JP4643831B2 - シングルレバー式水栓 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、給水路が形成された吐水管付き蛇口本体と、この蛇口本体に着脱自在に装着された水栓本体とよりなるシングルレバー式水栓に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、図7に示すように、水道水等を吐水する既設の自在水栓の蛇口本体1aから回転式操作ハンドル21を備えた自在水栓本体1bを取り外すとともに、残された蛇口本体1aに、操作レバー59、セラミック製の固定ディスク46およびセラミック製の可動ディスク49を備えた水栓本体23を着脱自在に装着してなるシングルレバー式水栓1を提案している(特願平11−28970号、特開2000−160611号明細書、図面参照)。このシングルレバー式水栓1は、自在水栓本体1bの場合のように操作ハンドル21をきつく締めなくても操作レバー59を上下方向に回動させるだけの簡単な操作で可動ディスク49を移動させて止水および流量調節を行うことができるとともに、前記両ディスク46,49を用いているので、自在水栓本体1bの場合のようにパッキン15が劣化して水漏れが発生するような事態を回避して完全に止水することができる点で大変有用である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このシングルレバー式水栓1を、図6に示すように、例えば手洗器20の洗面台21の取付け面部22に立設させた場合、この取付け面部22に載置・固定されている蛇口本体1aの吐水部4の前出し長さL(図1参照)が短く、かつ、取付け面部22の延長線上か、あるいは、取付け面部22から高さHだけ離れた上方位置(図1参照)に吐水部4の吐水口4aが位置することにより洗面台ボール14に吐水口4aが近づきすぎて使用者が手を差し延べる吐水口空間(吐水許容空間)Sが狭かった。そのため、使用者は手を吐水口4aに当てたり、時には、手を吐水口4aと洗面台ボール23に当てたりしながら手洗いする必要があった。
【0004】
この発明は、前記の点に留意してなされたものであり、その目的は、使用者が手を差し延べる吐水口空間(吐水許容空間)を広く設定できるシングルレバー式水栓を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、給水路が形成された吐水管付き蛇口本体と、この蛇口本体に着脱自在に装着された水栓本体とを有するシングルレバー式水栓において、前記水栓本体は、前記給水路に連通する導水路と排水路を有する連通部材と、この連通部材の前記導水路に連通する給水孔および前記排水路に連通する吐水孔が形成された固定ディスクと、この固定ディスクに対して移動自在に上載され下面に凹部を有する可動ディスクと、前記固定ディスクおよび可動ディスクを支持する支持部材と、前記可動ディスクを移動させる操作レバーとを備え、前記可動ディスクの前記凹部が、前記操作レバーの操作により、前記給水孔を閉塞する閉塞位置と前記給水孔および前記吐水孔に跨がる開放位置とに移動するように構成してあり、更に、前記水栓本体から縦方向の軸心周りで回動自在に突出した状態で前記連通部材の前記排水路に連通する連通路が形成された突出部材を設けるとともに、前記蛇口本体に設けてある前記吐水管よりも長い吐水管を前記突出部材に対して水平方向の軸心周りで回動自在に装着してある。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0007】
図1〜図5は、この発明の一実施形態を示す。なお、図1〜図5において、図6、図7で用いた符号と同一のものは、同一または相当物である。
【0008】
図1〜図5において、1aは青銅鋳物からなる蛇口本体で、後部には給水配管(図示せず)に連通する給水部2を有するとともに、中央部の上面には上下方向に形成された取付部3を有し、更に、給水部2および取付部3から連設形成される前部には吐水管4を有する。この吐水管4は、先端にいくにつれ斜め上方に傾斜して形成された後下方に湾曲する形状を有する。4aは、吐水管4の先端に形成された吐水口である。
