JP4650150B2 - マグネットロールの磁力データ補正方法 - Google Patents
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Description
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、互いに異なる磁力測定装置間において、いずれかの磁力測定装置による測定データから、他の磁力測定装置による測定データを好適に推定することができるマグネットロールの磁力データ補正方法を提供することにある。
上記構成によれば、ΔTの範囲を−(0.3×TA)≦ΔT≦+(0.3×TA)とすることにより、補正値を好適なものとすることができる。
まずマグネットロールの概略構成を説明する。
マグネットロールは、電子写真装置内において、感光体の表面にトナーを付着させるべく設けられたものである。このマグネットロールは、円柱状、円筒状等のような、その表面が断面円形状をなす形状となるように形成されている。また、マグネットロールによってトナーを付着させるとき、感光体は、その表面が所定の電荷に帯電されるとともに、その表面に静電潜像が形成されており、該トナーは、該静電潜像に対応して感光体の表面に付着される。そして、マグネットロールは、感光体に付着させるトナーを好適に保持するべく、磁力を帯びている。
マグネットロールは、磁力測定装置を使用することにより、径方向における磁束密度と、軸方向における磁束密度とが測定される。そして、径方向における磁束密度の測定データと、軸方向における磁束密度の測定データとを通じて品質管理される。磁力測定装置は、該マグネットロールを支持するための治具と、該マグネットロールの表面磁力を測定するための磁力測定用プローブとを備えている。該治具は、マグネットロールを、該マグネットロールの周方向へ回転自在に支持するものである。該磁力測定用プローブは、該マグネットロールの磁束密度を測定するためのものである。この磁力測定用プローブは、マグネットロールが該治具に支持された状態で該マグネットロールの周面近傍に配設されるとともに、該マグネットロールの軸方向へ移動することができるように構成されている。
さて、測定対象が同一のマグネットロールであっても、使用する磁力測定装置が異なる場合、磁力測定装置間の機差により、測定データの差が生じる。このため、異なる複数の磁力測定装置を使用した場合には、何れか1つの磁力測定装置で得られた測定データを基準とし、他の磁力測定装置で得られた測定データを補正する。そこで、マグネットロールの表面磁力を2つの異なる磁力測定装置A,Bによって測定し、該マグネットロールの測定データを得た場合を例に挙げて、測定データの補正方法について説明する。但し、以下の説明においては、磁力測定装置A,Bのうち、磁力測定装置Aで得られた測定データを基準とし、磁力測定装置Bで得られた測定データを補正するものとする。また、該補正方法に係る演算は、電子計算機に格納された補正プログラムを使用して行うものとする。
磁束密度値補正処理においては、まず測定角度θが同一な測定点における該磁力測定装置Aによる磁束密度値TrAと磁力測定装置Bによる磁束密度値TrBとの差、TrA−TrB=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)が、該測定点における補正値として算出される。この補正値は各磁力測定装置A,Bによる全ての磁束密度値において算出され、補正値(ΔTr1,ΔTr2,ΔTr3,…ΔTrn)が求められる。次いで、磁力測定装置Bによる該測定点における磁束密度値TrBに該測定点における補正値ΔTrを加えた値TrB+ΔTrが算出される。
このTrB+ΔTrを磁力測定装置Aによる該測定点における磁束密度値TrA’としたうえで、磁力測定装置Bによる測定データの磁束密度値がTrA’に置き換えられ、このTrA’が補正後の磁束密度値として出力される。そして、該磁束密度値補正処理は、全ての測定点において、磁力測定装置Bによる磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrBn)を磁力測定装置Aによる磁束密度値(TrA’1,TrA’2,TrA’3,…TrA’n)に置き換えて終了する。
角度補正処理は、入力された任意の命令、つまりは測定者等の所望に応じて実行される。また、前記磁束密度値補正処理は、該角度補正処理によって補正された測定データに対して実行される。角度補正処理においては、まず各磁力測定装置A,Bによる測定データのなかから磁束密度値Tが0mT付近の所定の測定点が選出され、該測定点が基準測定点Pr0とされる。続いて、該磁力測定装置Aの基準測定点Pr0における基準測定角度θA0と、該磁力測定装置Bの基準測定点Pr0における基準測定角度θB0とが求められ、両者の基準測定角度の差θA0−θB0=Δθ(Δθは正または負の数値)が求められる。その後、該磁力測定装置Bの全ての測定点における測定角度θBにΔθが補正値として加えられることにより、磁力測定装置Bの全ての測定点において、測定角度θBが測定角度θB’(θB’=θB+Δθ)にずらされる。そして、測定角度θBが測定角度θB’にずらされた測定データに対し、前記磁束密度値補正処理が実行される。
