JP4649290B2 - 工程管理システムおよび工程管理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保守または点検作業の工程を管理するシステムおよび方法に係り、特に、点検周期の変更等の影響を加味したリスク管理を行う工程管理システムおよび工程管理方法に関する。
一般に、プラントでは、プラント運転中は、機器の運転状態が大きく変化することは少ないものの、定期検査中は、プラント内の機器を、運転もしくは待機、停止状態にして点検・検査を行っている。それをある瞬間ごとに捉えた場合、プラントの安全性が低下する瞬間も存在することは否定できない。このような観点からプラントのリスク管理を行う技術が存在する。
プラントのリスク管理を行う従来技術としては、例えば、特許文献1に示されるように、信頼性評価システムと、工程管理システムを連携して、工程のリスクを算出し、問題作業を抽出するという技術がある。
特許文献1記載のシステムおよび方法では、FTA(Fault Tree Analysis)を用いた信頼性評価システムと工程管理システムを連携して、ある時点の工程上に記載されている作業および機器の運転状態を参照する。そして、FT(Fault Tree)の基本事象に0または1という確率として代入する一方、FT以外の基本事象に対しては故障率データベースの値を代入する。かかる処理を行う結果、頂上事象の発生確率を計算することができる。
ある時点における発生確率の計算処理を工程の全ての時間軸に対して実施すれば、工程の時間軸に沿って変動する頂上事象の発生確率を算出することができる。また、算出した発生確率を工程の時間軸に沿って表示することで、工程上のリスクを表示することができる。
特開2003−67043号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されるシステムおよび方法では、機器の点検周期の変更により、ある定期検査において実施が見送られ、次回の定期検査で実施するように計画された点検の影響を評価することができなかった。
また、故障率データベースの故障データも、機器ごとに固定の確率密度関数を有しており、点検周期の延長等により生じ得る故障率上昇の影響を加味したものではなかった。
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、機器の部品レベルまで考慮して、点検周期の延長等による影響を工程リスクという尺度で評価することができる工程管理システムおよび工程管理方法を提供することを目的とする。
本発明に係る工程管理システムは、上述した課題を解決するため、請求項1に記載したように、点検で収集した各種測定値と測定日時を編集可能な点検結果記録編集部と、計画中および実施済みの点検件名をその属性と共に編集可能な点検実績及び計画件名・属性編集部とを備える設備管理手段と、前記点検実績及び計画件名・属性編集部が編集した点検件名を引用して作業の実施計画を編集可能な工程編集部と、この工程編集部が編集した作業に対して当該作業の資源情報および備考情報を属性として編集可能な工程属性編集部と、前記工程編集部と前記工程属性編集部が編集したデータに基づき時間軸に沿って工程を表示する工程表示部と、前記工程属性編集部が編集したデータを工程の時間軸と同一時間軸上にグラフ表示するグラフ表示部とを備える定期点検工程管理手段と、頂上事象から基本事象へ階層的に事象と要因の関係として展開して論理記号で結合したフォールトツリー構造を編集可能なフォールトツリー編集部と、このフォールトツリー編集部が作成したフォールトツリーデータをブール代数による論理式に変換するフォールトツリー−ロジック変換部と、前記点検結果記録編集部が編集した各種測定値の傾向を把握し、前記点検実績及び計画件名・属性編集部が編集した計画中および実施済みの点検件名と個々の点検件名に対して計算された点検間隔を元に基本事象に確率密度関数を編集可能な基本事象確率編集部と、この基本事象確率編集部に入力された確率密度関数に基づき値を発生させる基本事象確率分布発生部と、前記フォールトツリー−ロジック変換部が導出したブール代数に前記基本事象確率分布発生部が発生させた値を入力して頂上事象の発生確率を計算する頂上事象発生確率計算部と、この頂上事象発生確率計算部が求めた頂上事象の発生確率に個々の基本事象がどの程度影響を与えるかを解析する重要度分析実施部とを備える信頼性評価支援手段と、前記基本事象確率編集部と前記工程属性編集部のデータを比較する属性照合部と、前記属性照合部が比較したデータにおいて互いに符合する事象が互いに整合する発生確率となるように確率データおよび基本事象名を変換可能な属性・確率変換部と、前記頂上事象発生確率計算部が求めた頂上事象の発生確率と閾値とを比較した結果を前記工程表示部に反映させる閾値−確率比較部と、前記重要度分析実施部の結果を影響の大きなものから順に前記工程表示部に反映させる重要度分析解析部とを備える付帯手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る工程管理方法は、上述した課題を解決するため、請求項8に記載したように、点検の実施計画、作業の実施計画および前記作業に対する資源情報および備考情報の少なくとも一方を有する属性の編集を受け付け、受け付けた内容に基づき前記点検の実施計画、作業の実施計画および属性の少なくともいずれかを編集する処理と、編集された作業および属性に基づき時間軸に沿って工程を表示する処理と、頂上事象から基本事象へ階層的に事象と要因の関係として展開して論理記号で結合したフォールトツリー構造の編集を受け付け、受け付けた内容に基づき前記フォールトツリー構造を編集する処理と、編集されたフォールトツリー構造のデータをブール代数による論理式に変換する処理と、前記基本事象に時間関数にした確率密度関数の編集を受け付け、受け付けた内容に基づき前記確率密度関数を編集する処理と、前記確率密度関数が編集された基本事象と前記属性が編集された作業とを比較し、互いに符合する事象が互いに整合する発生確率となるように確率データおよび基本事象名の少なくとも一方を変換する処理と、前記基本事象名および確率データの少なくとも一方を変換した後の基本事象の確率密度関数に基づき値を発生する処理と、この発生した値に基づき、頂上事象の発生確率を計算する処理と、この計算した発生確率と閾値とを比較し、その結果を反映して前記表示した工程上にリスク表示を加えて表示する処理とを備え、前記確率密度関数を編集する処理は、前記前記点検の実施計画、作業の実施計画および属性の少なくともいずれかを編集する処理で点検周期の変更を伴う場合、当該点検周期の変更後の点検周期に基づく確率密度関数に編集する処理であることを特徴とする。
本発明に係る工程管理システムおよび工程管理方法によれば、点検で収集した各種測定値および測定日時を編集できると共に、計画中および実施済みの点検件名をその属性と共に編集できるので、点検間隔に応じた基本事象の確率密度の作成が可能となり、リスクが相対的に高い工程を抽出することができる。
以下、本発明に係る工程管理システムおよび工程管理方法の実施の形態について、添付した図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係る工程管理システムの一実施例である工程管理システム1の構成を概略的に表した概略図である。
工程管理システム1は、例えば、発電プラントでなされる保守または点検作業における工程管理を支援するために用いられる。なお、工程管理システム1は、上記例に限定されることなく適用できるシステムであるが、以下の説明は、発電プラントの保守または点検作業の工程を管理するために工程管理システム1が用いられる場合を例として説明する。
図1に示すように、工程管理システム1は、設備管理手段2と、定期点検工程管理手段3と、信頼性評価支援手段4と、付帯手段5とを具備する。
設備管理手段2は、発電所で行われる点検の計画および実績、点検の結果測定されたデータおよび機器の運転データ等の設備情報を入力、編集、表示、保存する機能を有する。
定期点検工程管理手段3は、発電所で行われる工程計画や作業の実績を入力、編集、表示、保存する機能を有する。
信頼性評価支援手段4は、FTA(Fault Tree Analysis)を利用して、フォールトツリーを図的に記入し、シミュレーションを行って頂上事象の発生確率を算出する機能を有する。ここで、「頂上事象」とは、対象とするシステムまたはプラントの運用または動作上の好ましくない事象をいう。
付帯手段5は、定期点検工程管理手段3および信頼性評価支援手段4を連携する処理手段であり、データ変換機能を有する。すなわち、定期点検工程管理手段3から受け取ったデータを信頼性評価支援手段4が利用できるデータ形式に変換する、または、信頼性評価支援手段4から受け取ったデータを定期点検工程管理手段3が利用できるデータ形式に変換することができる。
なお、本明細書中で用いる「手段」、「システム」とは、コンピュータ処理装置、その入出力手段、記憶手段を総称したものである。また、物理的に一つのコンピュータである場合の他に、分散したコンピュータがデータ通信によって接続されている場合を含む。
