JP4646680B2 - キャリブレーション方法ならびにそれを利用した無線装置および通信システム - Google Patents

キャリブレーション方法ならびにそれを利用した無線装置および通信システム Download PDF

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本発明は、キャリブレーション技術に関し、特に複数のアンテナにおけるミスマッチを補正するキャリブレーション方法ならびにそれを利用した無線装置および通信システムに関する。
高速なデータ伝送を可能にしつつ、マルチパス環境下に強い通信方式として、マルチキャリア方式のひとつであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式がある。このOFDM変調方式は、無線LAN(Local Area Network)の標準化規格であるIEEE802.11a,gやHIPERLAN/2に適用されている。このような無線LANにおけるバースト信号は、一般的に周波数選択性フェージングの影響を受けるので、受信装置は、伝送路推定を動的に実行する。
受信装置が伝送路推定を実行するために、バースト信号内に、2種類の既知信号が設けられている。ひとつは、バースト信号の先頭部分において、すべてのキャリアに対して設けられた既知信号であり、いわゆるプリアンブルやトレーニング信号といわれるものである。もうひとつは、バースト信号のデータ区間中において、一部のキャリアに対して設けられた既知信号であり、いわゆるパイロット信号といわれるものである(例えば、非特許文献1参照。)。
Sinem Coleri,Mustafa Ergen,Anuj Puri, and Ahmad Bahai,"Channel Estimation Techniques Based on Pilot Arrangement in OFDM Systems",IEEE Transactions on broadcasting,vol.48,No.3,pp.223−229,Sept.2002.
ワイヤレス通信において、周波数資源を有効利用するための技術のひとつが、アダプティブアレイアンテナ技術である。アダプティブアレイアンテナ技術は、複数のアンテナのそれぞれに対応した信号の振幅と位相を制御することによって、アンテナの指向性パターンを制御する(以下、このような指向性パターンを「適応的なパターン」という)。このようなアダプティブアレイアンテナ技術によってデータレートを高速化するための技術が、MIMO(Multiple Input Multiple Output)システムである。MIMOシステムでは、送信装置と受信装置がそれぞれ複数のアンテナを備え、それぞれのアンテナに対応したチャネルを設定する。そのため、MIMOシステムは、送信装置と受信装置との間の通信に対して、最大アンテナ数までのチャネルを設定することによって、データレートを向上させる。さらに、このようなMIMOシステムに、OFDM変調方式を組合せれば、データレートはさらに高速化される。
MIMOシステムでの送信装置と受信装置におけるアンテナの指向性パターンの組合せは、例えば、以下のように示される。ひとつは、送信装置のアンテナがオムニパターンを有し、受信装置のアンテナが適応的なパターンを有する場合である。別のものは、送信装置のアンテナと受信装置のアンテナの両者が、適応的なパターンを有する場合である。前者の方がシステムを簡略化できるが、後者の方が、アンテナの指向性パターンをより詳細に制御するので、特性を向上できる。後者の場合、送信装置が送信のアダプティブアレイ信号処理を実行するために、受信装置から、伝送路推定用の既知信号が予め提供される。さらに、アダプティブアレイアンテナ制御の精度を向上させるために、送信装置は、送信装置に含まれた複数のアンテナと、受信装置に含まれた複数のアンテナ間において、すべての組合せに対応した伝送路特性を取得すべきである。そのため、受信装置は、すべてのアンテナから伝送路推定用の既知信号を送信する。以下、データの通信に使用すべきアンテナの本数に関係なく、複数のアンテナから送信される伝送路推定用の既知信号を「トレーニング信号」という。
トレーニング信号の後段にデータが配置されている場合、トレーニング信号が送信されるアンテナの数と、データが送信されるアンテナの数が異なれば、受信側において、トレーニング信号に対する信号強度とデータに対する信号強度に差異が生じる。この差異が大きくなれば、トレーニング信号とデータのうちの少なくともひとつに対する信号強度が、AGCによって適切に制御できなくなる。その結果、トレーニング信号による伝送路推定やデータの受信特性が悪化する。このような悪化を抑制するために、トレーニング信号の送信側は、送信すべきデータおよびトレーニング信号(以下、並列に処理されるトレーニング信号やデータのそれぞれあるいはまとまりを「系列」という)に対して、ステアリング行列を乗算することによって、ステアリング行列が乗算されたトレーニング信号と、トレーニング信号の数まで数を増加させたデータを生成する。
本発明者はこうした状況下、以下の課題を認識するに至った。送信装置を含む無線装置が、送信の際にアダプティブアレイ信号処理を実行する場合、送信のためのアナログ回路と受信のためのアナログ回路とのミスマッチ(以下、単に「ミスマッチ」という)が、アンテナ単位に異なっていれば、送信の際の指向性パターンが所望のものと異なってくる。すなわち、無線装置は、受信した信号をもとに、送信の際の指向性パターンを形成するためのウエイトを計算するが、アンテナ単位に異なったミスマッチによって、ウエイトによって実現されるべき指向性パターンでない指向性パターンを実現する。そのため、複数のアンテナに対するキャリブレーションが必要になる。このようなキャリブレーションは、前述のようなステアリング行列が適用される条件でも実行可能であるべきである。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステアリング行列が適用される場合においても、複数のアンテナに対するキャリブレーションを実行するキャリブレーション技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の無線装置は、送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算した後に、予め保持したキャリブレーション係数を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する通信部と、通信部を介して、通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、通信部での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ通信対象の無線装置での受信機能の影響、第1ステアリング行列、通信対象の無線装置への無線伝送特性、通信部での送信機能の影響、予め保持したキャリブレーション係数の影響が反映された第2行列を通信対象の無線装置から受けつける第1導出部と、第1導出部において導出した第1行列と、第1導出部において受けつけた第2行列と、通信部における第1ステアリング行列から、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する第2導出部と、を備える。
この態様によると、第1行列、第2行列、第1ステアリング行列を使用することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するので、通信対象の無線装置における第2ステアリング行列を認識していなくても、キャリブレーション係数を導出できる。
第2導出部は、第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算する手段と、乗算した結果の転置行列と第1行列の逆行列とを乗算することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含んでもよい。この場合、第1行列、第2行列、第1ステアリング行列に対する行列の演算を実行するだけであるので、通信対象の無線装置における第2ステアリング行列を認識していなくても、キャリブレーション係数を導出できる。
第2導出部は、第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算する手段と、第1行列と第3行列と第1行列との積が第1行列になる関係を満たすような第3行列を導出する手段と、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含んでもよい。「第3行列」は、第1行列をHと示したときに、HHH=Hとなる関係における「H」に相当し、一般化逆行列であってもよい。この場合、第3行列を使用するので、第1行列の形式にかかわらず、通信対象の無線装置における第2ステアリング行列を認識せずに、キャリブレーション係数を導出できる。
第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、検出部において検出がなされた場合、第1導出部と第2導出部に対して、キャリブレーション係数の導出の延期を指示する指示部とをさらに備えてもよい。「延期」とは、所定の期間経過後に、キャリブレーション係数の導出がなされることを意味する。そのため、一旦、キャリブレーション係数が導出され、所定の期間経過後に、キャリブレーション係数が再び導出される場合であってもよい。この場合、キャリブレーション係数の導出を延期するので、その間に無線伝送路のランク数が増加すれば、キャリブレーション係数を正確に導出できる。
第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、検出部において検出がなされた場合、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、第1導出部と第2導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えてもよい。この場合、複数のアンテナを複数のグループに分類することによって、第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを回避できるので、キャリブレーション係数を正確に導出できる。
通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、通信部における送信アンテナの数よりも大きい場合、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、第1導出部と第2導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含んでもよい。この場合、複数のアンテナを複数のグループに分類することによって、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、通信部における送信アンテナの数よりも大きくなっていることを回避できるので、キャリブレーション係数を正確に導出できる。
通信対象の無線装置から、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数を受けつけ、受けつけたアンテナの数をもとに、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、通信部における送信アンテナの数よりも大きいことを検出する検出部をさらに備えてもよい。この場合、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数をもとに、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出するので、検出の精度を向上できる。
指示部では、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナのうち、一部のアンテナが複数のグループにそれぞれ含まれるように、複数のグループへの分類を実行してもよい。この場合、複数のグループのそれぞれの中に、一部のアンテナが含まれるので、一部のアンテナに対する相対的な誤差として、キャリブレーション係数を導出できる。
第1導出部は、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数の仮のグループに分類し、複数の仮のグループのそれぞれに含まれるアンテナから送信された信号をもとに、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列を導出し、指示部は、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列のランク数をもとに、複数のグループへの分類を実行してもよい。この場合、第1行列のランク数がある程度高くなるようなアンテナと組合せとなるように、グループへの分類を実行するので、グループに対するキャリブレーション係数の導出の精度を向上できる。
指示部は、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから信号を送信するように、通信対象の無線装置に指示してもよい。この場合、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから、信号が送信されるので、第1行列を正確に導出できる。
