JP4672632B2 - バイオ人工糸球体 - Google Patents

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Description

本発明は、人工糸球体、具体的にはフェネストラ径を拡大させる内皮細胞を用いたバイオ人工糸球体に関する。
現行の人工腎臓としての透析療法は、糸球体の濾過機能を間欠的に、しかも不完全に代行しているに過ぎない。1週間168時間中の12時間(約7%)を透析治療に充てるに過ぎず、生体の腎臓に比し、その水分や代謝物排泄能は著しく低い。したがって、維持血液透析患者は水分や食事摂取に著しい制限を受け、なおかつ、そうした不完全さから生じる様々な合併症に苦しめられている。また、それらの合併症のための入院や手術などの治療費は年々膨大化してり、わが国の医療費増大の一因となっている。
現行の血液透析治療をより効率の高いものにするためには、週12時間という強い制限因子を取り除くことが不可避的に必要となる。しかし一方で、患者は通院や治療のために隔日に日中の大切な時間を奪われており、現状の透析技術でそれ以上の治療時間を費やすことは事実上不可能である。腎機能に近づける治療効率を確保するための長い治療時間の必要性と患者の自由度確保との間の矛盾を解決するためには、治療システムにおける技術的飛躍が必要である。
既に本発明者は、1日10リットル(L)の持続血液濾過を行なうことにより現行の血液透析に比して、尿素、クレアチニン、尿酸などの低分子量物質から透析アミロイドーシスの原因タンパクであるβ2-microglobulinまでを著しく低値に維持できることを明らかにし
た(非特許文献1参照)。1日10Lの持続血液濾過は、約7 ml/minの濾過液を持続的に血液中から除去することであり、一般に使われる膜面積1.8 m2程度の中空糸モジュールは必
要なく、膜面積0.2〜0.3 m2の胸ポケットに収納可能な濾過モジュールでよいために装着
にともなう煩わしさも最小限にできる(非特許文献2)。飲食した水分や生じた代謝産物を、日を越えて体内に蓄積させるのではなく、腎臓同様に直ちに濾過し除去できるので身体への負担も少なく、合併症も生じにくい。ただし、そのような装着持続的濾過が可能となるためには、全身的抗凝固療法を最小限にしても1本の濾過器が少なくとも1週間以上
機能することが必要になる。人工素材を用いた現行の持続血液濾過器は、全身性抗凝固療法を行なった上で1本の濾過器が最大24時間機能することが求められているに過ぎない。
Saito A, Takagi T, Sugiura S, Ono M, Minakuchi K, Teraoka S, Ota K.: Maintaining low concentration of plasma β2-microglobulin through continuous slow haemodialysis. Nephrol Dial Transplant 10(Suppl. 3): 52-56, 1995 Saito A: Research in the development of a wearable bioartificial kidney with a continuous hemofilter and a bioartificial tubule device using tubular epithelial cells. Artif Organs 2004; 28:58-63
本発明者は上記の現状に鑑みて諸問題を検討した結果、特にうっ血性心不全患者や慢性腎不全患者などにおいて、過剰水分や蓄積代謝産物を速やかに除去できるように持続血液濾過器の内面に患者自身の血管内皮細胞を用いて中空糸内面を被覆し、その細胞膜のフェネストラ(fenestra;窓)の孔径を糸球体内皮細胞のそれと同様に拡大させ、濾過が促進されるようにするという着想を得て、抗血栓性の高い持続血液濾過器(バイオ人工糸球体)を開発する研究を行ない、本発明の完成に至った。
本発明のバイオ人工糸球体は、血液濾過器として、患者自身の内皮細胞を用いて内面を被覆した中空糸の血液濾過膜とこれを収容する濾過容器とからなるバイオ人工糸球体であり、少なくとも7日間持続して、該細胞の細胞膜フェネストラの数を増やすか、その孔径を糸球体内皮細胞のフェネストラ孔径の0.5〜2倍まで拡大させるか、あるいはそれら両方による効果により血液濾過を促進させることを特徴としている。
前記内皮細胞が好ましくは血管内皮細胞であり、あるいは前記内皮細胞が患者から採取された内皮前駆細胞由来であることが望ましい。
前記内皮細胞は、アクチンフィラメント妨害薬剤の適用によりそのフェネストラの数が増えるか、あるいはその孔径が拡大される。
前記アクチンフィラメント妨害薬剤が、Cytochalasin B、 Latruncyulin A、 Swinholide A、 Halichondramide/Dihydorohalichondramide、 Jasplakinolide /Misakinolideからなる群より少なくとも1種選択される。
