以下、引き続き図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について説明する。理解を容易にするために、本実施形態を詳細に説明するのに先だって、本実施形態における三次元画像の表示原理と本実施形態の前提となる問題点を説明した上で、本実施形態における処理を説明する。
図1は、本実施形態における三次元画像の表示原理を示す模式図である。図1には一例として直方体が表示されている状態を模式的に示す。複数の表示パネル16のそれぞれには、図1に示される方向Aに沿って複数の発光ダイオードユニット42が一列に配列されている。各発光ダイオードユニット42は、たとえば三原色のそれぞれを発光できる発光ダイオードを含み、任意の色で発光することができるように構成されている。各表示パネル16は、発光ダイオードユニット42の配列方向Aに垂直な方向Sに移動可能に構成されている。観察者はたとえば配列方向Aおよび移動方向Sの双方に垂直な方向Cから観察する。各表示パネル16は配列方向Aに垂直な平面内において観察方向Cに交差する方向Dに沿って配列される。これは、奥に設けられた表示パネル16上の発光ダイオードユニット42から観察者に向かう光が、その手前に設けられた表示パネル16によって遮られるのを防ぐためである。
各発光ダイオードユニット42は、各表示パネル16の移動中に周期的に発光することができるように制御される。各表示パネル16の移動に伴って各発光ダイオードユニット42が発光可能とされた位置が、本表示原理における画素として機能する。各表示パネル16が移動方向Sに移動することにより、発光ダイオードユニット42の配列方向Aおよび移動方向Sに沿って画素が配列された画素面110が形成される。さらに各表示パネル16は方向Dに沿って配列されているので、立体的に画素が配列された画素群が形成される。なお、図1では最も手前の表示パネル16に対応する画素面110を一点鎖線で示す。
このとき三次元画像は次のように表示される。まず、表示させたい三次元オブジェクトから、表示パネル16の数に相当する数の二次元断面画像を抽出する。各二次元断面画像は複数の平行な平面と三次元オブジェクトとの交わりから得ることができる。このとき各画素面110内に収めて表示することができるように各画素面110上に予め設定された二次元画像表示領域111の画素数で各二次元断面画像は構成される。各二次元画像表示領域111の画素数はそれぞれ同一とされている。なお、図1では最も手前の表示パネル16に対応する二次元画像表示領域111を点線で示す。そして、抽出された複数の二次元断面画像のそれぞれを各画素面110上に設定された二次元画像表示領域111のそれぞれに対応づける。対応づけられた二次元断面画像が各表示パネル16の移動に伴って各二次元画像表示領域111に残像効果により表示されるように、各二次元断面画像を、各表示パネル16に配列された発光ダイオードユニット42ごとの画像データに変換する。この画像データに基づいて各表示パネル16の位置に応じて各発光ダイオードユニット42は明滅する。
その結果、各二次元画像表示領域111が積層された三次元画像表示領域112に三次元画像が表示される。このようにして、図1に例示された直方体のように所望の三次元オブジェクトを三次元画像表示領域112に表示することができる。
なお、上述の説明では、二次元断面画像を三次元オブジェクトから抽出しているが、これに限られない。例えば、表示させたい三次元画像を構成する複数の二次元断面画像を三次元オブジェクトを介さずに直接作成してもよい。
この表示原理においては、残像効果により画像が表示される程度に観察者の視野内を周期的に各表示パネル16が通過しなければならない。その手法としては、たとえば、各表示パネル16が直線的に往復動するものと各表示パネル16が周回運動するものとが考えられる。ところが、各表示パネルを高速に往復動させると激しい振動が生じるという問題がある。そこで、本実施形態においては周回運動を採用し、図4および図5を参照して後述するように、駆動機構を簡易に構成するために各表示パネル16が所定の軸周りに回転運動する方式とする。この場合、各表示パネル16の軌跡は互いに半径の異なる同心円筒面となり、この同心円筒面上に画素が配列される。
