JP4661037B2 - Icカード及びこれを用いた無線情報送受信装置 - Google Patents

Icカード及びこれを用いた無線情報送受信装置 Download PDF

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Description

本発明は、ICカード及びこれを用いた無線情報送受信装置に関し、特に電源電力の受電と信号の授受を、電気接点を設けることなく電磁結合方式により行う非接触通信式ICカード及びこれを用いた無線情報送受信装置に関する。
従来、個人を識別するIDカードにおいて、磁気あるいは光学的読み取りを行う方法がクレジットカード等において広く用いられてきたが、技術の大衆化によってデータの改ざんや偽造カードが出回るようになり、実際に偽造カードによって被害を受ける人が増加するなど、個人情報の秘匿に関して社会問題化している。このため、近年ではICチップを内蔵したICカードが情報容量の大きさや暗号化データを載せられるという点から個人データを管理するものとして注目を集めている。
この種のICチップを内蔵したICカードは、IC回路を外部データ処理装置との情報交換のために、電気的かつ機械的に接合するための接続端子を有している。そのため、IC回路内部の機密性の確保、静電気破壊対策、端子電極の電気的接続不良、読み書き装置の機構の複雑さ等、様々な問題を有していた。また、ICカードを読み書き装置に挿入または装着するという、人間による動作が必要となり、利用分野によっては効率が悪く複雑であるため、手間が要らず携帯して使用できるような、遠隔データ処理装置との情報交換が可能な非接触ICカードの出現が望まれていた。
そこで、プラスチック製カード基体の中に、電磁波を利用するためのアンテナと、メモリや演算機能を具備したICチップを埋設した非接触ICカードが開発されている。この種の非接触ICカードは、リーダライタからの外部電磁波によってICカード内のアンテナに励起された誘導起電力でICカードを駆動するものであり、アクティビティーに優れたカードを提供することができる。このように、可視認識表示機能を有しつつ、電子情報により機密管理されるICカードの必要性がより高まっている。
このような非接触ICカードは、図7に示すように、アンテナコイル及びコンデンサを予め形成したアンテナ基板101に、ICチップ102、封止用樹脂103及びステンレス製保護板104を実装することで、アンテナモジュール105を作製する。このアンテナモジュール105を、熱融着方式を用いて一対の外装材106,107で挟み込むことでICカードが得られる。なお、外装材106,107に使用される有機高分子化合物として、ポリエチレンテレフタレート、非晶質ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートが用いられていた。
ところで、アンテナコイルは、ICカードにした状態(すなわち完成品状態)で共振周波数が13.56MHzになる必要があるが、ICカード化されると外装材とアンテナの間でコンデンサが形成されるため、アンテナモジュール状態に比べて共振周波数が低くなる。そのため、従来アンテナモジュール状態の共振周波数を13.56MHzよりも若干高め、たとえば14.0MHzに設定し、ICカードになった状態で13.56MHzとなるように目測で調整されていた。
しかしながら、このような目測による調整ではICカードとされた状態で正確な共振周波数を保証することはできず、特に外装材106,107の厚さに製造誤差があると共振周波数が13.56MHzから大きくずれてしまい、通信可能距離が短くなるといった問題があった。
本発明は、カード化したときの共振周波数の変動が小さく、通信距離が長いICカード及びこれを用いた無線情報送受信装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点によれば、非接触通信用のアンテナコイルが形成されたポリエチレンナフタレート製のアンテナ基板と、前記アンテナ基板に形成された接続用配線パターンを介して前記アンテナ基板に電気的に接続されたICチップと、前記アンテナ基板の両主面に貼り付けられた外装材とを備え、前記外装材は、前記アンテナ基板側から、前記アンテナ基板の両主面に接する厚さ125μmのポリ乳酸製の第1の外装材と、前記第1の外装材の両主面のそれぞれに接する厚さ125μmのポリ乳酸製または非晶質ポリエチレンテレフタレート製の第2の外装材と、前記第2の外装材の両主面のそれぞれに接する厚さ125μmのポリ乳酸製または延伸ポリエチレンテレフタレート製の第3の外装材とによって、構成され、前記第1の外装材の誘電率が3.0未満であるICカードが提供される。
また、上記目的を達成するために、本発明の第2の観点によれば、非接触通信用のアンテナコイルが形成されたアンテナ基板と、前記アンテナ基板に形成された接続用配線パターンを介して前記アンテナ基板に電気的に接続されたICチップと、前記アンテナ基板の両主面に貼り付けられた外装材とを備え、少なくとも前記アンテナコイルが形成されたアンテナ基板の主面側の外装材が、多糖類、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール若しくはポリアルキレングリコール、またはこれらの少なくとも何れか一つを含む共重合体である有機高分子化合物からなり、かつ、誘電率が3.0未満であり、前記有機高分子化合物に、加水分解制御剤としてカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物およびオキソゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いるICカードが提供される。
