JP4658204B2 - 動力伝動装置 - Google Patents

動力伝動装置

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Description

本発明は、動力伝動装置に関するものである。
従来、第1の軸を中心として回転する回転動力を、第1の軸と直交する方向の第2の軸を中心として回転する回転動力に伝動する要素技術としては、例えば、傘歯車伝動機構がある。また、直線方向の往復運動や揺動運動を回転動力に変換する要素技術としては、例えば、クランク回転機構(往復運動をクランク軸の回転動力に変換する機構)、ラック・ピニオン機構等がある。
さらに、従来、直進往復運動を正逆回転に変換して、この正逆回転を一方向クラッチを用いて一方向回転に変換する発明は公知である(特許文献1参照)。
特開2002−66864号公報
往復運動を一方向の回転運動に変換する機構は、上記特許文献1等で公知であるが、断続回転しか伝達できず、連続回転する機構としては適していない。また、往復運動で得られた回転力のトルクを高めるためには、複数の伝動歯車やベルト機構等を組み合わせる必要がある。さらに、回転運動回転の軸心を直交させる場合はさらに傘歯車等を用いなくてはならないので、伝動要素が多くなり複雑となる。
本発明は、往復運動や揺動運動を、回転運動に変換するとともに、弱い力で入力してもパワーアップして回転トルクを高め、さらに回転軸心の方向も直交する方向に変換可能な簡単な構成の動力伝動装置を実現することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、往復回転発生機構と、一方向回転変換機構と、連動出力機構とを備え、入力回転軸の入力回転を出力回転軸に伝動する動力伝動装置であって、前記往復回転発生機構は、前記入力回転軸と、該入力回転軸により回転する回転円板と、往復駆動歯車と、該往復駆動歯車の歯車面から径方向外側に突設されたヨークと、基端が該ヨークに枢着され先端が回転円板に連動する揺動アームとを備え、該回転円板が回転すると、揺動アームは往復駆動歯車の回転中心を中心として往復揺動することで、往復駆動歯車が往復回転する構成とし、前記一方向回転変換機構は、第1の変換部及び第2の変換部を備え、第1の変換部及び第2の変換部は、それぞれ往復回転歯車と、一方向クラッチと、被回転軸とを備え、往復回転歯車は、前記往復駆動歯車によって往復回転され、この往復回転を一方向クラッチによって一方向の回転に変換して前記被回転軸に伝達し、前記連動出力機構は、第1の変換部の被回転軸に同心的に固定された第1の一方向回転部材と、第2の変換部の被回転軸に同心的に固定された第2の一方向回転部材とを有するとともに、第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材を互いに連動させる伝動手段及び前記出力回転軸とを備えていることを特徴とする動力伝動装置を提供する。
回転円板は、往復回転歯車と直交する方向に配置されており、その周縁部に、内面に球状の受け面を有するソケットが形成されており、揺動アームの先端に球体部が形成され、該球体部がソケットの受け面内に回転可能に嵌合している構成とすることが好ましい。
回転円板は、往復回転歯車と同じ方向に向けて配置されており、その周縁部に、連結リンクが枢着され、該連結リンクに揺動アームの先端が枢着されている構成としてもよい。
第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材は、それぞれ同じ構成の歯車であり、伝動手段は、少なくとも第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材に装着されたチェーンである構成としてもよい。
第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材は、それぞれ同じ構成のローラであり、伝動手段は、少なくとも第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材に装着されたベルトである構成としてもよい。
