JP4646934B2 - エンジンの排気処理装置及びこれを用いたエンジンの排気処理方法 - Google Patents

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本発明は、尿素水を還元剤として用いたエンジンの排気処理装置及びエンジンの排気処理方法に係り、特に、排ガス中の窒素酸化物を効率良く除去する手段に関する。
従来より、ディーゼルエンジンにおいては、排ガスが流通する排気管の途中に、酸素共存下でも選択的に窒素酸化物(以下NOxと記す)を還元剤と反応させる性質を備えた選択還元型触媒を装備し、この選択還元型触媒の上流側に必要量の還元剤(炭化水素、アンモニア又はその前駆体)を添加してこの還元剤を選択還元型触媒上で排ガス中のNOxと還元反応させ、これによりNOxの排出濃度を低減し得るようにしたものがある。この選択還元型触媒を使ったNOx低減手法をSCR(Selective Catalytic Reduction)と呼び、還元剤として尿素を使うものは特に尿素SCRと呼ばれている。この尿素SCRを車両に適用するため、尿素水をタンクに貯蔵しておき、エンジン起動中にこのタンクから供給された尿素水を排気通路内に噴射し、エンジンの排気熱を利用して尿素を加水分解させ、これにより生じるアンモニアによってNOxを低減するための技術も知られている(特許文献1)。
また、排ガス温度が低い場合には、脱硝反応が起き難くなることで、脱硝性能が低下する特性があるが、尿素水を添加する際に、電気ヒータによる加熱によって尿素水を気化させ、尿素のアンモニアへの加水分解を促進することで、脱硝触媒を有効に活用し、NOx低減性能を高める技術も知られている(特許文献2)。
即ち、排ガス温度が高い場合は、排ガス中に直接尿素水を噴射しても、排ガスから熱を受けることで尿素水の気化が進むので、排ガス中に尿素が行き渡り、尿素から生じたアンモニアでNOxを処理することができる。しかし、排ガス温度が低い場合は、排ガスの熱だけで尿素水を完全に気化させることが難しいので、噴射された尿素水が排気煙道の壁面に付着して析出を起こし、脱硝触媒上に達するアンモニア量が低下する。また、壁面に付着しなくても、尿素の加水分解反応が進みにくいので、脱硝触媒上で尿素の加水分解反応を起こすことになりやすい。脱硝触媒が加水分解反応に使われる場合、アンモニアによるNOxの還元反応(=脱硝反応)が行われず、加水分解反応が起きた下流の触媒上で、脱硝反応を行うことになるので、本来の目的で使用できる脱硝触媒の領域が減ってしまう。このように、排ガス温度が低い場合には、脱硝反応の反応速度が低下するばかりでなく、脱硝触媒上に達するアンモニア量が低下したり、脱硝反応に使える触媒の面積が低下したりしやすいので、脱硝性能が大幅に低下する。この問題を解決するため、排ガス温度が低い場合には、尿素を予め加水分解させ、アンモニアガスにした状態で排ガス中に注入することが有効であり、このことから、尿素を気化させるための電気ヒータを備えた排気処理装置は、排ガス温度が低い状態における脱硝性能向上の有効な手段となっている。
特開2000−027627号公報 特開2004−353523号公報
尿素水を気化させるための電気ヒータを備えると、電気ヒータが電力を消費するため、発電器の負荷が増え、エンジンとしてのエネルギー効率が低下する。尿素水の気化に必要な熱エネルギーを全て電気ヒータでまかなおうとする場合、電気ヒータが必要とする電力は、尿素水の噴射量に比例して大きくなる。脱硝反応で消費されるアンモニアは窒素酸化物のモル数とほぼ同じであるため、エンジンから排出される窒素酸化物が増えれば、必要な尿素水の注入量も増え、電気ヒータに要する電力も増えることになる。このように、電気ヒータに要する電力が増加すると、電力供給装置として大電流に対応したものが必要になるので、装置が大型化するという問題も生じる。一般に、エンジンから排出される窒素酸化物が増えるのはエンジンの負荷が高い場合であり、エンジン負荷が高い時はガス温度が高くなる。排ガス温度が高い時は、本来、排ガスが持つ熱エネルギーで尿素水を気化させることが可能であるため、その時に尿素水の気化のために大きな電力を消費することは、システムとして無駄が大きい。
一方、尿素水の気化を、電気ヒータを使わずに排ガスが持つ熱エネルギーを使って行うには、尿素水を排気煙道に直接噴射すればよいが、その場合でも、尿素水の噴霧が固体壁面に付着して析出を起こす可能性を含んでいる。即ち、脱硝触媒で目的通りの還元反応を起こすためには、触媒入口の局所的な空間ごとに窒素酸化物と還元剤の量が釣合っている必要がある。このことは、排気煙道に噴射した尿素水の噴霧を排ガスに対して均一に分散させる必要があることを意味する。噴射弁を用いた噴霧では、偏心した位置からの放射状の噴射にならざるを得ないので、排気煙道中に何かしらの構造物を設けるなどの工夫をしなければ、排気煙道中に尿素水の噴霧を均一に分散させることは困難である。しかし、排気煙道中に何かしらの構造物を設けると、その構造物に尿素水の噴霧が衝突しやすくなるし、排気煙道そのものに対しても尿素水の噴霧が集中して衝突する箇所が生じる可能性がある。尿素水の噴霧が頻繁に衝突する場所が生じると、その場所は排ガス温度に比べて大幅に温度が低下する。そのような場所では、平均としての排ガス温度が高くても、局所的には温度が低下した環境になり、尿素の析出が起きやすい。