JP4652763B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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しかしながら、エポキシ樹脂は、強度特性に優れる一方で、捩り剛性が高いため、エネルギー消費量が大きいという問題があった。特に、ベアリングレスロータにおいては、この問題が大型化の障害となっていた。
例えば、特許文献3には、(a)エポキシ樹脂100重量部当り、遊離NCO基30重量%以下を有するポリエーテルポリオールと有機ジイソシアナートとの付加物5〜40重量部と、(b)上記エポキシ樹脂とは反応せずに、上記の遊離NCO基と反応するのに充分な量でOHとSHとからなる組の少くとも1種の活性基を含んでいる化合物とからなる変性剤を特徴とするエポキシ樹脂、変性剤および硬化剤からなる硬化性エポキシ樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献4には、(A)塩化ビニル系重合体、(B)可塑剤、(C)ウレタン変性エポキシ樹脂またはウレタン変性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂、(D)潜在性硬化剤を含むことを特徴とする接着剤組成物が記載されている。
また、特許文献5には、(1)活性のポリイソシアネートおよびイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、(2)エポキシ樹脂及び(3)水分解型潜在性硬化剤を必須成分として含有することを特徴とする1液型硬化性組成物が記載されている。
また、特許文献6には、(a)エポキシ樹脂、(b)ブロックドウレタン樹脂、(c)潜在性硬化剤、(d)フィラー、を必須成分とする高強度シーリング材組成物が記載されている。
また、特許文献5に記載されている組成物は、水分解型潜在性硬化剤として用いられるケチミンから発生するケトンが硬化物中に残留するため、硬化物の強度特性に劣るという問題があった。
また、特許文献6に記載されている組成物は、ブロックドウレタン樹脂から発生するブロック剤が硬化物中に残留するため、硬化物の強度特性に劣るという問題があった。
前記エポキシ基含有化合物の含有量が、前記ウレタンプレポリマーおよび前記エポキシ基含有化合物の合計の20質量%以上であり、
前記芳香族アミン化合物の含有量が、[(前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基のモル数と前記エポキシ基含有化合物のエポキシ基のモル数との合計)/前記芳香族アミン化合物のアミノ基のモル数]=0.5〜4となる量であり、
前記ウレタンプレポリマーが、ポリオール化合物と、テトラメチルキシリレンジイソシアネートとを反応させて得られ、
前記ポリオールと前記テトラメチルキシリレンジイソシアネートとの混合の割合が、前記ポリオールのヒドロキシ基1当量あたり、前記テトラメチルキシリレンジイソシアネートのイソシアネート基が1.2〜10当量である、硬化性樹脂組成物。
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」という。)は、ウレタンプレポリマーと、エポキシ基含有化合物と、芳香族アミン化合物とを含有する硬化性樹脂組成物であって、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が、芳香環に含まれない第二級または第三級炭素原子に結合している、硬化性樹脂組成物である。
本発明に用いられるウレタンプレポリマーは、上述したように、イソシアネート基が芳香環に含まれない第二級または第三級炭素原子に結合している。このようなウレタンプレポリマーを用いることにより、反応性を抑制することができ、硬化剤として後述する芳香族アミン化合物を用いると、十分な可使時間を確保することができる。したがって、プリプレグの製造が容易になる。また、プリプレグを積層して積層板を製造する際に、タックおよびドレープ性が十分となる。
イソシアネート基が芳香環に含まれない第二級または第三級炭素原子に結合しているポリイソシアネート化合物は、複数のイソシアネート基のうち少なくとも一つが芳香環に含まれない第二級または第三級炭素原子に結合していればよい。例えば、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が挙げられる。TMXDIとしては、例えば、m−TMXDI、p−TMXDIが挙げられる。
これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体的には、ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールから選ばれる少なくとも1種に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加して得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイドが好適に例示される。
また、本発明の目的を損わない範囲で、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しないウレタンプレポリマーを少量併用することもできる。
