JP4674685B2 - インピーダンスセンシングによる鶏卵鮮度検出方法および装置 - Google Patents
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Description
鶏卵の鮮度を知る方法として従来より、鶏卵を割って、中身を調べる、いわゆる破壊検査方法があるが、この方法では消費者が簡単、迅速に知るという目的には沿わない。したがって、この目的に合致させるには、非破壊検査方法でなくてはならない。
従来から知られている鶏卵の非破壊による鮮度検査方法としては、光を卵に透して判断する透光検卵法や、濃度10%の食塩水に入れて浮き沈みをみる比重測定法が知られている。 しかしながら、これらの検査方法は一般に手数がかかり、簡単、迅速とはいえない。また、透光検卵法でもこれを自動的に行う方法も多数考え出され、実行されているが、光を使うために、検査を行うのは、ある程度以上暗い場所でないといけない、といった制約がある。
上記の各従来技術においては、自動的な透光検卵法を採用しているが、いずれも照度を一定以上落とした雰囲気中で、検査判定を行わなければならないので、通常の明るい場所での使用ができないという欠点があった。
更に、本発明の目的は、照度の高い明るい雰囲気においても、鶏卵の鮮度を判別できるようにすることにある。
請求項1の発明は、鶏卵の中の気室が存在する部分で測定された静電容量と、該気室が存在しない部分で測定された静電容量との比が、所望に定めた値より大きい場合を鮮度良とし、小さい場合を鮮度不良とする、鶏卵の鮮度判定方法を特徴とする。
請求項2の発明は、比が、所望に定めた値より大きい場合を鮮度良とし、小さい場合を鮮度不良とする、前記鶏卵の鮮度判定方法を、該比と、前記気室が存在しない部分で測定された静電容量を変換した電圧との積によって決定された差動増幅器の基準電圧を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の鶏卵の鮮度判定方法を特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1〜2記載の鶏卵の鮮度判定方法を用いる鶏卵の鮮度判定装置を特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の鶏卵の鮮度判定装置において、静電容量を測定する手段が、支持板の上に設けた電極と、その電極の上に設けた弾力性体であることを特徴とする。
図1は、本発明の基本構成を示す図であり、鶏卵1を凹部などを利用して、採卵から日数が経って生じて来る気室2が上部に来るように、縦方向に設置させる。3は、鶏卵1の気室2側の傾斜した上側面に接触配置される1対の電極であり、その1つは、判定回路7の1入力端、例えば後述する図5のLCR9を通して比較回路8の測定入力端子に接続される。4は、同じく鶏卵1の気室2と反対側の傾斜した上側面に接触配置される1対の電極であり、その1つは、判定回路7の比較入力端、例えば後述する図5のLCR10を通して前記比較回路8の制御入力端子に接続される。1対の電極3の間に形成される存在する静電容量をC1とし、1対の電極4の間に形成される静電容量をC2とする。
一方、気室と逆側の静電容量であるC2は、採卵から日数が経っても殆ど変化はしない(卵白の比誘電率の値は、卵の鮮度の低下による影響は殆ど無いことが知られている)。よって、C2/C1の値を測定することにより、卵の鮮度を判定することができる。
図3(a)は、鶏卵の外部および内部の各静電容量とそれらの間の互いの関係とを、模式的及び近似的な等価回路として表しており、この図にしたがって気室が無い場合とある場合との静電容量値の違いを以下のようにして求める。
Cxは卵の外側の卵殻の静電容量であり、その厚みと比誘電率とをdxとεxで表す。Cyは卵の中の卵白と気室とを合わせた部分の静電容量であり、その厚みと比誘電率とをdyとεyで表す。2箇所の卵殻の静電容量Cx、卵の中の静電容量Cyとの総合静電容量をCと表す。
このことを、更にC1/C2の変化で見ると、C1は採卵日当初、C1=52.3A=C2であり、これがC1=Aまで低下するので、C1/C2は1から1/52.3まで低下することになる。図3(b)は、この様子を表したグラフである。
