(実施の形態1)
図1は本実施の形態の所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。図1の所要時間情報提供装置は、蓄積した走行履歴から、2地点間を結ぶ異なる経路を抽出し、それぞれの経路に関する所要時間情報を通知する所要時間情報提供装置であって、地点取得部101、時刻取得部102、履歴蓄積部103、地図蓄積部104、ノード抽出部111、経路抽出部105、仮定部112、分割部113、判定部114、情報取得部107、情報算出部108、通知部109及び情報提供部110を備えている。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本所要時間情報提供装置の動作について説明する。
地点取得部101は、GPSアンテナまたはICタグ、基地局通信、画像認識等により、車両の現在の存在地点を検知する。例えば、東経「134.5.59.9」、北緯「34.5.15.6」のように車両の経度、緯度の情報を検知する。
時刻取得部102は、装置内の時計や、GPSアンテナにより現在時刻を取得する。例えば「2006年4月20日11時13分20秒」のように年月日時分秒を取得する。
ここで、地点取得部101と時刻取得部102とは、現在時刻と前記移動体の現在位置との組を取得する現在位置取得手段の一例である。
履歴蓄積部103は、所定の間隔で取得された時刻と、前記各時刻に移動体が位置していた地点との組で表される移動履歴を蓄積する履歴蓄積手段の一例であり、本実施の形態では地点取得部101が取得した車両の存在地点と時刻取得部102が取得した時刻の履歴を走行履歴として蓄積する。図2は、履歴蓄積部に蓄積された走行履歴の例を示す図である。例えば、図2のように1秒ごとに地点情報を時系列順に蓄積する。例えば、図2のID「001」は時刻「9月20日7時0分0秒」に車両が東経「134.5.28.9」、北緯「34.5.15.7」の地点に存在していたことを示す。
地図蓄積部104は、道路のノードID、ノード存在位置や接続ノード、リンクIDといった地図情報を蓄積する。図3は、地図情報蓄積部に蓄積された地図情報の例を示す図である。例えば、図3のように、ノードID、ノード位置、接続ノード、ノード間を結ぶリンクIDが蓄積されている。図3のノードID「001」はノード位置が経度「134.3.0.9」であり、緯度が「34.6.3.6」であり、ノードID「002」「003」「004」「005」と接続している。また、リンクID「001」は始点ノードID「001」と終点ノードID「002」を結ぶリンクであることを示す。
ノード抽出部111は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報を参照し、履歴蓄積部103に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列を抽出する。つまり、走行履歴中の車両の存在地点と場所が一致する地図情報中のノードIDを時系列順に抽出する。具体的には、走行履歴中の地点から距離が閾値以内にある地図情報のノードIDを探索し、存在すれば抽出する。閾値は例えば、予め既定した道路幅、車両が1秒間に進む最大距離、GPS誤差から決定する。ただし、直前に抽出したノードと同じノードIDは抽出しない。閾値の決定方法は、例えば、道路幅を25m、車両が1秒間に進む最大距離を、一般道の最高時速である時速60kmの車が1秒間に進む距離である60000/3600(=約17)mとし、GPS誤差を10mとすると、それらの和である50(=約52)mとする。図4は、ノード抽出部がノード系列を抽出する例を示す図である。図4を例として説明する。簡易的に、経度2.25秒を50m、緯度1.5秒を50mとすると、図4の地図蓄積部104に蓄積されたノードのうち、ID001の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.2.6)から閾値50m以内に存在するノードは、ノードID001(緯度差1秒<1.5秒)である。よってノードID001を抽出する。ID002の走行履歴について閾値50m以内に存在するノードは、ノードID001であるが、直前に抽出したノードID001と同一であるため、抽出しない。ID003〜006の走行履歴については閾値50m以内にノードが存在しないため抽出しない。ID007の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.9.6)については閾値50m以内に存在するノードはノードID003(経度134.3.0.9、緯度34.6.10.6)であるため、ノードID003を抽出する。抽出したノードIDを走行履歴の時刻順に並べたノードID系列、図4の場合「001→003」を抽出する。
なお、地図蓄積部104の接続ノード情報から、接続されているノードIDのみを抽出するとなおよい。例えば、図3のように地図情報が蓄積されていたとき、ノードID001から接続されているノードIDは、002、003、004、005である。よってノードID001の直後は、002、003、004、005のうちいずれか一つしか抽出しない。
なお、ノードID系列の代わりにリンクID系列を抽出しても良い。
経路抽出部105は、前記履歴蓄積手段に蓄積されている地点を時刻の順に結んで表される複数の移動経路のうちから、2以上の前記移動経路に共通する2地点を結ぶ複数の異なる移動経路を抽出する経路抽出手段の一例であり、本実施の形態では、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列、地図蓄積部104に蓄積された地図情報から、分岐点と合流点を示すノードID、及び分岐点と合流点を結ぶ複数の経路を示すノードID系列群を抽出する。図5は、分岐点、合流点、抽出経路の例を示す図である。例えば、ノード抽出部111が図5のような走行履歴のノードID系列(・・・→001→002→003→004→007→・・・→001→002→003→005→006→004→007→・・・)を抽出していた場合、分岐点(ノードID003)、と合流点(ノードID004)」、それらを結ぶ複数の経路を表すノード系列(Aルート003→004)(Bルート003→005→006→004)を抽出する。経路抽出部105は仮定部112、分割部113、判定部114により構成される。
仮定部112は、抽出したノードID系列中に存在する任意のノードID二つを仮想分岐点ID、仮想合流点IDとしてそれぞれ仮定する。これは抽出したノードID系列に存在する全てのノードIDについて行う。例えば、ノードID系列として「・・・→001→002→003→004→007→・・・→001→002→003→005→006→007→・・・」が抽出されていたとき、仮想分岐点IDを001と合流点IDを002、仮想分岐点001と仮想合流点ID003、仮想分岐点001と仮想合流点ID004、・・・のように全ての組み合わせについて仮定する。
分割部113は、ノード抽出部111が抽出したノードID系列を分割し、仮定部112が仮定した仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列を抽出する。具体的には、ノードID系列を前方から順に仮想分岐点IDと一致するノードIDを探索する。見つかった場合、そのノードIDの直後から仮想合流点IDと一致するノードIDを探索する。見つかった場合、仮想分岐点IDと一致するノードIDから仮想合流点IDと一致するノードIDまでの一連の系列を仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列として抽出する。同様に、残りのノードID系列について抽出を繰り返し、仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列を全て抽出する。
しかし、経路の中には同一の交差点ノードを二回以上通るような明らかに遠回りとなる余分な経路が存在する。図6は、遠回りとなる例を示す図である。例えば、図6のように仮想分岐点ID003、仮想合流点ID004を仮定したときに、それらを結ぶルートとしてCルート(003→008→009→008→010→004)が抽出できたとする。しかし、これはノード009近傍に目的地が存在した、迷ったなどの理由でノード008を二回通ったと考えられ、仮想分岐点ID003、仮想合流点ID004を結ぶ所要時間が最短の経路とは明らかに言えない。そこで、抽出するノードID系列は、同一のIDが二つ以上存在しない経路のみ抽出する。言い換えれば分岐点と合流点を一筆書きで結ぶような経路のみ抽出する。これにより、たとえ走行履歴に存在したとしても、ユーザが合流点に向かうときには一般的に通らない、同じノードを二度以上通る経路における所要時間情報をフィルタリングすることができるため、ユーザに余分な情報を与えて混乱させることがないという利点がある。
判定部114は、前記2地点のうち、複数の移動経路に分岐する地点を分岐点とし、複数の前記移動経路が合流する地点を合流点として、共通の分岐点と合流点とを結ぶ複数の移動経路のうち、移動経路同士で互いに一致する部分を含まない複数の移動経路を抽出する前記経路抽出手段の一例である。判定部114は、仮定部112が仮定した仮想分岐点と仮想合流点の真偽を判定し、分割部113が抽出したノードID系列群に対して、真に分岐点、合流点となっている分岐点、合流点、及びそれらを結ぶ複数の経路を示すノードID系列群を抽出する。具体的には、仮想分岐点から仮想合流点までの複数のノードID系列のうち、分岐点及び合流点以外のノードIDが一つも一致しないノードID系列の組み合わせが存在するときに真とする。組み合わせが存在しないときは別のノードIDが分岐点、合流点と考えられるため偽とする。また、判定部114は、共通の分岐点と合流点とを結ぶ複数の移動経路のうち、いずれの1つも同じ経路を2度以上含まない移動経路を抽出する前記経路抽出手段の一例である。図7は、判定部が偽と判定する分岐点、合流点の例を示す図である。例えば、図7のように、仮想分岐点ID002、仮想合流点ID004を仮定したときに、それらを一筆書きで結ぶ経路として、Dルート(002→003→004)、Eルート(002→003→005→006→004)の2種類が存在したとする。このとき、ノードID003は、Dルート、Eルート共に存在する。よって、仮想分岐点ID002は分岐点ではないため、偽と判定する。図8は、判定部が真と判定する分岐点、合流点の例を示す図である。しかし、図8のように、仮想分岐点ID002、仮想分岐点ID004を仮定したときに、それらを一筆書きで結ぶ経路として、Dルート(002→003→004)、Eルート(002→003→005→006→004)、Fルート(002→011→008→010→004)の3種類が存在したとする。このとき、ノードID003は、Dルート、Eルート共に存在するが、Fルートでは存在しない。このため仮想分岐点、仮想合流点を真と判定し、真と判定された仮想分岐点、仮想合流点を分岐点、合流点として、D,E,FルートのノードID系列と共に出力する。
情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する。図9は、情報取得部が取得する所要時間情報の例を示す図である。例えば、図9のようにリンクID001に対して所要時間90秒といった所要時間情報を取得する。
情報算出部108は、前記経路抽出手段によって抽出された前記移動経路ごとに、前記2地点間の移動に要する所要時間情報を算出する情報算出手段の一例であり、本実施の形態では、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、経路抽出部105が抽出した分岐点、合流点、分岐点と合流点を結ぶ複数の経路(ノードID系列)中の所要時間情報を算出する。算出する所要時間情報は、抽出した複数の経路のうち、どれか一つの経路の所要時間でもよいし、経路中の渋滞情報でもよい。また、抽出した複数の経路の所要時間の大小関係情報でも良い。算出した所要時間情報は抽出した分岐点と組にして出力する。また、情報算出部108は、分岐点と合流点との間の異なる複数の前記移動経路について、移動経路同士の所要時間の大小関係を表す所要時間情報を算出する前記情報算出手段の一例である。
図10は、情報算出部が抽出した経路中の所要時間情報を算出する例を示す図である。例えば、図10のように、分岐点ID003、合流点ID004について、Aルート(003→004)、Bルート(003→005→006→004)のノードID系列が抽出されたとする。このとき、Aルートの所要時間を算出すると、地図情報からノードID003とノードID004を結ぶリンクIDが020であり、情報取得部107が取得した情報からリンクID020の所要時間は600秒である。よってAルートの所要時間は600秒である。次にBルートの所要時間を算出すると、地図情報からノードID系列(003→005→006→004)に対応するリンクID系列は(021→022→023)である。取得情報からリンクID系列(021→022→023)の所要時間は、480秒(=60+360+60)である。よって、Bルートの所要時間は480秒である。このことから、分岐点ID003について、Bルートの方がAルートよりも120秒(=600−480)早いという所要時間情報が算出される。
また、渋滞情報の取得手法について例により説明する。地図蓄積部にリンクIDに対してリンク距離と道路リンク種別を予め蓄積する。リンク距離はリンクの長さであり、道路リンク種別は一般道路、都市内高速道路、都市間高速道路を示す。例えば経路抽出部105が抽出したノードID系列に対応するリンクID系列のそれぞれのリンクIDについて、所要時間とリンク距離から時速を算出し、時速とリンク種別に対する渋滞の一般的な定義に従い、例えばリンクが一般道路であり、時速10km以下であれば渋滞と判別することで、経路中の渋滞情報を取得できる。
通知部109は、前記移動体の現在位置が、抽出された分岐点から所定の閾値以内の距離に近づいたとき算出された所要時間情報を提供する前記情報提供手段の一例であり、本実施の形態でば、地点取得部101が取得した車両の現在地点から閾値以内の距離に、経路抽出部が抽出した分岐点が存在するときに、その分岐点に関連する情報を通知可とする。具体的には通知可能となった分岐点ID(及び合流点ID)を出力する、閾値は、例えば情報通知後ユーザがどちらの経路を進むか考えるだけの余裕がある距離として、5kmとする。
