JP4663193B2 - ヒドロキシエイコサテトラエン酸アナログおよびドライアイ障害の処置におけるその使用方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ヒドロキシエイコサテトラエン酸アナログを含む組成物およびドライアイの処置におけるその使用のための方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
ドライアイ(keratoconjunctivitis siccaとしても一般に知られる)は、毎年数百万人のアメリカ人が冒される一般的な眼科学的障害である(Scheinら,Prevalence of dry eye among the elderly.American J.Ophthalmology,124:723−738,(1997))。この症状は、受胎能休止後のホルモン変化に起因して、特に閉経後の女性の間に広まっている。ドライアイは、様々な重篤度で個体に苦痛をもたらし得る。穏やかな場合、患者は、灼熱感、乾燥した感覚、および眼瞼と眼表面との間にとどまる小さな物体によりしばしば引き起こされるような持続性の刺激を経験し得る。重篤な場合、視力が実質的に損なわれ得る。他の疾患(例えば、シェーグレン病および瘢痕性類天疱瘡)は、ドライアイの合併症を顕在化する。
【0003】
ドライアイは、多くの無関係な病因から生じ得るようであるが、合併症の全ての表象は共通の効果を共有し、すなわち、前眼(pre−ocular)涙液膜の衰弱であり、これは、露出した外表面の脱水および多くの上記に概説した症状を生じる(Lemp,Report of the Nation Eye Institute/Industry Workshop on Clinical Trials in Dry Eyes,The CLAO Journal,第21巻,第4号,221−231頁(1995))。4つの事象は、単一または組み合わせてドライアイの症状をもたらすと考えられると同定された:a)涙液生成の減少または涙液蒸発の増加;b)結膜杯細胞密度の減少;c)角膜剥離の増加;およびd)角膜−涙液界面の不安定化(Gilbard,Dry eye:pharmacological approaches,effects,and progress.The CLAO Journal.22:141−145(1996))。別の主要な問題は、ムチンの結膜細胞および/または角膜上皮細胞によるムチンの産生の減少であり。ムチンは、眼表面を保護し、かつ滑らかにする(GipsonおよびInatomi,Mucin genes expressed by ocular surface epithelium.Progress in Retinal and Eye Research,16:8198(1997))。
【0004】
開業医は、ドライアイを処置するためにいくつかのアプローチを行ってきた。1つの一般的なアプローチは、1日中点眼されるいわゆる人工涙液を使用する眼用涙液膜の補充および安定化であった。別のアプローチは、涙液代用物を生じる眼用挿入物の使用または内因性涙液産生の刺激であった。
【0005】
涙液代用物アプローチの例としては、緩衝化等張性生理食塩水溶液、水溶性ポリマーを含有する水溶液の使用が挙げられ、このポリマーは、溶液をより粘性にし、それにより眼から容易に流れなくする。涙液再構成はまた、涙液膜の1つ以上の成分(例えば、リン脂質および油)を与えることにより試みられる。これらの処置アプローチの例は、米国特許第4,131,651号(Shahら)、同第4,370,325号(Packman)、同第4,409,205号(Shively)、同第4,744,980号および同第4,883,658号(Holly)、同第4,914,088号(Glonek)、同第5,075,104号(Gresselら)および同第5,294,607号(Glonekら)に開示される。
【0006】
ドライアイの処置における眼用挿入物の使用に関する米国特許としては、第3,991,759号(Urquhart)が挙げられる。他の半固体治療剤は、天然に存在する涙液膜と接触する際にゲル化するカラゲナン(5,403,841号、Lang)の投与に含められた。
【0007】
別の最近のアプローチは、人工涙液の代わりに潤滑物質の供給を含む。米国特許第4,818,537号(Guo)は、潤滑性リポソームベース組成物の使用を開示する。
【0008】
上記の試み(これらは、主にドライアイに関連する症状の改善に関する)とは別に、ドライアイ状態の処置に関する方法および組成物もまた追求されてきた。例えば、米国特許第5,041,434号(Lubkin)は、閉経後の女性におけるドライアイ状態を処置するための、性ステロイド(例えば、抱合卵胞ホルモン)の使用を開示し;米国特許第5,290,572号(MacKeen)は、前眼涙液膜を刺激するための細かく分割されたカルシウムイオン組成物の使用を開示し;そして、米国特許第4,966,773号(Gresselら)は、眼の組織の正常化のための1つ以上のレチノイドの微細粒子の使用を開示する。
【0009】
これらのアプローチは、いくつかの成功を収めたが、それにもかかわらずドライアイの処置における問題が残る。涙液代用品の使用は、一時的に効果的であるが、一般的に患者の覚醒している時間にわたって反復した適用を必要とする。患者が人工涙液溶液を1日にわたって10回〜20回適用しなければならないことは一般的ではない。このような仕事は煩わしく、かつ時間を費やすだけでなく、潜在的に非常に高価である。屈折手術に付随する一時的なドライアイの症状は、いくつかの場合、術後6週間から6ヶ月以上も続くことが報告されている。
【0010】
眼用挿入物の使用はまた、問題がある。費用とは別に、これらはしばしば扱いにくく不快である。さらに、眼に導入された異物として、これらは感染をもたらす汚染源であり得る。挿入物がそれ自体で涙液膜を生成も送達もしない状況において、人工涙液は、なお規則的で頻繁なベースでさらに送達されなくてはならない。
【0011】
上述の観点において、症状を改善し得、そしてドライアイの根底にある物理的および生理学的欠陥を処置し得、そして投与が簡便かつ安価な、ドライアイのための効果的な処置の明らかな必要性が存在する。
【0012】
ムチンは、グルコサミンベース部分で高度にグリコシル化されたタンパク質である。ムチンは、上皮細胞(特に粘膜の上皮細胞)に保護効果および潤滑効果をもたらす。ムチンは、小胞により分泌され、そしてヒトの眼の結膜上皮の表面上で放出されることが示された(Greinerら,Mucus Secretory Vesicles in Conjunctival Epithelial Cells of Wearers of Contact Lenses,Archives of Ophthalmology,第98巻、1843−1846頁(1980);およびDillyら,Surface Changes in the Anaesthetic Conjunctiva in Man,with Special Reference to the Production of Mucus from a Non−Goblet−Cell Source,British Journal of Ophthalmology,第65巻,833−842頁(1981))。多数のヒト由来のムチン(先端および先端下角膜上皮に存在する)が発見され、クローニングされた(Watanabeら,Human Corneal and conjunctival Epithelia Produce a Mucin−Like Glycoprotein for the Apical Surface,Investigative Ophthalmology and Visual Science,第36巻,第2号,337−344頁(1995))。最近、Watanabeは、新規なムチンを発見し、これは、ヒトの眼の角膜先端細胞および先端下細胞ならびに結膜上皮を介して分泌される(Watanabeら,IOVS,第36巻,第2号,337−344頁(1995))。これらのムチンは、潤滑性を提供し、そしてさらに、潤滑性および光の角膜屈折のための水分および皮脂状物質を誘引そして保持する。
【0013】
