JP4664424B2 - 白金錯体及びそれを含む医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は新規白金錯体及びそれを有効成分とする医薬組成物、特に悪性腫瘍治療剤に関する。
近年、悪性腫瘍は死亡原因のトップを占めるに至っており、これに対し種々の抗腫瘍物質が開発されている。このうち従来から白金錯体は抗腫瘍作用が認められ、シスプラチン[I]、カルボプラチン[II]、オキザリプラチン[III]などが開発され、治療に用いられてきた(例えば、非特許文献1−非特許文献3参照)。
Figure 0004664424
US Patent 4,140,707 (February 20, 1979)
Nature, 1969, 222 385-386 Cancer Treat Reviews, 1985, 12 21-33 Cancer Letters, 1985, 27 135-143
しかしながら、シスプラチンは腎毒性、血液毒性、消化器毒性、神経毒性といった副作用が多いという問題があった。そこで、シスプラチンの腎毒性を軽減し、水溶性を増加するものとしてカルボプラチンが開発されたが、カルボプラチンは高価でありながら、その抗腫瘍効果は必ずしも満足のいくものではなかった。
これらは抗腫瘍活性を呈する一方、所定の抗腫瘍活性を奏するためには、それに対応する予め定められた所与量を投与する必要があり、このため副作用を有するという欠点がある。
本発明の目的は、スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とする白金(II)錯体であって、より強い抗腫瘍活性があり、投与量がより少量で効果があり、そのため相対的に副作用が軽減された新規錯体を提供することにある。
特に下式(G)で表わされるシス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体であって悪性腫瘍ことにヒトリンパ種細胞のような非固形腫瘍に対して強い抗腫瘍活性があり、かつ相対的に副作用が軽減された特徴を有する新規錯体を提供することにある。
Figure 0004664424
更に、シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンは2個のすなわち、(S,S,S)体と(R,R,R)の立体構造をもつ光学活性体のラセミ体として存在することから、これらの光学活性ジアミンの白金錯体の悪性腫瘍に対する効果を明らかにし、光学活性な(S,S,S)および(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とした白金(II)錯体であって、より強い抗腫瘍活性があり、投与量がより少量で効果があり、そのため相対的に副作用が軽減された新規錯体を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の悪性腫瘍治療剤は、下記一般式(A)であらわされるスピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とする新規白金(II)錯体及び該錯体を有効成分とするものである。
Figure 0004664424
式中、XおよびYは同一または異なり、それぞれハロゲン原子を示すか、あるいはXとYは共同して式(Z)で表される2価の残基を示す。
Figure 0004664424
式中Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。
本発明は、下式一般式(B)で示される(S,S,S) -シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とする白金錯体である。
Figure 0004664424
式中、XおよびYは同一または異なり、それぞれハロゲン原子を示すか、あるいはXとYは共同して式(Z)で表される2価の残基を示す。
Figure 0004664424
式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。
本発明は、下式一般式(C)で示される(R,R,R) -シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とする白金錯体である。
Figure 0004664424
式中、XおよびYは同一または異なり、それぞれハロゲン原子を示すか、あるいはXとYは共同して式(Z)で表される2価の残基を示す。
Figure 0004664424
式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。
本発明は、下式一般式(D)で示す、スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金ジカルボン酸錯体である。
Figure 0004664424
上記式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。
本発明は、下式一般式(E)で示す、(S,S,S) -シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金ジカルボン酸錯体である。
Figure 0004664424
式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。
本発明は、下式一般式(F)で示す、(R,R,R) -シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金ジカルボン酸錯体である。
Figure 0004664424
式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。
本発明は、下式(G)で示されるシス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体である。
Figure 0004664424
本発明は、下式(H)で示される(S,S,S)- シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体である。
Figure 0004664424
本発明は、下式(J)で示される(R,R,R)- シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体である。
Figure 0004664424
本発明は、下式(K)で示されるシス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シクロブタンジカルボン酸塩錯体である。
Figure 0004664424
本発明は、下式(L)で示されるシス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シクロブタンジカルボン酸塩錯体である。
Figure 0004664424
本発明は、上記各式の白金錯体を有効成分として含有する医薬組成物である。
本発明は、上記各式の白金錯体を有効成分として含有する悪性腫瘍治療剤である。
本発明は、悪性腫瘍治療剤である上記の医薬組成物である。
本発明は、非固形悪性腫瘍治療剤である上記の医薬組成物である。
本発明の新規白金錯体によれば、悪性腫瘍ことにヒトリンパ種細胞のような非固形腫瘍に対して強い抗腫瘍活性があり、従来の白金錯体悪性腫瘍治療剤と比較し、投与量がより少量で効果があり、そのため、相対的に副作用が軽減される。
本発明の(化合物1)をがん細胞および正常細胞へ作用させた場合の細胞増殖阻害率(%)を示すグラフである。 本発明の(化合物2)を各種がん細胞へ作用させた場合の細胞増殖阻害率(%)を示すグラフである。 本発明の(化合物3)を各種がん細胞へ作用させた場合の細胞増殖阻害率(%)を示すグラフである。
以下に本発明の白金錯体及びそれを含む悪性腫瘍治療剤を、その実施の形態について説明する。
本発明の白金錯体において、スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンは立体化学上シス、シス−体,シス、トランス−体,トランス、トランス−体の3つの立体異性体が存在する。しかしながら、トランス、トランス−体は立体的に分子内での白金との錯体形成は不可能であり、好ましくはシス、シス−体,シス、トランス−体である。
XとYとがハロゲン原子を示す場合はXとYとが同一のハロゲン原子であることが好ましく、特にXとYとが共に塩素原子であることが好ましい。
一方、XとYとが共同して式(Z)に表される化合物は、白金と錯体を形成するジカルボン酸に由来する。
Rが単結合の場合はそのジカルボン酸はシュウ酸であり、またRが炭素原子数1から6の炭化水素残基の場合はそのジカルボン酸は、例えばRが1,2,3の直鎖状である時はそれぞれマロン酸、コハク酸、グルタル酸である。
Rの炭化水素残基が不飽和結合を有する場合は、例えばRが炭素原子数2のジカルボン酸はマレイン酸である。
Rの炭化水素残基がスピロ構造を有する場合は、炭素原子数が3ないし6個の環状炭化水素であって、同一の炭素原子に2個の結合手を有するものであり、そのようなジカルボン酸としては、例えばシクロプロパン-1,1-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸があげられる。
白金と塩を形成するジカルボン酸としては好ましいものはRが単結合であるシュウ酸塩およびRの炭素原子数が4のシクロブタンジカルボン酸である。
本発明の立体異性体を含む化合物は、下記一般式で示される反応式(i)、(ii)で示される方法により合成される。
Figure 0004664424
Figure 0004664424
化合物(M)、(N)は公知の手法、例えば、J. Med. Chem., 1997, 40, 112-116、J. Inorg. Biochem., 1993, 50, 79-87、J. Inorg. Biochem., 1996, 61, 291-310に記載されている手法を応用して容易に得られる。DMSOはジメチルスルホキシドの略記号である。
Figure 0004664424
式(M)の化合物はそれ自体本発明の目的化合物(A)でありうる。
式(M)におけるヨウ素以外のハロゲン原子である化合物は(M)と同様にして製造される。あるいは(M)の化合物のヨウ素原子を常法に従って他のハロゲン原子に置換することによっても製造することができる。
(M)の化合物では、用いたスピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンは立体化学上シス、シス−体,シス、トランス−体,トランス、トランス−体の3つの立体異性体が存在するが、トランス、トランス−体は分子内での錯体形成は立体化学上不可能であり、従ってシス、シス−体、シス、トランス−体の2立体構造異性体となる。