続いて、工程管理システム1の設備管理手段2、定期点検工程管理手段3、信頼性評価支援手段4および付帯手段5のさらに詳細な構成について説明する。
設備管理手段2は、点検結果記録編集部7と、点検実績及び計画件名・属性編集部8とを備える。ここで、「部」とは「手段」の下位構成要素であり、個別の装置あるいはソフトウェアのモジュールによって制御されるコンピュータを意味する。
設備管理手段2の点検結果記録編集部7は、巡回点検および分解点検等の全ての点検データを編集する機能を有し、点検データをプラントの機器または部品単位で分類して編集を行い得るように構成される。なお、本実施の形態における「編集」には、「入力」も含まれるものとする。
また、点検結果記録編集部7は、入力インターフェースを有しており、ユーザは、点検結果記録編集部7を介して巡回点検および分解点検等の全ての点検データを入力することができる。
さらに、点検結果記録編集部7は、プラントの機器の点検データ(振動等の運転データ)と部品の点検データとの相関を調べるべく統計処理を行う機能および上記統計処理結果をグラフ表示する機能を有し、機器の点検データと部品の点検データとの相関を調べ、その結果をユーザに提示することができるように構成されている。
点検実績及び計画件名・属性編集部8は、計画および実施済みの点検件名を、その属性と共に編集する機能を有し、計画または実施済みの点検件名の編集を属性と共に行い得るように構成されている。
また、点検実績及び計画件名・属性編集部8は、入力インターフェースを有しており、ユーザは、点検実績及び計画件名・属性編集部8を介して計画および実施済みの点検件名を、その属性と共に入力することができる。
定期点検工程管理手段3は、工程編集部10と、工程属性編集部11と、グラフ表示部12と、工程表示部13とを備える。
定期点検工程管理手段3の工程編集部10は、点検実績及び計画件名・属性編集部8の点検計画を満たすように、作業の実施計画を時系列にしたがって編集することができるように構成されている。
工程属性編集部11は、工程編集部10が編集した個々の工程・作業に資源情報や備考情報を属性として編集することができるように構成されている。
なお、工程属性編集部11は、人的過誤確率を算出可能な属性(以下、人的過誤属性とする)を編集することができる。人的過誤属性は、機器の故障とは別に人的過誤によって障害が発生する可能性がある場合に、その工程にその情報を入力するようにする。人的過誤属性を有する工程は障害の発生確率に反映される。
グラフ表示部12は、工程属性編集部11が編集した数値データに基づき時系列に表示された工程と同期(同一時間軸上で時間的に一致)させて、個々の工程に入力された属性として資源情報(数値データ)を計算し、同時間軸グラフに表示することができるように構成されている。
工程表示部13は、工程編集部10と工程属性編集部11が編集したデータに基づき工程を時系列に表示することができるように構成されている。
なお、工程編集部10と工程表示部13は、工程の編集と工程の表示とが同時に行われるインターフェースを備えることが好ましい。工程の編集および表示が同時に行われるインターフェースを備える場合には、工程の編集と表示とが同時に行われるので、ユーザは、工程の編集作業をより簡単に行うことができる。
信頼性評価支援手段4は、フォールトツリー編集部15と、フォールトツリー−ロジック変換部16と、基本事象確率編集部17と、基本事象確率分布発生部18と、頂上事象発生確率計算部19と重要度分析実施部20とを備える。
フォールトツリー編集部15は、頂上事象から基本事象へ階層的に事象と要因の関係として展開して論理記号で結合したフォールトツリー構造を図的に編集することができるように構成されている。ここで、「基本事象」とは、要因をそれ以上求めることができない事象をいう。
フォールトツリー−ロジック変換部16は、フォールトツリー編集部15が作成したブール代数に基づいてフォールトツリーを論理式に変換することができるように構成されている。
基本事象確率編集部17は、基本事象に確率密度関数を編集するための「部」であって、個々の基本事象に対し対数正規分布の中央値とエラーファクターを与えることができるように構成されている。
基本事象確率分布発生部18は、基本事象確率編集部17が編集した個々の基本事象に対して設定された対数正規分布の中央値とエラーファクターに基づきランダムに確率を発生させることができるように構成されている。
頂上事象発生確率計算部19は、フォールトツリー−ロジック変換部16で導き出されたブール代数に基本事象確率分布発生部18で発生させた基本事象の発生確率を代入し、頂上事象の発生確率密度関数の計算を行い頂上事象の発生確率を求めることができるように構成されている。