ムチンはまた、肺気道路を含む身体の他の部分で産生および分泌され、そしてより具体的には、気管/気管支上皮細胞間に広まる杯細胞から産生および分泌される。特定のアラキドン酸代謝物は、これらの細胞におけるムチン産生を刺激することが示されてきた。Yanniは、ヒドロキシエイコサテトラエン酸(「HETE」)誘導体によりラット肺における粘膜糖タンパク質の増加した分泌を報告した(Yanniら、Effect of Intravenously Administered Lipoxygenase Metabolites on Rat Tracheal Mucous Gel Layer Thickness,International Archives of Allergy And Applied Immunology,第90巻,307−309頁(1989))。同様に、Maromは、HETE誘導体によるヒト肺における粘膜糖タンパク質の産生を報告した(Maromら,Human Airway Monohydroxy−eicosatetraenoic Acid Generation and Mucus Release,Journal of Clinical Investigation,第72巻,122−127頁(1983))。しかしながら、当該分野において、HETE誘導体の使用が、ドライアイの処置として眼の組織においてムチン産生を刺激することは示唆されていない。
【0014】
上記で議論されたような、ドライアイのための従来の処置は、眼への人工涙液の1日に数回の投与を含む。眼のムチン産生および/または涙液産生を増加すると主張される他の薬剤はとしては、以下が挙げられる:血管作用性腸ポリペプチド(Darttら,Vasoactive intestinal peptide−stimulated glycoconjugate secretion from conjunctival goblet cells.Experimental Eve Research,63:27−34,(1996))、ゲファルナート(Nakmuraら,Gefarnate stimulates secretion of mucin−like glycoproteins by corneal epithelium in vitro and protects corneal epithelium from desiccation in vivo,Experimental Eye Research,65:569−574(1997))、およびリポソームの使用(米国特許第4,818,537号)、アンドロゲン(米国特許第5,620,921号)、メラニン細胞刺激ホルモン(米国特許第4,868,154号)、およびホスホジエステラーゼインヒビター(米国特許第4,753,45号)、レチノイド(米国特許第5,455,265号)。しかし、これらの化合物または処置の多くは、特異性、効力および有効性の欠如を欠点として有し、そしてこれらの薬剤は、ドライアイおよび関連眼表面疾患を処置するために治療的に有用な製品としてこれまでに販売されていない。本発明と特に関連するものは、ドライアイを処置するためのヒドロキシエイコサテトラエン酸誘導体の特許請求された使用である(米国特許第5,696,166号)。従って、ドライアイおよび関連疾患の処置のための有効な治療に対する必要性が残っている。
【0015】
(発明の要旨)
本発明は、ドライアイおよび眼の湿潤化を必要とする他の障害(LASIK手術のような屈折手術に関連するドライアイの症状を含む)の処置のための組成物および方法に関する。より詳細には、本発明は、(5Z,8Z,11Z,13E)−15−ヒドロキシエイコサ−5,8,11,14−テトラエン酸(15−HETE)のアナログおよびドライアイ型障害を処置するためのこれらのアナログを使用する方法を開示する。この組成物は、好ましくは眼に局所投与される。
【0016】
(発明の詳細な説明)
特定の15−HETEアナログは、ドライアイまたは眼の湿潤化を必要とする他の障害を処置する際に有用であることが発見された。このようなアナログは、ヒト結膜上皮におけるムチン産生を刺激すると考えられる。これらの化合物は、以下の式I:
【0017】
【化49】
の化合物であり、
ここで:
R1は、CO2R、CONR2R3、CH2OR4、CH2NR5R6、CH2N3、CH2Hal、CH2NO2、CH2SR20、COSR21、または2,3,4,5−テトラゾール−1−イルであり、ここで:
Rは、Hまたは薬学的に受容可能なカチオンであるか、またはCO2Rが薬学的に受容可能なエステル部分を形成し;
NR2R3、NR5R6は、同一かまたは異なり、そして遊離アミノ基または官能基で修飾されたアミノ基を含み;
OR4は、遊離ヒドロキシ基または官能基で修飾されたヒドロキシ基を含み; Halは、F、Cl、Br、またはIであり;
R20は、H、アルキル、アシルであり;
R21は、Hもしくは薬学的に受容可能なカチオンであるか、またはCOSR21が薬学的に受容可能なチオエステル部分を形成し、
Aは、L1−A1−L2、L1−A2−L2、L3−A2−L4、またはL5−A2−L3であり;
A1は、CH2CH2であり;
A2は、
【0018】
【化50】
であり;
L1は、CH2−B−Dであり;
BおよびDは、同一かまたは異なり、そしてCH2CH2、CH=CH、またはC≡Cであり;
L2は、CH2−K−CH2CH2であり;
Kは、CH2CH2、CH=CH、またはC≡Cであり;
L3は、CH2CH2CH2、CH2CH=CH、CH2C≡C、CH=CHCH2、C≡CCH2、またはCH=C=CHであり;
L4は、X−CH2CH2であり;
Xは、CH2CH2CH=CH、CH2CH2C≡C、CH2CH2CH2CH2、CH2CH=CHCH2、CH2C≡CCH2、CH=CHCH2CH2、C≡CCH2CH2、CH2CH=C=CH、またはCH=C=CHCH2であり;
L5は、CH2CH2−B−Dであり;そして
Yは、C(O)(すなわち、カルボニル基)であるか、またはYは、
【0019】
【化51】
であり;
ここでR9Oは、遊離ヒドロキシ基または官能基で修飾されたヒドロキシ基を構成する。
【0020】
本発明の化合物の全ては、化合物1(以下の実施例1を参照のこと)を除いて新規であると考えられており、化合物1は、ヒト血液中のアラキドン酸代謝物として同定されていた[EvansおよびSprecher,Prostaglandins,29:431(1985)]。
【0021】
式Iの化合物はまた、グリセリルエステルまたはスフィンゴミエリンアミドとしてリン脂質に組み込まれ得る。式Iの化合物のリン脂質スフィンゴミエリンアミドは、代表的に、炭素1のカルボキシレートを介してスフィンゴミエリン骨格のアミノ基にアミド化された式Iの化合物を含む。リン脂質の式Iのエステルは、種々のリン脂質を含む。式Iの化合物のリン脂質エステルは、代表的にその炭素1のカルボキシレートを介して、リン脂質のグリセロール骨格のsn−1位もしくはsn−2位のアルコール、または両方にエステル化した式Iの化合物を含む。グリセリルエステルクラスのsn−1位もしくはsn−2位が、式Iの化合物のエステルを含まない場合、グリセロール骨格のこのような炭素位置は、以下に連結されたメチレン、エーテルまたはエステル部分を含む:置換もしくは無置換の、C12 〜 30アルキルもしくはアルケニル(このアルケニル基は、1つ以上の二重結合を含有する);アルキル(シクロアルキル)アルキル;アルキル(シクロアルキル);アルキル(ヘテロアリール);アルキル(ヘテロアリール)アルキル;またはアルキル−M−Q;ここでこの置換は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、または官能基で修飾されたヒドロキシであり;Mは、OまたはSであり;そしてQは、H、アルキル、アルキル(シクロアルキル)アルキル、アルキル(シクロアルキル)、アルキル(ヘテロアリール)またはアルキル(ヘテロアリール)アルキル。しかし、グリセロール骨格のsn−1位またはsn−2位のアルコールの少なくとも1つは、式Iの化合物と、式Iの化合物の炭素1のカルボキシレートを介してエステルを形成しなければならない。好ましいリン脂質−式I)エステルは、ホスファチジルエタノールアミン型、ホスファチジルコリン型、ホスファチジルセリン型、およびホスファチジルイノシトール型である。最も好ましいリン脂質−式Iエステルは、その炭素1のカルボキシレートを介して、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルイノシトールのsn−2位でアルコールにエステル化された式Iの化合物を含む。リン脂質−式Iエステルおよびスフィンゴミエリンアミドは、当該分野で公知の種々のリン脂質合成方法を使用して合成され得る;例えば、Tsaiら,Biochemistry,第27巻,4619頁(1988);およびDennisら,Biochemistrv,第32巻,10185頁(1993)を参照のこと。