本発明の別の態様もまた、無線装置である。この装置は、送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する通信部と、通信部を介して、通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、通信部での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ通信部での送信機能の影響、第1ステアリング行列、通信対象の無線装置への無線伝送特性、通信対象の無線装置での受信機能が反映された第2行列を通信対象の無線装置から受けつける第1導出部と、第1導出部において導出した第1行列を特異値分解し、かつ第1導出部において受けつけた第2行列に第1ステアリング行列の逆行列を乗算した結果を特異値分解する第2導出部と、第2導出部において特異値分解された第1行列と、第2導出部において特異値分解された第2行列から、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数と通信部に対するキャリブレーション係数を導出する第3導出部と、を備える。
この態様によると、第1行列と第2行列をそれぞれ特異値分解した結果を使用することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数と通信部に対するキャリブレーション係数を導出するので、通信部に対するキャリブレーション係数が予め導出されていない場合であっても、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出できる。
通信部において規定されている第1ステアリング行列がユニタリ行列であってもよい。通信部において規定されている第1ステアリング行列としてのユニタリ行列は、周波数領域において規定されており、直交行列と循環的なタイムシフトを表す行列の積によって示されていてもよい。この場合、OFDM方式に対して有効である。
第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、検出部において検出がなされた場合、第1導出部と第2導出部と第3導出部に対して、キャリブレーション係数の導出の延期を指示する指示部とをさらに備えてもよい。この場合、キャリブレーション係数の導出を延期するので、その間に無線伝送路のランク数が増加すれば、キャリブレーション係数を正確に導出できる。
第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、検出部において検出がなされた場合、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、第1導出部と第2導出部と第3導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えてもよい。この場合、複数のアンテナを複数のグループに分類することによって、第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを回避できるので、キャリブレーション係数を正確に導出できる。
通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、通信部における送信アンテナの数よりも大きい場合、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、第1導出部と第2導出部と第3導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えてもよい。この場合、複数のアンテナを複数のグループに分類することによって、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、通信部における送信アンテナの数よりも大きくなっていることを回避できるので、キャリブレーション係数を正確に導出できる。
本発明のさらに別の態様は、通信システムである。この通信システムは、送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、当該第1ステアリング行列を送信すべき少なくともひとつの系列に乗算した後に、予め保持したキャリブレーション係数を乗算することによって生成した信号を送信する第1無線装置と、送信すべき少なくともひとつの系列に第2ステアリング行列を乗算することによって生成した信号を送信する第2無線装置とを備える。第2無線装置は、第1無線装置から受信した信号をもとに、第1無線装置の送信機能の影響、第1ステアリング行列、第1無線装置からの無線伝送特性、第2無線装置の受信機能の影響、予め保持したキャリブレーション係数の影響が反映された第1行列を導出してから、導出した第1行列を第1無線装置に送信し、第1無線装置は、第2無線装置から受信した信号をもとに、第2無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、第2無線装置からの無線伝送路特性、第1無線装置での受信機能の影響が反映された第2行列を導出する手段と、第1行列と、第2行列と、第1ステアリング行列から、第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段を含む。
この態様によると、第1行列、第2行列、第1ステアリング行列を使用することによって、第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するので、第2無線装置における第2ステアリング行列を認識していなくても、キャリブレーション係数を導出できる。
第1無線装置は、第1ステアリング行列の逆行列と第1行列とを乗算する手段と、乗算した結果の転置行列と第2行列の逆行列とを乗算することによって、第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含んでもよい。第1無線装置は、第2行列が非正則行列である場合あるいは正方行列でない場合、第1ステアリング行列の逆行列と第1行列とを乗算する手段と、第2行列と第3行列と第2行列との積が第2行列になる関係を満たすような第3行列を導出する手段と、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含んでもよい。第1無線装置は、第1ステアリング行列の逆行列と第1行列とを乗算する手段と、第2行列と第3行列と第2行列との積が第2行列になる関係を満たすような第3行列を導出する手段と、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含んでもよい。
第1無線装置は、第2行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第2行列のランク数が小さくなっていることを検出する手段と、検出する手段において検出がなされた場合、キャリブレーション係数の導出の延期を決定する手段とをさらに含んでもよい。第1無線装置は、第2行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第2行列のランク数が小さくなっていることを検出する手段と、検出する手段において検出がなされた場合、第2無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を決定する手段とを含んでもよい。
第1無線装置は、第2無線装置に備えられるアンテナの数が、送信アンテナの数よりも大きい場合、第2無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を決定する手段とを含んでもよい。第1無線装置は、第2無線装置から、第2無線装置に備えられるアンテナの数を受けつけ、受けつけたアンテナの数をもとに、第2無線装置に備えられるアンテナの数が、送信アンテナの数よりも大きいことを検出する手段をさらに備えてもよい。
第1無線装置では、第2無線装置に備えられる複数のアンテナのうち、一部のアンテナが複数のグループにそれぞれ含まれるように、複数のグループへの分類を実行してもよい。第1無線装置は、第2無線装置に備えられる複数のアンテナを複数の仮のグループに分類し、複数の仮のグループのそれぞれに含まれるアンテナから送信された信号をもとに、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第2行列を導出する手段と、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第2行列のランク数をもとに、複数のグループへの分類を実行する手段を含んでもよい。第1無線装置は、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから信号を送信するように、第2無線装置に指示してもよい。
本発明のさらに別の態様もまた、通信システムである。この通信システムは、送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、当該第1ステアリング行列を送信すべき少なくともひとつの系列に乗算することによって生成した信号を送信する第1無線装置と、送信すべき少なくともひとつの系列に第2ステアリング行列を乗算することによって生成した信号を送信する第2無線装置とを備える。第2無線装置は、第1無線装置から受信した信号をもとに、第1無線装置の送信機能の影響、第1ステアリング行列、第1無線装置からの無線伝送特性、第2無線装置の受信機能の影響が反映された第1行列を導出してから、導出した第1行列を第1無線装置に送信し、第1無線装置は、第2無線装置から受信した信号をもとに、第2無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、第2無線装置からの無線伝送路特性、第1無線装置での受信機能の影響が反映された第2行列を導出する手段と、第1行列に第1ステアリング行列の逆行列を乗算した結果と第2行列とをそれぞれ特異値分解することによって、第1無線装置に対するキャリブレーション係数と第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含む。
この態様によると、第1行列と第2行列をそれぞれ特異値分解した結果を使用することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数と通信部に対するキャリブレーション係数を導出するので、第1無線装置に対するキャリブレーション係数が予め導出されていない場合であっても、第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出できる。
第1無線装置において規定されている第1ステアリング行列がユニタリ行列であってもよい。第1無線装置において規定されている第1ステアリング行列としてのユニタリ行列は、周波数領域において規定されており、直交行列と循環的なタイムシフトを表す行列の積によって示されていてもよい。
本発明のさらに別の態様は、キャリブレーション方法である。この方法は、送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算した後に、予め保持したキャリブレーション係数を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する無線装置において、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するためのキャリブレーション方法であって、通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、本無線装置での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ通信対象の無線装置での受信機能の影響、第1ステアリング行列、通信対象の無線装置への無線伝送特性、本無線装置での送信機能の影響、予め保持したキャリブレーション係数の影響が反映された第2行列を通信対象の無線装置から受けつけ、第1行列と第2行列と第1ステアリング行列から、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する。
第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算するステップと、乗算した結果の転置行列と第1行列の逆行列とを乗算することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するステップとを含んでもよい。第1行列が非正則行列である場合あるいは正方行列でない場合、第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算するステップと、第1行列と第3行列と第1行列との積が第1行列になる関係を満たすような第3行列を導出するステップと、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するステップとを含んでもよい。第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算するステップと、第1行列と第3行列と第1行列との積が第1行列になる関係を満たすような第3行列を導出するステップと、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するステップとを含んでもよい。
第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出するステップと、検出がなされた場合、キャリブレーション係数の導出の延期を決定するステップとをさらに備えてもよい。第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出するステップと、検出がなされた場合、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類するステップと、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を決定するステップとをさらに備えてもよい。