情報提供部110は、算出された前記所要時間情報を前記移動体の現在位置に関連付けて利用者に提供する情報提供手段の一例であり、本実施の形態では、通知部109が通知可能と判断した分岐点IDに対して、情報算出部108が算出した所要時間情報のうち、分岐点IDが一致する情報をユーザに提供する。図11は、情報提供部が所要時間情報を提供する例を示す図である。例えば、図11のように通知部109が通知可能と判断した分岐点がノードID003であり、情報算出部108が算出した所要時間情報が分岐点ID003に対して「Bルート(003→005→006→004)がAルート(003→004)より120秒早い」、分岐点ID022に対して「Cルート(022→023→024)がDルート(022→025→024)より240秒早い」であったとする。このとき、通知可能分岐点ID003に対応する所要時間情報「Bルート(003→005→006→004)がAルート(003→004)より120秒早い」を情報提供装置の画面に表示する。
本実施の形態のように、所要時間情報提供装置では、ノードに対する仮想分岐点及び仮想合流点の仮定と真偽判定により、分岐点、合流点を抽出する。これにより、走行履歴に存在し、ユーザが通る可能性のある全ての経路から、二地点間の異なる経路を全て抽出することができる。比較のために簡易的に異なる経路を算出する手法を説明する。経路抽出部105は、所定時間以上エンジンが停止していた地点を移動経路の出発地または移動先として、前記エンジン停止地点で移動履歴を区切って蓄積する前記履歴蓄積手段の一例であり、本実施の形態では、経路抽出部105が、ノード抽出部111が抽出した走行履歴を表すノードID系列を所定の始点と終点により分割したとする。例えば車両が駐車した地点、つまりエンジンをON、OFFした地点を始点、終点とする。そして、始点と終点が一致するノードID系列のうち、異なるノードIDが存在する系列を抽出することでも、異なる経路は抽出できる。しかし、分岐点、合流点は所定の始点、終点と一致するとは限らないため、別の始点、終点を持つノードID系列も用いないと、全ての異なる経路を抽出することはできない。図12は、始点、終点が一致しないノードID系列からでも2地点間を結ぶ異なる経路を抽出できる例を示す図である。例えば、図12のように、エンジンをON、OFFした地点がノードID030、033、031、008であり、それを始点、終点としてノードID系列を分割したところ、A''ルート(030→001→002→003→004→007→033)とB''ルート(031→001→002→003→005→006→004→007→032)に分割されたとする。このとき、A''ルートにおける始点(030)、終点(033)と、B''ルートにおける始点(031)、終点(032)は一致しないため、異なる経路が抽出できない。しかし、本実施の形態のように分岐点と合流点を抽出することで、Aルート(003→004)とBルート(003→005→006→004)という分岐点(003)と合流点(004)を結ぶ異なるルートを抽出することができる。これにより、履歴に存在し、ユーザが通る可能性のある全てのルートを抽出できるため、ユーザが所要時間を比較したい経路を、より忠実に抽出し、情報を提供することができる。
また、本実施の形態のようにノードに対する分岐点合流点の仮定と真偽判定により、分岐点、合流点を抽出することで、実際に異なる経路の情報のみを提供することができる。これは特にルートの渋滞情報の提供に有効である。図13は、異なる経路以外の渋滞情報も提供する例を示す図である。例えば、分岐点合流点の抽出を行わなかったとして、図13のように走行履歴から二地点間の異なる経路A'ルート(001→002→003→004→007)とB'ルート(001→002→003→005→006→004→007)が抽出できたとする。このとき、ノードID001とノードID003を結ぶルートはA'ルート、B'ルートの共通部分である。ユーザはノードID007に向かう場合は、このルート(001→002→003)以外のルートを通ろうとは通常考えていないため、このルート(001→002→003)の渋滞情報を提供するより、共通しない部分(例えば003→004)のルートの渋滞情報を提供する方がユーザにとって好ましい。本実施の形態では、共通しないAルート(003→004)とBルート(003→005→006→004)の渋滞情報のみを提供することができる。もしくは、他の渋滞情報に比べて強調することができる。つまり本実施の形態ではユーザへの情報をフィルタリングできるため、ユーザが欲しいと思っている情報のみを提供することができる。
また、分岐点が算出できるため、車両の現在地点と分岐点の距離に応じて情報の提供タイミングを調整することができる。このため、現在位置が分岐点に近づいたときにユーザに警告し、ユーザに注意を促すこともできる。これにより、ユーザが欲するタイミングで情報を提供することができる。
図14は、本発明の実施の形態における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態1の所要時間情報提供装置における各部の動作を、図14のフローチャートを用いて説明する。
時刻取得部102は、現在時刻を取得する(ステップS1201)。地点取得部101は、車両の現在地点を取得する(ステップS1202)。履歴蓄積部103は、時刻取得部102が取得した現在時刻と、地点取得部101が取得した車両の現在地点を走行履歴として蓄積する(ステップS1203)。ノード抽出部111は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報を参照し、履歴蓄積部103に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列を抽出する(ステップS1204)。仮定部112は、抽出したノードID系列中に存在する任意のノードID二つを仮想分岐点ID、仮想合流点IDとしてそれぞれ仮定する(ステップS1205)。分割部113は、ノード抽出部111が抽出したノードID系列を分割し、仮定部112が仮定した仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS1206)。分割部113は、抽出したノードID系列群の中から、同一ノードを含まないノードID系列のみ抽出する(ステップS1207)。判定部114は、仮定部112が仮定した仮想分岐点と仮想合流点について、対応する分割部113が抽出したノードID系列群の中に、分岐点、合流点以外にノードIDが全て異なるノードID系列の組み合わせが存在するものについて、分岐点、合流点、及び分岐点と合流点を結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS1208)。情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS1209)。情報算出部108は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、判定部114が抽出した分岐点と合流点を結ぶノードID系列中の所要時間情報を算出する(ステップS1210)。通知部109は、地点取得部101が取得した車両の現在地点から閾値以内の距離に、判定部114が抽出した分岐点が存在するかどうかの判定を行い(ステップS1211)、存在したときは、ステップS1212に進む(ステップS1211のYes)。存在しなかったときは、ステップS1201に戻る(ステップS1211のNo)。現在地点の近傍に分岐点が存在したとき、情報提供部110は、通知部109が現在地点の近傍に存在すると判定した分岐点に対して、情報算出部108が算出した所要時間情報のうち、分岐点が一致する情報をユーザに提供する(ステップS1212)。終了するか判定を行い(ステップS1213)、終了するならば、処理を終了する(ステップS1213のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS1213のNo)。
(実施の形態1の変形例1)
なお、実施の形態1では、経路抽出部105は、分岐点と合流点を結ぶ複数種類のノードID系列を抽出し、それらのノードID系列がユーザにとって所要時間を比較したい経路としていた。しかし、分岐点と合流点が一致するノードID系列でもユーザが比較したいと思っていない経路も存在する。信号が少ない地域など、右折、左折が困難ではない地域であれば実施の形態1の手法でも有効である。しかし特に右折、左折が困難である地域など、走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数の経路があったとしても、分岐点への進入方向もしくは合流点からの脱出方向が異なる場合、進入方向、脱出方向によって通る経路がユーザにとって決まっており、ユーザは比較したいと思っていない可能性が高い。図15は、分岐点への進入方向、合流点からの脱出方向が異なる例を示す図である。例えば図15のように、走行履歴中に、Gルート(・・・→011→008→010→004→006→・・・)とHルート(・・・012→008→003→004→007→・・・)が存在したとする。このとき、分岐点008、合流点004に対して、008→010→004(Gルートの一部)、008→003→004(Hルートの一部)という2種類の異なるノードID系列が存在する。しかし、ユーザは右折、左折をできるだけ避けるという傾向があるため、分岐点008に011方向から進入したときは003を通ろうとは考えていない可能性がある。同様に、合流点004から007方向に脱出する場合は、010を通ろうとは考えていない可能性がある。つまり、走行履歴に存在しない進入方向、脱出方向に関しては、通る可能性が低い。そこで、走行履歴から分岐点に対する進入方向、合流点に対する脱出方向が一致する経路(ノードID系列群)のみ抽出する。これにより、ユーザが通る可能性があり、所要時間を比較したいと考えている経路の情報のみ提供することができる。
以下本実施の形態の手法について説明する。
図16は、本実施の形態1の変形例1における所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、実施の形態1の変形例1における所要時間情報提供装置は、走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数の経路があったとしても、分岐点への進入方向もしくは合流点からの脱出方向が異なる経路を除外して所要時間情報を提供する所要時間情報提供装置である。前記実施の形態1で示した構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本装置の動作について説明する。
経路抽出部1405は、移動体が前記分岐点を通過する前の移動方向と前記合流点を通過する後の移動方向とのいずれもが、互いに一致する移動経路を抽出する前記経路抽出手段の一例であり、本実施の形態では、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列、地図蓄積部104に蓄積された地図情報から、ユーザが通過する可能性の高い分岐点と合流点を示すノードID、及び分岐点と合流点を結ぶ複数の経路を示すノードID系列群を抽出する。経路抽出部1405は現在ノード抽出部1415、仮定部1412、分割部1413、判定部1414により構成される。
現在ノード抽出部1415は、ノード抽出部111が抽出したノードID系列から車両の現在地点に対応するノードID、つまりノードID系列のうち最後尾のノードIDを現在ノードとして抽出する。例えば、ノードID系列(・・・→030→031→032→011)が抽出されていたときは、現在ノードとして011を抽出する。
仮定部1412は、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列において、現在ノード抽出部1415が抽出したノードIDの直後のノードIDを仮想分岐点として抽出する。これは分岐点への進入方向を考慮するためである。例えば、ノードID系列(・・・→032→011→008→010→004→006→・・・)が抽出され、現在ノードが011であったときは008を仮想分岐点として抽出する。また、ノードID系列において仮想分岐点の後に存在する任意のノードIDを仮想合流点として仮定する。例えば、現在ノードが011であり、ノードID系列(・・・→032→011→008→010→004→006→・・・)が抽出されていたときは、008や010、004、006、・・・を仮想合流点として抽出する。
分割部1413は、ノード抽出部111が抽出したノードID系列を分割し、仮定部1412が仮定した仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列を抽出する。ただし、ノードID系列における仮想分岐点IDの直前のノードIDが、現在ノード抽出部1415が抽出した現在ノードと一致するノードID系列のみ抽出する。また、ノードID系列における仮想合流点IDの直後のノードIDについても合流点後ノードID抽出する。具体的には、ノードID系列を前方から順に仮想分岐点IDと一致するノードIDを探索する。見つかった場合、そのノードIDの直後から仮想合流点IDと一致するノードIDを探索する。見つかった場合、仮想分岐点IDと一致するノードの直前のノードIDから仮想合流点IDと一致するノードの直後のノードIDまでの一連の系列を仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列として抽出する。ただし、分岐点への進入方向を考慮するため、仮想分岐点IDと一致するノードの直前のノードIDが、現在ノード抽出部1415が抽出した現在ノードIDと一致するノードID系列のみ抽出する。例えば、現在ノードが011であり、仮想分岐点IDが008、仮想合流点IDが004、ノードID系列(・・・→032→011→008→010→004→006→・・・)が抽出されていたときは、ノードID系列における仮想合流点ID008の直前のノードIDが011であり、現在ノードID011と一致するため、ノードID系列「008→010→004」と合流点後ノードID006を抽出する。同様に、残りのノードID系列について抽出を繰り返し、仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列群、合流点ノードIDを全て抽出する。また、抽出するノードID系列は、同一のIDが二つ以上存在しない経路のみ抽出する。言い換えれば分岐点と合流点を一筆書きで結ぶような経路のみ抽出する。
