JP4650150B2 - マグネットロールの磁力データ補正方法 - Google Patents

マグネットロールの磁力データ補正方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として電子写真装置に用いられるマグネットロールの表面磁力を複数の異なる磁力測定装置で測定した場合における該マグネットロールの磁力データ補正方法に関する。
従来、電子写真装置においては、感光体表面にトナーを付着させるため、マグネットロールが使用されている。このマグネットロールは、磁力測定装置による磁束密度の測定データに基づき、品質管理されている。なお、磁力測定装置及び磁力測定方法として、例えば、特許文献1には、ロール状マグネットの高精度磁力測定方法及びその装置が記載されている。この特許文献1では、マグネットロール(特許文献1には「ロール状マグネット」と記載)の表面近傍に磁気プローブを固定し、該マグネットロールの表面磁力を測定すると同時に、磁気プローブと該マグネットロールの表面との間隔を測定し、磁力データを間隔データで補正している。
特開平7−35835号公報
ところが、磁力測定装置においては、磁力測定装置の機種が全く同一であり、かつ測定対象であるマグネットロールが同一のものであっても、精度差等による測定データの差(以下、「機差」と記載する)が生じる場合がある。このため、マグネットロールのメーカーの磁力測定装置と、ユーザーの磁力測定装置との間における機差を回避することはできない。そこで、従来は、メーカー又はユーザーのいずれか一方の磁力測定装置による測定データのうち、径方向磁力、極位置、0点角度、直線性等といった特性値のみを補正し、他方による測定データを推定していた。だがしかし、特性値のみの補正方法は、マグネットロール全体における磁力特性の傾向までは判断することができず、補正方法として不十分なものであった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、互いに異なる磁力測定装置間において、いずれかの磁力測定装置による測定データから、他の磁力測定装置による測定データを好適に推定することができるマグネットロールの磁力データ補正方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、マグネットロールの径方向の磁束密度を2つの磁力測定装置A,Bで測定する場合に、2つの磁力測定装置A,B相互における磁束密度の測定データの差を補正する方法であって、各磁力測定装置A,Bを使用して該磁束密度を所定の微小角度dθ毎に測定し、n個(n=360°/dθ)の測定点(Pr,Pr,Pr,…Pr)について、各測定点における測定角度(θ,θ,θ,…θ)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Tr,Tr,Tr,…Tr)とからなる測定データを得るものとして、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、測定角度θを同一とする所定の測定点Prにおいて、磁力測定装置Aによる磁束密度値Trと、磁力測定装置Bによる磁束密度値Trとの差Tr−Tr=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)を該測定点Prにおける補正値とするものとして、各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点について該補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)を求めておき、磁力測定装置Bによる全ての測定点における磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrBn)にそれぞれ補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)を加えることにより、磁力測定装置Aによる全ての測定点における磁束密度値(TrA’1,TrA’2,TrA’3,…TrA’n)に補正することを要旨とする。
上記の補正方法は、マグネットロールの径方向の磁束密度の測定において、同一な所定の測定角度θで測定された磁束密度値Trと磁束密度値Trとの差ΔTrを求め、該ΔTrを、測定角度θが同一となる所定の測定点Prにおける補正値として用い、磁束密度値Trを補正する方法である。そして、補正前の磁束密度値に機差が含まれていようとも、全ての磁束密度値について該補正値を求めて補正することにより、マグネットロール全体における磁力特性の傾向判断することができるようになる。その結果、互いに異なる磁力測定装置間において、いずれかの磁力測定装置による測定データから、他の磁力測定装置による測定データを推定することができるようになる。
請求項2に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、請求項1に記載の発明において、上記各磁力測定装置A,Bによる測定データのなかでも磁束密度値Trが0mT付近となる測定点を基準測定点Prとして、該磁力測定装置Aの基準測定点Prにおける基準測定角度をθA0とし、該磁力測定装置Bの基準測定点Prにおける基準測定角度をθB0として、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、基準測定角度の差θA0−θB0=Δθ(Δθは正または負の数値)を全ての測定点における角度補正値として求めておき、該磁力測定装置Bの全ての測定点における測定角度(θB1,θB2,θB3,…θBn)に角度補正値Δθをそれぞれ加えることにより、該測定角度(θB1,θB2,θB3,…θBn)を測定角度(θB’1,θB’2,θB’3,…θB’n)にずらした後で、該補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)を求めておくことを要旨とする。
上記構成によれば、まず各磁力測定装置A,Bによる測定データの中から、磁束密度値Tが0mT付近の所定の測定点、つまりは測定データの中で相互に対応する測定点を選出し、その相互に対応する測定点の角度θA0と角度θB0に基づいて測定データの角度をずらしている。このように測定データの角度をずらすことにより、磁力測定装置Bによる測定点の角度θを、磁力測定装置Aによる測定点の角度θに置き換えた状態で、磁束密度値Trと磁束密度値Trとを比較することができる。このため、両磁力測定装置A,B間における角度ずれ等のような単純な機差を解消したうえで、測定データ(磁束密度の波形)を補正することができる。
