JP4676258B2 - 血液レオロジー測定装置 - Google Patents

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本発明は、生体中を循環する体液の測定装置にかかわり、特に血液の状態を把握し健康の評価、疾患の診断、薬品の効果の評価等のために使用する血液レオロジー測定装置に関する。
人体の健康状態を判断する検査項目のひとつとして、血液の流動性に着目した血液レオロジー測定が注目されている。血液レオロジーを測定する手段として、被験者より採血した一定量の血液が微小流路(マイクロチャネルアレイ)を通過する時間を計測するマイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置が開発されている(例えば、非特許文献1参照。)。現在においては、マイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置は、血液レオロジー測定における標準機とされている。
しかし、マイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置による測定においては上記のように必ず採血を行う必要があり、測定が行えるのは医療機関に限られ、いつでもだれでもが手軽に健康状態を検査するというわけにはいかない。また、採血は被験者に対する肉体的および心理的な負担も大きく、1日あたりに計測できる回数もせいぜい数回までが限界であるため、時系列的に連続したデータが容易に得られないという問題がある。
ところで、血液レオロジーと生体内の血流速度は強い相関があると考えられている。すなわち、血液の粘性が高い場合、血流速度は遅く、一方、粘性が低い場合は血流速度が速いと考えられている。そのため、生体内の血流速度を計測することで、間接的に血液レオロジーを知ることが可能となる(例えば、特許文献1参照。)。
一方、血管内の血流速度から血液レオロジーの指標を算出するためには、前記特許文献1に記載されているように、血流速度の計測以外に、カフを用いて生体の血圧を測定する必要があるが、この血圧値と血流速度をもちいて血液レオロジー、すなわち、血液の運動粘性率の指標を算出する方法として、対象とする動脈内部の血流圧力を血圧値で近似するといった概念に基づく方法がある。
特開2003−159250号公報 「血液レオロジー測定装置」 菊池佑二「毛細血管モデルを用いた全血流動性の測定」(食品研究成果情報,NO.11 1999年発行)
しかしながら、血圧値と血流速度をもちいて血液レオロジー、すなわち、血液の運動粘性率の指標を算出する方法は、動脈内部の血流圧力を血圧値で近似している事が原因で、計測誤差が大きいという問題があった。さらには、血圧測定のための機構及び煩雑さ等の観点から、手首や指先等の部位で血液レオロジーを測定するために必要不可欠な装置の小型化が困難であるという問題もあった。
そこで本願発明の目的は、手首や指先等の部位で測定可能かつ血圧測定を必要としない簡便、高精度及び小型の血液レオロジー測定装置を提供する事である。
本発明に係る血液レオロジー測定装置は、上記課題を解決するために、生体表面から生体内の動脈血流に対する超音波の送受信を行う超音波送受信素子及び光の照射・受光を行う照射・受光素子からなる複合センサを用いて、時間変化する血流速度、容積脈波波形に含まれている基本波及び高調波成分における血流速度と容積脈波の振幅強度比及び対応する周波数値とから血液レオロジーの指標を演算する演算手段とを備えることを特徴とするものである。
図10は、本発明の効果を示す特性図であって、本発明に係る血液レオロジー装置にて測定した血液レオロジーの指標値βとマイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置を用いた採血方式による血液レオロジーの指標である全血通過時間Tの相関を示している。
縦軸はβ値を示しており、図10において縦軸の原点に近いほうがβ値は小さく、上方に行くほどβ値は大きな値となる。詳細については後述するが、β値が小さいということは血液の粘性率が大きいということを意味している。