出力回転軸に、フライホイールが取り付けられている構成とすることが好ましい。
本発明に係る動力伝動装置によれば、回転軸を中心に、往復駆動歯車、二股ヨーク及び揺動アームとから成るものが全体として梃子(モメントアーム)として作用し、往復回転歯車を往復回転させ、一方向クラッチを介して回転出力を得る構成としたので、揺動アームの先端部に加えられた回転力を、梃子の原理で増大して出力することができる。従って、往復運動や揺動運動を、回転運動に変換するとともに、弱い力で入力してもパワーアップして回転トルクを高め、さらに回転軸心の方向も直交する方向に変換可能である。
本発明に係る動力伝動装置の実施例1の原理、構成及び作用等を模式的に説明する図である。 本発明に係る動力伝動装置の実施例1を斜め正面から見た斜視図である。 本発明に係る動力伝動装置の実施例1を上面から見た斜視図である。 図3のA−A断面図である。 本発明に係る動力伝動装置の実施例2の原理、構成及び作用等を模式的に説明する図である。
本発明に係る動力伝動装置を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
図1は、本発明に係る動力伝動装置の実施例1の原理、構成及び作用等を模式的に説明する図であり、図2〜4は、本発明に係る動力伝動装置の実施例1の構成を説明する図である。この実施例1の動力伝動装置1は、図1〜3に示すように、往復回転発生機構2と、一方向回転変換機構3と、連動出力機構4と、を備えている。
往復回転発生機構2は、往復駆動歯車5の円周面の一部に往復回転力を付与して、往復駆動歯車5をその軸心を中心に往復回転させる機構である。一方向回転変換機構3は、往復駆動歯車5の往復回転を一方向の回転に変換する機構である。連動出力機構4は、一方向回転変換機構3で変換された一方向の回転を出力として取り出す機構である。以下、実施例1の構成、作用を詳細に説明する。
(往復回転発生機構)
往復回転発生機構2は、図1〜3に示すように、往復駆動歯車5(往復回転駆動する歯車)と、往復回転を発生させる揺動機構6と、入力軸16とを有する。往復駆動歯車5は、回転軸7に同心的に固定されており、この回転軸7は、第1の固定フレーム8に軸受(図示せず)で回転可能に取り付けられている。往復駆動歯車5において、その一方の側の歯車面から、歯車の軸心から径方向に伸びる二股ヨーク9が突設されている。
なお、往復駆動歯車5を、第1の固定フレーム8に固定した固定軸に同心的に回転可能に取り付けたものでもよい。
揺動機構6は、揺動アーム10と、回転円板11とを備えている。揺動アーム10の基端部には、扁平部12が形成されており、この扁平部12が、往復駆動歯車5の二股ヨーク9の平坦な内面13間に嵌合され、ヨーク軸14によって、二股ヨーク9の平坦な内面13間で回転可能に挟持されている。揺動アーム10の先端部には、球体部15が形成されている。
回転円板11は、入力回転軸16に同心的に取り付けられている。この入力回転軸16は、第2の固定フレーム17に軸受(図示せず)で回転可能に取り付けられており、電動モータ、油圧モータ、エンジン等の原動機によって、回転駆動される。要するに、入力回転軸16は、動力伝動装置1の入力軸を構成している。回転円板11には、その周縁近くの位置に球状の受け面を有するソケット18が形成されている。なお、第1の固定フレーム8及び第2の固定フレーム17は、基台19上に起立して設けられている。
揺動アーム10の先端部に形成された球体部15は、図1に示すように、回転円板11のソケット18の受け面内に回転可能に嵌合されている。要するに、揺動アーム10の先端部に形成された球体部15がソケット18内に嵌合することで、玉継手を構成している。
入力回転軸16によって回転円板11が回転すると、図1に示すように、揺動アーム10の先端部の球体部15は、玉継手において自転しながら回転円板11とともに回転(公転)する。このように球体部15が回転円板11とともに回転すると、揺動アーム10の扁平部12は、二股ヨーク9の平坦な内面13の間でヨーク軸14を中心に回転可能である。