さらに、上記目的を達成するために、本発明の第3の観点によれば、上記ICカードと、読み出し書き込み装置とを備えた無線情報送受信装置であって、前記ICカードと前記読み出し書き込み装置とを相対的に近接させたときの、前記ICカードのアンテナコイルと前記読み出し書き込み装置のアンテナコイルとの結合によって誘起される高周波信号により動作を開始し、前記高周波信号を介してデータの送受信を行う無線情報送受信装置が提供される。
本発明では、アンテナコイルが形成されたアンテナ基板の両主面に接する第1の外装材を誘電率が2.7と低いポリ乳酸製としているので、アンテナモジュールに外装材を貼り付けてカード化したときの共振周波数の変動が通常カードの外装材に用いるポリエチレンテレフタレート(誘電率3.3)を用いる場合と比較して小さくなる。
すなわち、アンテナコイルと外装材との間でコンデンサが形成され、これによりコンデンサ容量が増加することがアンテナコイルの共振周波数の変動(低下)要因であると考えられるが、本発明ではそのコンデンサの機能を抑制するために低誘電率の材料で外装材を構成する。これにより、カード化したときの共振周波数の変動が小さく、通信距離が長いICカード及びこれを用いた無線情報送受信装置を提供することができる。
また、外装材を、多糖類、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール若しくはポリアルキレングリコール、またはこれらの少なくとも何れか一つを含む共重合体で構成すると、これらの材料が生分解性を有することから自然環境に廃棄されても環境に悪影響を与えることがなくなる。
発明の実施の形態
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るアンテナモジュールを示す平面図、図2は本発明の実施形態に係るICカードの製造方法を示す、図1のII-II線に沿う断面図、図3は本発明の実施形態に係るICカードの製造方法を示す、図1のII-II線に沿う断面図、図4は本発明の実施形態に係るICカードの製造方法を示す断面図、図5は本発明の他の実施形態に係るICカードを示す断面図、図6は本発明の実施形態に係るICカードの等価回路図である。
図1に示すように、本実施形態に係るアンテナモジュール100は、アンテナ基板1,アンテナコイル2,コンデンサ3,ICチップ5及び接続用配線パターン4を有する。
アンテナ基板1は、電気絶縁性材料、特にポリイミドなどの機械的強度が高く耐熱性に優れた材料で構成されているが、これ以外にもガラスエポキシやポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを代表とするエステル系高分子材料を用いることもできる。さらに、後述する生分解性有機高分子化合物により構成することも可能である。ただし、アンテナ基板1を構成する生分解性有機高分子化合物は、誘電率が3.0未満である必要はない。
アンテナコイル2、コンデンサ3及び接続用配線パターン4は、アンテナ基板1の主面に、銅、アルミニウム、銅を含む合金、アルミニウムを含む合金などのシートを貼り付け、これをそれぞれがアンテナコイル2、コンデンサ3、接続用配線パターンの所定形状となるようにエッチング処理等することにより形成される。
ここで、アンテナコイル2、コンデンサ3の一方の電極、及び接続用配線パターン4の一部は同図に示すアンテナ基板1の表面側に形成され、コンデンサ3の他方の電極と接続用配線パターン4の残りはアンテナ基板1の裏面に形成されている。すなわち、コンデンサ3は、アンテナ基板1を誘電体層とし、その表裏面のそれぞれに電極を形成することにより構成されるフィルムコンデンサである。また、接続用配線パターン4は、アンテナ基板1の表面側に形成されたアンテナコイル2,コンデンサ3の一方の電極及びICチップと、アンテナ基板1の裏面側に形成されたコンデンサ3の他方の電極とを図6に示す等価回路のように電気的に接続するもので、アンテナ基板1に形成されたスルーホールを介して表面側と裏面側の接続用配線パターンが接続されている。図1の正面図には、アンテナ基板1の表面側に形成されたコンデンサ3及び接続用配線パターン4を実線で示し、裏面側に形成されたコンデンサ3及び接続用配線パターン4を点線で示す。
ICチップ5は、たとえばフリップチップ実装によりアンテナ基板1の接続用配線パターン4に電気的に接続されている。図2にICチップの実装断面を示すが、本例のICチップ5は、同図に示すように封止用樹脂6によって金属板7とともに封止されている。この金属板7は、ICチップ5を外力から保護するためのもので、たとえば厚さが200μm〜20μm(好ましくは150μm〜30μm)の円形のステンレス板などで構成されている。金属板7の厚さが30μm以下であると金属板7の強度が弱くなり、曲げ等によりICチップ5が損傷を受けてしまい、厚さが150μm以上であるとカードの厚さ方向の中心にアンテナ基板1を配置することができなくなって、これによりカードに反りが発生し、歩留まりを下げる原因となるからである。
また、封止用樹脂6としては熱硬化型エポキシ系接着剤が挙げられるが、曲げ等の外的要因によるICチップ5の破損から守ることができる樹脂であれば種類は問わない。封止用樹脂6の硬化時の熱収縮を抑えるために、封止用樹脂に充填剤を添加することが有効であり、この場合の充填剤としては、アルミナや酸化チタン等の不導体を添加することが望ましい。