判定部1414は、仮定部1412が仮定した仮想分岐点と仮想合流点の真偽を判定し、分割部1413が抽出したノードID系列群に対して、真に分岐点、合流点となっている分岐点、合流点、及びそれらを結ぶ複数の経路を示すノードID系列群を抽出する。具体的には、仮想分岐点から仮想合流点までの複数のノードID系列のうち、分岐点及び合流点以外のノードIDが一つも一致しないノードID系列の組み合わせが存在し、しかもそのノードID系列において合流点後ノードIDが一致するときに真とし、その組み合わせのノードID系列群のみ出力する。組み合わせが存在しないときは別のノードIDが分岐点、合流点と考えられるため偽とする。図17は、判定部が同じ合流点後IDの組み合わせを出力する例を示す図である。例えば図17のように、仮想分岐点ID008、仮想合流点ID004を仮定したときに、それらを一筆書きで結ぶ経路として、Gルート(008→010→004)合流点後ID006、Hルート(008→003→004)合流点後ID007、Iルート(008→004)合流点後ID006の3種類が存在したとする。このとき、分岐点、合流点以外に一致するノードは存在しない。しかし、合流点後IDが一致する組み合わせはGルート(合流点後ID006)とIルート(合流点後ID006)のみであるため、分岐点ID008、合流点ID004及びGルートノードID系列(008→010→004)、IルートノードID系列(008→004)のみを出力する。これは、もしノードID007に向かっている場合は、ユーザはHルート(008→003→004)を通ると決まっていて、所要時間を比較したいとは考えていない可能性が高いためである。しかしノードID006に向かっている場合は、ユーザはGルート(008→010→004)とIルート(008→004)の双方を通る可能性があり、所要時間を比較したいとは考えている可能性が高い。
通知部1409は、判定部1414が現在ノードの直後にある分岐点を出力したときに、その分岐点に関連する情報を通知可とする。
図18は、本発明の実施の形態1の変形例1における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態1の変形例1の所要時間情報提供装置の動作を、図18のフローチャートを用いて説明する。実施の形態1で説明した処理については説明を省略する。
実施の形態1と同様に、ノード抽出部111がノードID系列を抽出した後(ステップS1204)、現在ノード抽出部1415は、ノード抽出部111が抽出したノードID系列から車両の現在地点のノードIDを抽出する(ステップS1605)。仮定部1412は、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列において、現在ノード抽出部1415が抽出したノードIDの直後のノードIDを仮想分岐点として仮定する(ステップS1606)。仮定部1412は、ノードID系列において仮想分岐点の後に存在する任意のノードIDを仮想合流点として仮定する(ステップS1607)。分割部1413は、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列について、前方から順に仮定部1412が仮定した仮想分岐点IDと一致するノードIDを探索する(ステップS1608)。分割部1413は、ノードID系列において仮想分岐点IDと一致するノードIDの直前のノードIDが、現在ノード抽出部1415が抽出した現在ノードIDと一致するかどうか判定を行い(ステップS1609)、一致したときは、ステップS1610に進む(ステップS1609のYes)。現在ノードIDと一致しなかったときは、ステップS1608に戻る(ステップS1609のNo)。分割部1413は、ノードID系列において、仮想分岐点IDと一致するノードから仮想合流点IDと一致するノードまでにIDが同一であるノードが含まれるかを判定し(ステップS1610)、含まれる場合は、ステップS1608に戻る(ステップS1610のYes)。同一ノードが含まれない場合は、ステップS1611に進む(ステップS1610のNo)。分割部1413は、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列において仮想分岐点IDと一致するノードから仮想合流点IDと一致するノードまでのノードID系列及び仮想合流点IDと一致するノードの直後のIDを合流点後IDとして抽出する(ステップS1611)。分割部1413は、仮想分岐点IDと一致するノードの探索が、ノード抽出部111により抽出されたノードID系列の終端まで行われたかどうかの判定を行い(ステップS1612)、探索が終端まで行われた場合は、ステップS1613に進む(ステップS1612のYes)。探索が終端まで行われていない場合は、ステップS1608に戻る(ステップS1612のNo)。判定部1414は、仮定部1412が仮定した仮想分岐点と仮想合流点について、対応する分割部113が抽出したノードID系列群の中に、分岐点、合流点以外にノードIDが全て異なるノードID系列の組み合わせが存在するものについて、分岐点、合流点、及ぶそれらを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS1613)。判定部1414は、抽出したノードID系列のうち、合流点後ノードIDが一致する組み合わせがあるノードID系列群のみを抽出する(ステップS1614)。情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS1615)。情報算出部108は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、判定部1414が抽出した分岐点と合流点を結ぶノードID系列中の所要時間情報を算出する(ステップS1616)。通知部1409は、判定部1414が抽出した分岐点が存在するかどうかの判定を行い(ステップS1617)、存在したときは、ステップS1618に進む(ステップS1617のYes)。存在しなかったときは、ステップS1201に戻る(ステップS1617のNo)。分岐点が存在したとき、情報提供部110は、情報算出部108が算出した所要時間情報をユーザに提供する(ステップS1618)。終了するか判定を行い(ステップS1619)、終了するならば、処理を終了する(ステップS1619のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS1619のNo)。
(実施の形態1の変形例2)
なお、実施の形態1では、走行履歴中に、分岐点から合流点までの異なるノードID系列が存在したときにユーザにとって所要時間を比較したい経路が存在するとしていた。寄り道を行わず、自宅と目的地の往復ばかり行うユーザに対しては、実施の形態1は有効である。しかし、自宅と目的地の間に別の目的地(経由地)に立ち寄るユーザもいる。このようなユーザは同じ地点に対して向かうときにも店舗や自宅、会社といった目的地(経由地)ランドマークを訪問するために、異なるノードID系列を通ることもある。図19は、ランドマークを訪問するために異なる経路を通る例を示す図である。例えば図19のように、分岐点003と合流点004を結ぶ経路は、Jルート(003→004)とKルート(003→008→012→013→010→004)の二つの経路が走行履歴として存在したとする。しかし、この場合、ノードID系列(Kルート)はランドマークを訪問するために通っているのであり、そのノードID系列(Kルート)がユーザにとって所要時間を比較したい経路ではない可能性が高い。そこで、ランドマークに駐車したかどうかを判定し、ランドマークに駐車するごとに走行履歴を分割する。これにより、ランドマークを訪問するために通過したノードID系列を削除することができる。例えばノードID系列が・・・→003→008→012→(駐車)→013→010→004→・・・の場合、・・・→003→008→012と013→010→004→・・・に分割する。これにより、一般的に所定の地点に向かう場合にユーザが欲する、どこも経由せずに所定の地点に対して直接向かう経路の情報のみ提供することができる。
(実施の形態1の変形例3)
なお、実施の形態1では、道路の交差点を表すノードIDのみを分岐点、合流点として扱っていた。しかし、ユーザが出発、到着したランドマーク、具体的に駐車したランドマークも分岐点、合流点となりうる。図20は、ランドマークが分岐点となる例を示す図である。例えば、図20の場合、ランドマーク「L001」を出発し、合流点004に向かう場合でも、Lルート(L001→002→003→004)、Mルート(L001→014→008→004)の二種類の走行履歴が存在したとする。このとき、ユーザは分岐点L001を出発したときは、LルートとMルートの双方とも通る可能性があり、所要時間を比較したい経路である可能性が高い。合流点がランドマークである場合も同様である。よってこのような経路においても情報を提供するために、ランドマークに駐車したかどうかを判定し、ランドマークに駐車したときは駐車したランドマークに対して「L001」などのノードIDを付与する。これにより、ランドマークが分岐点、合流点となる場合も情報を提供することができるため、ユーザがどちらを通るか迷っている、より多くの経路について情報を提供することができる。
なお、実施の形態1の変形例1では分岐点への進入方向、合流点からの脱出方向も考慮していた。しかし、分岐点、合流点がランドマークの場合は、駐車によって一旦走行が途絶えるため、方向を考慮する必要がない。よって分岐点、合流点がランドマークであった場合は、分岐点前ノード、合流点後ノードIDの一致判定を行わない。逆にランドマーク以外のノードIDであった場合は、分岐点前ノード、合流点後ノードIDの一致判定を行う。これにより、ユーザがどちらの経路を通るか迷っている経路の情報をより正確に提供することができる。
(実施の形態1の変形例4)
なお、実施の形態1においては車両の現在地点の近傍に分岐点があったときに所要時間情報を提供していた。しかし、現在地点の近傍に分岐点があったとしても、車両が分岐点を通るとは限らない。また、分岐点を通ったとしても車両は合流点に向かっていない可能性もある。つまりユーザが求めていない情報を提供する可能性がある。また、実施の形態1の変形例1においては、車両の現在ノード(交差点)の直後に分岐点を通る履歴があったときに、所要時間情報を提供していた。しかし、分岐点の直前の交差点で異なる経路に関する情報を提供されたとしても、運転に慣れていない人や交差点が密集した道路などでは、どちらの経路を通るか考える時間の余裕がない場合もある。そこで、車両の移動経路を幾つか予測することによって、実際に車両が分岐点の直前ノードを通るより前に、車両が分岐点、合流点を通る可能性が高いことを判断し、分岐点と合流点を通る異なる経路の所要時間情報を提供することができる。このためユーザは提供された情報を判断材料とし、余裕をもってどちらの経路を通るかを判断できる。また、実際にユーザが通る分岐点、合流点の情報のみをより正確に提供することができる。
以下本実施の形態の手法について説明する。
図21は、本実施の形態における所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。前記実施の形態1で示した構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本装置の動作について説明する。
駐車検知部1916は、車両が駐車状態にあることを検知する。駐車状態とは、車両の位置が閾値以上の時間固定されているということである。特に、車両は車の場合、車のエンジンが切られているときに駐車状態と検知する。ただし、アイドリングストップを行っている可能性もあるため、車のエンジンが一定時間以上切られていたときに、駐車状態であると検知する。実施の形態1の変形例2における駐車状態検知も同様である。
履歴蓄積部1903は、地点取得部101が取得した車両の存在地点と時刻取得部102が取得した時刻の履歴を走行履歴として蓄積する。ただし、駐車検知部1916が駐車状態を検知するごとに履歴を分割して蓄積する。つまり、車両の出発地からの出発地から目的地への到着までの走行履歴を蓄積する。ただし、最新の履歴については出発地から車両の現在地までの走行履歴が蓄積される。
図22は、履歴蓄積部に蓄積された走行履歴の例を示す図である。例えば、図22のように1秒ごとに地点情報を時系列順に出発から到着までを一組として蓄積する。例えば、図2のID「0001」は時刻「9月20日7時0分0秒」に車両が東経「134.5.28.9」、北緯「34.5.15.7」の地点を出発したことを示す。
ランドマーク蓄積部1917は、店舗や自宅、会社といったランドマークのIDとランドマークの位置といったランドマーク情報を蓄積する。図23は、ランドマーク蓄積部に蓄積されたランドマーク情報の例を示す図である。例えば、図23のランドマークID「L001」は位置が経度「134.3.0.9」であり、緯度が「34.6.2.5」であることを示す。実施の形態1の変形例2、3における駐車状態による履歴分割、ランドマークノード取得も同様である。