このような析出の発生は、尿素水の利用効率を落とすだけでなく、煙道を閉塞させる可能があったり、堆積した析出物が排ガス温度の急上昇時に一気に気化して大量のアンモニアガスを発生し、外部にアンモニアガスを排出させてしまう可能性を持つ。このように、排ガス温度が高い場合においても、排気煙道に大量の尿素水を噴射するだけでは、排ガス中に含まれるNOxを適正に脱硝することができない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、排ガス温度が高い場合のみならず排ガス温度が低い場合にも脱硝性能が高く、かつ消費電力が少なくて小型に構成可能なエンジンの排気処理装置を提供すること、及びこの排気処理装置を用いてエンジン排ガスを高能率に脱硝処理する方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明は、排気処理装置に関して第1に、排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒で還元処理するために必要なアンモニアの生成に用いる尿素水を排気煙道内に噴射するメイン噴射弁と、前記排気煙道内における前記メイン噴射弁の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側に配置された旋回翼と、前記メイン噴射弁の配置位置と前記旋回翼の配置位置との間で前記排気煙道から分岐され、前記旋回翼の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側で再度前記排気煙道と合流する分流ガス流路内に前記尿素水を噴射するサブ噴射弁と、前記分流ガス流路を加熱する電気ヒータとを備え、排ガス温度が所定温度以下の場合は、前記電気ヒータに通電した状態で、前記サブ噴射弁から前記尿素水を噴射し、排ガス温度が所定温度以上の場合は、前記電気ヒータへの通電を断った状態で、前記メイン噴射弁及び前記サブ噴射弁の両方から前記尿素水を噴射するという構成にした。
かかる構成によると、排ガス温度が低い場合には、電気ヒータに通電した状態でサブ噴射弁から分流ガス流路内に必要量の尿素水を噴射し、排ガス温度が高い場合には、電気ヒータへの通電を断った状態でメイン噴射弁から排気煙道内に必要量の尿素水を噴射するので、電気ヒータが消費する電力を低減できると共に、電気ヒータに電力を供給する電源装置の小型化を図ることができる。また、排ガス温度が低い場合、電気ヒータに通電した状態でサブ噴射弁から分流ガス流路内に尿素水を噴射することから、低温時においても分流ガス流路内に噴射された尿素水を気化させることができ、排ガス中に尿素蒸気を行き渡らせて、尿素から生じたアンモニアにてNOxを処理することができると共に、分流ガス流路内での尿素の析出を防止でき、NOxの処理を高性能に行うことができる。さらに、排気煙道内の排ガス温度が所定温度以上である場合には、メイン噴射弁から排気煙道内に必要量の尿素水を噴射するので、排気煙道内での尿素の析出を防止でき、NOxの処理を高性能に行うことができる。また、排気煙道内の排ガス温度が所定温度以上である場合に、メイン噴射弁とともに、サブ噴射弁も尿素水を噴射することにより、サブ噴射弁の噴射が断たれなくなり、噴射弁の過熱防止が図れ、噴射弁内での尿素の析出による詰まりを防止することができる。即ち、ディーゼルエンジンの排気処理のために使用される尿素水は、通常、質量濃度で32.5%であり、純粋な水に比べて少しだけ沸点が高くなっているに過ぎないので、尿素水の流れが止まった状態でサブ噴射弁の先端が高温の排ガスに曝されると、サブ噴射弁内の尿素水が沸騰を起こし、水分を失った固体の尿素が残って、尿素の析出によって噴射弁が閉塞を起こす恐れがある。そこで、尿素水の噴射を続けることで、尿素水に伝わった熱を噴射した尿素水と共に吐き出すことが可能になり、サブ噴射弁内の尿素水温度が上がらず、尿素水が沸騰しなくなることで、サブ噴射弁の閉塞を防止することができるようになる。また、サブ噴射弁の過熱を防止できることから、弁体を駆動する電磁コイル及び電気回路の損傷を防止することもできる。
本発明は第2に、前記第1の構成の排気処理装置において、排ガス温度が所定温度以上の場合に前記電気ヒータへの通電を断った状態で行う前記サブ噴射弁の1回の噴射量を、排ガス温度が所定温度以下の場合に前記電気ヒータに通電した状態で前記サブ噴射弁が噴射する1回の噴射量の最小値以下の噴射量にするという構成にした。
サブ噴射弁の過熱防止を図るためには、尿素水が少しづつでも噴射されていれば良く、かかる噴射量に設定しても、サブ噴射弁の詰まり、並びにサブ噴射弁を構成する電磁コイル及び電気回路の損傷を防止できる。また、サブ噴射弁が噴射可能な最小噴射量とすることで、サブ噴射弁の噴射量制御を簡略化することができる。
本発明は第3に、前記第1の構成の排気処理装置において、前記メイン噴射弁の噴射量の上限値を排ガス温度に応じて設定し、前記メイン噴射弁の尿素水噴射量は、前記上限値を超えないように、前記排気煙道内の排ガス温度に応じて制御することにより、メイン噴射弁から噴射した尿素水が、排ガスから得る熱によって十分に気化する状態に至らないことで、排気煙道に尿素の析出を生じさせてしまうことを回避することができるようになる。