図2は、本実施形態における画素の配列を示す模式図である。図2に示されるように回転軸をz軸、z軸からの放射方向をr軸、回転方向をθ軸とするrθz円筒座標系を考える。上述の表示原理によれば、z軸周りに各表示パネル16が回転することに伴ってz軸を中心軸とする同心円筒面に沿った複数の画素面114上に配列された画素群が形成される。本実施形態においては、z軸を包囲するように全周にわたって画素は配列されるが、図2においては便宜上θ軸方向の角度φの領域に形成される画素だけを図示している。
各表示パネル16は一定の角速度で回転し、各発光ダイオードユニット42は周期的に発光可能に制御されるので、各画素は同心円筒面に沿ってθ軸方向に等角度間隔に配列され、各画素面114の画素数はそれぞれ等しい。したがって、θ軸方向に隣り合う画素間の距離はr軸方向の位置に応じて各画素面114ごとに異なり、z軸に近接するほど小さくなり、逆にz軸から離隔するほど大きくなる。
このようにθ軸方向に隣り合う画素間の距離がr軸方向の位置に応じて同心円筒面ごとに異なることに起因して、表示される三次元画像には以下のように歪みが生じてしまう場合があることを本願発明者は発見した。たとえば図1に示される三次元画像表示領域112により表示されたのと同様の直方体を図2に示される三次元画像表示領域116により表示することを考える。
まず直方体から表示パネル16の数に相当する数の二次元断面画像を抽出する。これらの二次元断面画像の画素数は、各画素面114上に予め設定された二次元画像表示領域115の画素数に等しくされている。各二次元画像表示領域115は、θ軸方向については基準となる動径ETからたとえば角度αの範囲の画素を含み、z軸方向についてはたとえばすべての画素を含むように設定される。そして、抽出された二次元断面画像のそれぞれを各画素面114上に設定された二次元画像表示領域115に対応づける。対応づけられた二次元断面画像は各表示パネル16の回転に伴って各画素面114に積層されて表示される。このとき、観察者は、三次元画像表示領域116に表示された直方体に相当する三次元画像を例えば観察方向Cから観察することができる。
三次元画像表示領域116においては、上述のようにr軸方向の位置がz軸から離れるほど隣り合う画素間の距離が大きくなっている。よって、各画素面114に表示される二次元断面画像はz軸からの距離が大きいほど幅広となるので、表示される三次元画像は歪んでしまう。すなわち、三次元画像表示領域116は図2においてはEFGH−PQRSにより示される領域となり、直方体は観察方向Cから見たときに左側端面EFQPと右側端面HGRSとの間に歪んで表示される。
実際には上述の歪みのほかにも歪みは生じている。平面画像である各二次元断面画像を、円筒面である各画素面114に対応づけて表示させることによる歪みである。仮に、表示対象とされた三次元オブジェクトから発光ダイオードユニット42ごとの画像データを作成する際に、例えばrθz円筒座標系への座標変換等を含む適宜の処理を行うことができれば、これらの歪みをすべて解消することも不可能ではないであろう。しかし、そのための処理量は大きくなるおそれがある。特に動画を表示する場合にはフレームごとにそのような処理をすることが必要となるために、処理量は膨大となり現実的には処理を行うことが困難となってしまう可能性がある。
本願発明者が実際に歪んで表示された三次元画像を観察した結果、上述の2種類の歪みのうちの一方が、三次元画像を観察する観察者にとっての臨場感に特に大きな影響を与えることを見出した。それは、前者のものである。すなわち、θ軸方向に隣接する画素間の距離がr軸方向の位置に応じて異なることに起因する歪みである。
引き続いて図3を参照して、観察者の臨場感に大きく影響する歪みを軽減するための本実施形態における処理を説明する。図3は、本実施形態における処理を示す概念図である。図3には、図2に示された角度αの範囲の三次元画像表示領域116が示されている。図3(a)は斜視図であり、図3(b)は図3(a)をz軸方向から見たときの平面図である。
本実施形態において歪みを軽減するためには、各二次元画像表示領域115の各々のθ軸方向の画素数が異なるように設定される。そして、互いに異なるように設定された各二次元画像表示領域115の画素数と、表示対象の三次元オブジェクトから抽出されて各二次元画像表示領域115に対応づけられる各二次元断面画像の画素数とが同一となるように各二次元断面画像は調整される。このとき、理想的には、三次元画像表示領域116のθ軸方向の端面どうしが平行となるように、各二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を調整することが好ましい。そうすれば、観察者が観察方向Cから観察したときに三次元画像の歪みが軽減して見える。