ノード抽出部1911は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報、ランドマーク蓄積部1917に蓄積されたランドマーク情報を参照し、履歴蓄積部1903に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列を抽出する。ノードIDには道路の交差点だけではなく、ランドマークIDも含まれる。履歴蓄積部1903には、出発地から目的地もしくは現在地までの走行履歴が複数蓄積されている。よって、蓄積された走行履歴全てについてノードID系列に変換を行い、出発地から目的地までのノードID系列を複数出力する。具体的に変換手法を説明する。駐車状態を検知するごとに分割して蓄積された走行履歴における始点と終点、つまり出発地と目的地については、走行履歴における地点から、最も近い位置に存在するランドマークIDを抽出する。ただし、最新の履歴の終点は現在地を表すため、ランドマークは抽出しない。出発地、目的地以外の走行履歴に関しては、走行履歴の地点から距離が閾値以内にある地図情報のノードIDを探索し、存在すれば抽出する。ただし、直前に抽出したノードと同じノードIDは抽出しない。図24は、ノード抽出部がノード系列を抽出する例を示す図である。図24を例として説明する。簡易的に、経度2.25秒を50m、緯度1.5秒を50mとすると、図24の出発地を表すID001の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.2.6)から最も近い位置にあるランドマークは、L001(経度134.3.0.9、緯度34.6.2.5)である。よってノードIDL001を抽出する。また、ID002の走行履歴について閾値50m以内に存在するノードは、ノードID001である。よってノードID001を抽出する。ID003〜006の走行履歴については閾値50m以内にノードが存在しないため抽出しない。ID007の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.9.6)については閾値50m以内に存在するノードはノードID003(経度134.3.0.9、緯度34.6.10.6)であるため、ノードID003を抽出する。目的地を表すID010の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.12.6)から最も近い位置にあるランドマークは、L003(経度134.3.0.9、緯度34.6.12.9)である。よってL003を抽出する。抽出したノードIDを走行履歴の時刻順に並べたノードID系列、図24の場合「L001→001→003→L003」を抽出する。同様に、全ての出発地から目的地までの走行履歴に着いてノード系列変換を行う。実施の形態1の変形例2、3における分割された履歴、駐車ランドマークに対するノードID系列変換も同様である。
移動先ノード予測部1918は、前記履歴蓄積手段に蓄積されている前記移動履歴から、前記移動体の移動先(目的地)を予測する移動先予測手段の一例であり、前記履歴蓄積手段に蓄積されている地点を時刻の順に結んで表される複数の移動経路のうち、出発地から現在位置までの移動経路が一致する移動経路のいずれかを、現在の移動先に至る移動経路と予測する前記移動先予測手段の一例である。移動先ノード予測部1918は、本実施の形態では、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列を用いて、移動先の経路を表すノードID系列を予測する。具体的には最新の走行履歴から変換されたノードID系列、つまり出発地から現在地までのノードID系列を抽出する。出発地から現在地までのノードID系列が完全に含まれる過去のノードID系列を抽出し、同一のノードID系列が最も多い系列における現在地以降の系列を移動先の経路を表すノードID系列とする。図25は、移動先ノードID系列を予測する例を示す図である。図25の場合、最新のノードID系列、つまり出発地から現在地までのノードID系列は「L001→001」である。このノードID系列が完全に含まれるノードID系列を抽出し、同一のノード系列を集計すると、系列「L001→001→002→003→005→006→004→L007」が1つ、「L001→001→002→003→004→L007」が3つ、「L001→001→002→008→009→L010」が1つ存在する。よって、最も履歴数の多い「L001→001→002→003→004→L007」の系列を用いる。この系列のうち、最新のノードID系列「L001→001」に含まれない部分、つまり、「002→003→004→L007」が現在以降、車両が通過すると予測される経路であるため、「002→003→004→L007」を予測ノードID系列として出力する。
経路抽出部1905は、移動先ノード予測部1918によって予測された予測ノードID系列、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列から、分岐点と合流点を示すノードID、及び分岐点と合流点を結ぶ複数の経路を示すノードID系列群を抽出する。経路抽出部1905は仮定部1912、分割部1913、判定部1914により構成される。
仮定部1912は、移動先ノード予測部1918によって予測された予測ノードID系列中に存在する任意のノードID二つを仮想分岐点ID、仮想合流点IDとしてそれぞれ仮定する。ただし仮想合流点IDはノードID系列において仮想分岐点IDの後に位置する。また、分岐、合流の方向も考慮するため、予測ノードID系列における仮想分岐点の直前のノードIDを分岐前IDとして、仮想合流点の直後のノードIDを合流後IDとして抽出する。しかし、仮想分岐点ID、仮想合流点IDがランドマークIDであったとき、つまり出発地、目的地であった場合には、方向性は考慮しないため、分岐前ID、合流後IDは抽出しない。また、分岐前ID、合流後IDがランドマークIDであったときは方向性の検出が困難であるため抽出しない。また、予測ノードID系列のうち、最も手前のノードIDつまり、次に通過すると予測されるノードIDを分岐点として仮定するときは、分岐前IDは現在ノードIDつまり、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列のうち最新のノードIDとなる。
これは抽出したノードID系列に存在する全てのノードIDについて行う。例えば、現在地を表す最新のノードIDが001であり、予測ノードID系列として「002→003→004→L007」が抽出されていたとき、仮想分岐点ID002と分岐前ID001と仮想合流点ID003と合流後ID004、仮想分岐点ID002と分岐前ID001と仮想合流点ID004、仮想分岐点ID002と仮想合流点IDL007、仮想分岐点ID003と分岐前ID002と仮想合流点ID004、仮想分岐点ID003と分岐前ID002と仮想合流点IDL007、仮想分岐点ID004と分岐前ID003と仮想合流点IDL007を仮定する。
分割部1913は、ノード抽出部1911が抽出した出発地から目的地までの複数のノードID系列から、仮定部1912が仮定した仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列を抽出する。ただし、分岐前ID、分岐後IDが仮定されているときは、ノードID系列における仮想分岐点IDの直前のノードIDが、分岐前IDと一致し、ノードID系列における仮想分岐点IDの直後のノードIDが、分岐後IDと一致するノードID系列のみ抽出する。具体的には、ノードID系列を前方から順に分岐点前IDと仮想分岐点IDが連続で一致するノードIDを探索する。見つかった場合、そのノードIDの直後から分岐点後IDと仮想合流点IDが連続で一致するノードIDを探索する。見つかった場合、仮想分岐点IDと一致するノードIDから仮想合流点IDと一致するノードIDまでの一連の系列を仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列として抽出する。見つからなかった場合は別のノードID系列について再び初めから探索を行う。ただし抽出するノードID系列は、同一のIDが二つ以上存在しない経路のみ抽出する。言い換えれば分岐点と合流点を一筆書きで結ぶような経路のみ抽出する。
判定部1914は、仮定部1912が仮定した仮想分岐点と仮想合流点の真偽を判定し、分割部1913が抽出したノードID系列群に対して、真に分岐点、合流点となっている分岐点、合流点、及びそれらを結ぶ複数の経路を示すノードID系列群を抽出する。具体的には、仮想分岐点から仮想合流点までの複数のノードID系列のうち、分岐点及び合流点以外のノードIDが一つも一致しないノードID系列の組み合わせが存在するときに真とし、その組み合わせのノードID系列群のみ出力する。組み合わせが存在しないときは別のノードIDが分岐点、合流点と考えられるため偽とする。
通知部1909は、判定部1914が分岐点を出力したときに、その分岐点に関連する情報を通知可とする。
ここで、情報提供部110は、前記移動先予測手段によって予測された移動先までの移動経路上に、前記経路抽出手段によって抽出された複数の移動経路がある場合、前記分岐点と前記合流点とを結ぶ異なる移動経路についての所要時間情報を提供する前記情報提供手段の一例である。
図26は、本発明の実施の形態1の変形例4における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態1の変形例4のフローチャートを、図26を用いて説明する。実施の形態1で説明した処理については説明を省略する
実施の形態1と同様に、履歴蓄積部1903は、地点取得部101が取得した車両の存在地点と時刻取得部102が取得した時刻の履歴を走行履歴として蓄積した後(ステップS1203)、駐車検知部1916が駐車状態であるか否かを検知する(ステップS2404)。駐車状態を検知したときは、ステップS2405に進む(ステップS2404のYes)。駐車状態を検知しなかったときは、ステップS2406に進む(ステップS2404のNo)。駐車状態を検知したとき、履歴蓄積部1903は、走行履歴を分割し(ステップS2405)、ステップS1201に戻る。駐車状態を検知しなかったとき、ノード抽出部1911は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報、ランドマーク蓄積部1917に蓄積されたランドマーク情報を参照し、履歴蓄積部1903に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列を抽出する(ステップS2406)。移動先ノード予測部1918は、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列のうち、最新のノードID系列、つまり出発地から現在地までのノードID系列を抽出する(ステップS2407)。移動先ノード予測部1918は、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列の中から、最新のノードID系列を含むノード系列を抽出し、同一ノード系列を集計する(ステップS2408)。移動先ノード予測部1918は、抽出したノードID系列のうち、最も履歴数の多いノード系列について、最新のノードID系列に含まれない部分を予測ノード系列として出力する(ステップS2409)。仮定部1912は、移動先ノード予測部1918によって予測された予測ノードID系列中に存在する任意のノードID二つを仮想分岐点ID、仮想合流点IDとしてそれぞれ仮定し、仮想分岐点IDの直前に存在するノードIDを分岐点前ID、仮想合流点IDの直後に存在するノードIDを合流点後IDとして仮定する(ステップS2410)。分割部1913は、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列について、前方から順に仮定部1912が仮定した仮想分岐点IDと一致するノードIDを探索する(ステップS2411)。分割部1913は、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列において仮想分岐点IDと一致するノードIDの直前のノードIDが、仮定部1912が仮定した分岐点前IDと一致するかどうか判定を行い(ステップS2412)、一致したときは、ステップS2413に進む(ステップS2412のYes)。一致しなかったときは、ステップS2411に戻る(ステップS2412のNo)。分割部1913は、ノードID系列において、仮想分岐点IDと一致するノードから仮想合流点IDと一致するノードまでにIDが同一であるノードが含まれるかを判定し(ステップS2413)、含まれる場合は、ステップS2411に戻る(ステップS2413のYes)。同一ノードが含まれない場合は、ステップS2414に進む(ステップS2413のNo)。分割部1913は、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列において仮想合流点IDと一致するノードIDの直後のノードIDが、仮定部1912が仮定した合流点後IDと一致するかどうか判定を行い(ステップS2414)、一致したときは、ステップS2415に進む(ステップS2414のYes)。一致しなかったときは、ステップS2411に戻る(ステップS2414のNo)。分割部1913は、ノード抽出部1911により抽出されたノードID系列において仮想分岐点IDと一致するノードから仮想合流点IDと一致するノードまでのノードID系列を抽出する(ステップS2415)。分割部1913は、仮想分岐点IDと一致するノードの探索が、ノード抽出部1911により抽出された全てのノードID系列で行われたかどうかの判定を行い(ステップS2416)、探索が全てのノードID系列まで行われた場合は、ステップS2417に進む(ステップS2416のYes)。探索が全てのノードID系列まで行われていない場合は、ステップS2411に戻る(ステップS2416のNo)。判定部1914は、仮定部1912が仮定した仮想分岐点と仮想合流点について、対応する分割部1913が抽出したノードID系列群の中に、分岐点、合流点以外にノードIDが全て異なるノードID系列の組み合わせが存在するものについて、分岐点、合流点、及ぶそれらを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS2417)。情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS2418)。情報算出部108は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、判定部1914が抽出した分岐点と合流点を結ぶノードID系列中の所要時間情報を算出する(ステップS2419)。通知部1909は、判定部1914が抽出した分岐点が存在するかどうかの判定を行い(ステップS2420)、存在したときは、ステップS2421に進む(ステップS2420のYes)。存在しなかったときは、ステップS1201に戻る(ステップS2420のNo)。分岐点が存在したとき、情報提供部110は、情報算出部108が算出した所要時間情報をユーザに提供する(ステップS2421)。終了するか判定を行い(ステップS2422)、終了するならば、処理を終了する(ステップS2422のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS2422のNo)。