通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、送信アンテナの数よりも大きい場合、通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類するステップと、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を決定するステップとをさらに備えてもよい。通信対象の無線装置から、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数を受けつけ、受けつけたアンテナの数をもとに、通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、送信アンテナの数よりも大きいことを検出するステップをさらに備えてもよい。
通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナのうち、一部のアンテナが複数のグループにそれぞれ含まれるように、複数のグループへの分類を実行してもよい。通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数の仮のグループに分類し、複数の仮のグループのそれぞれに含まれるアンテナから送信された信号をもとに、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列を導出するステップと、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列のランク数をもとに、複数のグループへの分類を実行するステップをさらに備えてもよい。複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから信号を送信するように、通信対象の無線装置に指示してもよい。
本発明のさらに別の態様もまた、キャリブレーション方法である。この方法は、送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する無線装置において、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するためのキャリブレーション方法であって、通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、本無線装置での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ本無線装置での送信機能の影響、第1ステアリング行列、通信対象の無線装置への無線伝送特性、通信対象の無線装置での受信機能が反映された第2行列を通信対象の無線装置から受けつけ、第2行列に第1ステアリング行列の逆行列を乗算した結果と第1行列とをそれぞれ特異値分解することによって、通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数と本通信装置に対するキャリブレーション係数を導出する。
第1ステアリング行列がユニタリ行列であってもよい。第1ステアリング行列としてのユニタリ行列は、周波数領域において規定されており、直交行列と循環的なタイムシフトを表す行列の積によって示されていてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ステアリング行列が適用される場合においても、複数のアンテナに対するキャリブレーションを実行できる。
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、基地局装置と端末装置によって構成されるMIMOシステムに関する。ここで、基地局装置は、ビームフォーミング送信を実行するが、端末装置は、ビームフォーミング送信を実行せずに、ステアリング行列の乗算を実行する。基地局装置は、ビームフォーミングを実行する前に、各端末装置に対してキャリブレーションを実行する。そのキャリブレーションを実行する際に、基地局装置は、ビームフォーミング送信を実行せずに、ステアリング行列の乗算を実行する。前述のごとく、送信すべき少なくともひとつの系列に含まれたトレーニング信号およびデータに対して、ステアリング行列を乗算することによって、トレーニング信号とデータの受信側における電力差を小さくする。基地局装置は、このようなステアリング行列が乗算されたトレーニング信号から推定された伝送路特性を使用して、ビームフォーミング送信を実行する。基地局装置や端末装置は、アンテナ単位に異なったミスマッチを低減することを目的として、キャリブレーションを実行する。そのため、キャリブレーション時に交換されるトレーニング信号に、ステアリング行列が適用される場合においても対応できるようなキャリブレーションが要求される。また、端末装置の装置構成を容易にするために、端末装置に対するキャリブレーションは、基地局装置においてなされる方が望ましい。そのため、本実施例では、以下のように、キャリブレーションを実行する。
なお前提として、基地局装置に対するキャリブレーションは、既に終了しているものとする。端末装置に伝送路特性を推定させるために、基地局装置は、トレーニング信号を送信する。端末装置は、基地局装置の複数のアンテナと、端末装置の複数のアンテナとの組合せにそれぞれ対応した伝送路特性を推定する(以下、組合せのそれぞれ対応した伝送路特性を行列の形式等にまとめたものを「H行列」という)。また、端末装置おいて推定されたH行列は、下り回線の伝送路特性に相当する。さらに、基地局装置に伝送路特性を推定させるために、端末装置は、トレーニング信号を送信する。その際、端末装置は、下り回線のH行列をデータとして送信する。なお、端末装置は、H行列の転置をデータとして送信してもよい。その場合、基地局装置は、H行列の転置を認識していれば、以下に説明する動作と同様の動作を実行できる。基地局装置は、基地局装置の複数のアンテナと、端末装置の複数のアンテナとの組合せにそれぞれ対応した伝送路特性をH行列として推定する。当該H行列は、上り回線の伝送路特性に相当する。
ここで、H行列に含まれる伝送路特性には、無線伝送路としての伝送路特性の他に、ステアリング行列、送受信系のアナログ回路のミスマッチの影響も含まれている。以下、このような総合的な伝送路特性も、単に伝送路特性というものとする。基地局装置は、上り回線のH行列、下り回線のH行列、基地局装置でのステアリング行列を使用しながら、端末装置に対するキャリブレーションを実行して、キャリブレーション係数を導出する。なお、キャリブレーション係数は、その後に実行されるビームフォーミング送信の際に、使用される。以上のような処理によって、基地局装置は、端末装置において適用されるステアリング行列を認識していなくても、端末装置に対するキャリブレーションを実行できる。
図1は、本発明の実施例に係るマルチキャリア信号のスペクトルを示す。特に、図1は、OFDM変調方式での信号のスペクトルを示す。OFDM変調方式における複数のキャリアのひとつをサブキャリアと一般的に呼ぶが、ここではひとつのサブキャリアを「サブキャリア番号」によって指定するものとする。ここでは、IEEE802.11a規格と同様に、サブキャリア番号「−26」から「26」までの53サブキャリアが規定されている。なお、サブキャリア番号「0」は、ベースバンド信号における直流成分の影響を低減するため、ヌルに設定されている。それぞれのサブキャリアは、可変に設定された変調方式によって変調されている。
変調方式には、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QSPK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAMのいずれかが使用される。また、これらの信号には、誤り訂正方式として、畳み込み符号化が適用されている。畳み込み符号化の符号化率は、1/2、3/4等に設定される。さらに、MIMOシステムにおいて使用されるアンテナの本数は、可変に設定される。その結果、変調方式、符号化率、アンテナ本数の値が可変に設定されることによって、データレートも可変に設定される。
図2は、本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す。通信システム100は、基地局装置10、端末装置90を含む。また、基地局装置10は、アンテナ12と総称される第1アンテナ12a、第2アンテナ12b、第3アンテナ12c、第4アンテナ12dを含み、端末装置90は、アンテナ14と総称される第1アンテナ14a、第2アンテナ14b、第3アンテナ14c、第4アンテナ14dを含む。下り回線では、基地局装置10が送信装置に相当し、端末装置90の受信装置に相当する。上り回線では、下り回線と反対の対応になる。
通信システム100の構成を説明する前に、MIMOシステムの概略を説明する。下り回線を説明の対象とし、データは、基地局装置10から端末装置90に送信されているものとする。基地局装置10は、第1アンテナ12aから第4アンテナ12dのそれぞれから、異なったデータを送信する。その結果、データレートが高速になる。端末装置90は、第1アンテナ14aから第4アンテナ14dによって、データを受信する。さらに、端末装置90は、アダプティブアレイ信号処理によって、第1アンテナ12aから第4アンテナ12dのそれぞれから送信されたデータを独立に復調する。
ここで、アンテナ12の本数は「4」であり、アンテナ14の本数も「4」であるので、アンテナ12とアンテナ14の間の伝送路の組合せは「16」になる。第iアンテナ12iから第jアンテナ14jとの間の伝送路特性をhijと示す。図中において、第1アンテナ12aと第1アンテナ14aとの間の伝送路特性がh11、第1アンテナ12aから第2アンテナ14bとの間の伝送路特性がh12、第2アンテナ12bと第1アンテナ14aとの間の伝送路特性がh21、第2アンテナ12bから第2アンテナ14bとの間の伝送路特性がh22、第4アンテナ12dから第4アンテナ14dとの間の伝送路特性がh44と示されている。なお、これら以外の伝送路は、図の明瞭化のために省略する。
端末装置90は、アダプティブアレイ信号処理によって、第1アンテナ12aから第2アンテナ12bによってそれぞれ送信されたデータを独立して復調できるように動作する。さらに、基地局装置10は、送信の際に第1アンテナ12aから第4アンテナ12dに対してアダプティブアレイ信号処理を実行する。このように送信側の基地局装置10もアダプティブアレイ信号処理を実行することによって、MIMOシステムにおける空間の分割が確実になる。その結果、複数のアンテナ12において送信される信号間の干渉が小さくなるので、本実施例は、通信品質を向上できる。なお、基地局装置10と端末装置90の動作が、反対になってもよい。
詳細は後述するが、以上のような通信システム100の構成において、キャリブレーションは以下のように実行される。基地局装置10は、ステアリング行列Q(1)を規定している。基地局装置10は、Q(1)を送信すべき少なくともひとつの系列に乗算することによって、ステアリング行列が乗算されたトレーニング信号、トレーニング信号の数まで数を増加させたデータを生成する。さらに、基地局装置10は、予め保持したキャリブレーション係数CAUTO(1)を乗算することによって生成した信号を送信する。端末装置90は、トレーニング信号およびデータにステアリング行列Q(2)を乗算することによって生成した信号を送信する。
また、端末装置90は、基地局装置10から受信したトレーニング信号をもとに、H行列を導出する。このH行列には、基地局装置10の送信機能の影響、ステアリング行列Q(1)、基地局装置10からの無線伝送特性、端末装置90の受信機能の影響、キャリブレーション係数CAUTO(1)の影響が反映されている。さらに、端末装置90は、導出したH行列を基地局装置10に送信する。基地局装置10は、端末装置90から受信したトレーニング信号をもとに、H行列を導出する。このH行列には、端末装置90での送信機能の影響、ステアリング行列Q(2)、端末装置90からの無線伝送路特性、基地局装置10での受信機能の影響が反映されている。また、基地局装置10は、ふたつのH行列とステアリング行列Q(1)から、端末装置90に対するキャリブレーション係数を導出する。
図3は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、無線部20と総称される第1無線部20a、第2無線部20b、第4無線部20d、処理部22、変復調部24、IF部26、制御部30を含む。また信号として、時間領域信号200と総称される第1時間領域信号200a、第2時間領域信号200b、第4時間領域信号200d、周波数領域信号202と総称される第1周波数領域信号202a、第2周波数領域信号202bを含む。ここでは、説明を明瞭にするために、送信されるべき系列と受信した系列に含まれるデータの数「2」と、トレーニング信号の数「4」を固定している。しかしながら、これらの数は、適応的に調節されてもよい。なお、以下の説明において、送信動作は、下り回線の通信に相当し、受信動作は、上り回線の通信に相当する。
無線部20は、受信動作として、アンテナ12によって受信した無線周波数の信号を周波数変換し、ベースバンドの信号を導出する。無線部20は、ベースバンドの信号を時間領域信号200として処理部22に出力する。一般的に、ベースバンドの信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線によって伝送されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするためにひとつの信号線だけを示すものとする。また、AGC(Automatic Gain Control)やA/D変換部も含まれる。無線部20は、送信動作として、処理部22からのベースバンドの信号を周波数変換し、無線周波数の信号を導出する。ここで、処理部22からのベースバンドの信号も時間領域信号200として示す。無線部20は、無線周波数の信号をアンテナ12に出力する。また、PA(Power Amplifier)、D/A変換部も含まれる。時間領域信号200は、時間領域に変換されたマルチキャリア信号であり、デジタル信号であるものとする。さらに、無線部20において処理される信号は、バースト信号を形成しており、そのバーストフォーマットには、前段にトレーニング信号が配置され、後段にデータが配置されている。