なお、図3に示すように、ICチップ5が実装されたアンテナ基板の主面とは反対側の主面にも同じ金属板7aを設けて当該ICチップ5を2枚の金属板7,7aで挟み、機械的強度の強化を図るようにしている。ただし、アンテナ基板1の片面のみに金属板7を設けるように構成してもよい。
図3に示すようにアンテナ基板1の主面にアンテナコイル2,コンデンサ3,接続用配線パターン4を形成し、ICチップ5を実装したのち金属板7,7aを封止用樹脂6で封止したら、次に、アンテナモジュール100に埋設されているコンデンサ3のトリミングを行う。このトリミングは、ICカードとなった状態、すなわち完成品状態で、アンテナコイルの共振周波数が13.56MHzとなるようにコンデンサ容量を調整するために行われるものである。また、このトリミングはICチップ5が実装された後に行うことが望ましい。ICチップ5自体には寄生容量が存在するため、ICチップ5を実装することによりコンデンサ容量が変わり、その結果共振周波数が変わるからである。
コンデンサ3のトリミングが終了したら、次にアンテナモジュール100の表裏面に外装材を貼り付けることによりカード化を行う。図4に示す例では、高分子樹脂フィルムからなる外装材8〜13を、アンテナモジュール100を中心にして表裏面のそれぞれに3層ずつ重ね合わせ、熱融着によりカード化する。この外装材8〜13のうち、アンテナ基板1に接する最内層に貼り付けられる外装材10,11は、ICチップ5が所定厚さを有するのでこれとの段差をなくすために設けられ、中間層に位置する外装材9,12は、ICチップ5を隠蔽するために設けられ、最外層に位置する外装材8,13は、ICカードとされたときの絵柄印刷を施すために設けられる。
こうした外装材8〜13のうち、対となる外装材10と11、外装材9と12、外装材8と13はそれぞれ同じ材質及び厚さであることが望ましい。厚み方向で材質及び厚みを変更させるとカードの反りが発生する原因となるからである。
特に本実施形態の外装材8〜13を構成する材料のうち、少なくともアンテナコイル2に接する側の外装材8〜10は、誘電率が3未満の有機高分子化合物、なかでも脂肪族ポリエステルであることが最も好ましい。既述したように、アンテナモジュール100に外装材8〜13を貼り付けてICカード化すると、外装材、特にアンテナコイル2に接する側の外装材8〜10がコンデンサとして作用し、これによりアンテナモジュール100の最終工程でトリミングより調整したアンテナコイル2の共振周波数が変動する。本実施形態では、この共振周波数の変動を極力抑えるために、少なくとも外装材8〜10を低誘電率の材料から構成する。また、アンテナコイル2に接しない側の外装材11〜13には必ずしもこの種の材料を採用する必要はないが、上述したように対となる外装材10と11、外装材9と12、外装材8と13は、ICカードの反り防止の観点からそれぞれ同じ材質及び厚さであることが望ましいので、本実施形態では外装材8〜13を全て同じ材料から構成することとする。
なお、図示する実施形態では外装材8〜13が、片面3層ずつの構成とされているが、JIS/ISO規格で定められている0.76mm±0.08mm内に収まるのであればその積層数は問わない。たとえば、図5に示すように、外装材9〜12を片面2層ずつの構成にすることも可能である。
外装材8〜13の厚さとしては、積層構成によっても変わるが、25μm〜200μmであることが望ましい。25μmより薄いと製造工程において取り扱い作業性が悪化し、200μmを越えると他の部分の厚さが薄くなるため、製造工程において取り扱い作業性が悪化する。
外装材8〜13は熱融着により互いに接着されるが、その熱融着温度は、外装材8〜13を構成する有機高分子化合物の軟化温度以上で行うことが条件となる。この軟化温度は、無定形物質の応力と塑性流動速度の比(塑性粘弾性)が低温で極めて小さくても、温度が上昇してある温度以上のとなった場合、顕著な流動性を持った柔らかい状態となる温度、例えば、粘性率が1010〜1011Ns/m2となる温度で、1〜10s程度の時間のうちに流動が認められる状態になる温度と定義される。そして、熱融着させる際には、ICカードを構成する全ての外装材8〜13の軟化温度以上で行う必要があり、軟化温度は材料により固有値をとるので、熱融着温度は採用する材料により最適化をする必要がある。
有機高分子化合物からなるフィルム材料は、一般的に延伸タイプと無延伸タイプに大別されるが本実施形態に係る外装材8〜13には何れのものも採用することができる。延伸タイプの有機高分子化合物からなるフィルム材料は、加工の際に延伸により分子を配向させ、強度、耐熱性等の物性を向上させている。延伸タイプのフィルム材料は、結晶性が高く、非晶質部分の割合が少ないためにその軟化温度は融点に近づき、熱融着温度は融点に近い温度となる。したがって、表面処理を施すことにより接着性を向上させることが有効である。易接着処理、コロナ処理等がその代表例として挙げられる。これに対して、無延伸タイプのフィルム材料は、非晶質であり、軟化温度が低くなる傾向がある。したがって、延伸タイプのフィルム材料よりも軟化温度以上での自着性が高く、ICカードを構成する有機高分子化合物からなるフィルム材料との接着性も高いという利点がある。しかし無延伸タイプのフィルム材料は延伸タイプのフィルム材料と比較して、一般的に強度が弱いことが挙げられる。したがって、延伸タイプと無延伸タイプの選択は、ICカードに要求されるスペックに応じて使い分けることが望ましい。
以下に外装材8〜13として用いて好ましい材料を例示する。