なお、上記実施の形態では、一組の分岐点と合流点との間の移動経路についてだけ所要時間情報を通知していた。例えば、実施の形態1では、通知部109は、地点取得部101が取得した車両の現在地点から閾値以内の距離に、経路抽出部が抽出した分岐点が存在するときに、その分岐点に関連する情報を通知可とした。しかし、本発明はこれに限定されず、予測された経路上にある何組かの分岐点と合流点とについて所要時間情報を提供するとしてもよい。図27は、予測された移動経路上に2組以上の分岐点と合流点との組(a、b)、(c、d)がある場合について所要時間情報を提供する多様な表示例を模式的に示す図である。上記実施の形態1では、現在位置の近傍に分岐点aが存在したとき、例えば、領域271に示されるような分岐点a及び合流点bとの間の経路に対してのみ所要時間情報を提供した。これに対し、予測した移動経路上に複数の分岐点と合流点との組が存在した場合には、例えば、領域272に示されるような、現在位置により近い2組の分岐点と合流点との組とについて、所要時間情報を提供するとしてもよい。
また、表示画面内で煩雑にならなければ、3組以上の分岐点と合流点との組について、所要時間情報を提供するとしてもよい。また、複数組の分岐点と合流点との組を表示画面に表示する場合には、現在位置により近い組についてだけ所要時間情報を提供し、現在位置から遠い方の組(例えば、分岐点cと合流点dとの組)については分岐点及び合流点とそれらを結ぶ複数の経路とだけを表示するようにしてもよい。また、移動経路上に領域272に示されるような、複数組の分岐点と合流点との組がある場合、まず、領域272に示されるように、全部の組について点滅表示などで分岐点と合流点とその間の経路だけを表示し、次いで、現在位置に最も近い分岐点を含む組について、経路と所要時間情報とを提供するようにしてもよい。
さらに、分岐点と合流点とを結ぶ複数の移動経路のうち、所要時間情報を提供しない経路については、その経路を破線などで表示してもよいし、経路自体を地図上の表示と同様の表示とし、線で示すなどの特別な表示をしないとしてもよい。
またさらに、所要時間情報提供装置は、一旦、予測した移動経路上のすべての分岐点と合流点との組について異なる移動経路を解析しておいてもよい。そして、現在位置に直近の分岐点を含む移動経路についてのみ、当該分岐点が所定の閾値以内の距離に近づいたときに所要時間情報を提供するとしてもよい。
また、一組の分岐点と合流点とを結ぶ複数の経路がすべて履歴に記憶されているものであるということは、ユーザがすでに一回はその経路を通過しているということである。従って、ユーザは、各経路を移動する場合の所要時間についてある程度は知識があるはずなので、例えば、VICSがある経路についてだけ所要時間情報を提供するとしてもよい。
(実施の形態2)
なお、実施の形態1では、車両の走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数種類の経路が存在したときに、その経路がユーザにとって所要時間を比較したい経路であるとし、所要時間関連情報を通知していた。しかし、走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数種類の経路が存在したとしても、ユーザはどちらの経路が早いか知っている可能性がある。具体的には、車両の過去の走行履歴において経路の所要時間が類似していないときには、ユーザはどちらの経路が早いか知っている可能性が高い。このようなときには、所要時間情報を通知すると、通知情報が無意味であるだけではなく、ユーザの運転等のタスクや別の有効な情報の提供を妨げることにもなる。特に音声による情報提供の場合やユーザが運転操作を行っている場合など、タスクを妨げる可能性が高いため、より情報をフィルタリングする必要がある。そこで、過去の走行履歴において経路の所要時間が類似して、どちらの経路が早いかユーザにとって判別がつきにくいときのみ所要時間情報を通知する。これにより、ユーザにとって、所要時間を比較したいと考えている可能性が、より高い経路の情報を通知することができる。つまり、ユーザにとって当たり前の所要時間情報をフィルタリングし、どちらの経路を通るほうが早いかがわからない経路の情報のみ通知することができる。
以下、本実施の形態の手法について説明する。
図28は、本実施の形態における所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。前記実施の形態1で示した構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本装置の動作について説明する。
ノード抽出部2511は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報を参照し、履歴蓄積部103に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列およびそれぞれのノードIDの通過時刻を抽出する。つまり、走行履歴中の車両の存在地点と場所が一致する地図情報中のノードIDを時系列順に通過時刻と共に抽出する。具体的には、走行履歴中の地点から距離が閾値以内にある地図情報のノードIDを探索し、存在すれば時刻と共に抽出する。閾値は例えば、道路幅、車両が1秒間に進む最大距離、GPS誤差から決定する。ただし、直前に抽出したノードと同じノードIDは抽出しない。例えば、道路幅25m、車両が1秒間に進む最大距離60000/3600m、GPS誤差10mとすると、それらの和である50mとする。図29は、ノード抽出部がノード系列と通過時刻を抽出する例を示す図である。図29を例として説明する。簡易的に、経度2.25秒を50m、緯度1.5秒を50mとすると、図29のID001の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.2.6)から閾値50m以内に存在するノードは、ノードID001(緯度差1秒<1.5秒)である。よってノードID001を走行履歴ID001の時刻(9/20 7:00:00)と共に抽出する。ID002の走行履歴について閾値50m以内に存在するノードは、ノードID001であるが、直前に抽出したノードID001と同一であるため、抽出しない。ID003〜006の走行履歴については閾値50m以内にノードが存在しないため抽出しない。ID007の走行履歴(経度134.3.0.9、緯度34.6.9.6)については閾値50m以内に存在するノードはノードID003(経度134.3.0.9、緯度34.6.10.6)であるため、ノードID003を走行履歴ID007の時刻(9/20 7:00:06)と共に抽出する。抽出したノードIDを走行履歴の時刻順に並べたノードID系列、図29の場合「001(9/20 7:00:00)→003(9/20 7:00:06)」を抽出する。
時間算出部2521は、前記2地点のうち、複数の移動経路に分岐する地点を分岐点とし、複数の前記移動経路が合流する地点を合流点として、分岐点と合流点との間の異なる複数の前記移動経路のそれぞれについて、前記履歴蓄積手段に蓄積されている時刻と地点との組から、分岐点と合流点との間の移動に要する所要時間を算出する前記情報算出手段の一例であり、分岐点と合流点との間の異なる複数の前記移動経路のそれぞれについて、分岐点と合流点との間の移動に要する所要時間の平均を算出する前記情報算出手段の一例である。本実施の形態では、時間算出部2521は、通知部109が通知可能とした分岐点ID、合流点IDに対して対応する判定部114が算出した分岐点ID、合流点IDを結ぶ複数の経路を示す複数のノードID系列に対して、ノード抽出部2511が抽出したノードID系列の通過時刻から、経路に対する所要時間を算出する。具体的には、通知可能とした分岐点ID、合流点IDに対する判定部114が算出した複数ノードID系列に対して、一致する系列をノード抽出部2511が抽出したノードID系列から選択し、選択したノードID系列の終点(合流点ID)の通過時刻と、選択したノードID系列の始点(分岐点ID)の通過時刻の差を、判定部114が算出したノードID系列に対する所要時間とする。図30は、時間算出部が分岐点合流点間のノードID系列に対する所要時間を算出する例を示す図である。図30を例として説明する。図30のように通知部109が通知可能とした分岐点IDが003、合流点IDが004であり、それに分岐点、合流点が一致する判定部114が算出したノードID系列が「003→004」、「003→005→006→004」であったとする。このとき、ノード抽出部2511が抽出したノードID系列中に一致する部分を選択し、選択した部分における始点と終点の時刻の差を所要時間として求める。図30の場合、ノード抽出部2511が抽出したノードID系列中の「003(9/20 7:00:06)→004(9/20 7:15:36)」に対して、時刻の差である所要時間15分30秒(=9/20 7:15:36 − 9/20 7:00:06)が算出される。また、ノードID系列中の「003(9/22 7:20:30)→005→006→004(9/22 7:33:30」」に対して、所要時間13分、「003(9/24 7:11:20)→004(9/24 7:16:20)」に対して、所要時間14分が算出される。
類似部2522は、前記分岐点と前記合流点とを結ぶ移動経路ごとに算出された所要時間を、移動経路同士で比較し、比較された所要時間の差が所定の閾値以内である移動経路について所要時間が類似すると判断する類似判断手段の一例であり、前記分岐点と前記合流点とを結ぶ異なる移動経路ごとに算出された所要時間の平均を、前記移動経路同士で比較し、比較された所要時間の平均の差が閾値以内である移動経路について所要時間が類似すると判定する前記類似判断手段の一例である。類似部2522は、本実施の形態では、時間算出部2521が算出した分岐点合流点間の複数の経路を示すノードID系列に対する所要時間情報を用いて、分岐点、合流点が一致する複数の経路の所要時間が類似しているか否かを判定し、類似していた場合は類似した経路を示すノードID系列を出力する。具体的には、それぞれの経路ごとに、所要時間の平均を算出し、経路間の所要時間平均の差が閾値以内であった場合、類似しているとする。図31は、類似部が経路の所要時間の類似を判定する例を示す図である。図31を例として説明する。時間算出部2521が算出した所要時間が、「003→004」に対して15分30秒、「003→005→006→004」に対して13分、「003→004」に対して14分、「003→005→006→004」に対して14分、「003→004」に対して12分であったとする。このとき、経路ごとの所要時間の平均を算出すると、ノードID系列「003→004」に対して13分50秒(=(15分30秒+14分+12分)/3)、ノードID系列「003→005→006→004」に対して13分30秒(=(13分+14分)/2)、である。「003→004」、「003→005→006→004」の分岐点、合流点は一致し、所要時間の差は20秒(13分50秒―13分30秒)である。閾値を5分とすると、20秒は閾値以内であるため、ノードID系列「003→004」と「003→005→006→004」の所要時間は類似していると判定する。
分岐点合流点間を結ぶ経路(ノードID系列)が3個以上あった場合は、2個の組み合わせごとに類似しているか否かを判定する。例えば、分岐点合流点間を結ぶ経路としてAルート、Bルート、Cルートが存在したときは、AルートとBルート、BルートとCルート、CルートとAルートの組み合わせでそれぞれ類似判定を行う。なお、ユーザが欲する情報は最も所要時間が小さいルートである場合が多いため、最も所要時間平均が小さい2つの経路についてのみ類似判定を行ってもよい。これにより、同じ合流点に向かう経路が3つ以上あったとしても、ユーザがどちらの経路を通るか迷っている可能性が最も高い2つの経路における、ユーザの知っている所要時間情報が異なるときのみ、所要時間情報を提供することができる。
なお、各経路に対する所要時間の平均ではなく、所要時間の中央値を用いてもよい。中央値を用いることで、まれに渋滞が発生する場所などにおいて、外れ値を除去することができる。よって、所要時間が類似しているため所要時間の大小関係がわからないとユーザが思っている経路の情報のみ提供することができる。
第2通知部2523は、類似部2522が類似していると判定したノードID系列が存在した場合、そのノードID系列に対して通知可能であると決定する。
情報算出部2508は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、第2通知部2523が通知可能と決定した、分岐点と合流点を結ぶ複数の経路(ノードID系列)中の所要時間情報を算出する。
情報提供部2510は、前記類似判断手段により所要時間が類似すると判断された移動経路について前記所要時間情報を提供する前記情報提供手段の一例であり、第2通知部2523が通知可能と決定したとき、情報算出部108が算出した第2通知部2523が通知可能と決定した経路に関する所要時間情報をユーザに提供する。
図32は、本発明の実施の形態2における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態2のフローチャートを、図32を用いて説明する。実施の形態1で説明した処理については説明を省略する。