一方、横軸はマイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置による全血通過時間Tを示しており、図10において縦軸の原点に近いほうがTの値は小さく、上方に行くほどTは大きな値となる。すなわち、全血通過時間Tの値が小さいということは、測定している血液の運動粘性率が小さく、さらさらの血液であることを意味し、すなわち、β値が大きな値となる。一方、全血通過時間Tの値が大きいということは、測定している血液が運動粘性率の高いどろどろの血液であることを意味している。すなわち、粘性率が高いということはβ値が大きいということであり、これらの関係を考慮して図10を見た場合、β値と全血通過時間Tとは有意な相関を有しているとみなすことが可能である。
従って、この図10からわかる通り、本発明に係る血液レオロジー測定装置は、血圧測定を必要せずに精度よく手首や指先で血液レオロジーを測定する事が可能となるので、簡便、高精度及び小型の血液レオロジー測定装置が供給でき、その結果、被験者から採血を行うことなく、専門家以外の誰でも手軽に正確なレオロジーを調べることができ、健康状態の確認に利用することができるようになる。ちなみに、この図9の横軸を、マイクロチャネルアレイ型血液流動性測定装置を用いた血液レオロジーの指標である全血通過時間Tのかわりに血液の動粘性率νに置き換えても、同じく有意な相関を示す事は言うまでもない。

図1に、本発明に係る血液レオロジー測定装置の構成を示すブロック図を示す。センサ部は、2対の超音波センサすなわち、超音波センサ1と超音波センサ4と光センサ7より構成されている。超音波センサ1は発信素子2と受信素子3、超音波センサ4は発信素子5と受信素子6から構成されており、光センサ7は発光素子8と受光素子9から構成されている。
発信素子2及び発信素子5は超音波発振回路10と接続しており、超音波発振回路10にて発生する電気信号を機械的超音波に変換して、生体内に超音波を発信させる。動脈内の血流に反射してドップラー信号を伴った超音波信号は、受信素子3及び受信素子6で電気信号に変換され、超音波受信検波回路11に入力され、ドップラー電気信号が検波される。この超音波発振回路10と超音波受信検波回路11の2種類の回路で超音波回路12が構成されている。
発光回路13は接続された発光素子8に対して駆動用電気信号を出力して、発光素子8を駆動し、発光回路13に接続された発光素子8は前記駆動電気信号を受けて光に変換し、その光を生体内に照射する。この照射された光量は動脈内の血流にて減衰する。この減衰した減衰光は受光素子9にて受光して電気信号に変換された後に受光検波回路14に入力され、受光検波回路14において血流による減衰量が電気信号として検波される。この発光回路13と受光検波回路14の2種類の回路で光回路15が構成されている。
超音波受信検波回路11にて検波されたドップラー電気信号は、生体心拍と同期した周期的時間変化を伴う血流速度の信号成分を含んでいる。このドップラー電気信号から血流速度に対応する電気信号、即ち、血流速度信号を分離抽出するための装置が血流速度演算処理装置16である。また、受光検波回路14にて検波された減衰量に対応する電気信号は、生体心拍と同期した周期的時間変化を伴う容積脈波の信号成分を含んでいる。この減衰量に対応する電気信号から容積脈波に対応する電気信号、即ち、容積脈波信号を分離抽出するための装置が容積脈波演算処理装置17である。
ここで、第1の測定部は、超音波センサ1、超音波センサ4、超音波回路12、及び血流速度演算処理装置16から構成され、一方、第2の測定部は、光センサ7、光回路15、及び容積脈波演算処理装置17から構成されている。なお、以上の実施形態においては、超音波センサを複数個使用した場合について説明したが、特に複数個の超音波センサを使用することに拘るものではなく、例えば1個の超音波センサ、即ち、発振素子2と受信素子3とからなる超音波センサ1のみであってもよい。
