JP4648568B2 - プラズマトーチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、切断面の品質を向上させ、或いは寿命を向上させることが出来るプラズマトーチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から移行式プラズマトーチを利用して通電性を有する被切断材を切断する場合、プラズマトーチに取り付けた電極の先端面の周囲にプラズマ化させるガスを供給すると共に該電極とノズルとの間に通電してパイロットアークを形成してノズルから吹き出し、吹き出したパイロットアークが被切断材と接触した時、電極との間に通電してメインアークを形成すると同時に電極とノズルとの間の通電を停止してパイロットアークを停止させ、その後、メインアークによって被切断材を溶融すると共に溶融物を母材から排除しつつプラズマトーチを移動させることで切断している。
【0003】
特に、被切断材が鋼板である場合、プラズマ化させるガスとして酸素ガスを用いるのが一般的である。ここで、プラズマガスとして酸素ガスを用いるプラズマトーチの構成について図5,図6により簡単に説明する。
【0004】
図5に示すように、電極51は、内部にネジを形成した取付部51aと、外周が円筒状に形成された胴部51bと、先端面51cとからなり、胴部51bの先端側と先端面51cとの間にテーパ部51dが形成されている。電極51の中心にはハフニウムやタングステン等からなる電極材51eが埋設されており、該電極材51eを起点としてパイロットアーク,メインアークが形成される。
【0005】
電極51は、図6に示すように、導電性を有し且つ片持ち梁状に形成された電極台52に取り付けられ、胴部51bに絶縁性を持ったセンタリングストーン53が装着されている。またセンタリングストーン53には導電性を持ったノズル部材54が装着され、更に、キャップ55が装着されている。このキャップ55はプラズマトーチの本体56に螺合されており、これにより、電極51は片持ち梁状の電極台52に取り付けられているにも関わらず、本体56の軸心と略一致して固定されている。
【0006】
センタリングストーン53はセラミックスによって形成されており、電極51に装着されたとき、該電極51の外周部との間にプラズマ化させるガスの供給路57を形成すると共に、電極51が本体56の軸心からズレているような場合、キャップ55の本体56に対する装着に伴って該電極51を本体56の軸心に一致させる機能と、電極51と本体56とを電気的に絶縁する機能を有する。
【0007】
ノズル部材54の内部であって、該ノズル部材54の内周面と電極51の先端面51cとによってガス室58が形成されている。即ち、センタリングストーン53に連続して電極51の胴部51b,テーパ部51dに沿ったガスの供給路が形成され、該供給路を経て供給されたガスがガス室58に到達し得るように構成されている。
【0008】
また、電極台52の内部には冷却パイプ59が配置されており、電極51を電極台52に取り付けた時、冷却パイプ59の先端が電極51の内部に挿入され、矢印に沿って供給された冷却水によって電極51は裏面側から強制的に冷却される。
【0009】
上記構成において、センタリングストーン53の内側に供給されたガスは、電極51の胴部51b,テーパ部51dからなる外周面に沿って流れてガス室58に供給される。ガスの供給と同時に行なわれる先端面51cとノズル部材54または被切断材との間の通電に伴ってプラズマ化し、ノズル部材54に形成されたノズル54aから外部に噴射される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来例において、酸素ガスを用いて鋼板を切断するプラズマトーチでは、電極51は高酸化性雰囲気の中で且つ超高温下という過酷な条件の基に使用されるため、極めて寿命が短いという問題がある。プラズマトーチの電極51にとって寿命を如何にして延長するかは絶えることのない課題である。
【0011】
本発明者等は、電極51の寿命を延長させるために種々の実験を試みているが、その中で、電極材51eの太さを太くするということがある。この場合、太い電極材51eを埋設することによって寿命が延長された。しかし、電極材51eを太くした結果、切断性能が劣化してしまうという問題が生じた。また、切断性能を向上させる目的でガス室58に供給するガスの旋回を強くしたところ、電極材51eの溶損が増加して結果的に寿命が短くなってしまうという問題が生じた。
【0012】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、切断性能の劣化を招くことなく、電極の寿命を延長させることが出来るプラズマトーチを提供せんとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために各種の実験を考察を重ねたところ、以下の結論を得た。
【0014】
即ち、電極に太い電極材を埋設するのに伴って電極の先端面の外径が増加し、ノズル部材に形成されているノズルの径が同一であるにも関わらず、電極先端径が太くなることによって切断性能が劣化する。
【0015】
しかし、電極における先端面の外径の値の如何に関わらず、ガスを電極の先端面における中心部位に可及的に接近させて供給することで見掛け上の電極先端径を細くすることによって切断性能の劣化を防止することが出来る。
【0016】
また、旋回を強くした場合、電極の先端面の中心はガスの旋回によって圧力が低下し、電極の蒸発が促進されることによって寿命が短くなる。このことは先端面の中心の近傍にガスを供給して圧力の低下を防止することで防ぐことが出来る。