本発明は第4に、前記第1の構成の排気処理装置において、前記サブ噴射弁の噴射量の上限値を排ガス温度に応じて設定し、前記サブ噴射弁の尿素水噴射量は、前記上限値を超えないように、前記排気煙道内の排ガス温度に応じて制御することにより、サブ噴射弁から噴射した尿素水が、電気ヒータと分流排ガスから得る熱によって十分に気化する状態に至らないことで、分流ガス流路内に尿素の析出を生じさせてしまうことを回避することができるようになる。
本発明は第5に、前記第3及び第4の構成の排気処理装置において、前記排ガス中の窒素酸化物を還元処理する上で必要な尿素水噴射量に対し、前記メイン噴射弁の噴射量の上限値と前記サブ噴射弁の噴射量の上限値の合計が、前記必要な尿素水噴射量より少ない場合は、前記メイン噴射弁と前記サブ噴射弁の噴射量を、それぞれの上限値とし、前記メイン噴射弁の噴射量の上限値と前記サブ噴射弁の噴射量の上限値の合計が、前記必要な尿素水噴射量より多い場合は、前記メイン噴射弁と前記サブ噴射弁の噴射量の合計が、前記必要な尿素水噴射量になるように制御することで、排気煙道への尿素の析出防止を図りながら、還元処理できる窒素酸化物の量の最大化を図ることができるようになる。
本発明は第6に、前記第1の構成の排気処理装置において、前記メイン噴射弁の噴射量の下限値を排ガス温度に応じて設定し、排ガス温度に応じて、前記メイン噴射弁の尿素水噴射量を、前記下限値以上になるように制御することにより、メイン噴射弁の噴射が断たれなくなり、噴射弁の過熱防止が図れ、メイン噴射弁内での尿素の析出による詰まりを防止することができる。
本発明は第7に、前記第1の構成の排気処理装置において、エンジンの負荷情報から排ガス温度を推定し、その推定した排ガス温度に応じて、前記メイン噴射弁及び前記サブ噴射弁並びに前記電気ヒータを制御することにより、排気ガスの温度計測に伴う遅れがなくなり、瞬時ごとに最適な制御を行うことが可能になり、かつ、部品点数が低減されることで、排気処理装置の簡素化を図ることが可能になる。
本発明は第8に、前記第5の構成の排気処理装置において、エンジンの負荷情報からエンジンから排出される窒素酸化物の排出量を推定し、その推定した窒素酸化物の排出量に応じて、前記必要な尿素水噴射量を決定することにより、排気煙道にNOxセンサーを設けてNOx濃度を計測する必要がなくなり、排気処理装置の簡素化を図ることが可能になる。
本発明は第9に、前記第5の構成の排気処理装置において、前記脱硝触媒に蓄積されるアンモニア量を推定し、その推定量を目標値になるように、前記必要な尿素水噴射量を決定し、前記目標値は、温度に応じて決まる前記脱硝触媒のアンモニア蓄積の飽和量をもとにして決めることにより、前記脱硝触媒に蓄積されるアンモニア量の管理が可能になり、排ガス温度が急変した際に生じる脱硝触媒のアンモニア蓄積の飽和量の急変によって、飽和量を超えて蓄積されたアンモニアが排出されて、排ガス中にアンモニアが混ざった状態で大気放出される可能性を防ぐことが可能になる。
一方、本発明は、排気処理方法に関して、排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒で還元処理するために必要なアンモニアの生成に用いる尿素水を排気煙道内に噴射するメイン噴射弁と、前記排気煙道内における前記メイン噴射弁の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側に配置された旋回翼と、前記メイン噴射弁の配置位置と前記旋回翼の配置位置との間で前記排気煙道から分岐され、前記旋回翼の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側で再度前記排気煙道と合流する分流ガス流路内に前記尿素水を噴射するサブ噴射弁と、前記分流ガス流路を加熱する電気ヒータとを備え、排ガス温度が所定温度以下の場合は、前記電気ヒータに通電した状態で、前記サブ噴射弁から尿素水を噴射し、排ガス温度が所定温度以上の場合は、前記電気ヒータへの通電を断った状態で、前記メイン噴射弁及び前記サブ噴射弁の両方から尿素水を噴射するという構成にした。
かかる構成によると、前記第1の構成の排気処理装置について説明したと同様の作用効果が発揮される。
本発明に係るエンジンの排気処理装置及び排気処理方法は、排ガス温度が低い場合には、電気ヒータに通電した状態でサブ噴射弁から分流ガス流路内に必要量の尿素水を噴射し、排ガス温度が高い場合には、電気ヒータへの通電を断った状態でメイン噴射弁から排気煙道内に必要量の尿素水を噴射するので、電気ヒータが消費する電力を低減できると共に、電気ヒータに電力を供給する電源装置の小型化を図ることができる。また、排ガス温度が低い場合に、電気ヒータに通電した状態でサブ噴射弁から分流ガス流路内に尿素水を噴射することから、低温時においても分流ガス流路内に噴射された尿素水を気化させることができ、排ガス中のNOxを処理できると共に、分流ガス流路内での尿素の析出を防止でき、NOxの処理を高性能に行うことができる。さらに、排気煙道内の排ガス温度が所定温度以上である場合には、メイン噴射弁から排気煙道内に必要量の尿素水を噴射するので、排気煙道内での尿素の析出を防止でき、NOxの処理を高性能に行うことができる。
以下、本発明に係る排気処理装置及び排気処理方法の実施形態を、図1乃至図5を用いて詳細に説明する。