しかし、好ましくは、超音波センサを本実施形態のように2個使用することが望ましい。それは、超音波センサを本実施形態(図7及び図8)のように、超音波の出射方向および受信感度の指向方向が互いに平行でない角度に配置された2個の超音波センサとして使用すると、見えない血管の流れる方向を特定し、例えば、指の接触位置によらず安定して、しかも高精度に測定が可能になるからである。
血流速度演算処理装置16から出力された血流速度信号と、容積脈波演算処理装置17から出力された容積脈波信号は、本発明に係るレオロジー演算処理装置18に入力される。
このレオロジー演算処理装置18は、フーリエ解析処理装置19、心拍周波数演算処理装置20、高調波振幅比演算処理装置21及びレオロジー指標演算処理装置22より構成されている。このレオロジー演算処理装置18にて検出されたレオロジー指標が出力装置23にて出力される。
まず、本発明に係るレオロジー指標演算処理装置18でおこなわれる演算処理の理論的背景を以下で説明する。図2は、心拍に同期して拍動する動脈の模式図であって、動脈24における圧力分布25によって、血流は動脈の軸方向であるZ軸方向と半径方向に血流速度分布26を生じる。この圧力分布25が血圧値と相関する事はいうまでもない。さらに、動脈壁27が弾性を持っているために、動脈壁27はZ軸方向と半径方向に振動変位を起こす。この振動変位が図中の脈波変位28である。さらに、この脈波変位28は拍動にともなってZ軸方向に波動として、動脈壁を伝搬する。この波動が脈波29である。
以上のモデルにおいて、圧力分布25と血流速度分布26は流体力学におけるナビエ・ストークスの方程式および動脈壁の力学的運動方程式を用いて解析的に求める事が可能である。心拍の角振動数をω、脈波の波数をk、動脈24の内径をR、動脈壁27の厚み、ヤング率、密度及びポアソン比をそれぞれh、E、ρ、σ、動脈24の圧力分布25をP、血流速度分布26の軸方向速度成分をV、動脈半径方向の拍動変位をξとすると、P、V、ξはベッセル関数J、Jを用いて次式にて決定される。
Figure 0004676258
ここで、φ、Fは次式で定義された無次元関数である。
Figure 0004676258
以上(1)〜(5)式において、ρは血液密度である。γは、動脈壁厚みh、動脈壁密度ρ及び動脈半径Rで以下のように定義された無次元パラメーターであり、次式で与えられている。
Figure 0004676258
さらに、kは脈波の波数であって、心拍角振動数ωと脈波位相速度Cをもちいて、
Figure 0004676258
と定義されている。ここで、脈波位相速度Cは、以下の(8)式で与えられる。
Figure 0004676258
αは無次元のパラメーターで血液の運動粘性率ν、動脈半径R及び心拍角振動数ωをもちいて、
Figure 0004676258
と定義されている。
動脈中を流れる容積脈波Sは、図2記載の動脈24の断面積の変化量として定義できるが、通常、動脈半径Rに比較して、拍動変位量ξは十分小さいので、以下の(10)式で十分に近似できる
Figure 0004676258
図1記載の実施形態で検出される血流速度は、(2)式で与えられる血流速度分布Vにおける最大速度成分を振幅とした波形として検出される。この最大速度成分Vは、近似的に次式で与えられる。
Figure 0004676258
ここで、Kに関する詳細はのべないが、厳密にはαの値に依存する値であって、0.65〜1の値をとる。しかし、本発明に係る生体の計測条件下においてはK=1としてなんら問題無い。
以上の解析結果から、この(11)式と(10)式で与えられた血流速度Vと容積脈波Sの振幅比Γは、(11)式においてK=1として、
Figure 0004676258
となる。ここで、(13)式中の記号abs|式|は、複素数で定義されている式の絶対値を取る事を意味している。
この規格化振幅比Γは、動脈内の圧力振幅Pmとは無関係に無次元定数α、σ、γのみで決定される事が判明する。なぜならば、(13)式中に現れる、無次元関数F、Φはα、σ、γの関数であるからである。
