JP4646858B2 - 窒化処理用鋼板 - Google Patents

窒化処理用鋼板 Download PDF

Info

Publication number
JP4646858B2
JP4646858B2 JP2006164827A JP2006164827A JP4646858B2 JP 4646858 B2 JP4646858 B2 JP 4646858B2 JP 2006164827 A JP2006164827 A JP 2006164827A JP 2006164827 A JP2006164827 A JP 2006164827A JP 4646858 B2 JP4646858 B2 JP 4646858B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nitriding
hardness
steel sheet
less
steel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006164827A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007332417A (ja
Inventor
達也 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2006164827A priority Critical patent/JP4646858B2/ja
Publication of JP2007332417A publication Critical patent/JP2007332417A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4646858B2 publication Critical patent/JP4646858B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は窒化処理用の鋼板に関し、特に、窒化処理後に均一な板厚方向硬さ分布の窒化物を与え、且つ優れたスポット溶接性を有する窒化処理用鋼板に関するものである。この鋼板は、例えばプレス成形などで成形加工した後に窒化処理して自動車用車体部品などとして使用される鋼板であって、高強度化のために窒化処理を行った後でも、窒化処理前の成形加工による寸法精度を高レベルに保ち、しかもスポット溶接性に優れた窒化処理用鋼板に関するものである。
窒化処理は、一般に金属機械部品の表面硬さを高めるために利用される技術であり、部品の表面から窒素を侵入させるため、窒化後の部品は厚さ方向に表面から内部にかけて硬さ分布を有している。
例えば特許文献1には、プレス成形性に優れた軟窒化処理用鋼板が開示されており、この文献1に記載された鋼板は、例えば自動車駆動系部品(ギヤなど)などの用途に用いられる鋼板であって、窒化により表面硬さと内部硬さの上昇を図っている。また特許文献2には、鋼中のN,S,Cなどと結合していない固溶Ti量を制御することにより、窒化後の板厚方向硬さ分布を均一にする技術が開示されている。更に特許文献3には、鋼中のN,S,Cなどと結合していない固溶Ti量を制御することで、短時間の窒化処理、換言すると少ない浸窒量での強化を可能とし、結果として窒化処理部材のスポット溶接性を高める技術が開示されている。
ところが、これらの従来技術にはそれぞれ次の様な問題が残されている。即ち特許文献1に開示の技術では、板厚方向の硬さを均一にすることが困難であり、また内部硬さを高めようとしても表面硬化層が成長するのみで、窒化後の部品として達成可能な強度に限界がある。また特許文献2に開示された技術では、窒化による部品強化に多量の窒素を吸収させねばならず、窒化後の部品をスポット溶接の如き抵抗発熱による部分溶融によって溶接する際に、溶融部から窒素が気体として大量に逸出する。そのため、溶融金属が飛散してスパッタが多発するという問題があり、溶接作業性が悪くて健全な溶接部を得るために必要な溶接電流範囲が狭いといった問題を内包している。また特許文献3では、スポット溶接性を優先するため窒化を抑える必要があり、窒化処理後の板厚方向硬さを均一にすることは難しい。
特開2003−119548号公報 特開平11−279686号公報 特開2000−34539号公報
本発明は上記の様な従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、窒化処理によって得られる硬さが板厚方向で均一であり、且つスポット溶接性に優れた高強度鋼板を与える窒化処理用鋼板を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の鋼板とは、
C:0.05〜0.20%(質量%を表す、以下同じ)、
Mn:0.5〜3.0%、
Si:0.02%超0.5%以下、
Sol.Al:0.005〜0.050%、
N:0.001〜0.01%、