なお、基本事象確率分布発生部18は、好ましくはモンテカルロ手法によってランダムに基本事象の発生確率を発生させるが、モンテカルロ法に代えて基本事象の発生確率分布の対数正規分布の中央値で発生確率を発生させ、頂上事象発生確率計算部19により前記基本事象の中央値から近似的に頂上事象の発生確率の中央値を算出するモードを有することができる。このモードは、計算が簡便になる利点を有する。
重要度分析実施部20は、頂上事象発生確率計算部19で求められた頂上事象の発生確率に個々の基本事象がどの程度影響を与えるかを解析する手段を有し、基本事象の故障率を変動させることで頂上事象の発生確率の寄与度を計算することができるように構成されている。
付帯手段5は、属性照合部22と、属性・確率変換部23と、閾値−確率比較部24と、重要度解析比較部25とを備える。
属性照合部22は、工程編集部10または工程属性編集部11により編集された工程が意味する事象(作業)と基本事象確率編集部17において入力されたFTAの基本事象とを照合し、同一事象もしくは背反事象であるかどうかを比較判定することができるように構成されている。
属性・確率変換部23は、属性照合部22で工程が意味する事象(作業)とFTAの基本事象が同一事象もしくは背反事象(この両者は、全く関係のない事象と区別してまとめて「符合する事象」ということにする)と比較判定された場合に、互いに符合する事象が互いに整合する発生確率となるようにデータ(確率データまたは基本事象名)を変換することができるように構成されている。
具体的には、同一機器において定期点検工程管理手段3の作業名が「全開」であるならばその時点での「全開」の確率は1.0である。そして、信頼性評価支援手段4の基本事象名が全開であるならば、それらはリンクでき、基本事象の発生確率も1.0と考えることができる。反対に、信頼性評価支援手段4の基本事象名が「全開でない」であるならば、両者の関係は背反であると考えることができ、基本事象名を反転(排反事象名に変換)させて確率をそのままとするか、基本事象名をそのままとして基本事象の発生確率を1.0−1.0=0.0とするかのどちらかを選択することができる。
なお、人的過誤発生の属性を有する事象については、属性照合部22によって抽出され、属性・確率変換部23によって発生確率データの変換に反映される。
閾値−確率比較部24は、頂上事象発生確率計算部19で求められた頂上事象の発生確率が指定した閾値以上である場合に、その情報を工程表示部13に伝達し、工程表示部13の表示に反映させることができるように構成されている。すなわち、工程表示部13に発生確率が閾値以上となる工程(事象)には注意を促す表示(以下、「リスク表示」とする)をさせることができる。
重要度解析比較部25は、重要度分析実施部20で求められた結果を基本事象の重要度順に並べ、ある条件で閾値を決めて、その閾値以上である場合にその情報を工程表示部13に伝達することができるように構成されている。
なお、工程編集部10は、好ましくは、フォールトツリー編集部15で入力された事象名を参照し、工程バーの名称とすることができるようにする。「フォールトツリー編集部15で入力された事象名を参照し、工程バーの名称とする」とは、一例として機器名等をキーとして工程編集部10が編集した工程に対応する事象を検索し、工程バーの名称の候補として工程編集部10の画面上に表示し、ユーザに選択させることが考えられる。さらに、工程の名称と基本事象が統一されることにより、属性・確率変換部23の負荷(処理データ量)を減らすことができる。
次に、本発明の実施の形態に係る工程管理方法を説明する。
まず、例えば、図2に示す点検データを点検結果記録編集部7で階層的に入力する。
「階層的に入力」とは、プラントから部品に至る構成の階層にとどまらず、入力範囲や点検データを俯瞰する目的に応じて階層を変化させて表示させることも包含する。
例えば、プラントの全ての機器や部品まで詳細化して、網羅的にデータを入力および俯瞰するためには、プラントの構成要素を細分化し、プラント⇒系統⇒機器⇒部品という階層をもたせることが適切となる。
また、特定部品に着目して点検データを入力するためには、部品⇒プラント⇒系統⇒機器という階層をもたせることが適切となる。
特定機器に着目して、プラント間の点検データの相違を確認する場合には、系統⇒機器⇒部品⇒プラントという階層をもたせることが適切となる。
これらの階層を目的に応じて選択可能とし、点検データを入力および俯瞰することを可能とする。