しかも、揺動アーム10、二股ヨーク9及び往復駆動歯車5から成るもの全体で、図1に示すように、正面方向から観察すると、あたかも1つの梃子を構成するかのようになって、往復駆動歯車5の回転軸7の軸心を中心にして往復回転する。このことは、往復駆動歯車5に着目すれば、回転軸7とともに回転軸7の軸心を中心にして往復回転することを意味する。
なお、往復回転発生機構2は、往復駆動歯車5が回転軸7とともに往復回転すればよいのであって、本実施例1のように、揺動アーム10と回転円板11を備えた構成とすることは必ずしも必要はない。後記する実施例2において、別の構成の揺動アームと回転円板を用いて、往復駆動歯車5が回転軸7とともに往復回転する往復回転発生機構を説明する。また、例えば、揺動アーム10の先端側を、シリンダピストン等の直線的な往復動機構で往復動させる構成としてもよい。
(一方向回転変換機構)
一方向回転変換機構3は、往復回転発生機構2によって生じた往復駆動歯車5の往復回転を、一方向の回転に変換する機構であり、図1〜3に示すように、第1の変換部21と第2の変換部22とを備えている。第1の変換部21と第2の変換部22は、互いに同じ構成である。
第1の変換部21は、図1〜4に示すように、第1の往復回転歯車23と、第1の一方向クラッチ軸24と、第1の被回転軸25とを備えている。第1の被回転軸25には、後記する連動出力機構4の第1の一方向回転歯車26を同軸的に固定している。
第1の往復回転歯車23は、図4に示すように、円環状に形成された歯車部27とボス部28とから一体に構成されている。歯車部27は、その内周面は、第1の一方向クラッチ軸24の外周面に嵌合して支持され、後記するように、第1の一方向クラッチ軸24を一方向のみに回転可能とする。第1の往復回転歯車23は、往復駆動歯車5と噛み合っている。ボス部28は、第1の固定フレーム8に軸受29により回転可能に取り付けられている。
第1の一方向クラッチ軸24は、図4に示すように、その先端に円筒部30が形成され、この円筒部30において、第1の固定フレーム8に軸受31により回転可能に取り付けられている。そして、この円筒部30には、第1の被回転軸25の基端が同心的に嵌合され、ネジ止めされて固定されている。なお、第1の被回転軸25には、連動出力機構4の第1の一方向回転歯車26が同心的に固定されている。
第1の往復回転歯車23の内周面には、複数の窪み32が周方向に一定の間隔をおいて形成されている。複数の窪み32は、それぞれ第1の往復回転歯車23の周方向の一方向(図1の例では反時計方向)に向けて徐々に外周方向に深く形成され、断面楔形(断面でテーパ形状)をした窪みとして形成されている。
そして、この窪み32と第1の一方向クラッチ軸24の外周面で形成される空間内には、図1に示すように、球状のクラッチ玉33又は円柱形のクラッチコロ(以下、本実施例1ではクラッチ玉33で説明する)が装入されている。
第1の往復回転歯車23の内周面に形成された楔形の窪み32と、クラッチ玉33と、第1の一方向クラッチ軸24によって、第1の一方向クラッチ34を形成している。このような第1の一方向クラッチ34を設けることで、図1に示すように、第1の往復回転歯車23が反時計方向に回転すると、クラッチ玉33は楔形の窪み32の浅い部分に移動して第1の一方向クラッチ軸24を押圧しながら共に反時計方向に回転し、第1の往復回転歯車23が反時計方向の回転を第1の一方向クラッチ軸24に伝達する。
逆に、第1の往復回転歯車23が時計方向に回転すると、クラッチ玉33は楔形の深い窪み32の深い部分に移動し遊び状態となるから、第1の一方向クラッチ軸24を押圧するようなことなく、第1の往復回転歯車23は第1の一方向クラッチ軸24に対して自由に回転し、第1の往復回転歯車23は時計方向の回転を第1の一方向クラッチ軸24に伝達しない。
これによって、第1の往復回転歯車23の往復回転のうち、反時計方向の回転のみを第1の一方向クラッチ軸24に伝達する。そして、この反時計方向の回転を、さらに第1の一方向クラッチ軸24から第1の被回転軸25を介して第1の一方向回転歯車26に伝達する。結局、第1の往復回転歯車23が往復回転すると、第1の一方向回転歯車26が反時計方向へ間欠的に回転することとなる。