【0017】
従って、前記目的を達成するための本発明に係るプラズマトーチは、先端面側に供給されたガスをプラズマ化してノズルから噴射させ且つ裏面側に供給された冷却水によって冷却され、一端が先端面に配置され他端が胴部の外周部に形成した溝のガイド部側に形成した面の所定位置に配置されたガス流通路を内部に設けた電極を装備したプラズマトーチであって、前記ガス流通路を通らずに前記電極の前記ガイド部よりも先端側に設けられた段部に向けて前記電極の周囲から該電極の先端面側に供給される第1のガスを供給する第1のガス供給路と、前記ガス流通路を通って該電極の先端面側に供給される第2のガスを供給する第2のガス供給路とを夫々独立して設けたことを特徴とする。
【0018】
上記プラズマトーチ用の電極(以下、単に「電極」という)では、一端が先端面に配置されたガス流通路を設けたので、電極の先端面の径の大きさに関わらずガス流通路の電極中心からの距離を設定することが出来、見掛け上の電極先端径を細くすることが出来る。このため、電極材を太くして寿命の延長をはかった場合であっも、切断性能を劣化させることがない。
【0019】
即ち、上記電極では、電極の先端面に充分な量のガスを供給することが可能であり、且つ電極の中心に向けて集中させて供給することが出来る。このため、プラズマアークを安定した状態で発生させると共に先端面の中心部分に圧力の低い部位を発生させることがない。
【0020】
また、電極の周囲から該電極の先端面側に供給される第1のガスを供給する第1のガス供給路と、前記電極に設けられたガス流通路に供給される第2のガスを供給する第2のガス供給路とを夫々独立して設けたことで、第1、第2のガス供給路に供給するガス流量を夫々独立して調整することが出来る。
【0021】
即ち、第1、第2のガス供給路に供給するガスが同じものであっても、夫々の供給圧を変化させることで、供給するガスの流量を変化させることが出来る。
【0022】
また、前記第1のガス供給路と、前記第2のガス供給路とに、互いに異なるガスの供給源を接続することで、第1、第2のガス供給路に供給するガスの種類を変えることが出来る。
【0023】
例えば、電極材としてハフニウム電極を用いた軟鋼切断時において、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給し、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路に空気を供給することで、電極先端の雰囲気が空気となるため従来の酸素プラズマに比べて電極の消耗を抑制して電極の寿命を延ばすことが出来、プラズマガスの外周部が酸素ガスであるため酸素プラズマ程度の切断品質が確保出来る。
【0024】
また、同一電極を用いたステンレス鋼切断時において、第1のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給し、第2のガス供給路に空気を供給することで切断が可能となり、各第1、第2ガス供給路へのプラズマガスの選択による簡易な作業により異なる材質の被切断材を連続して切断することが出来る。
【0025】
また、例えば、電極材としてタングステン電極を用いた軟鋼切断時において、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給し、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給することで、電極先端の雰囲気が不活性ガスとなるため従来の酸素プラズマに比べて電極の消耗を抑制して電極の寿命を飛躍的に延ばすことが出来、プラズマガスの外周部が酸素ガスであるため酸素プラズマ程度の切断品質が確保出来る。
【0026】
また、同一電極を用いたステンレス鋼切断時において、第1のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給し、第2のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給することで切断が可能となり、各第1、第2ガス供給路へのプラズマガスの選択による簡易な作業により異なる材質の被切断材を連続して切断することが出来る。
【0027】
尚、プラズマ切断において、250Aの電流を印加して形成したプラズマアークによって被切断材を切断する時の電極の寿命は、ハフニウム電極を用いて酸素ガスをプラズマガスとして被切断材を切断した時、約3時間程度であり、プラズマガスを空気に切り換えることにより2倍〜3倍、タングステン電極を用いれば、10倍程度にまで電極の寿命が延び、低コスト化を図ることが出来る。
【0028】
また、軟鋼切断と、ステンレス鋼切断等の異なる材質の被切断材を連続して切断する時は、被切断材の材質に合わせた電極に交換する必要がなく、プラズマガスの選択を切り換えることにより異なる材質の被切断材の連続的な切断が可能となり、作業時間の短縮化と作業の簡易化を図ることが出来る。
【0029】
また、切断状態から切断停止に至る過程でプラズマアークを止める際にプラズマガスが濃度の高い酸素を使用している場合には高温度で溶融している電極材が酸化されて消耗が早くなるため、窒素ガスを供給して電極材の周囲を不活性雰囲気にして電極の消耗を抑制することが行なわれる。
【0030】