そのために、例えば最も外側の画素面114を基準円筒面として画素数を不変とし、それよりも内側の各画素面114上の二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を増加させる。最も外側の画素面114を基準円筒面とすれば、各二次元画像表示領域115に対応づけられる二次元断面画像の各々のθ軸方向の画素数を調整に伴って減少させる必要がないという点で好ましいためである。
本実施形態においては、各二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を例えば各画素面114の半径の長さに反比例して増加させる。そして、図3(b)に示されるように、対称軸TUに関して線対称となるように、各二次元画像表示領域115はθ軸方向の画素数の増加に伴って両側に広げられる。なお、対称軸TUは、基準円筒面である最も外側の画素面114上の二次元画像表示領域115に対する中心角αの二等分線である。
上述のように画素数を増加させる場合には、θ軸方向の端面どうしを平行とすることはできないものの、簡易に平行に近い状態とすることができるという点で好ましい。これは表示される三次元画像に応じて適宜選択すべき事項である。例えば三次元画像が三次元画像表示領域116の外周部には表示されずに中心付近に表示される場合には、三次元画像表示領域116のθ軸方向の端面の形状が観察者の臨場感に与える影響は小さい。よって、必ずしも三次元画像表示領域116のθ軸方向の端面どうしを完全に平行にする必要はない。
このような調整の結果、図3(a)に示されるように、θ軸方向の左側端面EFQPは、三次元画像表示領域116を広げる方向(図3中の矢印Mの方向)に線分EFを不変としたままで移動して、左側端面EFJIとなる。本実施形態においては、最も半径の大きい表示パネル16に相当する線分EFが基準位置として調整前後でθ軸方向に位置を変化させないものとされている。基準円筒面である最も外側の画素面114の画素数を変化させないので、線分EFとともに線分HGも位置は変わらない。よって、θ軸方向の右側端面HGRSは、三次元画像表示領域116を広げる方向(図3中の矢印Nの方向)に線分HGを不変としたままで移動して、右側端面HGKLとなる。
そうすると、調整前には図2に示されるようにEFGH−PQRSにより示される領域に歪んで表示された直方体は、調整後には図3における領域EFGH−IJKLに表示される。調整前の左側端面EFQPおよび右側端面HGRSに比較して、調整後の左側端面EFJIおよび右側端面HGKLは、平行に近い状態とすることができる。その結果、表示される直方体の歪みは軽減される。
なお、弧PSに対応する弦PSの長さを基準となる弦EHの長さに一致させるようにθ軸方向の画素数を増加させた場合には、調整後の弦ILの長さと弦EHの長さとは等しくなる。この場合には、調整後の左側端面EFJIおよび右側端面HGKLを平行にすることができる。
なお、本実施形態においては、各画素は空間に同心円筒面状に離散的に配列されている。このため「θ軸方向の端面」は厳密には面とはならずに、実際には各画素の離散的な配列が反映されて凹凸を有する面状の配列となる場合がある。本明細書においては、「θ軸方向の端面」およびこれに類する表現は、厳密に面を意味するものではなく、各画素の離散的な配列に伴う凹凸の存在を許容するものとする。
また、本実施形態においては、直方体を表示させる場合を一例として説明を行った。これはあくまでも理解を容易にするための例示であって、より複雑な他のさまざまな形態の三次元画像を表示する際にも本発明を適用することはもちろん可能である。
以下、図4〜図7を参照して、本実施形態に係る三次元画像表示装置1を詳細に説明する。三次元画像表示装置1を動作させることにより、図3に示されるような同心円筒面状に立体的に配列される画素群が形成され、これらの画素群により三次元画像を表示することができる。図4は、本実施形態に係る三次元画像表示装置1の斜視図である。