請求項3に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、請求項2に記載の発明において、上記磁束密度値Trが0mT付近となる該基準測定点Prとは、磁束密度値Trと測定角度θとの関係を現す磁力波形を求めた場合に、該磁力波形の任意の隣接する2つの測定点Prを結んだ線の傾きが1mT/deg以上となる測定点であることを要旨とする。
上記構成によれば、磁束密度値Trが0mT付近の測定点においては、磁力波形の傾きが大きいため、両磁力測定装置A,B間における機差が単純な角度ずれである場合、ΔTrの値が最も大きくなる傾向がある。よって、この0mT付近で測定データをずらしておくことで、単純な角度ずれによる影響をより少なくすることができ、補正をより正確に実施することができる。
請求項4に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、上記各磁力測定装置A,Bは、測定角度間隔である微小角度dθ,dθが相互に異なっており(dθ≠dθ)、かくして磁力測定装置Aと磁力測定装置Bとで測定角度θ,θが相互に一致しない測定点が存在しており、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定角度θと同一の測定角度θ(θ=θ)における磁束密度値Trが存在しない測定点については、磁力測定装置Bにおいて測定角度θの両側に最近接する2つの測定角度(θBm,θBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TrBm,TrBm+1)を直線で結び、該直線上の測定角度θ相当位置における値を該磁束密度値Trと仮想したうえで、該磁束密度値Trと磁力測定装置Aの測定角度θにおける磁束密度値Trとの差Tr−Tr=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)を該測定点(Pr,Pr)における補正値とすることを要旨とする。
上記構成によれば、マグネットロールの径方向における磁束密度を測定する場合であって、両磁力測定装置A,B間で測定点数が異なる場合にも、未測定の測定点における磁束密度値を仮定し、測定点数を合わせた後に測定データ(磁束密度の波形)全体を補正することができる。
請求項5に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、マグネットロールの軸方向の磁束密度を2つの磁力測定装置A,Bで測定する場合に、2つの磁力測定装置A,B相互における磁束密度の測定データの差を補正する方法であって、各磁力測定装置A,Bを使用して該磁束密度を所定の微小間隔dL毎に測定し、n個(n=1+(W/dL)、但しW=マグネットロールの軸方向の測定長さ)の測定点(Ps,Ps,Ps,…Ps)について、各測定点における測定開始位置からの測定長さ(L,L,L,…L、但しL=0)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Ts,Ts,Ts,…Ts)とからなる測定データを得るものとして、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、測定開始位置からの測定長さを同一とする所定の測定点Psにおいて、磁力測定装置Aによる磁束密度値Tsと磁力測定装置Bによる磁束密度値Tsとの差Ts−Ts=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)を該測定点Psにおける補正値として、各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点ついて該補正値(ΔTs,ΔTs,ΔTs,…ΔTs)を求めておき、磁力測定装置Bによる全ての測定点における磁束密度値(TsB1,TsB2,TsB3,…TsBn)にそれぞれ補正値(ΔTs,ΔTs,ΔTs,…ΔTs)を加えることにより、磁力測定装置Aによる全ての測定点における磁束密度値(TsA’1,TsA’2,TsA’3,…TsA’n)に補正することを要旨とする。
上記の補正方法は、マグネットロールの軸方向の磁束密度の測定において、同一な所定の測定長さLで測定された磁束密度値Tsと磁束密度値Tsとの差ΔTsを求め、該ΔTsを所定の測定長さLにおける補正値として用い、磁束密度値Tsを補正する方法である。そして、補正前の磁束密度値に機差が含まれていようとも、全ての磁束密度値について該補正値を求めて補正することにより、マグネットロール全体における磁力特性の傾向判断することができるようになる。その結果、互いに異なる磁力測定装置間において、いずれかの磁力測定装置による測定データから、他の磁力測定装置による測定データを推定することができるようになる。
請求項6に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、請求項5に記載の発明において、上記各磁力測定装置A,Bは、測定長さ間隔である微小間隔dL,dLが相互に異なっており(dL≠dL)、かくして磁力測定装置Aと磁力測定装置Bとで測定開始位置からの測定長さL,Lが相互に一致しない測定点が存在しており、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定開始位置からの測定長さLと同一の測定長さL(L=L)における磁束密度値Tsが存在しない測定点については、磁力測定装置Bにおいて測定長さLの両側に最近接する2つの測定長さ(LBm,LBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TsBm,TsBm+1)を直線で結び、該直線上の測定長さL相当位置における値を該磁束密度値Tsと仮想したうえで、該磁束密度値Tsと磁力測定装置Aの測定長さLにおける磁束密度値Tsとの差Ts−Ts=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)を該測定点(Ps,Ps)における補正値とすることを要旨とする。