点検データは、部品・機器・系統の全てに対して入力可能とする。その結果、機器(もしくは系統)の点検データ(振動等の運転データ)と部品の点検データを比較し、適切な点検周期を算出することが可能となる。
次に、点検実績及び計画件名・属性編集部8で点検計画および実績を「階層的に入力」する。
図3、4に示すように、定期検査(以下、定検とする)の回数(定検回数)もしくは対象機器の階層を選択して点検件名を表示することができる。
図4の対象機器ごとの表示ができるということは、実際の点検間隔を算出することができるということなので、個々の件名にその点検間隔を自動計算し、属性として登録する。
図5に示す工程と点検実績及び計画件名・属性編集部8で入力した検査件名を工程編集部10で図的に入力したとする。「図的に入力」とは、例えばコンピュータ画面上で線A(「バー」または「工程バー」)を引くようにすることである。
入力されたデータは、図6のように作業(検査)名称と開始日時と終了日時のデータの形にすることができる。そして、個々のデータ(「バー」または「工程バー」)に対して、工程属性編集部11により備考情報や資源情報などの属性を追加入力すると、入力されたデータは図7のように格納される。
なお、資源情報には投入人工や使用クレーン等の情報を入力でき、資源情報に「レベル−1.0」と記載した場合は、個々のバーと同じ期間において該当の資源を一様に1.0使用することを意味する。
次に、入力されたデータに基づき工程表示部13において工程を表示する。
表示は図6と全く同じ表示である場合もあるが、機器番号や会社名といった備考情報を工程のバーに付帯させて表示させることも可能である。入力画面と同じ期間を表示したいとは限らないので、一般的なOSの機能と同様に拡大・縮小を可能とする。表示期間移動はスクロールバーを用いて可能とする。
グラフ表示部12は、工程表示部13の画面の上もしくは下に配置させ、時間軸の表示期間、スケールは工程のものと全く同一とする。グラフの表示形式は、資源ごと(投入人工、使用クレーン別)に表示することも、合計して表示することも可能とする。
フォールトツリー編集部9では、図8のようにフォールトツリーを編集可能なように、四角や論理記号の部品をモジュールとして準備しておき、ドラッグして引用可能なようにGUIを作成する。図8のように入力されたフォールトツリーのデータは、図9のような構造で保存される。
フォールトツリー−ロジック変換部16では、図9のデータの場合、以下のようなブール代数となる。
[数1]
A=D×E+F×G
点検実績及び計画件名・属性編集部8で入力された点検件名の点検間隔の場合に、基本事象の確率密度関数がどのような中央値とエラーファクターを有するかを点検結果記録編集部7の点検データを元に統計処理もしくはグラフ表示をすることによって判断し、基本事象確率編集部17で、基本事象に対しそれぞれ中央値とエラーファクターを与え対数正規分布を定義する。基本事象のなかで同一の事象(A=B)、背反の事象(1=A+B)を名称もしくは備考情報から判断し、中央値とエラーファクターは個々の故障モード、人的過誤のモードごとに与えるものとする。
基本事象確率分布発生部18では、基本事象確率編集部17で定義された対数正規分布に従いモンテカルロ手法によりランダムに確率を発生させる。その値を、
(基本事象Dの確率1、基本事象Eの確率1、基本事象Fの確率1、基本事象Gの確率1)
(基本事象Dの確率2、基本事象Eの確率2、基本事象Fの確率2、基本事象Gの確率2)
: : : :
(基本事象Dの確率n、基本事象Eの確率n、基本事象Fの確率n、基本事象Gの確率n)
というセットで保持する。
頂上事象発生確率計算部19では、基本事象確率分布発生部18で保持されたセットごとに、フォールトツリー−ロジック変換部16で作成されたブール代数へ代入し計算を行う。その計算結果の集合を再度対数正規分布に当てはめ、中央値とエラーファクターを求める。
重要度分析実施部20では、基本事象の中央値のセット
(基本事象Dの中央値、基本事象Eの中央値、基本事象Fの中央値、基本事象Gの中央値)と
(基本事象Dの中央値−1エラーファクター、基本事象Eの中央値、基本事象Fの中央値、基本事象Gの中央値)
(基本事象Dの中央値、基本事象Eの中央値−1エラーファクター、基本事象Fの中央値、基本事象Gの中央値)
(基本事象Dの中央値、基本事象Eの中央値、基本事象Fの中央値−1エラーファクター、基本事象Gの中央値)
(基本事象Dの中央値、基本事象Eの中央値、基本事象Fの中央値、基本事象Gの中央値−1エラーファクター)を比較し、
(基本事象Dの中央値、基本事象Eの中央値、基本事象Fの中央値、基本事象Gの中央値)との差が大きいものから記録する。
