JP4667828B2 - ポリウレタン発泡体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車内の座席の上端部に取付けられ、乗員の頭部への衝撃を和らげるためのヘッドレストや座席に使用されるクッションシート等として利用されるポリウレタン発泡体に関するものである。
従来、この種のポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤を含むポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させることにより製造されている。発泡剤としては、クロロフルオロカーボン類(CFC類)が用いられてきたが、近年CFC類によるオゾン層の破壊が指摘され、代替発泡剤として水が用いられるようになってきている。また、触媒として用いられる第3級アミン等はアミン臭があり、硬化速度を速めるために第3級アミンを多量に使用すると強い刺激臭を発生すると共に、製品自体にも臭気が残存し、その価値を損なうという問題があった。
そのような問題点を解決するために、触媒として揮発性が低く、硬化速度も改善することができるテトラメチルデカンジアミン、テトラメチルウンデカジアミン等のアミン化合物を用いることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、触媒としてテトラメチルウンデカンジアミンを、従来から使用されている触媒であるトリエチレンジアミンと組合せると共に、ポリオール類としてポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとを組合せた実施例(特許文献1の実施例4)が開示されている。
特開平7−173241号公報(第2頁及び第3頁)
ところが、特許文献1に開示されている実施例では、ポリオール類のうち特にポリエーテルポリオールはグリセリンをベースにし、エチレンオキシド等を付加させて得られた化合物である。そのポリエーテルポリオールはポリイソシアネート類より水に相溶性(親和性)を示し、疎水性のポリイソシアネート類との反応性が低い。このため、ポリイソシアネート類が水と反応しやすくなって泡化反応が進行し、発泡が促進される。しかも、発熱による温度上昇が大きくなり、発泡体は内部の温度が高く、表面の温度が低くなって温度差が大きくなる。このような過度の発泡と温度差により、発泡体の表面に破泡による窪みが生ずるという問題点があった。
そこで、本発明の目的とするところは、表面に破泡による窪みができるのを抑制することができるポリウレタン発泡体を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤としての水を含むポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて得られるポリウレタン発泡体において、前記ポリオール類として、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールと、窒素原子を含まない多価アルコールにエポキシ化合物を付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオールにエチレン性不飽和二重結合を有する単量体を付加させた変性ポリエーテルポリオールとを用い、触媒として、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒と、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒とを用い、前記感温性かつ水溶性の樹脂化触媒は、トリエチレンジアミン、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、及び1−イソブチル−2−メチルイミダゾールから選ばれる第3級アミンであり、前記非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒は、下記の化学式(1)で表されるアミン化合物であることを特徴とするものである。
Figure 0004667828
但し、Xは炭素数10〜15のアルキレン基、R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
請求項2に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項1に係る発明において、前記非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒は、N,N,N′,N′−テトラメチルデカンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルウンデカンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルドデシルジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、及びN,N,N′,N′−テトラメチルヘキサデシルジアミンから選ばれるアミン化合物であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明のポリウレタン発泡体は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.35〜0.60質量部であり、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.10〜1.00質量部であることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明のポリウレタン発泡体では、ポリオール類として、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールと、ポリエーテルポリオールとが含まれている。アミン含有ポリオールは、アミノ基がポリイソシアネート類のイソシアネート基と反応し、更に水に対する相溶性よりポリイソシアネート類に対する相溶性が高いことから、アミン含有ポリオールとポリイソシアネート類との反応(ウレタン化反応、樹脂化反応又はゲル化反応)が促進される。