を含有する他、Ti,V,Zrから選ばれる少なくとも1種を、合計含量が0.05%以下で、且つ下記式(1)を満足する量で含み、
([Ti%]/48.88+[V%]/50.94+
[Zr%]/91.22)×14.01−[N%]<0……(1)
更に、Crおよび/またはMoの合計含量が0.10%未満(0%を含まない)で、且つ鋼中のC,Si,Cr,Mn,Moの含有量が下記式(2)の関係を満たし、残部がFeおよび不可避不純物からなり、窒化処理後の板厚方向硬さ分布が均一で且つスポット溶接性に優れた窒化処理用鋼板である。
−950×[C%]+78×[Si%]+208×[Mn%]+
50×([Cr%]+[Mo%])<200……(2)
本発明の上記窒化処理用鋼板には、他の成分として、Nb:0.005〜0.05%を含有させることにより、窒化処理後の鋼板強度を一段と高めることができるので好ましい。
本発明によれば、窒化処理によって板厚方向に均一な硬さ分布を有し、且つ窒化部品をスポット溶接する際にも、優れたスポット溶接性を発揮し得る窒化処理用鋼板を提供できる。
本発明者らは前述した様な解決課題の下で、特に窒化処理によって板厚方向の硬さ分布を可及的に均一にできると共に、窒化後においても窒素ガスの過度の放出が起こらず、広い溶接電流範囲で優れたスポット溶接性を発揮する窒化処理用鋼板の開発を期して鋭意研究を重ねた結果、上記本発明に想到したものである。
以下、鋼材の化学成分などを定めた理由を追って、本発明の具体的な構成を明らかにしていく。
まず、鋼材の化学成分を定めた理由を明らかにする。
C:0.05〜0.20%
窒化処理前の鋼板強度を決定する重要な元素の1つであるが、窒化処理後の材料強度にも重要な影響を及ぼし、含有量が0.05%未満では、窒化後の鋼板強度として車体部品に最低限必要な硬さである「Hv:200レベル」を確保できなくなる。しかしC含量が0.20%を超えると、浸窒量を適正に制御したとしても満足のいくスポット溶接性が得られなくなる。C含量のより好ましい範囲は、0.09%以上、0.19%以下、更に好ましくは0.10%以上、0.18%以下である。
Mn:0.5〜3.0%、
Mnも、窒化処理前の材料強度を決定する重要な元素であり、窒化処理後の強度にも重大な影響を及ぼす。Mn含量が0.5%未満では、やはり、窒化後の鋼板強度として車体部品に最低限必要な硬さである「Hv:200レベル」を確保できなくなる。しかしMn含量が3.0%を超えると、窒化処理後の鋼板の靭性が悪くなるので、それ以下に抑えねばならない。Mn含量のより好ましい範囲は、0.6%以上、2.7%以下、更に好ましくは0.7%以上、2.5%以下である。
Si:0.02%超0.5%以下
Siは、特に窒化処理後の鋼板硬さを確保する上で欠くことのできない元素であり、0.02%以下では窒化処理後の硬さが不十分となる。一方Si含量が0.5%を超えると、板厚方向への窒化が十分に進み難くなり、窒化後の板厚方向硬さが不均一になる。Si含量のより好ましい範囲は、0.08%以上、0.45%以下、更に好ましくは0.10%以上、0.40%以下である。
Sol.Al:0.005〜0.050%
Alは、鋼を溶製する際の脱酸性元素として有用な元素で、且つ窒化による強度向上にも寄与する元素であり、酸素量を低減して十分なレベルの清浄度を確保しつつ窒化による強化効果を有効に発揮させるには、Sol.Alとして0.005%以上含有させることが必要である。しかし多過ぎると、非金属系介在物源となって靭性に顕著な悪影響を及ぼすばかりか、表面硬化も著しくなって板厚方向の硬さバラツキが大きくなるので、0.050%以下に抑えるべきである。Sol.Al含量のより好ましい範囲は、0.010%以上、0.045%以下、更に好ましくは0.015%以上、0.040%以下である。
N:0.001〜0.01%
N(窒素)は、溶製工程で雰囲気から不可避的に混入してくる元素であり、製造面から考えると窒化に対する過度の負担を避けるには、0.001%程度は許容せざるを得ない。しかしN含量が多過ぎると、窒化処理前の鋼板の延性が劣悪となり、機械部品として必要な形状に加工することが困難になるので、多くとも0.01%以下に抑えるべきである。N含量のより好ましい範囲は、0.0015%以上、0.009%以下、更に好ましくは0.0020%以上、0.008%以下である。
Ti,V,Zrから選ばれる少なくとも1種:合計含量が0.10%以下で、且つ下記式(1)を満足する量
これらは窒化処理後の硬さ上昇に寄与する元素であるが、板厚方向(深さ方向)の硬さ上昇以上に表面硬さを著しく高め、結果的に板厚方向の硬さの均一性を害するため、本発明では極力少なく抑えるのがよく、実質的にゼロ%であることが望ましい。但し、溶製原料などに由来して不可避的に混入してくる場合は、窒化処理に先立って鋼中のNと結合させ窒化物として固定しておくことで、上記障害を解消できる。従って、Ti,V,Zrの含有量は、下記記式(I)で示す如く、各元素のモル数をN(窒素)のモル数で割った値の合計量が、鋼中のN含量を超えない様に制御することが不可欠の要件となる。