属性照合部22では、基本事象確率編集部17で入力された機器名称(もしくは機器番号)と機器状態(もしくは故障モード)のセット
(機器名称、機器状態)
と、工程編集部10および工程属性編集部11で入力された機器名称と機器状態のセット
(機器名称、機器状態)
を照合し、同一機器において機器状態が同一もしくは背反事象のものを抽出する。
属性・確率変換部23では、上記の定期点検工程管理手段3側のセット(機器名称、機器状態)と信頼性評価支援手段4側のセット(機器名称、機器状態)の整合性をとるために変換を行う。例えば、定期点検工程管理手段3側のセットが(機器A、停止)で、信頼性評価支援手段4側のセットが(機器A、停止)であれば変換の必要はない。定期点検工程管理手段3側の事象は確率1.0でその事象が発生するという意味なので、信頼性評価支援手段4側の基本事象確率編集部17へ対数正規分布ではなく、定数1.0を当てはめる。
しかし、信頼性評価支援手段4側のセットが(機器A、運転)の場合には、そのままでは排反事象であり都合が悪いため変換を行う。信頼性評価支援手段4側と定期点検工程管理手段3側のどちらかの事象を排反事象に変換すればよいが、ここでは信頼性評価支援手段4側を変換する。具体的な操作としては、定期点検工程管理手段3側の事象は確率1.0でその事象が発生するという意味なので、信頼性評価支援手段4側の基本事象確率編集部17へ対数正規分布ではなく、定数0.0を当てはめるのみである。
閾値−確率比較部24では、頂上事象発生確率計算部19で計算された中央値と閾値を比較し中央値が閾値よりも大きければ警告として工程表示部13の該当するバーを警報色に変換する。
また、重要度解析比較部25では、閾値−確率比較部24で中央値が閾値よりも大きい場合には、重要度分析実施部20で記録されている(基本事象Dの中央値、基本事象Eの中央値、基本事象Fの中央値、基本事象Gの中央値)との差が大きいものを定期点検工程管理手段3と照合し、該当するバーが見つかれば工程表示部13の該当するバーを警報色に変換する。
本発明の実施の形態によれば、ユーザが設備管理手段2によって点検件名やその関連情報を入力し、その情報に基づき定期点検工程管理手段3によって工程(作業)やその関連情報を入力すると、信頼性評価支援手段4によって点検間隔に応じて基本事象の確率密度を作成できるため、リスクが相対的に高い工程が自動的に表示され、ユーザに工程の組み替えや点検の前倒しを促したり、作業者に注意を促したりすることができる。
より具体的には、点検結果記録編集部7の点検データを参照して、基本事象確率編集部17において点検間隔の変更に見合った基本事象の発生確率を定義することができ、解析の精度が上昇すると共に、重要な機器において点検間隔が拡大した場合には、工程リスクが上昇し、過大な点検間隔の抽出が可能となる。
また、点検結果記録編集部7の点検データを参照しながら、基本事象確率編集部17で基本事象の確率密度関数を登録することができるため、状況に合い、正確な確率密度関数を登録することができる。
さらに、基本事象確率編集部17で基本事象の確率密度関数を登録するモードを有するので、点検結果記録編集部の点検データを参照せずに、他のデータを用いて妥当な確率密度関数を登録することができる。すなわち、点検結果記録編集部に点検データが蓄積されていなかった、あるいは、通常ありえない外的要因により変則的な点検データが記録されたとしても、妥当な確率密度関数を用いた計算が可能となる。
さらにまた、点検実績及び計画件名・属性編集部8には、計画および実績を含め点検に関わる全件名が登録されているため、特定の定検において工程リスクが集中した場合には、他の定検に工程リスクを分散し、全ての定検が軽微な工程リスクになるように配分することができる。
一方、本発明の実施の形態に係る工程管理システムによれば、人的過誤の管理を支援することができ、計算された頂上事象の確率の精度を上げることができる。
また、基本事象の発生確率分布の中央値から頂上事象の中央値を近似的に求めるモードを有するので、短時間で計算を行うことができ、繰り返して工程を調整する計画段階では検討時間の短縮を図ることができる。
さらに、工程編集部10と工程表示部13の同時編集・表示のインターフェースを有するので、工程編集部10と工程表示部13の画面を切り替えることなく検討を行えるため、工程管理の検討時間の短縮を図ることができる。
さらにまた、工程編集時にフォールトツリー編集部15の事象名を参照できるので、属性・確率変換部23での計算機負荷を減らすことができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