実施の形態1と同様に、履歴蓄積部1903は、地点取得部101が取得した車両の存在地点と時刻取得部102が取得した時刻の履歴を走行履歴として蓄積した後(ステップS1203)、ノード抽出部2511は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報を参照し、履歴蓄積部103に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列とノードIDの通過時刻を抽出する(ステップS2904)。仮定部112は、抽出したノードID系列中に存在する任意のノードID二つを仮想分岐点ID、仮想合流点IDとしてそれぞれ仮定する(ステップS2905)。分割部113は、ノード抽出部111が抽出したノードID系列を分割し、仮定部112が仮定した仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS2906)。分割部113は、抽出したノードID系列群の中から、同一ノードを含まないノードID系列のみ抽出する(ステップS2907)。判定部114は、仮定部112が仮定した仮想分岐点と仮想合流点について、対応する分割部113が抽出したノードID系列群の中に、分岐点、合流点以外にノードIDが全て異なるノードID系列の組み合わせが存在するものについて、分岐点、合流点、及ぶそれらを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS2908)。通知部109は、地点取得部101が取得した車両の現在地点から閾値以内の距離に、判定部114が抽出した分岐点が存在するかどうかの判定を行い(ステップS2909)、存在したときは、通知部109はその分岐点及び対応する合流点について通知可能とし、ステップS2910に進む(ステップS2909のYes)。存在しなかったときは、ステップS1201に戻る(ステップS2909のNo)。現在地点の近傍に分岐点が存在したとき、時間算出部2521は、通知部109が通知可能とした分岐点ID、合流点IDを結ぶ判定部114が算出した複数のノードID系列に対して、ノード抽出部2511が抽出したノードIDの通過時刻から、ノードID系列に対する所要時間を算出する(ステップS2910)。類似部2522は、時間算出部2521が算出したノードID系列に対する所要時間情報を用いて、分岐点、合流点間の経路ごとの所要時間平均の差が閾値以内であるかどうかを判定し(ステップS2911)、閾値以内であったときはそれらのノードID系列を類似していると判定し、第2通知部2523が通知可能と決定し、ステップS2912に進む(ステップS2911のYes)。閾値以内であるノードID系列が存在しなかった場合は、類似していないと判定し、ステップS1201に戻る(ステップS2911のNo)。類似部2522が類似していると判定したノードID系列が存在した場合、情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS2912)。情報算出部2508は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、第2通知部2523が通知可能と決定した、分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列中の所要時間情報を算出する(ステップS2913)。情報提供部2510は、情報算出部2508が算出した第2通知部2523が通知可能と決定した経路に関する所要時間情報をユーザに提供する(ステップS2914)。終了するか判定を行い(ステップS2915)、終了するならば、処理を終了する(ステップS2915のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS2915のNo)。
(実施の形態2の変形例1)
なお、本実施の形態2において、類似部2522が類似判定に用いる閾値は一定であった。渋滞の度合いが日時によりあまり変化しない地域であればよいが、都心部、国道などにより渋滞の度合いの変化が激しい地域など、過去それぞれの経路を通るときの通過時刻にばらつきがあったときは、経路同士の所要時間の違い、どちらの経路を通るのが早いかはユーザにとってわかりにくくなる。例えば、過去A経路を通った場合、7時12分に分岐点を通過し、合流点を7時24分に通過したとする。このとき、過去B経路を通った場合、7時13分に分岐点を通過し、合流点を7時30分に通過したとすると、A経路がB経路に対して早いことがわかる。しかし同じA経路がB経路に対して5分早い場合でも、過去B経路を通った場合、7時13分ではなく、7時35分に分岐点を通過し、合流点を7時52分に通過したとすると、7時13分に分岐点を通過したときに比べて、どちらの経路が早いのかがわかりにくい。そこで、類似部2522が類似判定に用いる閾値を、分岐点の通過時刻のばらつきによって変動させる。具体的には、ノード抽出部2511が抽出したノードIDの通過時刻から、分岐点IDの通過時刻の分散値を算出する。分散値が小さいほど閾値を小さくする。例えば、分散値を閾値とする。これにより、ある程度所要時間の平均が異なっていたとしても、経路の所要時間にばらつきがあるため、結果的にユーザがどちらの経路が早いかわからない経路についての所要時間情報も提供することができる。
なお、分岐点から合流点までの経路の長さや所要時間が大きくなるほど類似判定に用いる閾値を大きくしても良い。特に、走行距離が長いユーザなど、分岐点から合流点までの距離や所要時間が長い場合がある。このときは、そもそもそこに到るまでの車の走行時間が長いため、所要時間が異なっていても、走行時間に比べてスケールが小さいとユーザが違いを認識できない場合が多い。よって、分岐点から合流点までの経路の長さ、もしくは所要時間に応じて、類似判定に用いる閾値を大きくする。これにより、走行時間が長いため、少々の所要時間の違いを認識できない経路に対しても所要時間情報を通知することができる。
(実施の形態2の変形例2)
なお、本実施の形態2において、分岐点合流点間の経路(ノードEID系列)を通過した全ての履歴を用いて所要時間平均を算出していた。しかし、同じ経路でも、平日に通過する場合と、休日に通過する場合では所要時間が異なる場合は多い。同様に朝に通過する場合と夜に通過する場合など、時間帯が異なるときも所要時間が異なる場合が多い。このようなとき、ユーザは時間帯、平休日ごとに、所要時間を覚え、複数経路中のどちらが早いかを覚えている場合が多い。そこで、平休日もしくは、時間帯が現在走行と一致する履歴のみを用いて所要時間平均を算出しても良い。具体的には、時間算出部2521が、各ノード系列に対する所要時間を算出する際、時刻取得部102が取得した現在時刻(時:分;秒)から通過時刻(時:分;秒)が閾値以内である履歴のみを抽出し、所要時間を算出する。または、時刻取得部102が取得した現在日付の平休日から、通過時刻(日付)の平休日が一致する履歴のみを抽出し、所要時間を算出する。これにより、同じ地点に向かう場合でも、朝通る場合はAルート、夜通る場合はBルートが早いとユーザは記憶しているような経路に対して、ユーザにとって当たり前の所要時間比較情報を提供してユーザのタスクを妨げることを防ぐことができる。特にいろんな時間帯に車両を使うなど車両を使う頻度が多いユーザは時間帯、平休日ごとに所要時間を覚えている可能性が高いため有効である。
(実施の形態2の変形例3)
なお、本実施の形態2において、分岐点合流点を結ぶ複数経路について、走行履歴中の所要時間平均が類似していたときに所要時間情報を通知していた。しかし、所要時間平均が類似していなかったときにも、ユーザはどちらの経路を通ると早いかがわからない場合がある。例えば、分岐点合流点を結ぶ複数経路についてAルートとBルートがあったとする。Aルートの所要時間平均よりもBルートの所要時間平均が充分小さかったとする(A>B)。しかし、平均ではそうであったとしても、Aルートの所要時間よりもBルートの所要時間が大きい履歴が存在する可能性がある(A<B)。このような所要時間平均から得た大小関係に反する事例の割合が多い場合は、ユーザはたとえ平均の差が大きかったとしても、どちらの経路が早いのかがわからない可能性が高い。そこで、こういった場合にも所要時間情報を通知することで、たとえ所要時間平均が類似していなかったとしても、ユーザがどちらの経路を通る方が早いかわからないときに、経路の所要時間情報を通知することができる。
以下本実施の形態の手法について説明する。
図33は、本実施の形態における所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。前記実施の形態2で示した構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本装置の動作について説明する。
比較部3024は、前記分岐点と合流点を結ぶ異なる移動経路ごとに、前記情報算出手段が算出した所要時間の平均を比較し、所要時間の平均の大小関係を算出する比較手段の一例であり、本実施の形態では、類似部2522が所要時間は類似していないと判定したときに、類似部2522が算出した分岐点合流点間の複数の経路に対する所要時間平均を用いて、経路の所要時間平均の大小関係を判定する。例えば、分岐点合流点を結ぶ複数経路「003→004」、「003→005→006→004」について、ノードID系列「003→004」に対して所要時間平均13分50秒、ノードID系列「003→005→006→004」に対して所要時間平均20分0秒であったとする。このとき、ノードID系列「003→004」の所要時間がノードID系列「003→005→006→004」の所要時間に比べて小さいと判定する(13分50秒<20分0秒)。
反事例部3025は、前記比較手段によって算出された前記大小関係に反する移動履歴の数を算出し、前記比較手段によって算出された前記大小関係に反する前記移動履歴の数が多い場合に、反事例が多いと判定する反事例判定手段の一例である。反事例部3025は、比較部3024が判定した分岐点合流点を結ぶ複数経路の所要時間の大小関係について、その大小関係に反する事例の割合を時間算出部2521が算出した経路に対する所要時間履歴から算出し、割合が閾値以上であった場合、大小関係は判定できないと判断する。具体的には、比較部3024が判定した分岐点合流点を結ぶ経路がAルートとBルートであり、時間算出部2521が算出した経路に対する所要時間履歴について、Aルートに関しては履歴数α個、Bルートに関してはβ個であったとする。このとき、Aルートの履歴から1つ、Bルートの履歴から1つ履歴を取ってきたときの組み合わせの数はα×βである。また、所要時間履歴からAルートの履歴から1つ、Bルートの履歴から1つ履歴を取ってきたときに、比較部3024が判定した所要時間の大小関係とは反する事例数を算出する。事例数がx個であったとするとx/(α×β)が反事例の割合であるためx/(α×β)が閾値以上であれば、大小関係は判定できないとする。図34は、反事例部が反事例数から経路の所要時間の大小関係の判定可否を判断する例を示す図である。図34を例として説明する。図34のように時間算出部2521によって経路に対する所要時間履歴が算出され、比較部3024によって所要時間平均大小関係が「003→004」(13分50秒)<「003→004→005→006」(20分)と算出されたとする。このとき、「003→004」経路の履歴(履歴数3)と「003→004→005→006」経路の履歴(履歴数2)による組み合わせの事例数は6(=3×2)である。また、反事例の履歴数つまり、所要時間の大小関係が「003→004」<「003→004→005→006」とならない組み合わせの事例は、「003→004」(15分30秒)>「003→004→005→006」(10分)、「003→004」(14分)>「003→004→005→006」(10分)、「003→004」(12秒)>「003→004→005→006」(10分)の3通りである。よって反事例の割合は0.5(=3/6)である。閾値を0.1と既定していたとすると、反事例の割合0.5は閾値以上であるため、大小関係はユーザにとって判定できないと判断する。
なお、反事例の割合により大小関係の判定の可否を判断すると、正規化されるため、履歴の数が多く、ノイズとなるような例外データが存在したとしても適切に判断できる。しかし、用いる履歴の数が少ない場合は、反事例の割合ではなく、反事例数を用いても良い。これにより、履歴の数が少ない場合は、大小関係の判定の可否が適切に判断できる。
第2通知部2523は、類似部2522が類似していると判定したノードID系列が存在するか、反事例部3025が大小関係は判定できないと判断したノードID系列が存在した場合、そのノードID系列に対して通知可能であると決定する。
図35は、本発明の実施の形態2の変形例3における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態2の変形例3のフローチャートを、図35を用いて説明する。実施の形態2で説明した処理については説明を省略する。
実施の形態2と同様に、時間算出部2521は、通知部109が通知可能とした分岐点ID、合流点IDを結ぶ判定部114が算出した複数のノードID系列に対して、ノード抽出部2511が抽出したノードIDの通過時刻から、ノードID系列に対する所要時間を算出した後(ステップS2910)、類似部2522は、時間算出部2521が算出したノードID系列に対する所要時間情報を用いて、分岐点、合流点間の経路ごとの所要時間平均の差が閾値以内であるかどうかを判定し(ステップS3211)、閾値以内であったときはそれらのノードID系列を類似していると判定し、第2通知部3023が通知可能と決定し、ステップS3215に進む(ステップS3211のYes)。閾値以内であるノードID系列が存在しなかった場合は、類似していないと判定し、ステップS3212に進む(ステップS3211のNo)。類似部2522が類似していないと判定したノードID系列に対して、比較部3024は類似部2522が算出した分岐点合流点間の複数の経路に対する所要時間平均を用いて、経路の所要時間平均の大小関係を判定する(ステップS3212)。反事例部3025は、比較部3024が判定した分岐点合流点を結ぶ複数経路の所要時間の大小関係について、その大小関係に反する事例数の割合を時間算出部2521が算出した経路に対する所要時間履歴から算出する(ステップS3213)。反事例部3025は、大小関係に反する事例数の割合が閾値以上であるかどうかを判定し(ステップS3214)、閾値以上であった場合、反事例部3025は、それの経路について大小関係は判定できないと判断し、第2通知部3023が通知可能と決定し、ステップS3215に進む(ステップS3214のYes)。閾値以上でなかった場合、反事例部3025は、それの経路について判定できると判断し、ステップS1201に戻る(ステップS3214のNo)。第2通知部3023が通知可能と決定した経路が存在したとき、情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS3215)。情報算出部2508は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、第2通知部3023が通知可能と決定した、分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列中の所要時間情報を算出する(ステップS3216)。情報提供部2510は、情報算出部2508が算出した第2通知部3023が通知可能と決定した経路に関する所要時間情報をユーザに提供する(ステップS3217)。終了するか判定を行い(ステップS3218)、終了するならば、処理を終了する(ステップS3218のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS3218のNo)。