上記構成によれば、マグネットロールの軸方向における磁束密度を測定する場合であって、両磁力測定装置A,B間で測定点数が異なる場合にも、未測定の測定位置における磁束密度値を仮定し、測定点数を合わせた後に測定データ(磁束密度の波形)全体を補正することができる。
請求項7に記載のマグネットロールの磁力データ補正方法の発明は、請求項5または請求項6に記載の発明において、該ΔTsの範囲は、−(0.3×Ts)≦ΔTs≦+(0.3×Ts)であることを要旨とする。
上記構成によれば、ΔTの範囲を−(0.3×T)≦ΔT≦+(0.3×T)とすることにより、補正値を好適なものとすることができる。
本発明によれば、互いに異なる磁力測定装置間において、いずれかの磁力測定装置による測定データから、他の磁力測定装置による測定データを推定することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
まずマグネットロールの概略構成を説明する。
マグネットロールは、電子写真装置内において、感光体の表面にトナーを付着させるべく設けられたものである。このマグネットロールは、円柱状、円筒状等のような、その表面が断面円形状をなす形状となるように形成されている。また、マグネットロールによってトナーを付着させるとき、感光体は、その表面が所定の電荷に帯電されるとともに、その表面に静電潜像が形成されており、該トナーは、該静電潜像に対応して感光体の表面に付着される。そして、マグネットロールは、感光体に付着させるトナーを好適に保持するべく、磁力を帯びている。
次に、マグネットロールの周面における磁束密度の測定方法について説明する。
マグネットロールは、磁力測定装置を使用することにより、径方向における磁束密度と、軸方向における磁束密度とが測定される。そして、径方向における磁束密度の測定データと、軸方向における磁束密度の測定データとを通じて品質管理される。磁力測定装置は、該マグネットロールを支持するための治具と、該マグネットロールの表面磁力を測定するための磁力測定用プローブとを備えている。該治具は、マグネットロールを、該マグネットロールの周方向へ回転自在に支持するものである。該磁力測定用プローブは、該マグネットロールの磁束密度を測定するためのものである。この磁力測定用プローブは、マグネットロールが該治具に支持された状態で該マグネットロールの周面近傍に配設されるとともに、該マグネットロールの軸方向へ移動することができるように構成されている。
該磁力測定装置を使用してマグネットロールの径方向の磁束密度を測定する場合、まず治具にマグネットロールをセットし、次いで、磁力測定用プローブをマグネットロールの軸方向で所定位置に配置する。その後、該マグネットロールを回転させつつ、磁力測定用プローブによって所定の微小角度dθ毎に径方向の磁束密度を測定する。そして、その測定結果が径方向の磁束密度の測定データとして出力される。なお、磁力測定用プローブは、マグネットロールが1回転する毎に該マグネットロールの軸方向へ移動するようになっており、径方向の磁束密度を複数箇所で測定する。
径方向の磁束密度の測定データとしては、n個(n=360°/dθ)の側定点(Pr,Pr,Pr,…Pr)について、測定開始角度をθ=0(°)とする各側定点における測定角度(θ,θ,θ,…θ)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Tr,Tr,Tr,…Tr)とが得られる。例えばdθ=1°である場合、Pr(θ=0°,Tr=−130mT)、Pr61(θ61=60゜,Tr61=+90mT)、Pr181(θ181=180゜,Tr181=−2mT)等のように出力される。そして、該測定データから、マグネットロールの径方向における磁束密度の波形を解析することができるようになる。
該測定データをわかりやすく示すと、図1に示すような、磁束密度波形グラフとなる。図1に示すマグネットロールは5極のものであり、3つのS極(図1中にS1,S2,S3として図示)と、2つのN極(図1中にN1,N2として図示)とを有するとともに、1つのダミー極(図1中にDmとして図示)を有している。なお、この磁束密度波形グラフは、各測定点における測定角度θと、磁束密度値Trとの関係をプロットし、プロットされた各点を結ぶことによって作成されたものである。当然ではあるが、このような磁束密度波形グラフを作成せずとも、測定データのみから磁束密度の波形を解析することも可能である。
一方、該磁力測定装置を使用してマグネットロールの軸方向の磁束密度を測定する場合には、治具にマグネットロールをセットした後、磁力測定用プローブを該マグネットロールの軸方向へ移動させる。磁力測定用プローブは、その移動時において所定の微小間隔dL毎に軸方向の磁束密度を測定する。そして、その測定結果が軸方向の磁束密度の測定データとして出力される。なお、軸方向の磁束密度の測定においては、磁力測定用プローブが該マグネットロールの軸方向全体に1移動した後で該マグネットロールをその周方向へ所定角度だけ回転させるか、あるいは磁力測定用プローブが微小間隔dLだけ1移動する毎に該マグネットロールをその周方向へ所定角度だけ回転させることにより、軸方向の磁束密度を複数角度で測定される。
軸方向の磁束密度の測定データとしては、n個(n=1+(W/dL)、但しW=マグネットロールの軸方向の測定長さ)の測定点(Ps,Ps,Ps,…Ps)について、測定開始位置をL=0(mm)とする各側定点における測定開始位置からの測定長さ(L,L,L,…L)と、各側定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Ts,Ts,Ts,…Ts)とが得られる。例えばdL=1mmである場合、Ps(L=0mm,Ts=−130mT)、Ps11(L11=10mm,Tr11=−125mT)、Ps101(L101=100mm,Tr101=−135mT)等のように出力される。そして、該測定データから、マグネットロールの軸方向における磁束密度の波形を解析することができるようになる。
該測定データをわかりやすく示すと、図2に示すような、軸−Tグラフとなる。なお、この軸−Tグラフは、各測定点における測定開始位置からの測定長さLと、磁束密度値Tsとの関係をプロットし、プロットされた各点を結ぶことによって作成されたものである。当然ではあるが、このような軸−Tグラフを作成せずとも、測定データのみから磁束密度の波形を解析することも可能である。
次いで、上記のようにして得られた磁束密度のデータの補正方法について説明する。