処理部22は、受信動作として、複数の時間領域信号200をそれぞれ周波数領域に変換し、周波数領域の信号に対してアダプティブアレイ信号処理を実行する。処理部22は、アダプティブアレイ信号処理の結果を周波数領域信号202として出力する。ひとつの周波数領域信号202が、図示しない端末装置90から送信されるひとつの系列に含まれたデータに相当する。処理部22は、送信動作として、変復調部24から、周波数領域の信号としての周波数領域信号202を入力し、アダプティブアレイ信号処理を実行する。すなわち、ビームフォーミングが実行される。また、処理部22は、ビームフォーミングの際に、端末装置90に対するキャリブレーション係数を使用する。さらに、処理部22は、基地局装置10に対するキャリブレーション係数によって、アダプティブアレイ信号処理した信号を補正する。なお、キャリブレーションを実行する際において、処理部22は、ビームフォーミングを実行せずに、ステアリング行列の乗算を実行する。
処理部22は、周波数領域の信号を時間領域に変換し、時間領域信号200として出力する。送信処理において使用すべきアンテナ12の数は、制御部30によって指定されるものとする。ここで、周波数領域の信号である周波数領域信号202は、図1のごとく、複数のサブキャリアの成分を含むものとする。図を明瞭にするために、周波数領域の信号は、サブキャリア番号の順に並べられて、シリアル信号を形成しているものとする。また、端末装置90に対するキャリブレーション係数と基地局装置10に対するキャリブレーション係数は、アンテナ12単位で異なった値を有する。また、これらの係数は、制御部30において導出される。
図4は、周波数領域の信号の構成を示す。ここで、図1に示したサブキャリア番号「−26」から「26」のひとつの組合せを「OFDMシンボル」というものとする。「i」番目のOFDMシンボルは、サブキャリア番号「1」から「26」、サブキャリア番号「−26」から「−1」の順にサブキャリア成分を並べているものとする。また、「i」番目のOFDMシンボルの前に、「i−1」番目のOFDMシンボルが配置され、「i」番目のOFDMシンボルの後ろに、「i+1」番目のOFDMシンボルが配置されているものとする。
図3に戻る。変復調部24は、受信処理として、処理部22からの周波数領域信号202に対して、復調および復号を実行する。なお、復調および復号は、サブキャリア単位でなされる。変復調部24は、復号した信号をIF部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、符号化および変調を実行する。変復調部24は、変調した信号を周波数領域信号202として処理部22に出力する。送信処理の際に、変調方式および符号化率は、制御部30によって指定されるものとする。
IF部26は、受信処理として、複数の変復調部24からの信号を合成し、ひとつのデータストリームを形成する。IF部26は、データストリームを出力する。また、IF部26は、送信処理として、ひとつのデータストリームを入力し、これを分離する。さらに、分離したデータを複数の変復調部24に出力する。
制御部30は、基地局装置10のタイミング等を制御する。また、制御部30は、端末装置90に対するキャリブレーション係数と基地局装置10に対するキャリブレーション係数を導出する。基地局装置10に対するキャリブレーション係数は既に導出されているものとして、端末装置90に対するキャリブレーション係数の導出手順を簡易に説明する。以下に説明するキャリブレーションの手順は、送信側においてビームフォーミング送信が実行する前になされる。詳細は、後述する。前述のごとく、処理部22等は、トレーニング信号とデータにステアリング行列Q(1)を乗算した後に、基地局装置10に対するキャリブレーション係数を乗算してから送信を実行する。また、処理部22等は、図示しない端末装置90においてステアリング行列Q(2)が乗算された少なくともひとつの系列を受信する。制御部30は、処理部22等を介して、H行列を導出する。また、制御部30は、図示しない端末装置90において導出されたH行列を受けつける。制御部30は、これらのH行列とステアリング行列Q(1)から、端末装置90に対するキャリブレーション係数を導出する。
ここで、基地局装置10に対するキャリブレーション係数の変動量は、小さいものとする。そのため、基地局装置10に対するキャリブレーション係数は、一度導出されると、例えば数日間使用される。そのため、準静的な値であるといえる。一方、端末装置90に対するキャリブレーション係数は、端末装置90を単位にして異なっている。そのため、基地局装置10は、通信している端末装置90に応じて、端末装置90に対するキャリブレーション係数を切替ながら使用する。制御部30は、複数の端末装置90に対するキャリブレーション係数を記憶しておき、通信している端末装置90に対応したキャリブレーション係数を使用すればよい。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされた通信機能のあるプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図5は、処理部22の構成を示す。処理部22は、FFT(Fast Fourier Transform)部50、合成部54と総称される第1合成部54a、第2合成部54b、第4合成部54d、空間分散部56、送信側補正部62、IFFT部64を含む。
FFT部50は、複数の時間領域信号200を入力し、それぞれに対してフーリエ変換を実行して、周波数領域の信号を導出する。前述のごとく、ひとつの周波数領域の信号として、サブキャリア番号の順に、サブキャリアに対応した信号がシリアルに並べられている。
合成部54は、FFT部50からの周波数領域の信号に対して、アダプティブアレイ信号処理を実行する。すなわち、アレイ合成が実行される。ここで、端末装置90から送信されている信号にもステアリング行列が適用されており、端末装置90においてステアリング行列が適用される前のデータの数は、「2」であるとする。これに対応するように、合成部54のうち、第1合成部54aと第2合成部54bが、データを出力する。また、残りの合成部54は、前述のHベクトルを生成するために伝送路特性を計算する。
合成部54には、図示しない複数の乗算部が備えられており、複数の乗算部は、受信ウエイトベクトルによって、周波数領域の信号をそれぞれ重み付けする。また、図示しない加算部も備えられており、加算部は複数の乗算部の出力を加算する。ここで、周波数領域の信号は、サブキャリア番号の順に配置されているので、乗算部における受信ウエイトベクトルの乗算もそれに対応している。また、加算部は、サブキャリア単位で、乗算結果を加算する。その結果、加算された信号も、図4のごとく、サブキャリア番号の順にシリアルに並べられている。なお、加算された信号が、前述の周波数領域信号202である。
なお、以下の説明においても、処理対象の信号が周波数領域に対応している場合、処理は、基本的にサブキャリアを単位にして実行される。ここでは、説明を簡潔にするために、ひとつのサブキャリアにおける処理を説明する。そのため、複数のサブキャリアに対する処理には、ひとつのサブキャリアにおける処理をパラレルあるいはシリアルに実行することによって、対応される。
合成部54は、FFT部50からの周波数領域の信号、周波数領域信号202、参照信号にもとづいて、受信ウエイトベクトルを導出する。ここで、参照信号として、合成部54は、トレーニング信号を記憶する。また、データの期間においては、予め規定しているしきい値によって、周波数領域信号202を判定し、その結果が参照信号とされる。なお、判定は硬判定でなく、軟判定でもよい。受信ウエイトベクトルの導出方法は、任意のものでよく、そのひとつはLMS(Least Mean Squeare)アルゴリズムによる導出である。また、合成部54は、相関処理によって伝送路特性である受信応答ベクトルを導出する。これは、公知の技術であるので、説明を省略する。なお、導出された受信応答ベクトルは、キャリブレーションにおいて使用するために、他の合成部54において導出された受信応答ベクトルと合わせて、行列の形式にまとめられる。これが、前述のH行列に相当する。なお、このようなH行列を導出する機能は、端末装置90にも備えられているものとする。
空間分散部56は、通信の際にビームフォーミングを実行する。一方、キャリブレーションの際に、空間分散部56は、トレーニング信号とデータに対して、ステアリング行列をそれぞれ乗算する。その結果、ステアリング行列が乗算されたトレーニング信号と、トレーニング信号の数まで数を増加させたデータとが生成される。ここで、空間分散部56は、乗算を実行する前に、入力したデータの次数をトレーニング信号の数まで拡張する。入力したデータの数は、「2」であり、ここでは、「Nin」によって代表させる。そのため、入力したデータは、「Nin×1」のベクトルによって示される。また、トレーニング信号の数は、「4」であり、ここでは、「Nout」によって代表させる。空間分散部56は、入力したデータの次数をNinからNoutに拡張させる。すなわち、「Nin×1」のベクトルを「Nout×1」のベクトルに拡張させる。その際、Nin+1行目からNout行目までの成分に「0」を挿入する。
また、ステアリング行列Sは、次のように示される。
Figure 0004646680
ステアリング行列は、「Nout×Nout」の行列である。また、Wは、直交行列であり、「Nout×Nout」の行列である。直交行列の一例は、ウォルシュ行列やフーリエ行列である。ここで、lは、サブキャリア番号を示しており、ステアリング行列による乗算は、サブキャリアを単位にして実行される。さらに、Cは、以下のように示され、CDD(Cyclic Delay Diversity)のために使用される。
Figure 0004646680
ここで、δは、シフト量を示す。以上の説明より、ステアリング行列は、直交行列の行をひとつの単位にして、循環的なタイムシフトを施したものといえる。また、空間分散部56において規定されているステアリング行列が、前述のQ(1)であり、図示しない端末装置90において規定されているステアリング行列が、前述のQ(2)である。なお、基地局装置10は、一般的に、ステアリング行列Q(2)を認識していない。
通信の際に、空間分散部56は、ビームフォーミングを実行する。空間分散部56は、受信ウエイトベクトルから、ビームフォーミングに必要な送信ウエイトベクトルを推定する。送信ウエイトベクトルの推定方法は、任意とするが、最も簡易な方法として、受信ウエイトベクトルをそのまま使用すればよい。あるいは、受信処理と送信処理との時間差によって生じる伝搬環境のドップラー周波数変動を考慮し、従来の技術によって、受信ウエイトベクトルを補正してもよい。または、特異値分解を応用した送信ビームフォーミングを行ってもよい。これは、固有モード伝送ともいえる。ここでは、合成部54において導出された受信応答ベクトルに、端末装置90に対するキャリブレーション係数を乗算することによって、補正した伝送路特性を取得し、補正した伝送路特性から送信ウエイトベクトルを導出する。なお、端末装置90に対するキャリブレーション係数は、図示しない制御部30から取得する。また、端末装置90に対するキャリブレーション係数は、アンテナを単位にして異なった値を有し、さらにサブキャリアを単位にして異なった値を有しているものとする。
空間分散部56は、送信ウエイトベクトルによって、信号を重み付けする。送信側補正部62は、空間分散部56からの信号に、基地局装置10でのキャリブレーション係数を乗算する。その際、送信側補正部62は、図示しない制御部30から、基地局装置10に対するキャリブレーション係数を取得する。IFFT部64は、送信側補正部62からの信号に対して逆フーリエ変換を実行して、時間領域の信号に変換する。図5において、第1時間領域信号200a等は、2カ所に示されている。これらは、ひとつの方向の信号であり、これらが、図3における双方向の信号である第1時間領域信号200a等に対応する。
図6(a)−(b)は、通信システム100における信号のフォーマットを示す。図6(a)は、空間分散部56に入力される系列におけるフォーマットを示す。図の一番上の段が、ひとつ目の系列を示し、下の段に移るにしたがって、ふたつ目の系列、3つ目の系列、4つ目の系列を示す。ここで、複数の系列である「4」つの系列のそれぞれに「4」つの「LTS(Long Training Sequence)」が付加されている。一方、複数の系列のうちの少なくともひとつである「2」つの系列のデータが、「第1データ」、「第2データ」として付加されている。ここで、「LTS」は、伝送路特性の推定のために使用される信号である。「LTS」は、トレーニング信号に相当する。また、実際には、これら以外にも他の信号、例えば、タイミング同期等に使用されるべき「STS(Short Training Sequence)」も配置されるが、ここでは省略する。
図6(b)は、キャリブレーションを実行するときにおいて、空間分散部56から出力される複数の系列を示す。図6(a)のLTSは、ステアリング行列の乗算の結果、「LTS’」となる。図6(b)では、これを「第1LTS’」から「第4LTS’」として示す。図6(a)の「第1データ」と「第2データ」は、ステアリング行列の乗算の結果、4つの系列のデータとなる。図6(b)では、これを「第1データ’」から「第4データ’」として示す。