【0022】
表題化合物の個々のエナンチオマー、ならびにそれらのラセミ混合物および非ラセミ混合物は、本発明の範囲内に含まれる。個々のエナンチオマーは、以下に記載されるような手段により、適切な純粋なエナンチオマーの出発物質またはエナンチオマーが富化された出発物質から、エナンチオ選択的に合成され得る。あるいは、これらは、ラセミ/非ラセミの出発物質またはアキラルな出発物質からエナンチオ選択的に合成され得る(Asymmetric Synthesis;J.D.Morrison and J.W.Scott編;Academic Press Publishers:New York,1983−1985,第1−5巻;Principles of Asymmetric Synthesis;R.E.GawleyおよびJ.Aube編;Elsevier Publishers:Amsterdam,1996)。これらはまた、多数の公知の方法によってラセミ混合物および非ラセミ混合物から、例えば、サンプルをキラルHPLCにより精製することにより(A Practical Guide to Chiral Separations by HPLC;G.Subramanian編;VCH Publishers:New York,1994;Chiral Separations by HPLC;A.M.Krstulovic編;Ellis Horwood Ltd.Publishers,1989)、または酵素によるカルボン酸エステルサンプルのエナンチオ選択的加水分解により(Ohno,M.;Otsuka,M.Organic Rections 第37巻、1頁(1989))単離され得る。当業者は、ラセミ混合物および非ラセミ混合物が、いくつかの手段(非エナンチオ選択的合成、部分分割、または異なるエナンチオマー比を有するサンプルを混合することさえも含むがこれらに限定されない)により得られ得ることを理解する。本発明の原理から逸脱することなく、かつその利点を犠牲にすることなく、添付の特許請求の範囲内のこのような詳細から開始され得る。実質的にそのそれぞれのエナンチオマーを含まない個々の異性体もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」および「薬学的に受容可能なエステル」は、有意に有害な健康結果なしに、任意の従来の手段による患者への治療的投与に適切である、任意の塩またはエステルをそれぞれ意味し;そして「眼に受容可能な塩」および「眼に受容可能なエステル」は、眼用適用に適切(すなわち、非毒性かつ非刺激性)である、任意の薬学的に受容可能な塩またはエステルをそれぞれ意味する。
【0024】
用語「遊離ヒドロキシ基」とは、OHを意味する。用語「官能基で修飾されたヒドロキシ基」とは、官能基化されて以下を形成したOHを意味する:エーテル(ここで、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、へテロシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、へテロシクロアルケニル基、アルキニル基、またはヘテロアリール基で水素が置換されている);エステル(ここでアシル基で水素が置換されている);カルバメート(ここでアミノカルボニル基で水素が置換されている);またはカーボネート(ここでアリールオキシ−カルボニル基、へテロアリールオキシ−カルボニル基、アルコキシ−カルボニル基、シクロアルコキシ−カルボニル基、へテロシクロアルコキシ−カルボニル基、アルケニルオキシ−カルボニル基、シクロアルケニルオキシ−カルボニル基、へテロシクロアルケニルオキシ−カルボニル基、またはアルキニルオキシ−カルボニル基で水素が置換されている)。好ましい部分としては、OH、OCH2C(O)CH3、OCH2C(O)C2H5、OCH3、OCH2CH3、OC(O)CH3、およびOC(O)C2H5が挙げられる。
【0025】
用語「遊離アミノ基」は、NH2を意味する。用語「官能基で修飾されたアミノ基」は、以下:アリールオキシ−アミノ基、ヘテロアリールオキシ−アミノ基、アルコキシ−アミノ基、シクロアルコキシ−アミノ基、ヘテロシクロアルコキシ−アミノ基、アルケニル−アミノ基、シクロアルケニル−アミノ基、ヘテロシクロアルケニル−アミノ基、アルキニル−アミノ基、またはヒドロキシ−アミノ基(ここで、適切な基は、一方の水素と置換される);アリール−アミノ基、ヘテロアリール−アミノ基、アルキル−アミノ基、シクロアルキル−アミノ基、ヘテロシクロアルキル−アミノ基、アルケニル−アミノ基、シクロアルケニル−アミノ基、ヘテロシクロアルケニル−アミノ基、またはアルキニル−アミノ基(ここで、適切な基は、一方または両方の水素と置換される);アミド(ここで、アシル基が、一方の水素と置換される);カルバメート(アリールオキシ−カルボニル基、ヘテロアリールオキシ−カルボニル基、アルコキシ−カルボニル基、シクロアルコキシ−カルボニル基、ヘテロシクロアルコキシ−カルボニル基、アルコキシ−カルボニル基、シクロアルコキシ−カルボニル基、ヘテロシクロアルコキシ−カルボニル基、アルケニル−カルボニル基、シクロアルケニル−カルボニル基、ヘテロシクロアルケニル−カルボニル基、もしくはアルキニル−カルボニル基が、一方の水素と置換される);または尿素(アミノカルバモイル基が、一方の水素と置換される)を形成するために官能基化されたNH2を意味する。例えば、NH2において、一方の水素が、アルキル基で置換され、そして他方の水素が、アルコキシカルボニル基で置換されるような、これらの置換パターンの組合せもまた、官能基で改変されたアミノ基の定義下に入り、そして本発明の範囲内に含まれる。好ましい部分としては、NH2、NHCH3、NHC2H5、N(CH3)2、NHC(O)CH3、NHOH、およびNH(OCH3)が挙げられる。
【0026】
用語「遊離チオール基」は、SHを意味する。用語「官能基で修飾されたチオール基」は、チオエーテルまたはチオエステルを形成するために官能基化されたSHを意味し、チオエーテルにおいて、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルキニル、またはヘテロアリール基が、水素と置換されており、チオエステルにおいて、アシル基が、水素と置換されている。好ましい基としては、SH、SC(O)CH3、SCH3、SC2H5、SCH2C(O)C2H5、およびSCH2C(O)CH3が挙げられる。
【0027】
用語「アシル」は、酸素原子との二重結合および別の炭素原子との単結合を有する炭素原子によって連結されている基を表す。
【0028】
用語「アルキル」は、単鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を含み、そして1〜15個の炭素原子を有する。このアルキル基は、1個以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、または硫黄)によって割り込まれ得、そして他の基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アシル、シクロアルキル、アリールオキシ、またはアルコキシ)で置換され得る。好ましい単鎖または分枝鎖のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびt−ブチルが挙げられる。
【0029】
用語「シクロアルキル」は、単鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、結合して1以上の環を形成している脂肪族炭化水素基を含み、このシクロアルキルは、融合され得るか、孤立であり得る。この環は、他の基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ、または低級アルキル)で置換され得る。好ましい、シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0030】