図1は実施形態に係る排気処理装置の全体構成図である。図示しないディーゼルエンジンから排出された排ガス1は、排気処理のための触媒群を納めた排気煙道3を通過し、粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)を除去され、浄化された排ガス2となって大気に放出される。一般に、触媒やフィルターはガスが流れる際の圧力損失が大きくなり易いため、流路面積を大きくすることで、圧力損失の抑制を図る。このため、触媒群を納めた排気煙道3においては、入口及び出口の配管径に比べて、大きな断面積にする。本例においては、触媒群が、上流側から酸化触媒4、粒子状物質除去のためのフィルター(DPF)5、脱硝触媒6、アンモニア処理のための触媒7の順に配置されているが、これ以外の組合せであってもかまわない。ただし、排ガスに対する尿素水の注入は脱硝触媒6の上流で行う。
ディーゼルエンジンの排ガスに含まれる粒子状物質は、フィルター物質の表面に付着させることで除去されるが、使用に伴いフィルター5の内部に粒子状物質が蓄積するので、フィルター詰まり防止のため、蓄積した物質を定期的に焼却して再生する。フィルター5を再生する際は、ディーゼルエンジンから排出される排ガス1に未燃物質が多く含まれるようにし、その未燃物質を酸化触媒4で酸化反応させることにより、燃焼熱によって排ガスの温度を上昇させ、それによってフィルター5に蓄積された物質を着火させ、ゆるやかに燃焼させることで除去する。この他、酸化触媒4は、脱硝性能の向上のための役割も担う。即ち、エンジンから排出された直後のガスに含まれる窒素酸化物(NOx)はほとんど一酸化窒素(NO)の状態になっており、このNOの一部を酸化触媒4で酸化させ、二酸化窒素(NO2)の状態にすると、脱硝触媒6でアンモニアによりNOxを還元させる反応が促進される。これは、比較的低温の状態では、NOとNO2のモル比が1:1になっている場合にアンモニアによる還元反応が最も進むことに起因する。
尿素水噴射用のメイン噴射弁10及びサブ噴射弁11で噴射された尿素水は、加熱されることで気化し、さらに加水分解することでアンモニアを生成する。この際の加水分解反応は以下の化学式で表される。
(NHCO+HO → 2NH+CO
よって、尿素は水と反応し、アンモニアと二酸化炭素が生成される。また、加水分解反応により生じたアンモニア(NH)を用いてNOxを還元する際の主となる反応は以下の化学式で表される。
NO+NO+2NH → 2N+3H
よって、NOxは窒素と水に変換されることで無害化される。上記の反応では、NOx=2モルに対し、アンモニア(NH)が2モル消費されることから、還元剤としてのアンモニアは、モル比でNOx:NH=1:1が理論混合比となる。尿素にさかのぼって捉えると、NOx:尿素=2:1のモル比で添加すると当量比=1での供給となる。
アンモニアとNOxの反応が理想的に行われなかった場合は、反応しなかったアンモニアが脱硝触媒6を通過して出てくることになる。アンモニアは人体に対して有害な物質であるため、大気に放出するのは避けなくてはならず、これを処理するための触媒7を設ける。一般に、触媒7は酸化触媒でその機能を果たすが、その際の化学反応は以下のようになる。
2NH+3O → NO+NO+3H
即ち、アンモニアをNOxと水に変換することで、アンモニアの処理がなされる。この方法はNOxを再び生成してしまうために、トータルとしてのNOx低減率が悪化することから、触媒7にはアンモニアとNOxの反応を促進させる機能も持たせることが望ましい。その場合、触媒7の中でアンモニアが一旦NOxになるが、そのNOxはアンモニアと反応することで窒素と水になるため、最終的にはアンモニアが窒素と水になる。
メイン噴射弁10及びサブ噴射弁11は、尿素水タンク8から供給し、ポンプ9で加圧した尿素水を噴射すると同時に、必要な尿素量だけが注入されるよう、尿素水の噴射量を調整する役割を果たす。噴射弁10,11の噴出口は微細な通路にし、ポンプ9で供給される圧力を利用して尿素水が噴出する際の速度を上げ、その慣性力を用いて噴出の際に形成される液滴の微粒化を図る。さらに、噴射弁10,11の開閉を数Hz〜数十Hz程度の周期で繰返し、開弁時間と閉弁時間の割合を制御することにより、尿素水の噴射量を制御すると同時に、断続的な噴霧を作り出す。メイン噴射弁10は、噴射した噴霧が直接排ガスと混合するように、排気煙道3に取り付ける。また、メイン噴射弁10から噴射された噴霧の分散促進のために、噴霧の一部を反射して飛散させる衝突板などの構造物を設置することも有効である。
分流ガス流路12は、排ガス1の一部を分流させ、尿素水を噴射したガス17を再び主流の排ガス1に合流させる通路である。この分流ガス流路12には、上流から順にサブ噴射弁11、電気ヒータ13、加水分解触媒14が取り付けられる。サブ噴射弁11によって噴射された尿素水噴霧は、電気ヒータ13による加熱によって気化される。気化の形態としては、水分の気化が先行して、粉状の尿素が出来、そこからさらに加熱を受けると、尿素の熱分解が起こり、気体になる。粉状になった尿素若しくは熱分解を起こしたものは、加水分解触媒14を通過することで、加水分解が起こり、完全なアンモニアガスになる。加水分解触媒14がある環境は、尿素水の気化で発生した水蒸気と、排ガスに含まれている水蒸気とで水分が十分にある環境となっており、250℃程度以上の温度にあれば、加水分解反応が十分に行われる。このため、主流の排ガス温度が200℃を下回るような低排気温度の条件においても、電気ヒータ13と加水分解触媒14の効果によって、尿素水から十分にアンモニアガスを生成することが可能になる。よって、サブ噴射弁11が尿素水を噴射している場合は、分流ガス流路12から出てくる排ガス17にアンモニアが含まれる。なお、排ガス温度の検出は、排気煙道3のフィルタ5よりも下流側で、分流ガス流路12におけるサブ噴射弁11の設定位置よりも上流側で行うことが好ましい。