以上の構成によるキャリブレーションの動作を説明する。ここで、基地局装置10の送信側の応答はA(1)と示され、基地局装置10の受信側の応答はB(1)と示され、端末装置90の送信側の応答はA(2)と示され、端末装置90の受信側の応答はB(2)と示されるものとする。なお、AとBは、対角行列である。また、端末装置90において導出されるH行列は、H(1→2)’と示され、基地局装置10において導出されるH行列は、H(2→1)’と示される。一方、無線伝送特性だけを反映したH行列は、上記に対応して、H(1→2)、H(2→1)と示される。
まず、基地局装置10が、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CAUTO(1)を導出するための動作を説明する。その際、基地局装置10は、端末装置90に対してトレーニング信号を送信するが、端末装置90は、基地局装置10に対してひとつのアンテナ14から信号を送信する。端末装置90によって導出されるH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
基地局装置10は、以上のH行列を次のように変形させる。
Figure 0004646680
なお、α、β、hは、A、B、Hに含まれる成分である。また、基地局装置10によって導出されるH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
これらより、キャリブレーション係数CAUTO(1)は、次のように示される。
Figure 0004646680
このようなキャリブレーション係数CAUTO(1)によれば、γ(1)をスカラー量として次のような関係が成立する。
Figure 0004646680
次に、基地局装置10が、端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)を導出するための動作を説明する。その際、基地局装置10と端末装置90は、トレーニング信号を互いに送信する。また、キャリブレーション係数CAUTO(1)は、既に導出されているものとする。端末装置90によって導出されるH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
また、基地局装置10によって導出されるH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
ここで、TDD(Time Division Duplex)を想定し、上り回線と下り回線が対象であるとすれば、以下のように示される。
Figure 0004646680
AやBは、対角化行列であるので、基地局装置10は、H行列を以下のように変形する。
Figure 0004646680
これらより、キャリブレーション係数CCross(2)は、次のように示される。
Figure 0004646680
これを利用すると以下の関係が成立するので、CCross(2)はキャリブレーション係数の機能を有する。
Figure 0004646680
すなわち、制御部30は、ステアリング行列Q(1)の逆行列とH(1→2)’とを乗算し、乗算した結果の転置行列とH(2→1)’の逆行列とを乗算することによって、CCross(2)を導出する。ただし、このとき端末装置90から予め転置されたH行列を受け取ってもよい。この場合、基地局装置10側においてH行列の転置を補正することによって、同様にキャリブレーション係数が導出される。このとき、端末装置90では、基地局装置10がビームフォーミング送信を開始または更新する際に送信するトレーニング信号にも、同一のステアリング行列Q(2)を使用すると仮定している。したがって、基地局装置10においてCCross(2)をキャリブレーション補正値として使用することによって、ビームフォーミング送信が可能になる。
ここで、キャリブレーションに関する変形例を説明する。ひとつ目の変形例は、H行列の逆行列が導出できない、すなわちH行列が正則行列でない場合でのキャリブレーション係数CCross(2)の導出に関する。これは、H行列が正方行列でない場合や、H行列のrankが低い場合に対応する。前者は、アンテナ12の数とアンテナ14の数が異なる場合であり、後者は、空間の相関が高い場合である。ふたつ目の変形例は、基地局装置10がキャリブレーション係数CAUTO(1)を予め導出してない場合である。
ひとつ目の変形例に対して、次のように示される一般化逆行列を導入する。
Figure 0004646680
制御部30は、基地局装置10と端末装置90に対して、特異値分解を実行すると、次の関係が成立する。
Figure 0004646680
これらより、キャリブレーション係数CCross(2)は、次のように示される。
Figure 0004646680
これを利用すると以下の関係が成立するので、CCross(2)はキャリブレーション係数の機能を有する。
Figure 0004646680
すなわち、制御部30は、ステアリング行列Q(1)の逆行列とH(1→2)’とを乗算し、乗算した結果の転置行列とH(2→1)’の一般化逆行列とを乗算することによって、CCross(2)を導出する。
ふたつ目の変形例を説明する。ふたつ目の変形例に対する通信システム100は、図2と同様に示される。基地局装置10は、ステアリング行列Q(1)を規定している。基地局装置10は、Q(1)を送信すべき少なくともひとつの系列に乗算することによって、トレーニング信号の数と、データが含まれるアンテナの数が等しくなっている複数の系列を生成する。さらに、基地局装置10は、生成した信号を送信する。
また、端末装置90は、基地局装置10から受信したトレーニング信号をもとに、H行列を導出する。このH行列には、基地局装置10の送信機能の影響、ステアリング行列Q(1)、基地局装置10からの無線伝送特性、端末装置90の受信機能の影響が反映されている。さらに、端末装置90は、導出したH行列を基地局装置10に送信する。基地局装置10は、端末装置90から受信したトレーニング信号をもとに、H行列を導出する。このH行列には、端末装置90での送信機能の影響、ステアリング行列Q(2)、端末装置90からの無線伝送路特性、基地局装置10での受信機能の影響が反映されている。また、基地局装置10の制御部30は、ふたつのH行列をそれぞれ特異値分解することによって、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CCross(1)と端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)を導出する。
端末装置90によって導出されるH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
また、基地局装置10によって導出されるH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
制御部30によって特異値分解されたH行列は、次のように示される。
Figure 0004646680
ここで、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CCross(1)と端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)は、以下の関係を満たすように導出されるべきである。
Figure 0004646680
これは、次のようにも示される。
Figure 0004646680
基地局装置10のアンテナ12の数が、端末装置90のアンテナ14の数以上であれば、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CCross(1)と端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)は、次のように導出される。
Figure 0004646680
あるいは、次のように導出されてもよい。
Figure 0004646680
ここで、次の関係が成立しているものとする。
Figure 0004646680
基地局装置10のアンテナ12の数が、端末装置90のアンテナ14の数より小さければ、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CCross(1)と端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)は、次のように導出される。
Figure 0004646680
ここで、具体例を示す。基地局装置10のアンテナ12の数が「4」であり、端末装置90のアンテナ14の数が「2」であれば、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CCross(1)と端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)は、次のように導出される。
Figure 0004646680
ここで、CCross(1)は、4×4の行列であり、CCross(2)は、2×2の行列である。一方、基地局装置10のアンテナ12の数が「2」であり、端末装置90のアンテナ14の数が「4」であれば、基地局装置10に対するキャリブレーション係数CCross(1)と端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)は、次のように導出される。
Figure 0004646680
以上の構成による通信システム100の動作を説明する。図7は、通信システム100におけるキャリブレーションの手順を示すシーケンス図である。基地局装置10は、トレーニング信号を送信する(S10)。端末装置90は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S12)。端末装置90は、トレーニング信号を送信すると共に、導出したH行列をデータとして送信する(S14)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S16)。基地局装置10は、H行列を使用しながら、キャリブレーションを実行する(S18)。基地局装置10は、キャリブレーションの結果を記憶する(S20)。また、基地局装置10は、キャリブレーションの結果を通信に使用する。
キャリブレーションについての3つ目と4つ目の変形例を説明する。なお、3つ目と4つ目の変形例は、実施例およびひとつ目とふたつ目の変形例に適用可能である。ここでは、実施例に適用するものとして説明を行う。実施例において、基地局装置10が、端末装置90に対するキャリブレーション係数を導出していた。その際、基地局装置10でのアンテナ12の本数が、端末装置90でのアンテナ14の本数以上になっており、チャネルのランク数、すなわちH行列のランク数が端末装置90でのアンテナ14の本数と等しくなっていた。3つ目と4つ目の変形例でも、実施例と同様に、基地局装置10が、端末装置90に対するキャリブレーション係数を導出する。しかしながら、基地局装置10でのアンテナ12の本数が、端末装置90でのアンテナ14の本数より少ない場合、あるいはH行列のランク数が端末装置90でのアンテナ14の本数より少ない場合に対応する。
これまでの説明と説明と重複するが、端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)は、次のように示される。
Figure 0004646680
そのため、次の関係が成立する。
Figure 0004646680
また、B(1)は対角行列なので、次の関係が成立する。
Figure 0004646680
端末装置90に対するキャリブレーション係数CCross(2)とA(2)、B(2)、Q(2)の間には、必ず次の関係が成り立つ。
Figure 0004646680
また、前述のごとく、CCross(2)は、キャリブレーション係数として使用される。以上の関係は、実施例の他、ひとつ目とふたつ目の変形例においても成立する。
3つ目と4つ目の変形例では、H行列の行の数がH行列の列の数より小さく、あるいはH行列のランク数がH行列の列の数よりも小さい場合を説明する。ここで、H行列の行の数がH行列の列の数より小さい場合は、基地局装置10でのアンテナ12の本数が、端末装置90でのアンテナ14の本数より少ない場合に相当する。また、H行列のランク数がH行列の列の数よりも小さい場合は、チャネルのランク数が端末装置90でのアンテナ14の本数より少ない場合に相当する。この場合、前述の説明による方法では、式32が常に成り立つとは限らない。
3つ目の変形例では、チャネルのランク数が低ければ、キャリブレーション係数の導出を延期する。ここで、チャネルのランク数は、無線伝送路の特性に依存している。そのため、無線伝送路の特性は、時間の経過に応じて変動するので、チャネルのランク数も時間の経過に応じて変動する。3つ目の変形例では、現在のチャネルのランク数が低くても、ランク数が高くなるまで、キャリブレーション係数の導出を延期する。
図3の制御部30は、前述のごとく、H行列を導出する。また、制御部30は、H行列のランク数を導出する。その際、H行列のランク数を導出するために、制御部30は、特異値分解を実行してもよい。また、制御部30は、公知の技術によってH行列のランク数を導出してもよい。制御部30は、H行列における行の数および列の数のうちの小さい方をしきい値として設定する。さらに、H行列のランク数がしきい値よりも小さければ、制御部30は、これを検出する。なお、制御部30は、H行列に対する行列式の値を計算し、計算した行列の値が「0」に近ければ、制御部30では、H行列のランク数がしきい値よりも小さいと見なしてもよい。なお、計算した行列の値が「0」に近いことを検出するために、制御部30は、別のしきい値と行列式の値とを比較してもよい。