用語「ヘテロシクロアルキル」とは、環中に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、またはN)を含み、そして融合され得るか、孤立であり得る、シクロアルキル環をいう。この環は、他の基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ、または低級アルキル)で置換され得る。好ましいヘテロシクロアルキル基は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル、およびテトラヒドロピラニルが挙げられる。
【0031】
用語「アルケニル」は、直鎖または分枝鎖の、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を持つ1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基を含み、この鎖は、必要に応じて、1以上のヘテロ原子によって割り込まれている。この鎖の水素は、他の原子(例えば、ハロゲン)で置換され得る。好ましい、単鎖または分枝鎖のアルケニル基としては、アリル、1−ブテニル、1−メチル−2−プロペニルおよび4−ペンテニルが挙げられる。
【0032】
用語「シクロアルケニル」は、単鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、結合して炭素−炭素二重結合を含む1個以上の非芳香族環を形成する脂肪族炭化水素基を含み、このシクロアルケニルは、融合され得るか、孤立であり得る。この環は、他の基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、または低級アルキル)で置換され得る。好ましいシクロアルケニル基としては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。
【0033】
用語「ヘテロシクロアルケニル」とは、環中に1個以上のヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)を含み、融合され得るか、独立であり得るシクロアルケニル環をいう。この環は、他の基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、アルコキシ、または低級アルキル)で置換され得る。好ましいヘテロシクロアルケニル基としては、ピロリジニル、ジヒドロピラニル、およびジヒドロフラニルが挙げられる。
【0034】
用語「カルボニル基」は、酸素原子に二重結合した炭素原子を表し、ここで、この炭素原子は、2価の遊離原子価を有する。
【0035】
用語「アミノカルボニル」は、アミノ基の窒素原子とカルボニル基の炭素元素とが結合した、遊離アミノ基または官能基で改変されたアミノ基を表し、このカルボニル自体は、カルボニル基の炭素原子を介して別の原子と結合している。
【0036】
用語「低級アルキル」は、1個から6個の炭素(C1〜C6)を含む、アルキル基を表す。
【0037】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。
【0038】
用語「アリール」とは、芳香族である炭素ベースの環をいう。この環は、孤立(例えば、フェニル)であり得るか、または融合(例えば、ナフチル)され得る。この環の水素は、他の基(例えば、低級アルキル、ハロゲン、遊離ヒドロキシまたは官能基化ヒドロキシ、トリハロメチルなど)で置換され得る。好ましいアリール基としては、フェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、3−クロロフェニル、および4−フルオロフェニルが挙げられる。
【0039】
用語「ヘテロアリール」とは、環中に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、またはN)を含む、芳香族炭化水素環をいう。ヘテロアリール環は、5個から6個の環原子の場合、孤立し得、または8個から10個の原子の場合、融合され得る。このヘテロアリール環(単数または複数)の水素または遊離原子価を有するヘテロ原子は、他の基(例えば、低級アルキルまたはハロゲン)で置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、イミダゾール、ピリジン、インドール、キノリン、フラン、チオフェン、ピロ−ル、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンゾフラン、およびジヒドロベンズインドールが挙げられる。
【0040】
用語「アリールオキシ」、「ヘテロアリールオキシ」、「アルコキシ」、「シクロアルコキシ」、「ヘテロシクロアルコキシ」、「アルケニルオキシ」、「シクロアルケニルオキシ」、「ヘテロシクロアルケニルオキシ」、および「アルキニルオキシ」は、酸素連結を介して結合された、アリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルケニル基、またはアルキニル基を表す。
【0041】
用語「アルコキシカルボニル」、「アリールオキシカルボニル」、「ヘテロアリールオキシカルボニル」、「シクロアルコキシカルボニル」、「ヘテロシクロアルコキシカルボニル」、「アルケニルオキシカルボニル」、「シクロアルケニルオキシカルボニル」、「ヘテロシクロアルケニルオキシカルボニル」、および「アルキニルオキシカルボニル」は、酸素原子からカルボニル基の炭素原子に結合した、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アルケニルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基、ヘテロシクロアルケニルオキシ基、またはアルケニルオキシ基を表し、このカルボニル基自体は、カルボニル基の炭素原子を介して別の原子に結合している。
【0042】
本発明の好ましい化合物としては、式Iの化合物が挙げられ、ここで:
R1は、CO2R(Rは、Hまたは眼科的に受容可能なカチオン性塩である)であるか、またはCO2Rは、眼的に受容可能なエステル部分を形成し;
Aは、L1−A1−L2またはL1−A1−L2であり;
A1は、CH2CH2であり;
A2は、以下:
【0043】
【化52】
であり;
L1は、CH2−B−Dであり;
L2は、CH2−K−CH2CH2であり;
Bは、C≡Cまたはcis−CH=CHであり;そして
Dは、C≡Cまたはtrans−CH=CHであり;
Kは、cis−CH=CHであり;そして
Yは、
【0044】
【化53】
である。
【0045】
本発明の他の好ましい化合物としては、式Iの化合物が挙げられ、ここで:
R1は、CO2R(Rは、Hまたは眼的に受容可能なカチオン性塩である)であるか、またはCO2Rは、眼的に受容可能なエステル部分を形成し;
Aは、L3−A2−L4であり;
A2は、以下:
【0046】
【化54】
であり;
L3は、trans−CH2CH=CH、trans−CH=CHCH2、またはCH2C≡Cであり;
L4は、X−CH2CH2であり;
Xは、cis−CH2CH2CH=CH、CH2CH2C≡C、cis−CH2CH=CHCH2、またはcis−CH=CHCH2CH2であり;そして
Yは、
【0047】
【化55】
である。
【0048】
本発明のさらに他の好ましい化合物としては、式Iの化合物が挙げられ、ここで:
R1は、CO2R(Rは、Hまたは眼的に受容可能なカチオン性塩である)であるか、またはCO2Rは、眼的に受容可能なエステル部分を形成し;
Aは、L5−A2−L3であり;
A2は、以下:
【0049】
【化56】
であり;
L5は、CH2CH2−B−Dであり;
L3は、trans−CH2CH=CH、trans−CH=CHCH2、またはCH2C≡Cであり;
Bは、cis−CH=CHまたはC≡Cであり;そして
Dは、trans−CH=CHまたはC≡Cであり;そして
Yは、
【0050】
【化57】
である。
【0051】