さて、測定対象が同一のマグネットロールであっても、使用する磁力測定装置が異なる場合、磁力測定装置間の機差により、測定データの差が生じる。このため、異なる複数の磁力測定装置を使用した場合には、何れか1つの磁力測定装置で得られた測定データを基準とし、他の磁力測定装置で得られた測定データを補正する。そこで、マグネットロールの表面磁力を2つの異なる磁力測定装置A,Bによって測定し、該マグネットロールの測定データを得た場合を例に挙げて、測定データの補正方法について説明する。但し、以下の説明においては、磁力測定装置A,Bのうち、磁力測定装置Aで得られた測定データを基準とし、磁力測定装置Bで得られた測定データを補正するものとする。また、該補正方法に係る演算は、電子計算機に格納された補正プログラムを使用して行うものとする。
なお、実際に測定データを補正する場合、対象の磁力測定装置は2台に限らず、3台以上であってもよい。例えば、3台の異なる磁力測定装置A,B,Cによって表面磁力を測定し、磁力測定装置Aで得られた測定データを基準とする場合、磁力測定装置Cで得られた測定データを磁力測定装置Bで得られた測定データと同様に補正すればよい。また、4台の異なる磁力測定装置A,B,C,Dによって表面磁力を測定し、磁力測定装置Aで得られた測定データを基準とする場合、磁力測定装置C,Dで得られた測定データを磁力測定装置Bで得られた測定データと同様に補正すればよい。
まず、マグネットロールの径方向における磁束密度の測定データの補正について説明する。図3に、該測定データの補正に係る補正プログラムのフローチャートを示す。該補正プログラムにおいては、ステップ10(以下、S10と略す)において、磁力測定装置A,Bによる測定データが入力される。続いて、ステップ11(以下、S11と略す)においては、入力された任意の命令に基づき、角度補正処理を行うか、否かを判断する。S11で角度補正処理を行うと判断された場合(図3中でS11のyes)、ステップ12(以下、S12と略す)において角度補正処理が行われる。続いて、ステップ13(以下、S13と略す)においては、測定データの測定点数が等しいか、否かを判断する。S13で測定点数が等しくないと判断された場合(図3中でS13のno)、ステップ14(以下、S14と略す)において測定点数補正処理が行われる。続いて、ステップ15(以下、S15と略す)においては、磁束密度値補正処理が行われる。なお、S11で角度補正処理を行わないと判断された場合(図3中でS11のno)、S12を実行することなくS13が実行される。また、S13で測定点数が等しいと判断された場合(図3中でS13のyes)、S14を実行することなくS15が実行される。
なお、上記の補正プログラムにおいては、1つのプログラムで角度補正処理、測定点数補正処理及び磁束密度値補正処理の3つの処理を行っているが、これに限らず、これら3つの処理をそれぞれ個別のプログラムで行うようにしてもよい。あるいは、角度補正処理、測定点数補正処理及び磁束密度値補正処理の3つの処理から選ばれる任意の2つの処理を1つのプログラムで行い、残りの1つの処理を該1つのプログラムとは別のプログラムで行うようにしてもよい。また、3つの処理から選ばれる任意の2つの処理を1つのプログラムで行い、残りの1つの処理を該1つのプログラムとは別のプログラムで行う場合であっても、最後に磁束密度値補正処理を行うものとする。さらに加えて、角度補正処理および測定点数補正処理については、角度補正処理後に測定点数補正処理を行うことに限らず、測定点数補正処理後に角度補正処理を行ってもよい。
上記補正プログラムの磁束密度値補正処理S15について、より詳しく説明する。
磁束密度値補正処理においては、まず測定角度θが同一な測定点における該磁力測定装置Aによる磁束密度値Trと磁力測定装置Bによる磁束密度値Trとの差、Tr−Tr=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)が、該測定点における補正値として算出される。この補正値は各磁力測定装置A,Bによる全ての磁束密度値において算出され、補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)が求められる。次いで、磁力測定装置Bによる該測定点における磁束密度値Trに該測定点における補正値ΔTrを加えた値Tr+ΔTrが算出される。
このTr+ΔTrを磁力測定装置Aによる該測定点における磁束密度値TrA’としたうえで、磁力測定装置Bによる測定データの磁束密度値がTrA’に置き換えられ、このTrA’が補正後の磁束密度値として出力される。そして、該磁束密度値補正処理は、全ての測定点において、磁力測定装置Bによる磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrBn)を磁力測定装置Aによる磁束密度値(TrA’1,TrA’2,TrA’3,…TrA’n)に置き換えて終了する。
磁束密度値補正処理に係る一連の手順を例示する。例えば、測定角度0°の測定点Prにおける磁力測定装置AのデータがPrA1(θA1=0°,TrA1=−130mT)であり、磁力測定装置BのデータがPrB1(θB1=0°,TrB1=−125mT)とする。この場合、測定点Prにおける補正値ΔTrは、−130−(−125)=−5(mT)となる。そして、TrA’は−125+(−5)=−130(mT)となり、磁力測定装置Bよる測定点Prのデータは、(θB1=0°,TrA’1=−130mT)として出力される。また、測定角度30°の測定点Pr31における磁力測定装置AのデータがPrA31(θA31=30°,TrA31=5mT)、磁力測定装置BのデータがPrB31(θB31=30°,TrB31=10mT)の場合、測定点Pr31における補正値ΔTr31=−5(mT)となり、磁力測定装置Bよる測定点Pr31のデータは、(θB31=30°,TrA’31=5mT)として出力される。
なお、上記及び以下に示す文中において、測定点Prと記載した場合、mは整数であり、測定データ全体における測定角度に基づいた測定点の順番(ナンバー)を示すものとする。具体的には、測定角度0°の測定点を1番として「測定点Pr」とし、以下測定角度が大きくなる順にナンバーが付与される。また、例えば補正前の測定データ、補正途中の測定データ等のように、各磁力測定装置A,Bで測定点を区別する必要がある場合、磁力測定装置Aによる測定点であればPrAm、磁力測定装置Bによる測定点であればPrBm等と記載する。