従って、例えば、切断状態から切断停止に至る過程で、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給した状態で、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路に窒素ガスを供給することで、電極の消耗を抑制しつつスムーズな切断停止動作が出来る。
【0031】
また、前記電極の先端面側に供給される前記第1、第2のガスの流れを、電極の軸心を中心として右旋回または左旋回させた旋回流、或いは軸流に選択的に設定して異なる方向の流れにより構成した場合には、電極の寿命を延長すると共に、被切断材の切断面の品質を向上することが出来る。
【0032】
例えば、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを該電極の軸心を中心として右旋回させた旋回流とし、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを該電極の軸心を中心として左旋回させた旋回流とすることで、右旋回させた旋回流によりプラズマアークの起点を安定化させて電極の寿命を延長することが出来、被切断材の切断面において左旋回させた旋回流が右旋回させた旋回流を相殺して切断された両側が製品になる場合の切断面の品質を向上することが出来る。
【0033】
また、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを左右何れかの方向に旋回させた旋回流とし、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを電極の軸方向に平行な軸流(旋回流でない)とすることで、旋回流によりプラズマアークの起点を安定化させて電極の寿命を延長することが出来、被切断材の切断面において軸流が旋回流を緩和して切断された両側が製品になる場合の切断面の品質を向上することが出来る。
【0034】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係るプラズマトーチの一実施形態を具体的に説明する。図1及び図2は本発明に係るプラズマトーチの構成例を示す断面図、図3はプラズマトーチに供給されるガス経路を示すブロック図、図4は本発明に係るプラズマトーチに装備される電極の構成例を説明する図である。
【0035】
図1及び図2において、本発明に係るプラズマトーチBは、図4に示すような電極Aを装備している。電極Aは先端面4側に供給されたガスをプラズマ化してプラズマトーチBのノズル11aから噴射させ且つ裏面側の穴7に供給された冷却水によって冷却され、一端が先端面4に配置され他端が外周面の所定位置に配置されたガス流通路6が設けられている。
【0036】
電極AはプラズマトーチBの本体に設けた導電性の電極台座9に連結された導電性の電極台12に取り付けるための取付部1と、胴部2とを有している。取付部1の内部には電極台12のネジ部に螺合するネジ部1aが形成されており、外周部位は六角材を切削してスパナを掛ける直線部1bと切削による曲面部1cとが形成されている。
【0037】
胴部2には全周にわたってリング状の溝3が形成され、該溝3と連続して予め設定された値の外径を持ったガイド部2aが形成されている。また、ガイド部2aよりも先端側には段部2b及びテーパ部2cが形成されている。そしてテーパ部2cの先端側に先端面4が形成され、該先端面4の中心にハフニウムやタングステン等からなる電極材5が埋設されている。
【0038】
先端面4には、一端が該先端面4に配置され且つ他端が胴部2の外周面の所定位置(本実施形態では、胴部2の外周に形成された溝3におけるガイド部2a側の面)に配置されたガス流通路6が形成されている。
【0039】
また、電極Aの内部には冷却水を流通させる穴7が形成されており、該穴7の底面である先端面4の裏面には表面積を増加させて熱の交換効率を向上させるための突起8が形成されている。
【0040】
上記の如く構成された本実施形態に係る電極Aの従来の電極と異なる点は、従来の電極が胴部にガスを流通させる手段を持たなかったのに対し、本実施形態では、一端が先端面4に配置されると共に他端が胴部2の外周所定位置に配置されたガス流通路6を有する点にある。
【0041】
本実施形態では、このようなガス流通路6を設けることによって、ガスを電極Aの先端面4の外周部以外の位置から、即ち、先端面4の外径の値に関わらず、電極材5の近傍に設けた位置から供給して見掛け上の電極先端径を細くすることが可能となる。
【0042】
このため、先端面4の外径を大きくすることによる寿命の向上を維持しつつ、切断性能を現状に維持し、或いは切断性能の向上を図り、且つ小径のノズル11aに適用することが可能となる。
【0043】
ガス流通路6の数は特に限定するものではないが、電極Aに対する均一なガスの供給を保証するためには、複数であることが好ましく、複数のガス流通路6は略等間隔で配置されることが好ましい。
【0044】
このため、本実施形態では、電極Aには3個のガス流通路6が形成されると共に互いに120度の角度間隔を保持している。ガス流通路6をこのように形成することによって、電極Aにおける電極材5の周囲には略均一のガスを供給することが可能である。
【0045】
また、ガス流通路6は、電極Aの胴部2に形成した溝3から先端面4にかけて該電極Aの中心に向けて傾斜して形成されている。このように、ガス流通路6を傾斜させることで、電極Aにおける電極材5から大きく離隔することのない部位にガス流通路6から供給されたガスを収斂させることが可能であり、見掛け上のプラズマアークの径を細くすることが可能である。
【0046】