本実施形態で用いられる誘電率が3.0未満の有機高分子化合物としては、さらに生分解性をも兼ね備えたものであることがより好ましい。このような有機高分子化合物としては、誘電率が3.0未満の、脂肪族ポリエステル、多糖類、ペプチド、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール、ポリアミドもしくはポリアルキレングリコール等のいずれか、または前記化合物の少なくともいずれかの一つを含む共重合体などが挙げられる。
そのなかでも、脂肪族ポリエステルが混合性や量産性に優れていることから、本実施形態で用いる高分子化合物として好ましい。脂肪族ポリエステルとしては、常温における誘電率が約2.7の、ポリ−L−乳酸(PLLA)、L−乳酸とD−乳酸とのランダム共重合体等のポリ乳酸、またはそれらの誘導体がより好ましい。もちろんその他のポリエステルに分類される、例えばポリカプロラクトン、ポリヒドキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリエチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、ポリシュウ酸エステル、ポリジグリコール酸ブチレン、ポリジオキサノン、微生物合成ポリエステルなども、誘電率が3.0未満であれば使用可能である。ここで、微生物合成ポリエステルとしては、3−ヒドロキシブチレート(3HB)、3−ヒドロキシバリレート(3HV)、またはその共重合体などが挙げられる。
本実施形態で用いられる高分子化合物は、公知の方法に従って製造することができる。例えば、生分解性ポリエステルは、(i)ラクチド法、(ii)多価アルコールと多塩基酸との重縮合、または(iii)分子内に水酸基とカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸の分子間重縮合などの方法により製造することができる。
本実施形態で用いられる加水分解抑制剤は、生分解性高分子化合物の加水分解を抑制する添加剤であれば、特に限定されない。なかでも、本実施形態に係る組成物を、温度80℃、相対湿度80%の恒温恒湿条件下で48時間エージングしても、生分解性を有する有機高分子の分子量の低下が約20%以内であることが好ましい。
前記加水分解抑制剤としては、例えば、生分解性高分子化合物中の活性水素と反応性を有する化合物が挙げられる。前記化合物を加えることで、生分解性高分子化合物中の活性水素量が低減し、活性水素が触媒的に生分解性高分子鎖を加水分解することを防ぐことができる。ここで、活性水素とは、酸素、窒素等と水素との結合(N−H結合やO−H結合)における水素のことであり、かかる水素は炭素と水素の結合(C−H結合)における水素に比べて反応性が高い。より具体的には、生分解性高分子化合物中の例えばカルボキシル基:−COOH、水酸基:−OH、アミノ基:−NH、またはアミド結合:−NHCO−等における水素が挙げられる。
前記高分子化合物中の活性水素と反応性を有する化合物としては、カルボジイミド化合物、イソシアネート化合物、オキソゾリン系化合物が適用可能である。特にカルボジイミド化合物が生分解性高分子化合物と溶融混練でき、少量の添加で加水分解性をより効果的に抑制できるために好ましい。
前記カルボジイミド化合物は分子中に一個以上のカルボジイミド基を有する化合物であり、ポリカルボジイミド化合物をも含む。前記カルボジイミド化合物の製造方法としては、触媒として、例えば、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジメチル−O−(3−メチル−4−(メチルチオ)フェニル)ホスホロチオエート、O,O−ジエチル−O−2−イソプロピル−6−メチルピリミジン−4−イルホスホロチオエート等の有機リン系化合物、または、例えばロジウム錯体、チタン錯体、タングステン錯体、パラジウム錯体等などの有機金属化合物を用い、各種ポリマーイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒または不活性溶媒(たとえば、ヘキサン、ベンゼン、ジオキサン、クロロホルム等)中で脱炭酸重縮合させることにより製造するという方法を挙げることができる。
このカルボジイミド化合物に含まれるモノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ナフチルカルボジイミドなどを例示することができ、これらの中でも、特に工業的に入手が容易であるジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが好ましい。
上記生分解性高分子化合物中の活性水素と反応性を有する化合物であるイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートまたは3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
上記イソシアネート化合物は、公知の方法で容易に製造することができ、また市販品を適宜使用することができる。市販のポリイソシアナート化合物としては、コロネート(日本ポリウレタン製;水添ジフェニルメタンジイソシアネート)またはミリオネート(日本ポリウレタン製)等の芳香族イソシアネートアダクト体が適用可能である。なかでも、本発明にかかる組成物を溶融混練で製造する場合は、液状より固形物、例えばイソシアネート基をマスク剤(多価脂肪族アルコール、芳香族ポリオール等)でブロックしたポリイソシアネート化合物の使用が好ましい。