反応式(i)に用いるジカルボン酸のアルカリ金属塩としてはNa、K塩が良く、当量用いるのが好ましい。反応式(ii)での化合物(N),(O)は当量用いるのが好ましい。
もう1つの原料である式(O)で示されるスピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンは、公知の方法(A.C.C. ChanらTetrahedoron. Lett., 2004, 45, 7379)、例えば反応式(v)で示した方法で合成できる。すなわち、スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(P)から3段階で合成できる。
Figure 0004664424
ここでMsClはメタンスルホニルクロライド(CH3SO2Cl)を表す。化合物(O)には3つの構造異性体、すなわち、シス、シス−体,シス、トランス−体,トランス、トランス−体が存在するが、この内、分子内で白金と錯体を形成するのはシス、シス−体,シス、トランス−体の2つである。これらは反応式(iv)、(v)で示したように立体選択的に対応するトランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(t,t-P)からシス、シス[4,4]ノナン-1,6-ジアミン(c,c-O)が、シス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(t,c-P)からシス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン(c,t-O)が合成できる。
Figure 0004664424
Figure 0004664424
トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(t,t-P)、トランス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(t,c-O)は公知の方法(J.A. Nieman, B.A. Keay, Synthetic Comm., 1999, 29, 3929 )、例えばスピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオン(S)を適当な還元剤、例えばNa[(CH3OCH2CH2O)2AlH2]などの金属水素化物で還元することにより得られる。
Figure 0004664424
通常は3つの異性体の混合物として得られるが、これらは公知の方法、例えば、D. J. CramらJ. Am. Chem. Soc., 1959, 81 2729 の方法で分離できる。
スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオン(S)は公知の方法、例えば、J.A. Nieman, B.A. Keay, Synthetic Comm., 1999, 29, 3929の方法で合成できる。
Figure 0004664424
ここで合成したジアミン(c,c-O)、(c,t-O)を反応式(i)、(ii)に用いれば、それぞれ対応する白金錯体が合成できる。
Figure 0004664424
Figure 0004664424
また、本発明の光学異性体を含む化合物は、下記一般式で示される反応式(I)、(II)で示される方法により合成される。
Figure 0004664424
Figure 0004664424
化合物(a)、(b)、(c)は公知の手法、例えば、J. Med. Chem., 1997, 40, 112-116、
J. Inorg. Biochem., 1993, 50, 79-87、J. Inorg. Biochem., 1996, 61, 291-310に記載されている手法を応用して容易に得られる。DMSOはジメチルスルホキシドである。
Figure 0004664424
式(a)、(b)の化合物はそれ自体本発明の目的化合物(B)および(C)でありうる。
式(a)、(b)におけるヨウ素以外のハロゲン原子である化合物は(a)、(b)と同様にして製造される。あるいは(a)、(b)の化合物のヨウ素原子を常法に従って他のハロゲン原子に置換することによっても製造することができる。
反応式(I)に用いるジカルボン酸のアルカリ金属塩としてはNa、K塩が良く、当量用いるのが好ましい。反応式(II)での(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-16,-ジアミン(d)、(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-16,-ジアミン(e)は当量用いるのが好ましい。
式(d)、(e)で示される(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン、(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミンは、公知の方法(A.C.C. ChanらTetrahedoron. Lett., 2004, 45, 7379)、例えば反応式(V)で示した方法で合成できる。
Figure 0004664424