三次元画像表示装置1は、ベース2、回転テーブル3、複数の表示パネル16、および回転軸固定部214を含んで構成される。
ベース2は操作部200とプーリーボックス部202とを含む。操作部200の表面には、三次元画像表示装置1を操作するための液晶操作パネル216が設けられる。操作部200の内部には、図示されない制御装置等が収納されている。この制御装置により回転テーブル3の回転等の必要な制御が行われる。プーリーボックス部202には回転テーブル3を回転するための駆動機構が設けられている。
円板状の回転テーブル3の上面には複数の表示パネル16が平行に固定されている。表示パネル16はそれぞれ回転テーブル3の上面から垂直に上方に延びている。回転テーブル3の下面の中心部には回転伝達軸5が固定されている。回転伝達軸5はプーリーボックス部202に収納されている駆動機構により回転する。回転伝達軸5の回転に伴って回転テーブル3は回転する。
回転テーブル3上に多数の表示パネル16が固定されるので、三次元画像表示装置1の重心位置は比較的高くなる。そのために回転テーブルを高速に回転させると大きな遠心力が生じて回転テーブルが歪んでしまい、安定して回転することが難しくなってしまうおそれがある。そこで、本実施形態においては、回転軸固定部214で表示パネル16の上方からも固定することにより遠心力の影響を小さくして安定的に回転テーブル3を高速に回転することができるようにしている。
回転軸固定部214は、天板208、L字状固定部材206、固定軸210、および天板軸受部212を含む。円板状の天板208の下面に各表示パネル16の上部が固定される。天板208の中心部には天板軸受部212が設けられ、天板軸受部212に対して回転自在に固定軸210が接続されている。固定軸210は回転伝達軸5と同軸に配設されており、その上端はL字状固定部材206に固定される。L字状固定部材206は、固定軸210が固定された一端から水平方向に天板208の径を越えて延び、L字状に折れ曲がって鉛直方向下方に延びている。L字状固定部材206の下端はベース2に固定される。
図5は、プーリーボックス部202の要部の断面を示す概略断面図である。図5を参照して三次元画像表示装置1に搭載された駆動機構を説明する。駆動機構は、モータ218、第1タイミングプーリー224、第2タイミングプーリー226、およびタイミングベルト228等から構成されている。
プーリーボックス部202には密閉された内部空間230が形成されている。この内部空間230に第1タイミングプーリー224、第2タイミングプーリー226、タイミングベルト228等を収納することにより駆動時の騒音の外部への漏れを抑制することができる。
プーリーボックス部202の下面にはモータ218が固定されている。本実施形態においては、モータ218としてDCブラシレスモータを用いている。モータ218にはロータリーエンコーダ219が搭載されている。ロータリーエンコーダ219は、モータ218の回転と同期した回転位置信号を発生することができる。なお、ロータリーエンコーダ219が内蔵されたモータ218を用いてもよい。モータ218の出力軸220はモータ218から内部空間230に向けて延び、プーリーボックス部に配設された第1軸受232に回転自在に支持されている。出力軸220の中央部には同軸に第1タイミングプーリー224が固定されている。
第1タイミングプーリー224および第2タイミングプーリー226には、モータ218の回転を第1タイミングプーリー224から第2タイミングプーリー226へと伝達することができるようにタイミングベルト228が架け渡されている。第1タイミングプーリー224と第2タイミングプーリー226との減速比は、本実施形態では例えば1:3としている。第2タイミングプーリー226は回転伝達軸5の下部に同軸に固定されている。回転伝達軸5は、プーリーボックス部202に設けられた第2軸受234および第3軸受236により回転自在に支持されている。
このように構成されることにより、モータ218の回転は出力軸220および第1タイミングプーリー224を介してタイミングベルト228に伝達される。タイミングベルト228に伝達された回転は、さらに第2タイミングプーリー226を介して回転伝達軸5へと伝達される。このようにして、回転伝達軸5に固定されている回転テーブル3はモータ218の回転に伴って回転する。