上記高分子化合物中の活性水素と反応性を有する化合物であるオキサゾリン系化合物としては、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、または2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
本実施形態で用いられる加水分解抑制剤の種類または添加量により、生分解速度、ひいては本実施形態に係る組成物の機械的強度を調整することができるので、目的とする製品に応じ、配合する加水分解抑制剤の種類および配合量を決定すればよい。具体的には、加水分解抑制剤の添加量は、約0.5〜8重量%の範囲が望ましい。とくに、加水分解抑制剤がカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物またはオキソゾリン化合物である場合、その添加量は上記範囲が好ましい。また、前記加水分解抑制剤は、上記化合物を単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもかまわない。
本実施形態に係る組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いてよい。
本実施形態に係る組成物は、本実施形態の目的を損なわない限りにおいて、公知の他の添加剤が含有されていてもよい。前記公知の他の添加剤としては、補強材、無機または有機フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等の他、滑剤、ワックス類、着色剤、結晶化促進剤、デンプンのような分解性を有する有機物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数の組み合わせて用いてもかまわない。
前記補強材としては、例えばガラスマイクロビーズ、炭素繊維、チョーク、例えばノボキュライト(novoculite)のような石英、アスベスト、長石、雲母、タルク、ウォラストナイトのようなケイ酸塩、カオリン等が挙げられる。また、無機フィラーとしては例えば炭素、二酸化珪素の他、アルミナ、シリカ、マグネシア、またはフェライト等の金属酸化微粒子、例えばタルク、マイカ、カオリン、ゼオライト等の珪酸塩類、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、またはフラーレン等の微粒子等が、また、有機フィラーとしては例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、またはテフロン(登録商標)樹脂が挙げられる。中でも、炭素、二酸化珪素が本発明の組成物中に含まれていることが好ましい。上記フィラーは1種または2種以上を混合して使用してもかまわない。
前記酸化防止剤としては、例えばフェノール系、アミン系、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、またはキノリン系酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC2-10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のジまたはトリオキシC2-4 アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばグリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC3-8 アルカントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のC4-8 アルカンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3-6 アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、例えばn−オクタデシル−3−(4’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、ステアリル−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、または1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、またはN−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、トリス[2−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス[2,4−(1,1−ジメチルプロピル)−フェニル]ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−フェニルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルフェニル−p−アニシルホスフィン、p−アニシルジフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジ−p−アニシルフェニルホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、トリ−m−アミノフェニルホスフィン、トリ−2,4−ジメチルフェニルホスフィン、トリ−2,4,6―トリメチルフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリ−o―アニシルホスフィン、トリ−p−アニシルホスフィン、または1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン等のホスフィン化合物等が挙げられる。