特に、電極Aの胴部2における外周部に溝3を形成し、この溝3のガイド部2a側に斜面を形成してガス流通路6の他端を開口させることで、ガス流通路6の電極Aの中心方向への傾斜角度を所望の値に設定することが可能となる。
【0047】
ガス流通路6は本実施形態に示すように穴によって形成することが可能であり、また、スリットによって形成することも可能である。ガス流通路6を穴によって形成する場合、穴の直径であるピッチ円径φd(図4(a)参照)は、6mm〜先端面4の外径までの範囲に設定することが好ましい。
【0048】
このように、ガス流通路6の先端面4における開口位置を設定することによって、該ガス流通路6から供給されたガスを電極Aを構成する電極材5の近傍に供給することが可能となり、プラズマアークを形成する際に、電極材5の近傍の圧力が低下してハフニウムやタングステン等の蒸発が促進されるようなことがない。
【0049】
上記ガス流通路6のピッチ円径φdを6mmとした場合、先端面4の外径の値に関わらず、プラズマアークの太さを6mmに対応した太さとすることが可能であり、細いプラズマアークを実現することが可能である。また、ピッチ円径φdを6mm以上に設定した場合であっても、プラズマアークの太さを先端面4の外径よりも細くすることが可能である。
【0050】
ガス流通路6は電極Aの中心軸に対し平行であるか、或いは軸心に沿った方向に傾斜させることが好ましい。ガス流通路6が電極Aの中心軸に対し平行である場合、該ガス流通路6から先端面4の前面に供給されたガスは、電極Aの軸心と平行な所謂、軸流となり、切断面の改善に寄与することが可能である。
【0051】
また、ガス流通路6を電極Aの軸心に沿った方向に傾斜させた場合、ガス流通路6から電極Aの先端面4に供給されたガスは電極Aの軸心を中心とする旋回流となり、安定したプラズマアークを形成することが可能となる。
【0052】
電極Aは、取付部1のネジ部1aをプラズマトーチBの本体に設けた電極台座9に挿入嵌合して連結された電極台12のネジ部12aに締結して取り付けられている。電極台座9及び電極台12の内部には冷却水を供給する冷却パイプ13が設けられている。
【0053】
そして、電極Aを電極台12に取り付けた時、該冷却パイプ13が電極Aの内部に形成された穴7に挿通されて該冷却パイプ13の内外に冷却水の流通路14を形成する。しかし、プラズマトーチBの形式によっては、電極Aを単に電極台12に差し込むことで取り付けることが可能なものもある。
【0054】
電極Aの胴部2に形成されたガイド部2aは、センタリングストーン15の内径よりも僅かに小さい外径を持って形成されている。このため、電極Aを電極台12に取り付けた後、該電極Aにセンタリングストーン15、インナーノズル部材16及びインナーキャップ17を順に装着し、該インナーキャップ17を本体に取り付けられた導電性のノズル台24のネジ部24aに螺合することによって、自由状態にある電極台12がプラズマトーチBの軸心18に対して傾斜しているような場合、この傾斜を矯正して電極Aの電極材5を軸心18に略一致させることが可能である。
【0055】
プラズマガスは、図1に示す第1のガス供給路となる通路23を介して電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側に第1のプラズマガスが供給され、第2のガス供給路となる通路19を介して電極Aに設けられたガス流通路6に第2のプラズマガスが供給される。
【0056】
即ち、本実施形態では第1のプラズマガスが供給される第1のガス供給路となる通路23と、第2のプラズマガスが供給される第2のガス供給路となる通路19とを夫々独立して設けたものである。
【0057】
図1に示すように、第1のガス供給路となる通路23は、電極台座9、図示しない水路を形成する樹脂製の絶縁ブロック25及びノズル台24の各内部に形成された通路を通ってセンタリングストーン15の外周面とインナーノズル部材16の内周面との間に形成される通路26に連通し、センタリングストーン15に設けられた穴15aから電極Aの外周面とインナーノズル部材16の内周面との間に形成されたプラズマ室20に連通し、更にノズル11aに連通している。
【0058】
センタリングストーン15の先端側の所定部位には複数の穴15aが形成されており、該穴15aを通して通路26から電極Aの胴部2の段部2b側に第1のプラズマガスを供給することが可能である。
【0059】
本実施形態では、センタリングストーン15に形成された穴15aは、その軸方向が軸心18と交差しない所定の角度で傾斜して形成されており、第1のガス供給路となる通路23を介して供給された第1のプラズマガスを電極Aの外周面とインナーノズル部材16の内周面との間に形成されたプラズマ室20に旋回させた状態で供給し得るようになっている。
【0060】
また、第2のガス供給路となる通路19は、電極台座9の他の部位に形成された通路を通って電極台12の外周面とセラミック等により作られた絶縁性の防炎パイプ27の内周面との間に形成される通路28に連通し、更に電極Aの取付部1の外周面とセンタリングストーン15の内周面との間に形成された通路29に連通し、更に該電極Aの内部に形成されたガス流通路6に連通してプラズマ室20、更にはノズル11aに連通している。
【0061】
上記の如く、電極Aは本体に片持ち梁状に設けられ、且つ図示しない電源に接続された導電性の電極台座9に嵌合して取り付けられた導電性の電極台12に螺合されることで取り付けられている。
【0062】