第2の変換部22は、図1及び図2に示すように、第1の往復回転歯車23と噛み合っている第2の往復回転歯車35と、第2の一方向クラッチ軸36と、第2の被回転軸37とを備えている。第2の変換部22における第2の往復回転歯車35、第2の一方向クラッチ軸36及び第2の被回転軸37は、それぞれ第1の変換部21における第1の往復回転歯車23、第1の一方向クラッチ軸24、第1の被回転軸25と同じ構成をしている。第2の被回転軸37には、第2の一方向回転歯車38が同心的に固定されている。
第2の往復回転歯車35には、その内周面に第1の往復回転歯車23と同様に、断面楔形の窪み32が複数形成されており、窪み32内にクラッチ玉33が装入されて、第2の一方向クラッチ軸36とともに、第2の一方向クラッチ39を構成している。要するに、第2の変換部22の構成は、前記のとおり第1の変換部21の構成と同じ構成であり、ここではその詳細な説明は省略する。
そして、第2の変換部22の動作は第1の変換部21の動作と同じである。即ち、第2の変換部22では、第2の往復回転歯車35が反時計方向に回転する時のみ、第2の一方向回転歯車39が時計方向に回転し、第2の往復回転歯車35が時計方向に回転する時は第2の一方向回転歯車39に回転を伝達しない。結局、第2の往復回転歯車35が往復回転すると、第2の一方向回転歯車39が反時計方向へ間欠的に回転することとなる。
ここで注目すべき点は、第1の往復回転歯車23と第2の往復回転歯車35は、互いに噛み合っているので、互いに往復回転の方向は反対方向であるが、それぞれ第1の一方向クラッチ34と第2の一方向クラッチ39を介することで、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38が同じ方向に間欠的に回転し、しかも、後記する作用の項でも説明するが、第1の一方向回転歯車26の間欠回転と第2の一方向回転歯車38の間欠回転は、互い同時ではなく互いに異なるタイミングで補うように生じる。
そして、次に説明する連動出力機構4によって、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38を互いに伝動手段によって連動し、第1の変換部21による間欠的な出力回転と第2の変換部22による間欠的な出力回転を、互いに回転期間を補うように合わせている。
(連動出力機構)
連動出力機構4は、第1の変換部21による出力回転と第2の変換部22による出力回転を、互いに回転期間を補うように合わせて出力する機能を有する部分である。
図1及び図3に示すように、連動出力機構4は、第1の被回転軸21に同心的に固定された第1の一方向回転歯車26(第1の一方向回転部材)と、第2の被回転軸37に同心的に固定された第2の一方向回転歯車38(第2の一方向回転部材)とを有するとともに、第1の一方向回転歯車26及び第2の一方向回転歯車38を互いに連動させる伝動手段及び出力回転軸41とを備えている。第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38は、互いに同じ構成、即ち直径及び歯数が同じ構成である。
伝動手段として、本実施例1では、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38の間に装着されたチェーン40を設けている。なお、図示はしないが、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38を直接、チェーン40で連動しないで、必要に応じて、両歯車26、38の間のチェーンの走行路にアイドリング歯車(図示せず)設け、このアイドリング歯車を介してチェーンを装着する構成としてもよい。
また、伝動手段としては、チェーン40ではなく、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車の間に中間歯車を介した歯車伝動機構を採用してもよい。
なお、第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材は、それぞれ歯車ではなく、同じ構成、即ち同じ直径のローラとし、伝動手段は、少なくとも第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材に装着されたベルト等の伝動機構であってもよい。