なお、本実施形態においては、第1タイミングプーリー224、第2タイミングプーリー226およびタイミングベルト228という減速機構を介してモータ218と回転テーブル3とが接続されている。よって、回転テーブル3からの荷重がそのままモータ218にかかるのを防ぐことができる。
一方、回転伝達軸5の下端にはロータリーコネクタ222が接続されている。ロータリーコネクタ222は、固定部249と回転部248とを含んで構成されている。固定部249と回転部248とは電気的に接続された状態で所定の軸周りに互いに回転自在に接続されているので、回転する対象に電力や制御信号等を固定部249および回転部248を介して供給することができる。
ロータリーコネクタ222の回転部248が回転伝達軸5と同軸に回転することができるように、ロータリーコネクタ222の固定部249はプーリーボックス部202に固定される。固定部249には図示されない電源やロータリーエンコーダ219等からのケーブルが接続される。電力や制御信号等を供給するためのケーブル(図示せず)は、さらに回転部248から中空とされた回転伝達軸5の内部を通って回転テーブル3上に設けられた画像表示制御部250(図7参照)や各表示パネル16等に接続される。回転部248と固定部249とは電気的に接続されているので、回転テーブル3の回転中であっても各表示パネル16等に電力や制御信号等を供給することができる。
図6は、回転テーブル3上の各表示パネル16の平面配置を示す平面図である。図6には、回転テーブル3を回転軸方向から見たときの各表示パネル16の配置が示されている。各表示パネル16は、回転テーブル3を回転軸方向から見たときに略8の字状に配列されて回転テーブル3に固定され、回転テーブル3の回転軸を全体として包囲するように配列されている。
回転テーブル3上には、回転テーブル3の回転方向Tに関して順に、各々が複数の表示パネル16を含む第1表示パネル群151、第2表示パネル群152、第3表示パネル群153、および第4表示パネル群154の4つの表示パネル群が設けられる。第1表示パネル群151と第3表示パネル群153とは、回転テーブル3の回転軸に関して互いに対称に設けられている。また、第2表示パネル群152と第4表示パネル群154とは、回転テーブル3の回転軸に関して互いに対称に設けられている。本実施形態では、たとえば、各々の表示パネル群に10本の表示パネル16が含まれる。
第1表示パネル群151においては、最も回転軸に近接した表示パネル(以下、これを「第1最内部表示パネル」という。他の表示パネル群においても同様とする。)61から最も回転軸から離隔した表示パネル(以下、これを「第1最外部表示パネル」という。他の表示パネル群においても同様とする。)71へと順に、第1最内部表示パネル61の回転半径と各々の表示パネル16の回転半径との間になす角度が一定量増加するたびに、各々の表示パネル16の回転半径の長さも一定量増加して外周部に近づいていくように、各表示パネル16は、らせん状に配列されて回転テーブル3上に固定されている。すなわち、回転テーブル3の表面と回転軸との交点を原点とする2次元極座標系を考えたときに、各表示パネル16の偏角が増加するにつれて、各表示パネル16の回転半径の長さが増加するように配列されている。なお、図6において、偏角の増加する方向は、回転テーブル3の回転方向Tとする。
一方、第2表示パネル群152においては、第2最外部表示パネル72から第2最内部表示パネル62へと順に、第2最外部表示パネル72の回転半径と各々の表示パネルの回転半径との間になす角度が一定量増加するたびに、各々の表示パネル16の回転半径の長さが一定量減少して中心部に近づいていくように、各表示パネル16は、らせん状に配列されて回転テーブル3上に固定されている。すなわち、回転テーブル3の表面と回転軸との交点を原点とする2次元極座標系を考えたときに、各表示パネル16の偏角が増加するにつれて、各表示パネル16の回転半径の長さが減少するように配列されている。なお、本実施形態では、いずれの表示パネル群においても、隣り合う表示パネル16の回転半径の間になす角度は例えば4度であり、回転半径の長さは例えば4mmずつ変化する。