また、プラズマ室20は、電極Aの先端面4とインナーノズル部材16の内周面とによって形成されており、導電性のインナーノズル部材16は、絶縁性のセンタリングストーン15に装着した時、一部が導電性のノズル台24に接触し、該ノズル台24に図示しない通電回路を介して本体から通電されることで電極Aとの間でパイロットアークを形成することが出来るようになっている。
【0063】
そして、パイロットアークを形成する場合には電極Aとインナーノズル部材16との間に、また、メインアークを形成する場合には電極Aと図示しない被切断材との間に、夫々予め設定された電圧が印加され、インナーノズル部材16との間で、或いは被加工材との間で放電される。
【0064】
電極Aを電極台12に取り付けた時、電極Aに形成した穴7の内部には冷却パイプ13の先端部分が挿入され、該冷却パイプ13を介して供給された冷却水は流通路14を通り、電極Aに配置された電極材5の裏面側に形成した突起8に衝突した後、電極Aの内面と接触して該電極Aを冷却する。その後、冷却水は通路21を通りインナーノズル部材16を冷却して外部に排出される。
【0065】
電極台12に取り付けられた電極Aにセンタリングストーン15が装着されている。この時、電極Aに形成されたガイド部2aの外周がセンタリングストーン15の内面と接触して案内される。
【0066】
この状態では、センタリングストーン15は単に電極Aのガイド部2aに接触されているに過ぎず、電極Aに対して何ら規制も行なってはいない。そして、インナーノズル部材16にインナーキャップ17を装着し、該インナーキャップ17を本体に固定されたノズル台24のネジ部24aに螺合することで電極Aを軸心18に略一致させるように規制することが可能である。
【0067】
また、アウターノズル部材30にアウターキャップ31を装着し、該アウターキャップ31を本体に取り付けられたトーチガード32に固定されたアウター連結キャップ33のネジ部33aに螺合した時、該アウターノズル部材30とインナーノズル部材16との間に二次気流室22が形成され、該二次気流室22に供給された二次ガスをインナーノズル部材16のノズル11aから噴射するプラズマアークの周囲にさや状に噴射することが可能である。
【0068】
二次気流室22に供給される二次ガスは、図2に示すように、通路34から電極台座9、絶縁ブロック25の各内部に形成された通路を経てアウターノズル部材30に装着された仕切部材35の内周面とインナーキャップ17の外周面との間に形成された通路36に連通し、アウターノズル部材30に形成された穴30aを経て二次気流室22に連通し、更にアウターノズル部材30のノズル11bに連通している。
【0069】
また、図2に示すように、通路37から電極台座9、絶縁ブロック25の各内部に形成された通路を経て仕切部材35の外周面とアウターキャップ31の内周面との間に形成された通路38に連通し、アウターノズル部材30に形成された穴30bを経て三次ガスを二次ガスの周囲にさや状に噴射することが可能である。
【0070】
電極Aと被切断材との間に通電してプラズマアークを形成する場合、図1に示す第1のガス供給路となる通路23から供給された第1のプラズマガスは、通路26からセンタリングストーン15に形成された穴15aを通って電極Aの胴部2における段部2bに向けて噴射され、更に、電極Aのテーパ部2cとインナーノズル部材16のテーパ状の内面とによって形成された通路を経て、電極Aの周囲から該電極Aの先端面4との間に形成されたプラズマ室20を通って電極Aの先端面4側に供給される。
【0071】
また、第2のガス供給路となる通路19から供給された第2のプラズマガスは、通路28,29を通って電極Aの胴部2に形成された溝3に至り、該溝3に隣接したガイド部2aの斜面に開口したガス流通路6を経て電極Aの先端面4からプラズマ室20に供給される。
【0072】
上記の如く、電極Aの先端面4には、該先端面4の外径部位から及び先端面4の内部(先端面4の外径部位よりも中心側)から第1、第2のプラズマガスが夫々独立して供給される。
【0073】
このため、電極Aの先端面4における電極材5のより近傍に第2のプラズマガスが供給されることとなり、先端面4の外径部位から旋回させた第1のプラズマガスを供給することに伴う電極材5の周囲の圧力低下を阻止することが可能となる。
【0074】
従って、プラズマアークを形成する際に溶融した電極材5が圧力の低下に伴って蒸発が促進されることによる寿命の低下を防止することが可能である。
【0075】
例えば、電極Aのガス流通路6から先端面4を経て電極材5の近傍におけるプラズマ室20に供給された第2のプラズマガスが酸素ガスの場合はプラズマ化し、切断に寄与するプラズマアークとして機能する。
【0076】
また、電極Aの先端面4の外径部位からプラズマ室20に供給された第1のプラズマガスが酸素ガスの場合はプラズマ化し、同様にプラズマアークとしての機能を発揮するものの一部はプラズマアークを鞘状に包み込むガス気流として機能する。
【0077】
このため、プラズマアークの太さは電極Aの先端面4の外径の値に関わらず、ガス流通路6のピッチ円径によって規定されて細い状態を維持する。従って、切断性能を劣化させることなく、良好な状態に維持することが可能である。
【0078】
特に、電極Aにおける電極材5の太さを太くすることによって電極Aの寿命を延長することが可能である。この場合、電極材5を太くするのに伴って先端面4の外径を大きくすることが必要となり、更に、外径を大きくするのに伴ってプラズマ室20の容積が大きくなる。
【0079】
このため、電極材5からプラズマ室20に対する酸素ガスの供給部位までの距離が大きくなってプラズマアークを充分に細く絞れず、切断性能が劣化するという問題が生じていたが、この問題を解決して良好な切断性能を維持して電極Aの寿命の延長を図ることが可能となる。