従来、鶏卵の鮮度をインピーダンスそのもの、或いは静電容量そのものの測定により判別することも試みられたが、その際に、図3(a)に示されているように、卵殻の静電容量が直列に挿入されるために、この卵殻の静電容量による影響が大きく、いわばこの卵殻の静電容量がマスクをする効果が生じ、このために卵の中のインピーダンス測定の精度が向上せず、うまく行かなかった。しかし、本発明のように、卵の中の気室部分に着目した場合には、マスク効果にもかかわらず、上述したような静電容量の大きな変化を捉えることが出来、これを鮮度の判定に利用することが出来る。
また、鶏卵のインピーダンス値を測定する場合は温度の影響が出るためC1とC2の値そのものは温度の違いで異なってくるが、C1/C2は温度の影響が相殺されるため、鮮度の判定に温度の影響を受けない、という利点もある。
判定回路7の各入力端にワイヤーで接続される電極3,4は、支持板6、代表的には縦幅25mm、横幅32mm、高さ5mmのアクリル板の中央上部に、蒸着、スパッタリング、接着その他の方法により、直径約7mmの円形状に設けられる。電極3,4の上には、弾力性導電体6、代表的には、矩形状の導電性のシリコンゴムを設けて、その先端部を鶏卵の傾斜した上側面に接触させる。鶏卵の曲面状の卵殻への接触面積を大きくするために、弾力性導電体は柔らかいものを用いたほうが良い。
比較回路8の中では、LCR10を通して制御入力端子に加わった逆側の電極4からの電圧値に基づいて基準電圧が作られる。さらに、LCR9を通して測定入力端子9に加わった気室側の電極3からの電圧値は、この基準電圧と比較されて、その比較結果出力が鮮度表示部11に加えられる。比較結果出力は、ハイレベルかローレベルのどちらかの直流レベル信号である。
鶏卵選別器のような多数の鶏卵の鮮度判定に利用する場合は、鶏卵ケースの蓋の部分と底の部分に多数の電極3,4を配置し、判定回路7では、C1/C2を巡回的に検出してそれぞれを記憶装置で一時記憶させるようにし、鮮度表示部においては、多数のLEDを配置した装置、或いは液晶パネルのようなディスプレイ装置で一括表示させてもよい。
鶏卵の日数が経って来ると、気室2が拡大して来て、気室側の静電容量C1が減少して来るが、そのC1の減少が或る所まで進むまでを、鮮度良とし、それ以上に減少した場合を鮮度不良とする。
このような、比率C1/C2の検出をどのようにして、前記比較回路8において行うか、について次に述べる。
好ましいC1/C2の比率の範囲の最低値をRとし、図1の気室と逆側の電極4から入力され、比較回路8の制御入力端子へ加えられるC2の変換電圧をAとすると、比較回路8の中で作られる基準電圧が“RA”となるように回路の工夫をすれば良い。そうすると、図1の気室側の電極3から入力され、比較回路8の測定入力端子へ加えられるC1の変換電圧、例えばBは、“RA”に一致した時に、比較回路8からハイレベルかローレベルの信号が出ることになる。つまり、この時、B=RAであるから、
B/A=R、即ち、C1/C2=Rとなり、C1/C2を所定の値、例えばR=0.88を閾値とする判定回路を実現できる。
図6(a)は、気室側の静電容量C1の実際の卵の日数による変化を測定したものであり、図6(b)は、気室と逆側の静電容量C2の同じ卵の日数による変化を測定したものである。どちらも横軸は「賞味期限」後の日数であるが、鶏卵の「賞味期限」は採卵後2週間(本測定を行った時の期間)であるから、図に表示された日数に14日を加えたものが実際の採卵後の日数である。 図6(b)のC2の場合は、変化が無いが、図6(a)のC1の場合は日数が経つにつれ徐々に減少している。
さらに、もっと新鮮な良い味で生の卵を食べられる、C1/C2の範囲を定めることもできる。この場合は、例えば、0.9より大きい範囲とすることも考えられる。
また、採卵から日数の経った卵でも、加工を行って食べることのできるC1/C2の範囲を定めることも考えられる。この場合は、もっと範囲を下げて、例えば0.86より大きい範囲とすることもできる。
2 気室
3 電極
4 電極
5 弾力性導電体
6 支持板
7 判定回路
8 比較回路
9 LCR
10 LCR
11 鮮度表示部
12 緑色LED
13 赤色LED
Claims (1)
- 鶏卵の中の気室が存在する部分で測定された静電容量と、該気室が存在しない部分で測定された静電容量との比が、所望に定める値より大きい場合を鮮度良とし、小さい場合を鮮度不良とする、鶏卵の鮮度判定方法。
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