前記中空糸に抗血液凝固薬剤を適用し、全身的抗凝固療法を最小限とする血液濾過器であってもよい。
前記中空糸が、好ましくはポリスルホン、セルロース酢酸、またはポリイミドなどからの高透過性の血液濾過器用膜で形成されている。
前記の薬剤の適用は、予め中空糸に該薬剤を担持させてあるか、あるいは使用に先立って、該薬剤を含む流体を流すことによるものである。
本発明によるバイオ人工糸球体の製造方法は、血液濾過膜である中空糸の内面を患者自身の内皮細胞によって被覆し、次いでこれを濾過容器に収容し、血液濾過に使用する際に、アクチンフィラメント妨害薬剤を適用して該細胞の細胞膜フェネストラの数を増やすか、その孔径を糸球体内皮細胞のフェネストラ孔径の0.5〜2倍まで拡大させるか、あるいはそれら両方の効果により血液濾過を促進させることを特徴としている。
アクチンフィラメント妨害薬剤の適用量として、その薬剤が前記内皮細胞の細胞膜フェネストラの孔径を糸球体内皮細胞のフェネストラ孔径の0.5〜2倍、拡大させるとともに、かつ、その孔径の拡大が少なくとも持続して7日間、継続させるのに充分な量である。
本発明のバイオ人工糸球体は、腎臓機能の忠実な再現を可能とする細胞を付けることで効率よく、かつ24時間連続的に少なくとも7日間、濾過ができる人工糸球体である。すなわち血液濾過器内面に自己内皮細胞を生着させ、アクチンフィラメント妨害薬剤の作用によりフェネストラ径を持続的に拡大させ、抗血栓性の高い持続血液濾過器となっている。
本発明のバイオ人工糸球体は、慢性・急性心不全や慢性・急性腎不全/多臓器不全などの過剰水分貯留や代謝物質の蓄積を呈する病態を改善すべく持続的な血液濾過を必要とする場合に、へパリンなどの抗血液凝固剤を持続的に用いることの弊害を防止し、長期に機能する安全で簡便な持続治療システムを提供することが可能とする。
[発明の詳細な説明]
「人工糸球体」は、腎臓の濾過装置として血液から老廃物や水分などをこし取る糸球体の濾過機能を模するものであり、糸球体による濾過を人工的に実施する血液濾過器である。「バイオ人工糸球体」は、そうした人工糸球体に細胞、組織、生体物質などを組み込んだものである。また「バイオ人工腎臓」とは、バイオ人工糸球体(bioartificial glomer
ulus)とバイオ人工尿細管(bioartificial tubules)とから構成される系であり、腎臓
機能の再現を可能とする細胞を付けることで効率よくかつ24時間連続的に透析ができ、また尿細管の有用物質の再吸収機能をも付加することができる。図1に本発明者が目指すバイオ人工腎臓の概念図を示す。現在の透析治療に使われる人工腎臓は、限られた時間内で急速な透析のみを行なうものであり、その効果は限られている。
バイオ人工糸球体
本発明のバイオ人工糸球体は、
血液濾過器として、患者自身の内皮細胞を用いて内面を被覆した中空糸の血液濾過膜とこれを収容する濾過容器とからなるバイオ人工糸球体であり、少なくとも7日間持続して、該細胞の細胞膜フェネストラの数を増やすか、その孔径を糸球体内皮細胞のフェネストラ孔径の0.5〜2倍まで拡大させるか、あるいはそれら両方の効果により血液濾過を促進させることを特徴としている。
本発明のバイオ人工糸球体は、自己内皮細胞を生着させた中空糸およびこれを収容する容器を用いてなる血液濾過器である。すなわち、慢性・急性心不全や慢性・急性腎不全/多臓器不全などの過剰水分貯留や代謝物質の蓄積を呈する病態の改善のために、持続的な血液濾過を必要とする場合に、へパリンなどの抗凝固剤を持続的に用いることの弊害を防止して、安全でしかも簡便な持続的血液濾過システムを実現する医療用デバイスである。
糸球体を構成する毛細血管は有窓毛細血管であり、その内皮細胞細胞膜には無数の円形小穴が存在する。この小孔はフェネストラ(fenestra、窓)と呼ばれ、一般に有窓細胞である、有窓毛細血管内皮細胞、糸球体内皮細胞の細胞膜に開いており、その孔サイズ(本明細書では「フェネストラ孔径」もしくは「フェネストラ径」という)は、おおよそ直径30〜80nmである。これは血管内外の物質透過を容易にしている。
糸球体には通常、動脈圧(40-50mmHg)がかかっているが、糸球体内皮細胞は有窓のため
、毛細血管壁より血漿成分(水、電解質、老廃物など)が容易に濾過される。本発明のバイオ人工糸球体は、薬剤の適用により中空糸膜内面を被覆している内皮細胞の細胞膜フェネストラの数を増やすか、その孔径を糸球体内皮細胞のフェネストラ孔径の0.5〜2倍まで拡大させるか、あるいはそれら両方の効果により血液濾過を促進させる血液濾過器である。
・濾過膜
血液濾過膜は、血液を限外濾過する濾過物質およびこれを収容する容器からなる。その濾過物質は、多孔性物質であることが求められるが、血液透析にはこれまで中空糸膜を基本とする濾過膜が使用されてきており、本発明のバイオ人工糸球体の濾過膜でもその数々の利点から中空糸が採用される。