【0080】
電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側に供給される第1のプラズマガスを供給する通路23等からなる第1のガス供給路と、電極Aに設けられたガス流通路6に供給される第2のプラズマガスを供給する通路19等の第2のガス供給路とを夫々独立して設けたことで、第1、第2のガス供給路に供給するガス流量を夫々独立して調整することが出来る。
【0081】
図3は第1のプラズマガスを供給する通路23、第2のプラズマガスを供給する通路19、二次気流ガスを供給する通路34、三次気流ガスを供給する通路37の夫々のガス供給源の一例を説明する図である。
【0082】
本実施形態では、第1のガス供給路となる第1のプラズマガスを供給する通路23と、第2のガス供給路となる第2のプラズマガスを供給する通路19とに、互いに異なるガスの供給源が接続されている。
【0083】
即ち、工場配管やガスボンベ等からなる酸素ガス供給装置41a、コンプレッサー等からなる空気供給装置41bから供給される酸素ガス及び空気は、一定圧力がかかると検知して電気信号を発生する圧力スイッチ42a,42bにより検知されると共に、酸素ガスと空気毎に各通路19,23,34,37に対応して設けられた電磁弁43a〜43gにより開閉される。
【0084】
更に各電磁弁43a〜43gの下流側には、変動する入力側の圧力をダイヤフラム等を有するアキュムレータやヘッドタンク等により出力側の圧力を安定化させる圧力安定器44a〜44gが接続されている。
【0085】
通路19,23に夫々対応する酸素ガス用の圧力安定器44aと、空気用の圧力安定器44bとの下流側、及び酸素ガス用の圧力安定器44cと、空気用の圧力安定器44dとの下流側で夫々合流し、出力側の流量を検知して電気信号を発生し、その電気信号によって圧力を調整することで流量を安定化させる流量調整器となる電空レギュレータ45a,45bを介して通路19,23に夫々接続されている。
【0086】
また、通路34に対応する酸素ガス用の圧力安定器44eと、空気用の圧力安定器44fとの下流側には夫々電空レギュレータ45c,45dが接続されており、各電空レギュレータ45c,45dの下流側には夫々逆止弁46a,46bが接続されており、各逆止弁46a,46bの下流側で合流して通路34に接続されている。
【0087】
また、通路37に対応する空気用の圧力安定器44gの下流側には電空レギュレータ45eを介して通路37に接続されている。
【0088】
上記構成により、第1、第2のガス供給路に供給する第1、第2のプラズマガスが同じものであっても、圧力安定器44a〜44dや電空レギュレータ45a,45bを用いて夫々の供給圧を変化させることで、供給するプラズマガスの夫々の流量を変化させることが出来る。
【0089】
また、電磁弁43a〜43dを適宜切り換えて、通路23等からなる第1のガス供給路と、通路19等からなる第2のガス供給路とに互いに異なるガスの供給源を接続することで、第1、第2のガス供給路に供給するプラズマガスの種類を変えることが出来る。
【0090】
従って、例えば、電極材5としてハフニウム電極を用いた軟鋼切断時において、電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側に第1のプラズマガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給し、電極Aに設けられたガス流通路6に第2のプラズマガスを供給する第2のガス供給路に空気を供給することで、電極A先端の雰囲気が空気となるため従来の酸素プラズマに比べて電極Aの消耗を抑制して該電極Aの寿命を延ばすことが出来、プラズマガスの外周部が酸素ガスであるため酸素プラズマ程度の切断品質が確保出来る。
【0091】
また、例えば、電極材5としてタングステン電極を用いた軟鋼切断時において、電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側に第1のプラズマガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給し、電極Aに設けられたガス流通路6に第2のプラズマガスを供給する第2のガス供給路に図示しない窒素ガス供給装置から窒素ガスを供給することで、電極A先端の雰囲気が窒素ガスとなるため従来の酸素プラズマに比べて電極Aの消耗を抑制して該電極Aの寿命を飛躍的に延ばすことが出来、プラズマガスの外周部が酸素ガスであるため酸素プラズマ程度の切断品質が確保出来る。
【0092】
更に、例えば、切断状態から切断停止に至る過程でプラズマアークを止める際にプラズマガスが濃度の高い酸素を使用している場合には高温度で溶融している電極材5が酸化されて消耗が早くなるため、窒素ガスを供給して電極材5の周囲を不活性雰囲気にして電極材5の消耗を抑制することが行なわれる。
【0093】
従って、切断状態から切断停止に至る過程で、電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給した状態で、電極Aに設けられたガス流通路6にガスを供給する第2のガス供給路に窒素ガスを流すことで、電極Aの消耗を抑制しつつスムーズな切断停止動作が出来る。
【0094】
また、電極Aの先端面4側に供給される第1、第2のプラズマガスの流れを、電極Aの軸心を中心として右旋回または左旋回させた旋回流、或いは軸流に選択的に設定して異なる方向の流れにより構成した場合には、電極Aの寿命を延長すると共に、被切断材の切断面の品質を向上することが出来る。