すなわち、対応する光学活性な(R,S,R)-トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(f)、(S,R,S)-トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(g)から3段階で合成できる。
ここでMsClはメタンスルホニルクロライド(CH3SO2Cl)を表す。(R,S,R)-トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(f)、(S,R,S)-トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(g)は公知の方法(A.C.C. ChanらTetrahedoron. Lett., 2004, 45, 7379)、すなわちスピロ[4,4]-ノナン-1,6-ジオン(m)を既知の光学活性な(S)-CBS(n)または(R)-CBS (o)を触媒として用いてボランで還元することにより合成できる。(S)-CBS触媒を用いれば(R,S,R)-トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(f)が、(R)-CBS触媒を用いれば(S,R,S)-トランス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオール(g)が得られる。
Figure 0004664424
(S)-CBS触媒(n)、(R)-CBS触媒(o)は次式の反応式(VII)による公知の方法(E. J. Corey, R. K. Bakshi, S. Shibata, J. Am. Chem. Soc., 1987, 109, 5551)で合成できる。
Figure 0004664424
スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジオン(m)は公知の方法、例えば、J.A. Nieman, B.A. Keay, Synthetic Comm., 1999, 29, 3929の方法で合成できる。
Figure 0004664424
ここで合成した光学活性なジアミン(d)、(e)を反応式(I)、(II)に用いればそれぞれ対応する白金錯体が合成できる。
本錯体は、アコ錯体として水を含む場合があるが、アコ体も本発明に含まれる。
本発明の白金錯体の有効量を含む医薬組成物を臨床において投与する場合、経口または非経口により投与される。その剤形は、錠剤、糖衣錠、丸剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤、液剤、坐剤、注射剤などを包含し、これらは医薬上許容される賦形剤を配合して製造される。本発明の医薬組成物は非経口用製剤として調製されることが望ましい。賦形剤としては、次のようなものを例示することができる。乳糖、ショ糖、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、ばれいしょでんぷん、アミロペクチン、その他各種でんぷん、セルローズ誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、など)、ゼラチン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールワックス、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油などの植物油、パラフィン油、中性脂肪基剤、エタノール、プロピレングリコール、生理食塩水、滅菌水、グリセリン、着色剤、調味剤、濃厚剤、安定剤、等張剤、緩衝剤など、およびその他医薬上許容される賦形剤。
本発明の治療剤は、本発明の白金錯体を0.001〜85重量%、好ましくは0.005〜60重量%含有することができる。
本発明の治療剤の投与量は、主として症状により左右されるが、1日成人体重あたり0.005〜200mg、好ましくは0.01〜50mgである。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
300mlの丸底フラスコにテトラクロロ白金(II)酸カリウム(K2PtCl4)7.47g(18mmol)を入れ水145mlに溶かし、これにヨウ化カリ(KI)29.9gを水40mlに溶かした溶液を加えて室温で1時間攪拌する。次いでシス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン2.81g(18mmol)を加えて22時間室温で攪拌する。ろ過し、ろ過物を水、次いでエタノール、さらにジエチルエーテルで洗い、乾燥する。Pt(II)(シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン)ジヨウ素化物が8.47g得られた。収率は87%。
200mlの丸底フラスコに蒸留水150ml、アセトン15ml入れ、さらにPt(II)(シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン)ジヨウ素化物3g(4.97mmol)を加え、最後に硫酸銀1.47g(4.72mmol)を加えて暗室下室温で28時間攪拌する。不溶解物をろ過する。ろ液を約20mlまで減圧下で濃縮する。次いで1N苛性ソーダ水溶液8.9ml(8.9mmol)にシュウ酸402mg(4.47mmol)を溶かした溶液を加えて、暗室下室温で1時間攪拌する。4℃にまで冷却した後ろ過する。ろ過物を冷水で洗い、次いでアセトンで洗い、乾燥する。Pt(II)(シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン)シュウ酸塩錯体(化合物1)が1.28g得られた。収率は59%。