ヒドロキノン系酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等が挙げられ、キノリン系酸化防止剤としては、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン等が挙げられ、イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられる。中でも、好ましい酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(特に、ヒンダードフェノール類)、例えば、ポリオール−ポリ[(分岐C3-6 アルキル基およびヒドロキシ基置換フェニル)プロピオネート]等が挙げられる。また、上記の酸化防止剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
前記熱安定剤としては、例えばポリアミド、ポリ−β−アラニン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、メラミン、シアノグアニジン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体等の塩基性窒素含有化合物等の窒素含有化合物;有機カルボン酸金属塩(ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等)、金属炭酸塩等のアルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物;ゼオライト;またはハイドロタルサイト等が挙げられる。特に、アルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物(特にマグネシウム化合物やカルシウム化合物等のアルカリ土類金属含有化合物)、ゼオライト、またはハイドロタルサイト等が好ましい。また、上記の熱安定剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
上記紫外線吸収剤としては、従来公知のベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチレート系またはシュウ酸アニリド系等が挙げられる。例えば、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシドデシロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシベンジロキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシメトキシ)ベンゾフェノン]−メタクリル酸メチル共重合体、または[2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシオクトキシベンゾフェノン)−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。また、上記の紫外線吸収剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
前記滑剤としては、例えば、流動パラフィン等の石油系潤滑油;ハロゲン化炭化水素、ジエステル油、シリコン油、フッ素シリコン等の合成潤滑油;各種変性シリコン油(エポキシ変性、アミノ変性、アルキル変性、ポリエーテル変性等);ポリオキシアルキレングリコール等の有機化合物とシリコンとの共重合体等のシリコン系潤滑性物質;シリコン共重合体;フルオロアルキル化合物等の各種フッ素系界面活性剤;トリフルオロ塩化メチレン低重合物等のフッ素系潤滑物質;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等のワックス類;高級脂肪族アルコール、高級脂肪族アミド、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸塩、または二硫化モリブデン等が挙げられる。これらの中でも、特に、シリコン共重合体(樹脂にシリコンをブロックやグラフトにより重合させたもの)の使用が好ましい。シリコン共重合体としては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリブチラール系樹脂、メラミン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂またはポリビニルエーテル系樹脂等に、シリコンをブロックまたはグラフト重合させたものであればよく、シリコングラフト共重合体を用いるのが好ましい。これらの潤滑物質は、1種でもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ワックス類としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックスやパラフィンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ミクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、脂肪酸アミド系ワックス、高級脂肪族アルコール系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス等が挙げられる。これらのワックス類は単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて併用されてもよい。