【0095】
本実施形態では、センタリングストーン15に形成した穴15aの軸方向をプラズマトーチBの軸心18から斜めにずれた位置(交差しない位置)に設定して第1のプラズマガスの流れを旋回流とし、電極Aに形成したガス流通路6の軸方向をプラズマトーチBの軸心18に交差する位置に設定して第2のプラズマガスの流れを軸流とした一例である。
【0096】
尚、第2のプラズマガスの流れを軸流とする場合には、電極Aに形成したガス流通路6の軸方向をプラズマトーチBの軸心18に交差しない位置(斜めにずれた位置)に設定すれば良く、第1のプラズマガスの流れを軸流とする場合には、センタリングストーン15に形成した穴15aの軸方向をプラズマトーチBの軸心18に交差する位置に設定すれば良い。
【0097】
例えば、電極Aに設けられたガス流通路6に第2のプラズマガスを供給する第2のガス供給路から電極Aの先端面4側に供給される第2のプラズマガスの流れを該電極Aの軸心を中心として右旋回させた旋回流とし、電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側に第1のプラズマガスを供給する第1のガス供給路から電極Aの先端面4側に供給される第1のプラズマガスの流れを該電極Aの軸心を中心として左旋回させた旋回流とすることで、右旋回させた旋回流によりプラズマアークの起点を安定化させて電極Aの寿命を延長することが出来、被切断材の切断面において左旋回させた旋回流が右旋回させた旋回流を相殺して切断された両側が製品になる場合の切断面の品質を向上することが出来る。
【0098】
また、電極Aに設けられたガス流通路6に第2のプラズマガスを供給する第2のガス供給路から電極Aの先端面4側に供給される第2のプラズマガスの流れを左右何れかの方向に旋回させた旋回流とし、電極Aの周囲から該電極Aの先端面4側に第1のプラズマガスを供給する第1のガス供給路から電極Aの先端面4側に供給される第1のプラズマガスの流れを電極Aの軸方向に平行な軸流(旋回流でない)とすることで、旋回流によりプラズマアークの起点を安定化させて電極Aの寿命を延長することが出来、被切断材の切断面において軸流が旋回流を緩和して切断された両側が製品になる場合の切断面の品質を向上することが出来る。
【0099】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、切断性能の劣化を招くことなく、電極の寿命を延長させることが出来るプラズマトーチを提供することが出来る。
【0100】
即ち、電極の周囲から該電極の先端面側に供給される第1のガスを供給する第1のガス供給路と、前記電極に設けられたガス流通路に供給される第2のガスを供給する第2のガス供給路とを夫々独立して設けたことで、第1、第2のガス供給路に供給するガス流量を夫々独立して調整することが出来る。
【0101】
また、第1のガス供給路と、第2のガス供給路とに、互いに異なるガスの供給源を接続することで、第1、第2のガス供給路に供給するガスの種類を変えることが出来る。
【0102】
例えば、電極材としてハフニウム電極を用いた軟鋼切断時において、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給し、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路に空気を供給することで、電極先端の雰囲気が空気となるため従来の酸素プラズマに比べて電極の消耗を抑制して電極の寿命を延ばすことが出来、プラズマガスの外周部が酸素ガスであるため酸素プラズマ程度の切断品質が確保出来る。
【0103】
また、同一電極を用いたステンレス鋼切断時において、第1のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給し、第2のガス供給路に空気を供給することで切断が可能となり、各第1、第2ガス供給路へのプラズマガスの選択による簡易な作業により異なる材質の被切断材を連続して切断することが出来る。
【0104】
また、例えば、電極材としてタングステン電極を用いた軟鋼切断時において、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給し、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給することで、電極先端の雰囲気が不活性ガスとなるため従来の酸素プラズマに比べて電極の消耗を抑制して電極の寿命を飛躍的に延ばすことが出来、プラズマガスの外周部が酸素ガスであるため酸素プラズマ程度の切断品質が確保出来る。
【0105】
また、同一電極を用いたステンレス鋼切断時において、第1のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給し、第2のガス供給路にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを供給することで切断が可能となり、各第1、第2ガス供給路へのプラズマガスの選択による簡易な作業により異なる材質の被切断材を連続して切断することが出来る。
【0106】
尚、プラズマ切断において、250Aの電流を印加して形成したプラズマアークによって被切断材を切断する時の電極の寿命は、ハフニウム電極を用いて酸素ガスをプラズマガスとして被切断材を切断した時、約3時間程度であり、プラズマガスを空気に切り換えることにより2倍〜3倍、タングステン電極を用いれば、10倍程度にまで電極の寿命が延び、低コスト化を図ることが出来る。