上記補正プログラムの角度補正処理S12について、より詳しく説明する。
角度補正処理は、入力された任意の命令、つまりは測定者等の所望に応じて実行される。また、前記磁束密度値補正処理は、該角度補正処理によって補正された測定データに対して実行される。角度補正処理においては、まず各磁力測定装置A,Bによる測定データのなかから磁束密度値Tが0mT付近の所定の測定点が選出され、該測定点が基準測定点Prとされる。続いて、該磁力測定装置Aの基準測定点Prにおける基準測定角度θA0と、該磁力測定装置Bの基準測定点Prにおける基準測定角度θB0とが求められ、両者の基準測定角度の差θA0−θB0=Δθ(Δθは正または負の数値)が求められる。その後、該磁力測定装置Bの全ての測定点における測定角度θにΔθが補正値として加えられることにより、磁力測定装置Bの全ての測定点において、測定角度θが測定角度θB’(θB’=θ+Δθ)にずらされる。そして、測定角度θが測定角度θB’にずらされた測定データに対し、前記磁束密度値補正処理が実行される。
角度補正処理に係る一連の手順を例示する。例えば、磁束密度値Trが0mT付近となる基準測定点Prが、磁力測定装置AはPrA16(θA16=15°,TrA16=0.01mT)であり、磁力測定装置BではPrB31(θB31=30°,TrB31=0.05mT)であるものとする。なお、該磁束密度値Trが0mT付近となる該基準測定点Prとは、磁束密度値Trと測定角度θとの関係を現す磁力波形を求めた場合に、該磁力波形の任意の隣接する2つの測定点Prを結んだ線の傾きが1mT/deg以上となる測定点をいうものとする。
さて、両者の基準測定角度の差θA0−θB0=Δθは、θA16=15°とθB31=30°との差であり、Δθ=−15(°)である。その後、磁力測定装置Bの全ての測定点において、θにΔθを補正値として加える。この結果、磁力測定装置Bの測定データは、PrB1(θB1=0°,TrB1=−130mT)、PrB61(θB61=60゜,TrB61=+90mT)、PrB181(θB181=180゜,TrB181=−2mT)であれば、PrB346(θB’1=−15°(345°),TrB1=−130mT)、PrB46(θB’61=45゜,TrB61=+90mT)、PrB166(θB’181=165゜,TrB181=−2mT)と置き換えられる。この後、前記磁束密度値補正処理において、例えば測定角度45°の測定点Pr46であれば、磁力測定装置AのPrA46(θA46=45゜,TrA46=+80mT)と磁力測定装置BのPrB46(θB’61=45゜,TrB61=+90mT)とが比較され、その結果、測定点Pr46における補正値ΔTr46は、80−90=−10(mT)となる。
上記補正プログラムの測定点数補正処理S14について、より詳しく説明する。
通常、磁力測定装置A,Bにおいては、測定角度間隔である微小角度dθ,dθが相互に異なっている(dθ≠dθ)。その結果、各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点において、測定角度θ,θが相互に一致する(θ=θ)測定点と、測定角度θ,θが相互に一致しない測定点とが存在する。θ=θである測定点については、測定角度θにおける磁力測定装置Aによる磁束密度値Trに対応して、該測定角度θと同一の測定角度θにおける磁力測定装置Bによる磁束密度値Trが存在する。従って、θ=θの場合には、磁力測定装置Bによる磁束密度値をそのまま利用して上記磁束密度値補正処理S15等を行う。
一方、測定角度θ,θが相互に一致しない測定点については、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定角度θと同一の測定角度θにおける磁力測定装置Bによる磁束密度値Trが存在しない。従って、このように磁力測定装置Bの測定データ中に測定角度θに一致する測定角度θが存在しない測定点については、測定点数補正処理S14を行うことにより、測定角度θと同一の測定角度θ(θ=θ)において、磁力測定装置Bによって測定された磁束密度値Trを仮想する必要がある。
上記のような測定点において、磁束密度値Trを仮想する場合、まず磁力測定装置Bによるn個の測定点(PrB1,PrB2,PrB3,…PrBnB)のなかから、測定角度θの両側に最近接する2つの測定角度(θBm,θBm+1、但しθBm<θ<θBm+1)で磁束密度を測定した2つの測定点(PBm,PBm+1)を選出する。次いで、2つの測定点(PBm,PBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TrBm,TrBm+1)を直線で結び、該直線上の測定角度θ相当位置における値を求める。このように2つの磁束密度値(TrBm,TrBm+1)を直線近似して得られた値が、測定角度θと同一の測定角度θ(θ=θ)における磁力測定装置Bによる磁束密度値Trと仮想される。このようにして磁力測定装置Aにおける測定角度θに対応する磁力測定装置Bにおける測定角度θ(θ=θ)が存在しない全ての測定角度について、磁束密度値Trを仮想する。すなわち、このような測定点がx個存在する場合には、x個分の磁束密度値を仮想する。
測定点数補正処理に係る一連の手順を例示する。例えば、磁力測定装置Aではdθ=1°毎に磁束密度の測定を行い、磁力測定装置Bではdθ=2°毎に磁束密度の測定を行うものとする。磁力測定装置Aによる測定データとしては、360/1=360個の測定点(PrA1,PrA2,PrA3,…PrA360)が存在し、360個の磁束密度値(TrA1,TrA2,TrA3,…TrA360)が得られる。一方、磁力測定装置Bによる測定データとしては、360/2=180個の測定点(PrB1,PrB2,PrB3,…PrB180)が存在し、180個の磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrB180)が得られる。そこで、180個分の磁束密度値を仮想し、磁力測定装置Bによる180個の磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrB180)を、360個の磁束密度値(TrB1’,TrB2’,TrB3’,…TrB360’)に補正する。
