JP4660491B2 - 無線機の取り付け機構 - Google Patents

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Description

本発明は、水平・垂直配置のための無線機の取り付け機構に関するものである。
電子機器をその向きを変えて取り付けることができる取り付け機構として、特許文献1に記載のものが知られている。この取り付け機構は、連結体に互いに非交叉で直交する2つの貫通孔を穿設し、一方の貫通孔に挿通した連結子で壁面取付金具を連結体に回転、固定自在に取り付け、他方の貫通孔に挿通した連結子で電子機器取付金具を連結体に回転、固定自在に取り付けたものである。
この取り付け機構は、電子機器を上下・左右の任意の方向へその向きへ変えて自在に取り付けることができるが、取り付け作業に際してはネジなどを用いて電子機器を電子機器取付金具に締着固定する必要があり、一旦壁面などに取り付けた後は電子機器を簡単に取り外すことが難しいという問題があった。そこで、本出願人は構造簡単で、しかも取り付け・取り外しが極めて簡単な無線機(FPU:Field Pickup Unit)のための取り付け機構を開発した。
本出願人が開発したこの無線機の取り付け機構を図9および図10に示す。
図9は取り付け機構の分解斜視図、図10はオス座とメス座を嵌め合わせて水平配置した状態の無線機の正面図である。図9において、1は無線機(FPU)であって、その下面2にはオス座3が固着されている。このオス座3は、後端側に向かうに従って溝幅がテーパ状に狭まり、かつ、その断面が台形状をしたいわゆる「蟻ほぞ」であって、この蟻ほぞ状になるオス座3がその溝幅の広い側を無線機1のフロントパネル面4側に向けて無線機1の下面2に固着されている。
一方、前記オス座3と対をなすメス座6には、オス座3が挿脱自在に嵌り込むためのオス座と同形の蟻溝7が形成されている。また、このメス座6の前端面側部には、蟻溝7内に嵌り込んだオス座3が抜け出ることがないように定位置に係止するためのストッパ8が設けられている。
上記取り付け機構は、その使用に際して、まずメス座6を三脚などの無線機固定用の基台に水平に取り付けておく。そして、三脚などに取り付けられたメス座6の蟻溝7に向けて無線機1をその後端5側から押し込んでいき、無線機1の下面2に固着したオス座3をメス座6の蟻溝7に挿入していく。
オス座3が蟻溝7内に挿入されて完全に嵌め合わされたらストッパ8を回し、オス座3が蟻溝7内から抜け出すことがないように定位置に係止する。これによって、無線機1は図10に示すようにメス座6上に水平状態で固定配置される。
実公平2−925号公報(全頁、全図)
本出願人が開発した上記取り付け機構は、構造が簡単で、しかも無線機の取り付け・取り外しが極めて簡単なため、特に屋外で使用することの多い可搬型の無線機に用いて非常に便利なものであった。
ところで、上記取り付け機構は、無線機を水平状態で取り付けることを前提として開発されたものであった。しかしながら、現場における実際の使用状況によっては、無線機を上下方向に向けて垂直に取り付ける必要が生じることがあった。特に、屋外で使用する場合、雨などに対する防滴の関係からフロントパネル面4を下側にした状態で垂直に取り付ける必要がある。また、テレビカメラなどの後端部に取り付けてワイヤレスカメラとして使用するときは、無線機を垂直にしてテレビカメラに取り付けることがある。
上記取り付け機構において、フロントパネル面4を下側にして垂直に取り付けるには、オス座3とメス座6の配置は図11のようになり、無線機1を下側から上側に向けて押し上げるようにして差し込まざるを得ない。
図11から解るように、無線機1を下側から上側に向けて押し込んだ場合、ストッパ8を回して定位置に係止するまでは無線機1を下側から支え続けねばならず、また、無線機1を取り外す場合には、無線機1を下から支えた状態でストッパ8を外さねばならず、取り付け・取り外し時に無線機1を落下させてしまう危険があった。
この問題の最も簡単な解決方法は、図12に示すように、無線機1の下面2に固着するオス座3の向きを180度逆向きにし、無線機1を上側から差し込むようにすることである。このような配置にすれば、オス座3とメス座6が嵌合しさえすれば、ストッパ8に関係なく落下の心配は無くなる。しかしながら、この方法を採る場合、水平配置の時と垂直配置の時とでその都度オス座3を付け替えねばならず、作業が非常にやっかいなものとなってしまう
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、構造簡単でありながら、水平・垂直の両方向に安全かつ簡単に取り付け・取り外しできる無線機の取り付け機構を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用した。