([Ti%]/48.88+[V%]/50.94+
[Zr%]/91.22)×14.01−[N%]<0……(1)
但し、仮にこれらの元素の全てを窒化物として固定したとしても、これらの合計含量が0.10%を超えると窒化処理前の鋼板の延性が低下し、機械部品として必要な形状に成形加工することが困難になるので、多くとも0.10%以下、より好ましくは0.05%以下に抑えるのがよい。
Crおよび/またはMo:合計含量が0.10%未満(0%を含まない)で、且つ鋼中のC,Si,Cr,Mn,Moの含有量が下記式(2)の関係を満たす
CrとMoは、窒化処理後の硬さの上昇に寄与する元素であるが、両者の合計含量が0.10%を超えると、窒化処理後の表面硬化が顕著となり、板厚方向硬さの均一性が低下する。これは、CrやMoが鋼板表面における浸炭窒化層の形成を促進し、表面からの窒素(N)の浸入バリアとなって板厚方向硬さの均一性を阻害するためと考えられる。但し本発明者らが確認したところによると、鋼の表面硬化と板厚方向の窒素浸入に及ぼす影響は、これらCr,Moよりも、先に挙げたC,Si,Mnの方が顕著であり、種々検討の結果、下記式(2)から求められる値(α)が200以下となる様に各元素の含有量を調整してやれば、鋼板の板厚方向の硬さバラツキが可及的に抑えられ、均一な硬さ分布が得られることをつきとめた。
α=-950×[C]+78×[Si]+208×[Mn]+50×([Cr]+[Mo])<200……(2)
そして、上記式(2)の関係を考慮しつつ板厚方向の硬さバラツキを低減することで、板厚方向の硬さ分布をほぼ一定にすることができ、ひいては、浸窒強化に必要な窒素量を最小限に抑えることが可能となる。その結果、従来の浸窒強化材に比べると窒化によるスポット溶接性の劣化を可及的に抑えることができる。
ここでスポット溶接性とは、適正なスポット溶接状態を得ることのできる溶接電流範囲を言い、(溶接スパッタが発生する電流値)−(溶接部の最小ナゲット部が得られる電流値)として求めることができ、この差が大きいものほど、スポット溶接性は優れたものと評価される。
本発明に係る窒化処理用鋼板の必須構成元素は上記の通りであり、残部成分は実質的にFeと不可避的に混入してくる不純元素である。不純元素としては、P(りん),S(硫黄),O(酸素)などが挙げられるが、これらは非金属系介在物として強度や加工性、スポット溶接性などに悪影響を及ぼすので、Pは0.03%程度以下、Sは0.02%程度以下、Oは0.005%程度以下に夫々抑えるのがよい。
また本発明においては、更に他の元素として適量のNbを積極的に含有させ、窒化処理後の強度を調整することも有効な手段として推奨される。即ちNbは、窒化処理前の鋼のミクロ組織を「フェライト+マルテンサイト(またはベイナイト)」の複合組織とすることで成形後の寸法精度の調整を容易にした場合、窒化時の加熱保持でマルテンサイトが軟化した場合でも、Nb析出物の存在によって強度低下が補われ、高強度を確保し易くなるので好ましい。
本発明の窒化処理用鋼板は、上記の様に成分組成を調整することで、窒化処理によって均一な板厚方向硬さ分布の硬質鋼板を与え、且つこの硬質鋼板は、窒化処理前はもちろんのこと、窒化処理後であっても優れたスポット溶接性を示す。窒化処理の方法は特に制限されず、鋼板を所定の形状に成形加工した後、汎用の窒化処理、例えばガス窒化(NHやNガス、或はこれらのガスとHやCOなどを含む混合ガスを用いた窒化)やプラズマ(イオン)窒化などによって行えばよく、それにより鋼板の表面は勿論のこと、内部(板厚方向深部)までも効率よく窒化を進めることができる。
なお鋼板の厚さは特に制限されず、厚さに応じて窒化処理時間を延長したり処理温度を高めたりすることで板厚方向硬さをほぼ均一にできるが、厚肉になり過ぎると中心部が浸窒不足となって硬さ不足になる傾向は否めないので、本発明の特徴をより有効に生かすには、板厚が3mm程度以下、より好ましくは2.5mm程度以下のものを使用するのがよい。
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実験例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実験例
表1,2に示す成分組成の鋼材を真空溶解法により溶製してから鋳造し、得られた鋳塊を1200℃に加熱し熱間圧延を行って厚さ30mmのスラブを得た。得られた各スラブを1250℃に再加熱してから、板厚3mmまで熱間圧延した。熱間圧延の仕上温度は880℃とし、圧延終了後、直ちに50℃/秒の速度で550℃まで冷却し、その後、同温度に保った電気炉内で30分間保持してから電気炉の電源をオフにし、炉温が200℃となるまで炉冷してから炉より取り出す。
室温まで冷却した各鋼板を酸洗(酸洗液としては塩酸試薬原液を使用)し、表面のスケールを除去してから板厚1mmまで冷間圧延した。次いで、不活性雰囲気中で780℃まで20℃/秒の速度で昇温し、同温度で60秒間保持して焼鈍を行なった後、不活性雰囲気中で200℃まで自然放冷し、その後、大気中で室温まで放冷した。得られた鋼板を幅30mm×長さ200mmの短冊状に切断した後、アセトン試薬を用いて脱脂処理して窒化用試験片とした。