回転出力は、第1の一方向回転歯車26又は第2の一方向回転歯車38から取り出される。本実施例1では、第2の一方向回転歯車38の出力回転軸41から出力が取り出される。なお、この実施例1では、出力回転軸41は第2の被駆動軸37を共通で使用しているが、別の軸としてもよいし、或いは第2の一方向回転歯車38の回転を別の歯車を介して取り出す構成としてもよい。
出力回転軸41に、フライホイール42を同心的に固定すれば、その回転慣性力により滑らかな回転出力を得ることができ、第1の一方向回転歯車26及び第2の一方向回転歯車38がそれぞれ間欠回転であっても、全体として滑らかな回転が得られる。
(作用)
以上の構成から成る実施例1の動力伝動装置1の作用を説明する。図1及び図2に示すように、入力回転軸16に回転入力が加わると、回転円板11が回転する。回転円板11が回転すると、揺動アーム10の基端部の扁平部12は、二股ヨーク9の平坦な内面13間でヨーク軸14を中心にして回転(2次元的平面内で回転)するとともに、揺動アーム10の先端部の球体部15が回転円板11のソケット18内で自転(3次元空間内で自転)しながら回転円板11の回転に追従して回転円板11のソケット18の回転軌跡に沿って回転(公転)する。
すると、往復駆動歯車5は、回転軸7の軸心を中心に二股ヨーク9とともに往復回転し、第1の往復回転歯車23を往復回転させる。即ち、回転軸7の軸心を中心に、往復駆動歯車5、二股ヨーク9及び揺動アーム10とから成るものが全体として梃子(モメントアーム)として作用し、第1の往復回転歯車23を往復回転させ、さらに第2の往復回転歯車35を往復回転させる。
この際、図1に示すように、正面から見た投影面上の長さにおいて、回転軸7の軸心から揺動アーム10の先端部(球体部15)までの長さをL1、回転軸7の軸心から往復駆動歯車5の歯(正確には第1の往復回転歯車23と噛み合う部分)までの長さL2とすると、回転円板11の回転により揺動アーム10の先端部に加えられた回転力Fは、梃子の原理で、F×L1/L2となり、増大されて第1の往復回転歯車23に伝動される。
往復駆動歯車5が時計方向に回転し、第1の往復回転歯車23が反時計方向に回転すると、クラッチ玉33は、楔形の窪み32の浅い部分に相対的に移動して、第1の一方向クラッチ軸24を押圧しながら共に反時計方向に回転させる。
第1の往復回転歯車23が時計方向に回転しても、クラッチ玉33は楔形の窪み32の深い部分に移動するから、第1の一方向クラッチ軸24を押圧するようなことなく、第1の往復回転歯車23は第1の一方向クラッチ軸24に対して自由に回転(遊転)し、第1の往復回転歯車23は時計方向の回転を第1の一方向クラッチ軸24に伝達しない。
これによって、第1の往復回転歯車23の往復回転のうち、反時計方向の回転のみを第1の一方向クラッチ軸24に伝達する。そして、この反時計方向の回転を、さらに第1の被回転軸25を介して第1の一方向回転歯車26に伝達する。結局、第1の往復回転歯車23が往復回転すると、その反時計方向の回転により、第1の一方向回転歯車26が反時計方向に間欠的に回転することとなる。
第1の往復回転歯車23が時計方向に回転すると、第2の変換部22において、第2の往復回転歯車35が反時計方向に回転し、第1の往復回転歯車23の場合と同様に、第2の一方向クラッチ39、第2の一方向クラッチ軸36、第2の被回転軸37などによって、第2の一方向回転歯車38を反時計方向に回転させる。結局、第1の変換部21と同様に、第2の変換部22でも、第2の往復回転歯車35が往復回転すると、第2の一方向回転歯車38が反時計方向に間欠的に回転する。
ここで、往復駆動歯車5から、第1の変換部21と第2の変換部22、さらに連動出力機構4までの動作を整理する。往復駆動歯車5が時計方向に回転すると、第1の往復回転歯車23は反時計方向に回転して、第1の一方向クラッチ34を介して第1の一方向回転歯車26を反時計方向に回転させ、第2の往復回転歯車35は時計方向に回転するが、第2の一方向回転歯車38には回転を伝達しない。
また、往復駆動歯車5が反時計方向に回転すると、第1の往復回転歯車23は時計方向に回転するが、第1の一方向回転歯車26には回転を伝達せず、第2の往復回転歯車35は反時計方向に回転して、第2の一方向クラッチ36を介して第2の一方向回転歯車38を反時計方向に回転させる。