すなわち、請求項1記載の発明は、無線機の下面に取り付けられるオス座と、無線機固定用の基台に取り付けられるメス座とからなり、前記メス座は、後端側に向かうに従って溝幅がテーパ状に狭まり、かつ、その溝形状が台形状になる蟻溝を備え、前記オス座は、前記蟻溝の溝深さよりも板厚が薄く、後端側に向かうに従って板幅がテーパ状に狭まり、かつ、その断面形状が台形状をした、前記蟻溝と同形の回転板と、上面を無線機の下面に固着されているとともに下面に前記回転板をその中央位置で回転自在に軸支した固定板とからなり、該固定板は、前記回転板のテーパ幅の狭い側の半部を前記軸支位置を基点として線対称に反対側に折り返して得られる左右対称な六角形状になり、該六角形状をした固定板の外周面を前記回転板の断面台形状の傾斜面と滑らかにつながる同じ角度の傾斜面としたものである。
また、請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の取り付け機構において、前記メス座に挿入嵌合された前記オス座を定位置に係止するストッパを設けたことを特徴とするものである。
さらに、請求項3記載の発明は、前記請求項1または2記載の取り付け機構において、前記回転自在な回転板を定位置に係止する回転板係止機構を設けたことを特徴とするものである。
請求項1記載の発明によれば、メス座の蟻溝に挿入嵌合されるオス座を固定板と回転板の2つの部材で構成し、回転板を回してその向きを自在に変えることができるようにするとともに、重ね合わされた状態の固定板と回転板の両者によって全体で1つの断面台形状の蟻ほぞを形成し、この重ね合わされた固定板と回転板の両者が一体となってメス座の蟻溝に挿脱自在に嵌まり合うようにしたので、フロントパネル面を下に向けた状態で無線機を垂直下向きに配置する場合、回転板を回して水平配置の場合とその向きを180度反対の向きに設定することにより、フロントパネル面を下向きにした状態で無線機をメス座の蟻溝に上方側から差し込むことが可能となる。このため、下側から差し込む場合のように無線機が落下するおそれが無くなり、無線機の取り付け・取り外し作業を極めて安全に行なうことができる。
また、請求項2記載の発明によれば、メス座に挿入嵌合されたオス座を定位置に係止するストッパを設けたので、係止された後は無線機が簡単に外れるようなことが無くなり、無線機取り付けの安全性を向上することができる。
さらに、請求項3記載の発明によれば、回転自在な回転板を定位置に係止する回転板係止機構を設けたので、蟻溝への差し込み作業時に回転自在な回転板が勝手に回って差し込み作業がしづらくなるというようなことが無くなり、作業性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜図5に、本発明に係る無線機の取り付け機構の一実施の形態を示す。
図1は本発明の取り付け機構を備えた無線機を示す図、図2はオス座の構成部材である回転板の詳細な構造を示す図、図3は同じくオス座の構成部材である固定板の詳細な構造を示す図、図4は回転板係止機構部分の拡大断面図、図5は本発明の取り付け機構の分解斜視図である。
なお、オス座と対をなすメス座については、従来のメス座6(図9,図10参照)をそのまま使用するので、その図示は省略する。また、各図において、従来の取り付け機構(図9、図10)と同一部分には同一の符号を付して示し、それらの部分の詳細な説明は省略する。
本発明の取り付け機構が従来の取り付け機構(図9,図10)と異なる点は、無線機1の下面2に取り付けられるオス座の構造である。すなわち、従来の取り付け機構におけるオス座3は、図9,図10に示すように、1枚の板体を用いて構成したものであったが、本発明におけるオス座13は、図1、図5に示すように、無線機1の下面2に固着される固定板14と、この固定板14の下面に段付きネジ16によって回転自在に軸支された回転板15の2つの部材によって構成し、上下に重ね合わされた固定板と回転板の2つの部材によって、メス座6の蟻溝7に嵌り込む断面台形状の蟻ほぞを形成したものである。
固定板14の下面に回転自在に取り付けられた回転板15は、図2にその詳細な構造を示すように、従来のオス座3と同形になるもので、後端側に向かうに従ってその幅がテーパ状に狭まり、かつ、その断面形状を台形状に形成されている。この回転板15は、その板厚が従来のオス座3のほぼ半分の厚さに設定されており、後述する固定板14と合わせた全体の板厚が従来のオス座3と同じ厚さとなるように設定されている。これは、回転板15と固定板14の両者によって断面台形状の蟻ほぞを形成し、回転板15と固定板14の両方を一緒にメス座6の蟻溝7に差し込んで嵌合固定させるためである。