図3は、(13)式で計算される規格化振幅比Γのα依存性を理論計算した特性図であって、本発明に係る血液レオロジーの指標の演算処理を説明するための特性図である。縦軸はα、横軸は規格化振幅比Γである。この特性図の特性曲線30は、生体組織での代表的なσ、γの値 σ=0.5 γ=0.1〜0.5 では大きな変化がなく、ほぼαの値の変化で決定される事が判明した。このαは(9)式で定義され、さらに測定部位の動脈内半径Rの個人差はなく、ほぼ一定とみなせるので、振幅比と心拍振動数数ωを測定すれば、動脈内の圧力Pに無関係に、血液の運動粘性率νが検出できることになる。
すなわち、血圧を測定せずに血液の運動粘性率νが検出できる事に他ならない。ちなみに、従来の血液レオロジーの検出方法は、(2)式より計算される最大血流速度Vmを圧力振幅項Pmで除算するかわりに、血圧値で除算するものであった。以上が本発明に係る演算処理の理論的背景である。また、(1)式から(12)式の式中に現れるjは虚数(−1の平方根)であり、計算値は複素数となるが、実際に意味のある物理量は、電子工学における交流理論と同様で、その実数部である事は言うまでもない事である。
図4は、血流速度演算処理装置16において演算処理された心拍信号に同期して周期的変化する血流速度信号の波形(血流速度波形)31と容積脈波演算処理装置17において演算処理された同じく心拍信号に同期して周期的変化する容積脈波信号の波形(容積脈波波形)32を示す説明図である。縦軸は出力強度であって、血流速度波形31においては、速度強度を表し、容積脈波波形32においては減衰強度を表している。横軸は時間である。図中の血流速度波形31及び容積脈波波形32は双方ともに周期的波形形状をしている。この周期が心拍周期であり、この心拍周期の逆数が心拍周波数である。
図4記載の血流速度波形31と容積脈波波形32は、周期性を持っているものの、完全な正弦波ではなく、脈拍を基本波とした高調波波形の重なり合わせと考える事ができる。それに対して、前述の(1)〜(13)式で説明したモデルは正弦波を基にした解析モデルである。それ故、単純に両波形の振幅比を測定した場合、計測される運動粘性率νの測定精度が劣化する。この問題を解決するために、図4記載の血流速度波形31と容積脈波波形32をフーリエ展開する必要がある。以下でそれを説明する。
図2記載の時間的に周期変動する動脈内の圧力分布は、脈拍を基本波とした高調波波形の重なり合わせと考える事ができる。まず、周期的に時間変化する動脈内の圧力分布P(t)は、nを1以上の整数とすると、以下のフーリエ展開式(12)式で決定される。
Figure 0004676258
ここで、kはn次高調波脈波の波数であり、(7)、(8)式を考慮すると次式で定義される。
Figure 0004676258
またPnはn次高調波成分における圧力振幅である。
次に、(9)式で定義されたαの値と同様に、n次高調波におけるαの値として、αnを(16)式で定義する。
Figure 0004676258
すると、高調波成分を考慮した動脈の血流速度分布V(t)、容積脈波S(t)は、任意の定数bをもちいて、以下のフーリエ展開式(17)及び(18)式で与えられる。
Figure 0004676258
ここで、Φ、Fはn次高調波に対応したF、Φであり、(4)式及び(5)式中のαをαに置き換えた定義式となる。それゆえ、このΦ、Fはαの関数となり、以下の様に定義される。
Figure 0004676258
この高調波成分を考慮した血流速度分布V(t)と容積脈波S(t)のn次高調波成分の振幅比をμとすると、(12)式と同様に
Figure 0004676258
と書ける。ここでΓはn次高調波における規格化振幅比であって、(13)式と同様に、
Figure 0004676258
と書ける。この振幅比Γは、先に説明した図3の特性曲線30と本質的になんら変化がない。