分子内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、エポキシ樹脂が好適に挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノール化合物とジシクロペンタジエンの共重合体を原料とするエポキシ樹脂、ジグリシジルレゾルシノール、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(例えば、トリスグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾール、テトラグリシジルキシレンジアミン)、脂環式エポキシ樹脂(例えば、ビニルシクロヘキセンジエポキシド等)が挙げられる。これらは、1種単独で用いることもでき、2種以上を併用することもできる。
中でも、接着性に優れる点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
また、本発明の目的を損わない範囲で、芳香族アミン化合物以外のアミン化合物を少量併用することもできる。
複合体成形体に用いられる他の材料の材質、形状等は、特に限定されず、例えば、金属、樹脂成形品、強化繊維、繊維強化プラスチック(FRP)が挙げられる。
複合体成形体が、本発明の組成物を用いたプリプレグであると、柔軟性、強度特性(例えば、層間せん断強度、層間せん断伸び)が優れたものとなるので、極めて好ましい。
プリプレグに用いられる強化繊維は、特に限定されず、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が挙げられる。
ホットメルト法としては、例えば、本発明の組成物を離型紙などの上にコーティングして樹脂のフィルムを作成し、ついで、強化繊維の両側または片側からそのフィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂を含浸させてプリプレグを製造する方法、強化繊維束を引き出しながら、加熱された本発明の組成物中に浸せきさせて含浸させる方法が挙げられる。
また、フレックスビームには、ブレードの遠心力による引張荷重に耐えるだけの十分な断面積の確保が必要であるため、機体が大型化すると必要とされる断面積が増加し、それに伴って、捩り剛性が大幅に増加する傾向にある。捩り剛性の増加に対処するためには、ブレードのピッチ角を変化させる大出力のサーボ・アクチュエータ能力が必要となり、エネルギー消費量の増大および重量の増加といった問題がある。
具体的には、本発明の組成物を用い、硬化後の面内せん断弾性率が2GPa以下である一方向プリプレグにより構成されているベアリングレスロータフレックスビームが好ましい。このベアリングレスロータフレックスビームは、従来のベアリングレスロータフレックスビームに比べて、エネルギー消費量が好ましくは40%以上削減されている。これにより、従来実現することができなかった中大型ベアリングレスロータを実現することができる。
具体的には、本発明の組成物を用い、硬化後の面内せん断弾性率が2GPa以下である一方向プリプレグにより構成されているテンション・トーション・ストラップ(またはタイバー)が好ましい。このテンション・トーション・ストラップ(またはタイバー)は、従来のテンション・トーション・ストラップ(またはタイバー)に比べて、エネルギー消費量が好ましくは40%以上削減されている。
(実施例1〜3ならびに比較例1〜3)
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合させて硬化性樹脂組成物を得た。
(1)可使時間
硬化性樹脂組成物を調製した後、50℃の雰囲気中で放置した。50℃に放置した後、硬化性樹脂組成物が十分に流動性を保持し、後述するプリプレグの作製が可能であった時間により、可使時間を評価した。
結果を第1表に示す。
硬化性樹脂組成物を調製した後、−30℃で冷凍した。その後、冷凍された硬化性樹脂組成物を室内に放置して室温に戻した。その後、硬化性樹脂組成物を用いて後述するようにプリプレグを作製し、プリプレグの表面に、積層板を作製するのに十分なタックがあるか否かを観察した。
結果を第1表に示す。表中、十分なタックがあったものを○、十分なタックがなかったものを×で表した。
上記で得られた硬化性組成物を用いて、以下のようにしてプリプレグを製造した。
硬化性樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて、離型紙上に塗布して、樹脂フィルムを作製した。ついで、シート状に一方向に配列させた炭素繊維(トレカ T800HB、東レ社製、引張弾性率294GPa)を、上記で得られた樹脂フィルム2枚で上下から挟み、50℃程度に加熱した状態で、加圧により樹脂を含浸させ、一方向プリプレグを得た。得られた一方向プリプレグは、炭素繊維の目付が263±5g/cm2であり、マトリックス樹脂の割合が33質量%であった。
上記で得られた一方向プリプレグを、炭素繊維の方向が同一になるように、10枚積層した。その後、オートクレーブを用いて、昇温速度2℃/分の条件で第1表に示す温度まで加熱した後、第1表に示す温度において、0.59MPaの条件で2時間保持して、積層板を成形した。
プリプレグを10枚積層して得られた積層板から、繊維方向の長さ3mm、繊維方向に垂直な方向の長さ3mm、厚さ2mmの部分を切り出し、熱機械分析装置(TMA:Thermomechanical Analyzer)により、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
結果を第1表に示す。