上記の化合物の特に好ましい化合物の中には、以下の実施例1〜19に記載される処方物が挙げられる。
【0052】
(実施例1)
(1の合成)
【0053】
【化58】
(化合物1)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中のイミダゾールおよび4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下、1,6−ヘキサンジオール(10)を0.9当量のt−ブチルクロロジフェニルシラン(TBDPSCl)を用いて処理することで、モノシリルエーテル11を得、これを、触媒量のテトラ−n−プロピルアンモニウムパールテネート(TPAP)の存在下で化学量論量のN−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)で酸化することで、アルデヒド12を得る。CBr4およびPPh3を使用する12のジブロモオレフィン化により13を得る。13をエンインオール15に転換することは、2工程で達成され:まず、触媒量のPd(PPh3)4の存在下で1当量のBu3SnH(トルエン中)で処理することで対応するcis−ビニルブロミドを得、続いて、CuI、HNEt2、およびキラルな立体的に純粋なプロパルギルアルコール14を添加した(14の調製のために、Midlandら、Tetrahedron、40:1371(1984)(この文献は、本明細書中で援用される)を参照のこと)。15をNa[H2Al(OCH2CH2OCH3)2]を用いて還元することで、ジエン16を得、この16を、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(DHP)および触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH)で処理することで、エーテル17が得られる。17をテトラ−n−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)で脱シリル化することで、アルコール18を得、この18を、TPAP/NMOで酸化することで、アルデヒド19が得られる。19をKOButの存在下でPh3P(CH2)4CO2HBrを用いて縮合し、続いて、得られたエン酸を温メタノール中でピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS)で処理することで、1が得られる。
【0054】
(実施例2)
(2αおよび2βの調製)
【0055】
【化59】
(化合物2αおよび2β)
(2Z)−2−ブテン−1,4−ジオール(20)をTBDPSClを用いたモノシリル化により、シリルエーテル21を得、これをジヨードメタンおよびジエチル亜鉛と共に反応させることでシクロプロパン22を得る。続いてメシルクロリドおよびNaCNと共に反応させることで、ニトリル23を提供する。23を低温でジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)を用いて還元し、そして中間体イミンを水性酢酸を用いて加水分解することでアルデヒド24を得る。24をCBr4およびPPh3を用いて縮合することで、ジブロモオレフィン25を得る。化学量論量のBu3SnHおよび触媒量のPd(PPh3)4を使用して25を単一還元することで、中間体Z−ビニルブロミドを得、これを同一のポット中で、CuIおよびジエチルアミンの存在下で1−オクチン−3−オール(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販される)と反応させることでエンイン27を提供する。27をナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウム水和物を用いて還元することで、Z,E−ジエチルアルコール28を得、これをDHPおよびTsOHを使用してTHPエーテル29に変換する。29をTBAFを用いて脱シリル化することで、アルコール30を得、これを、続いて塩化メシルおよびNaCNを用いて処理することでシアニド31へと伸ばす。アルデヒド32への変換は、−78℃でDIBAL−Hを用いて還元し、続いて得られたメタロエナミンを0℃で水性酢酸を用いて加水分解することによって実施する。KOButの存在下でPh3P(CH2)4CO2HBrを用いてWittig縮合し、続いて得られたエン酸をMeOH中のPPTSを用いて脱保護して、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して2種のC−15ジアステレオマーを分離後に、2αおよび2βを得る。
【0056】
(実施例3)
(3αおよび3βの合成)
【0057】
【化60】
(化合物3αおよび3β)
trans−β−ヒドロムコン酸(33)をジエチル亜鉛およびジヨードメタンを用いて処理することで、シクロプロパン34を得、これをLiAlH4を用いてジオール35に還元する。TBDPSClを用いてモノシリル化し、シリルエーテル36を提供し、これを、TPAP/NMOを使用してアルデヒド37に酸化する。CBr4およびPPh3と37とを反応させることにより、ジブロモオレフィン38を得、これを触媒量のPd(PPh3)4の存在下で化学量論量のBu3SnHを使用してZ−ビニルブロミド39に変換する。CuI、Pd(PPh3)2Cl2およびHNEt2の存在下で1−オクチン−3−オールと39とをSonogishira結合することによって、エンイン40を得、これをNa[H2Al(CH2CH2OCH3)2]を用いて対応するE−アリルアルコール41に還元する。DHPおよびTsOHを用いて41を処理することで、THPエーテル42を得、これをTBAF(THF中)を用いてアルコール43に脱シリル化する。43のアルデヒド44への酸化は、TPAP/NMOを使用して達成される。このアルデヒドをKOButの存在下のPh3P(CH2)4CO2HBrと反応させ、そしてこの中間体エン酸を、PPTS(MeOH中)を用いて脱保護して、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して2種のC−15ジアステレオマーの分離後に、標的3αおよび3βを得る。
【0058】
(実施例4)
【0059】
【化61】
(化合物4)
アルコール15を、DHPおよびTsOHでの処理によって、そのTHPエーテル45として保護する。THF中での45のTBAFによる脱シリル化は、アルコール46を与え、これを、TPAPおよびNMOによってアルデヒド47に酸化する。KOButの存在下での47のPh3P(CH2)4CO2HBrとのWittig反応は、中間体エン酸を与え、これを、MeOH中でPPTSを使用して脱保護し、4を得る。
【0060】
(実施例5)
【0061】
【化62】
(化合物5αおよび5β)
エンインオール27のDHPおよびTsOHによる処理は、THPエーテル48を与え、これを、THF中でTBAFを使用して脱シリル化し、アルコール49を与える。49の塩化メシル、次いでNaCNによる連続的な処理は、ニトリル50を与え、これを、−78℃でDIBAL−Hとの反応および0℃で酢酸との反応によってアルデヒド51に還元する。KOButの存在下における51のPh3P(CH2)4CO2HBrによるWittig縮合、次いでMeOH中における中間体エン酸のPPTSによる処理は、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して、2種のC−15ジアステレオマーの分離後、5αおよび5βを与える。
【0062】
(実施例6)
【0063】
【化63】
(化合物6αおよび6β)
エンインオール40のDHPおよびTsOHによる反応は、THPエーテル52を与え、これを、THF中でTBAFを使用して脱シリル化し、アルコール53を得る。TPAPおよびNMOを使用する53の酸化は、アルデヒド54を与え、これをPh3P(CH2)4CO2HBr/KOButとWittig縮合させ、MeOH中でのPPTSによる脱保護によって、シリカゲルクロマトグラフィーを使用する2種のC−15ジアステレオマーの分離後、化合物6αおよび6βを得る。
【0064】
(実施例7)
【0065】
【化64】
(化合物7)