従って、往復駆動歯車5が時計方向に回転する期間は、第1の一方向回転歯車26が反時計方向に回転し、往復駆動歯車5が反時計方向に回転する期間は、第2の一方向回転歯車38が反時計方向に回転する。要するに、往復駆動歯車5の往復回転のいずれの方向の回転の際でも、第1の一方向回転歯車26及び第2の一方向回転歯車38のいずれかが反時計方向に回転して回転出力を生じることとなる。
そして、チェーン40によって、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38が連動するようにしているから、第1の一方向回転歯車26と第2の一方向回転歯車38の回転が互いに回転しない期間を補うように合わさり、出力回転軸41から反時計方向の回転出力として取り出される。出力回転軸41にフライホイール42を取り付ければ、その慣性力が作用して滑らかな回転出力が得られる。
図5は、本発明係る動力伝動装置の実施例2の構成、作用を模式的に説明する図である。この実施例2は、実施例1と較べて、一方向回転変換機構3及び連動機構4は同じであるが、往復回転発生機構が異なる。以下、実施例2をその往復回転発生機構2’を中心に説明する。
実施例2では、往復回転発生機構2’は、実施例1と同様に、図5に示すように、往復駆動歯車5と往復回転を発生させる揺動機構6’とを有する。往復駆動歯車5は、実施例1と同じであり、第1の固定フレーム8に軸受で回転可能に取り付けられた回転軸7に同心的に固定され、第1のフレーム8に回転可能に支持されている。往復駆動歯車5において、その一方の側の歯車面から、歯車の軸心から径方向に向けて二股ヨーク9が突設されている。
そして、回転円板45は、図5に示すように、往復駆動歯車5と同じ向き(図5中正面方向)に向いて配置され、入力回転軸16’に同心的に固定されている。そのために、入力回転軸16’を軸受を介して支持する第2の固定フレーム17’は、往復駆動歯車5の回転軸7を回転可能に支持する第1の固定フレーム8と同じ向き(図5中正面方向)に向いて配設されている。
回転円板45の周縁部近くの表面に、2本のリンク杆から成る連結リンク46の一端が枢着されている。そして、この連結リンク46の他端に揺動アーム10’の先端部が枢着されている。揺動アーム10’の基端部には、実施例1と同様に扁平部12が形成され、この扁平部12が、往復駆動歯車5に固定された二股ヨーク9の平坦な内面13間にネジ47によって固着されている。
以上の構成から成る実施例2の往復回転発生機構2’によると、入力回転軸16’が回転し回転円板45が回転すると、揺動アーム10’は、回転軸7の軸心を中心にして、往復駆動歯車5及び二股ヨーク9とともに、一つの垂直面内で揺動する。この揺動により、往復駆動歯車5は、回転軸7の軸心を中心に往復回転が生じる。この往復駆動歯車5の往復回転によって、実施例1と同様に、一方向回転変換機構3を動作させ、連動出力機構4によって、一方向の回転出力が得られる。
以上、本発明に係る動力伝動装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
例えば、連動出力機構では、第1の一方向回転歯車、第2の一方向回転歯車、チェーン等を利用しているが、歯車及びチェーンの代わりにローラ及びベルトを用いてもよい。また、一方向クラッチは、特に実施例記載の一方向クラッチではなく、周知のいろいろな構成の一方向クラッチのいずれかを用いてもよい。
本発明に係る動力伝動装置は上記のような構成であるから、風力発電の風車の回転力を利用して発電機を回転するような動力伝動装置等のエネルギー技術分野、その他の産業技術の分野に適用可能である。特に、梃子の原理を利用して回転トルクを増加することができるので、大きなトルクの必要な装置等に適している。
1 動力伝動装置
2 往復回転発生機構
3 一方向回転変換機構
4 連動出力機構
5 往復駆動歯車
6 揺動機構
7 往復駆動歯車の回転軸
8 第1の固定フレーム
9 二股ヨーク
10 揺動アーム
11 回転円板
12 揺動アーム扁平部
13 二股ヨークの平坦な内面
14 ヨーク軸
