4は、第1の実施形態と同様につきその詳細な説明を省略する。
まず、週間取得部222は、図29に示す簡易版状況入力シートD11を需要者側端末100のモニタに表示させる。第5の実施形態では、使用区分別取得部22は省かれる。
簡易版状況入力シートD11は、縦項目を月曜日から日曜日までの曜日とし、横項目をサンプリング時間帯とした表である。この簡易版状況入力シートD11は、電気料金試算システム1に入力済みの簡易版状況入力D11を送信するプログラムとともに需要者側端末100へ送信される。
簡易版状況入力シートD11は、書き換え可能なデータ形式を有し、縦項目と横項目に対応するセルには、サンプリング時間帯中の電力使用率データD223が入力される。この電力使用率データD223は、施設の稼働率を意味し、例えば、施設の全ての電気機器が稼働していれば「1.0」、半分が稼働していれば「0.5」が入力される。
月間取得部221及び休日補正部224は、この簡易版状況入力シートD11の各曜日及び各サンプリング時間帯の電力使用率データD223を月間の対応するセルにコピーし、休日選択ウィンドウD4に基づく休日補正を行うことで、簡易版月間使用電力量テーブルD12を各月について作成する。
この簡易版月間使用電力量テーブルD12に基づく按分率の計算において、按分率計算部32は、第1の実施形態のS31からS36と同一の処理を行う(図15参照)。処理に使用する値の属性が異なるだけである。
即ち、按分率計算部32は、簡易版月間使用電力量テーブルD12に含まれている全ての電気使用率を合算することで、按分率算出の分母となる値を算出する。
次に、按分率計算部32は、選定された料金プランのプラン属性テーブルD7を参照したパターン識別情報D73の取得、パターン識別情報D73を参照した按分率計算プログラムD8の呼び出しを順次行う。
次に、按分率算出部32は、呼び出した按分率計算プログラムD8が特定する各区分時間帯に対応する電気使用率データD223を合算することで、按分率D32算出の分子となる値を算出する。
そして、按分率算出部32は、各区分時間帯の電気使用率データD223の合算値を月の電気使用率の合算値で除することで按分率D32を算出する。
この按分率算出部32により算出された按分率D32が、区分時間帯別計算部33による各区分時間帯の使用電力量の計算に用いられ、契約可能な料金プランの電気料金の計算に続く。
尚、この第5の実施形態に係る簡易な入力に基づく電気料金計算と第1の実施形態に係る詳細な入力に基づく電気料金計算とは、選択的に用いられるようにしてもよい。具体的には、電気料金試算システム1は、仮想使用電力量取得部22の処理に先立って、簡易な電気料金計算と詳細な電気料金計算のいずれかを選択可能な入力画面を需要者側端末100に表示させる。例えば、2つのボタンを入力画面に配置し、一方のボタンが押下された場合には、使用状況入力シートD2を需要者側端末100に表示させて第1の実施形態に係る詳細な入力に基づく電気料金計算を行う。他方のボタンが押下された場合には、簡易版状況入力シートD11を需要者側端末100に表示させて第5の実施形態に係る簡易な入力に基づく電気料金計算を行う。
以上の実施形態に係る電気料金試算システム1によれば、1日分の所定時間毎の電力使用率データD223と実際使用電力量データD23を入力するだけで、各種料金プランの計算が可能となるため、ユーザの労力をより低減することができる。