【0009】
23は、水栓本体で、蛇口本体1aに着脱自在に装着されている。そして、水栓本体23、蛇口本体1a、水栓本体23から突出した状態で設けた後述する突出部材90およびこの突出部材90に対して回動自在に装着してある吐水管95とでシングルレバー式水栓1’が主として構成される。この突出部材90および吐水管95はこの発明の特徴的構成要件であり後程詳述する。前記吐水管95の長さKは、蛇口本体1aに設けてある前記吐水管4の前出し長L(<K)よりも長く設定されている。
【0010】
前記水栓本体23は、前記給水路aに連通するよう中央貫通孔100内に形成された導水路b、この導水路bの外向きまわりに同心円上に設けられた複数個の排水路cおよび排水路cの外周位置に形成された環状のネジ部Nを有する略筒状の連通部材24’と、前記導水路bに連通する給水孔47および前記排水路cに連通する吐水孔48が形成された円板状の固定ディスク46と、この固定ディスク46に対して移動自在に上載され下面49aに凹部50を有する可動ディスク49と、固定ディスク46および可動ディスク49を支持する支持部材38〔図3(B)参照〕と、可動ディスク49を移動させる操作レバー59とを主として備えている。28は、前記排水路cを形成する縦断面略L型形状の排水孔である。
【0011】
更に、前記連通部材24’は、図1に示すように、導水路bの最下流部に前記中央貫通孔100の上方開口fを形成する環状の突設体26を有するとともに、前記各排水孔28の入口が前記突設体26の外周縁に位置する。
【0012】
前記固定ディスク46は、連通部材24’の前記上方開口fに内嵌された環状パッキン35(図1参照)および連通部材24’の前記ネジ部Nに螺合した管体37’に支持された環状パッキン36の上面に設けられている。前記給水孔47は固定ディスク46の中心部に形成されており、図3(C)に示すように、前記給水孔47の下端開口47aが円形状で、上端開口47bが前記下端開口47aより大径の楕円形状に形成される一方、給水孔47の側方に、前記吐水孔48が三日月状に形成されている。また、図5に示すように、固定ディスク46の周縁部に形成された係合凹部46cに後述する支持部材38の下部材82に設けた係合片40が係止し、固定ディスク46の下面の周縁部Mが下部材82の支持杆41に支持される。
【0013】
一方、前記可動ディスク49は、固定ディスク46に水密状態に摺動自在に上載され、下面の中央部に凹部50が形成され、周縁部の対向した位置に2個の係止凹部51が形成されている。52は合成樹脂材からなるガイドであり、両側に垂下された係止片53が可動ディスク49の両係止凹部51に係止し、ガイド52が可動ディスク49の上面に載設されている。54はガイド52の上面に設けられた突設体であり、中央部に支持部55が設けられている。
【0014】
前記支持部材38は、耐久性能を考えて、合成樹脂製の上部材81と下部材82に2分割されている。
【0015】
すなわち、図5に示すように、上部材81に設けた支持片39と下部材82に設けた係合片40を係止部材83,84を介して係止させることにより上部材81および下部材82を容易に組付けできるよう構成されている。そして、係止部材83,84を外して例えば下部材82内に固定ディスク46、可動ディスク49およびガイド52を順次収容し、下部材82に上部材81を係止するだけで支持部材38内に固定ディスク46、可動ディスク49およびガイド52を容易に収容できる。
【0016】
次に操作レバー59の操作による可動ディスク49および固定ディスク46の動作について説明する。まず、図1の実線は止水状態を示し、操作レバー59の把持部59bが下端に位置し、図4(A)に示すように、可動ディスク49の凹部50が固定ディスク46の給水孔47を閉塞している。