本発明に係る工程管理システムの実施の形態を表した概略図。 本発明に係る工程管理システムの点検結果記録編集部の点検データの一例を示した説明図。 本発明に係る工程管理システムの点検実績及び計画件名・属性編集部の画面表示の一例を示した説明図。 点検実績及び計画件名・属性編集部の画面表示の一例を示した説明図。 工程編集部の画面の一例を示した説明図。 工程編集部のデータの一例を示した説明図。 工程属性編集部のデータの一例を示した説明図。 フォールトツリー編集部の画面の一例であり、画面に表示されるフォールトツリー構造の一例を示した説明図。 図8に示すフォールトツリー構造のデータ内容を示した説明図。
符号の説明
1 工程管理システム
2 設備管理手段
3 定期点検工程管理手段
4 信頼性評価支援手段
5 付帯手段
7 点検結果記録編集部
8 点検実績及び計画件名・属性編集部
10 工程編集部
11 工程属性編集部
12 グラフ表示部
13 工程表示部
15 フォールトツリー編集部
16 フォールトツリー−ロジック変換部
17 基本事象確率編集部
18 基本事象確率分布発生部
19 頂上事象発生確率計算部
20 重要度分析実施部
22 属性照合部
23 属性・確率変換部
24 閾値−確率比較部
25 重要度分析解析部

Claims (13)

  1. 点検で収集した各種測定値と測定日時を編集可能な点検結果記録編集部と、計画中および実施済みの点検件名をその属性と共に編集可能な点検実績及び計画件名・属性編集部とを備える設備管理手段と、
    前記点検実績及び計画件名・属性編集部が編集した点検件名を引用して作業の実施計画を編集可能な工程編集部と、この工程編集部が編集した作業に対して当該作業の資源情報および備考情報を属性として編集可能な工程属性編集部と、前記工程編集部と前記工程属性編集部が編集したデータに基づき時間軸に沿って工程を表示する工程表示部と、前記工程属性編集部が編集したデータを工程の時間軸と同一時間軸上にグラフ表示するグラフ表示部とを備える定期点検工程管理手段と、
    頂上事象から基本事象へ階層的に事象と要因の関係として展開して論理記号で結合したフォールトツリー構造を編集可能なフォールトツリー編集部と、このフォールトツリー編集部が作成したフォールトツリーデータをブール代数による論理式に変換するフォールトツリー−ロジック変換部と、前記点検結果記録編集部が編集した各種測定値の傾向を把握し、前記点検実績及び計画件名・属性編集部が編集した計画中および実施済みの点検件名と個々の点検件名に対して計算された点検間隔を元に基本事象に確率密度関数を編集可能な基本事象確率編集部と、この基本事象確率編集部に入力された確率密度関数に基づき値を発生させる基本事象確率分布発生部と、前記フォールトツリー−ロジック変換部が導出したブール代数に前記基本事象確率分布発生部が発生させた値を入力して頂上事象の発生確率を計算する頂上事象発生確率計算部と、この頂上事象発生確率計算部が求めた頂上事象の発生確率に個々の基本事象がどの程度影響を与えるかを解析する重要度分析実施部とを備える信頼性評価支援手段と、
    前記基本事象確率編集部と前記工程属性編集部のデータを比較する属性照合部と、前記属性照合部が比較したデータにおいて互いに符合する事象が互いに整合する発生確率となるように確率データおよび基本事象名を変換可能な属性・確率変換部と、前記頂上事象発生確率計算部が求めた頂上事象の発生確率と閾値とを比較した結果を前記工程表示部に反映させる閾値−確率比較部と、前記重要度分析実施部の結果を影響の大きなものから順に前記工程表示部に反映させる重要度分析解析部とを備える付帯手段とを具備することを特徴とする工程管理システム。
  2. 前記点検結果記録編集部は、機器の部品レベルの故障モード・測定項目・点検結果時系列データ、機器レベルでの振動等の時系列データおよび故障履歴を編集し、部品レベルと機器レベルでの時系列データを統計処理およびグラフ表示のいずれかを行うことで両者の相関を解析するように構成され、
    前記基本事象確率編集部は、前記点検結果記録編集部が解析した結果を参照して基本事象に確率密度関数を編集可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の工程管理システム。
  3. 前記基本事象確率編集部は、前記点検結果記録編集部が解析した結果を参照することなく、基本事象の確率密度関数を編集するモードを有することを特徴とする請求項1記載の工程管理システム。
  4. 前記工程属性編集部において人的過誤確率を算出可能な属性を与え、人的過誤確率を抽出しその値を前記属性・確率変換部で変換することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の工程管理システム。