<中空糸>
本発明の人工糸球体では、微細孔径の分布が比較的均一であり、しかも物質の担持容量が極めて大きい中空糸繊維膜が好ましく使用される。その中空糸膜は、通常ろ過、物質の分離に広く使用されている構造のもので、内表面から外表面の間の膜側面には多数の微細孔が空いている。その微細孔は、0.001μm〜数μm、好ましくは0.03〜1μmの径である。中空糸を使用する膜体では、その構造特性から、他の多孔性物質と比べて単位表面積当たりの物質の担持量または収容容量は極めて大きい。したがって微小な医療デバイスとする場合にも極めて大きい担持能力を有する担体として利用できる。
中空糸材料として、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、酢酸セルロースなどが利用される。好ましい基材としては、血液透析用の中空糸膜であればいずれでもよいが、人工腎臓用の合成高分子中空糸膜が好ましく採用される。したがって前記中空糸はセルロース酢酸、ポリスルホン、またはポリイミド
、エチレン・ビニールアルコール共重合体からの膜で形成されていることが望ましい。
血液濾過に好適な限外濾過用中空糸として、非対称微孔性中空繊維の製造方法が特許第2916446号に開示されている。この中空繊維は、外側に向かって孔径が順次大きくなる連続多孔性スポンジ構造と微孔性バリヤー層を有する内面を有する構造を有する。このため該中空糸繊維は、人工腎臓、人工透析用フィルターなどに利用されている。そのような中空糸繊維は流体透過性、機械的強さおよび加工性にも優れているために、本発明の中空糸膜の材料として好適である。
<内皮細胞>
本発明のバイオ人工糸球体では、患者の内皮細胞、好ましくは血管内皮細胞、より好ましくは患者の末梢血から採取された内皮前駆細胞由来の内皮細胞(例えば血管内皮細胞)を使用する。中空糸の濾過膜内面の表面に内皮細胞を貼り付けるのは、糸球体の場合と同様に持続的かつ充分量の濾過を確保し、血液適合性と抗血栓性を獲得するためである。このことにより持続血液濾過器に人工素材を用いる場合に必要となる抗血液凝固措置が基本的には不要となる。また患者自身の内皮細胞を用いることによって、血液濾過において無用の拒絶反応を回避することができる。
一般に自己内皮細胞を濾過膜表面にコンフルエントな単層に生着・維持することは、血液適合性と抗血栓性を獲得することにはなるが、持続的で充分量の濾過を得ることを著しく抑制する結果となるのが通例である。有窓細胞と言われる糸球体内皮細胞は、薄い細胞質と細胞膜にある大きな窓(fenestra)によって濾過を可能にしている。このため内皮細胞により濾過膜にコンフルエントな単層を形成しながら充分な濾過液を得られるのは糸球体内皮細胞のみである。しかしそうした糸球体内皮細胞を本発明のバイオ人工糸球体のために用いることは、入手の問題と倫理性の面から明らかに現実的ではない。
望ましくは、患者由来であり糸球体以外の内皮細胞を濾過膜表面にコンフルエントな単層に生着維持することである。高い血液適合性と抗血栓性を有しながら、高い濾過性能を用いうるバイオ人工糸球体の開発には、患者自身の血管内皮細胞により血液濾過器の濾過膜内面をコンフルエントな細胞単層を形成させ、大きなフェネストラを形成させることが考えられる。
内皮細胞のフェネストラが、細胞内のアクチンフィラメント(actin filament)により形成・維持されており、そのアクチンフィラメントの阻害によりフェネストラ数を増加できることは、肝sinusoid内皮細胞において示された(Steffan AM, Gendrault JL, Kirn A. Increase in the number of fenestra in mouse endothelial liver cells by altering the cytoskeleton with cytochalasin B. Hepatology 1987;7:1230-1238:Braet F, Spector I, Shochet N, Crews P, Higa T, Menu E, De zanger R, Wisse E. The new anti-actin agent dihydrohalichondramide reveals fenestra-forming centers in hepatic endothelial cells. BioMed Central Cell Biology, HYPERLINK "http://www.biomedcentral.com/1471-2121/3/7" http://www.biomedcentral.com/1471-2121/3/7)。しかし、肝sinusoid内皮細胞フェネストラの径の拡大は見られず、かつ僅か数分後には元に復するとされた。この理由から、かかる内皮細胞は本発明には実用的とならない。
これに対して本発明者の研究において、Cytochalasin Bなどのアクチンフィラメント妨害薬を用い、その濃度と作用時間を変化させて、ラット糸球体内皮細胞(rat glomerular