そして、この止水状態から操作レバー59を若干上方に回動すると、図3(A)に示すように、レバー57が直立状態になり、可動ディスク49の凹部50が固定ディスク46の給水孔47および吐水孔48に跨がり、吐水孔48が半開状態になり、凹部50を介して給水孔47および吐水孔48が連通し、連通部材24’の導水路b、固定ディスク46の給水孔47、可動ディスク49の凹部50、固定ディスク46の吐水孔48および連通部材24’の各排水孔28を通って少量の水が排水される。
【0017】
次に、前記操作レバー59をさらに上方に回動すると、図4(B)に示すように、可動ディスク49の凹部50が若干移動し、吐水孔48が全開状態になり、多量の水が排水される。
このように、操作レバー59の回動により、可動ディスク49の凹部50が移動し、固定ディスク46の吐水孔48の開放面積が調整され、排水される水の流量を適宜調整することができる。
【0018】
また、この実施形態では、スベリ部材70を設けることにより、軸心方向(P方向)のまわりに連通部材24’、管体37’、支持部材38、上カバー88a、下カバー88bおよび操作レバー59を蛇口本体1aに対して360°回転できるよう構成している。スベリ部材70は、ナット32および連通部材24’間に挟持されている。
【0019】
すなわち、前記スベリ部材70は、内方に行くほど下降するテーパ状の傾斜面を上面に有する合成ゴムの環状パッキン72と、この環状パッキン72の上面に密着する下面形状を有する金属製の環状スベリ座73と、この環状スベリ座73の上部に位置する金属(例えば真鍮)製のスベリリング74とから構成される。
【0020】
一方、連通部材24’の下端部には、蛇口本体1aの連通孔10の側から順に上に向かって、連通部材24’の下端部に嵌合された環状のパッキン75、合成樹脂製のスベリパッキン77および前記パッキン75を連通部材24’に係止するための金属製の止め輪76が設けられている。
【0021】
前記環状のパッキン75は、合成ゴム部材78に金属製の筒体79を嵌め込んだ形の吊コマで構成されている。
【0022】
また、操作レバー59の側において、80は金属製のブッシングで、管体37’の上部内面に形成されたネジGに螺合するネジG’を外周面に有する。58はピンである。
【0023】
以下、この発明の特徴的構成要件である前記突出部材90と吐水管91について説明する。
【0024】
前記突出部材90は、シングルレバー式水栓1’を正面から見た場合に水栓本体23の右側に水栓本体23から突出した状態で設けられている。この突出部材90は、有底の筒状で、横置き状態に設けられ、周壁部91と閉塞部92とで構成される。すなわち、周壁部91の中心軸Xが、手洗器20の洗面台21の取付け面部22の上部平坦面22aに平行になるよう突出部材90が水栓本体23に取り付けられている。更に、周壁部91には、通水用横孔93が形成されている。この通水用横孔93は、上流側に排水路cに連通する横向き開口91aを有するとともに、下流側に後述する吐水路eに連通する一つの通水口91bを有する。そして、この通水用横孔93によって連通部材24’の前記排水路cに連通する連通路dが形成されている。また、周壁部91の前記通水口91bの位置には中心軸Xのまわりで軸径がtの縦環状溝94が形成されている。なお、300〜305は、それぞれ環状のシール部材である。
【0025】
また、前記吐水管95は中心軸Xのまわりに回動自在な吐水管部96を有する。この吐水管部96は、前記吐水管4の前出し長Lよりも長い逆L字状で、先端である下流端に吐水口97を有し、基端である上流端に通水口91bを介して縦環状溝94に連通する導入開口97bを有する。98は環状のヒンジで、吐水管部96が導入開口97bを介してロー付等の連結手段で連結されている。このヒンジ98は、周壁部91に形成した環状の取付溝101にキャップ102によって抜け止め可能で、中心軸Xのまわりに回動自在に嵌め込まれている。また、前記ヒンジ98は縦環状溝94に連通可能な一つの連通孔99を有する。更に、前記キャップ102は閉塞部92を覆う状態で突出部材90に取り付けられている。
【0026】