通常、磁力測定装置A,Bにおいては、測定角度間隔である微小角度dθA,dθBが相互に異なっている(dθA≠dθB)。その結果、各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点において、測定角度θA,θBが相互に一致する(θA=θB)測定点と、測定角度θA,θBが相互に一致しない測定点とが存在する。θA=θBである測定点については、測定角度θAにおける磁力測定装置Aによる磁束密度値TrAに対応して、該測定角度θAと同一の測定角度θBにおける磁力測定装置Bによる磁束密度値TrBが存在する。従って、θA=θBの場合には、磁力測定装置Bによる磁束密度値をそのまま利用して上記磁束密度値補正処理S15等を行う。
さて、磁束密度値補正処理においては、上記径方向における磁束密度の測定データの補正と略同様の処理が行われる。すなわち、各磁力測定装置A,Bによる全ての磁束密度値において、測定開始位置からの測定長さLが同一な測定点における磁力測定装置Aによる磁束密度値TsAと、磁力測定装置Bによる磁束密度値TsBとの差TsA−TsB=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)が、該測定点における補正値として算出される。また、この補正値は各磁力測定装置A,Bによる全ての磁束密度値において算出され、補正値(ΔTs1,ΔTs2,ΔTs3,…ΔTsn)が求められる。次いで、磁力測定装置Bによる該測定点における磁束密度値TsBに該測定点における補正値ΔTsを加えた値TsB+ΔTsが算出される。このTsB+ΔTsを磁力測定装置Aによる該測定点における磁束密度値TsA’としたうえで、磁力測定装置Bによる測定データの磁束密度値がTsA’に補正され、このTsA’が補正後の磁束密度値として出力される。そして、該磁束密度値補正処理は、全ての測定点において、磁力測定装置Bによる磁束密度値(TsB1,TrsB2,TsB3,…TsBn)を磁力測定装置Aによる磁束密度値(TsA’1,TsA’2,TsA’3,…TsA’n)に置き換えて終了する。
通常、磁力測定装置A,Bにおいて測定長さ間隔である微小間隔dLA,dLBが相互に異なっている(dLA≠dLB)。その結果、各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点において、測定開始位置からの測定長さLA,LBが相互に一致する(LA=LB)測定点と、測定長さLA,LBが相互に一致しない測定点とが存在する。LA=LBである測定点については、測定長さLAにおける磁力測定装置Aによる磁束密度値TsAに対応して、該測定長さLAと同一の測定長さLBにおける磁力測定装置Bによる磁束密度値TsBが存在する。従って、LA=LBとなる測定点においては、磁力測定装置Bによる磁束密度値をそのまま利用して上記磁束密度値補正処理S23を行う。
また、マグネットロールは、図1に示したような5極のものに限らず、例えば図5に示す4極のような、磁界が5極未満のもの、あるいは図6に示す10極のような、磁界が5極を超えるものも存在する。ただし、磁界が5極未満のものであろうと、また磁界が5極を超えるものであろうとも、上記と同様にして表面磁力のデータ及び磁力データの補正を行うことができる。
Claims (7)
- マグネットロールの径方向の磁束密度を2つの磁力測定装置A,Bで測定する場合に、2つの磁力測定装置A,B相互における磁束密度の測定データの差を補正する方法であって、
各磁力測定装置A,Bを使用して該磁束密度を所定の微小角度dθ毎に測定し、n個(n=360°/dθ)の測定点(Pr1,Pr2,Pr3,…Prn)について、各測定点における測定角度(θ1,θ2,θ3,…θn)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Tr1,Tr2,Tr3,…Trn)とからなる測定データを得るものとして、
磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、
測定角度θを同一とする所定の測定点Prにおいて、磁力測定装置Aによる磁束密度値TrAと、磁力測定装置Bによる磁束密度値TrBとの差TrA−TrB=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)を該測定点Prにおける補正値とするものとして、
各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点について該補正値(ΔTr1,ΔTr2,ΔTr3,…ΔTrn)を求めておき、磁力測定装置Bによる全ての測定点における磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrBn)にそれぞれ補正値(ΔTr1,ΔTr2,ΔTr3,…ΔTrn)を加えることにより、磁力測定装置Aによる全ての測定点における磁束密度値(TrA’1,TrA’2,TrA’3,…TrA’n)に補正する
ことを特徴とするマグネットロールの磁力測定データの補正方法。 - 上記各磁力測定装置A,Bによる測定データのなかでも磁束密度値Trが0mT付近となる測定点を基準測定点Pr0として、該磁力測定装置Aの基準測定点Pr0における基準測定角度をθA0とし、該磁力測定装置Bの基準測定点Pr0における基準測定角度をθB0として、
磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、
