JP4653520B2 - 繊維補強樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
合成木材は、長繊維のガラス繊維で補強するものであって、この繊維の配向方向を長手方向とした硬質合成樹脂発泡体を素材としたもので、軽量で耐腐食性が高く長期の使用に耐えるものである。
例えば、特許文献1に記載されている再生成形材の製造方法では、使用後の合成木材を所定の大きさに破砕し、破砕物を所定の方向に配向させ、破砕物の表面に結合材を付着させ、これを板状にプレス成形することにより、再生成形材が成形される。
そして、特許文献1の製造方法では、廃材を廃棄処分せずにリサイクルすることができる。
しかしながら、繊維の配向度を高くする方法では、狭いスリットに破砕物を通過させて、配向させることが必要となって時間がかかるため、生産性が低下してしまう。また、成形物を高密度とする方法では、プレス工程での圧力を高くすることが必要となり、高い圧力を発生させることが可能な設備の能力の高いものが必要となる。
また、長繊維樹脂部は、一旦成形された繊維補強樹脂が用いられており、必要に応じて切断するなどして形成されたリサイクル材を長繊維樹脂部に使用することができる。
図1は、本発明の実施形態における製造方法により製造された繊維補強樹脂成形品を示す斜視図である。図2は、図1に示す繊維補強樹脂成形品のA−A断面図である。図3、図4は、本発明の実施形態における製造方法における製造途中の状態を示した斜視図である。図5は、本発明の実施形態における製造方法により製造された繊維補強樹脂成形品を示す斜視図である。図6は、曲げ強度を確認するための試験方法を示す模式図である。
また、繊維補強樹脂成形品10には、長繊維樹脂部11と短繊維樹脂部12とを有して
いる。
長繊維樹脂部11は、一旦成形された繊維補強樹脂を所定の形状に切断したものであり、具体的には、製品として使用された繊維補強ポリウレタン発泡樹脂を切断したものが使用される。
したがって、長繊維樹脂部11の長繊維の配向方向は、繊維補強樹脂成形品10の長尺方向Lである。
短繊維樹脂部12の形成は、後述するように、不定形樹脂20を固化させて形成されるものである。この不定形樹脂20の不定形性は、成形型30に充填する際に定形性を有さず、成形型30に充填する場合に全体に行き渡られることができるものであり、このような特性を有していれば、液体のみからなる物質だけでなく、粉状体などの固体を含むものであっても良い。また、不定形樹脂20は、成形型30に充填後に所定の処理や時間経過などによって固化させることができるものである。
破砕物を破砕する前の繊維補強樹脂は、長繊維樹脂部11に用いられるものと同じ繊維補強ポリウレタン発泡樹脂が用いられる。この破砕物は、細かく粉砕されており、棒状又は針状であり、破砕物に含まれる短繊維は、破砕物の長さ方向に配向している。
まず、図3に示されるように、内部空間30aを有する成形型30を準備し、内部空間30aに長繊維樹脂部11を配置する。成形型30には、本体部33と蓋部35が設けられ、本体部33には内部空間30aがあり、内部空間30aの形状は、長尺方向Lと、長尺方向Lより短い幅方向W及び厚み方向Tを有する直方体状である。そして、本体部33は、厚み方向Tが上下方向となり、底面30bは長尺方向L及び幅方向Wに辺を持つ長方形であり、上方が開放されて、蓋部35によって蓋をすることができる。
この充填の際に、長尺状の破砕物を配向させるようにしながら充填する。そして、破砕物の短繊維が所定の方向となるようにして、繊維補強樹脂成形品10の短繊維樹脂部12の短繊維を所定の方向に配向させることができる。
また、本実施形態で用いられる長繊維樹脂部11は、繊維補強ポリウレタン発泡樹脂が用いられているので発泡による空隙があるが、この圧縮の際に、この空隙を減少させ、体積当たりの繊維の量を多くすることができる。
また、圧縮の際に加熱しているので、固化反応を早くすることができる。
そして、長繊維樹脂部11の長繊維の配向方向、及び、短繊維樹脂部12の短繊維の配向方向は、繊維補強樹脂成形品10の長尺方向Lに向いている。そのため、長尺方向Lを湾曲させるように曲げるように使用された場合や、長尺方向Lを引張るように使用された場合に強度が高い。
端部15付近に配置しており、厚み方向Tに偏在している。そのため、長繊維樹脂部11が外側となるように湾曲させた場合、すなわち、一方の端部15付近が外側となるように湾曲させた場合には、長繊維樹脂部11が設けられた側に引張力が発生するが、長繊維樹脂部11の長繊維により補強効果が高いため高強度となり、大きな力で曲げられた場合にも破損しにくい。
また、長繊維樹脂部11を、厚み方向Tの端部15、16付近以外の位置に配置することもできる。幅方向Wの両端や、中央付近に配置しても良い。
長繊維樹脂部11を、厚み方向Tの端部15、16や幅方向Wの端部付近に配置する場合、繊維補強樹脂成形品10の厚み方向Tや幅方向Wの長さを基準として、端部15、16から、当該長さの1/4の範囲に配置することが望ましい。
なお、長繊維樹脂部11にバインダーを塗布するなどにより付着させてもよく、かかる場合には、長繊維樹脂部11と短繊維樹脂部12との間の結着が確実となる。
このように、本発明の製造方法では、繊維補強樹脂成形品10が使用される用途に応じて、長繊維樹脂部11の配置を変えることができるので、より高強度とすることができる。
この場合、使用される場合に引っ張り力を受ける部分や引っ張り力が大きく発生する部分に長繊維樹脂部11を設け、引っ張り力を受けない部分や引っ張り力が小さい部分に、長繊維樹脂部11が設けられない部分を配置するのが望ましい。