  5. 前記基本事象確率分布発生部は、対数正規分布の中央値を発生するように構成され、
    前記頂上事象発生確率計算部は、前記対数正規分布の中央値から近似的に頂上事象の中央値を算出するモードを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の工程管理システム。
  6. 前記工程編集部および前記工程表示部の少なくとも一方は、工程の編集と工程の表示とを同時に行うことのできるインターフェースを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の工程管理システム。
  7. 前記工程編集部は、前記フォールトツリー編集部で入力された事象名を参照して工程バーの名称とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の工程管理システム。
  8. 点検の実施計画、作業の実施計画および前記作業に対する資源情報および備考情報の少なくとも一方を有する属性の編集を受け付け、受け付けた内容に基づき前記点検の実施計画、作業の実施計画および属性の少なくともいずれかを編集する処理と、
    編集された作業および属性に基づき時間軸に沿って工程を表示する処理と、
    頂上事象から基本事象へ階層的に事象と要因の関係として展開して論理記号で結合したフォールトツリー構造の編集を受け付け、受け付けた内容に基づき前記フォールトツリー構造を編集する処理と、
    編集されたフォールトツリー構造のデータをブール代数による論理式に変換する処理と、
    前記基本事象に時間関数にした確率密度関数の編集を受け付け、受け付けた内容に基づき前記確率密度関数を編集する処理と、
    前記確率密度関数が編集された基本事象と前記属性が編集された作業とを比較し、互いに符合する事象が互いに整合する発生確率となるように確率データおよび基本事象名の少なくとも一方を変換する処理と、
    前記基本事象名および確率データの少なくとも一方を変換した後の基本事象の確率密度関数に基づき値を発生する処理と、
    この発生した値に基づき、頂上事象の発生確率を計算する処理と、
    この計算した発生確率と閾値とを比較し、その結果を反映して前記表示した工程上にリスク表示を加えて表示する処理とを備え
    前記確率密度関数を編集する処理は、前記前記点検の実施計画、作業の実施計画および属性の少なくともいずれかを編集する処理で点検周期の変更を伴う場合、当該点検周期の変更後の点検周期に基づく確率密度関数に編集する処理であることを特徴とする工程管理方法。
  9. 前記時間軸に沿って工程を図形的に表示する処理は、編集を受け付けた属性の数値データを工程の時間軸と同一時間軸上にグラフ表示する処理を有することを特徴とする請求項8記載の工程管理方法。
  10. 頂上事象の発生確率に個々の基本事象がどの程度影響を与えるかの重要度分析を行う処理と、
    前記重要度分析の結果に基づいて基本事象を重要度順に並べて所定の条件で定めた基本事象について前記表示した工程上にリスク表示を加えて表示する処理とをさらに備えることを特徴とする請求項8記載の工程管理方法。
  11. 点検結果の編集を受け付け、受け付け内容に基づき前記点検結果を編集する処理と、
    編集された点検結果を、時間関数にした確率密度関数と同一時間軸上にグラフ表示する処理を有することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の工程管理方法。
  12. 前記作業の属性は、人的過誤確率を算出可能な属性であり、
    前記属性を編集された作業と前記確率密度関数を入力された基本事象とを比較し、互いに符合する事象が互いに整合する確率となるように確率データおよび基本事象名の少なくとも一方を変換する処理は、前記人的過誤確率を抽出しその値に基づいて確率データを変換することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の工程管理方法。
  13. 前記頂上事象の発生確率を計算する処理は、
    基本事象の対数正規分布の中央値で値を発生し、その値から近似的に頂上事象の中央値を算出することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の工程管理方法。
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