endothelial cells)、ヒト臍帯血静脈内皮細胞(Human umbilical vein endothelial cells;HUVEC)のフェネストラ径の変化と静水圧下の濾過量の測定が行なわれた。また、Cytochalasin B処理数日後のその径と濾過量の推移が検索された。過去に濾過液量の変化
を考慮に入れた検討はなされていない。このような本発明者の検討からラット糸球体内皮
細胞、HUVECにおいてはCytochalasin B処理7日後にも、細胞障害がなくフェネストラ径
は拡大した状態であること、静水圧下濾過液量増加も維持されることが明らかとなった。このことから、血管内皮細胞のフェネストラ径を持続的に拡大させること、それによる濾過液量を増大させることが可能となり、本発明のバイオ人工糸球体の完成となった。
血液濾過の際、濾過器へ流される血液は濾過膜である中空糸内の管腔内を通る。中空糸濾過膜に内皮細胞を貼り付けるのは、中空糸の内管内面壁である。その内管の壁面には中空糸外部に通じる多数の小孔が空いており、水、電解質、低分子老廃物などはその小孔から外部の透析液中へ出て行く。そうした小孔は、該内皮細胞の単層で覆われるため塞がってしまう状態になるが、今度は内皮細胞の細胞膜に空いた多数のフェネストラを介して濾過されることになる。
本発明のバイオ人工糸球体は、腎臓の糸球体を模するものであり、上記のように本来は糸球体内皮細胞が望ましいが、本発明では、入手、取り扱いおよび増殖が容易な内皮細胞、具体的には血管内皮細胞が好ましく使用される。可能であれば内皮細胞は、末梢血から採取した血管内皮細胞、血管内皮前駆細胞を使用することも望ましい。採取した細胞、またはそれから誘導される細胞の培養により本発明に使用される内皮細胞に供される。血管内皮細胞は、末梢血または臍帯静脈血などから分離される。末梢血血管内皮細胞またはヒト臍帯血静脈内皮細胞(HUVEC)を中空糸の膜内面に播種することにより、それらの細胞から放出されるプロスタグランジン類、t−PAに代表されるタンパク性因子、一酸化窒素などの細胞調節因子により血栓形成、急性期閉塞を抑制する効果が期待される。
さらにそうした血管内皮細胞は、特定の誘導条件下で血管内皮前駆細胞から誘導することができる。血管内皮前駆細胞は、末梢血、骨髄などに存在しており、高い増殖能、血管内皮様機能ならびに血管内皮細胞を含む血管内皮系細胞への分化能を有する細胞である。血管内皮前駆細胞は、骨髄、末梢血または臍帯血からからフィコール密度勾配遠心分離により分離した単核球画分を血管内皮前駆細胞の培養に好適な培養条件で培養し、コロニーを形成する細胞として分離される。進歩著しい細胞工学技術を適用することにより、血管内皮前駆細胞の分離・培養増殖、より分化した血管内皮細胞への誘導を行なうことが可能である。なお、骨髄より得られる幹細胞由来の分化血管内皮前駆細胞は、あらゆる臓器の血管内皮細胞に分化し得る。同様に末梢血中に体性幹細胞が見出されれば、これより血管内皮前駆細胞も誘導し得るであろう。
本発明のバイオ人工糸球体では、糸球体内皮細胞ではなく、他の臓器、組織部位に由来する血管内皮細胞を使用する。臓器ごとに血管内皮細胞の性状(例えば血管内皮細胞増殖因子依存性、トランスポーターの発現)が異なるため、そのままでは糸球体内皮細胞の代替細胞とすることはできない。同じ有窓細胞であっても細胞膜のフェネストラ径も、また糸球体内皮細胞の場合と同等またはそれに近い径に調整する必要がある。そこでフェネストラ径を拡大する、あるいはフェネストラの数を増やす効果があると思われる薬剤を使用して、血液濾過に好適なフェネストラ径を確保する。
・薬剤
前記内皮細胞は、アクチンフィラメント妨害薬剤を適用することによりそのフェネストラ孔径を拡大される。抗actin filament薬が内皮細胞のフェネストラに与える影響は、従来肝臓のsinusoidの内皮細胞のみで認められる現象と考えられ、sinusoid内皮細胞で検討されてきた。しかし本発明者の研究によって、糸球体内皮細胞やHUVECにおいてフェネス
トラ径の拡大が認められ、また、肝臓のsinusoid内皮細胞では一過性と考えられたフェネストラに対する効果が長期に現れることも明らかになった。
内皮細胞のフェネストラ径を拡大する、あるいはフェネストラの数を増やす効果があると思われるアクチンフィラメント(Actin filament)妨害薬は、本発明者の実験(図2)で
