JP4646464B2 - Tig溶接装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶接装置に係わり、特に開先幅が非常に狭い開先内でTIG(Tungsten Inert Gas Arc)溶接を行うのに効果的な溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電用ボイラの主配管、原子力発電のRPV(Reactor Pressure Vessel)等の圧力容器は厚さ30mm〜150mmの厚板構造物であり、多数の溶接箇所がある。例えば、発電用ボイラの一部を構成している主配管は、主蒸気管、高温再熱蒸気管、低温再熱蒸気管、主給水管等が高温あるいは高圧のために大径で厚肉管の構造となっている。主配管は、コイルで加熱された高温、高圧の蒸気をボイラからタービンまで送り、タービンで仕事を終えた蒸気を再びボイラのコイルに還流するといった高温、高圧の配管構造である。
【0003】
また、配管自身が高温、高圧であるためボイラの起動、停止時における伸縮量が大きく、溶接継手に応力が集中するためボイラからタービンまでの主配管には高品質の溶接部が要求される。この溶接には、母材に対する入熱量を抑えて溶接歪みや熱影響を少なくし、また効率的に溶接を行うことができ得るという理由により、開先幅8mm〜12mmの狭開先アーク溶接法が適用される。
【0004】
溶接法としてはステンレス鋼、高合金鋼の場合は、非消耗電極式TIG(Tungsten Inert Gas Arc)溶接法が、また、低合金、軟鋼の場合は、消耗電極式GMA(Gas Metal Arc)溶接法が適用される場合が多い。
【0005】
ここで、本発明に関連する技術として、図12を用いて狭開先TIG溶接法を説明する。対向する母材5a,5bの間に幅8mm〜12mmの狭開先14を加工し、開先幅より薄い長尺な溶接トーチ1とワイヤトーチ9を狭開先14に挿入する。溶接トーチ1の先端にはタングステンからなる電極3が取り付けられていて、トーチ先端から吹き出す不活性ガス(Arガス)により溶接部を空気からシールドしながら、電極3を負極、母材5a,5bを正極としてアーク6を形成し、ワイヤトーチ9により導かれた添加ワイヤ8を溶接部に送給して溶接を行い、狭開先14を溶着金属により埋めることにより母材5aと5bの接合を行う。
【0006】
図12では、図示していないが台車等の移動装置により、溶接装置を開先方向に移動しながら溶接している状況を示している。添加ワイヤ8はワイヤリール24に巻かれていて、ワイヤフィーダ23により、コンジットケーブル22とワイヤトーチ9を経由して溶接部に導かれる。
【0007】
また、溶接トーチ1の先端から吹き出すシールドガスだけでは、溶接トーチ1周辺の空気を巻き込み溶接部のシールドが不完全なため、溶接トーチ1上部の狭開先14外にシールドボックス4を設置し、狭開先14方向に対してシールドガスを流して、狭開先14内全体を不活性ガス雰囲気にする方法が一般に採用されている。
【0008】
この狭開先TIG溶接法は1層1パスの多層溶接であり、1層2〜3mm程度の積層になることから、板厚が厚くなると数時間に及ぶ長時間連続溶接になり、更なる能率向上と品質の確保が望まれていた。
【0009】
TIG溶接の能率を高能率にする技術としては、特開平7−227673号公報において、シールドガスにHeガスを使用する方法が提案されている。シールドガスにHeガスを用いるとアーク圧力が下がり、逆に、図5のAr,He混合ガス中のHe量のアーク電圧に及ぼす影響を示すグラフからもわかるように、アーク電圧を上げる効果がある。当然、母材に入る入熱量(溶接電流×アーク電圧÷溶接速度)も高くなり、高能率溶接を行うことが可能になる。
【0010】
しかし、Heガスを用いる方法では溶接金属に対するシールド性が悪くなる。また、He,Arの混合ガスを用いる方法では、図5からもわかるように、純HeガスにArガスが25%混ざるだけでほとんど純Arガスのアーク電圧になってしまうため、これ以上のAr混合率ではHeガスの効果が発揮されない。一方、逆にこれ以下のAr混合率ではHe濃度が高すぎるためシールド性が悪くなる。
【0011】