回転板15の中央位置には段付き穴17が形成されている。回転板15は、この段付き穴17に段付きネジ16を挿通して固定板14下面のネジ穴18に螺着(図4参照)することにより、固定板14の下面に回転自在に軸支されている。
また、回転板15の上面には、前記段付き穴17を中に挟んで左右の対称位置に一対の硬球嵌入溝19a,19bが形成されている。この一対の硬球嵌入溝19a,19bは、後述するように、固定板14下面のバネ収納穴20内に圧縮バネ21ともに収容されている係止用硬球22が圧縮バネ21によって押されて嵌り込むことにより、回転自在な回転板15を180度回転した定位置に係止させるためのものである(図4参照)。なお、この硬球嵌入溝19a、19bの溝深さは、回転板15の回転操作時に係止用硬球22が容易に溝内から抜け出ることが可能な深さとされている。
一方、無線機1の下面2に固着された固定板14は、図3にその詳細な構造を示すように、中央部に形成されたネジ穴18を中心にして左右対称な6角形状とされている。すなわち、固定板14の平面視形状は、前記回転板15のテーパ幅の狭い側の半部(図2(c)の右半部)を軸支位置たる段付き穴17を中心として線対称に反対側に折り返して得られる左右対称な六角形状になり、この六角形状をした固定板14の外周面14aを前記回転板15の断面台形状の傾斜面15aと滑らかにつながる同じ角度の傾斜面としたもので、回転板15を重ね合わせた状態において、回転板15と固定板14の傾斜面によって全体で1つの断面台形状の蟻ほぞが形成されるように構成されている。
この固定板14は、図1に示すように、その上面部を接着剤あるいは溶接等の適宜方法によって無線機1の下面2に固着され、無線機1と一体化される。なお、固定板14の板厚は、従来のオス座3(図9,図10)の板厚から前記回転板15の板厚を引いた厚さとされ、固定板14と回転板15を合わせた全体の板厚が従来のオス座3の板厚と同じになるように設定されている。
また、固定板14の下面中央位置にはネジ穴18が形成されており、前述したように、回転板15の段付き穴17に段付きネジ16を挿通してこのネジ穴18に螺着(図4参照)することにより、回転板15が固定板14の下面に回転自在に取り付けられている。
さらに、固定板14の下面には、前記回転板15に形成された硬球嵌入溝19a(または19b)と相対する位置にバネ収納穴20が形成されており、このバネ収納穴20内に圧縮バネ21と係止用硬球22が収納(図4参照)されている。係止用硬球22は圧縮バネ21によって外方へ向けて付勢されており、該付勢力によって回転板15の上面に形成されている硬球嵌入溝19aまたは19bと相対した時に該溝内に嵌り込み、回転自在な回転板15を定位置に係止できるようになっている。なお、これら硬球嵌入溝19a,19b、バネ収容穴20、圧縮バネ21、係止用硬球22がいわゆる回転板係止機構を構成している。
次に、上記取り付け機構を用いた無線機の取り付け方法について説明する。
まず最初に、無線機1を水平状態に取り付ける場合について、図5,図6を参照して説明する。
無線機1を水平状態に取り付ける場合には、図5に示すように、回転板15を回してそのテーパ幅の広い側が無線機1のフロント面4側に向くように位置させる。回転板15をこのような向きに配置にすると、回転板係止機構を構成する係止用硬球22が図4に例示するように硬球嵌入溝19a内に嵌り込み、回転板15を図5の位置に係止する。なお、この水平配置の場合における回転板15の向きは、従来の取り付け機構(図9,図10参照)における水平配置の場合と同じである。
上記のように回転板15の向きを設定した後、無線機1をその後端5側から水平配置されたメス座6の蟻溝7に向けて押し込んでいく。これによって、断面台形状になる回転板15と固定板14の先端部がメス座6の蟻溝7に挿入されていく。そして、固定板14と回転板15が蟻溝7内に完全に嵌め合わされたらストッパ8を回し、無線機1を該位置に係止する。
これによって、無線機1は、その下面2に設けた固定板14と回転板15の両者がメス座6の蟻溝7に嵌め合わされた状態で固定される。この結果、無線機1は図6に示すようにメス座6上に水平状態で固定配置される。
次に、無線機1をそのフロントパネル面4を下側にして垂直下向きに取り付ける場合について、図7,図8を参照して説明する。
無線機1をそのフロントパネル面4を下側にして垂直下向きに取り付ける場合には、回転板15を水平配置の場合の設定状態から180度回転させ、図7に示すように、テーパ幅の広い側が無線機1の後端5側に向くように位置させる。回転板15をこのような向きに配置にすると、回転板係止機構を構成する係止用硬球22が反対側の硬球嵌入溝19b内に嵌り込み、回転板15を図7のような位置に係止する。図示から明らかなように、垂直配置の場合の回転板15の向きは、水平配置(図5)の場合と180度逆向きとなる。