また、触媒として、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒と、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒とを組合せて用いる。前者の触媒は、水溶性であるため、加熱時にポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進すると同時に、ポリイソシアネート類と水との泡化反応を促進する。後者の触媒は、非感温性であることにより、温度の高い発泡体の内部及び温度の低い発泡体の表面においてウレタン化反応を促進すると共に、非水溶性であることから、泡化反応に比べてウレタン化反応が一層促進する。その結果、ポリウレタン発泡体の表面に泡化反応の過剰な進行で生ずる破泡による窪みを抑制することができる。
また、第3級アミンはウレタン化反応の反応速度を速くすると共に、化学式(1)で表されるアミン化合物は発泡剤としての水が多い場合でもウレタン化反応の反応速度を速くすることができる
請求項3に記載の発明のポリウレタン発泡体では、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.35〜0.60質量部であり、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.10〜1.00質量部である。このため、双方の樹脂化触媒が相乗的に作用して請求項1又は請求項2に係る発明の効果を向上させることができる。
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤としての水を含むポリウレタン発泡体の原料を反応(硬化)及び発泡させることにより得られる。この場合、前記ポリオール類として、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールと、ポリエーテルポリオールとを含有し、触媒として感温性かつ水溶性の樹脂化触媒と非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒とを用いる。
ポリウレタン発泡体の原料としてのポリオール類は、本実施形態では2種類のポリオールが組合せて用いられる。第1のポリオールは、ポリイソシアネート類のイソシアネート基と反応してウレタン化反応を促進させるために、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールである。窒素原子を含む化合物としては、アルキルアジリジン等のアミン化合物、窒素原子を含むグリコール等が用いられる。エポキシ化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が用いられる。そして、窒素原子を含む化合物とエポキシ化合物とを常法に従って反応(付加反応)させることによりアミン含有ポリオールが得られる。このアミン含有ポリオールは、分子量が2000〜4000であることが好ましい。この分子量が2000未満の場合にはポリイソシアネート類との反応性(硬化性)が低く、ポリウレタン発泡体に十分な硬さが得られず、4000を越える場合には硬化性が大きくなってポリウレタン発泡体が硬くなる傾向を示す。
また、アミン含有ポリオールの1分子中におけるヒドロキシル基(水酸基)の平均官能基数は3〜4であることが好ましい。平均官能基数が3未満の場合にはポリイソシアネート類との反応性が低くなってポリウレタン発泡体に十分な硬さが得られず、4を越える場合にはポリイソシアネート類との反応性が高くなってポリウレタン発泡体に架橋構造が形成されて硬くなる傾向を示す。更に、アミン含有ポリオールのヒドロキシル基価(水酸基価)は30〜50であることが好ましい。このヒドロキシル基価は30未満のときにはポリイソシアネート類との反応性が低く、十分な硬さのポリウレタン発泡体が得られず、50を越えるときにはポリイソシアネート類との反応性が高くなってポリウレタン発泡体が硬くなり好ましくない。
第2のポリオールは、ポリエーテルポリオールであり、ポリウレタン発泡体を製造する際に通常使用されているものが用いられる。ポリエーテルポリオールは、ポリイソシアネート類との反応性に優れていると共に、ポリエステルポリオールのように加水分解をしないという利点を有している。ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、その変性体等が用いられる。変性体としては、前記ポリエーテルポリオールにアクリロニトリル又はスチレンを付加させたもの、或はアクリロニトリルとスチレンの双方を付加させたもの等が挙げられる。ここで、多価アルコールは1分子中にヒドロキシル基を複数個有する化合物である。多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたジオール等が挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、末端に第1級のヒドロキシル基を有していることから、ポリイソシアネート類との反応性が高い。ポリエーテルポリオールの平均分子量は2000〜6000であることが好ましい。この平均分子量が2000未満の場合には得られるポリウレタンの発泡体の成形時における安定性が著しく低下し、6000を越える場合にはポリウレタン発泡体の反発が著しく大きくなり、クッション性すなわちエネルギー吸収率が低下する。このポリエーテルポリオールは、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、ヒドロキシル基の官能基数やヒドロキシル基価を変えることができる。