(実施の形態2の変形例4)
なお、本実施の形態2において、分岐点合流点間の経路について所要時間平均が類似しているときに所要時間情報を通知していた。しかし、特にあまり同じ経路を通らないユーザなど、ユーザが現在までに経路を通った回数が少ないときは、その経路に関する所要時間を覚えていない可能性がある。覚えていないときは、ユーザは分岐点合流点間の複数経路に関する所要時間の大小関係もわからない。そこで、経路に関する所要時間の履歴数が閾値以下のときは、大小関係が判定不能として、所要時間情報を通知してもよい。第2通知部3023は、前記履歴蓄積手段に蓄積されている移動履歴から、前記分岐点と合流点を結ぶ異なる移動経路のそれぞれの通過回数を算出する前記類似判断手段と、前記類似判断手段により算出された通過回数が閾値以下である移動経路について前記所要時間情報を提供する前記情報提供手段との一例である。具体的には、比較部3024が判定した分岐点合流点を結ぶ経路がAルートとBルートであり、時間算出部2521が算出した経路に対する所要時間履歴について、Aルートに関しては履歴数α個、Bルートに関してはβ個であったとする。このとき、αもしくはβが閾値以下であれば、第2通知部はそれらの経路に関して通知可能とする。これにより、所要時間は類似せず大小関係が明白であったとしても、ユーザがその大小関係を覚えていないため、どちらの経路が早いかわからないような経路についても所要時間情報を提供することができる。
(実施の形態2の変形例5)
なお、本実施の形態2において、分岐点合流点間の経路について所要時間平均が類似しているときに所要時間情報を通知していた。しかし、ユーザは所要時間のみによって、通る経路を選ぶわけではない。複数の経路が存在したとき、道路幅や右左折数、経路コストといった通りやすさを重視するユーザも存在する。よって、所要時間が類似していたとしても、経路の通過回数が類似していない場合、ユーザは所要時間以外の要因により経路を選択しており、所要時間情報を欲していない可能性が高い。そこで、分岐点合流点間の複数経路について履歴から算出した所要時間が類似し、履歴から算出した通過回数も類似するときにのみ所要時間情報を提供する。これにより、通りやすさを重視するユーザに対しても、より所要時間情報を欲する状況で通知することができる。
類似部2522は、前記履歴蓄積手段に蓄積されている移動履歴から、前記分岐点と合流点を結ぶ異なる移動経路のそれぞれの通過回数を算出する前記類似判断手段と、前記類似判断手段により算出された通過回数が類似する移動経路について前記所要時間情報を提供する前記情報提供手段の一例である。具体的には類似部2522は、時間算出部2521が算出した分岐点合流点間の複数の経路を示すノードID系列に対する所要時間情報を用いて、分岐点、合流点が一致する複数の経路の所要時間及び通過回数が類似しているか否かを判定し、類似していた場合は類似した経路を示すノードID系列を出力する。図31を例として説明する。時間算出部2521が算出した所要時間が、「003→004」に対して15分30秒、「003→005→006→004」に対して13分、「003→004」に対して14分、「003→005→006→004」に対して14分、「003→004」に対して12分であったとする。このとき、「003→004」に対する履歴数(通過回数)は3、「003→005→006→004」に対する履歴数(通過回数)が2である。履歴数の差が閾値以内であれば類似しているとする。閾値を5とすると、履歴数の差が1(=3−2)で閾値以内であるため、通過回数は類似しているとする。
なお、履歴数は増加しつづけるため、履歴数を限定するための履歴の削除を行わない場合は、ユーザはどちらの経路も同じように通過していたとしても、履歴が増加していくと履歴数の差が大きくなってしまう可能性がある。そこで履歴数の差ではなく、履歴数の比と1の差が閾値以内のときに、通過回数は類似していると判定しても良い。
(実施の形態3)
なお、実施の形態1では、車両の走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数種類の経路が存在したときに、その経路がユーザにとって所要時間を比較したい経路であるとし、所要時間関連情報を通知していた。しかし、走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数種類の経路が存在したとしても、ユーザはどちらの経路が早いか知っている可能性がある。このようなときには、所要時間情報を通知すると、通知情報が無意味であるだけではなく、ユーザの運転等のタスクや別の有効な情報の提供を妨げることにもなる。しかし、たとえユーザはどちらの経路が早いか知っていたとしても、自分の所要時間知識と現実の所要時間知識が乖離しているのではないかと不安になる場合はある。そういったユーザが自分の知識とは異なる状況ではないかと不安になっている状況では、確認のために情報を提供すると、たとえ情報がユーザの知っているものであっても、ユーザは安心し、安全に運転することができる。つまり、ユーザがどちらの経路が早いか知っている、知っていないに関わらず、経路に関する所要時間関連情報を通知する。これにより、ユーザがどちらの経路が早いか迷っている経路について、いわば確認のための情報を提供することができる。ユーザが不安になる場合とは、ユーザの過去の走行と道路交通状況が異なる場合である。具体的には、現在の走行において、出発地などのある地点から現在地までの実際の所要時間が、過去の履歴における所要時間と異なることを検出することでユーザの知っている普段の交通状況と異なることを検出することができる。よって、現在までの所要時間が普段と異なるときに所要時間情報を通知し、そうでないときに所要時間情報を通知しないことで、ユーザの知っている普段の交通状況と異なり、ユーザが不安になる状況で、経路の情報を提供することができる。つまり、ユーザにとって所要時間を比較したいと考えている可能性が、より高いタイミングで、経路の情報を通知することができる。
以下本実施の形態の手法について説明する。
図36は、本実施の形態における所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。前記実施の形態1、実施の形態1の変形例4で示した構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本装置の動作について説明する。
ノード抽出部3311は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報、ランドマーク蓄積部1917に蓄積されたランドマーク情報を参照し、履歴蓄積部1903に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列およびそれぞれのノードIDの通過時刻を抽出する。ノードIDには道路の交差点だけではなく、ランドマークIDも含まれる。履歴蓄積部1903には、出発地から目的地もしくは現在地までの走行履歴が複数蓄積されている。よって、蓄積された走行履歴全てについてノードID系列、およびそのノードIDの通過時刻に変換を行い、出発地から目的地までのノードID系列および時刻を複数出力する。具体的に変換手法を説明する。駐車状態を検知するごとに分割して蓄積された走行履歴における始点と終点、つまり出発地と目的地については、走行履歴における地点から、最も近い位置に存在するランドマークIDを抽出し、通過時刻は走行履歴の始点の時刻とする。ただし、最新の履歴の終点は現在地を表すため、ランドマークは抽出しない。出発地、目的地以外の走行履歴に関しては、走行履歴の地点から距離が閾値以内にある地図情報のノードIDを探索し、存在すれば時刻と共に抽出する。ただし、直前に抽出したノードと同じノードIDは抽出しない。同様に、全ての出発地から目的地までの走行履歴についてノードID系列、通過時刻変換を行う。
現在経路部3330は、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列から、現在の走行における出発地から現在地までの経路に相当するノードID系列を抽出する。具体的には、最新の走行履歴から抽出したノードID系列である。図37は、現在時間部が現在の走行における出発地から現在地までの所要時間を算出する例を示す図である。例えば、図37の場合、出発地から現在地までのノードID系列は「L001→101→001」である。
現在時間部3331は、前記履歴蓄積手段に蓄積されている時刻から、前記複数の移動経路を最も新しい時刻で通過したときの現在所要時間を算出する現在時間算出手段の一例であり、本実施の形態では、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列から、現在の走行における出発地から現在地までの経路に対する所要時間を抽出する。具体的には、最新の走行履歴から抽出した最新の出発地ランドマークIDに対応する通過時刻から最新のノードIDに対応する通過時刻までの時刻の差である。例えば、図37の場合、現在の走行における出発地から現在地までの所要時間は、最新の出発地IDの通過時刻が「10/2 7:10:00」であり、最新のノードID(現在ノードID)の通過時刻が「10/2 7:25:00」であることから、現在の走行における出発地から現在地までの所要時間は15分(=10/2 7:25:00 − 10/2 7:10:00)となる。
過去時間部3332は、前記履歴蓄積手段に蓄積されている時刻から、最も新しい時刻で通過したときを除く、前記移動経路の過去所要時間を算出する過去時間算出手段の一例であり、本実施の形態では、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列から、最新のノードID系列以外で、現在経路部3330が抽出した現在の走行における出発地から現在地までのノードID系列と一致するノードID系列を抽出し、それらのノードID系列の所要時間の平均を算出する。図38は、過去時間部が出発地から現在地までのノードID系列における過去の所要時間を算出する例を示す図である。図38を例として説明する。現在経路部3330が現在走行における出発地から現在地までの経路を示すノードID系列として「L001→101→001」を抽出していたとする。ノード抽出部3311が抽出したノードID系列中、現在走行を示す最新のノードID系列を除いて、「L001→101→001」と一致するノードID系列を抽出する。抽出したそれぞれの履歴における始点から終点までつまり、「L001」から「001」までの所要時間を算出すると、8分( 9/25 7:20:00 − 9/25 7:12:00 )、10分( 9/26 7:21:00 − 9/26 7:11:00 )、11分( 9/27 7:21:00 − 9/27 7:10:00 )、7分( 9/29 7:17:00 − 9/27 7:10:00 )、9分( 10/1 7:19:50 − 10/1 7:10:50 )となる。よって過去の履歴における所要時間の平均は9分(=8分+10分+11分+7分+9分)となる。
第2類似部3333は、前記現在所要時間と前記過去所要時間とが類似するか否かを判定する第2類似判断手段の一例であり、本実施の形態では、現在時間部3331が算出した現在の走行における出発地から現在地までのノードID系列の所要時間と、過去時間部3332が算出した過去の走行における前記ノードID系列の所要時間を比較し、類似しているか否かを判定する。具体的には、現在時間部が算出した所要時間と過去時間部3332が算出した所要時間との差が閾値以下であれば類似しているとする。例えば、閾値を5分としたとき、現在時間部3331が算出した所要時間が15分、過去時間部3332が算出した所要時間が9分であったとする。差は6分(=15分―9分)であり、閾値より大きいため類似していないと判定する。
通知部3309は、地点取得部101が取得した車両の現在地点から閾値以内の距離に、経路抽出部105が抽出した分岐点が存在するときに、その分岐点と合流点を結ぶ複数の経路を示すノードID系列群をと通知可能として出力する。
第3通知部3334は、通知部3309が通知可能と判定したノードID系列が存在し、第2類似部3333が類似していないと判定した場合、通知部3309が通知可能と判定したノードID系列に対して通知可能であると決定する。
情報算出部3308は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、第3通知部3334が通知可能と決定した、分岐点と合流点を結ぶ複数の経路(ノードID系列)中の所要時間情報を算出する。
情報提供部3310は、前記第2類似判断手段が類似しないと判定したときに、前記所要時間情報を提供する前記情報提供手段の一例であり、本実施の形態では、第3通知部3334が通知可能と決定したとき、情報算出部3308が算出した第3通知部3334が通知可能と決定した経路に関する所要時間情報をユーザに提供する。
図39は、本発明の実施の形態3における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態3のフローチャートを、図39を用いて説明する。実施の形態1の変形例4で説明した処理については説明を省略する。