さらに、制御部30において検出がなされた場合、制御部30は、制御部30の内部と処理部22に対して、キャリブレーション係数の導出の延期を指示する。また、制御部30は、図示しないタイマーを備え、所定期間の経過後、処理部22に伝送路特性を導出させる。その際、基地局装置10は、端末装置90からのトレーニング信号を受信しているものとする。さらに、制御部30は、伝送路特性からH行列を導出し、H行列のランク数を導出する。H行列のランク数がしきい値以上になるまで、以上の処理が実行される。
図8は、本発明の3つ目の変形例に係る通信システム100におけるキャリブレーションの手順を示すシーケンス図である。基地局装置10は、トレーニング信号を送信する(S30)。端末装置90は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S32)。端末装置90は、トレーニング信号を送信すると共に、導出したH行列をデータとして送信する(S34)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S36)。基地局装置10は、H行列のランク数が低いことを検出し(S38)、キャリブレーションの延期を決定する(S40)。基地局装置10は、所定期間の経過後、トレーニング信号を送信する(S42)。端末装置90は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S44)。端末装置90は、トレーニング信号を送信すると共に、導出したH行列をデータとして送信する(S46)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S48)。基地局装置10は、H行列のランク数が低くないことを確認し、H行列を使用しながら、キャリブレーションを実行する(S50)。基地局装置10は、キャリブレーションの結果を記憶する(S52)。また、基地局装置10は、キャリブレーションの結果を通信に使用する。
図9は、基地局装置10におけるキャリブレーションの手順を示すフローチャートである。処理部22、無線部20等は、トレーニング信号を送信する(S60)。無線部20、処理部22等は、トレーニング信号を受信する(S62)。処理部22は、受信したトレーニング信号にもとづいて、伝送路特性を導出し、制御部30は、H行列を導出する(S64)。また、処理部22は、H行列の列の数、すなわち端末装置90のアンテナ14の数をしきい値に設定する(S66)。このとき、端末装置90のアンテナ14の数は、予め規定されていてもよい。あるいは、基地局装置10は、所定の制御信号によって、端末装置90のアンテナ14の数を取得していてもよい。H行列のランク数がしきい値より小さければ(S68のY)、制御部30は、所定期間の経過後に、ステップ60からの処理を繰り返し実行することを決定する。また、H行列のランク数がしきい値より小さくなければ(S68のN)、制御部30は、キャリブレーション係数を導出する(S70)。
4つ目の変形例では、端末装置90のアンテナ14の数が、基地局装置10のアンテナ12の数よりも大きければ、複数のアンテナ14を複数のグループに分類し、複数のグループのそれぞれを単位にしてキャリブレーションを実行する。さらに、キャリブレーションを繰り返すことによって、すべてのアンテナ14に対するキャリブレーションを実行する。なお、前述のごとく、端末装置90に対するキャリブレーションは、アンテナ14間の相対的な誤差を導出することに相当する。そのため、所定のアンテナ14がすべてのグループに含まれるように、複数のグループへの分類が実行される。例えば、第1グループは、第1アンテナ14aと第2アンテナ14bによって形成され、第2グループは、第1アンテナ14aと第3アンテナ14cによって形成され、第3グループは第1アンテナ14aと第4アンテナ14dによって形成される。この場合、キャリブレーションの処理が3回繰り返される。なお、ひとつのグループに含まれるアンテナ14の数は、基地局装置10でのアンテナ12の数に応じて決定される。すなわち、基地局装置10でのアンテナ12の数よりも少なくなるように、ひとつのグループに含まれるアンテナ14の数が決定される。
図3の制御部30は、前述のごとく、H行列を導出する。また、制御部30は、H行列のランク数を導出する。さらに、H行列のランク数がしきい値よりも小さければ、制御部30は、これを検出する。以上の動作は、3つ目の変形例と同様であるので、説明を省略する。さらに、制御部30において検出がなされた場合、制御部30は、端末装置90に備えられる複数のアンテナ14を複数のグループに分類する。その際、制御部30では、端末装置90に備えられる複数のアンテナ14のうち、一部のアンテナ14が複数のグループにそれぞれ含まれるように、複数のグループへの分類を実行する。複数のグループへの分類については、前述の通りである。
また、制御部30は、制御部30の内部と処理部22に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する。例えば、前述の第1グループを処理の対象とする場合、第1アンテナ14aと第2アンテナ14bに対応したキャリブレーション係数を導出する。このような処理を実行するために、制御部30は、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナ14から信号を送信するように、端末装置90に指示する。例えば、第1グループに対する処理を実行する際に、制御部30は、第1アンテナ14aと第2アンテナ14bだけからトレーニング信号を送信するように、端末装置90に指示する。処理部22は、第1アンテナ14aと第2アンテナ14bだけから送信されたトレーニング信号をもとに、伝送路特性を導出する。制御部30は、伝送路特性からH行列を導出する。H行列からキャリブレーション係数を導出する処理は、前述の通りであるので、説明を省略する。制御部30は、以上の処理をすべてのグループに対して実行し、最終的に、端末装置90に対するキャリブレーション係数、すなわちすべてのアンテナ14に対するキャリブレーション係数を導出する。
図10は、本発明の4つ目の変形例に係る通信システムにおけるキャリブレーションの手順を示すシーケンス図である。基地局装置10は、トレーニング信号を送信する(S80)。端末装置90は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S82)。端末装置90は、トレーニング信号を送信すると共に、導出したH行列をデータとして送信する(S84)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S86)。基地局装置10は、H行列のランク数が低いことを検出し(S88)、複数のアンテナ14を3つのグループに分類する(S90)。なお、説明の簡略化のため、前述の第1グループから第3グループへの分類がなされるものとする。
基地局装置10は、トレーニング信号を送信するとともに、端末装置90がトレーニング信号を送信する際に使用すべきアンテナ14についての指示を通知する(S92)。端末装置90は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S94)。端末装置90は、指示に従って、第1アンテナ14aと第2アンテナ14bからトレーニング信号を送信すると共に、導出したH行列をデータとして送信する(S96)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S98)。基地局装置10は、第1グループに対するキャリブレーションを実行する(S100)。
基地局装置10は、端末装置90がトレーニング信号を送信する際に使用すべきアンテナ14についての指示を通知する(S102)。端末装置90は、指示に従って、第1アンテナ14aと第3アンテナ14cからトレーニング信号を送信する(S104)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S106)。基地局装置10は、第2グループに対するキャリブレーションを実行する(S108)。基地局装置10は、端末装置90がトレーニング信号を送信する際に使用すべきアンテナ14についての指示を通知する(S110)。端末装置90は、指示に従って、第1アンテナ14aと第4アンテナ14dからトレーニング信号を送信する(S112)。基地局装置10は、トレーニング信号にもとづいて、H行列を導出する(S114)。基地局装置10は、第3グループに対するキャリブレーションを実行する(S116)。基地局装置10は、キャリブレーションの結果を記憶する(S118)。また、基地局装置10は、キャリブレーションの結果を通信に使用する。
図11は、基地局装置10におけるキャリブレーションの手順を示すフローチャートである。処理部22、無線部20等は、トレーニング信号を送信する(S130)。無線部20、処理部22等は、トレーニング信号を受信する(S132)。処理部22は、受信したトレーニング信号にもとづいて、伝送路特性を導出し、制御部30は、H行列を導出する(S134)。また、処理部22は、H行列の列の数、すなわち端末装置90のアンテナ14の数をしきい値に設定する(S136)。このとき、端末装置90のアンテナ14の数は、予め規定されていてもよい。あるいは、基地局装置10は、所定の制御信号によって、端末装置90のアンテナ14の数を取得していてもよい。H行列のランク数がしきい値より小さければ(S138のY)、制御部30は、複数のアンテナ14を複数のグループに分類する(S142)。
処理部22等は、トレーニング信号を送信する(S144)とともに、制御部30は、端末装置90がトレーニング信号を送信する際に使用すべきアンテナ14についての指示を送信する(S146)。また、処理部22は、受信したトレーニング信号にもとづいて、伝送路特性を導出し、制御部30は、H行列を導出する(S148)。制御部30は、キャリブレーション係数を導出する(S150)。すべてのグループに対する処理が終了していなければ(S152のN)、ステップ146からの処理が繰り返される。一方、すべてのグループに対する処理が終了していれば(S152のY)、制御部30は処理を終了する。また、H行列のランク数がしきい値より小さくなければ(S138のN)、制御部30は、キャリブレーション係数を導出する(S140)。
4つ目の変形例において、複数のアンテナ14を複数のグループに分類する際、所定のアンテナ14が複数のグループに含まれるように、グループが形成されていた。このようなグループの形成についての変形例を説明する。制御部30は、複数の仮のグループを規定し、複数のアンテナ14を複数の仮のグループに分類する。仮のグループへの分類は、任意の方法によってなされればよく、4つ目の変形例におけるグループへの分類と同様になされてもよい。制御部30は、複数の仮のグループのそれぞれに対してH行列を導出し、H行列のそれぞれに対するランク数を導出する。以上の処理の詳細は、4つ目の変形例と同様であるので、説明を省略する。
制御部30は、しきい値を規定しており、H行列のそれぞれに対するランク数をしきい値と比較する。H行列のそれぞれに対するランク数がしきい値よりも大きければ、仮のグループをグループとする。一方、H行列のそれぞれに対するランク数のうち、しきい値以下のランク数があれば、制御部30は、アンテナ14の組合せを変えながら、仮のグループへの分類を再び実行する。さらに、H行列のそれぞれに対するランク数がしきい値よりも大きくなるまで、以上の処理を繰り返し実行する。例えば、第1アンテナ14aがすべての仮のグループに含まれるように分類された後、H行列のそれぞれに対するランク数のうち、しきい値以下のランク数があれば、制御部30は、第2アンテナ14bがすべての仮のグループに含まれるように分類を実行する。
図3の制御部30は、端末装置90に備えられる複数のアンテナ14を複数の仮のグループに分類し、複数の仮のグループのそれぞれに含まれるアンテナ14から送信されたトレーニング信号をもとに、複数の仮のグループのそれぞれに対応したH行列を導出する。制御部30は、複数の仮のグループのそれぞれに対応したH行列のランク数をしきい値と比較する。複数の仮のグループのそれぞれに対応したH行列のランク数がしきい値よりも大きければ、仮のグループをグループとする。一方、しきい値以下のランク数が存在すれば、処理部22は、仮のグループに含まれるアンテナ14の組合せを変更する。処理部22と制御部30は、同様の処理を繰り返す。なお、以上の処理を所定の回数繰り返したときに、グループへの分類がなされていなければ、4つ目の変形例による分類を実行してもよい。
図12は、基地局装置10におけるグループの分類手順を示すフローチャートである。図12は、図11のステップ142に相当する。制御部30は、複数のアンテナ14を仮のグループに分類する(S160)。制御部30は、仮のグループのそれぞれに対するH行列を導出する(S162)。H行列のランク数の中に、しきい値より低いものがあり(S164のY)、他の仮のグループを設定可能であれば(S168のY)、ステップ160からの処理を繰り返す。他の仮のグループを設定可能でなければ(S168のN)、制御部30は、予め定めたグループにアンテナ14を分類する(S170)。一方、H行列のランク数の中に、しきい値より低いものがなければ(S164のN)、制御部30は、仮のグループをグループに決定する(S166)。
実施例に適用させながら、3つ目の変形例と4つ目の変形例を説明した。しかしながら、3つ目の変形例と4つ目の変形例は、ひとつ目の変形例とふたつ目の変形例にも適用可能である。ひとつ目の変形例において、制御部30は、H行列を特異値分解するので、特異値分解した結果からH行列のランク数を取得できる。制御部30は、H行列のランク数がしきい値より低ければ、3つ目の変形例において所定の期間だけキャリブレーションを延期する。また、制御部30は、H行列のランク数がしきい値より低ければ、4つ目の変形例において、複数のアンテナ14を複数のグループに分類する。また、制御部30は、複数のグループのそれぞれに対してH行列を導出し、H行列に対して一般化逆行列を適用しつつ、キャリブレーション係数を導出する。なお、4つ目の変形例では、H行列が複数のグループのそれぞれに対して導出される点において、ひとつ目の変形例と異なるが、導出されたH行列からキャリブレーション係数を導出する処理は、ひとつ目の変形例と同様である。