さらに、前述したように生体組織での代表的なσ、γの値 σ=0.5 γ=0.1〜0.5 では大きな変化がなく、ほぼαの値の変化で決定される事も同様である。それ故、図4記載の脈拍を基本波とした高調波成分を含む血流速度波形31と容積脈波波形32をフーリエ展開し、そのn次高調強度の振幅比を測定すれば、血圧を測定せずに、より精度の高い運動粘性率νの測定が実現できる。
図5及び図6は、図4記載の血流速度波形31と容積脈波波形32をフーリエ解析した特性図であって、図5は血流速度波形31のフーリエ解析した血流速度強度分布曲線33であり、図6は容積脈波波形32のフーリエ解析した容積脈波強度分布曲線34である。図5、図6双方共に、縦軸は強度、横軸は心拍周波数fである。図5、図6共に強度は5個のピーク値を持っており、これら両者のピーク値を与える心拍周波数fは互い等しい。このピーク値が血流速度波形31及び容積脈波波形32の高調波強度に対応し、さらにピーク値を与える周波数が高調波周波数である。以上、この図5及び図6の特性図から、血流速度強度分布曲線33及び容積脈波強度分布曲線34の高調波情報をまとめて、表1に記す。
Figure 0004676258
表1は、血流速度強度分布曲線33と容積脈波強度分布曲線34のピーク強度及び該ピーク強度を与える周波数値をまとめた表である。表1において、高調波次数をn、血流速度波形31のn次高調波強度に対応するピーク値をv、血流速度波形31のn次高調波強度に対応するピーク値をSさらに両ピーク値を与える心拍周波数をfとした。ここで、人体にて観測される心拍周波数は高調波次数が1、すなわちfに等しい。また、図5−A、B及び表1において、各高調波の情報は5次高調波まで存在している事を示しているが、被験者によって、この状況は変化する。しかし、少なくとも三次高調波までは確実に存在する事が判明している。
次に、本発明に係るレオロジー演算処理装置18に内蔵されているフーリエ解析処理装置19、心拍周波数演算処理装置20、高調波振幅比演算処理装置21及びレオロジー指標演算処理装置22について以下説明する。
第一の演算処理装置であるフーリエ解析処理装置19は、表1記載の高調波情報を検出するものであり、血流速度演算処理装置16及びに容積脈波演算処理装置17おいて演算処理された血流速度波形31と容積脈波波形32に関してフーリエ解析を行い、図5及び図6記載の血流速度強度分布曲線33及び容積脈波強度分布曲線34を決定する。次に、第二の演算処理装置である心拍周波数演算処理装置20は、フーリエ解析処理装置19で決定した、血流速度強度分布曲線33及び容積脈波強度分布曲線34より、両者のピーク値を与える高調波次数nと心拍周波数fを決定する。
本発明に係るレオロジー演算処理装置18に内蔵される第三の演算処理装置である高調波振幅比演算処理装置21においては、フーリエ解析処理装置19で決定した、血流速度強度分布曲線33及び容積脈波強度分布曲線34より、血流速度と容積脈波の高調波強度v及びSを決定すると共に、この両者の振幅比μを以下の演算式で決定する。
Figure 0004676258
本発明に係るレオロジー指標演算処理装置22にて、高調波振幅比μを演算処理する事によって、血液の動粘性率νが決定される。
以下で、本発明に係るレオロジー指標演算処理装置22における演算処理を説明する。まず、レオロジー指標のための第一の演算処理例として、演算処理式(1)を用いて検出されたn個の数値の内、すくなくとも一個の値をレオロジー指標として、特性曲線30から、運動粘性率νを算出する事ができる。また、被験者の心拍周波数が安静時に比較して大きく相違している場合は、第二の演算処理例として、n次高調波に対応するn次高調波振幅比と心拍周波数をそれぞれμ、fとして、以下の演算処理式(2)
Figure 0004676258
によって得られた、n個のβ値の内、少なくとも一個の値をレオロジー指標として、特性曲線30から運動粘性率νを算出してもよい。この演算処理の第二例においては、図3記載の特性曲線30が心拍数70回/分の条件のもとで計算されている事を考慮して、該特性曲線30を補正する必要がある。しかし、この補正は単なる設計的事項にすぎない。