実施の形態1の変形例4と同様に、履歴蓄積部1903は、地点取得部101が取得した車両の存在地点と時刻取得部102が取得した時刻の履歴を走行履歴として蓄積した後(ステップS1203)、駐車検知部1916が駐車状態であるか否かを検知する(ステップS3604)。駐車状態を検知したときは、ステップS2405に進む(ステップS3604のYes)。駐車状態を検知しなかったときは、ステップS3606に進む(ステップS3604のNo)。ノード抽出部3311は、地図蓄積部104に蓄積された地図情報を参照し、履歴蓄積部103に蓄積された走行履歴から、時系列順に並べられたノードIDの系列とノードIDの通過時刻を抽出する(ステップS3606)。仮定部112は、抽出したノードID系列中に存在する任意のノードID二つを仮想分岐点ID、仮想合流点IDとしてそれぞれ仮定する(ステップS3607)。分割部113は、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列を分割し、仮定部112が仮定した仮想分岐点IDと仮想合流点IDを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS3608)。分割部113は、抽出したノードID系列群の中から、同一ノードを含まないノードID系列のみ抽出する(ステップS3609)。判定部114は、仮定部112が仮定した仮想分岐点と仮想合流点について、対応する分割部113が抽出したノードID系列群の中に、分岐点、合流点以外にノードIDが全て異なるノードID系列の組み合わせが存在するものについて、分岐点、合流点、及ぶそれらを結ぶノードID系列群を抽出する(ステップS3610)。通知部3309は、地点取得部101が取得した車両の現在地点から閾値以内の距離に、判定部114が抽出した分岐点が存在するかどうかの判定を行い(ステップS3611)、存在したときは、その分岐点に対応する判定部114が抽出したノードID系列群を通知可能とし、ステップS3612に進む(ステップS3611のYes)。存在しなかったときは、ステップS1201に戻る(ステップS3611のNo)。近傍に分岐点が存在したとき、現在経路部3330は、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列から、現在の走行における出発地から現在地までの経路に相当する最新ノードID系列を抽出する(ステップS3612)。現在時間部3331は、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列から、現在の走行における出発地から現在地までの経路(最新ノードID系列)に対する所要時間を抽出する(ステップS3613)。過去時間部3332は、ノード抽出部3311が抽出したノードID系列から、最新のノードID系列以外で、現在経路部3330が抽出した現在の走行における出発地から現在地までのノードID系列と一致するノードID系列を全て抽出する(ステップS3614)。過去時間部3332は抽出したノードID系列の所要時間の平均を過去走行の所要時間として算出する(ステップS3615)。第2類似部3333は、現在時間部3331が算出した現在の走行における出発地から現在地までのノードID系列の所要時間と、過去時間部3332が算出した過去の走行における前記ノードID系列の所要時間の差が閾値以下であるか否かを判定し(ステップS3616)、閾値以下であったときは類似していると判定し、ステップS1201に戻る(ステップS3616のYes)。閾値以下でなかったときは、類似していないと判定し、ステップS3617に進む(ステップS3616のNo)。第2類似部3333が類似していないと判定した場合、情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS3617)。情報算出部3308は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、通知部3309が通知可能と決定した、分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列中の所要時間情報を算出する(ステップS3618)。情報提供部3310は、情報算出部3308が算出した通知部3309が通知可能と決定した経路に関する所要時間情報をユーザに提供する(ステップS3619)。終了するか判定を行い(ステップS3620)、終了するならば、処理を終了する(ステップS3620のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS3620のNo)。
なお、実施の形態3において現在経路部3330は、現在の走行における出発地から現在地までの経路を抽出していた。しかし、特に出発地から現在地までの距離が長い場合、出発地から現在地までの所要時間では同じでも、局所的に現在地付近で所要時間がユーザの知っている所要時間と異なる場合がある。こういった場合でもユーザは自分の知っている所要時間が正しいかどうか不安になる。よって、現在の走行の所要時間が普段と異なるとユーザが認識していることを検知するためには、現在の走行における、所定の通過地点から現在地までの所要時間と過去走行における同経路の所要時間を比較しても良い。つまり、現在経路部3330は出発地から現在地ではなく、現在地から既定数前のノードから現在ノードまでの経路を示すノードID系列を抽出してもよい。このとき、現在時間部3331も同様に、現在の走行における現在地から既定数前のノードから現在ノードまでの経路の所要時間を算出する。これにより、局所的に現在地付近の所要時間が異なり、ユーザが自分の所要時間知識に不安になったときにも、所要時間情報を通知することができる。
(実施の形態4)
なお、実施の形態1では、車両の走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数種類の経路が存在したときに、その経路がユーザにとって所要時間を比較したい経路であるとし、所要時間関連情報を通知していた。しかし、走行履歴中に分岐点と合流点を結ぶ複数種類の経路が存在したとしても、ユーザはどちらの経路が早いか予測できるときには、ユーザには情報を通知するべきではない。しかし、ユーザが所定の経路の方が早いと予測したとしても、実際には異なる可能性がある。ユーザの予測する複数経路の所要時間の大小関係と実際の所要時間の大小関係が異なるときは所要時間情報を通知したほうがユーザにとって好ましい。そこで、走行履歴からユーザの予測する複数の経路における所要時間の大小関係を算出し、VICSなどの外部ネットワークから入手した道路交通情報から算出した所要時間の大小関係と比較し、異なる場合にユーザに所要時間情報を通知する。これにより、経路の所要時間の大小関係について、ユーザが知っている大小関係と同じときには、情報が通知されないため、ユーザは当たり前の情報を受け取ることでタスクを妨げられることなく、所要時間が小さい経路を通ることができる。逆に経路の所要時間の大小関係について、ユーザが知っている大小関係と異なるときには、情報が通知されないと、ユーザは自分の知識に従って行動するため、所要時間が大きい経路を通ってしまう。しかし本実施の形態では、情報が通知されるため、所要時間が大きい経路ではなく、真に所要時間が小さい経路を通ることができる。つまり、ユーザにとって所要時間の比較を欲する可能性が、より高い経路の情報を通知することができる。
以下本実施の形態の手法について説明する。
図40は、本実施の形態における所要時間情報提供装置の構成を示すブロック図である。前記実施の形態1、2で示した構成要素には同様の符号を付与し、説明を省略する。以下、まず各構成要素について図を用いて説明し、後に本装置の動作について説明する。
比較部3724は、前記分岐点と合流点を結ぶ異なる移動経路ごとに、前記情報算出手段が算出した所要時間を比較し、前記所要時間の大小関係を算出する比較手段の一例であり、本実施の形態では、時間算出部2521が算出した分岐点合流点間の複数の経路を示すノードID系列に対する所要時間情報を用いて、分岐点、合流点が一致する複数の経路の所要時間を比較し、大小関係を算出する。具体的には、それぞれの経路ごとに、所要時間の平均を算出し、平均の大小関係を算出する。例えば、分岐点合流点を結ぶ複数経路Aルート「003→004」、Bルート「003→005→006→004」について、ノードID系列「003→004」に対して所要時間平均13分50秒、ノードID系列「003→005→006→004」に対して所要時間平均20分0秒であったとする。このとき、AルートノードID系列「003→004」の所要時間がBルートノードID系列「003→005→006→004」の所要時間に比べて小さいと判定する(13分50秒<20分0秒)。
情報算出部3708は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、判定部114が抽出し、通知部109が通知可能とした分岐点、合流点、分岐点と合流点を結ぶ複数の経路(ノードID系列)における所要時間の大小関係を算出する。情報算出部3708は、第2時間算出部3740と第2比較部3741により構成される。
第2時間算出部3740は、外部から提供される道路情報を取得し、取得された前記道路情報から前記分岐点と前記合流点とを結ぶ異なる移動経路ごとに、所要時間を算出する第2時間算出手段の一例である。第2時間算出部3740は、本実施の形態では、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、判定部114が抽出し、通知部109が通知可能とした分岐点、合流点、分岐点と合流点を結ぶ複数の経路(ノードID系列)における所要時間を算出する。例えば、図10のように、分岐点ID003、合流点ID004について、Aルート(003→004)、Bルート(003→005→006→004)のノードID系列が抽出されたとする。このとき、Aルートの所要時間を算出すると、地図情報からノードID003とノードID004を結ぶリンクIDが020であり、情報取得部107が取得した情報からリンクID020の所要時間は600秒である。よってAルートの所要時間は600秒である。次にBルートの所要時間を算出すると、地図情報からノードID系列(003→005→006→004)に対応するリンクID系列は(021→022→023)である。取得情報からリンクID系列(021→022→023)の所要時間は、480秒(=60+360+60)である。よって、Bルートの所要時間は480秒である。
第2比較部3741は、前記分岐点と合流点を結ぶ異なる移動経路ごとに、前記第2時間算出手段が算出した所要時間を比較し、前記所要時間の大小関係を算出する第2比較手段の一例であり、本実施の形態では、第2時間算出部3740が算出した分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列に対する所要時間から、所要時間の大小関係を算出する。例えば図10のように、分岐点ID003、合流点ID004を結ぶ複数の経路、Aルート(003→004)の所要時間が600秒(10分)であり、Bルート(003→005→006→004)の所要時間が480秒(8分)であったとする。このとき、Aルートの方がBルートの所要時間に比べて大きいという大小関係が算出される(10分>8分)。
第4通知部3742は、分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列について、比較部3724が算出した所要時間大小関係と第2比較部3741が算出した所要時間大小関係の相違を算出し、大小関係が異なるときに、それらのノードID系列に関する所要時間情報を通知可能とする。例えば、Aルート「003→004」とBルート「003→005→006→004」について、比較部3724が「Aルートの所要時間<Bルートの所要時間」と算出し、第2比較部3741が「Aルートの所要時間>Bルートの所要時間」と算出したとする。このとき大小関係が異なるため(<≠>)、Aルート「003→004」とBルート「003→005→006→004」について通知可能とする。
情報提供部3710は、前記比較手段が算出した大小関係と前記第2比較手段が算出した大小関係とが異なる移動経路について、第2時間算出手段によって算出された所要時間に基づく所要時間情報を提供する前記情報提供手段の一例であり、本実施の形態では、第4通知部3742が通知可能と判断した分岐点ID、合流点IDを結ぶ複数のノードID系列に対して第2比較部3741が算出した所要時間の大小関係情報をユーザに提供する。例えば、第4通知部3742が通知可能と判断したノード系列がAルート「003→004」とBルート「003→005→006→004」であり、第2比較部3741が算出した所要時間の大小関係がAルート「003→004」の方がBルート「003→005→006→004」の所要時間に比べて大きいという情報であった場合、例えば所要時間情報「Bルート(003→005→006→004)がAルート(003→004)より早い」を情報提供装置の画面に表示する。
図41は、本発明の実施の形態4における所要時間情報提供装置の動作の例を示すフローチャートである。以下、本実施の形態4のフローチャートを、図41を用いて説明する。実施の形態2で説明した処理については説明を省略する。
実施の形態2と同様に、時間算出部2521が、通知部109が通知可能とした分岐点ID、合流点IDを結ぶ判定部114が算出した複数のノードID系列に対して、ノード抽出部2511が抽出したノードIDの通過時刻から、ノードID系列に対する所要時間を算出した後(ステップS2910)、比較部3024は、時間算出部2521が算出した分岐点合流点間の複数の経路を示すノードID系列に対する所要時間情報を用いて、分岐点、合流点が一致する複数の経路の所要時間平均を比較し、大小関係を算出する(ステップS3811)。情報取得部107は、VICSなどの外部ネットワーク媒体106から、道路リンクの所要時間情報を取得する(ステップS3812)。第2時間算出部3740は、情報取得部107が取得したリンクIDに対する所要時間情報、地図蓄積部104に蓄積されたリンクID情報を用いて、判定部114が抽出し、通知部109が通知可能とした分岐点、合流点、分岐点と合流点を結ぶ複数の経路(ノードID系列)における所要時間を算出する(ステップS3813)。第2比較部3741は、第2時間算出部3740が算出した分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列に対する所要時間から、所要時間の大小関係を算出する(ステップS3814)。第4通知部3742は、分岐点と合流点を結ぶ複数のノードID系列について、比較部3724が算出した所要時間大小関係と第2比較部3741が算出した所要時間大小関係の相違を算出し(ステップS3815)、大小関係が異なるときはステップS3816に進む(ステップS3815のYes)。大小関係が一致するときはステップS1201に戻る(ステップS3815のNo)。大小関係が異なるとき、情報提供部3710は、第4通知部3742が通知可能と判断した分岐点ID、合流点IDを結ぶ複数のノードID系列に対して第2比較部3741が算出した所要時間の大小関係情報をユーザに提供する(ステップS3816)。終了するか判定を行い(ステップS3817)、終了するならば、処理を終了する(ステップS3817のYes)。終了しないならば、ステップS1201に戻る(ステップS3817のNo)。
以上、実施の形態および変形例について説明したが、本発明の所要時間情報提供装置は、これらに限定されるものではない。以上の実施の形態および変形例で説明した所要時間情報提供装置が備える各機能を、矛盾しない限りにおいて、任意に組み合わせて構成される装置であってもよい。