ふたつ目の変形例において、制御部30は、H行列を特異値分解するので、特異値分解した結果からH行列のランク数を取得できる。制御部30は、H行列のランク数がしきい値より低ければ、3つ目の変形例において所定の期間だけキャリブレーションを延期する。すなわち、制御部30は、H行列の導出、H行列に対する特異値分解、キャリブレーション係数の導出の延期を制御部30の内部、処理部22に指示する。また、制御部30は、H行列のランク数がしきい値より低ければ、4つ目の変形例において、複数のアンテナ14を複数のグループに分類する。また、制御部30は、複数のグループのそれぞれに対してH行列を導出し、H行列に対して特異値分解を実行しつつキャリブレーション係数を導出する。すなわち、制御部30は、複数のグループのそれぞれに対して、H行列の導出、H行列に対する特異値分解、キャリブレーション係数の導出の実行を制御部30の内部、処理部22に指示する。なお、4つ目の変形例では、H行列が複数のグループのそれぞれに対して導出される点において、ふたつ目の変形例と異なるが、導出されたH行列からキャリブレーション係数を導出する処理は、ふたつ目の変形例と同様である。
本発明の実施例によれば、ふたつのH行列とステアリング行列Q(1)から端末装置に対するキャリブレーション係数を導出するので、端末装置におけるステアリング行列を認識していなくても、キャリブレーション係数を導出できる。また、ふたつのH行列、ステアリング行列Q(1)に対する行列の演算を実行するだけであるので、端末装置におけるステアリング行列Q(2)を認識していなくても、キャリブレーション係数を導出できる。また、キャリブレーション係数を導出するので、キャリブレーションの実行によって、通信品質の悪化を抑制できる。また、端末装置におけるステアリング行列を取得しなくても、キャリブレーション係数を導出できるので、ステアリング行列の通知を不要にできる。また、ステアリング行列の通知を不要にできるので、周波数の利用効率を向上できる。また、複数の端末装置に対するキャリブレーション係数を導出し、これらを切替ながら使用するので、複数の端末装置と通信する場合であっても、通信品質の悪化を抑制できる。また、端末装置は、キャリブレーション係数を導出しないので、端末装置の処理を簡易にできる。
また、基地局装置にて導出したH行列の一般化逆行列を使用するので、基地局装置にて導出したH行列が正則行列でない場合であっても、端末装置における第2ステアリング行列を認識せずに、キャリブレーション係数を導出できる。また、基地局装置と端末装置のアンテナの数が異なる場合であっても、キャリブレーションを実行できる。また、空間の相関が高い場合であっても、キャリブレーションを実行できる。また、ふたつのH行列をそれぞれ特異値分解した結果を使用しながら端末装置に対するキャリブレーション係数と基地局装置に対するキャリブレーション係数を導出するので、基地局装置に対するキャリブレーション係数が予め導出されていない場合であっても、端末装置に対するキャリブレーション係数を導出できる。
また、H行列のランク数が低ければ、キャリブレーション係数の導出を延期するので、その間に無線伝送路のランク数が増加すれば、キャリブレーション係数を正確に導出できる。また、端末装置が移動する場合に、キャリブレーション係数を正確に導出できる。また、H行列のランク数が低いときに、複数のアンテナを複数のグループに分類することによって、H行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、H行列のランク数が小さくなっていることを回避できるので、キャリブレーション係数を正確に導出できる。また、端末装置のアンテナ数が基地局装置のアンテナ数よりも多い場合であっても、端末装置に対するキャリブレーション係数を導出できる。
また、複数のグループのそれぞれの中に一部のアンテナが含まれるように複数のグループへの分類を実行するので、一部のアンテナに対する相対的な誤差として、キャリブレーション係数を導出できる。また、一部のアンテナに対する相対的な誤差として、キャリブレーション係数を導出するので、複数のグループのそれぞれに対するキャリブレーション係数から、すべてのアンテナに対するキャリブレーション係数への展開を容易に実行できる。また、H行列のランク数がある程度高くなるようなアンテナと組合せとなるように、グループへの分類を実行するので、グループに対するキャリブレーション係数の導出の精度を向上できる。また、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから、信号が送信されるので、グループに対応したH行列を正確に導出できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例において、通信システム100は、OFDM変調方式を使用しているものとして説明した。しかしながらこれに限らず、通信システム100は、シングルキャリア方式を使用していてもよい。本変形例によれば、本発明を様々な通信システムに適用できる。つまり、複数のアンテナによって、ビームフォーミングを実行する通信システムであればよい。
本発明の実施例において、基地局装置10は、端末装置90に対するキャリブレーション係数を導出している。しかしながらこれに限らず例えば、端末装置90が、基地局装置10に対するキャリブレーション係数を導出してもよい。その場合、実施例において説明した基地局装置10の動作は、端末装置90によってなされる。本変形例によれば、基地局装置10の構成を簡易にできる。
本発明の実施例において、制御部30は、H行列の特異値分解等によって、H行列のランク数がしきい値よりも小さくなっていることを検出している。しかしながらこれに限らず例えば、制御部30は、端末装置90から、端末装置90に備えられるアンテナ14の数を受けつけ、受けつけたアンテナ14の数をもとに、H行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、H行列のランク数が小さくなっていることを検出してもよい。すなわち、アンテナ14の数がアンテナ12の数よりも大きくなってなっている場合に、検出が実行される。本変形例によれば、端末装置90に備えられるアンテナ14の数をもとに、H行列のランク数が小さくなっていることを検出するので、検出の精度を向上できる。つまり、逆行列や特異値分解等によって、端末装置に対するキャリブレーション係数を導出できない場合が検出されればよい。
本発明の実施例において、制御部30は、所定のアンテナ14がすべてのグループに含まれるように、複数のグループへの分類を実行している。しかしながらこれに限らず例えば、それぞれのグループに含まれているアンテナ14のいずれかが、他のグループに含まれるように、複数のグループへの分類が実行されてもよい。例えば、第1グループに第1アンテナ14aと第2アンテナ14bが含まれ、第2グループに第2アンテナ14bと第3アンテナ14cが含まれ、第3グループに第3アンテナ14cと第4アンテナ14dが含まれるようにしてもよい。本変形例によれば、グループに含まれるアンテナ14の自由度を高くできる。つまり、アンテナ14間の相対的な誤差として、キャリブレーション係数を導出できればよい。
本発明の実施例において、一般化逆行列として、「AAA=A」となる関係を満たす「A」を使用している。また、「A」を特異値分解することによって、一般化逆行列は、行列「V」、行列「Σ」、行列「U」にて表現されている。ここで、行列「V」は、M行M列によって規定され、行列「Σ」は、M行N列によって規定され、行列「U」は、N行N列によって規定されている。しかしながらこれに限らず、行列「V」は、M行K列によって規定され、行列「Σ」は、K行K列によって規定され、行列「U」は、K行N列によって規定されてもよい。すなわち、行列「Σ」が正方行列によって規定されてもよい。両者は、表現が異なっているが、実質的には等価になる。なお、変形例の表現は、文献(柳井晴夫著、「多変量データ解析法―理論と応用―」、pp.198、朝倉書店、1994)や、文献(J.D.Carroll, P.E.Green (with contributions by A.Chaturvedi),"Mathematical tools for applied multivariate analysis, revised edition.",pp.376, Academic Press, 1997.)に記載されている。
本発明の実施例に係るマルチキャリア信号のスペクトルを示す図である。 本発明の実施例に係る通信システムの構成を示す図である。 図2の基地局装置の構成を示す図である。 図3における周波数領域の信号の構成を示す図である。 図3の処理部の構成を示す図である。 図6(a)−(b)は、図2の通信システムにおける信号のフォーマットを示す図である。 図2の通信システムにおけるキャリブレーションの手順を示すシーケンス図である。 本発明の3つ目の変形例に係る通信システムにおけるキャリブレーションの手順を示すシーケンス図である。 図8の基地局装置におけるキャリブレーションの手順を示すフローチャートである。 本発明の4つ目の変形例に係る通信システムにおけるキャリブレーションの手順を示すシーケンス図である。 図10の基地局装置におけるキャリブレーションの手順を示すフローチャートである。 図11の基地局装置におけるグループの分類手順を示すフローチャートである。
符号の説明
10 基地局装置、 12 アンテナ、 14 アンテナ、 20 無線部、 22 処理部、 24 変復調部、 26 IF部、 30 制御部、 50 FFT部、 54 合成部、 56 空間分散部、 62 送信側補正部、 64 IFFT部、 90 端末装置、 100 通信システム。

Claims (27)

  1. 送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算した後に、予め保持したキャリブレーション係数を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ前記通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する通信部と、
    前記通信部を介して、前記通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、前記通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、前記通信部での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ前記通信対象の無線装置での受信機能の影響、第1ステアリング行列、前記通信対象の無線装置への無線伝送特性、前記通信部での送信機能の影響、予め保持したキャリブレーション係数の影響が反映された第2行列を前記通信対象の無線装置から受けつける第1導出部と、
    前記第1導出部において導出した第1行列と、前記第1導出部において受けつけた第2行列と、前記通信部における第1ステアリング行列から、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する第2導出部と、
    を備えることを特徴とする無線装置。
  2. 前記第2導出部は、第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算する手段と、乗算した結果の転置行列と第1行列の逆行列とを乗算することによって、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
  3. 前記第2導出部は、前記第1導出部において導出した第1行列が非正則行列である場合あるいは正方行列でない場合、第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算する手段と、第1行列と第3行列と第1行列との積が第1行列になる関係を満たすような第3行列を導出する手段と、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含むことを特徴とする請求項2に記載の無線装置。
  4. 前記第2導出部は、第1ステアリング行列の逆行列と第2行列とを乗算する手段と、第1行列と第3行列と第1行列との積が第1行列になる関係を満たすような第3行列を導出する手段と、乗算した結果の転置行列と第3行列とを乗算することによって、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
  5. 前記通信部において規定されている第1ステアリング行列がユニタリ行列であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の無線装置。
  6. 前記通信部において規定されている第1ステアリング行列としてのユニタリ行列は、周波数領域において規定されており、直交行列と循環的なタイムシフトを表す行列の積によって示されていることを特徴とする請求項5に記載の無線装置。
  7. 第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、
    前記検出部において検出がなされた場合、前記第1導出部と前記第2導出部に対して、キャリブレーション係数の導出の延期を指示する指示部とをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の無線装置。