前記着色剤としては、無機顔料、有機顔料または染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えばクロム系顔料、カドミウム系顔料、鉄系顔料、コバルト系顔料、群青、または紺青等が挙げられる。また、有機顔料や染料の具体的な例としては、例えばカーボンブラック;例えばフタロシアニン銅のようなフタロシアニン顔料;例えばキナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッドのようなキナクリドン顔料;例えばハンザイエロー、ジスアゾイエロー、パーマネントイエロー、パーマネントレッド、ナフトールレッドのようなアゾ顔料;例えばスピリットブラックSB、ニグロシンベース、オイルブラックBWのようなニグロシン染料、オイルブルー、またはアルカリブルー等が挙げられる。また、上記の着色剤は単独でまたは二種以上使用してもかまわない。
前記結晶化促進剤としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等の有機酸塩類;例えば炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の無機塩類;例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。これらの結晶化促進剤は、1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係る組成物に対し、公知の処理を行ってもよい。たとえば、本実施形態に係る組成物中の高分子化合物の加水分解を抑制するために、本実施形態に係る組成物に対し、活性エネルギー線を照射させてもよい。
前記活性エネルギー線源としては、例えば電磁波、電子線または粒子線およびこれらの組み合わせが挙げられる。電磁波としては、紫外線(UV)、エックス線等が挙げられ、粒子線としては、陽子、中性子等の素粒子の線が挙げられる。中でも特に、電子加速器の使用による電子線照射が好ましい。
上記した活性エネルギー線は、公知の装置を用いて照射することができる。例えば、前記公知の装置として、UV照射装置、電子加速器等が挙げられる。照射線量および照射強度としては、本発明にかかる組成物において、効果的に生分解性高分子化合物の加水分解を遅延する範囲であれば、とくに限定されない。例えば、電子線の場合、加速電圧が、約100〜5000kV程度が好ましく、照射線量としては、約1kGy程度以上であることが好ましい。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
本発明をさらに具体化した例を挙げて説明する。
実施例1
厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(以下、PEN)製アンテナ基板上に、厚さ20μmのアルミニウム箔を貼り付け、これをエッチング処理することによりアンテナコイル、コンデンサ回路を形成した。このアンテナ基板上の所定の位置にICチップを実装し、その上に封止用樹脂として熱硬化型1液エポキシ系接着剤、金属板として50μmのステンレス板を用いてICチップを封止した。
ICカードを所定の共振周波数に調整するため、アンテナモジュールの状態で、アンテナ基板上のコンデンサを14.0MHzとなるようにトリミングした。
ICカードの作製は、図4に示すように、アンテナモジュール側から、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材10,11、厚さ125μmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製外装材9,12、厚さ125μmの延伸ポリエチレンテレフタレート製外装材8,13という順番で、それぞれアンテナモジュール100の表裏面に積層し150℃で2分間、圧力1.5MPaをかけながら熱融着を行った。
作製したICカードについて、共振周波数の測定と通信距離の測定を行った。リーダライタとして微弱リーダライタ(ソニー社製RC−S440C)を使用した。この結果を表1に示す。
続いて、ICカードの保存試験、動作試験を行い、試験後の共振周波数と通信距離の測定を行った。この結果を表2に示す。
保存試験としては、70℃/60%RH/72時間の高温保存、−20℃/72時間の低温保存を行った。
動作試験としては、55℃/50%RH/16時間保存後にその環境での高温動作試験と、−10℃/16時間保存後にその環境での低温動作試験と、40℃/95%RH/96時間保存後にその環境での高湿動作試験を行った。
測定数はn=20で行い、共振周波数と通信距離はn=20の平均値をその数値とした。
実施例2
ICカードを作製する際、アンテナモジュール側から、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材10,11、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材9,12、厚さ125μmの延伸ポリエチレンテレフタレート製外装材8,13の順番でそれぞれアンテナモジュールの表裏面に積層した以外は、実施例1と同様の方法で行った。この結果を表1及び2に示す。
実施例3