示されたCytochalasin B以外にも、限定するものではないが、例えば、latrunculin A, swinholide A, jasplakinolide/misakinolide, halichon- dramide/dihydrohalichondramideなどが挙げられる。さらに、VEGF(Roberts WG, Palade GE. Increased microvascular permeability and endothelial fenestra- tion induced by vascular endothelial growth factor. J Cell Sci 2995;108 :2369-2379:Chen J, Braet F, Brodsky S, Weinstein T, Romanov V, Noiri E, Gollgorsky MS. VEGF-induced mobilization of caveolae
and increase in permeability of endothelial cells. Am J Physiol Cell Physiol 2002; 282 :C1053-C1063))や、Angiotensin II(Otani a, Takagi H, Suzuma K, Honda Y. Angitensin II potentiates vascular endothelial growth facto
r-induced angiogenic activity in renal microcapillary endothelial cells. Circ Res 1998;82:619-628), Atrial Natriuretic Peptide(ANP)なども内皮細胞の透過性を促進する働きがあるが、これらは投与後の一過性の効果であり、持続投与は患者の他の機能への影響からその治療への応用は困難である。
したがって細胞への障害を回避し、拡張効果の持続性を確保する観点から、好ましい前記アクチンフィラメント妨害薬剤は、Cytochalasin B、 Latruncyulin A、 Swinholide A、 Halichondramide/Dihydorohalichondramide、 Jasplakinolide/ Misakinolideからなる群より少なくとも1種選択されることが望ましい。これらの薬剤単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
さらに、抗血液凝固薬剤などの他の薬剤を併用して適用してもよい。例えば前記中空糸にさらに抗血液凝固薬剤を適用し、抗血栓性を高めた血液濾過器としてもよい。中空糸を血液濾過剤として用いる場合には、担持する薬剤は抗血液凝固剤であることが望ましい。とりわけ初期血栓形成の抑制に極めて有効である、アルガトロバン(抗トロンビン薬)および塩酸サルポグレラート(抗血小板薬)が好ましい。したがって本発明のバイオ人工糸球体は、前記中空糸に抗凝固薬剤を適用し、全身的抗凝固療法を最小限とする血液濾過器であることが望ましい。とりわけ装着持続的血液濾過は、小型高機能化された濾過手段によって簡便に行なうことが求められるが、本発明のバイオ人工糸球体はいわゆる抗血栓性回路を確立してそうした要請に応えるものである。
前記の薬剤の適用は、予め中空糸に該薬剤を担持させてあるか、あるいは使用に先立って、該薬剤を含む流体を流すことによる。そうした適用の方法は、使用する薬剤に基づいて適宜、選択される。例えば、上記の抗凝固薬剤は、必要な量を中空糸に予め担持させる態様が採られるであろうし、前記アクチンフィラメント妨害薬剤は、使用に先立って該薬剤を含む流体を流して、中空糸に付けた内皮細胞のフェネストラ径を拡大することが好ましい。あるいは、アクチンフィラメント妨害薬剤を中空糸の血液流入側に担持させてもよく、使用時に内皮細胞のフェネストラ径が拡大される。
・血液濾過器(濾過容器)
現行の血液濾過装置も、中空糸濾過膜を濾過器内部に収めたカートリッジタイプとして使用されているが、本発明のバイオ人工糸球体も、好ましくはそうしたカートリッジタイプのデバイスである。したがって上記中空糸膜を収める濾過容器は、従来のカートリッジと同じ材質、材料で作製されてよい。持続血液濾過のために装着型または埋め込み型とする場合には、その目的に好適な形態をとり、より小型化させて生体適応性の材料で製造されるのが望ましい。
製造方法
本発明のバイオ人工糸球体の製造方法は、
血液濾過膜である中空糸の内面を患者自身の内皮細胞によって被覆し、次いで
これを濾過容器に収容し、血液濾過に使用する際に、アクチンフィラメント妨害薬剤を適用して該細胞の細胞膜フェネストラの数を増やすか、その孔径を糸球体内皮細胞のフェネ
ストラ孔径の0.5〜2倍まで拡大させるか、あるいはそれら両方の効果により血液濾過を促進させることを特徴としている。
アクチンフィラメント妨害薬剤の適用量として、その薬剤が前記内皮細胞の細胞膜フェネストラの孔径を糸球体内皮細胞のフェネストラ孔径の(フェネストラ孔径の平均値をベースとして)0.5〜2倍、好ましくは0.8〜1.2倍、より好ましくは実質的に1倍まで拡大させるとともに、かつ、その孔径の拡大が少なくとも持続して7日間以上、継続させるのに充分な量であることが望ましい。あるいはアクチンフィラメント妨害薬剤の適用により細胞膜フェネストラの数を増やす効果が得られてもよく、このように前記薬剤を適用して該細胞の細胞膜フェネストラの数を増やすか、その孔径を拡大させるか、あるいはそれら両方の効果により血液濾過を促進させる。
中空糸内面に被覆された内皮細胞の細胞膜フェネストラ径の拡大が、少なくとも持続して7日間、継続させるのは、腎不全患者の持続血液濾過を実現するのに7日未満では実質的に不充分であるからである。したがって1本の血液濾過器は、持続濾過時に少なくとも1週間以上、機能することが望ましい。このようなフェネストラ孔径の拡大と、拡大の持続時間は、実効のある持続濾過のために必要とされる。この意味から本発明のバイオ人工糸球体は、間欠的な血液透析用はもちろん、完全な腎機能の代行を目指す人工腎臓用に好適である。
患者の血管内皮前駆細胞の採取は、以下のようにして行う。本治療法の意義と具体的方法、問題点を十分に説明し、治療に同意を得た末期腎不全患者から、Leukapheresis用COBEシステムなど遠心分離血球分画機により1)、患者末梢血液を数リットル処理し、単核球
分画を採取する。採取された単核細胞を、Lymphoprep mediumを用いた濃度勾配法にて分
離するか、または、細胞濾過デバイスを用いて分離する2)。CD133陽性単核細胞は、magnetic cell sortingにて採取し、EBM-2培地を用いて培養する。内皮細胞化の証明として、
(1)ecNOS, Flk-1/KDR (VEGFR-2), CD31のmRNA発現をRT-PCRにより、(2)VEGFあるいはAcetylcholineの刺激によるNO分泌反応などで評価する。採取した内皮細胞は中空糸モ
ジュール内に107〜108個/mlの密度で90℃ごとに回転させて4回播種する。播種後の中空糸モジュールをCO2インキュベーターにて培養し、コンフルエントな単層を形成したところ
でCytochalasin Bをメディウム中に10μg/mlの濃度で添加して2時間培養する。CytochalasinB添加メディウムは、Cytochalasin B無添加メディウムで充分に洗浄し、患者の持続濾過治療に用いる。
文献
1)Hernandez DA, et al. Human endothelial cell cultures from progenitor cells obtained by leukapheresis. Am Surgeon2000;66:355―359
2)Aoki M, et al. Derivation of functional endothelial progenitor cells from human umbilical cord blood mononuclear cells isolated by a novel cell filtration device. Stem Cells 2004;22:994-1002 www.StemCells.co m
患者から得た内皮細胞を中空糸内に生着させるには、例えば膜面積0.4m2ポリスルホン膜中空糸デバイス(中空糸1600本、内径300nm)の場合、血管内皮細胞を106/mLの密度で
中空糸内に1時間ごとに4回播種させると、24時間以内にコンフルエントな単層が形成されることを本発明者は確認している。小型持続濾過器のためには、膜面積0.2m2ポリスルホン膜中空糸を使用するのがよい。内皮細胞が中空糸内面に定着することを促進するために、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンに代表される細胞接着性タンパク質、接着性のポリマーなどにより細胞播種前に中空糸表面を被覆してもよい。
血液は腎臓の糸球体で濾過され、血球およびタンパク質以外の物質は、原尿として尿細
管へ移行し、尿細管で必要なものは再吸収され、老廃物などは分泌されて、尿を形成し体外に排泄される。生体の腎臓は、代謝、血圧・電解質調節、内分泌機能をも発揮しているが、それらの機能に関与する細胞種が多く複雑であることから、最も再生し難い臓器の一つと考えられる。
現用人工腎臓およびそれを使用する治療は技術的に確立されているが、現用人工腎臓の機能は生体腎臓の機能にはるかに及ばず、体内老廃物の除去ならびに電解質調整の一部を代行するにすぎない。すなわち選択性に乏しくアミノ酸やホルモンといった有用物質も除去してしまい、生体腎臓のもつ代謝・内分泌機能は代替できないために、患者は種々の合併症に苦しんでいる。このような理由から次世代型人工腎臓治療として連続的かつ高効率なシステムの開発が不可欠となっている。携帯型人工腎臓治療や透析液再生型腹膜透析など、新しい人工腎臓治療システムの開発が進められている。患者由来の糸球体/尿細管細胞もしくは遺伝子導入により同様な機能を強化した細胞を用いたバイオ人工腎臓システムの開発が目指されている。
高い血液適合性と抗血栓性を有しながら、なおかつ高い濾過性能を用いうるバイオ人工糸球体の開発には、患者自身の血管内皮細胞を用いて血液濾過器の濾過膜内面をコンフルエントな細胞単層を形成させ、大きなフェネストラを形成させることが必要である。本発明は、糸球体内皮細胞の細胞膜にあるフェネストラという穴(窓)の数と径の拡大および