ジブロモオレフィン13のn−BuLiおよびN,N−ジメチルホルムアミドによる処理は、インアール55を与え、これをNEt3およびLiClの存在下でジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートと縮合させ、エンオン56を与える。56を、NaBH4およびCeCl3との処理によって15S−アルコール57に還元し、得られるラセミ混合物を、キラル定常相を有するHPLCを使用して分離する。57のDHPおよびTsOHによる処理は、THPエーテル58を与え、これをTHF中でTBAFによって脱シリル化させ、アルコール59を得る。59の、TPAPおよびNMOによる酸化は、アルデヒド60を与える。60を、KOBUtの存在下でPh3P(CH2)4CO2HBrで処理し、次いで、MeOH中でPPTSで処理し、7を得る。
【0066】
(実施例8)
【0067】
【化65】
(化合物8αおよび8β)
ジブロモオレフィン25のn−BuLiおよびN,N−ジメチルホルムアミドによる処理は、インアール61を与え、これを、NEt3およびLiClの存在下で、ジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートと縮合させ、エンオン62を与える。62を、NaBH4およびCeCl3による処理によって、15R,S−アルコール63に還元する。63のDHPおよびTsOHによる処理は、THPエーテル64を与え、これをTHF中でTBAFによって脱シリル化し、アルコール65を得る。65の、塩化メシル、次いでNaCNによる連続的な処理は、ニトリル66を与える。66を、−78℃でのDIBAL−Hによる還元および0℃での酢酸加水分解によってアルデヒド67に転化する。67を、KOButの存在下でPh3P(CH2)4CO2HBrで処理し、続いてMeOH中でのPPTSで処理し、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して2種のC−15ジアステレオマーを分離後、標的8αおよび8βを得る。
【0068】
(実施例9)
【0069】
【化66】
(化合物9αおよび9β)
ジブロモオレフィン38の、n−BuLiおよびN,N−ジメチルホルムアミドによる処理は、インアール68を与え、これをNEt3およびLiClの存在下で、ジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートと縮合し、エンオン69を与える。69を、NaBH4およびCeCl3との処理によって15R,S−アルコール70に還元する。70を、DHPおよびTsOHで処理し、THPエーテル71を与え、これをTHF中でTBAFで脱シリル化し、アルコール72を得る。72の、塩化メシル、次いでNaCNによる連続的な処理は、ニトリル73を与える。73を、−78℃でのDIBAL−Hによる還元、次いで0℃での酢酸加水分解によってアルデヒド74に転化する。74を、KOButの存在下でPh3P(CH2)4CO2HBrと処理し、続いてMeOH中でのPPTSで処理し、シリカゲルクロマトグラフィーを使用して2種のC−15ジアステレオマーを分離した後、標的9αおよび9βを得る。
【0070】
(実施例10)
【0071】
【化67】
(化合物75および76)
市販されるジヒドロピラノン82を水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)で還元し、ラクトール83を得、これをCH2I2/Et2Znでシクロプロパン化し、84を与える。84を、Ph3P=CHCO2CH3と縮合し、エノエート85を得、これを1気圧の水素下で、アルミナ担持ロジウム触媒を使用して還元し、86を得る。86を、DIBAL−Hによる還元によってアルデヒド87に転化する。カリウムt−ブトキシド(KOBut)の存在下で、87をPh3P(CH2)4CO2HBrと縮合し、次いで、中間体の酸をジアゾメタンで処理し、オレフィン88を与える。触媒量のテトラ−n−プロピルアンモニウムパールテネート(TPAP)および化学量論量のN−メチルモルホリンN−オキシド(NMO)を使用する88の酸化は、アルデヒド89を与え、これをNEt3およびLiClの存在下で、ジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートと縮合し、エンオン90を与える。CeCl3の存在下で、90をNaBH4と処理して、2種の立体異性体アルコール91および92の混合物を与え、これらをシリカゲルクロマトグラフィーを使用して分離する。このようにして分離したサンプル91および92を、MeOH/水中のKOHで処理し、対応する酸75および76を与える。
【0072】
(実施例11)
【0073】
【化68】
(化合物77および78)
ラクトール84をCBr4、PPh3、およびZnと反応させ、ジブロモオレフィン93を得、これを触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH)の存在下で、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(DHP)と処理することによって、そのTHPエーテル94として保護する。94のn−BuLiによる金属化、MgBr2の添加によるマグネシウムアセチリドへの金属転移、およびヘキサナールの添加によって、アルキノール95を与え、これを、触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)の存在下で、t−ブチルクロロジフェニルシラン(TBDPSCl)およびイミダゾールの処理によって、そのt−ブチルジフェニルシリルエーテルとして保護する。95からのTHP保護基の除去を、熱THF/水中のTsOHで処理することによって達成し、アルコール96を与える。96を、CH2Cl2中で塩化メタンスルホニル(MsCl)、次いでDMSO中でNaCNと連続的に反応させ、ニトリル97を与え、これを−78℃でDIBAL−Hと反応させ、次いで0℃で水性酢酸で酸加水分解することによって、アルデヒド98に転化する。KOButの存在下で98をPh3P(CH2)4CO2HBrとWittig縮合させ、次いで、この中間体の酸をジアゾメタンとエステル化することによって、オレフィン99を与える。99をTHF中でテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)で処理し、次いで、クロマトグラフィー精製して、別々のジアステレオマー100および101を与える。これらを、MeOH/水中KOHでの処理によって、それらのそれぞれの遊離酸77および78に転化する。
【0074】
(実施例12)
【0075】
【化69】
(化合物79および80)
トランス−β−ヒドロムコン酸(103)をCH2I2/Et2Znで処理し、クロロプロパン104を与え、これをLiAlH4でジオール105に還元する。105を、イミダゾールおよびDMAPの存在下でTBDPSClでモノシリル化し、シリルエーテル106を与え、これをCH2Cl2中でMsClと、次いでDMSO中でNaCNと連続的に処理し、ニトリル107を得る。107を、−78℃でDIBAL−Hで処理し、次いで0℃で水性酢酸で処理して、アルデヒド108に転化する。108を、KOButの存在下で、Ph3P(CH2)4CO2HBrと縮合し、次いで、この中間体の酸をジアゾメタンとエステル化し、オレフィン109を得る。109を、THF中でTBAFを使用して脱保護し、アルコール119を得、これをTPAP/NMOを使用して酸化し、アルデヒド111を得る。111を、LiClおよびNEt3の存在下で、ジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートと縮合し、エンオン112を得、これをNaBH4/CeCl3を使用して還元し、クロマトグラフィー精製後、αおよびβアリルアルコールジアステレオマー113および114を与える。水性メタノール中のKOHを使用して、これらのエステルの各々を鹸化し、それぞれ酸79および80を得る。
【0076】
(実施例13)
【0077】
【化70】
(化合物81および82)