元素分析(C11H18N2O4Ptとして)
計算値(%) C:30.21 H:4.15 N:6.41 Pt:44.60
実測値(%) C:29.11 H:4.22 N:6.09 Pt:44.57
IR(KBr) cm−1:3203, 3115, 1693, 1672, 1367
1H-NMR(500MHz, DMSO-d6) δ:1.35 (t, J = 9.5Hz, 2H), 1.45-1.53 (m, 2H), 1.55-1.61 (m, 2H), 1.65-1.69 (m, 4H), 1.82-1.89 (m, 2H), 2.91-2.95 (q, J = 5.8Hz, 2H), 5.04 (t, J = 11.6Hz, 2H), 5.87 (d, J = 10.5Hz, 2H)
13C-NMR (125MHz, DMSO-d6) δ:20.6, 32.7, 35.2, 56.3, 60.4, 166.2
MS (FAB):m/z 438 (M+H+)
以上の結果から本化合物は(化合物1)で示される化学構造を持っていることが確かめられた。
Figure 0004664424
実施例2
50ml丸底フラスコにテトラクロロ白金(II)酸カリウム(K2PtCl4)6.26g(15.1mmol)を入れて水100mlに溶かし、次いでジメチルスルホキシド(DMSO)3.34g(42.8mmol)を加えて2日間静置する。析出してきた結晶をろ過し、次いで冷水で洗い、さらにアセトンで洗い乾燥する。DMSO錯体である(DMSO)2 PtCl2が5.44g得られた。収率は84.3%。
ここで得られたDMSO錯体である(DMSO)2 PtCl2 2.60g(6.1mmol)を200ml丸底フラスコに入れ、次いで水110mlを加え、さらに硫酸銀(Ag2SO4)1.86g(6.0mmol)を加えて暗所で19時間室温で攪拌する。ろ過助剤としてセライトを用いてろ過する。ろ液に1N苛性ソーダ溶液12.6mlにシュウ酸554mgを溶かした水溶液を加えて4時間室温で攪拌する。ろ過し、ろ過物を冷水で洗い、次いでアセトンで洗い、乾燥する。DMSOのシュウ酸塩白金錯体である(DMSO)2 Pt (oxalate)が2.12g得られた。収率は79.1%。
シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン78mg(0.5mmol)を水10mlに溶かし、ろ過する。ろ液に、先に得られた(DMSO)2Pt(oxalate) 220mg(0.5mmol)を加えて90℃で1.5時間加熱攪拌する。白色の固体が析出する。4℃まで冷却してろ過する。ろ過物を冷水で洗い、次いでアセトンで洗い、乾燥する。Pt(II)(シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン)シュウ酸塩錯体(化合物1)が145mg得られた。収率は66%。この物質のIRは実施例1で得られたものと完全に一致した。
実施例3
300mlの丸底フラスコにテトラクロロ白金(II)酸カリウム(K2PtCl4)5.81g(14mmol)を入れ水112mlに溶かし、これにヨウ化カリ(KI)23.26gを水31mlに溶かした溶液を加えて室温で1時間攪拌する。次いで(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン2.19g(14mmol)を加えて22時間室温で攪拌する。ろ過し、ろ過物を水、次いでエタノール、さらにジエチルエーテルで洗い、乾燥する。Pt(II)[(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]ジヨウ素化物が7.17g得られた。収率は85%。
200mlの丸底フラスコに蒸留水150ml、アセトン15ml入れ、さらにPt(II)[(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]ジヨウ素化物3g(4.97mmol)を加え、最後に硫酸銀1.47g(4.72mmol)を加えて暗室下室温で71時間攪拌する。不溶解物をろ過する。ろ液を約20mlまで減圧下で濃縮する。次いで1N苛性ソーダ水溶液8.9ml(8.9mmol)にシュウ酸402mg(4.47mmol)を溶かした溶液を加えて、暗室下室温で1時間攪拌する。4℃にまで冷却した後ろ過する。ろ過物を冷水で洗い、次いでアセトンで洗い、乾燥する。Pt(II)[(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]シュウ酸塩錯体(化合物2)が1.02g得られた。収率は47%。
IR(KBr) cm−1:3200, 3111, 1701, 1670, 1375
IR測定の結果、実施例1の化合物1と一致し、化合物2と確認できた。
Figure 0004664424
実施例4