分流ガス流路12の出口は旋回翼16の裏側にすることが望ましい。分流ガス流路12に行かなかった主流の排ガスは、主流ガス絞り流路15を流れる。この流路は上流に比べて流路面積が減少していることにより流速が増加し、動圧が増加することで静圧が低下する。分流ガスと主流ガスが合流する際は静圧が同じになるため、合流部での静圧が同じになるように分流ガスと主流ガスの流量比が決まる。分流ガス流路12は、加水分解触媒14があることなどで圧力損失が大きくなり易いので、分流ガスの流量比を確保するためには、主流ガスが分流ガスを吸引することが望ましい。よって、本例においては、主流ガス流路15が絞られており、静圧が低下することで分流ガスを吸引している。また、流路を絞った箇所で分流ガスと主流ガスを合流させることは、ガスの混合に対しても有利になる。さらに、分流ガスが合流する箇所の上流に固定の旋回翼16を設けることで、主流ガスに旋回がかかり、分流ガスの混合促進が図られる。同時に、旋回翼16は、主流ガスに圧力損失を与えるため、分流ガスの合流部より上流に旋回翼があることは、主流ガスが分流ガスを吸引することに役立つ。さらに、旋回翼16はメイン噴射10から噴射された噴霧を排ガス中に均一に分散させることに対しても役立つ。
尿素水の注入を制御するための制御装置18は、エンジンコントロールユニット19が管理しているエンジンの状態に関する情報を、情報通信回路20から得、保持しているマップデータを参照することで、排出されているNOx量及び排ガス温度を推定することができる。また、制御装置18には、尿素水タンク8の残量に関する情報も送られ、それらの情報をもとに、メイン噴射弁及びサブ噴射弁から噴射する尿素水の量を決め、尿素水ポンプ9、噴射弁10、11、電気ヒータ13の制御を行う。この他、排気煙道3に温度センサ及びNOxセンサを取り付け、制御装置18がその計測情報を得ることで、システムの制御を行うことも可能である。
尿素水ポンプ9は、尿素水タンク8に尿素水が存在し、かつエンジンが起動している場合に運転され、それ以外の場合は停止される。
メイン噴射弁10及びサブ噴射弁11から噴射する尿素水の量は、先に合計の噴射量を決め、次に、排ガス温度に応じてメイン噴射弁10及びサブ噴射弁11の噴射量の割り振りを決める。その際に、電気ヒータ13のオン・オフも決める。
合計の噴射量を決めるに当たっては、排出されるNOx量の推定値から、理論混合比になる尿素水量にする決め方が1つの方法としてある。この方法の延長として、排ガス温度に応じて脱硝触媒6での反応率(=脱硝率)が変化することを考慮し、低温時などで脱硝反応がある程度しか期待できない場合には反応しない分の尿素を減らすことで、理論混合比から補正した量を合計噴射量とすることもできる。また、尿素水の消費量を節約するため、理論混合比からの補正を行って合計噴射量を決めることもできる。さらには、脱硝率を向上するため、理論混合比から上積みした量の噴射量にすることもできる。
以上の方法に加えて、全く別の合計噴射量の決め方を図6に示す。脱硝触媒6は温度に応じてアンモニアを溜め込んだり、吐き出したりする特性をもつことから、この特性を踏まえて、脱硝触媒6に蓄積されるアンモニア量を推定し、その蓄積量を目標値になるように合計尿素水噴射量を決めることもできる。この場合の決め方を、図6のフローチャートに沿って説明する。ステップ110でエンジンが掛かっていることが確認され、ステップ111の尿素水の残量の有無によってプロセスが分かれる。残量なしの場合は、ステップ112になり、ポンプ9、噴射弁10,11及び電気ヒータ13が停止される。残量ありの場合は、合計噴射量を決めるステップ113に入る。尿素水の合計噴射量が決まれば、ステップ114で脱硝触媒6に供給されるアンモニア量が決まる。一方、脱硝触媒6には、エンジンから排出されたNOxが流入し、このNOxを還元した分だけ、アンモニアが消費される。エンジンから排出さるNOx量は事前にエンジンの特性を調べてNOx排出量の特性データを持っておくことで、エンジン負荷に関する情報から推定することができる。また、脱硝触媒6での反応率(=脱硝率)も、排ガス温度との関係でデータを持っておくことにより推定できる。但し、脱硝触媒6に蓄積されているアンモニア量の飽和率によっても脱硝率は変化することも考慮する必要がある。以上のプロセス115で、脱硝触媒6におけるアンモニア消費量は推定できる。供給されるアンモニア量と、消費されるアンモニア量の差で、供給量が上回れば、その分は余剰となって脱硝触媒に蓄積され、消費量が上回れば、不足分が脱硝触媒の蓄積量から補われる。また、脱硝触媒6におけるアンモニアの飽和蓄積量は温度が上がる程低下するので、排ガス温度の急な上昇があると、アンモニア蓄積量は変わらなくても飽和蓄積量を超え、アンモニアの放出が起きる場合があり、これがステップ120になる。このアンモニア放出量の推定は、脱硝触媒の飽和量を参照するステップ119と、蓄積量が飽和量を超えてスリップになるかどうかを判定するステップにより行われる。以上のことを積分し続けるステップ117により、脱硝触媒6のアンモニア蓄積量を把握することができる。そして、飽和蓄積量に対する目標比率を目標飽和率として決めておき、この目標飽和率から目標蓄積量をステップ121で算出し、実際に蓄積されていると推定される量との比較から、ステップ122を通じて尿素水噴射量の修正量が出され、ステップ113の合計の尿素水噴射量を決めるプロセスに反映される。