前記アミン含有ポリオールとポリエーテルポリオールとの配合割合は、アミン含有ポリオールが40〜60質量%でポリエーテルポリオールが60〜40質量%であることが好ましく、アミン含有ポリオールが45〜55質量%でポリエーテルポリオールが55〜45質量%であることがより好ましい。アミン含有ポリオールが40質量%未満又はポリエーテルポリオールが60質量%を越える場合には、ウレタン化反応が不十分になってポリウレタン発泡体の表面に破泡による窪みが形成される傾向を招く。一方、アミン含有ポリオールが60質量%を越える場合又はポリエーテルポリオールが40質量%未満の場合には、ウレタン反応の進行が過度になってポリウレタン発泡体が硬くなる傾向を示す。
次に、上記のポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族ポリイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート類、又はこれらとポリオールとの反応による遊離イソシアネートプレポリマー類、カルボジイミド変性ポリイソシアネート類等の変性ポリイソシアネート類、更にはこれらの混合ポリイソシアネート等が用いられる。
これらのうち、トリレンジイソシアネート及びその誘導体、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及びその誘導体が好ましく、これらを混合して使用することもできる。トリレンジイソシアネート及びその誘導体としては、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、トリレンジイソシアネートのイソシアネートプレポリマー誘導体が挙げられる。4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート及びその誘導体としては、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとその重合体のポリフェニルポリメチレンジイソシアネートの混合物及び末端イソシアネート基を有するジフェニルメタンジイソシアネート誘導体を挙げることができる。
ポリイソシアネート類のイソシアネートインデックスは100以下又は100を越えてもよいが、ポリウレタン発泡体の柔軟性を良くするために、85〜100の範囲であることが好ましい。ここで、イソシアネートインデックスは、ポリオール類のヒドロキシル基及び発泡剤としての水に対するポリイソシアネート類のイソシアネート基の比を百分率で表したものである。
次に、触媒はポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応(樹脂化反応)、ポリイソシアネート類と水との泡化反応等の各反応を促進させるためのものである。係る触媒には、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒と、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒とが組合せて用いられる。前者の感温性かつ水溶性の樹脂化触媒は、ウレタン化反応で60〜150℃程度に加熱されるときに触媒としての機能が発揮される触媒である。係る樹脂化触媒としては、第3級アミンが挙げられ、具体的にはトリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物のほか、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。
これに対し、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒は、温度の如何にかかわらず、触媒機能を発揮することができる触媒である。係る樹脂化触媒としては、下記の化学式(1)で表されるアミン化合物を用いることが好ましい。このアミン化合物は揮発性が低く、刺激臭の少ない化合物である。
Figure 0004667828
但し、Xは炭素数10〜15のアルキレン基、R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
化学式(1)で表されるアミン化合物として具体的には、N,N,N′,N′−テトラメチルデカンジアミン(TMDDA)、N,N,N′,N′−テトラメチルウンデカンジアミン(TMUNDA)、N,N,N′,N′−テトラメチルドデシルジアミン(TMDODA)、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(TMHMDA)、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサデシルジアミン(TMHDDA)等が挙げられる。
前記感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.35〜0.60質量部であることが好ましく、0.40〜0.60質量部であることがより好ましい。この配合量が0.35質量部未満の場合には、ポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応が十分に進行せず、得られるポリウレタン発泡体の硬さ等の物性が低下して好ましくない。一方、0.60質量部を越える場合には、その樹脂化触媒が泡化反応が促進され、破泡による窪みが生じやすくなって好ましくない。また、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.10〜1.00質量部であることが好ましく、0.10〜0.50質量部であることがより好ましく、0.10〜0.40質量部であることが最も好ましい。この配合量が0.10質量部未満の場合には、ウレタン化反応が十分に促進されず、泡化反応が強く、破泡による窪みが生じやすい。一方、1.00質量部を越える場合には、ウレタン化反応が過度に進行してポリウレタン発泡体が硬くなったりするため好ましくない。