300mlの丸底フラスコにテトラクロロ白金(II)酸カリウム(K2PtCl4)5.84g(14mmol)を入れ水114mlに溶かし、これにヨウ化カリ(KI)23.41gを水31mlに溶かした溶液を加えて室温で1時間攪拌する。次いで(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン2.20g(14mmol)を加えて22時間室温で攪拌する。ろ過し、ろ過物を水、次いでエタノール、さらにジエチルエーテルで洗い、乾燥する。Pt(II)[(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]ジヨウ素化物が7.34g得られた。収率は87%。
200mlの丸底フラスコに蒸留水150ml、アセトン15ml入れ、さらにPt(II)[(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]ジヨウ素化物3g(4.97mmol)を加え、最後に硫酸銀1.47g(4.72mmol)を加えて暗室下室温で28時間攪拌する。不溶解物をろ過する。ろ液を約20mlまで減圧下で濃縮する。次いで1N苛性ソーダ水溶液8.9ml(8.9mmol)にシュウ酸402mg(4.47mmol)を溶かした溶液を加えて、暗室下室温で1時間攪拌する。4℃にまで冷却した後ろ過する。ろ過物を冷水で洗い、次いでアセトンで洗い、乾燥する。Pt(II)[(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]シュウ酸塩錯体(化合物3)が1.15g得られた。収率は53%。
IR(KBr) cm−1:3202, 3111, 1697, 1674, 1377
IR測定の結果、比較例1の化合物1と一致し、化合物3と確認できた。
Figure 0004664424
実施例5
200ml丸底フラスコに実施例2で得られたDMSO白金錯体(DMSO)2PtCl2 3.77g(8.93mmol)を入れ、次いで水100mlを加える。さらにシクロブタンジカルボン酸(CBDCA)1.22g、0.5N苛性ソーダ水溶液34ml、次いで硝酸銀(AgNO3)2.89g(17mmol)を加えて暗所で室温46時間攪拌する。ろ過し、ろ過物を冷水で洗い、次いでアセトンで洗い乾燥する。DMSOのCBDCA白金錯体(DMSO)2Pt (CBDCA) 2.55gが得られた。収率は57.9%。
シス、シス-スピロ[4,4]-ノナン-1,6-ジアミン760mg(4.86mmol)を水10mlに溶かし、ろ過する。30mlの丸底フラスコにこのろ液を加え、上で得られたDMSOの白金錯体((DMSO)2Pt (CBDCA) 2.4g(4.86mmol)を加えて90℃で1.5時間加熱攪拌する。30分ほどで白色の固体が析出する。4℃に冷却してろ過し、冷水で洗い、次いでアセトンで洗い乾燥する。目的のPt(II)(シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン)シクロブタンジカルボン酸塩錯体(化合物4)が1.44g得られた。収率は60%。
元素分析(C15H24N2O4Pt・H2Oとして)
計算値(%) C:35.36 H:5.14 N:5.50 Pt:38.29
実測値(%) C:34.63 H:5.24 N:5.30 Pt:37.99
IR(KBr) cm−1:3207, 3098, 1661, 1672, 1373
1H-NMR(500MHz, DMF-d7) δ:1.49-1.53(m, 2H), 1.58-1.65(m, 2H), 1.70(quint, J = 7.9Hz, 2H), 1.75-1.80(m, 2H), 1.82-1.89(m, 2H), 1.91-1.97(m, 2H), 2.00-2.07(m, 2H), 3.17-3.20(m, 2H), 5.09(t, J = 11.3Hz, 2H), 5.64(d, J = 11.0Hz, 2H)
13C-NMR(125MHz, DMF-d7) δ:15.8, 21.2, 31.3, 33.6, 6.3, 56.7, 57.4, 61.7, 178.6
MS (FAB):m/z 492(M+H+)
以上の結果から本化合物は(化合物4)で示される化学構造を持っていることが確かめられた。
Figure 0004664424
実施例6
シス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン 997mg(6.38mmol)を水100mlに溶かし、ろ過する。200mlの丸底フラスコにこのろ液を加え、次いで実施例5で得られたDMSOの白金錯体(DMSO)2Pt (CBDCA) 3.15g(6.38mmol)を加えて室温で26時間攪拌後、90℃で2.5時間加熱攪拌する。1時間程度で白色固体の析出が確認される。4℃に冷却し、ろ過する。冷水で洗い、次いでアセトンで洗い乾燥する。Pt(II)(シス、トランス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン)シクロブタンジカルボン酸塩錯体(化合物5)が1.12g得られた。収率は36%。
元素分析(C15H24N2O4Ptとして)
計算値(%) C:36.66 H:4.92 N:5.70 Pt:39.70
実測値(%) C:36.56 H:4.88 N:5.57 Pt:39.91
IR(KBR) cm−1:3209, 3115, 1651, 1614, 1373