合計の尿素水噴射量を決めた後は、図2に示した噴射量マップに応じて、サブ噴射弁11の噴射量を決め、残りをメイン噴射弁10で噴射する。
図2の上段は、排ガス温度に応じたサブ噴射弁の噴射量範囲を表し、図2の下段は排ガス温度に応じた電気ヒータの稼動範囲を表す。
所定の温度Tよりも排ガス温度が低い場合は、脱硝反応が期待できないため、尿素水噴射量はゼロにする。サブ噴射弁11が尿素水を噴射しない場合は、電気ヒータ13もオフにする。一例として、Tを150℃に設定してもよい。排ガス温度がTになった場合は、上限噴射量をmとし、前述のいづれかの方法で決めた合計噴射量がm以下の場合は、その合計噴射量をサブ噴射弁11で噴射する。合計噴射量がmを超える場合は、サブ噴射弁11の噴射量をmにする。以下同様に、合計噴射量が上限噴射量を超える場合は、噴射量を上限値にする。また、サブ噴射弁11が尿素水を噴射する場合は、電気ヒータ13をオンにする。mの値は、尿素水を気化する電気ヒータ13の容量によって決まる。同様に、排ガス温度がTの時は上限噴射量をmにする。排ガス温度がTとTの間にある場合は、mとmの値を排ガス温度で比例配分して求まる値を上限噴射量にする。排ガス温度に応じてサブ噴射弁の上限噴射量が変わるのは、電気ヒータの発熱が、分流ガスに奪われる量が変化するためである。排ガス温度が高い場合ほど、熱が奪われずに済み、同じ発熱量でもより多くの尿素水を気化できるようになるので、上限噴射量を増やすことが可能になる。排ガス温度がTからTの間にある時は上限噴射量をmにする。また、この温度範囲では、メイン噴射弁10を使用してもよく、後述のメイン噴射弁10の噴射量で必要な尿素水量が足りる時は、サブ噴射弁11及び電気ヒータ13を停止してもよい。排ガス温度がTを超えると、サブ噴射弁11を停止し、電気ヒータ13もオフにする。排ガス温度がT以上になった場合は、電気ヒータ13をオフとしたままで、サブ噴射弁11からmの量だけ尿素水の噴射を行う。この噴射は、サブ噴射弁11を排ガスの熱から守るために行うものであり、mの量はサブ噴射弁11が計量できる最小噴射量で良い。
なお、噴射弁10,11の噴射量を変化させる方法としては、一般的に、(a)開弁を繰り返す時間間隔を一定として、噴射弁の開弁時間を変化させる方法、(b)噴射弁開弁時間を一定として、開弁を繰り返す時間間隔を変化させる方法とが採られているが、いずれの方法を採るにせよ、噴射弁10,11の冷却を行うためには、所定の流量(体積/時間)を確保するように開弁時間或いは繰り返しの時間間隔を調整して噴射することが望ましい。例えば、上記(a)の方法を採る場合においては、開弁時間を、装置が尿素水を噴射するために実際に実施している開弁時間の中で、最小の時間以下の時間に設定すると良い。
図3は、排ガス温度に応じたメイン噴射弁の噴射量範囲を表す。
排ガス温度がT未満である場合は、メイン噴射弁10は噴射を行わない。このことで、サブ噴射弁11とメイン噴射弁10の合計噴射量が、脱硝触媒6が必要としている合計噴射量に対して不足する場合でも、図3の噴射量範囲を優先する。排ガス温度がTの場合の上限噴射量はmとし、排ガス温度がTの間にある場合は、Tの時をゼロとして、排ガス温度で比例配分して求まる量を上限噴射量にする。なお、本実施形態では、TとTを同じ温度に設定し、TとTを同じ温度に設定しているが、必ずしも同じ温度にする必要はない。Tの温度は、メイン噴射弁10から尿素水を噴射した場合にも、尿素噴霧が排気煙道3内の壁面に析出を起こさない条件から決まり、一例として、Tを250℃に設定してもよい。Tは、メイン噴射弁10だけで必要な尿素水の全量を噴射できるようになる条件から決まり、一例として、Tを300℃に設定してもよい。メイン噴射弁10の能力としての上限噴射量をmとし、その噴射量で尿素の析出を起こさず運転できる最低の排ガス温度をTとすると、排ガス温度がTとTの間にある場合は、上限噴射量はその比例配分で求まる量にする。また、排ガス温度がT以上である場合は、メイン噴射弁の下限噴射量をmとして、メイン噴射弁10を停止させることがないようにする。これは、サブ噴射弁11の場合と同様で、排ガスの熱からメイン噴射弁10を守るために行うものであり、mの量は、メイン噴射弁10が計量できる最小噴射量でよい。本実施形態では、TとTを同じ温度に設定しているが、必ずしも同じ温度にする必要はない。