得られた各試験片について、下記の条件で窒化処理を行ってから窒化後の板厚方向硬さ分布を測定すると共に、下記の方法でスポット溶接性を評価した。
[窒化処理]
日本電子工業社製のイオン窒化装置(商品名「JIN−3S」)を使用し、プラズマ印加条件:ガス組成(体積比)H/N=1/1、電圧450V、温度570℃、時間10時間、で窒化した後、同処理容器内で室温まで冷却した。
[板厚方向硬さ分布の測定]
上記で得た各窒化処理鋼板について、上記と同様に脱脂処理した後、明石製作所製のビッカース硬度計(商品名「MVK−G1」)を用いて、板厚方向の硬さ分布を測定荷重9.8Nで測定し、平均硬さ(平均Hv)および、最大硬さと最低硬さの差(ΔHv)を求めた。なお窒化後の硬さ(Hv)は、平均で少なくとも200Hv程度は必要であり、これ以下は硬さ不足とする。また最大・最小硬さの差(ΔHv)は、100Hvレベルまでは許容範囲で、これを超えるものは不良とする。
[スポット溶接性の評価]
試験片サイズ:(窒化処理した鋼板)30mm×30mm、2枚重ね
溶接機:松下電器社製の単相交流式スポット溶接機(50kV定置式、ダイレクト通電方式)、商品名「YR−500STA5」
制御装置:名古屋電気社製の「UWC−II」タイプ
電極:先端直径が6mmのドームラジアスタイプ(外径:16mm、材質:Cr-Cu)
加圧力:4kN
初期加圧時間:60サイクル
通電時間:10サイクル(電源周波数:60Hz)
溶接電流範囲:溶接電流を、4kAから0.5kAのピッチでスパッタが発生するまで高めていき、溶接部の断面観察によって、溶接部ナゲットの直径で4×√t(tは試験片の板厚;mm)が得られる溶接電流を求めると共に、目視観察によってスパッタが発生したときの電流値を求め、両者の差を溶接電流範囲とする。
この溶接電流範囲は広いほど良好であり、その基準は、1.5以上で良好、1.0以下は不良とする。
結果を、窒化処理前の各供試鋼板の硬さ(Hv)と共に、表2に示す。また、上記実験で得た各供試鋼板(No.1〜6)の板厚方向硬さ分布を図1,2に示す。
表1,2および図1,2より、次の様に考えることができる。
No.1は、α値や式(1)の値が適正でΔHvが小さく溶接電流範囲も十分に広いが、強度向上元素であるC,Si,Mnの含有量が何れも不足するため、平均硬さ(Hv)が低く、窒化強化の目的が果たせない。
No.2,3は、CとSi,Mn含量のバランスが悪く、結果としてα値が200を超えているため、窒化処理後の表面硬さが高くなり過ぎて最大・最小硬さの差(ΔHv)が大きく、溶接電流範囲も狭い。またNo.6は、(Cr+Mo)量が多過ぎるため、図2に示す如く表面硬化が著しく、硬さの均一性に欠ける他、鋼板表面のN含量が多くなるため溶接時に生成するNガス量が増大し、低溶接電流でもスパッタが発生し易くなる。
これらに対しNo.4,5は、個々の化学成分含量が適正で、式(1)の値やα値も規定要件を満たしているため、ΔHvが小さくて平均Hv値も十分に高く、また、溶接電流範囲が広くて優れたスポット溶接性を有している。
次に、表3,4に示す成分系の鋼材を用いて上記と同様の実験を行い、表4に示す結果を得た。
表3,4より、次の様に考えることができる。
No.15,20は、個々の成分含量は好適範囲に入っているが、α値が規定値を超えているためΔHvが大きく且つスポット溶接電流範囲も狭い。No.18は、Si含量が不足気味でα値がやや高過ぎるため、ΔHvが200を超えると共にスポット溶接電流範囲も狭い。No.21は、Ti,Zr,Vの総含有量が規定値を超えて式(1)の値が正の値になっているため、ΔHvがやや大きめでスポット溶接電流範囲も狭めである。No.22は、Si含量が不足するため窒化処理後の硬さが十分に上がっていない。No.23はSol.Al量が規定範囲を超えているため、窒化後の表面硬化が著しく、結果として硬さバラツキが大きくなっている。
これらに対し、No.7〜14,16,17,19は、個々の化学成分含量が適正で、且つ式(1)の値やα値も規定要件を満たしているため、ΔHvが小さくて平均Hv値も十分に高く、また、溶接電流範囲が広くて優れたスポット溶接性を有している。
また図3,4は、上記表1〜4に示した実験結果から、鋼材のα値が硬さバラツキ(ΔHv)とスポット溶接性(溶接電流範囲)に与える影響を纏めて示したものであり、α値が200以下となる様に成分調整すれば、硬さバラツキ(ΔHv)が小さく且つスポット溶接性にも優れた鋼板が得られることを確認できる。
実験例で得た鋼板の板厚方向硬さ分布(板厚方向位置とビッカース硬さ)を示す図である。 実験例で得た他の鋼板の板厚方向硬さ分布(板厚方向位置とビッカース硬さ)を示す図である。 実験例で得た鋼板のα値と硬さバラツキ(ΔHv)の関係を示すグラフである。 実験例で得た鋼板のα値とスポット溶接性(溶接電流範囲)の関係を示すグラフである。