【0107】
また、軟鋼切断と、ステンレス鋼切断等の異なる材質の被切断材を連続して切断する時は、被切断材の材質に合わせた電極に交換する必要がなく、プラズマガスの選択を切り換えることにより異なる材質の被切断材の連続的な切断が可能となり、作業時間の短縮化と作業の簡易化を図ることが出来る。
【0108】
また、例えば、切断状態から切断停止に至る過程で、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路に酸素ガスを供給した状態で、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路に窒素ガスを流すことで、電極の消耗を抑制しつつスムーズな切断停止動作が出来る。
【0109】
また、電極の先端面側に供給される第1、第2のガスの流れを、電極の軸心を中心として右旋回または左旋回させた旋回流、或いは軸流に選択的に設定して異なる方向の流れにより構成した場合には、電極の寿命を延長すると共に、被切断材の切断面の品質を向上することが出来る。
【0110】
例えば、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを該電極の軸心を中心として右旋回させた旋回流とし、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを該電極の軸心を中心として左旋回させた旋回流とすることで、右旋回させた旋回流によりプラズマアークの起点を安定化させて電極の寿命を延長することが出来、被切断材の切断面において左旋回させた旋回流が右旋回させた旋回流を相殺して切断された両側が製品になる場合の切断面の品質を向上することが出来る。
【0111】
また、電極に設けられたガス流通路にガスを供給する第2のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを左右何れかの方向に旋回させた旋回流とし、電極の周囲から該電極の先端面側にガスを供給する第1のガス供給路から電極の先端面側に供給されるガスの流れを電極の軸方向に平行な軸流(旋回流でない)とすることで、旋回流によりプラズマアークの起点を安定化させて電極の寿命を延長することが出来、被切断材の切断面において軸流が旋回流を緩和して切断された両側が製品になる場合の切断面の品質を向上することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るプラズマトーチの構成例を示す断面図である。
【図2】 本発明に係るプラズマトーチの構成例を示す断面図である。
【図3】 プラズマトーチに供給されるガス経路を示すブロック図である。
【図4】 本発明に係るプラズマトーチに装備される電極の構成例を説明する図である。
【図5】 従来例の電極を説明する図である。
【図6】 従来例のプラズマトーチの構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
A…電極、B…プラズマトーチ、1…取付部、1a…ネジ部、1b…直線部、1c…曲面部、2…胴部、2a…ガイド部、2b…段部、2c…テーパ部、3…溝、4…先端面、5…電極材、6…ガス流通路、7…穴、8…突起、9…電極台座、11a,11b…ノズル、12…電極台、12a…ネジ部、13…冷却パイプ、14…流通路、15…センタリングストーン、15a…穴、16…インナーノズル部材、17…インナーキャップ、18…軸心、19…通路、20…プラズマ室、21…通路、22…二次気流室、23…通路、24…ノズル台、24a…ネジ部、25…絶縁ブロック、26…通路、27…防炎パイプ、28,29…通路、30…アウターノズル部材、30a,30b…穴、31…アウターキャップ、32…トーチガード、33…アウター連結キャップ、33a…ネジ部、34…通路、35…仕切部材、36〜38…通路、41a…酸素ガス供給装置、41b…空気供給装置、42a,42b…圧力スイッチ、43a〜43g…電磁弁、44a〜44g…圧力安定器、45a〜45e…電空レギュレータ、46a,46b…逆止弁

Claims (3)

  1. 先端面側に供給されたガスをプラズマ化してノズルから噴射させ且つ裏面側に供給された冷却水によって冷却され、一端が先端面に配置され他端が胴部の外周部に形成した溝のガイド部側に形成した面の所定位置に配置されたガス流通路を内部に設けた電極を装備したプラズマトーチであって、
    前記ガス流通路を通らずに前記電極の前記ガイド部よりも先端側に設けられた段部に向けて前記電極の周囲から該電極の先端面側に供給される第1のガスを供給する第1のガス供給路と、
    記ガス流通路を通って該電極の先端面側に供給される第2のガスを供給する第2のガス供給路とを夫々独立して設けたことを特徴とするプラズマトーチ。
  2. 前記第1のガス供給路と、前記第2のガス供給路とに、互いに異なるガスの供給源が接続されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマトーチ。
  3. 前記電極の先端面側に供給される前記第1、第2のガスの流れを、電極の軸心を中心として右旋回または左旋回させた旋回流、或いは軸流に選択的に設定して異なる方向の流れにより構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマトーチ。
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