このような配列とすることによって、各表示パネル16上に配列された発光ダイオードユニット42から発せられる光が他の表示パネル16によって遮られることが従来よりも少なくなる。よって三次元画像表示装置1の視野角は広くなり、観察者はより広い範囲から画像を観察することができるようになる。また、表示パネル16が従来よりも多く設置されているので、表示される三次元画像が明るくなり、画像のちらつきが低減される。
各表示パネル16は、三次元画像表示装置1の仕様に応じて必要な個数の発光ダイオードユニット42を並べることができるような長さと幅を有する。各表示パネル16の発光ダイオードユニット42が並べられた面は、回転テーブル3の半径方向外側を向いている。本実施形態では、例えば表示パネル16はガラスエポキシ基板とされ、30個の発光ダイオードユニット42が8mm間隔ではんだ付けされて一列に配列されている。複数の発光ダイオードユニット42の各々は、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、および青色発光ダイオードを含み、赤色、緑色、および青色の三原色を適宜発光することにより任意の色の光を発光することが可能となるように構成されている。
各表示パネル16の外部に露出した表面は黒色とされている。これは、各発光ダイオードユニット42から発せられる光と、各発光ダイオードユニット42の周囲において外部に露出した各表示パネル16の表面とのコントラストを高めて、表示される三次元画像を観察しやすくするためである。
図7は、本実施形態における画像表示制御部250を示す制御ブロック図である。画像表示制御部250はロータリーエンコーダ219、CPLD(Complex Programmable Logic Device)258、メモリ252、マルチプレクサ254、FETアレイ256、および各発光ダイオードユニット42等を含んで構成される。
CPLD258は、ロータリーエンコーダ219、メモリ252、およびマルチプレクサ254に接続されている。CPLD258、メモリ252、およびマルチプレクサ254は回転テーブル3上に設けられる。CPLD258とロータリーエンコーダ219とはロータリーコネクタ222を介して接続される。メモリ252には、三次元画像を表示するための画像データが予め記憶されている。本実施形態においては、回転方向に隣接する画素間の距離が表示パネル16ごとに異なることに起因する三次元画像の歪みを軽減するように調整された画像データがメモリ252に記録されている。メモリ252としては、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いることができる。
ロータリーエンコーダ219は、回転中の位置を示す信号をCPLD258に送信する。ロータリーエンコーダ219からの信号を受信したCPLD258は、メモリ252のアドレスを決定する。そうすると、メモリ252からマルチプレクサ254にそのアドレスの画像データが出力される。それとともに、CPLD258は、FETアレイ256上の指定のFETが接続されるようにスイッチを切り替えるための制御信号をマルチプレクサ254に送信する。CPLD258からの制御信号により、マルチプレクサ254は、メモリ252から入力された画像データをFETアレイ256上の指定されたFETに供給する。メモリ252から出力された画像データは、指定されたFETに接続されている発光ダイオードユニット42へと供給される。発光ダイオードユニット42はその画像データに基づいて点灯または消灯する。その結果、同心円筒面状に配列された画素群に三次元画像が表示される。
なお、FETアレイ256上の指定されたFETのゲートにマルチプレクサ254から入力される電圧を制御することにより、FETのドレインから出力される電流を制御することができる。これにより発光ダイオードユニット42に含まれる各発光ダイオードを所望の輝度で発光させることができる。また、このときFETの入力容量であるコンデンサに電荷が蓄積される。よって、マルチプレクサ254においてスイッチが切り替わってOFFとされた後も、蓄積された電荷により引き続き発光ダイオードの輝度を維持することができる。
図8は、本実施形態に係る三次元画像表示装置1に三次元画像を表示した状態を示す模式図である。図8には三次元画像として例えば自動車80を表示した状態を示す。自動車80を表示するための画像データは、歪みを軽減するための処理が予め実行されたものとなっている。この画像データは、画像表示制御部250のメモリ252に予め記録されている。