Claims (2)

  1. C:0.05〜0.20%(質量%を表す、以下同じ)、
    Mn:0.5〜3.0%、
    Si:0.02%超0.5%以下、
    Sol.Al:0.005〜0.050%、
    N:0.001〜0.01%、
    を含有する他、Ti,V,Zrから選ばれる少なくとも1種を、合計含量が0.05%以下で、且つ下記式(1)を満足する量で含み、
    ([Ti%]/48.88+[V%]/50.94+
    [Zr%]/91.22)×14.01−[N%]<0……(1)
    更に、Crおよび/またはMoの合計含量が0.10%未満(0%を含まない)で、且つ鋼中のC,Si,Cr,Mn,Moの含有量が下記式(2)の関係を満たし、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする、窒化処理後の板厚方向硬さ分布が均一で且つスポット溶接性に優れた窒化処理用鋼板。
    −950×[C%]+78×[Si%]+208×[Mn%]+
    50×([Cr%]+[Mo%])<200……(2)
  2. 前記鋼が、他の成分として、Nb:0.005〜0.05%を含むものである請求項1に記載の窒化処理用鋼板。
JP2006164827A 2006-06-14 2006-06-14 窒化処理用鋼板 Expired - Fee Related JP4646858B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006164827A JP4646858B2 (ja) 2006-06-14 2006-06-14 窒化処理用鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006164827A JP4646858B2 (ja) 2006-06-14 2006-06-14 窒化処理用鋼板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007332417A JP2007332417A (ja) 2007-12-27
JP4646858B2 true JP4646858B2 (ja) 2011-03-09