上記で得られた一方向プリプレグを、炭素繊維の方向が同一になるように、25枚積層した。その後、オートクレーブを用いて、昇温速度2℃/分の条件で第1表に示す温度まで加熱した後、第1表に示す温度において、0.59MPaの条件で2時間保持して、積層板を成形した。
プリプレグを25枚積層して得られた積層板から、繊維方向の長さ20mm、繊維方向に垂直な方向の長さ10mm、厚さ5mmの部分を切り出し、上下の異なる位置に深さ2.5mm(厚さの1/2)の切り欠きを入れ、試験片とした。この試験片について、繊維方向に引っ張る引張試験を行い、層間せん断強度および層間せん断伸び(破断時の伸び)を求めた。
結果を第1表に示す。
上記で得られた一方向プリプレグを、炭素繊維の方向が交互に垂直になるように、8枚積層した。その後、オートクレーブを用いて、昇温速度2℃/分の条件で第1表に示す温度まで加熱した後、第1表に示す温度において、0.59MPaの条件で2時間保持して、積層板を成形した。
プリプレグを8枚積層して得られた積層板から、繊維方向の長さ25mm、繊維方向に垂直な方向の長さ250mm、厚さ1.6mmの試験片を切り出した。この試験片を用いて、各繊維方向と45°の方向になるように引っ張る引張試験を行い、面内せん断弾性率を求めた。具体的には、SACMA(Suppliers of Advanced Composite Materials Association) SRM 7に準拠した。
上記プリプレグを10枚積層して得られた積層板から、繊維方向の長さ3mm、繊維方向に垂直な方向の長さ3mm、厚さ2mmの部分を切り出し、80℃の温水中に3日間浸せきさせた後、TMAによりガラス転移温度(Tg)を測定し、吸水率を算出して、耐水性を評価した。
・エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、YD−128、東都化成社製
・ウレタンプレポリマー1:数平均分子量2,000のポリカーボネートジオール(PCD220、ダイセル化学工業社製)と、m−TMXDI(Cytec社製)とをNCO/OH(モル比)が2.0となる割合で反応させて得られたウレタンプレポリマー(NCO基含有量:3.3質量%)
・ウレタンプレポリマー2:ポリカーボネートジオールの代わりに、数平均分子量3,000のPPG(エクセノール3020、旭硝子社製)を用いた以外は、ウレタンプレポリマー1と同様の方法により得られたウレタンプレポリマー(NCO基含有量:2.4質量%)
・ウレタンプレポリマー3:数平均分子量1,000の両末端カルビノール変性シリコーン(X−22−160AS、信越化学工業社製)と、TDI(コスモネートT−80、三井化学社製)とをNCO/OH(モル比)が2.0となる割合で反応させて得られたウレタンプレポリマー(NCO基含有量:5.5質量%)
・芳香族アミン化合物:エピキュアW、ジャパンエポキシレジン社製
・ジシアンジアミド(DICY):DICY−15、ジャパンエポキシレジン社製
・脂肪族アミン化合物:1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−BAC、三菱ガス化学社製
また、本発明の組成物(実施例1)を用いた積層板は、ウレタンプレポリマーを用いない場合(比較例1)に比べて、層間せん断強度、層間せん断伸びおよび柔軟性に優れていた。
更に、ポリカーボネートを骨格に有するポリオールをウレタンプレポリマーの原料として用いた場合(実施例1および2)、積層板が、吸水率が低く、耐水性に優れることが分かった。
12 フレックスビーム
20 テールロータ
22 テールロータブレード
24 テンション・トーション・ストラップ
Claims (7)
- ウレタンプレポリマーと、エポキシ基含有化合物と、芳香族アミン化合物とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記エポキシ基含有化合物の含有量が、前記ウレタンプレポリマーおよび前記エポキシ基含有化合物の合計の20質量%以上であり、
前記芳香族アミン化合物の含有量が、[(前記ウレタンプレポリマーのイソシアネート基のモル数と前記エポキシ基含有化合物のエポキシ基のモル数との合計)/前記芳香族アミン化合物のアミノ基のモル数]=0.5〜4となる量であり、
前記ウレタンプレポリマーが、ポリオール化合物と、テトラメチルキシリレンジイソシアネートとを反応させて得られ、
前記ポリオール化合物と前記テトラメチルキシリレンジイソシアネートとの混合の割合が、前記ポリオール化合物のヒドロキシ基1当量あたり、前記テトラメチルキシリレンジイソシアネートのイソシアネート基が1.2〜10当量である、硬化性樹脂組成物。 - 前記ポリオール化合物が、ポリカーボネートおよび/またはシリコーンを骨格に有するポリオールである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 強化繊維に、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物を含浸させ、シート状にされた一方向プリプレグ。
- 請求項3に記載の一方向プリプレグを用いたベアリングレスロータフレックスビーム。
- 前記一方向プリプレグの硬化後の面内せん断弾性率が2GPa以下である、請求項4に記載のベアリングレスロータフレックスビーム。
- 請求項3に記載の一方向プリプレグを用いたテンション・トーション・ストラップ。
- 前記一方向プリプレグの硬化後の面内せん断弾性率が2GPa以下である、請求項6に記載のテンション・トーション・ストラップ。
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