ICカードを作製する際、アンテナモジュール側から、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材10,11、厚さ125μmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製外装材9,12、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材8,13の順番でそれぞれアンテナモジュールの表裏面に積層した以外は、実施例1と同様の方法で行った。この結果を表1及び2に示す。
実施例4
ICカードを作製する際、アンテナモジュール側から、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材10,11、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材9,12、厚さ125μmのポリ乳酸製外装材8,13の順番でそれぞれアンテナモジュールの表裏面に積層した以外は、実施例1と同様の方法で行った。この結果を表1及び2に示す。
比較例1
ICカードを作製する際、アンテナモジュール側から、厚さ125μmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製外装材10,11、厚さ125μmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製外装材9,12、厚さ125μmの延伸ポリエチレンテレフタレート製外装材8,13の順番でそれぞれアンテナモジュールの表裏面に積層した以外は、実施例1と同様の方法で行った。この結果を表1及び2に示す。
Figure 0004661037
Figure 0004661037
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4は、アンテナモジュール状態の共振周波数14.0MHzに対してICカード化した後の共振周波数の低下が−0.47〜−0.48MHzと抑制されているのに対し、比較例1は−0.55MHzとなっている。したがって、少なくともアンテナコイルに接する側にポリ乳酸製外装材を採用したものは共振周波数の低下が抑制され、通信距離も147〜148mmと長くなっていることが確認された。
また、表2の結果からも、実施例1〜4のICカードは比較例1のICカードに比べて共振周波数の低下が抑制され、通信距離も長いことが確認されたが、特に高温動作試験、低温動作試験及び高湿動作試験における効果が大きいことが確認された。
本発明の実施形態に係るアンテナモジュールを示す平面図である。 本発明の実施形態に係るICカードの製造方法を示す、図1のII-II線に沿う断面図である。 本発明の実施形態に係るICカードの製造方法を示す、図1のII-II線に沿う断面図である。 本発明の実施形態に係るICカードの製造方法を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係るICカードを示す断面図である。 本発明の実施形態に係るICカードの等価回路図である。 従来のICカードを示す断面図である。
符号の説明
100…アンテナモジュール
1…アンテナ基板
2…アンテナコイル
3…コンデンサ
4…接続用配線パターン
5…ICチップ
6,6a…封止用樹脂
7,7a…金属板
8〜13…外装材

Claims (3)

  1. 非接触通信用のアンテナコイルが形成されたポリエチレンナフタレート製のアンテナ基板と、
    前記アンテナ基板に形成された接続用配線パターンを介して前記アンテナ基板に電気的に接続されたICチップと、
    前記アンテナ基板の両主面に貼り付けられた外装材とを備え、
    前記外装材は、前記アンテナ基板側から、前記アンテナ基板の両主面に接する厚さ125μmのポリ乳酸製の第1の外装材と、前記第1の外装材の両主面のそれぞれに接する厚さ125μmのポリ乳酸製または非晶質ポリエチレンテレフタレート製の第2の外装材と、前記第2の外装材の両主面のそれぞれに接する厚さ125μmのポリ乳酸製または延伸ポリエチレンテレフタレート製の第3の外装材とによって、構成され、
    前記第1の外装材の誘電率が3.0未満である
    ICカード。
  2. 非接触通信用のアンテナコイルが形成されたアンテナ基板と、
    前記アンテナ基板に形成された接続用配線パターンを介して前記アンテナ基板に電気的に接続されたICチップと、
    前記アンテナ基板の両主面に貼り付けられた外装材とを備え、
    少なくとも前記アンテナコイルが形成されたアンテナ基板の主面側の外装材が、多糖類、ポリアミノ酸、ポリビニルアルコール若しくはポリアルキレングリコール、またはこれらの少なくとも何れか一つを含む共重合体である有機高分子化合物からなり、かつ、誘電率が3.0未満であり、
    前記有機高分子化合物に、加水分解制御剤としてカルボジイミド化合物、イソシアネート化合物およびオキソゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いる
    ICカード。
  3. 請求項1または請求項2に記載のICカードと、
    読み出し書き込み装置とを備えた無線情報送受信装置であって、
    前記ICカードと前記読み出し書き込み装置とを相対的に近接させたときの、前記ICカードのアンテナコイルと前記読み出し書き込み装置のアンテナコイルとの結合によって誘起される高周波信号により動作を開始し、前記高周波信号を介してデータの送受信を行う
    無線情報送受信装置。
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