15 揺動アームの球体部
16 入力回転軸
17 第2の固定フレーム
18 ソケット
19 基台
21 第1の変換部
22 第2の変換部
23 第1の往復回転歯車
24 第1の一方向クラッチ軸
25 第1の被回転軸
26 第1の一方向回転歯車
27 第1及び第2の往復回転歯車の歯車部
28 第1及び第2の往復回転歯車のボス部
29 第1の往復回転歯車の軸受
30 第1及び第2の一方向クラッチ軸の円筒部
31 第1の一方向クラッチ軸の軸受
32 窪み
33 クラッチ玉
34 第1の一方向クラッチ
35 第2の往復回転歯車
36 第2の一方向クラッチ軸
37 第2の被回転軸
38 第2の一方向回転歯車
39 第2の一方向クラッチ
40 チェーン
41 出力回転軸
42 フライホイール
2’ 往復回転発生機構
6’ 揺動機構
10’ 揺動アーム
16’ 入力回転軸
17’ 第2の固定フレーム
45 回転円板
46 連結リンク
47 ネジ

Claims (6)

  1. 往復回転発生機構と、一方向回転変換機構と、連動出力機構とを備え、入力回転軸の入力回転を出力回転軸に伝動する動力伝動装置であって、
    前記往復回転発生機構は、前記入力回転軸と、該入力回転軸により回転する回転円板と、往復駆動歯車と、該往復駆動歯車の歯車面から径方向外側に突設されたヨークと、基端が該ヨークに枢着され先端が回転円板に連動する揺動アームとを備え、該回転円板が回転すると、揺動アームは往復駆動歯車の回転中心を中心として往復揺動することで、往復駆動歯車が往復回転する構成とし、
    前記一方向回転変換機構は、第1の変換部及び第2の変換部を備え、第1の変換部及び第2の変換部は、それぞれ往復回転歯車と、一方向クラッチと、被回転軸とを備え、往復回転歯車は、前記往復駆動歯車によって往復回転され、この往復回転を一方向クラッチによって一方向の回転に変換して前記被回転軸に伝達し、
    前記連動出力機構は、第1の変換部の被回転軸に同心的に固定された第1の一方向回転部材と、第2の変換部の被回転軸に同心的に固定された第2の一方向回転部材とを有するとともに、第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材を互いに連動させる伝動手段及び前記出力回転軸とを備えており、
    前記出力回転軸は、第1の一方向回転部材又は第2の一方向回転部材に同心的に固定されていることを特徴とする動力伝動装置。
  2. 回転円板は、往復回転歯車と直交する方向に配置されており、その周縁部に、内面に球状の受け面を有するソケットが形成されており、
    揺動アームの先端に球体部が形成され、該球体部がソケットの受け面内に回転可能に嵌合していることを特徴とする請求項1記載の動力伝動装置。
  3. 回転円板は、往復回転歯車と同じ方向に向けて配置されており、その周縁部に、連結リンクが枢着され、該連結リンクに揺動アームの先端が枢着されていることを特徴とする請求項1記載の動力伝動装置。
  4. 第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材は、それぞれ同じ構成の歯車であり、伝動手段は、少なくとも第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材に装着されたチェーンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動力伝動装置。
  5. 第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材は、それぞれ同じ構成のローラであり、伝動手段は、少なくとも第1の一方向回転部材及び第2の一方向回転部材に装着されたベルトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動力伝動装置。
  6. 出力回転軸に、フライホイールが取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の動力伝動装置。
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