そして、連通部材24’の周面に突出部材90の基部90aを抜け止め部材104を介して押し当てることで突出部材90を水栓本体23に固定状態で装着できるとともに、管体37’の下部を下カバー88bで覆うとともに、管体37’の上部が上カバー88aで覆われている。
【0027】
そのため、(1)前記吐水管95を中心軸Xのまわりに360°回転自在に構成できるとともに、(2)軸心方向(P方向)のまわりに連通部材24’、管体37’、支持部材38、上カバー88a、下カバー88b、操作レバー59および吐水管95を蛇口本体1aに対して360°回転自在に構成できる。
【0028】
更に、上カバー88aと操作レバー59を固定しておくと、(3)軸心方向(P方向)のまわりに連通部材24’、管体37’、支持部材38、下カバー88bおよび吐水管95を蛇口本体1aに対して360°回転自在に構成できる。
【0029】
而して、吐水管95を中心軸Xのまわりに360°回転自在に構成したので、使用者が手を差し延べる吐水口空間(吐水許容空間)を従来に比して広く設定できる。例えば、吐水管95を中心軸Xのまわりに回転させて図2に示す状態にした場合、吐水口空間(吐水許容空間)を従来に比して広くでき、使用勝手を向上できる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のシングルレバー式水栓は、水栓本体から縦方向の軸心周りで回動自在に突出した状態で前記連通部材の前記排水路に連通する連通路が形成されてた突出部材を設けるとともに、前記蛇口本体に設けてある前記吐水管よりも長い吐水管を前記突出部材に対して水平方向の軸心周りで回動自在に装着したので、使用者が手を差し延べる吐水口空間(吐水許容空間)を従来に比して広く設定でき、使用勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態を示す全体構成説明図である。
【図2】 上記実施形態の使用状態を示す斜視図である。
【図3】 (A)は、図1の一部の断面図である。
(B)は、前記(A)の切断側面図である。
(C)は、前記(A)のC−C線平面図である。
(D)は、前記(A)のD−D線下面図である。
【図4】 (A)は、上記実施形態で用いたディスク同士が閉塞状態にあるときの平面図である。
(B)は、上記実施形態で用いたディスク同士が開放状態にあるときの平面図である。
【図5】 上記実施形態の一部を示す分解斜視図である。
【図6】 従来例の使用状態を示す斜視図である。
【図7】 従来例の自在水栓本体および上記実施形態の水栓本体の交換状態を説明する切断側面図である。
【符号の説明】
1’…シングルレバー式水栓、1a…蛇口本体、4…吐水管、23…水栓本体、24’…連通部材、38…支持部材、46…固定ディスク、47…給水孔、48…吐水孔、49…可動ディスク、50…凹部、59…操作レバー、90…突出部材、95…吐水管、a…給水路、b…導水路、c…排水路、d…連通路。

Claims (1)

  1. 給水路が形成された吐水管付き蛇口本体と、この蛇口本体に着脱自在に装着された水栓本体とを有するシングルレバー式水栓において、前記水栓本体は、前記給水路に連通する導水路と排水路を有する連通部材と、この連通部材の前記導水路に連通する給水孔および前記排水路に連通する吐水孔が形成された固定ディスクと、この固定ディスクに対して移動自在に上載され下面に凹部を有する可動ディスクと、前記固定ディスクおよび可動ディスクを支持する支持部材と、前記可動ディスクを移動させる操作レバーとを備え、前記可動ディスクの前記凹部が、前記操作レバーの操作により、前記給水孔を閉塞する閉塞位置と前記給水孔および前記吐水孔に跨がる開放位置とに移動するように構成してあり、更に、前記水栓本体から縦方向の軸心周りで回動自在に突出した状態で前記連通部材の前記排水路に連通する連通路が形成された突出部材を設けるとともに、前記蛇口本体に設けてある前記吐水管よりも長い吐水管を前記突出部材に対して水平方向の軸心周りで回動自在に装着してあることを特徴とするシングルレバー式水栓。
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