1H-NMR(500MHz, DMSO -d6) δ:1.13-1.17(m, 1H), 1.24-1.29(m, 1H), 1.33-1.52(m, 2H), 1.59-1.72(m, 2H), 1.79-1.82(m, 2H), 1.87-1.94(m,1H), 1.98-2.09(m, 3H), 2.53-2.60(m, 2H), 2.68(q, J = 9.2Hz, 1H), 2.78-2.80(m, 1H), 2.87-2.92(m, 1H), 4.72(t, J = 11.8Hz, 1H), 5.23(d, J = 11.7Hz, 1H), 5.36(d, J = 8.5Hz, 1H), 5.71(d, J = 8.8Hz, 1H)
13C-NMR(125MHz, DMSO -d6) δ:15.0, 18.5, 22.7, 27.8, 29.0, 29.1, 31.5, 34.0, 37.0, 55.3, 55.58, 55.65, 59.9, 177.2, 177.5
MS (FAB):m/z 492(M+H+)
以上の結果から本化合物は(化合物5)で示される化学構造を持っていることが確かめられた。
Figure 0004664424
実施例7
試験溶液は、(化合物1)をジメチルスルホキシド(DMSO)に8mg/mlの濃度で溶解することにより調製した。
試験は、がん細胞としてU937(ヒトリンパ腫細胞)を、正常細胞としてHEK293(ヒト胎児腎細胞)を用いて行った。
これらの細胞は10%血清添加の各培養培地に懸濁し、96ウェルプレートに分注した。その後37℃、5%CO2の中で一晩培養した。翌日、試験溶液を培養培地にて種々の濃度(0、4、8、16μg/ml)に調製し、あらかじめ細胞を播いておいたプレートに分注した。さらに3日間、37℃、5%CO2の中で培養した。
薬剤添加後の細胞の増殖は、薬剤添加後1〜3日目にMTS法(Promega社製細胞増殖試験用キット)により測定した。
測定したMTS値より、細胞増殖の阻害率(%)を以下の式で求めた。
阻害率(%)=(1-薬剤添加群のMTS値/薬剤未添加群のMTS値)×100
上記式で求められた値は、細胞増殖の阻害率を表すため、数値が高いほど薬剤効果が高いことになる。その値が50(%)以上のものを薬剤効果があるものとした。結果を以下に示す。
図1に示すグラフのX軸は薬剤添加後の日数を表し、Y軸は式より求めた細胞増殖阻害率(%)を表す。さらに、各濃度(4、8、16μg/ml)を同一のグラフ上に示した。
Figure 0004664424
上記の表1より、がん細胞(U937)において著明な薬効が認められた。オキザリプラチンについても、上記と同様な試験を行った結果、やはりU937で薬効がみられたが(化合物1)の方が強い薬効がみられることが判明した。
実施例8
S薬剤試験溶液は白金(II)[(S,S,S)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]シュウ酸塩錯体(化合物2:以下S薬剤と記す)を、R薬剤試験溶液は白金(II)[(R,R,R)-シス、シス-スピロ[4,4]ノナン-1,6-ジアミン]シュウ酸塩錯体(化合物3:以下R薬剤と記す)を、それぞれジメチルスルホキシド(DMSO)に10mg/mlの濃度で溶解することにより調製した。
試験は、がん細胞として、A549(ヒト肺がん細胞)、LU65A(ヒト肺がん細胞)、RERF-LC-MA(ヒト肺がん細胞)、LU99(ヒト肺がん細胞)、H460(ヒト肺がん細胞)、HCT116(ヒト結腸がん細胞)、HT-29(ヒト結腸がん細胞)、MKN-45(ヒト胃がん細胞)、MKN-1(ヒト胃がん細胞)、U937(ヒトリンパ腫細胞)、KP-1N(ヒト膵臓がん細胞)、H2452(ヒト中皮種細胞)を用いて行った。
これらの細胞を10%血清添加の各培養培地に懸濁し、96ウェルプレートに分注した。その後37℃、5%CO2の中で一晩培養した。翌日、S薬剤試験溶液およびR薬剤試験溶液を培養培地にて種々の濃度(5、10、20μg/ml)に調製し、あらかじめ細胞を播いておいたプレートに分注した。さらに3日間、37℃、5%CO2の中で培養した。
薬剤添加後の細胞の増殖は、薬剤添加後1〜3日目に、MTS法(Promega社製細胞増殖試験用キット)により測定した。
測定したMTS値より、細胞増殖の阻害率(%)を以下の式で求めた。
阻害率(%)=(1-薬剤添加群のMTS値/薬剤未添加群のMTS値)×100
上記式で求められた値は、細胞増殖の阻害率を表すため、数値が高いほど薬剤効果が高いことになる。その値が50(%)以上のものを薬剤効果があるものとした。結果を以下に示す。
図2および図3に示すグラフのX軸は薬剤添加後の日数を表し、Y軸は式より求めた細胞増殖阻害率(%)を表す。さらに、各濃度(5、10、20μg/ml)を同一のグラフ上に示した。
Figure 0004664424
S薬剤については、H2452細胞(ヒト中皮種細胞)を除くすべての細胞で細胞増殖阻害率が50%以上であった。R薬剤については、すべての細胞で細胞増殖阻害率が50%以上であった。
以上の結果より、S薬剤およびR薬剤は、多くの腫瘍細胞に薬効を示し、その効果はR薬剤の方がより高いといえる。またS薬剤およびR薬剤は、従来の抗腫瘍治療剤であるオキザリプラチンと比較して高い薬効を示した。
以上のように本発明の白金錯体は強い抗腫瘍活性を有し、悪性腫瘍治療剤として有用である。

Claims (14)