基準測定角度の差θA0−θB0=Δθ(Δθは正または負の数値)を全ての測定点における角度補正値として求めておき、該磁力測定装置Bの全ての測定点における測定角度(θB1,θB2,θB3,…θBn)に角度補正値Δθをそれぞれ加えることにより、該測定角度(θB1,θB2,θB3,…θBn)を測定角度(θB’1,θB’2,θB’3,…θB’n)にずらした後で、該補正値(ΔTr1,ΔTr2,ΔTr3,…ΔTrn)を求めておく請求項1に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。 - 上記磁束密度値Trが0mT付近となる該基準測定点Pr0とは、磁束密度値Trと測定角度θとの関係を現す磁力波形を求めた場合に、該磁力波形の任意の隣接する2つの測定点Prを結んだ線の傾きが1mT/deg以上となる測定点である請求項2に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
- 上記各磁力測定装置A,Bは、測定角度間隔である微小角度dθA,dθBが相互に異なっており(dθA≠dθB)、かくして磁力測定装置Aと磁力測定装置Bとで測定角度θA,θBが相互に一致しない測定点が存在しており、
磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定角度θAと同一の測定角度θB(θA=θB)における磁束密度値TrBが存在しない測定点については、磁力測定装置Bにおいて測定角度θAの両側に最近接する2つの測定角度(θBm,θBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TrBm,TrBm+1)を直線で結び、該直線上の測定角度θA相当位置における値を該磁束密度値TrBと仮想したうえで、該磁束密度値TrBと磁力測定装置Aの測定角度θAにおける磁束密度値TrAとの差TrA−TrB=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)を該測定点(PrA,PrB)における補正値とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。 - マグネットロールの軸方向の磁束密度を2つの磁力測定装置A,Bで測定する場合に、2つの磁力測定装置A,B相互における磁束密度の測定データの差を補正する方法であって、
各磁力測定装置A,Bを使用して該磁束密度を所定の微小間隔dL毎に測定し、n個(n=1+(W/dL)、但しW=マグネットロールの軸方向の測定長さ)の測定点(Ps1,Ps2,Ps3,…Psn)について、各測定点における測定開始位置からの測定長さ(L1,L2,L3,…Ln、但しL1=0)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Ts1,Ts2,Ts3,…Tsn)とからなる測定データを得るものとして、
磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、
測定開始位置からの測定長さを同一とする所定の測定点Psにおいて、磁力測定装置Aによる磁束密度値TsAと磁力測定装置Bによる磁束密度値TsBとの差TsA−TsB=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)を該測定点Psにおける補正値として、
各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点ついて該補正値(ΔTs1,ΔTs2,ΔTs3,…ΔTsn)を求めておき、磁力測定装置Bによる全ての測定点における磁束密度値(TsB1,TsB2,TsB3,…TsBn)にそれぞれ補正値(ΔTs1,ΔTs2,ΔTs3,…ΔTsn)を加えることにより、磁力測定装置Aによる全ての測定点における磁束密度値(TsA’1,TsA’2,TsA’3,…TsA’n)に補正する
ことを特徴とするマグネットロールの磁力測定データの補正方法。 - 上記各磁力測定装置A,Bは、測定長さ間隔である微小間隔dLA,dLBが相互に異なっており(dLA≠dLB)、かくして磁力測定装置Aと磁力測定装置Bとで測定開始位置からの測定長さLA,LBが相互に一致しない測定点が存在しており、
磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定開始位置からの測定長さLAと同一の測定長さLB(LA=LB)における磁束密度値TsBが存在しない測定点については、磁力測定装置Bにおいて測定長さLAの両側に最近接する2つの測定長さ(LBm,LBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TsBm,TsBm+1)を直線で結び、該直線上の測定長さLA相当位置における値を該磁束密度値TsBと仮想したうえで、該磁束密度値TsBと磁力測定装置Aの測定長さLAにおける磁束密度値TsAとの差TsA−TsB=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)を該測定点(PsA,PsB)における補正値とする請求項5に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。 - 該ΔTsの範囲は、−(0.3×TsA)≦ΔTs≦+(0.3×TsA)である請求項5または請求項6に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
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