以上の説明より、血流速度信号と該容積脈波信号の波形情報から少なくとも、三次高調波までの周波数数値とその振幅強度を検出し、それぞれ、基本波及び高調波成分における血流速度と容積脈波の振幅強度比から血液レオロジー指標とする事で、血圧の測定を必要とせず、しかも精度の高いレオロジー測定が可能となるのである。
図6(a)及び図6(b)は、本発明に係るセンサ部の構造を説明するための模式図であって、2対の超音波センサ1と超音波センサ4及び光センサ7が同一の基板35に配置されている。2対の超音波センサは、超音波の射出および受信の指向性の方向が互いに平行にならないように、角度36をなすように傾けて配置されている。この角度36の大きさはθである。また光センサは2対の超音波センサ1及び超音波センサ4の中間位置に配置されている。超音波センサ1と超音波センサ2を構成している発信素子2と受信素子3および発信素子5と受信素子6の材質は圧電セラミックスである。また、光センサ7を構成している発光素子8はLED、受光素子9はフォトダイオードまたはフォトトランジスタである。
図8は、指先の動脈を用いて本発明に係る血液レオロジー測定を説明するための模式図であって、超音波センサによる血流速度測定を説明するための図である。指先37の動脈38に対して超音波センサ1と超音波センサ4で発信された超音波39と超音波41は動脈38の特定部位43の血流に反射し、ドップラー効果によるドップラーシフト(周波数シフト)をともなった反射波40と反射波42として超音波センサ1及び超音波センサ4の受信素子にて受信される。この時、超音波センサ1で受信されるドップラーシフト量Δf1、超音波センサ4で受信されるドップラーシフト量Δf2、さらに発信される超音波の周波数f、並びに、以下に示す演算処理式(3)によって、
Figure 0004676258
動脈38を流れる血流速度が決定される。ここでVoは生体内を伝播する音速である。
図9は、指先の動脈を用いて本発明に係る血液レオロジーを測定する第二の模式図であって、光センサによる容積脈波測定を説明するための図である。発光素子8より発光する照射光44は図7と同様に、指先37の動脈38の特定部位43の近傍に対して、散乱光45となって受光素子9にて検出される。なぜなら、本発明に係る光センサ7は2対の超音波センサ1及び超音波センサ4の中間位置に配置されているからである。この散乱光45は、動脈38の特定部位43における容積脈波変化に同期して減衰するので、散乱光45の強度変化が容積脈波変化として検出される。
以上のように、図6(a)及び図6(b)に記載のセンサ構造をとる事によって、指先の動脈の同じ特定部位における血流速度と容積脈波変化が同時に測定できるのであり、しかも、演算処理式(3)によって精度よく最大血流速度が検出できる。以上、図8〜図9は指先での血液レオロジー測定の概念図であるが、その他の部位、たとえば手首、腕、首等でもまったく同様なセンサ構造で測定可能である。単純にセンサ寸法を変更するだけ対応できる。
本発明は、医療および健康維持・増進を目的として、体液の流動性を示す指標としての血液レオロジーと強い相関がある生体内の血流速度を計測することが可能であるだけでなく、生体(人体)の活動状況と生体各部における血流状態の相関を知るための計測においても利用可能である。
本発明に係る血液レオロジー測定装置の構成を示すブロック図 本発明に係る心拍に同期して拍動する動脈の模式図 本発明に係る血液レオロジーの指標算出のための演算処理を説明する特性図 本発明に係る血流速度波形と容積脈波波形を示す説明図 本発明に係る血流速度波形をフーリエ解析した強度分布曲線図 本発明に係る容積脈波波形をフーリエ解析した強度分布曲線図 本発明に係るセンサ部の構造を説明するための模式図 本発明に係る血液レオロジー測定を説明するための模式図 本発明に係る血液レオロジー測定を説明するための模式図 本発明の効果を示す特性図
符号の説明
1 超音波センサ
2 発信素子
3 受信素子
4 超音波センサ
5 発信素子
6 受信素子
7 光センサ
8 発光素子
9 受光素子
10 超音波発信回路