実施例1の繊維補強樹脂成形品10の原料となる、長繊維樹脂部11及び不定形樹脂20を以下のようにして作製した。
比重が0.50のガラス長繊維強化ポリウレタン樹脂発泡体(エスロンネオランバーFFU)を用い、2000mm×15mm×15mmに切断して、長繊維樹脂部11を作製した。なお、この長繊維樹脂部11は、2000mmの方向を長尺方向Lとして用いるものであり、長繊維樹脂部11に含まれる長繊維は、この長尺方向Lの方向に配向している。
使用するバインダーは、MDI(Methylene Diphenyl Isocyanate)である住化バイエルウレタン株式会社製「スミジュール44V10」である。
不定形樹脂20を充填する場合には、破砕物の長さ方向が長尺方向Lに向くように配向させながら行う。この破砕物を配向させる場合には、ディスクを所定の間隔で配置したディスクオリエンターを用いることができる
の破砕物の全体の重量に占める割合は80%、バインダーの全体の重量に占める割合は15%である。
このときの圧縮の圧力は7.85MPa(80kgf/cm2)であり、160℃で加
熱しながら30分圧縮し、圧縮後の厚み方向Tが70mmとなるようにした。
実施例2では、実施例1の場合と比較して、長繊維樹脂部11の配置のみが異なるものであり、具体的には、厚み方向Tの一方側のみに配置している。なお、長繊維樹脂部11の合計重量は同じであるので、実施例1と比べて、片側のみに倍の量の長繊維樹脂部11が配置されている。
実施例3では、実施例1の場合と比較して、破砕物の配向方向のみが異なるものである。具体的には、不定形樹脂20を充填する際に、破砕物を配向させず、ランダムな方向となる状態で成形したものである。
実施例4では、実施例1の場合と比較して、長繊維樹脂部11の使用量のみが異なるものであり、実施例1に比べて少なくしたものである。具体的には、長繊維樹脂部11の全体の重量に占める割合は3%、不定形樹脂20中の破砕物の全体の重量に占める割合は82%、バインダーの全体の重量に占める割合は15%である。
実施例5では、実施例1の場合と比較して、長繊維樹脂部11の使用量のみが異なるものであり、実施例1に比べて多くしたものである。具体的には、長繊維樹脂部11の全体の重量に占める割合は10%、不定形樹脂20中の破砕物の全体の重量に占める割合は75%、バインダーの全体の重量に占める割合は15%である。
実施例6では、実施例1の場合と比較して、長繊維樹脂部11を充填する際に、長繊維樹脂部11の表面にバインダー(MDI)を付着させる工程を追加したものである。なお、長繊維樹脂部11の表面に付着させるバインダーの量だけ、不定形樹脂20のバインダーの量を少なくするものであり、全体の割合は、実施例1と同様である。
比較例1では、長繊維樹脂部11を全く設けないものであり、他の条件は、実施例1と同様である。なお、比較例1では、不定形樹脂20中の破砕物の全体の重量に占める割合は85%、バインダーの全体の重量に占める割合は15%である。
パンは560mm、押しつけ部分の移動速度は、5mm/分で行った。そして、2点の支点25間は、全域に長繊維樹脂部11が配置するようにし、また、厚み方向Tを上下方向となるようにして湾曲させた。
なお、実施例2については、長繊維樹脂部11は一方側のみに設けられているが、この長繊維樹脂部11が設けられた側を下側となるように配置して、湾曲の際に外側となるような状態で試験を行った。
そして、実施例1〜6及び比較例1の曲げ強度の試験結果を、内容と共に表1に示す。
また、一旦成形した繊維強化樹脂を用いて成形することができるので、リサイクルすることができる。
11 長繊維樹脂部
12 短繊維樹脂部
15、16 端部
20 不定形樹脂
30 成形型
L 長尺方向
T 厚み方向
W 幅方向
Claims (6)
- 一旦成形されて製品として使用された繊維補強樹脂を切断したものからなり長尺状であって長尺方向に配向している長繊維を有する長繊維樹脂部を用い、前記長繊維樹脂部と不定形樹脂とを成形型内に配置し、不定形樹脂を固化させて成形することを特徴とする繊維補強樹脂成形品の製造方法。
- 成形される繊維補強樹脂成形品の形状は長尺状であり、繊維補強樹脂成形品の長尺方向を長繊維樹脂部の長尺方向に合わせるように配置して成形されるものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維補強樹脂成形品の製造方法。
- 成形される繊維補強樹脂成形品の形状は、長尺方向と、長尺方向より短い幅方向と、幅方向と同じ又は幅方向よりも短い厚み方向とを有する直方体状であり、長繊維樹脂部の配置は、厚み方向の端部付近に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の繊維補強樹脂成形品の製造方法。
- 不定形樹脂は、一旦成形された繊維補強樹脂を破砕した破砕物とバインダーとからなるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維補強樹脂成形品の製造方法。
- 破砕物は細長く、破砕物に含まれる短繊維は、破砕物の長さ方向に配向しており、破砕物を所定の成形型内に配置する際に、破砕物の長さ方向を長繊維樹脂部の長尺方向に配向させるように充填するものであることを特徴とする請求項4に記載の繊維補強樹脂成形品の製造方法。
- 不定形樹脂の材質と、長繊維樹脂部に用いられる樹脂の材質は同じであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維補強樹脂成形品の製造方法。
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