発泡剤は、ポリウレタンを発泡させてポリウレタン発泡体を得るためのもので、少なくとも化学的発泡剤としての水が含まれる。水は主にポリイソシアネート類と反応(泡化反応)して炭酸ガスを発生する。発泡剤としては、水以外にその他の化学的発泡剤又は物理的発泡剤を併用することができる。化学的発泡剤としては、有機酸、硼酸等の無機酸類、炭酸アルカリ金属塩、環状カーボネート類、ジアルキルカーボネート等が挙げられる。これらの化学的発泡剤は、ポリウレタン発泡体原料成分との反応又は加熱による分解によってガスを発生する。一方、物理的発泡剤としては、ペンタン、シクロペンタン等の炭化水素類、HCFC−22、141b等のハイドロクロロフルオロカーボン類、HFC−245類、356類等のハイドロフルオロカーボン類、空気、窒素、炭酸ガス(二酸化炭素)等のガスが挙げられる。
発泡剤としての水の配合量は、ポリオール類100質量部当たり1〜7質量部程度であることが好ましい。水の配合量が1質量部未満の場合には泡化反応が不十分となって発泡体のクッション性が損なわれやすくなり、7質量部を越える場合には泡化反応が過剰になって破泡による窪みが形成されやすくなる。
泡化触媒は、主にポリイソシアネート化合物と水との泡化反応を促進し、炭酸ガスを有効に発生させるための触媒であり、一般的に発泡体の流動性、寸法安定性の改良に用いられるものである。この泡化触媒には主に第3級アミンが使用され、その例としてはビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N′,N″,N''',N'''−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等が挙げられる。泡化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.2質量部以下であることが好ましく、0.05〜0.2質量部であることがより好ましい。この配合量が0.2質量部を越える場合には、泡化反応が過度に進行して破泡による窪みが形成されやすくなる。
その他の触媒として、樹脂化の最終段階で発泡体表面における硬化性を向上させるためにモルホリン系の触媒が用いられる。そのようなモルホリン系の触媒としては、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
整泡剤はポリウレタン発泡体の原料に通常配合されるもののいずれも使用することができるが、例えばオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体、シリコーン−グリース共重合体等の非イオン系界面活性剤、又はそれらの混合物等が挙げられる。整泡剤の配合量は、ポリオール類100質量部当たり0.1〜0.5質量部程度であることが好ましい。その他ポリウレタンの原料には、ポリアルキレンオキシドポリオール等のセルオープナー、縮合リン酸エステル等の難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を配合することができる。
前記ポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を行なう場合には、成形用金型を用いるモールド成形法、ポリウレタン発泡体の原料をベルトコンベア上に吐出し、常温、大気圧下で自然発泡し、硬化するスラブ成形法等のいずれも採用される。また、ウレタン化反応の際には、ワンショット法又はプレポリマー法が採用される。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させる方法である。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類との各一部を事前に反応させて末端にイソシアネート基又はヒドロキシル基を有するプレポリマーを得、それにポリオール又はポリイソシアネートを反応させる方法である。このような成形法によって、ポリウレタン発泡体よりなるヘッドレストやクッションシート等が製造される。
さて、ポリウレタン発泡体を製造する場合には、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤としての水を含むポリウレタン発泡体の原料を常法に従って反応及び発泡させることにより行われ、内部に多数のセルが形成されたポリウレタン発泡体が得られる。その場合、ポリオール類として、通常のポリエーテルポリオールに加え、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールが用いられる。このアミン含有ポリオールは、アミノ基がポリイソシアネート類のイソシアネート基と反応性を示すため、ウレタン化反応が促進される。しかも、アミン含有ポリオールは、水に対する相溶性よりポリイソシアネート類に対してより高い相溶性を示すことから、アミン含有ポリオールとポリイソシアネート類とのウレタン化反応が促進される。
また、触媒としてトリエチレンジアミン等の感温性かつ水溶性の樹脂化触媒に加えて、N,N,N′,N′−テトラメチルデカンジアミン等の非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒を用いる。この場合、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒は、ポリイソシアネート類と反応してウレタン化反応を促進すると同時に、泡化反応を促進する。一方、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒は、非感温性であることから、温度の高い発泡体の内部及び温度の低い発泡体の表面の双方においてウレタン化反応を促進すると共に、非水溶性であることから、泡化反応に比べてウレタン化反応を一層促進する。その結果、ポリウレタン発泡体の表面に泡化反応の過剰な進行で生ずる破泡による窪みを抑えることができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 実施形態におけるポリウレタン発泡体では、ポリオール類として、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールと、ポリエーテルポリオールとが含まれている。アミン含有ポリオールは、アミノ基がポリイソシアネート類のイソシアネート基と反応すると共に、ポリイソシアネート類に対して高い相溶性を示すことから、アミン含有ポリオールとポリイソシアネート類とのウレタン化反応が促進される。