  1. 下記一般式(A)で示されるスピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とする白金錯体。
    Figure 0004664424

    (式中、XおよびYは同一または異なり、それぞれハロゲン原子を示すか、あるいはXとYは共同して式(Z)で表される2価の残基を示す。)
    Figure 0004664424
    (式中Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。)
  2. 請求項1において、下式一般式(B)で示される(S,S,S)−シス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とする白金錯体。
    Figure 0004664424
    (式中、XおよびYは同一または異なり、それぞれハロゲン原子を示すか、あるいはXとYは共同して式(Z)で表される2価の残基を示す。)
    Figure 0004664424
    (式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また、該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。)
  3. 請求項1において、下式一般式(C)で示される(R,R,R)−シス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とする白金錯体。
    Figure 0004664424
    (式中、XおよびYは同一または異なり、それぞれハロゲン原子を示すか、あるいはXとYは共同して式(Z)で表される2価の残基を示す。)
    Figure 0004664424
    (式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また、該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。)
  4. 請求項1において、下式一般式(D)で示す、スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金ジカルボン酸錯体。
    Figure 0004664424
    (上記式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。)
  5. 請求項2または4において、下式一般式(E)で示す、(S,S,S)−シス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金ジカルボン酸錯体。
    Figure 0004664424
    (式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。)
  6. 請求項3または4において、下式一般式(F)で示す、(R,R,R)−シス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金ジカルボン酸錯体。
    Figure 0004664424
    (式中、Rは単結合または炭素原子数1ないし6個の直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の炭化水素残基を示し、該炭化水素残基は不飽和結合を有していてもよく、また該炭化水素残基はスピロ構造を形成していてもよい。)
  7. 請求項1または4において、下式(G)で示されるシス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体。
    Figure 0004664424
  8. 請求項5または7において、下式(H)で示される(S,S,S)−シス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体。
    Figure 0004664424
  9. 請求項6または7において、下式(J)で示される(R,R,R)−シス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シュウ酸塩錯体。
    Figure 0004664424
  10. 請求項1または4において、下式(K)で示されるシス、シス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シクロブタンジカルボン酸塩錯体。
    Figure 0004664424
  11. 請求項1または4において、下式(L)で示されるシス、トランス−スピロ[4,4]ノナン−1,6−ジアミンを配位子とすることを特徴とする白金シクロブタンジカルボン酸塩錯体。
    Figure 0004664424
  12. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の白金錯体を有効成分として含有する医薬組成物。
  13. 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の白金錯体を有効成分として含有する悪性腫瘍治療剤。
  14. 非固形悪性腫瘍治療剤である請求項13記載の悪性腫瘍治療剤
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