  8. 第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、
    前記検出部において検出がなされた場合、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、前記第1導出部と前記第2導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の無線装置。
  9. 前記通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、前記通信部における送信アンテナの数よりも大きい場合、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、前記第1導出部と前記第2導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の無線装置。
  10. 前記通信対象の無線装置から、前記通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数を受けつけ、受けつけたアンテナの数をもとに、前記通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、前記通信部における送信アンテナの数よりも大きいことを検出する検出部をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の無線装置。
  11. 前記指示部では、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナのうち、一部のアンテナが複数のグループにそれぞれ含まれるように、複数のグループへの分類を実行することを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の無線装置。
  12. 前記第1導出部は、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数の仮のグループに分類し、複数の仮のグループのそれぞれに含まれるアンテナから送信された信号をもとに、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列を導出し、
    前記指示部は、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列のランク数をもとに、複数のグループへの分類を実行することを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の無線装置。
  13. 前記指示部は、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから信号を送信するように、前記通信対象の無線装置に指示することを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載の無線装置。
  14. 送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ前記通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する通信部と、
    前記通信部を介して、前記通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、前記通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、前記通信部での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ前記通信部での送信機能の影響、第1ステアリング行列、前記通信対象の無線装置への無線伝送特性、前記通信対象の無線装置での受信機能が反映された第2行列を前記通信対象の無線装置から受けつける第1導出部と、
    前記第1導出部において導出した第1行列を特異値分解し、かつ前記第1導出部において受けつけた第2行列に第1ステアリング行列の逆行列を乗算した結果を特異値分解する第2導出部と、
    前記第2導出部において特異値分解された第1行列と、前記第2導出部において特異値分解された第2行列から、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数と前記通信部に対するキャリブレーション係数を導出する第3導出部と、
    を備えることを特徴とする無線装置。
  15. 前記通信部において規定されている第1ステアリング行列がユニタリ行列であることを特徴とする請求項14に記載の無線装置。
  16. 前記通信部において規定されている第1ステアリング行列としてのユニタリ行列は、周波数領域において規定されており、直交行列と循環的なタイムシフトを表す行列の積によって示されていることを特徴とする請求項15に記載の無線装置。
  17. 第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、
    前記検出部において検出がなされた場合、前記第1導出部と前記第2導出部と前記第3導出部に対して、キャリブレーション係数の導出の延期を指示する指示部とをさらに備えることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の無線装置。
  18. 第1行列における行の数および列の数のうちの小さい方よりも、第1行列のランク数が小さくなっていることを検出する検出部と、
    前記検出部において検出がなされた場合、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、前記第1導出部と前記第2導出部と前記第3導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の無線装置。
  19. 前記通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、前記通信部における送信アンテナの数よりも大きい場合、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数のグループに分類する手段と、前記第1導出部と前記第2導出部と前記第3導出部に対して、複数のグループのそれぞれを単位にしたキャリブレーション係数の導出を指示する手段とを含む指示部とをさらに備えることを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の無線装置。
  20. 前記通信対象の無線装置から、前記通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数を受けつけ、受けつけたアンテナの数をもとに、前記通信対象の無線装置に備えられるアンテナの数が、前記通信部における送信アンテナの数よりも大きいことを検出する検出部をさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の無線装置。
  21. 前記指示部では、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナのうち、一部のアンテナが複数のグループにそれぞれ含まれるように、複数のグループへの分類を実行することを特徴とする請求項18から20のいずれかに記載の無線装置。
  22. 前記第1導出部は、前記通信対象の無線装置に備えられる複数のアンテナを複数の仮のグループに分類し、複数の仮のグループのそれぞれに含まれるアンテナから送信された信号をもとに、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列を導出し、
    前記指示部は、複数の仮のグループのそれぞれに対応した第1行列のランク数をもとに、複数のグループへの分類を実行することを特徴とする請求項18から21のいずれかに記載の無線装置。
  23. 前記指示部は、複数のグループのそれぞれに含まれるアンテナから信号を送信するように、前記通信対象の無線装置に指示することを特徴とする請求項18から22のいずれかに記載の無線装置。
  24. 送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、当該第1ステアリング行列を送信すべき少なくともひとつの系列に乗算した後に、予め保持したキャリブレーション係数を乗算することによって生成した信号を送信する第1無線装置と、
    送信すべき少なくともひとつの系列に第2ステアリング行列を乗算することによって生成した信号を送信する第2無線装置とを備え、
    前記第2無線装置は、前記第1無線装置から受信した信号をもとに、第1無線装置の送信機能の影響、第1ステアリング行列、第1無線装置からの無線伝送特性、第2無線装置の受信機能の影響、予め保持したキャリブレーション係数の影響が反映された第1行列を導出してから、導出した第1行列を前記第1無線装置に送信し、
    前記第1無線装置は、前記第2無線装置から受信した信号をもとに、第2無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、第2無線装置からの無線伝送路特性、第1無線装置での受信機能の影響が反映された第2行列を導出する手段と、第1行列と、第2行列と、第1ステアリング行列から、前記第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段を含むことを特徴とする通信システム。
  25. 送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、当該第1ステアリング行列を送信すべき少なくともひとつの系列に乗算することによって生成した信号を送信する第1無線装置と、
    送信すべき少なくともひとつの系列に第2ステアリング行列を乗算することによって生成した信号を送信する第2無線装置とを備え、
    前記第2無線装置は、前記第1無線装置から受信した信号をもとに、第1無線装置の送信機能の影響、第1ステアリング行列、第1無線装置からの無線伝送特性、第2無線装置の受信機能の影響が反映された第1行列を導出してから、導出した第1行列を前記第1無線装置に送信し、
    前記第1無線装置は、前記第2無線装置から受信した信号をもとに、第2無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、第2無線装置からの無線伝送路特性、第1無線装置での受信機能の影響が反映された第2行列を導出する手段と、第1行列に第1ステアリング行列の逆行列を乗算した結果と第2行列とをそれぞれ特異値分解することによって、前記第1無線装置に対するキャリブレーション係数と前記第2無線装置に対するキャリブレーション係数を導出する手段とを含むことを特徴とする通信システム。
  26. 送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算した後に、予め保持したキャリブレーション係数を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ前記通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する無線装置において、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するためのキャリブレーション方法であって、
    前記通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、前記通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、本無線装置での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ前記通信対象の無線装置での受信機能の影響、第1ステアリング行列、前記通信対象の無線装置への無線伝送特性、本無線装置での送信機能の影響、予め保持したキャリブレーション係数の影響が反映された第2行列を前記通信対象の無線装置から受けつけ、第1行列と第2行列と第1ステアリング行列から、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出することを特徴とするキャリブレーション方法。
  27. 送信すべき少なくともひとつの系列を複数の送信アンテナに分散させるための第1ステアリング行列が規定されており、送信すべき少なくともひとつの系列に当該第1ステアリング行列を乗算してから通信対象の無線装置への送信を実行し、かつ前記通信対象の無線装置において第2ステアリング行列が乗算された少なくともひとつの系列を受信する無線装置において、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数を導出するためのキャリブレーション方法であって、
    前記通信対象の無線装置での送信機能の影響、第2ステアリング行列、前記通信対象の無線装置からの無線伝送路特性、本無線装置での受信機能の影響が反映された第1行列を導出し、かつ本無線装置での送信機能の影響、第1ステアリング行列、前記通信対象の無線装置への無線伝送特性、前記通信対象の無線装置での受信機能が反映された第2行列を前記通信対象の無線装置から受けつけ、第2行列に第1ステアリング行列の逆行列を乗算した結果と第1行列とをそれぞれ特異値分解することによって、前記通信対象の無線装置に対するキャリブレーション係数と前記本通信装置に対するキャリブレーション係数を導出することを特徴とするキャリブレーション方法。
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