上述の三次元画像表示装置1においては、モータ218などからなる駆動機構が回転テーブル3とともに各表示パネル26を回転させることにより、各表示パネル16のらせん状の配列に対応する同心円筒面状の画素群が立体的に形成される。回転している間、ロータリーエンコーダ219は回転テーブル3の回転位置をCPLD258に出力する。CPLD258は、ロータリーエンコーダ219から入力された回転位置に基づいて、メモリ252に予め記録された画像データをそれぞれの発光ダイオードユニット42に供給する。その結果、各表示パネル16上の各発光ダイオードユニット42は表示されるべき三次元画像に対応して点灯または消灯し、三次元画像表示装置1の外部のどの方向からでも観察することができる三次元画像が表示される。
なお、回転テーブル3が高速に回転するために各表示パネル16は視認されにくい。よって、表示される自動車80は、三次元画像表示装置1の内部の空間に浮かんでいるように見える。なお、三次元画像表示装置1の動作中に画素が形成される領域を図8において一点鎖線で示す。
本実施形態においては、二次元断面画像の円周方向の画素数を調整するという簡易な処理を予め行うことにより、各二次元断面画像は円周方向に拡大されて二次元画像表示領域115に表示される。その結果、円周方向に隣接する画素間の距離が同心円筒面ごとに異なることに起因する三次元画像の歪みを軽減することができる。歪みが軽減されることにより、観察者にとっての臨場感にを損なうことが抑制され、実用性の高い三次元画像表示方法および三次元画像表示装置が提供される。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そうした例をあげる。
本実施形態においては、各画素面114の半径に反比例して各二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を増加させるとしたが、これに限られない。例えば、各二次元画像表示領域115に対する中心角に着目してもよい。すなわち、隣接する同心円筒面の各々に割り当てられた二次元画像表示領域115が円周方向において占める角度範囲が、隣接する同心円筒面のうち半径のより小さい円筒面における二次元画像表示領域115の角度範囲に包含されるように、各二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を設定してもよい。このようにしても、本実施形態と同様に三次元画像の歪みを軽減することができる。
本実施形態においては、最も外側の画素面114を基準円筒面としたが、これに限られない。基準円筒面として他の画素面114のいずれかを適宜選択し、基準円筒面よりも内側の画素面114上の二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を増加させてもよい。それとともに、基準円筒面よりも外側の画素面114上の二次元画像表示領域115のθ軸方向の画素数を減少させてもよい。なお、基準円筒面としては各画素面114のいずれかを適宜選択してもよいし、各画素面114のいずれとも半径が異なる同心円筒面から仮想的に設定してもよい。
また、本実施形態においては、歪みを軽減する処理が施された画像データを予めメモリ252に記録している。しかし、歪みを軽減するための本発明による処理が施されていない画像データに対して三次元画像を表示するときに本発明の処理を実行するようにしてもよい。
さらに本実施形態においては、各表示パネル16は円周上を運動するように構成され同心円筒面状に立体的に画素群が形成されているが、これに限られない。例えばレーストラック状の軌道のように半円や円弧などの円周の一部を含む周回軌道に沿って各表示パネル16を運動させて立体的に画素群を形成する場合にも、本発明を適用して三次元画像の歪みを軽減することが可能である。
1 三次元画像表示装置、 2 ベース、 3 回転テーブル、 5 回転伝達軸、 16 表示パネル、 42 発光ダイオードユニット、 114 画素面、 115 二次元画像表示領域、 116 三次元画像表示領域、 202 プーリーボックス部、 219 ロータリーエンコーダ、 250 画像表示制御部、 252 メモリ、 258 CPLD。