上記のように回転板15の向きを設定した後、図8に示すように、無線機1を垂直配置されたメス座6の蟻溝7に向けてフロントパネル面4側から下向きに押し込んでいく。これによって、断面台形状になる回転板15と固定板14の先端部がメス座6の蟻溝7に挿入されていく。固定板14と回転板15が蟻溝7内に完全に嵌め合わされたらストッパ8を回し、無線機1を該位置に係止する。この結果、無線機1は、フロントパネル面4を下にしてメス座6に垂直下向きの状態で固定配置される。
上記説明から明らかなように、本発明の取り付け機構によれば、無線機1をフロントパネル面4を下側にして垂直下向きに取り付ける場合、従来と異なって無線機1を上側から下向きに差し込むだけで済み、従来のようにストッパ8で係止するまで無線機1を下側から支え続ける必要がない。また、取り外しに際してストッパ8を外しても無線機1が落下するようなことがない。このため、取り付け・取り外し時に無線機1が落下するおそれがなくなり、作業の安全性が格段に向上する。また、水平配置と垂直配置との切り換えに際しては、回転板15を180度回すだけで済み、作業が極めて簡単である。
なお、上記説明では、ストッパ8として回動式のものを用いた場合の例を示したが、これに限られるものではなく、横にスライドさせる形式のものでも同様な効果が得られる。要は、メス座に挿入嵌合されたオス座を定位置に係止可能な構造のものであればよい。
本発明に係る無線機の取り付け機構の一実施の形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は背面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は一部断面で示した側面図である。 図1中の回転板の詳細な構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は背面図、(f)は(c)中のI−I線断面図である。 図1中の固定板の詳細な構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は背面図、(f)は(c)中のII−II線断面図である。 図1中の回転板係止機構部分の拡大断面図である。 本発明の取り付け機構の分解斜視図である。 本発明の取り付け機構によって水平配置された無線機を示す図である。 本発明の取り付け機構によって無線機を垂直配置する場合の回転板の設定状態を示す図である。 本発明の取り付け機構によって無線機を垂直配置する場合のオス座とメス座の配置を示す図である。 従来における無線機の取り付け機構の分解斜視図である。 従来の取り付け機構を用いて水平配置した状態の無線機の正面図である。 従来の取り付け機構を用いて垂直配置する場合のオス座とメス座の配置を示す図である。 従来の取り付け機構においてオス座の向きを180度反転して固着し、垂直配置する場合の例を示す図である。
符号の説明
1 無線機
2 無線機の下面
4 無線機のフロンパネル面
5 無線機の後端面
6 メス座
7 蟻溝
8 ストッパ
13 オス座
14 六角状固定板
14a 固定板の台形状断面の傾斜面(外周面)
15 回転板
15a 回転板の台形状断面の傾斜面
16 段付きネジ
17 段付き穴
18 ネジ穴
19a,19b 硬球嵌入溝
20 バネ収納穴
21 圧縮バネ
22 係止用硬球

Claims (3)

  1. 無線機の下面に取り付けられるオス座と、無線機固定用の基台に取り付けられるメス座とからなり、
    前記メス座は、後端側に向かうに従って溝幅がテーパ状に狭まり、かつ、その溝形状が台形状の蟻溝を備え、
    前記オス座は、前記蟻溝の溝深さよりも板厚が薄く、後端側に向かうに従って板幅がテーパ状に狭まり、かつ、その断面形状が台形状になる、前記蟻溝と同形の回転板と、上面を無線機下面に固着されているとともに、下面に前記回転板をその中央位置で回転自在に軸支した固定板とからなり、
    該固定板は、前記回転板のテーパ幅の狭い側の半部を前記軸支位置を基点として線対称に反対側に折り返して得られる左右対称な六角形状になり、該六角形状をした固定板の外周面を前記回転板の断面台形状の傾斜面と滑らかにつながる同じ角度の傾斜面としたことを特徴とする無線機の取り付け機構。
  2. 前記メス座に挿入嵌合された前記オス座を定位置に係止するストッパを設けたことを特徴とする請求項1記載の無線機の取り付け機構。
  3. 前記回転自在な回転板を定位置に係止する回転板係止機構を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の無線機の取り付け機構。
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