また、触媒として感温性かつ水溶性の樹脂化触媒と、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒とを組合せて用いる。前者の触媒は、ウレタン化反応を促進すると同時に、泡化反応を促進し、後者の触媒は、泡化反応に比べてウレタン化反応を一層促進する。その結果、ポリウレタン発泡体の表面に泡化反応の過剰な進行で生ずる破泡による窪みを抑制することができる。
・ また、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒が第3級アミンであり、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒が前記化学式(1)で表されるアミン化合物である。第3級アミンはウレタン化反応の反応速度を速くすると共に、化学式(1)で表されるアミン化合物は発泡剤としての水が多い場合でもウレタン化反応の反応速度を速くすることができる。
・ 更に、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.35〜0.60質量部であり、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.10〜1.00質量部である。このため、双方の樹脂化触媒が相乗的に作用し、破泡による窪みを一層抑制することができる。
・ アミン含有ポリオールはアミノ基を有し、触媒としても機能することから、前記2種類の樹脂化触媒の配合量を減らすことができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態を更に具体的に説明する。
(実施例1〜8及び比較例1、2)
ポリウレタン発泡体の原料として、ポリイソシアネート70質量部、アミン含有ポリオール、ポリマーポリオール、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒、泡化触媒、整泡剤及び発泡剤としての水を、表1に示す配合量(質量部)にて配合した。
比較例1では、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒を使用しない例を示し、比較例2では前記特許文献1の実施例4に相当する例で、アミン含有ポリオールに代えて通常使用されているポリエーテルポリオールを用い、更に感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の含有量を減らした例を示した。
各成分として、以下のものを使用した。
ポリイソシアネート: MDIとTDIとの50:50(質量比)の混合物。イソシアネートインデックスは90となるように調整した。
アミン含有ポリオール: ダウケミカル社製、DVV6340、分子量3000、ヒドロキシル基の官能基数は3、ヒドロキシル基価(OH価)34mgKOH/g。
ポリマーポリオール: 三洋化成工業株式会社製、FA−728R、変性ポリエーテルポリオール、すなわちグリセリンにプロピレンオキシドを付加重合し、更にエチレンオキシドを付加重合して得られ、平均分子量が3000の重合体で、ポリエチレンオキシド単位が20モル%のものであるポリエーテルポリオールにアクリロニトリル(AN)とスチレン(St)の1:1(モル比)混合物を20質量%付加したもの、分子量5000、ヒドロキシル基価(OH価)28mgKOH/g。
尚、アミン含有ポリオールとポリマーポリオールの混合物におけるヒドロキシル基数の平均値は3である。
整泡剤: ゴールドシュミット社製、B8719LF、シリコーン系界面活性剤。
非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒: N,N,N′,N′−テトラメチルデカンジアミン(TMDDA)。
感温性かつ水溶性の樹脂化触媒: トリエチレンジアミン(TEDA)。
泡化触媒: ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル。
次に、下型と上型とよりなるモールド成形用金型を40〜65℃に加熱すると共に、下型の中空部にはヘッドレストステーをセットした。その後、ポリウレタン発泡体の原料を下型の成形凹部に注入した。次いで、上型を下型に型締めして密閉し、温度を上昇させてモールド成形を行い、ヘッドレストステーがポリウレタン発泡体中に埋め込まれたヘッドレストを製造した。得られたヘッドレストについて、破泡による窪み、収縮性、セル荒れ及び硬さを下記に示す基準で評価した。それらの結果を表2に示した。
(破泡による窪み)
ポリウレタン発泡体の表面を観察し、窪みが全く認められない場合を◎、窪みがわずかに認められるが全体として良好であると判断される場合を○、窪みが多く、かつ深く認められ不良であると判断される場合を△として評価した。
(収縮性)
ポリウレタン発泡体をモールド成形用金型から取り出したときの収縮状態を観察し、収縮が全く認められない場合を○、収縮が認められる場合を△として評価した。
(セル荒れ)
ポリウレタン発泡体についてセルの形成状態を観察し、セルが全く荒れていない場合を○、セルの荒れが若干認められる場合を△、セルの荒れが多く認められる場合を×として評価した。
(硬さ)
ポリウレタン発泡体を手で押さえることにより測定し、硬さが適切である場合を○、軟らかいと感じる場合を△として評価した。
Figure 0004667828
Figure 0004667828