ここで、磁力測定装置Aによる測定データは、PrA1(θA1=0°,TrA1=5mT)、PrA2(θA2=1°,TrA2=10mT)、PrA3(θA3=2°,TrA3=15mT)等となっており、磁力測定装置Bによる測定データは、PrB1(θB1=0°,TrB1=2mT)、PrB2(θB2=2°,TrB2=6mT)、PrB3(θB3=4°,TrB3=12mT)等となっているものとする。さて、該磁力測定装置Aと該磁力測定装置Bとでは、例えば0°、2°、4°等のように、2°毎にθ=θとなる。従って、磁力測定装置BのPrB1、PrB2、PrB3におけるTrB1、TrB2、TrB3はそのまま利用される。結果、TrB1→TrB1’、TrB2→TrB3’とし、例えば測定角度θ=0°における測定点Prの補正値ΔTrは、TrA1=5mTと、TrB1’=TrB1=2mTとの差となり、―3mTとする。
一方、磁力測定装置Bによる測定データには、PrA2(θA2=1°,TrA2=10mT)に対応して測定角度1°で測定された測定点における磁束密度値が存在しないため、該PrA2と対応する測定点PrB2’における磁束密度値TrB2’を仮想する。この場合、θA2=1°の両側に最近接する2つの測定角度は、θB1=0°と、θB2=2°である。従って、TrB1=2mTと、TrB2=6mTとを直線近似することにより、PrB2’におけるTrB2’は4mTと仮想する。結果、測定角度θ=1°における測定点Prの補正値ΔTrは、TrA2=10mTと、TrB2’=4mTとの差となり、6mTとする。
次に、マグネットロールの軸方向における磁束密度の測定データの補正について説明する。図4に、該測定データの補正に係る補正プログラムのフローチャートを示す。該補正プログラムにおいては、ステップ20(以下、S20と略す)において、磁力測定装置A,Bによる測定データが入力される。続いて、ステップ21(以下、S21と略す)において、測定データの測定点数が等しいか、否かを判断する。S21で測定点数が等しくないと判断された場合(図4中でS21のno)、ステップ22(以下、S22と略す)において測定点数補正処理が行われる。続いて、ステップ23(以下、S23と略す)においては、磁束密度値補正処理が行われる。なお、S21で測定点数が等しいと判断された場合(図3中でS21のyes)、S22を実行することなくS23が実行される。なお、該補正プログラムにおいては、一のプログラムで測定点数補正処理及び磁束密度値補正処理の2つの処理を行っているが、これに限らず、これら2つの処理をそれぞれ個別のプログラムで行うようにしてもよい。また、2つの処理をそれぞれ個別のプログラムで行う場合であっても、最後に磁束密度値補正処理を行うものとする。
上記補正プログラムの磁束密度値補正処理S23について、より詳しく説明する。
さて、磁束密度値補正処理においては、上記径方向における磁束密度の測定データの補正と略同様の処理が行われる。すなわち、各磁力測定装置A,Bによる全ての磁束密度値において、測定開始位置からの測定長さLが同一な測定点における磁力測定装置Aによる磁束密度値Tsと、磁力測定装置Bによる磁束密度値Tsとの差Ts−Ts=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)が、該測定点における補正値として算出される。また、この補正値は各磁力測定装置A,Bによる全ての磁束密度値において算出され、補正値(ΔTs,ΔTs,ΔTs,…ΔTs)が求められる。次いで、磁力測定装置Bによる該測定点における磁束密度値Tsに該測定点における補正値ΔTsを加えた値Ts+ΔTsが算出される。このTs+ΔTsを磁力測定装置Aによる該測定点における磁束密度値TsA’としたうえで、磁力測定装置Bによる測定データの磁束密度値がTsA’に補正され、このTsA’が補正後の磁束密度値として出力される。そして、該磁束密度値補正処理は、全ての測定点において、磁力測定装置Bによる磁束密度値(TsB1,TrsB2,TsB3,…TsBn)を磁力測定装置Aによる磁束密度値(TsA’1,TsA’2,TsA’3,…TsA’n)に置き換えて終了する。
磁束密度値補正処理に係る一連の手順を例示する。例えば、測定開始位置からの測定長さ0mmの測定点Psにおける磁力測定装置AによるデータがPsA1(LA1=0mm,TsA1=−130mT)であり、磁力測定装置BによるデータがPsB1(LB1=0mm,TsB1=−125mT)とする。この場合、測定点Psにおける補正値ΔTsは、−130−(−125)=−5(mT)となる。そして、TsA’は−125+(−5)=−130(mT)となり、磁力測定装置Bよる測定点Psのデータは、(LB1=0mm,TsA’1=−130mT)として出力される。
なお、所定の位置Lにおける補正値ΔTsの算出時において、ΔTsの範囲は、−(0.3×Ts)≦ΔTs≦+(0.3×Ts)とされる。これは、ΔTsが該範囲外となる場合、TsとTsとが正しく対応しておらず、補正の精度が低下してしまうおそれがあるためである。
また、上記及び以下に示す文中において、測定点Psと記載した場合、mは整数であり、測定データ全体における測定開始位置からの測定長さに基づいた測定点の順番(ナンバー)を示すものとする。具体的には、測定長さ0mmの測定点を1番として「測定点Ps」とし、以下測定角度が大きくなる順にナンバーが付与される。また、例えば補正前の測定データ、補正途中の測定データ等のように、各磁力測定装置A,Bで測定点を区別する必要がある場合、磁力測定装置Aによる測定点であればPsAm、磁力測定装置Bによる測定点であればPsBm等と記載する。
上記補正プログラムの測定点数補正処理S22について、より詳しく説明する。
通常、磁力測定装置A,Bにおいて測定長さ間隔である微小間隔dL,dLが相互に異なっている(dL≠dL)。その結果、各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点において、測定開始位置からの測定長さL,Lが相互に一致する(L=L)測定点と、測定長さL,Lが相互に一致しない測定点とが存在する。L=Lである測定点については、測定長さLにおける磁力測定装置Aによる磁束密度値Tsに対応して、該測定長さLと同一の測定長さLにおける磁力測定装置Bによる磁束密度値Tsが存在する。従って、L=Lとなる測定点においては、磁力測定装置Bによる磁束密度値をそのまま利用して上記磁束密度値補正処理S23を行う。