そこで、図11に示すような従来例の二重シールド法では、センタガスにHeガスを流し、アウターガスにArガスを流すことにより、溶接アークをセンタガスであるHeガスでシールドし、溶融金属をアウターガスであるArガスでシールドすることによって、溶融金属に対するシールド性を保ったまま、純Heの高い電位傾度を利用して、高能率TIG溶接を実現させている。
【0012】
一方、開先幅が7mm以下などの非常に狭い開先でTIG溶接を行うと、電極を開先内で左右にウィービングしないでもアークで両側開先壁を溶融でき、溶着金属量も少なくて済むことからTIG溶接でも短時間に溶接が行え、また溶接変形も残留応力も非常に小さくなるとの考えから、いろいろな技術開発が進められている。
【0013】
例えば図11に示すように、先ほど説明した二重シールドトーチを用いて母材5a,5bの表面にシールドノズル18を配置し、開先底まで届くように長い丸棒のタングステン電極3を電極保持具16dに装着し、シールドノズル18からArガスを、シールドノズル18内に設けられたセンタガスノズル17からHeガスを強く流しながら溶接することが行われている。この母材表面からのシールド方法ではセンターガスの届く深さは40mm程度が限界であり、開先深さが100mmなどの深開先の溶接には適用できない。
【0014】
従来の狭開先TIG溶接トーチの一例(特公平3−69629号公報)を図9と図10に示す。溶接トーチ先端には電極3が取付けられていて、この周辺を不活性ガスであるArガスなどでシールドする必要があり、ガスノズル2c,2dによりArガスをトーチ先端方向に吹出して溶接が行われる。一般にこのガスノズル2c,2dはトーチ幅を狭くすることから電極3の左右に取付けられ、電極3の近い位置に設置される。特に開先幅が7mm以下などの非常に狭い開先を対象にした場合には、トーチ幅を最小にしたいため電極3を取囲むようにガスノズルを設置することは非常に難しくなる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
図9及び図10に示す従来の狭開先TIG溶接トーチを使用して、図12に示すように狭開先内に溶接トーチ1を挿入してシールドボックスからArガスをガスノズル2c,2dからHeガスを吹出して前記二重シールド方法と同様の効果が得られないかを確かめるため、テストを行ってみた。アーク電圧を測定してシールド状態を確認したが、Heガスシールドでのアーク電圧は得られず、二重シールド法と同様の効果は認められなかった。
【0016】
これは図7に示すようにシールドボックス4から開先内に吹込まれたArガスを、電極3両側のガスノズルから吹出すHeガスが巻込むからであり、特にこの巻込みは電極両側のガスノズルから吹出すHeガスの重なる電極部で特に大きいからと考えられる。
【0017】
また、Heガスシールドで溶接を行う場合に課題となる事項として、スタート性が悪いということがあった。TIG溶接のスタート方法としては、高周波放電方式、高電圧放電方式、タッチスタート方式がある。HeはArに比べて電離電圧が高くプラズマ化されにくいため、Heシールドでは電極と母材間に高周波あるいは高電圧をかけてもHeが電離しにくく極端にスタート性が悪いことが知られている。そのため電極と母材間の距離を極端に短くしてスタートする等の対策が行われていた。
【0018】
しかし、この方式ではアーク点弧後にトーチを引上げる等のシーケンスが必要になる。また、狭開先溶接では狭く深い開先の底での作業になることから、位置調整が難しい等の課題があった。
【0019】
以上のように、従来技術では、溶接アークをHeガスでシールドして、溶融金属をArガスシールドする高能率TIG溶接を、狭開先TIG溶接で実現するために開先外の母材表面に設置したシールドボックスからArガスを開先内に吹出して、電極両側の吹出し口が開先底方向に向いているガスノズルからHeガスを吹出してもHeガスがArガスを巻込んでしまい高能率TIG溶接を実現することができなかった。
【0020】
また、Heシールドでの高周波放電方式スタート及び高電圧放電方式スタートの場合にスタート性が悪いという問題があった。
【0021】
本発明の目的は、狭開先溶接においても、溶接アークをHeガスでシールドして、溶融金属をArガスシールドする高能率TIG溶接を可能にし、Heガスシールドでも高周波放電方式スタート及び高電圧放電方式スタートが安定して行えるTIG溶接装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は次のような構成を採用する。
開先外より不活性ガスを開先内に吹付けるシールドボックスと、開先内に挿入してTIG溶接を行う溶接トーチと、前記溶接トーチ先端の電極と、前記電極の両側に配置した不活性ガスを吹出すガスノズルと、を備えたTIG溶接装置であって、
前記ガスノズルの吹出し方向は互いに向かい合う方向であり、
前記ガスノズルから吹出したガスは互いにぶつかり合って上昇成分と下降成分のガス流を生成するTIG溶接装置。
【0023】
また、前記TIG溶接装置において、前記ガスノズルは、その吹出し狙い位置を前記電極の先端より少し上部とするTIG溶接装置。
【0024】
また、前記TIG溶接装置において、前記シールドボックスから吹出す不活性ガスをArガスとし、前記ガスノズルから吹出す不活性ガスをHeガスとするTIG溶接装置。
【0025】
また、TIG溶接を行う溶接トーチの先端の電極と、前記電極と母材間に形成されたアークと、をHeガスでシールドするTIG溶接装置であって、
溶接スタート時にHeガスに20%以上のArガスを添加し、アーク点弧後にArガスを遮断するTIG溶接装置。
【0026】
このような構成を採用することによって、本発明は次のような機能乃至作用を奏することができる。即ち、開先外母材表面のシールドボックスよりArガスを開先内に吹付けることにより、Arガスは比重が重いため、開先内がArガス環境になり溶接中の溶融金属をArガスでシールドできる。そして、電極両側に配置したガスノズルの吹出し方向を向合う方向とし、ガスノズルから吹出したHeガスをお互いにぶつけ合って上昇成分と下降成分のガス流を生成させることにより、開先上部からのArガスを巻込むことなくアークをHeガスでシールドできる。この際に、ガスノズル2a、2b方向にArガスを多少巻込むが、巻込んだArガスは吹出し方向に対して広がる方向に巻込まれるため、アークはArガスの影響をほとんど受けない。
【0027】
また、電極先端と母材間に発生したアークは電極先端の狭い表面から広い母材に対して発生する。つまりアークは電極先端から母材方向に広がった形になりP点とQ点の電流密度を比較すると(図8参照)、P点の電流密度の方が高く、A、Bの矢印方向にプラズマ気流が発生する。つまりガスノズルの吹出し狙い位置を電極先端より少し上部を狙うことにより、このプラズマ気流の流れにHeガスを選択的に送り込むことになり、Heガスによるアークのシールドが完全に行えて、狭先開先溶接での高能率TIG溶接が達成される。
【0028】
また、Heガスシールドでの高周波放電方式スタート及び高電圧放電方式スタートは、溶接スタート時にHeガスに20%以上のArガスを添加することにより、Arガス環境下でのアークスタート性と同じになり、安定したアークスタートを行うことができる。そしてアーク点弧後にArガスを遮断することにより高能率TIG溶接が達成される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係るTIG溶接装置について、図面を参照しながら以下説明する。図1は、本発明の実施形態に関するTIG溶接トーチの開先内に挿入された状態の正面図であり、図2は、本実施形態に関するTIG溶接トーチの開先内に挿入された状態の側面図である。図4は、本発明の実施形態に係るTIG溶接装置の溶接スタート時におけるHeガスとArガスのガスフローを示すフローチャート図である。
【0030】
図1において、1は狭開先用の溶接トーチ、2a,2bはHeガスを電極先端部に吹付けるためのガスノズル、3はタングステンからなりアークを発生する電極、4は開先外母材表面から開先14に向かってArガスを吹出すシールドボックス、5,5a,5bは被溶接物の母材、6はアーク、7は溶融池、8は添加ワイヤ、9は添加ワイヤ8を溶接部に導くワイヤトーチ、10は溶接トーチ1及びガスノズル2a,2b及びワイヤトーチ9を取付けるための取付け台、11a,11bは溶接後の溶接ビード、12は溶接機器を制御する溶接制御装置、13a,13b,13cはArガス、Heガスの開閉を行うソレノイドバルブ、14は開先、25はガスの流量を調整する流量調整バルブ、をそれぞれ表す。
【0031】
次に、本実施形態に係るTIG溶接装置の動作、機能乃至作用について説明する。なお、非消耗電極式アーク溶接方法、溶接手順については従来方法と同様であるので説明を割愛する。
【0032】
TIG溶接の能率を上げるためには、当然溶接電流を上げることが必要になるが、溶接電流を上げるとアークの集中性が増してアーク圧力が増す。つまり、図8に示すように、電極3先端と母材5間に発生したアークは、電極3先端の狭い表面から広い母材に対して発生する。アークは電極3先端から母材5方向に広がった形になりP点とQ点の電流密度を比較すると、P点の電流密度の方が高く、図示のA及びBの矢印方向にプラズマ気流が発生してアーク圧力が発生する。
【0033】
このように、溶接電流を上げるとP点とQ点の電流密度差が大きくなりアーク圧力も大きくなる。このアーク圧力が大きくなると、母材5を掘り込む力が強くなり溶接ビード中央に気孔が発生し、ビードが途切れてしまうハンピングビードが発生し溶接欠陥になる。このアーク圧力をHeガスシールドでは、Arガスシールドに比べて1/4以下にすることができる。これはHeガスシールドのアークとArシールドのアークではアークの形状が異なり、電極先端の電流密度に差ができるため、A,B間の圧力差が異なるからである。
【0034】
また、図5のAr,He混合ガス中のHe量のアーク電圧に及ぼす影響を示すグラフからもわかるように、Heガス中ではアーク電圧はArガス中でのアーク電圧より1.5倍以上高く、当然、母材に入る入熱量(溶接電流×アーク電圧÷溶接速度)もHeガスシールドの方が高くなる。このようにHeガスシールドで溶接すれば高能率なTIG溶接を行うことができる。しかし、Heガスは軽いためシールド性に課題が生じる。また、シールド性が良いArガスと混合すると、図5に示すようにHeガスが80%以上でないとArガスの影響を強く受けてしまう。
【0035】
以上のことから、アークをHeガスでシールドし、その周辺にArガスを流すことにより溶融金属をシールドする手法が、理想的な高能率TIG溶接を実現することに繋がると云える。この高能率TIG溶接手法を狭開先溶接に適用したものが本実施形態に係るTIG溶接装置であり、図1及び図2を用いて具体的に説明する。まず、開先14内全体を不活性ガスでシールドするために、シールドボックス4により開先14方向に向かってArガスを流す。そして、溶接トーチ両側のガスノズル2a,2bによりHeガスを電極3先端上部に吹付ける。
【0036】
Heガスでアークをシールドする場合に、図8で示すように、プラズマ気流A,Bの気流の起点、即ち電極3先端より少し上部に向かってHeガスを吹付けるのが有効な方法である。換言すると、図6に示すように、電極3の両側からガスノズル2a,2bを向合う方向に設置し、ガスノズルの狙い位置は、電極先端より少し上を狙うようにしてHeガスを吹出すようにする。狭い開先内ではHeガスがお互いにぶつかり合って上昇成分と下降成分のガス流が生成され、開先上部からのArガスを巻込むことなくアークをHeガスでシールドすることができる。
【0037】
ガスノズル2a,2b方向にArガスを多少巻込むが、巻込んだArガスは吹出し方向に対して広がる方向に巻込まれるためアークはArガスの影響をほとんど受けない。つまり、Heガスによるアークのシールドが完全に行え、溶融金属はArガスでシールドが行えるため、狭先開先溶接でも高能率TIG溶接が達成できる。
【0038】
50mm以上の深い開先での溶接テストを行い、本実施形態でのアーク電圧と、20mm程度の浅い開先でシールドボックス4からもHeガスを流したHeガスだけでのアーク電圧とが等しいことを確認し、高能率溶接が実現できたことを確認した。
【0039】
次に、Heガスシールドでのアークスタート方法について説明する。HeはArに比べて電離電圧が高くプラズマになりにくいため、Heシールドでは電極と母材間に高周波あるいは高電圧をかけてもHeが電離しにくく極端にスタート性が悪いことが知られている。そこで、高周波放電方式スタート及び高電圧放電方式スタートの溶接スタート時にHeガスに20%以上のArガスを添加することにより、Arガス環境下でのアークスタート性と同様になり、安定したアークスタートを行うことができる。そして、アーク点弧後にArガスを遮断することにより高能率TIG溶接が達成できる。
【0040】
図5のAr、He混合ガス中のHe量のアーク電圧に及ぼす影響を示すグラフからもわかるように、純HeガスにArガスが25%混ざるだけでほとんど純Arガスのアーク電圧になってしまう。つまりArガスが20%以上なら純Arガスの性状に近くなる。
【0041】
図1に示す溶接制御装置12内にソレノイドバルブ13a,13b,13cを設け、ソレノイドバルブ13aでガスノズル2a,2bに導くHeガスを、ソレノイドバルブ13bでガスノズル2a,2bに導くArガスを、ソレノイドバルブ13cでシールドボックス4に導くArガスを、それぞれ開閉する。ソレノイドバルブ13bを通過したArガスは流量調整バルブ25によりHeガスの流量の20〜30%の流量に調整可能になっている。
【0042】
次に、スタート時のシーケンスについて図4を用いて説明する。スタートのプリフロー時間はソレノイドバルブ13a,13b,13cを開にする。ガスノズル2a,2bから吹出すガスには20%以上のArガスが含まれる。ここで電極3と母材5間に高周波あるいは高電圧をかけアークを点弧する。このときHeガスにはArガスが含まれているためスタートは良好に行われる。アーク点弧後にソレノイドバルブ13bを閉にしてHeガスに含まれるArガスを遮断する。なお、スタート時にシールドボックス4のArガスだけを流してスタートし、アーク点弧後にHeガスを流す方式も検討したが、ソレノイドバルブの開時にガスが突出するため、アークを吹消す現象を起こすために採用することはできない。
【0043】
次に、本発明の他の実施形態に係るTIG溶接装置について図3を参照しながら以下説明する。図3において、1は狭開先用の溶接トーチ、2a,2bはHeガスを電極先端部に吹付けるためのガスノズル、3はタングステンからなり傾斜して溶接トーチ1に取付けられたアークを発生する電極、4は開先外母材表面から開先14に向かってArガスを吹出すシールドボックス、5は被溶接物の母材、6はアーク、7は溶融池、8は添加ワイヤ、9は添加ワイヤ8を溶接部に導くワイヤトーチ、10は溶接トーチ1及びガスノズル2a,2b及びワイヤトーチ9を取付けるための取付け台、11a,11bは溶接後の溶接ビード、15はガスノズル2bをワイヤトーチ9に取付けて固定するための取付け具、をそれぞれ表す。
【0044】
TIG溶接の場合に電極3を母材5(図3では開先底)に対して斜めにして施工する場合がある。これは垂直方向の溶け込みを優先するよりアークの広がりを利用して横方向の開先壁の溶け込みを得たいときに用いられる。また、添加ワイヤの溶接部への挿入を垂直にして、溶接トーチ1、ワイヤトーチ9、ガスノズル2a,2bの幅を狭くすることも行われる。この場合、ワイヤトーチ9は溶接トーチ1とガスノズル2bの間に設置される。このように、斜め電極又は添加ワイヤの垂直挿入のいずれの場合も、開先外のシールドボックス4からArガスを開先内に吹付けて開先内をArガスでシールドし、電極両側に配置したガスノズルの吹出し方向を向合う方向とし、ガスノズルから吹出したHeガスをお互いにぶつけ合って上昇成分と下降成分のガス流を生成させることと、電極両側に配置したガスノズルの吹出し狙い位置を電極先端より少し上部を狙うことにより高能率TIG溶接が達成できる。
【0045】
また、ワイヤトーチ9を溶接トーチ1とガスノズル2b間に設置する場合は、ガスノズル2bの吹出し口と電極3との距離が、ガスノズル2aの方より離れるので、ガスノズル2bから吹出すHeガスの量をガスノズル2aの方より多くする必要がある。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、開先幅7mm以下の狭開先で開先深さが40mm以上となる深い開先であっても、シールドボックスから開先内に向かって流すArガスにより溶融金属がシールドされ、電極両側のガスノズルが吹出すHeガスによりアークがシールドされるため、Arガスの高いシールド性とHeガスの高い溶接アーク電位傾度を有効に利用して、狭開先溶接であっても高能率なTIG溶接が実現できる。
【0047】
また、Heガスでアークをシールドする場合の高周波放電方式及び高電圧放電方式の溶接スタート時に、Heガスに20%以上のArガスを添加することにより、Arガス環境下でのアークスタート性と同様になり、安定したアークスタートを行うことができる。そして、アーク点弧後にArガスを遮断することによりHeガスによりアークがシールドされるので高能率TIG溶接が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に関するTIG溶接トーチの開先内に挿入された状態の正面図である。
【図2】本実施形態に関するTIG溶接トーチの開先内に挿入された状態の側面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に関するTIG溶接トーチの開先内に挿入された状態の正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るTIG溶接装置の溶接スタート時におけるHeガスとArガスのガスフローを示すフローチャート図である。
【図5】Ar,He混合ガス中のHe量のアーク電圧に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】本実施形態に係る、電極両側のガスノズルから向合う方向でHeガスを吹出した時のシールド状態を表す説明図である。
【図7】電極上部両側のガスノズルから下向き方向にHeガスを吹出した時のシールド状態を表す説明図である。
【図8】アーク部に発生するプラズマ気流の発生機構を表す説明図である。
【図9】従来技術に関するTIG溶接トーチの正面図である。
【図10】従来技術に関するTIG溶接トーチの側面図である。
【図11】従来技術に関する二重シールド構造のTIGトーチを用いた溶接方法を示す溶接部の断面図である。
【図12】狭開先溶接の溶接方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 溶接トーチ
2a,2b,2c,2d ガスノズル
3 電極
4 シールドボックス
5,5a,5b 母材
6 アーク
7 溶融池
8 添加ワイヤ
9 ワイヤトーチ
10 取付け台
11,11a,11b 溶接ビード
12 溶接制御装置
13a,13b,13c ソレノイドバルブ
14 開先
15 取付け具
16a,16b,16c,16d 電極保持具
17 センタガスノズル
18 シールドガスノズル
19 添加ワイヤ導管
20 冷却水導管
21 電極固定ブロック
22 コンジットケーブル
23 ワイヤフィーダ
24 ワイヤリール
25 流量調整バルブ

Claims (4)

  1. 開先外より不活性ガスを開先内に吹付けるシールドボックスと、開先内に挿入してTIG溶接を行う溶接トーチと、前記溶接トーチ先端の電極と、前記電極の両側に配置した不活性ガスを吹出すガスノズルと、を備えたTIG溶接装置であって、
    前記ガスノズルの吹出し方向は互いに向かい合う方向であり、
    前記ガスノズルから吹出したガスは互いにぶつかり合って上昇成分と下降成分のガス流を生成する
    ことを特徴とするTIG溶接装置。
  2. 請求項1に記載のTIG溶接装置において、
    前記ガスノズルは、その吹出し狙い位置を前記電極の先端より少し上部とすることを特徴とするTIG溶接装置。
  3. 請求項1又は2に記載のTIG溶接装置において、
    前記シールドボックスから吹出す不活性ガスをArガスとし、前記ガスノズルから吹出す不活性ガスをHeガスとすることを特徴とするTIG溶接装置。
  4. TIG溶接を行う溶接トーチの先端の電極と、前記電極と母材間に形成されたアークと、をHeガスでシールドするTIG溶接装置であって、
    溶接スタート時にHeガスに20%以上のArガスを添加し、
    アーク点弧後にArガスを遮断する
    ことを特徴とするTIG溶接装置。
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