持続時間の延長を、薬剤を添加することで可能としたバイオ人工糸球体であり、その製造方法である。このような薬剤の適用と得られる効果は、バイオ人工糸球体の透析効率を長期間維持する上で重要である。なお薬剤を添加することでフェネストラの数が増加することは、肝臓の細胞について報告されているが、フェネストラ径の拡大についての言及は全くなく、その持続時間も短いとされていた。
本発明者は、Cytochalasin Bなどのアクチンフィラメント妨害薬を用い、その濃度と作用時間を変化させて、ラット糸球体内皮細胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞(Human umbilical vein endothelial cells;HUVEC)のフェネストラ径の変化と静水圧下の濾過量の測定を行なった。また、Cytochalasin B処理数日後のその径と濾過量の推移を検索した。過去に濾過液量の変化を考慮に入れた検討はなされていない。本発明者の検討からラット糸球体内皮細胞、HUVECにおいてはCytochalasin B処理7日後にも、細胞障害は見られずフェネストラ径は拡大した状態であること、静水圧下濾過液量増加も維持されることが明らかとなった。
HUVECを用いた場合でもラット糸球体内皮細胞と同様の結果が得られたことより、有窓内皮細胞は、Cytochalasin BあるいはLatrunculin Aの作用により、そのフェネスト
ラ径の持続的拡大が見られた。これより、血管内皮細胞でも同様の効果が得られることがわかった。
本発明のバイオ人工糸球体は、本発明者が作製したバイオ人工尿細管(Saito A, Artif
Organs 28、 2004)と併せて、完成な人工腎臓(図1)開発の先駆けにもなり得るもの
と考える。
本明細書に記載される使用材料はこの発明の範囲内の好適例にすぎない。また、以下の実施例中で用いる装置名および、使用材料の濃度、使用量、処理時間、処理温度等の数値的条件、処理方法等はこの発明の範囲内の好適例にすぎない。また、以下の説明をいくつかの図を参照して行なうが、これらの図はこの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。
[実施例]
ラット糸球体内皮細胞のフェネストラ径を拡大させるため、アクチンフィラメント(actin filament)妨害薬の一つであるCytochalasin B 10μg/mlを、該内皮細胞を播種した培
地に2時間加えるとラット糸球体内皮細胞のフェネストラ径が著明に大きくなり、細胞障害もなくフェネストラの拡大は少なくとも5日間以上保たれた(図2-A、B)。
次にFluorescence-phalloidinによるアクチンフィラメント染色にて、Cytochalasin B
を加えた群では、アクチンフィラメントの妨害(interruption)が確認され、斑点状のアクチンフィラメントが散在していた(図3-A、B)。
10 μg/ml Cytochalasin Bで2時間処理した後、4日目のラット糸球体内皮細胞をtranswellに播種、コンフルエントな状態になった段階で同一の静水圧下での対側への水移行
を測定した。Transwellを用いた実験で、Cytochalasin B(CB)を培地に2時間加え、4日後にHorse radish Peroxidase濾過実験を行ったところ、Cytochalasin Bで処理した群
では非処理群に比し有意の水移行が見られた。このことからCytochalasin Bを加えない群に比べ、約6倍の濾過性を保たれたことがわかった(図4)。
ラット糸球体内皮細胞以外の内皮細胞を用いる実験として、HUVEC(ヒト臍帯血静脈内皮細胞)に、Cytochalasin BあるいはLatrunculin A (LA)を加えて、同様に濾過実験を行った(図5-A〜5-C)。
HUVECのコンフルエントな単層培養液中に、Cytochalasin B 10μg/dlを添加し、
あるいは添加せずに培養して、7日後に走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscopy;SEM)で観察した。図5-BのSEM像(15000倍)から、細胞障害もなくフェネス
トラの明らかな拡大が認められた。
他方、HUVEC培養液中にLatrunculin A (LA)を添加して2時間反応させた後、メディウムを変えて4日間培養し、SEM(×15000)で観察した。その結果、HUVECに
おいてもLAの添加により明らかなフェネストラ径の拡大が認められた(図5-C)。