一方、測定長さL,Lが相互に一致しない測定点については、磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定長さLと同一の測定長さLにおける磁力測定装置Bによる磁束密度値Tsが存在しない。従って、このような測定点については、測定点数補正処理S22を行うことにより、測定長さLと同一の測定長さL(L=L)において、磁力測定装置Bによって測定された磁束密度値Tsを仮想する必要がある。
上記のような測定点において、磁束密度値Tsを仮想する場合、まず磁力測定装置Bによるn個の測定点(PsB1,PsB2,PsB3,…PsBnB)のなかから、測定長さLの両側に最近接する2つの測定長さ(LBm,LBm+1、但しLBm<L<LBm+1)で磁束密度を測定した2つの測定点(PsBm,PsBm+1)を選出する。次いで、2つの測定点(PsBm,PsBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TsBm,TsBm+1)を直線で結び、該直線上の測定長さL相当位置における値を求める。このように2つの磁束密度値(TsBm,TsBm+1)を直線近似して得られた値が、測定長さLと同一の測定長さL(L=L)における磁力測定装置Bによる磁束密度値Tsと仮想される。このようにして磁力測定装置Aにおける測定長さLに対応する磁力測定装置Bにおける測定長さL(L=L)が存在しない全ての測定長さについて、磁束密度値Tsを仮想する。すなわち、このような測定点がx個存在した場合には、x個分の磁束密度値を仮想する。
測定点数補正処理に係る一連の手順を例示する。例えば、磁力測定装置AではdL=1mm毎に磁束密度の測定を行い、磁力測定装置BではdL=2mm毎に磁束密度の測定を行うものとする。マグネットロールの軸方向の測定長さWを200mmとした場合、磁力測定装置Aによる測定データとしては、1+200/1=201個の測定点(PsA1,PsA2,PsA3,…PsA201)が存在し、201個の磁束密度値(TsA1,TsA2,TsA3,…TsA201)が得られる。一方、磁力測定装置Bによる測定データとしては、1+200/2=101個の測定点(PsB1,PsB2,PsB3,…PsB101)が存在し、101個の磁束密度値(TsB1,TsB2,TsB3,…TsB101)が得られる。そこで、100個分の磁束密度値を仮想し、磁力測定装置Bによる101個の磁束密度値(TsB1,TsB2,TsB3,…TsB180)を、201個の磁束密度値(TsB1’,TsB2’,TsB3’,…TsB201’)に補正する。
ここで、磁力測定装置Aによる測定データは、PsA1(LA1=0mm,TsA1=5mT)、PsA2(LA2=1mm,TsA2=6mT)、PsA3(LA3=2mm,TsA3=4mT)等となっており、磁力測定装置Bによる測定データは、PsB1(LB1=0mm,TsB1=2mT)、PsB2(LB2=2mm,TsB2=6mT)、PsB3(LB3=4mm,TsB3=8mT)等となっているものとする。さて、該磁力測定装置Aと該磁力測定装置Bとでは、例えば0mm、2mm、4mm等のように、2mm毎にL=Lとなる。従って、磁力測定装置BのPsB1、PsB2、PsB3におけるTsB1、TsB2、TsB3はそのまま利用される。結果、TsB1→TsB1’、TsB2→TsB3’とし、例えば測定角度L=0mmにおける測定点Psの補正値ΔTsは、TsA1=5mTと、TsB1’=TsB1=2mTとの差となり、―3mTとする。
一方、磁力測定装置Bによる測定データには、PsA2(LA2=1mm,TsA2=6mT)に対応して測定開始位置からの測定長さ1mmで測定された測定点における磁束密度値が存在しないため、該PsA2と対応する測定点PsB2’における磁束密度値TsB2’を仮想する。この場合、LA2=1mmの両側に最近接する2つの測定長さは、LB1=0mmと、LB2=2mmである。従って、TsB1=2mTと、TsB2=6mTとを直線近似することにより、PsB2’におけるTsB2’は4mTと仮想する。結果、測定長さL=1mmにおける測定点Psの補正値ΔTsは、TsA2=6mTと、TsB2’=4mTとの差となり、2mTとする。
なお、上記の径方向及び軸方向における測定データの補正方法においては、一旦補正値であるΔTr、あるいはΔTsを求めた後であれば、該補正値を求める際に使用した磁力測定装置を変更しない限り、同一仕様のマグネットロールの磁力データを測定する場合であれば該補正値を適用することができる。
また、マグネットロールは、図1に示したような5極のものに限らず、例えば図5に示す4極のような、磁界が5極未満のもの、あるいは図6に示す10極のような、磁界が5極を超えるものも存在する。ただし、磁界が5極未満のものであろうと、また磁界が5極を超えるものであろうとも、上記と同様にして表面磁力のデータ及び磁力データの補正を行うことができる。
5極のマグネットロールの径方向の磁力測定データに基づく磁力波形図。 マグネットロールの軸方向の磁力測定データに基づく磁力波形図。 径方向の磁力測定データの補正プログラムを示すフローチャート。 軸方向の磁力測定データの補正プログラムを示すフローチャート。 4極のマグネットロールの径方向の磁力測定データに基づく磁力波形図。 10極のマグネットロールの径方向の磁力測定データに基づく磁力波形図。

Claims (7)

  1. マグネットロールの径方向の磁束密度を2つの磁力測定装置A,Bで測定する場合に、2つの磁力測定装置A,B相互における磁束密度の測定データの差を補正する方法であって、
    各磁力測定装置A,Bを使用して該磁束密度を所定の微小角度dθ毎に測定し、n個(n=360°/dθ)の測定点(Pr,Pr,Pr,…Pr)について、各測定点における測定角度(θ,θ,θ,…θ)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Tr,Tr,Tr,…Tr)とからなる測定データを得るものとして、
    磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、
    測定角度θを同一とする所定の測定点Prにおいて、磁力測定装置Aによる磁束密度値Trと、磁力測定装置Bによる磁束密度値Trとの差Tr−Tr=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)を該測定点Prにおける補正値とするものとして、