アルコール106をTPAP/NMOを使用して酸化し、アルデヒド115を得、これをPPh3およびZnの存在下でCBr4と縮合し、ジブロモオレフィン116を得る。116を、n−BuLi、次いでMgBr2、最終的にヘキサナールで連続的に処理し、インオール117を得る。117をDHPおよびTsOHとの処理によってそのTHPエーテルとして保護し、118を得る。THF中で118をTBAFで脱シリル化し、アルコール119を得、これをCH2Cl2中でMsCl、次いでDMSO中でNaCNと連続的に処理し、ニトリル120を得る。−78℃で120をDIBAL−Hで還元し、次いで0℃で水性酢酸によって加水分解し、アルデヒド121を得る。KOButの存在下で、121をPh3P(CH2)4CO2HBrと縮合し、次いで、温メタノール中で、中間体THPエーテル酸をピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)で処理し、クロマトグラフィー精製後、個々のαプロパルギルアルコールジアステレオマー酸81およびβプロパルギルアルコールジアステレオマー酸82を得る。
【0078】
(実施例14)
(122および123の合成)
【0079】
【化71】
(化合物122および123)
二酸124(13の調製のため、Nesetら、Tetrahedron 1997,53,10459(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)のBH3での還元はジオール125を与え、これを4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)およびイミダゾールの存在下でt−ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPSCl)でシリル化して、シリルエーテル126を得た。イミダゾールの存在下で、トルエン中での126のI2およびPPh3での処理は、ヨージド127を与えた。127を連続して−78℃でt−ブチルリチウム、リチウム(2−チエニル)シアノキュプレート、およびt−ブチルアクリレートで処理し、水性酸でのクエンチの後にマイケル付加物128を得た。128を、THF中でテトラ-n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)を用いてアルコール129に脱シリル化した。触媒量のテトラ-n−プロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(perrruthernate)(TPAP)および化学量論量のN−メチルモルホリン−N−オキシド(NMO)での129の酸化によって、アルデヒド130を与え、これをMeOCH=PPh3を用いるWittig反応によってエノールエーテル131に転換した。THF/水中で、加熱しながら触媒量のp−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH)を用いて131を加水分解して、同族体化されたアルデヒド132を生じ、これをPPH3の存在下でCBr4を用いて縮合することによってジブロモオレフィン133に転換する。触媒量のPd(PPh3)4の存在下でBu3SnHを用いる133の選択的モノ還元は、Z−ブロモアルケン134を与え、これを、HNEt2中で1−オクチル−3−オール、CuI、および触媒量PdCl2(PPh3)2を用いた処理によって、エンインオール135を得る。135を、トルエン中で、Na[H2Al(OCH2CH2OCH3)2](Red−Al(登録商標))で還元し、ジエンジオール136を与え、これを触媒量の2,2,6,6−テトラメチルピペリジンオキシフリーラジカル(TEMPO)および化学量論量のN−クロロスクシンイミド(NCS)を使用してヒドロキシアルデヒド137に選択的に酸化する。137の銀(II)酸化物による酸化、続いて、アリルアルコールジアステレオマーのクロマトグラフィー分離は、α異性体122およびβ異性体123を提供する。
【0080】
(実施例15)
(138および139の合成)
【0081】
【化72】
(化合物138および139)
メタノール/水中でのエステル135のLiOHによるけん化、続いて、プロパルギルアルコールジアステレオマーのクロマトグラフィー分離は、標的138および139を得る。
【0082】
(実施例16)
(144および145の合成)
【0083】
【化73】
(化合物144および145)
エステル133のジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)での還元はアルコール140を与え、これを−78℃で3当量のn−ブチルリチウムで処理し、次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)によって処理し、インアール141を与える。LiClおよびNEt3の存在下で、141のジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートによるHorner−Emmons縮合は、インエンオン142を与え、これを、DMF中でピリジニウムジクロメート(PDC)を使用して酸143に酸化する。CeCl3の存在下でNaBH4を使用して143を還元し、続いて、2種のアリルアルコールジアステレオマーのクロマトグラフィー分離によって、化合物144および145を得る。
【0084】
(実施例17)
(160および161の合成)
【0085】
【化74】
(化合物160および161)
二酸146(Nesetら、Tetrahedron 1997,53,10459)のBH3・SMe2での還元はジオール147を与え、これをDMAPおよびイミダゾールの存在下でTBDPSClでシリル化して、シリルエーテル148を得た。イミダゾールの存在下で、トルエン中での148のI2およびPPh3での処理は、ヨージド149を与える。149を連続して−78℃でt−ブチルリチウム、リチウム(2−チエニル)シアノキュプレート、次いでt−ブチルアクリレートで処理し、水性酸でのクエンチの後にマイケル付加物150を得る。150を、THF中でTBAFを用いてアルコール151に脱シリル化する。触媒量のTPAPおよび化学量論量のNMOでの151の酸化によって、アルデヒド152を与え、これをMeOCH=PPh3を用いるWittig反応によってエノールエーテル153に転換する。THF/水中で、加熱しながらTsOHを用いて153を加水分解して、同族体化されたアルデヒド154を生じ、これをPPH3の存在下でCBr4を用いて縮合することによってジブロモオレフィン155に転換する。触媒量のPd(PPh3)4の存在下でBu3SnHを用いる155の選択的モノ還元は、Z−ブロモアルケン156を与え、これを、HNEt2中で1−オクチル−3−オール、CuI、および触媒量のPdCl2(PPh3)2を用いた処理によって、エンインオール157を得る。157を、トルエン中で、Red−Al(登録商標)で還元し、ジエンジオール158を与え、これを、TEMPOおよび化学量論量のNCSを使用してヒドロキシアルデヒド159に選択的に酸化する。159の銀(II)酸化物による酸化、続いて、アリルアルコールジアステレオマーのクロマトグラフィー分離は、α異性体160およびβ異性体161を与える。
【0086】
(実施例18)
(162および163の合成)
【0087】
【化75】
(化合物162および163)
エステル157を、MeOH/水中のKOHで処理し、次いで、プロパルギルアルコールジアステレオマーのクロマトグラフィー分子によって、標的162および163を得る。
【0088】
(実施例19)
(168および169の合成)
【0089】
【化76】
(化合物168および169)
エステル155のジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL−H)での還元はアルコール164を与え、これを−78℃で3当量のn−ブチルリチウムで処理し、次いで、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)で処理し、インアール165を与える。LiClおよびNEt3の存在下で、165のジメチル(2−オキソヘプチル)ホスホネートによるHorner−Emmons縮合は、インエンオン166を与え、これを、DMF中でピリジニウムジクロメート(PDC)を使用して酸167に酸化する。CeCl3の存在下でNaBH4を使用して167を還元し、続いて、2種のアリルアルコールジアステレオマーのクロマトグラフィー分離によって、化合物168および169を得る。