図4は、メイン噴射弁10とサブ噴射弁11の合計噴射量の範囲を排ガス温度との関係で示したものであり、図2と図3の組み合わせから得られる。図4の噴射量範囲は、NOxを処理するために必要と算出される噴射量よりも優先される。これは、尿素水を析出させてしまうような条件で尿素水を噴射量しても、NOxの低減にあまり役立たず、弊害をもたらす可能性の方が高いためである。図4より、排ガス温度がT未満の時は、尿素水は噴射されず、TからTの間は、mとmの比例配分値が上限噴射量となる。排ガス温度がTからTの間は、mとm+mの比例配分値が上限噴射量となる。この区間では、メイン噴射弁10の噴射量だけでは必要な噴射量に対して尿素水が不足する場合にのみ、サブ噴射弁11の噴射を行うようにすると、サブ噴射弁11を使わないでおく時間が増え、電気ヒータ13がオフになる時間が増え、省エネルギー化に役立つ。排ガス温度がTを超えた瞬間に、T未満の場合より上限噴射量が減少するが、mの噴射量が実際の使用する噴射量をカバーしていれば問題はない。排ガス温度がTからTの間は、mとmの比例配分値が上限噴射量となる。また、排ガス温度がT以上の時は、サブ噴射弁11も噴射を行うため、合計噴射量がm+mを下回ることは無くなる。
以上の各噴射弁10,11の噴射量及び電気ヒータ13の運転を決めるプロセスをまとめたものが図5である。即ち、ステップ100でエンジンの状態に関する情報を得て、ステップ101で排ガス温度を推定する。ただし、この他に温度センサで計測することで排気ガス温度を得る方法に変えることもできる。ステップ102で、エンジン情報からNOx排出量を推定し、ステップ103で尿素水の仮の合計噴射量を決める。この合計噴射量の決め方には、NOx排出量に対して当量比1にする方法や、脱硝触媒6に対するアンモニア蓄積量を基準にする図6の方法などがある。仮の合計噴射量が決まった後、サブ噴射弁11とメイン噴射弁10に振り分けるにあたっては、排ガス温度に応じて順序が変わり、排ガス温度がTからTの間以外の場合は、ステップ106で、図2を参照しながら、サブ噴射弁11の噴射量と電気ヒータ13のオン/オフを決め、次に、ステップ107で、合計噴射量とサブ噴射弁11の噴射量の差からメイン噴射弁10の噴射量を決める。排ガス温度がTからTの間の場合は、ステップ108で、図3を参照しながら、メイン噴射弁10の噴射量を決め、次に、ステップ109で合計噴射量とメイン噴射弁10の噴射量の差からサブ噴射弁11の噴射量を決める。この場合、サブ噴射弁11でも噴射することになった場合のみ、電気ヒータ13をオンにする。
本例の排気処理装置及び排気処理方法は、排ガス温度が低い場合には、電気ヒータ13に通電した状態でサブ噴射弁11から分流ガス流路12内に必要量の尿素水を噴射し、排ガス温度が高い場合には、電気ヒータ13への通電を断った状態でメイン噴射弁10から排気煙道3内に必要量の尿素水を噴射するので、電気ヒータ13が消費する電力を低減できると共に、電気ヒータ13に電力を供給する電源装置の小型化を図ることができる。また、排ガス温度が低い場合、電気ヒータ13に通電した状態でサブ噴射弁11から分流ガス流路12内に尿素水を噴射することから、低温時においても分流ガス流路12内に噴射された尿素水を気化させることができ、尿素から生じたアンモニアにてNOxを処理することができると共に、分流ガス流路12内での尿素の析出を防止でき、NOxの処理を高性能に行うことができる。さらに、排気煙道3内の排ガス温度が所定温度以上である場合には、メイン噴射弁10から排気煙道3内に必要量の尿素水を噴射するので、排気煙道3内での尿素の析出を防止でき、NOxの処理を高性能に行うことができる。
また、本例の排気処理装置及び排気処理方法は、排気煙道3内の排ガス温度が所定温度以上になった場合、メイン噴射弁10及びサブ噴射弁11から少量の尿素水を噴射するので、サブ噴射弁11内及びメイン噴射弁10内における尿素水の沸騰を防止でき、サブ噴射弁11及びメイン噴射弁10の閉塞を防止できると共に、弁体を駆動する電磁コイル及び電気回路の損傷を防止することもできる。
さらに、本例の排気処理装置及び排気処理方法は、排気ガス温度に応じたメイン噴射弁10の噴射量の上限値を設けるので、排気煙道3内への過剰な尿素水の噴射が防止され、排気煙道3若しくは排気煙道3内に設けられた構造物への尿素の析出を防止することができる。よって、尿素の無駄を解消でき、尿素水の消費量を低減することができる。
加えて、本例の排気処理装置及び排気処理方法は、2つの噴射弁10,11から噴射される尿素水噴射量の振り分けを、主に排ガス温度から決め、その排ガス温度は、エンジン負荷の情報から推定して得られる値を用いるので、排ガス温度の計測に伴う遅れがなく、最適な振り分けで、それぞれの噴射弁10,11の噴射量を決めることが可能になる。
本発明に係る排気処理装置及び排気処理方法は、ディーゼルエンジンの排ガスに含まれるNOxの除去に有効であり、ディーゼルエンジンを動力源とする車両等に適用することができる。
本発明に係る排気処理装置の構成図である。 サブ噴射弁の噴射量及び噴射範囲とヒータの運転範囲とを示す図である。 メイン噴射弁の噴射量及び噴射範囲を示す図である。 サブ噴射弁とメイン噴射弁の合計噴射量とその噴射範囲とを示す図である。 各噴射弁の噴射量及びヒータの運転を決めるためのフローチャートである。 合計噴射量を決めるためのフローチャートである。
符号の説明
1,2 排ガス
3 排気煙道
4 酸化触媒
5 フィルター
6 脱硝触媒
7 アンモニア処理触媒
8 尿素水タンク
9 ポンプ
10 メイン噴射弁
11 サブ噴射弁