    各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点について該補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)を求めておき、磁力測定装置Bによる全ての測定点における磁束密度値(TrB1,TrB2,TrB3,…TrBn)にそれぞれ補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)を加えることにより、磁力測定装置Aによる全ての測定点における磁束密度値(TrA’1,TrA’2,TrA’3,…TrA’n)に補正する
    ことを特徴とするマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
  2. 上記各磁力測定装置A,Bによる測定データのなかでも磁束密度値Trが0mT付近となる測定点を基準測定点Prとして、該磁力測定装置Aの基準測定点Prにおける基準測定角度をθA0とし、該磁力測定装置Bの基準測定点Prにおける基準測定角度をθB0として、
    磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、
    基準測定角度の差θA0−θB0=Δθ(Δθは正または負の数値)を全ての測定点における角度補正値として求めておき、該磁力測定装置Bの全ての測定点における測定角度(θB1,θB2,θB3,…θBn)に角度補正値Δθをそれぞれ加えることにより、該測定角度(θB1,θB2,θB3,…θBn)を測定角度(θB’1,θB’2,θB’3,…θB’n)にずらした後で、該補正値(ΔTr,ΔTr,ΔTr,…ΔTr)を求めておく請求項1に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
  3. 上記磁束密度値Trが0mT付近となる該基準測定点Prとは、磁束密度値Trと測定角度θとの関係を現す磁力波形を求めた場合に、該磁力波形の任意の隣接する2つの測定点Prを結んだ線の傾きが1mT/deg以上となる測定点である請求項2に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
  4. 上記各磁力測定装置A,Bは、測定角度間隔である微小角度dθ,dθが相互に異なっており(dθ≠dθ)、かくして磁力測定装置Aと磁力測定装置Bとで測定角度θ,θが相互に一致しない測定点が存在しており、
    磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定角度θと同一の測定角度θ(θ=θ)における磁束密度値Trが存在しない測定点については、磁力測定装置Bにおいて測定角度θの両側に最近接する2つの測定角度(θBm,θBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TrBm,TrBm+1)を直線で結び、該直線上の測定角度θ相当位置における値を該磁束密度値Trと仮想したうえで、該磁束密度値Trと磁力測定装置Aの測定角度θにおける磁束密度値Trとの差Tr−Tr=ΔTr(ΔTrは正または負の数値)を該測定点(Pr,Pr)における補正値とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
  5. マグネットロールの軸方向の磁束密度を2つの磁力測定装置A,Bで測定する場合に、2つの磁力測定装置A,B相互における磁束密度の測定データの差を補正する方法であって、
    各磁力測定装置A,Bを使用して該磁束密度を所定の微小間隔dL毎に測定し、n個(n=1+(W/dL)、但しW=マグネットロールの軸方向の測定長さ)の測定点(Ps,Ps,Ps,…Ps)について、各測定点における測定開始位置からの測定長さ(L,L,L,…L、但しL=0)と、各測定点でそれぞれ測定された磁束密度値(Ts,Ts,Ts,…Ts)とからなる測定データを得るものとして、
    磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合には、
    測定開始位置からの測定長さを同一とする所定の測定点Psにおいて、磁力測定装置Aによる磁束密度値Tsと磁力測定装置Bによる磁束密度値Tsとの差Ts−Ts=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)を該測定点Psにおける補正値として、
    各磁力測定装置A,Bによる全ての測定点ついて該補正値(ΔTs,ΔTs,ΔTs,…ΔTs)を求めておき、磁力測定装置Bによる全ての測定点における磁束密度値(TsB1,TsB2,TsB3,…TsBn)にそれぞれ補正値(ΔTs,ΔTs,ΔTs,…ΔTs)を加えることにより、磁力測定装置Aによる全ての測定点における磁束密度値(TsA’1,TsA’2,TsA’3,…TsA’n)に補正する
    ことを特徴とするマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
  6. 上記各磁力測定装置A,Bは、測定長さ間隔である微小間隔dL,dLが相互に異なっており(dL≠dL)、かくして磁力測定装置Aと磁力測定装置Bとで測定開始位置からの測定長さL,Lが相互に一致しない測定点が存在しており、
    磁力測定装置Aの測定データを基準として磁力測定装置Bの測定データを補正する場合、測定開始位置からの測定長さLと同一の測定長さL(L=L)における磁束密度値Tsが存在しない測定点については、磁力測定装置Bにおいて測定長さLの両側に最近接する2つの測定長さ(LBm,LBm+1)でそれぞれ測定された2つの磁束密度値(TsBm,TsBm+1)を直線で結び、該直線上の測定長さL相当位置における値を該磁束密度値Tsと仮想したうえで、該磁束密度値Tsと磁力測定装置Aの測定長さLにおける磁束密度値Tsとの差Ts−Ts=ΔTs(ΔTsは正または負の数値)を該測定点(Ps,Ps)における補正値とする請求項5に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
  7. 該ΔTsの範囲は、−(0.3×Ts)≦ΔTs≦+(0.3×Ts)である請求項5または請求項6に記載のマグネットロールの磁力測定データの補正方法。
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