【0090】
本発明の化合物は、当業者に公知の処方技術に従って、種々の型の薬学的組成物に含まれ得る。好ましくは、これらの化合物は、局所的眼科投与のための溶液中に処方される。本発明の薬学的処方物を調製するために使用されるHETE誘導体未処理物質中のパーオキシ化合物のレベルは、HETE誘導体の生物学的活性に影響を及ぼし得る。正確な関係は定義されていないが、約0.3ppm以下のレベルでパーオキシ化合物を含むHETE誘導体未処理物質供給物を使用することが、好ましい。パーオキシレベルを決定するための方法は、当該分野で公知である(例えば、European Pharmacopoeia 1997 第3編、方法2.5.5−Peroxide Value)。
【0091】
本発明の眼科組成物は、薬学的に受容可能なビヒクル中に本発明の1種以上の化合物を含む。種々の型のビヒクルが、使用され得る。一般に、処方の容易さ、生物学的適合性、および発症した眼に1滴〜2滴の溶液を滴下する手段による、このような組成物を容易に投与する患者の能力に基づいて、水溶液が好ましい。しかし、本発明の化合物は、他の型の組成物(例えば、懸濁液、粘性または半粘性ゲル、または他の型の固体もしくは半固体組成物)に容易に組み込まれ得る。懸濁液は、水に低溶解度の本発明のこれらの化合物について好ましくあり得る。本発明の眼科組成物はまた、種々の他の成分(例えば、緩衝剤、保存剤、共溶媒および粘性成形剤(viscosity building agent))を含み得る。
【0092】
適切な緩衝系(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムまたはボロン酸ナトリウム)は、保存条件下で、pH変化(drift)を防止するために加えられ得る。
【0093】
抗酸化剤は、保存の間の酸化から活性成分を保護するために本発明の組成物に加えられ得る。このような抗酸化剤の例として、ビタミンEおよびそのアナログ、アスコルビン酸およびブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。
【0094】
眼科生成物は、代表的に、複数用量形態でパッケージされる。従って、保存剤は、使用中の微生物混入を防ぐために必要とされる。適切な保存剤として、ベンズアルコニウムクロリド、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム塩、ソルビン酸、ポリクオタニウム(polyquaternium)−1、または当業者に公知の他の薬剤が挙げられる。このような保存剤は、代表的には、0.001〜1.0重量/体積%(「%w/v」)のレベルで使用される。
【0095】
一般に、上記の目的のために使用される用量は変更するが、眼内のムチン産生を増加させ、従って、ドライアイ状態を排除または改善するための有効量である。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的有効量」とは、ヒト患者のドライアイ状態を改善する量をいう。この組成物が局所的に投与される場合、それらは、一般に、0.001〜約1.0%w/vの濃度範囲内にあり、一日あたり1〜4回、1〜2滴投与される。
【0096】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、処方される際、安全であり、本発明の少なくとも1種の化合物の有効量の投与の所望される経路のための適切な送達を提供する、任意のビヒクルをいう。
【0097】
1実施形態において、本発明の眼科組成物は、式(I)の化合物に加えて、エタノールを含む。本明細書中で使用される「エタノールの有効濃度」とは、インビボで式(I)の組成物の生物学的効力を増大する濃度をいう。一般に、式(I)の化合物の増大のために必要とされるエタノールの濃度は、投与される式(I)の化合物の濃度に対して幾分比例すると考えられる。比較的高濃度(例えば、0.01%w/vを超える)の式(I)の化合物が投与される場合、このような組成物中のエタノールの濃度は、より低い濃度の式(I)の化合物を含む類似の組成物より、比例的に低い。しかし、一般的に、本明細書中の眼科組成物に含まれるエタノール濃度は、約0.001〜2%w/vの範囲である。約0.00001〜0.02%w/vの濃度の式(I)を含む組成物は、好ましくは、約0.005〜0.2%w/v、最も好ましくは約0.02〜0.10%w/vの濃度で、エタノールを含む。本発明のこの実施形態に従う局所的に投与可能な眼科処方物の例は、以下に提供される。
【0098】
(実施例20)
【0099】
【化77】
上記組成物を、以下の方法によって調製する。ポリオキシ40ステアレート、ホウ酸、塩化ナトリウム、エデト酸二ナトリウム塩、およびポリクオタニウム−1のバッチ量を秤量し、バッチ量の90%の純水中に攪拌することによって溶解する。pHを、NaOHおよび/またはHClによって7.5±0.1に調整する。黄色光または弱い照明下で、エタノール中のストック溶液としての式(I)の化合物のバッチ量およびバッチに必要なエタノールの追加の量を、測定し、加える。純水を、100%まで適量加える。この混合物を5分間攪拌し、均一化し、次いで、滅菌フィルター膜を通して、滅菌レシピエントに濾過する。
【0100】
好ましくは、上記プロセスを、ガラス、プラスチックまたは他の非金属性容器、あるいはこのような材料で裏打ちされた容器を使用して行う。
【0101】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して記載されてきたが、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく、本発明が他の特定の形態またはそれらの改変に具体化され得ることが理解されるべきである。従って、上記の実施形態は、全ての点において、例示的であり限定的ではないと考慮され、本発明の範囲は、上記の記載ではなく添付の特許請求の範囲によって示される。
Claims (7)
- 以下の式I:
R1は、CO2R、CONR2R3、CH2OR4、CH2NR5R6、CH2N3、CH2Hal、CH2NO2、CH2SR20、COSR21、または2,3,4,5−テトラゾール−1−イルであり、ここで:
Rは、Hまたは薬学的に受容可能なカチオンであるか、あるいは、CO2Rは、薬学的に受容可能なエステル部分を形成する;
NR2R3、NR5R6は、NH 2 、NHCH 3 、NHC 2 H 5 、N(CH 3 ) 2 、NHC(O)CH 3 、NHOH、およびNH(OCH 3 )から選択される;
OR4は、R 4 がH、CH 2 C(O)CH 3 、CH 2 C(O)C 2 H 5 、CH 3 、CH 2 CH 3 、C(O)CH 3 、およびC(O)C 2 H 5 から選択される;
Halは、F、Cl、BrまたはIである;
R20は、H、アルキル、またはアシルである;
R21は、H、薬学的に受容可能なカチオン、C(O)CH 3 、CH 3 、C 2 H 5 、CH 2 C(O)C 2 H 5 、またはCH 2 C(O)CH 3 であり;
Aは、L 1 −A 1 −L 2 、L1−A2−L2、L3−A2−L4、またはL5−A2−L3であり;
A 1 は、CH 2 CH 2 であり;
A2は、
L1は、CH2−B−Dであり;
BおよびDは、同じかまたは異なり、CH2CH2、CH=CH、またはC≡Cであり;
L2は、CH2−K−CH2CH2であり;
Kは、CH2CH2、CH=CH、またはC≡Cであり;
L3は、CH2CH2CH2、CH2CH=CH、CH2C≡C、CH=CHCH2、C≡CCH2、またはCH=C=CHであり;
L4は、X−CH2CH2であり;
Xは、CH2CH2CH=CH、CH2CH2C≡C、CH2CH2CH2CH2、CH2CH=CHCH2、CH2C≡CCH2、CH=CHCH2CH2、C≡CCH2CH2、CH2CH=C=CH、またはCH=C=CHCH2であり;
L5は、CH2CH2−B−Dであり;そして
Yは、C(O)(すなわちカルボニル基)であるか、またはYは
化合物。
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