11 超音波受信検波回路
12 超音波回路
13 発光回路
14 受光検波回路
15 光回路
16 血流速度演算処理装置
17 容積脈波演算処理装置
18 レオロジー演算処理装置
19 フーリエ解析処理装置
20 心拍数演算処理装置
21 高調波振幅比演算処理装置
22 レオロジー指標演算処理装置
23 出力装置

Claims (9)

  1. 生体表面から生体内の動脈血流に対して第1の信号を送受信することにより前記動脈血流の血流速度を測定して、対応する血流速度波形信号を出力する第1の測定部と、同じく生体表面から前記動脈血流に対して第2の信号を送受信することにより、前記動脈血流の容積脈波を測定して、対応する容積脈波波形信号を出力する第2の測定部と、前記血流速度波形信号と前記容積脈波波形信号に基づいて血液レオロジーを演算処理するレオロジー演算処理装置を備える血液レオロジー測定装置において、
    前記レオロジー演算処理装置は、前記血流速度波形信号と該容積脈波波形信号とをそれぞれフーリエ解析してそれぞれの高調波を検出し、検出したそれぞれの高調波のうち、前記血流速度波形信号の高調波と同一次数の容積脈波波形信号の高調波との振幅比を演算する高調波振幅比演算処理部と、演算した前記振幅比を用いて前記血液レオロジーの指標を算出するレオロジー指標算出部と、からなることを特徴とする血液レオロジー装置。
  2. 前記レオロジー演算処理装置は、少なくとも前記第1の測定部または前記第2の測定部から出力される波形信号から前記生体の心拍周波数を算出する心拍周波数演算処理部を更に有し、前記レオロジー指標算出部は、前記高調波振幅比演算処理部で演算した前記振幅比と前記心拍周波数とを用いて前記血液レオロジーの指標を算出することを特徴とする請求項1記載の血液レオロジー装置。
  3. 前記レオロジー指標算出部は、前記心拍周波数の平方根値を前記振幅値で除算した値を用いて前記血液レオロジーの指標を算出することを特徴とする請求項3記載の血液レオロジー装置。
  4. 前記第1の測定部は、前記第1の信号を送受信する第1のセンサ部と、前記第1のセンサ部を駆動し、また前記第1のセンサ部により受信したドップラー信号を有する受信信号の検波を行う第1の回路部と、検波した信号に基づいて演算処理を行い、前記血流速度波形信号を出力する血流速度演算処理装置とからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の血液レオロジー測定装置。
  5. 前記第2の測定部は、前記第2の信号を送受信する第2のセンサ部と、前記第2のセンサ部を駆動し、また前記第2のセンサ部により受信した受信信号の検波を行う第2の回路部と、検波した信号に基づいて演算処理を行い、前記容積脈波波形信号を出力する容積脈波演算処理装置とからなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の血液レオロジー測定装置
  6. 前記第1のセンサ部は、超音波を送受信する超音波センサ素子からなることを特徴とする請求項4に記載の血液レオロジー測定装置。
  7. 前記第1のセンサ部は、超音波の送信方向および受信感度の指向方向が互いに異なる角度に配置された2対の超音波センサ素子を有し、前記血流速度演算処理装置は、前記2対の超音波センサ素子によって得られるそれぞれのドップラー電気信号を用いて演算処理を行い、前記血流速度信号を出力することを特徴とする請求項5に記載の血液レオロジー測定装置。
  8. 前記第2のセンサ部は、光を送受信する光センサ素子からなることを特徴とする請求項5に記載の血液レオロジー測定装置。
  9. 前記第1のセンサ部と前記第2のセンサ部は、同一基板上に並設して形成され、手首または指先にて測定可能な一体化構造となっていることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の血液レオロジー測定定装置。
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