Family

ID=38932169

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006164827A Expired - Fee Related JP4646858B2 (ja) 2006-06-14 2006-06-14 窒化処理用鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4646858B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008060161B4 (de) * 2008-12-02 2012-07-19 Benteler Automobiltechnik Gmbh Verfahren zur Herstellung einer Fahrwerkskomponente mit erhöhter Dauerfestigkeit und Fahrwerkskomponente
JP5233846B2 (ja) * 2009-06-02 2013-07-10 新日鐵住金株式会社 窒化処理および高周波焼入処理が施される用途に供される鋼材
DE102009049398C5 (de) 2009-10-14 2015-05-07 Benteler Automobiltechnik Gmbh Verfahren zur Herstellung eines Strukturbauteils für ein Kraftfahrzeug und Strukturbauteil
JP6113388B1 (ja) * 2015-08-20 2017-04-12 ユニプレス株式会社 ベルト式無段変速機に用いるプランジャ部材

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001316759A (ja) * 2000-05-11 2001-11-16 Nkk Corp 窒化用鋼板およびその製造方法
JP2004323905A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Nippon Steel Corp 缶特性が著しく良好な極薄容器用鋼板およびその製造方法
JP2006219717A (ja) * 2005-02-09 2006-08-24 Nippon Steel Corp 耐変形性、表面特性、溶接性が著しく良好な容器用鋼板及びその製造方法
JP2007520628A (ja) * 2004-01-19 2007-07-26 新日本製鐵株式会社 容器用鋼板およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001316759A (ja) * 2000-05-11 2001-11-16 Nkk Corp 窒化用鋼板およびその製造方法
JP2004323905A (ja) * 2003-04-24 2004-11-18 Nippon Steel Corp 缶特性が著しく良好な極薄容器用鋼板およびその製造方法
JP2007520628A (ja) * 2004-01-19 2007-07-26 新日本製鐵株式会社 容器用鋼板およびその製造方法
JP2006219717A (ja) * 2005-02-09 2006-08-24 Nippon Steel Corp 耐変形性、表面特性、溶接性が著しく良好な容器用鋼板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007332417A (ja) 2007-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6447752B2 (ja) 抵抗溶接部を有する自動車用部材
KR101918876B1 (ko) 용융 아연 도금 강판
WO2016199922A1 (ja) 合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法
JP2020509203A (ja) 衝撃特性に優れた熱間成形用めっき鋼板、熱間成形部材、及びそれらの製造方法
WO2014156671A1 (ja) 溶接構造部材用高強度めっき鋼板およびその製造法
EP3578680A1 (en) ALLOYED-Al-PLATED STEEL SHEET FOR HOT STAMPING, AND HOT-STAMPED MEMBER
JP7364933B2 (ja) 鋼板及びその製造方法
JP2005105367A (ja) 溶接性と延性に優れた高降伏比高強度冷延鋼板および高降伏比高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びに、高降伏比高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法
JP6825747B2 (ja) 熱間プレス部材、熱間プレス部材用冷延鋼板、およびそれらの製造方法
KR20230086778A (ko) 강판 및 그 제조 방법
KR102178605B1 (ko) 페라이트계 스테인리스 강판
JP4646858B2 (ja) 窒化処理用鋼板
KR20230169330A (ko) 자동차용 부재 및 그 저항 스폿 용접 방법
JP7277834B2 (ja) アルミニウムめっき鋼板の溶接用ソリッドワイヤ、及び溶接継手の製造方法
JP2022088824A (ja) 拡散接合性及び溶接性に優れる複相ステンレス鋼
JP2002363650A (ja) シーム溶接性に優れた超高強度冷延鋼板の製造方法
WO2019132362A1 (ko) 플럭스 코어드 와이어용 냉연강판 및 그 제조방법
WO2024053669A1 (ja) 溶接継手
WO2022264585A1 (ja) 高強度亜鉛めっき鋼板および部材ならびにそれらの製造方法
JP7151948B1 (ja) 高強度亜鉛めっき鋼板および部材ならびにそれらの製造方法
JP7311808B2 (ja) 鋼板及びその製造方法
JP4332066B2 (ja) 溶接部の靭性に優れた高強度液相拡散接合継手および液相拡散接合用高強度鋼材並びにその液相拡散接合方法
WO2024053665A1 (ja) 溶接継手
JP2010229538A (ja) 抵抗スポット溶接性に優れる高張力鋼板
JP4000940B2 (ja) スポット溶接性に優れた高強度鋼板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080926

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4646858

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees