JP4646396B2 - サンプリングクロック位相自動調整方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正しいキャプション信号データの取得を行うために、ソフトウェアによってサンプリングクロック位相の調整を自動で行う技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
映像信号に重畳されるキャプション信号のフォーマット及びデータ構造を図7と図8を用いて説明する。
【0003】
キャプション信号は、図7に示すように標準NTSC映像信号の垂直帰線消去期間の21ライン目にコード化されたコンポジット信号の形で伝送される。
NTSC映像信号は水平方向の走査線数が525本で毎秒30フレーム(1秒間に30回画面を書き換える)インターレース方式である。さらに1フレームは奇数フィールドと偶数フィールドの2フィールドに別れており、通常のキャプション信号は奇数フィールドに重畳されてくるが、偶数フィールドにも重畳されてくる場合もある。しかし、同一フィールドのデータのみ連続性があるため、連続したキャプション信号データは33.333msecに一度だけ映像信号に重畳される信号である。
【0004】
データ構造は、図8に示すようにクロックランイン(A)とスタートビット(B)及び16ビットのデータ(C)からなっている。
カラーバーストの後、データの同期をそろえるためクロックランインが7サイクル設けられている。その後、2ビットのブランキングレベルが続いた後にデータの始まりを意味するスタートビットが1ビット与えられ、16ビットのデータ領域が続く。16ビットの内訳は、2バイトのデータと各バイトに1ビットのエラー検出用パリティービット(D及びE)が付与されたデータである。1ビット当りの時間幅は1.986μsecである。
【0005】
このデータ構造を持つキャプション信号データのデータサンプリング方法を図9と図10を用いて説明する。
図9はTV分野において一般的に採用されているデータサンプリング方法であり、データサンプルする際のサンプリングクロック位相調整方法について示す。図10はビデオ分野において一般的に採用されているデータサンプリング方法であり、データサンプルする際のサンプリングクロック位相調整方法について示す。
【0006】
まず、TV分野において一般的に採用されているキャプション信号データのデータサンプリング方法について説明する。
第5,第6,第7クロックランインの位相からサンプリングクロック位相を作成する(a)。
【0007】
その作成されたサンプリングクロック位相を用いて第7クロックランインエッジの立下り(立ち上りの選択も可能)からキャプション信号データのデータサンプリングが行われる。サンプリングされたデータは、スタートビット格納RAMとキャプションデータ格納RAMに順次格納される(b)。
【0008】
従って、TV分野で一般的に採用されているサンプリングクロック位相調整方法は、クロックランインを使用してサンプリングクロック位相を作成する方法であり、この方法によれば、サンプリングクロック位相が自動で調整される。このサンプリングクロック位相調整はハードによって実現されている。しかし、クロックランインからサンプロングクロック位相をハードによって作成するため、回路構成が大きくなる。
【0009】
ビデオ分野においては、キャプション機能を有することが規格で定められているTV分野とは異なり、キャプション信号データが取得できることは差別化を図るための機能でしかなく、単にキャプション信号データの取得ができさえすれば良かった。従って、クロックランインを用いてサンプリングクロック位相を作成するという厳密な方法は採用されておらず、サンプリングクロック位相を作成するハード構成は回路構成の縮小と低コスト化から組み込まれていない。
【0010】
ここで、ビデオ分野において一般的に採用されているキャプション信号データのデータサンプリング方法について図10を用いて説明する。
水平同期分離信号の立下りからハードが規定するサンプリング開始位置(a)(例えば、18.85μsec)を基準に、データ取得のできるサンプリングクロック位相に予め位相調整を行ない、サンプリングクロック位相を決定する。
【0011】
この決定されたサンプリング位相によりキャプション信号データのデータサンプリングが行われ、サンプリングされたデータはスタートビット格納RAMとキャプションデータ格納RAMに(b)のように順次格納される。
【0012】
この方法によれば、サンプリングクロック位相調整器とサンプリング位相スタート位置設定器のみの構成で良いため、少ない回路構成で実現できる。
しかし、サンプリングスタート位置(a)からのサンプリングクロック位相調整は、一度調整を行った場合、そのビデオデッキでは固定値である。
【0013】
近来、テレビ受像機とビデオテープレコーダが一体化したAV機器の普及が増加しており、キャプション表示機能を有する1チップマイコンが必要となってきた。
【0014】
この1チップマイコンを実現するには、一般的にビデオ機能を実現するマイコンを基本として1チップマイコンを構成する方法と、テレビ機能を実現するマイコンを基本として1チップマイコンを構成する方法がある。
【0015】
TV機能を実現するマイコンを基本とする場合、ビデオ機能(例えば、サーボ制御ブロック)をそのまま付加しなければならず、回路構成が大きくなり、実用性がない。つまり、(1チップマイコン)=(TV機能を実現するマイコン)+(ビデオ機能を実現するハード構成)となってしまう。
【0016】
前で述べたようにビデオ分野において、TV分野で一般的に採用されている性能より劣るが、キャプション信号データをサンプリングする機能は備えており、キャプション機能を実現するために不足しているのはキャプション表示を行うハード構成のみであった。
【0017】
よって、ビデオ機能を実現するハード構成を基本とする場合、キャプション表示を実現するハード構成を付加するのみで1チップマイコンを実現できる。つまり、(1チップマイコン)=(ビデオ機能を実現するマイコン)+(キャプション表示を実現するハード構成)であり、TV機能を実現するマイコンを基本として構成する場合に比べ、少ない回路構成となり、実用性がある。
【0018】
従って、一般的に、ビデオ機能を実現するマイコンを基本としてキャプション表示機能を有する1チップマイコンが構成される。
前で述べたビデオ分野において一般的に採用されているキャプション信号データのデータサンプリング方法は、サンプリングクロック位相調整を自動で行う方法ではない。そのため、キャプション信号データが取得できなくなってしまう致命的な問題が発生してしまう。次に図11を用いてこの問題について説明する。
【0019】
図11(a)に示すように、ビデオテープAに記録されているキャプション信号データ(A)でサンプリングクロック位相を調整したとする。このサンプリングクロック位相調整値がAであったとすると図11(b)に示すように、位相調整値はAに固定される。
【0020】
この状態で、図11(c)に示すビデオテープBに入れ返る。このビデオテープBに記録されているキャプション信号データ(C)が、(D)で示すようにビデオテープAに記録されているキャプション信号データより位相がずれていた場合、このキャプション信号データはサンプリングクロック位相調整値Aで調整された位相でデータサンプリングされる。
【0021】
そのため、サンプリングクロック位相がずれている状態でのサンプリングとなり、崩れたデータを取得してしまう問題が発生する。
つまり、映像で見ると文字欠落や文字化け等の症状が発生してしまうため、キャプション機能のプレアビリティー上、致命的な問題であった。クロックランインからサンプリングクロック位相調整を自動で行うハード構成を持つ場合(一般的にTV分野で採用されている方法)では、クロックランインでサンプリングクロック位相を調整しているため発生しない問題である。
【0022】
この問題を解決する方法として、キャプション信号データのサンプリングクロック位相をソフトウェアによって自動で調整する方法が一般的に採用されている。
【0023】
このソフトウェアによる従来のキャプション信号データのサンプリングクロック位相自動調整方法について、図12と図13を用いて次に説明する。
ソフトウェアによる従来のサンプリングクロック位相自動調整方法は、キャプション信号データを正確に取得することを目的としているため、位相調整時においても16ビットのデータ自体を検査することに注目した方法であり、その検査手段としてパリティービットを用いる方法である。
【0024】
まず、図12の(ステップ1)に示すように、映像信号に重畳されるキャプション信号データが含まれる信号を最小のサンプリングクロック位相で所定回数取り込む。取り込んだキャプション信号データにおいてパリティーチェックを行い、パリティーエラーの回数をカウントする。
【0025】
ここで、所定回数データを検査しなければならない理由は、パリティービット検査を行うがために、単一誤りは検出できるが、2重誤りは検出できないためである。
【0026】
次に、図12の(ステップ2)に示すように、任意に定める調整単位分をサンプリングクロック位相調整値に加算し、このサンプリングクロック位相において、同様にパリティーエラーの回数をカウントする。
【0027】
上記のステップを位相調整できる最大値(N)まで順次繰り返し行い、各サンプリングクロック位相におけるパリティーエラーの発生回数をカウントする。
このパリティーエラーの発生回数が最小のサンプリング位相を最適なサンプリング位相として確定する。例外として、パリティーエラーの発生回数が“0”であった場合は、その位相を最適なサンプリングクロック位相調整値として確定する。
【0028】
この従来のパリティーエラーを用いてサンプリングクロック位相調整を行う方法を実現するソフトウェア構成が図13である。
このソフトウェア構成では、サンプリングクロック位相のパリティーエラー回数を全て記憶する構成を取っておらず、前回ステップとのパリティーエラー回数を比較して、小さい方のサンプリングクロック位相調整値とパリティーエラー回数を記憶しておく構成を取っている。
【0029】
しかし、このどちらの方法も結局は、最小のパリティーエラー回数を持つサンプリングクロック位相を検索するものであり、同様の結果をもたらす構成であることに変わりがないことを述べておく。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の方法では、パリティーエラー回数を用いる方法であるため、各位相毎にデータを数回検査する必要があり、全ての位相でパリティーエラーが発生する場合は、サンプリングクロック位相調整値の最小から最大までを検査することになることがわかる。
【0031】
従来の技術によれば、正確性を望む場合には各サンプリングクロック位相毎に取得するデータ回数を多くしなければならない。キャプション信号データは、33.333msec毎に映像信号に重畳された信号データであるため、最大で(所定回数)×(サンプリングクロック位相調整値幅)×33.333msecの時間が必要になる。つまり、画面への文字の出画が前述の時間送れるという課題がある。
【0032】
サンプリングクロックの自動位相調整を行う際、一般的には正確を期すため、データ取得回数を最低5回行う。サンプリング位相調整幅が32ステップある場合においては、最大で5×32×33.333msec = 5.3secかかる。
【0033】
しかし、時間短縮を望む場合においては、サンプリング位相毎に取得するデータの回数を1回すれば良いという考えが出てくる。
一回にした場合、図14(a)に示すように、スタートビットの立ち上りとサンプリングクロック位相がちょうど一致してしまうことが発生する。一般的に、映像信号から同期分離させた信号と実際の映像信号には遅延等による位相ずれが発生する。これにより、水平同期分離信号を基準にサンプリングクロック位相が調整されるためサンプリングクロック位相もずれてしまう。したがって、図14(b)に示すような位相ずれが起こり、正しいキャプション信号データが取得できなくなる。
【0034】
つまり、データ取得する回数を減らしていくと、不安定なサンプリング位相を最適なサンプリングクロック位相として決定してしまうことが発生し、正しいデータが連続して取得できなくなる。
【0035】
つまり、従来の方法においては、サンプリングクロック位相調整の精度を上げると調整に時間がかかり、時間短縮をするとサンプリングクロック位相調整の精度が悪化する。
【0036】
また、サンプリングクロック位相調整を行なう場合、通常、片フィールドで調整を行なわなければならない。両フィールドにデータが重畳されてくるとは限らないため、奇数フィールドではデータが取得できるが、偶数フィールドではデータが取得できないという現象が発生し、調整が正確に出来ない場合があるためである。そのため、奇数フィールドで位相調整を行なっていた時に偶数フィールドにしかキャプション信号データが重畳されていなかった場合、偶数フィールドの情報を基に調整できず、正確なデータ取得ができない。
【0037】
本発明は、これらの課題を解決して、位相調整時間が短く、精度の高いサンプリングクロック位相の自動調整方法を実現するものである。
【0038】
【課題を解決するための手段】
本発明のサンプリングクロック自動位相調整方法は、キャプション信号データは、スタートビットを含めて1ビットが同一の時間幅を持つ。従って、先頭ビット(スタットビット)で位相調整が行われれば、全てのデータに対してサンプリングクロック位相が調整される。本発明はこの点に着目した発明であり、スタートビットを用いてサンプリングクロック位相を自動調整するものである。
【0039】
この構成により、サンプリングクロック位相自動調整にかかる時間を短縮でき、片フィールドのみにデータが重畳されている場合でも、サンプリングクロック位相自動調整に支障が出ない自動調整方法を実現できる。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載のサンプリングクロック自動位相調整方法は、映像信号に重畳されるキャプション信号データのサンプリングクロック位相を自動調整するに際し、サンプリングクロック位相調整値を最小値にする第1工程と、スタートビットが取り込める位相位置から取れない位相位置への変化点まで位相調整値をインクリメントする第2工程と、前記第2工程において決定した変化点の位相調整値を記憶する第3工程と、サンプリング位相調整値を最大値にする第4工程と、スタートビットが取れる位相位置から取れない位相位置への変化点まで位相調整値をデクリメントする第5工程と、前記第5工程において決定した変化点の位相調整値を記憶する第6工程と、前記第3工程において記憶した位相調整値と前記第6工程において記憶した位相調整値に基づいて位相調整値を決定する第7工程とを備えたことを特徴とする。
【0041】
本発明の請求項2記載のサンプリングクロック自動位相調整方法は、映像信号に重畳されるキャプション信号データのサンプリングクロック位相を自動調整するに際し、サンプリングクロック位相調整値を最小値に初期化する第1工程と、前記キャプション信号データが含まれる信号からスタートビットが取り込めるまでサンプリングクロック位相調整値を任意に定める調整単位分づつ順次加算していく第2工程と、前記第2工程においてスタートビットが取り込めた場合、そのサンプリングクロック位相調整値から任意に定める調整単位分加算した位相調整値においてスタートビットが取り込めることを判定する第3工程と、前記第3工程においてスタートビットが取り込めなかった場合は前記第2工程に戻り、スタートビットが取り込めた場合はそのサンプリングクロック位相調整値に補正値を加算した値をサンプリング位相調整値として決定する第4工程とを含むことを特徴とする。
【0042】
本発明の請求項3記載のサンプリングクロック自動位相調整方法は、上記の何れの方法を実行してスタートビットが一度も取り込めなかった場合には、別のフィールドで上記の何れかの方法を再実行することを特徴とする。
【0043】
以下、本発明の各実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図3は(実施の形態1)を示す。
【0044】
ここで、キャプション信号データは映像信号の垂直帰線消去期間の21ライン目に重畳され、一回のキャプション信号データは、1ビットのスタートビットとデータ本体の16ビットから構成される。連続したキャプション信号データは、33.333msec毎に映像信号に重畳される。また、スタートビットの前には、2ビットのブランキング区間が存在する。
【0045】
図1は上述のキャプション信号データ本体(16ビット)とスタートビットの前に存在する2ビットのブランキング区間及びスタートビット(計3ビット)を同時に取り込むサンプリングクロック位相自動調整方法のソフトウェア構成図であり、図2と図3は、サンプリングクロック位相自動調整の過程を示している。
【0046】
映像信号に重畳されるキャプション信号データのサンプリングクロック位相を自動調整するに際し、まず、図1の第1工程P1としてのステップS1で、サンプリングクロック位相調整値を最小値に設定する(図2(a)参照)。通常、0もしくは1である。
【0047】
次に、スタートビットが取り込める位相位置から取れない位相位置への変化点まで位相調整値をインクリメントする第2工程P2を実行する。第2工程は、下記のステップS2,S3,S4のルーチンで構成されている。
【0048】
ステップS2では、スタートビットとその直前のブランキング期間を取り込んだRAMの状態をチェックする。前述のRAMがスタートビット取得を示す“001”から“001”でない状態へと変化したかどうかをチェックし、スタートビットの状態の変化がなかった場合、ステップS3を実行して位相調整値をインクリメントする。ステップS4では位相調整値が最大かどうかをチェックし、最大値でない場合にはステップS2に戻る。
【0049】
ステップS2でスタートビットの状態の変化を検出するか、またはステップS4で位相調整値が最大値であると判定された場合には、第3工程P3としてのステップS5において決定した変化点の位相調整値を記憶する。具体的には、図2(b)に示すように、スタートビットの取得状態が“001”の状態を経て、図2(c)に示すように、スタートビットの取得状態が“001”でなくなった場合、現時点での位相調整値をバッファ1に記憶しておく。
【0050】
次に、サンプリング位相調整値を最大値にする第4工程P4としてのステップS6を実行してサンプリングクロック位相調整値を最大値に設定する(図3(a)参照)。
【0051】
次に、スタートビットが取れる位相位置から取れない位相位置への変化点まで位相調整値をデクリメントする第5工程P5は、下記のステップS7,S8,S9のルーチンで構成されている。
【0052】
ステップS7では、スタートビットの取得状態が“001”から“001”でない状態へと変化したかどうかをチェックする。スタートビットの状態の変化がなかった場合にはステップS8を実行して位相調整値をデクリメントし、ステップS9では位相調整値が最小かどうかをチェックし、最小値でない場合にはステップS7に戻る。
【0053】
ステップS7でスタートビットの状態の変化を検出するか、またはステップS9で位相調整値が最小値であると判定された場合には、第5工程P5において決定した変化点の位相調整値を記憶する第6工程としてのステップS10を実行する。具体的には、図3(b)に示すように、スタートビットの状態の変化が有った場合、現時点での位相調整値をバッファ2に記憶しておく。
【0054】
次に、第3工程P3のステップS5において記憶した位相調整値と第6工程P6のステップS10において記憶した位相調整値に基づいて位相調整値を決定する第7工程P7として、ステップS11を実行する。具体的には、バッファ1とバッファ2の平均値を計算し、サンプリング位相最適値として決定する。
【0055】
なお、ステップS11の別の例としては、下記のものを挙げることができる。
具体的には、バッファ1とバッファ2の記憶値(バッファ1),(バッファ2)より、α・(バッファ1)+(1−α)・(バッファ2)を計算し、サンプリング位相最適値として決定する。
【0056】
ここでαは、
0.5 ・{(バッファ1)+(バッファ2)} / 位相調整値全ステップ数
の計算式で求める。なお、位相調整値全ステップ数とは
位相調整値全ステップ数 = 位相調整最大値 − 位相調整最小値
である。全ステップでスタートビットが取得できた場合には、バッファ1とバッファ2のセンター値にサンプリング位相最適値を設定し、その他の場合は前記センターからずらした値をサンプリング位相最適値とする。
【0057】
(実施の形態2)
図4〜図6は(実施の形態2)を示す。
図4は上述のキャプション信号データを正確に取得するためのスタートビットを用いたサンプリングクロック位相自動調整方法を示すソフトウェア構成図であり、図5はスタートビットを用いたキャプション信号データのサンプリングクロック位相調整方法の概念図、図6はスタートビットを用いたサンプリングクロック位相自動調整方法における最適なサンプリング位相調整値を決定する補正値を示す図である。
【0058】
映像信号に重畳されるキャプション信号データのサンプリングクロック位相を自動調整するに際し、まず、サンプリングクロック位相調整値を最小値に初期化する第1工程Q1として(ステップ4−1)において、サンプリング位相調整値を最小値に設定する。一般的には0に設定する。
【0059】
次に、キャプション信号データが含まれる信号からスタートビットが取り込めるまでサンプリングクロック位相調整値を任意に定める調整単位分づつ順次加算していく第2工程Q2を実行する。第2工程Q2は、(ステップ4−2)(ステップ4−3)で構成されている。
【0060】
具体的には、サンプリングクロック位相調整値において、キャプション信号データのスタートビット及びスタートビットの前に存在する2ビットのブランキング区間を取り込み、(ステップ4−2)においてスタートビットを示す“001”であるかを判定する。以下、キャプション信号データのスタートビット(1ビット)にスタートビットの前に存在する2ビットのブランキング区間を含めた計3ビットをまとめてスタートビットという。
【0061】
(ステップ4−2)においてスタートビットが“001”でなくて“NO”であった場合は、(ステップ4−3)においてサンプリングクロック位相調整値を1クロック分ずらし、前述の(ステップ4−2)を行う。通常は、サンプリングクロック位相調整値が最小値の場合、サンプリングクロック位相がずれているため、スタートビットは“000”となる。この(ステップ4−2)と(ステップ4−3)のルーチンを、スタートビットが“001”となるサンプリングクロック位相調整値まで繰り返し行う。
【0062】
この繰り返しの間に、スタートビットが“001”となった場合(ステップ4−2において“YES”であった場合)は、そのサンプリングクロック位相調整値から任意に定める調整単位分づつ加算した位相調整値においてスタートビットが取り込めることを判定する第3工程Q3を実行する。第3工程Q3は、(ステップ4−4)(ステップ4−5)で構成されている。
【0063】
具体的には、(ステップ4−4)においてそのサンプリングクロック位相調整値から1クロック分ずらし、(ステップ4−5)でスタートビットを取り込みスタートビットを示す“001”であるかを再判定する。
【0064】
具体的には、第3工程Q3においてスタートビットが取り込めなかった場合は第2工程Q2に戻り、スタートビットが取り込めた場合はそのサンプリングクロック位相調整値に補正値を加算した値をサンプリング位相調整値として決定する第4工程Q4を実行する。第4工程Q4は(ステップ4−3)(ステップ4−6)で構成されており、(ステップ4−5)におけるスタートビットが“001”あるかの再度の判定は、映像信号のノイズによってスタートビットが偶然“001”となる場合が考慮されるためである。前述の(ステップ4−5)においてスタートビットが“001”でなかった場合は、ノイズによるスタートビットの誤認識であるため、前述の(ステップ4−3)に戻って、再度のスタートビットが“001”となるサンプリングクロック位相調整値の検索を行う。
【0065】
前述の(ステップ4−5)においてスタートビットが“001”であった場合は、この時のサンプリングクロック位相調整値の1クロック前が、スタートビットが“000”から“001”となるエッジである。
【0066】
ここで、スタートビットが“000”から“001”となるエッジでサンプリングクロック位相調整値を決定した場合、水平同期分離信号に遅延が発生するため映像信号と水平同期分離信号に位相ずれが生じることがあり、不安定なサンプリングクロック位相に決定してしまうことになる。
【0067】
従って、(ステップ4−6)において前述の(ステップ4−5)においてスタートビットが“001”であった場合のサンプリングクロック位相調整値に補正値を加算する。
【0068】
この補正値は、図6に示すように、例えば、キャプション信号データの1ビット幅1.986μsecの4分の1をサンプリングクロック位相調整値の1クロック単位に換算した値から1クロック分引いた値である。サンプリングクロック位相調整値の1クロックが0.069μsecであるならば、補正値は6となる。
【0069】
補正値は、スタートビットが“001”として取得できるサンプリングクロック位相調整値の範囲内にあれば良い。
前述の(ステップ4−6)において求められたサンプリングクロック位相調整値を最適なサンプリングクロック位相調整値として決定し、サンプリングクロック位相自動調整を終了する。
【0070】
(実施の形態3)
なお、前述の(実施の形態1)または(実施の形態2)の何れかの方法を実行してスタートビットが1度も検出されなかった場合には、スタートビットを監視していたフィールドにデータが重畳されていない可能性が有るため、この(実施の形態3)では、スタートビットの監視を別フィールドに変更して、(実施の形態1)または(実施の形態2)を再実行するように構成して、偶数フィールドのみにデータが重畳されてきた場合も、正確にサンプリングクロック位相自動調整を行なうことができる。
【0071】
具体的には、(実施の形態1)を示す図1のステップS4とステップS5の間に仮想線で示したようにステップS4aを挿入する。ステップS4aを実行してスタートビットを取得したかどうかをチェックし、スタートビットを取得しなかった場合にはステップS4bを実行してフィールド切り替えを実行して、別のフィールドで(実施の形態1)もしくは(実施の形態2)の方法を再実行する。
【0072】
なお、(実施の形態2)を示す図4でこの(実施の形態3)を実行する場合には、(実施の形態2)を示す図4の(ステップ4−2)または(ステップ4−5)と(ステップ4−3)の間に仮想線で示したように(ステップ4−7)を実行して位相調整値が最大値かどうかをチェックし、位相調整値が最大値でスタートビットを取得しなかった場合には(ステップ4−8)を実行してフィールド切り替えを実行して、(ステップ4−1)に戻る。ここでは、(ステップ4−7)においてスタートビットを取得しなかったと判定した場合には(ステップ4−8)を実行して繰り返して(ステップ4−1)以下を実行するように構成したが、(実施の形態1)を再実行するように構成することもできる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように本発明のサンプリングクロック位相自動調整方法は、異なるサンプリングクロック位相調整値毎に所定回数キャプション信号データの取得を行い、そのキャプション信号データにおけるパリティーエラーの発生回数により、キャプション信号データのサンプリングクロック位相自動調整を行う従来の方法に比べ、位相調整時間が短く、精度の高いキャプション信号データのサンプリングクロック自動調整を実現できる。
【0074】
前述の従来の方法と最大にかかる調整時間で比較した場合、短縮される位相調整時間は、請求項1記載の方法では、(各サンプリング位相でデータ取得する回数)分の2であり、請求項2記載の方法では、さらにその半分の時間で調整できることになる。
【0075】
また、偶数フィールドのみにデータが重畳されてきた場合も、正確にサンプリングクロック位相自動調整を行なうことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の(実施の形態1)のスタートビットを用いたキャプション信号データのサンプリングクロック位相自動調整方法を示すソフトウェア構成図
【図2】同実施の形態の第1工程,第2工程および第3工程の説明図
【図3】同実施の形態の第4工程および第6工程の説明図
【図4】本発明の(実施の形態2)のスタートビットを用いたキャプション信号データのサンプリングクロック位相自動調整方法を示すソフトウェア構成図
【図5】同実施の形態のスタートビットを用いたキャプション信号データのサンプリングクロック位相調整方法の概念図
【図6】同実施の形態のスタートビットを用いたキャプション信号データのサンプリングクロック位相自動調整方法において使用される補正値を示す図
【図7】映像信号に重畳される一般的なキャプション信号を示す図
【図8】一般的なキャプション信号のデータ構造を示す図
【図9】一般的にTV分野で採用されているデータサンプリング方法及びデータサンプルする際のサンプリングクロック位相調整方法を示す図
【図10】一般的にビデオ分野で採用されているデータサンプリング方法及びデータサンプルする際のサンプリングクロック位相調整方法を示す図
【図11】キャプション機能を有する1チップマイコンが持っていた問題点の説明図
【図12】従来のソフトウェアによるキャプション信号データのサンプリングクロック位相自動調整方法の概念図
【図13】従来のソフトウェアによるキャプション信号でデータのサンプリングクロック位相自動調整方法を示すソフトウェア構成図
【図14】パリティエラーを用いたサンプリングクロック位相自動調整方法における課題の説明図
【符号の説明】
P1 (実施の形態1)の第1工程
P2 (実施の形態1)の第2工程
P3 (実施の形態1)の第3工程
P4 (実施の形態1)の第4工程
P5 (実施の形態1)の第5工程
P6 (実施の形態1)の第6工程
P7 (実施の形態1)の第7工程
Q1 (実施の形態2)の第1工程
Q2 (実施の形態2)の第2工程
Q3 (実施の形態2)の第3工程
Q4 (実施の形態2)の第4工程

Claims (3)

  1. 映像信号に重畳されるキャプション信号データのサンプリングクロック位相を自動調整するに際し、
    サンプリングクロック位相調整値を最小値にする第1工程と、
    スタートビットが取り込める位相位置から取れない位相位置への変化点まで位相調整値をインクリメントする第2工程と、
    前記第2工程において決定した変化点の位相調整値を記憶する第3工程と、
    サンプリング位相調整値を最大値にする第4工程と、
    スタートビットが取れる位相位置から取れない位相位置への変化点まで位相調整値をデクリメントする第5工程と、
    前記第5工程において決定した変化点の位相調整値を記憶する第6工程と、
    前記第3工程において記憶した位相調整値と前記第6工程において記憶した位相調整値に基づいて位相調整値を決定する第7工程と
    を備えた
    サンプリングクロック位相自動調整方法。
  2. 映像信号に重畳されるキャプション信号データのサンプリングクロック位相を自動調整するに際し、
    サンプリングクロック位相調整値を最小値に初期化する第1工程と、
    前記キャプション信号データが含まれる信号からスタートビットが取り込めるまでサンプリングクロック位相調整値を任意に定める調整単位分づつ順次加算していく第2工程と、
    前記第2工程においてスタートビットが取り込めた場合、そのサンプリングクロック位相調整値から任意に定める調整単位分加算した位相調整値においてスタートビットが取り込めることを判定する第3工程と、
    前記第3工程においてスタートビットが取り込めなかった場合は前記第2工程に戻りスタートビットが取り込めた場合はそのサンプリングクロック位相調整値に補正値を加算した値をサンプリング位相調整値として決定する第4工程と
    を含むことを特徴とする
    サンプリングクロック位相自動調整方法。
  3. 請求項1もしくは請求項2の方法を実行してスタートビットが一度も取り込めなかった場合には、別のフィールドで請求項1もしくは請求項2記載の方法を再実行する
    サンプリングクロック位相自動調整方法。
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