内皮細胞のフェネストラは細胞内のアクチンフィラメントにより形成・維持されており、そのアクチンフィラメントの阻害によりフェネストラ数を増加できることは、肝sinusoid内皮細胞において示されていたが、フェネストラの径の拡大は見られず、しかもその増加の状態は僅か数分後には元に戻るとされていた。上記の結果は、バイオ人工糸球体の機能に好適な特性が付与されることを示すものである。
図1はバイオ人工腎臓の模式図を表す。図中のA、Vはそれぞれ動脈、静脈を意味する。 図2-Aは、Cytochalasin B不在で培養したラット糸球体(Glomerular)内皮細胞のSEM写真である。(Scale bar = 1 μm) 図2-Bは10 μg/ml Cytochalasin Bの存在下(2時間)、培養したラット糸球体内皮細胞のSEM写真である。図2-Aと同一の拡大倍率である(Scale bar = 1 μm)。 図3-AはCytochalasin B不在下での、Fluorescence-phalloidinによるactin filament 染色結果を示す。 図3-BはCytochalasin B存在下での、Fluorescence-phalloidinによるactin filament 染色結果を示す。 図4は10 μg/ml Cytochalasin Bで2時間処理し、4日目のrat糸球体内皮細胞をtranswellに播種、コンフルエントな状態になった段階で同一の静水圧下での対側への水移行を測定した。ODは、光学密度である。Cytochalasin B(CB)で処理した内皮細胞群(Cells with CB)では非処理内皮細胞群(Cells without CB)に比し有意の水移行が見られた。 図5-AはHUVECのコンフルエントな単層培養液中にCytochalasin B を添加しない場合、7日後のSEM像(15000倍)を示す。 図5-BはHUVECのコンフルエントな単層培養液中にCytochalasin B 10μg/dlを添加して7日後のSEM像(15000倍)を示す。フェネストラの明らかな拡大が認められる。 図5-Cは、HUVEC培養液中にLatrunculin A (LA)を添加して2時間反応させた後、メディウムを変えて4日間培養し、SEM(×15000)で観察した顕微鏡写真である。HUVECにおいてもLAの添加により明らかなフェネストラ径の拡大が認められた。

Claims (9)

  1. 血液濾過器として、患者自身の内皮細胞を用いて内面を被覆した中空糸の血液濾過膜とこれを収容する濾過容器とからなるバイオ人工糸球体であり、アクチンフィラメント妨害薬剤の適用により、少なくとも7日間持続して、該細胞の細胞膜に無数に存在する円形小穴の数えたことおよび/または、その孔径糸球体内皮細胞の細胞膜に無数に存在する円形小穴の孔径の0.5〜2倍まで拡大したことを特徴とするバイオ人工糸球体。
  2. 前記内皮細胞が血管内皮細胞である、請求項1に記載のバイオ人工糸球体。
  3. 前記内皮細胞が患者から採取された内皮前駆細胞由来である、請求項1または2に記載のバイオ人工糸球体。
  4. 前記アクチンフィラメント妨害薬剤が、Cytochalasin B、 Latruncyulin A、 Swinholide A、 Halichondramide/Dihydorohalichondramide、 Jasplakinolide /Misakinolideからなる群より少なくとも1種選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のバイオ人工糸球体。
  5. 前記中空糸に抗血液凝固薬剤を適用し、全身的抗凝固療法を最小限とする血液濾過器であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のバイオ人工糸球体。
  6. 前記中空糸が、ポリスルホン、セルロース酢酸、またはポリイミドからの膜で形成されている、請求項1〜のいずれかに記載のバイオ人工糸球体。
  7. 前記の薬剤の適用が、予め中空糸に該薬剤を担持させてあるか、あるいは使用に先立って、該薬剤を含む流体を流すことによる、請求項1〜6のいずれかに記載のバイオ人工糸球体。
  8. 血液濾過膜である中空糸の内面を患者自身の内皮細胞によって被覆し、次いで
    これを濾過容器に収容し、血液濾過に使用する際に、アクチンフィラメント妨害薬剤を適用して該細胞の細胞膜に無数に存在する円形小穴の数を増やすことおよび/または、その孔径を糸球体内皮細胞の細胞膜に無数に存在する円形小穴の孔径の0.5〜2倍まで拡大させることを特徴とする、バイオ人工糸球体の製造方法。
  9. アクチンフィラメント妨害薬剤の適用量として、その薬剤が前記内皮細胞の細胞膜に無数に存在する円形小穴の孔径を糸球体内皮細胞の細胞膜に無数に存在する円形小穴の孔径の0.5〜2倍、拡大させるとともに、かつ、その孔径の拡大が少なくとも持続して7日間、継続させるのに充分な量である、請求項に記載のバイオ人工糸球体の製造方法。
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