表1に示したように、実施例1〜8ではポリウレタン発泡体(ヘッドレスト)に破泡による窪みはほとんど認められず、収縮性、セル荒れ及び硬さのいずれも良好な結果であった。これに対し、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒を使用しなかった比較例1では、破泡による窪みが多く、かつ深く認められ、セル荒れ及び硬さも不良であった。また、アミン含有ポリオールを用いず、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の含有量を減らした比較例2では、破泡による窪みが多く、かつ深く認められると共に、セル荒れが多く認められ、不良であった。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 触媒として、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒を複数用いたり、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒を複数用いたりすることも可能である。
・ 触媒として、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒或いは泡化触媒に該当しない第3級アミン、例えばトリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等を配合することもできる。
・ ポリエーテルポリオールとして、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたトリオールで、ポリエチレンオキシド単位が例えば20モル%越えるものを用いることができる。この場合、ポリエーテルポリオールには、ポリエチレンオキシド単位が10〜20モル%のものに比べてヒドロキシル基が多く含まれ、ポリイソシアネート類との反応性を高めることができる。
・ 実施形態で得られるポリウレタン発泡体を、ドアの内張り材、ピラーガーニッシュ等の自動車用内装品の材料として用いることができる。
更に、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ ポリウレタン発泡体の原料中には、更に泡化触媒としての第3級アミンを含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体。このように構成した場合には、泡化反応を促進して良好な柔軟性を有する発泡体を得ることができる。
・ ポリウレタン発泡体の原料中には、更に触媒としてモルホリン系化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリウレタン発泡体。このように構成した場合には、樹脂化の最終段階で発泡体表面における硬化性を向上させることができる。

Claims (3)

  1. ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒及び発泡剤としての水を含むポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて得られるポリウレタン発泡体において、
    前記ポリオール類として、窒素原子を含む化合物にエポキシ化合物を付加させてなるアミン含有ポリオールと、窒素原子を含まない多価アルコールにエポキシ化合物を付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオールにエチレン性不飽和二重結合を有する単量体を付加させた変性ポリエーテルポリオールとを用い、
    触媒として、感温性かつ水溶性の樹脂化触媒と、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒とを用い、
    前記感温性かつ水溶性の樹脂化触媒は、トリエチレンジアミン、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、及び1−イソブチル−2−メチルイミダゾールから選ばれる第3級アミンであり、
    前記非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒は、下記の化学式(1)で表されるアミン化合物であることを特徴とするポリウレタン発泡体。
    Figure 0004667828
    但し、Xは炭素数10〜15のアルキレン基、R1、R2、R3及びR4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
  2. 前記非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒は、N,N,N′,N′−テトラメチルデカンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルウンデカンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルドデシルジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、及びN,N,N′,N′−テトラメチルヘキサデシルジアミンから選ばれるアミン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン発泡体
  3. 前記感温性かつ水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.35〜0.60質量部であり、非感温性かつ非水溶性の樹脂化触媒の配合量は、ポリオール類100質量部に対して0.10〜1.00質量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリウレタン発泡体。
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