12 分流ガス流路
13 電気ヒータ
14 加水分解触媒
15 主流ガス絞り流路
16 旋回翼
17 分流ガス
18 制御装置
19 エンジンコントロールユニット
20 情報通信回路

Claims (10)

  1. 排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒で還元処理するために必要なアンモニアの生成に用いる尿素水を排気煙道内に噴射するメイン噴射弁と、前記排気煙道内における前記メイン噴射弁の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側に配置された旋回翼と、前記メイン噴射弁の配置位置と前記旋回翼の配置位置との間で前記排気煙道から分岐され、前記旋回翼の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側で再度前記排気煙道と合流する分流ガス流路内に前記尿素水を噴射するサブ噴射弁と、前記分流ガス流路を加熱する電気ヒータとを備え、
    排ガス温度が所定温度以下の場合は、前記電気ヒータに通電した状態で、前記サブ噴射弁から前記尿素水を噴射し、
    排ガス温度が所定温度以上の場合は、前記電気ヒータへの通電を断った状態で、前記メイン噴射弁及び前記サブ噴射弁の両方から前記尿素水を噴射することを特徴とするエンジンの排気処理装置。
  2. 排ガス温度が所定温度以上の場合に前記電気ヒータへの通電を断った状態で行う前記サブ噴射弁の1回の噴射量を、排ガス温度が所定温度以下の場合に前記電気ヒータに通電した状態で前記サブ噴射弁が噴射する1回の噴射量の最小値以下の噴射量とすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気処理装置。
  3. 前記メイン噴射弁の噴射量の上限値を排ガス温度に応じて設定し、前記メイン噴射弁の尿素水噴射量は、前記上限値を超えないように、前記排気煙道内の排ガス温度に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気処理装置。
  4. 前記サブ噴射弁の噴射量の上限値を排ガス温度に応じて設定し、前記サブ噴射弁の尿素水噴射量は、前記上限値を超えないように、前記排気煙道内の排ガス温度に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気処理装置。
  5. 前記排ガス中の窒素酸化物を還元処理するために必要な尿素水噴射量に対し、前記メイン噴射弁の噴射量の上限値と前記サブ噴射弁の噴射量の上限値の合計が、前記必要な尿素水噴射量より少ない場合は、前記メイン噴射弁と前記サブ噴射弁の噴射量をそれぞれの上限値とし、
    前記メイン噴射弁の噴射量の上限値と前記サブ噴射弁の噴射量の上限値の合計が、前記必要な尿素水噴射量より多い場合は、前記メイン噴射弁と前記サブ噴射弁の噴射量の合計が、前記必要な尿素水噴射量になるように制御することを特徴とする請求項3および4に記載のエンジンの排気処理装置。
  6. 前記メイン噴射弁の噴射量の下限値を排ガス温度に応じて設定し、排ガス温度に応じて、前記メイン噴射弁の尿素水噴射量を、前記下限値以上になるように制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気処理装置。
  7. エンジンの負荷情報から排ガス温度を推定し、その推定した排ガス温度に応じて、前記メイン噴射弁及び前記サブ噴射弁並びに前記電気ヒータを制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気処理装置。
  8. エンジンの負荷情報からエンジンから排出される窒素酸化物の排出量を推定し、その推定した窒素酸化物の排出量に応じて、前記必要な尿素水噴射量を決定することを特徴とする請求5に記載のエンジンの排気処理装置。
  9. 前記脱硝触媒に蓄積されるアンモニア量を推定し、その推定量を目標値になるように、前記必要な尿素水噴射量を決定し、前記目標値は、排ガス温度に応じて決まる前記脱硝触媒のアンモニア蓄積の飽和量をもとにして決めることを特徴とする請求項5に記載のエンジンの排気処理装置。
  10. 排ガス中の窒素酸化物を脱硝触媒で還元処理するために必要なアンモニアの生成に用いる尿素水を排気煙道内に噴射するメイン噴射弁と、前記排気煙道内における前記メイン噴射弁の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側に配置された旋回翼と、前記メイン噴射弁の配置位置と前記旋回翼の配置位置との間で前記排気煙道から分岐され、前記旋回翼の配置位置よりも前記排ガスの流れ方向の下流側で再度前記排気煙道と合流する分流ガス流路内に前記尿素水を噴射するサブ噴射弁と、前記分流ガス流路を加熱する電気ヒータとを備え、
    排ガス温度が所定温度以下の場合は、前記電気ヒータに通電した状態で、前記サブ噴射弁から尿素水を噴射し、
    排ガス温度が所定温度以上の場合は、前記電気ヒータへの通電を断った状態で、前記メイン噴射弁及び前記サブ噴射弁の両方から尿素水を噴射することを特徴とするエンジンの排気処理方法。
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