JP4643628B2 - 地図データ送信装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載されるナビゲーション装置などの情報端末において使用される地図データを、通信によって配信する地図データ配信技術に関する。
車両に搭載されるナビゲーション装置と、ナビゲーション装置からの要求により目的地までの経路探索や地図データの配信を行う情報配信センターとによって主に構成される、情報通信ナビゲーションシステムがある。この情報通信ナビゲーションシステムにおいて、従来使用されている地図データの配信方法では、経路付近の一定範囲を切り出した地図データをそのまま配信している(特許文献1参照)。しかし、地図データに含まれる背景データには、面状の領域を有する背景、たとえば海、湖、緑地帯などの情報を示すものがある。このような背景データは、境界上の各ノードでの座標値によってその形状が表される。経路付近の地図データを切り出すことによって、これらのノードのうち切り出し領域に含まれるノードが抽出されるが、切り出し領域に一部しか含まれない背景データの場合には、抽出されたノードだけでは背景の形状を正しく表すことができない。従来、この点については考慮されていない。
特開2002−107169号公報
本発明は、切り出し領域からはみ出すポリゴンデータがあっても適切に送信する地図データ配信技術を提供するものである。
(1)請求項1の発明による地図データ送信装置は、地図を表示する情報端末からの経路探索要求に基づいて、所定経路を探索する探索手段と、道路データと背景データを含む地図データに基づいて、前記探索された経路から所定距離内にある第1の切り出し領域の道路地図とこの道路地図を切り出した領域を含み、前記第1の切り出し領域よりも広い第2の切り出し領域の背景データを抽出する抽出手段と、前記抽出した道路データおよび背景データを返信する返信手段とを有することを特徴とする。
(2)請求項2の発明による地図データ送信装置は、請求項1の地図データ送信装置において、前記第2の切り出し領域は、前記表示される地図の縮尺率に従って異なることを特徴とする。
(3)請求項3の発明による情報端末は、請求項1または2の地図データ送信装置から送信される地図データを受信する受信手段と、受信した地図データに基づいて、地図を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
(4)請求項4の発明による地図データ送信方法は、所定経路を設定し、道路データと背景データを含む地図データに基づいて、前記設定された経路から所定距離内にある第1の切り出し領域の道路地図とこの道路地図を切り出した領域を含み、前記第1の切り出し領域よりも広い第2の切り出し領域の背景データを抽出し、前記抽出した道路データおよび背景データを送信する。
(5)請求項5の発明による地図データ送信方法は、請求項4の地図データ送信方法において、前記抽出された背景データに含まれる一つのポリゴン(原ポリゴンデータと呼ぶ)の一部が前記第2の切り出し領域に含まれ、他部が前記第2の切り出し領域の外に含まれる場合には、前記原ポリゴンデータから前記第2の切り出し領域外のポリゴンデータを除去した新たなポリゴンデータ(新ポリゴンデータと呼ぶ)を作成し、前記新ポリゴンデータを含む背景データを送信する。
(1)本発明によれば、一つのポリゴンの一部分が地図の切り出し領域に含まれる場合については、ポリゴンの切り出し処理によって、地図切り出し領域に含まれる部分の形状に合わせて再構築したポリゴンデータを新たに作成し、送信するようにした。その結果、経路付近の地図にポリゴンが含まれていても、道路データとともにポリゴンデータも切り出して送信することができる。
(2)ポリゴンの切り出し前後でのデータ量を比較し送信することで、送信データ量が削減できる場合に切り出し後のポリゴンデータを送信することにより、通信時間と通信コストを低減できる。
(3)ポリゴンの形状が変化した部分については、変化していない部分と表示形態を変えるようにしたので、データ量を削減しても視認性を確保することができる。
――第1の実施の形態――
本発明をカーナビゲーション装置における地図情報配信システムに適用した第1の実施の形態を、図1〜図7を用いて説明する。車両1に搭載されたカーナビゲーション装置(以下、車載機という)100は、通信端末200と通信ケーブルによって接続される。通信端末200は電波により移動体通信網300を介して情報配信センター400と接続される。情報配信センター400は、通信端末200より送信されてくる車載機100からの各種要求を受付け、要求内容に応じて地図データなどの各種情報を車載機100に供給する。通信端末200には、たとえば携帯電話などが用いられる。
図2は車載機100の構成を表すシステムブロック図である。車両の現在地を検出する現在地検出装置101は、たとえば車両の進行方位を検出する方位センサ101a、車速を検出する車速センサ101b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ101c等からなる。制御回路102はマイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM104を作業エリアとしてROM103に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。
画像メモリ105は表示モニタ106に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、図1に示す情報配信センター400から送信される地図データに基づき、表示モニタ106に地図情報を表示する。入力装置107は、車両の目的地等を入力する各種スイッチを有する。通信端末200は制御回路102との間で各種通信データを授受するとともに、電波により移動体通信網300を介して情報配信センター400と接続される。
図3は情報配信センター400の構成を表すシステムブロック図である。情報配信センター400は、外部インタフェース401を介して移動体通信網300と接続される。要求受付サーバ402は、外部インタフェース401を通して送られてくる経路探索などの要求を受付け、後述する各サーバに対して経路探索要求、地図要求などそれぞれの処理を実行するよう要求する。また、各サーバから出力される処理結果を外部インタフェース401へ出力する。
地図配信サーバ403は地図データをハードディスクなどの記憶メディアに記憶している。要求受付サーバ402からの地図要求にしたがって、記憶された地図データより該当する地図データを検索し、要求受付サーバ402へ出力する。経路探索サーバ404は、位置情報検索サーバ405からの位置情報および交通情報サーバ406からの交通情報データベースなどより、要求受付サーバ402からの経路探索要求にしたがって、該当する経路を探索しその結果を出力する。位置情報検索サーバ405は、所定地点付近の施設情報などを検索する。交通情報サーバ406は、現在の交通情報のデータベースを保持している。顧客DBサーバ407は、車載機100を所有する顧客の個人データを保持するとともに、情報配信センター400の利用状況に応じて個人データの更新を行う。個人データには、たとえば課金情報などが含まれる。
経路探索要求時のデータの流れを図4に示す。車載機100は、入力装置107より目的地が入力されると、経路探索要求を発する。車載機100から発せられた経路探索要求は、通信端末200および移動体通信網300を介して情報配信センター400に送信される。情報配信センター400で受信した経路探索要求は、いったん外部インタフェース401を通過した後に要求受付サーバ402に入力され、ここで内容が認識される。要求受付サーバ402では、まず経路探索サーバ404へ経路探索要求を行う。経路探索サーバ404は通情報サーバ406からの交通情報を基に経路探索を行い、経路探索結果を要求受付サーバ402へ返信する。経路探索サーバ404からの経路探索結果を受け取った要求受付サーバ402は、次にその経路についての地図要求を地図配信サーバ403へ出力する。地図配信サーバ403は、後述する方法により経路に沿った一定範囲を切り出した地図情報を、記憶された地図データから抽出し、要求受付サーバ402へ返信する。
このようにして、地図情報を得た要求受付サーバ402は、経路探索結果の経路誘導データと地図情報データを外部インタフェース401に出力する。出力されたデータは移動体通信網300および通信端末200を介して、車載機100へ送信される。車載機100では送信された情報を画像表示してユーザへ提供する。このようにして経路探索の一連の処理が完了する。
設定した経路に沿った一定範囲、すなわち推奨経路から所定の距離内にある切り出し領域内の地図を切り出す方法を図5(a)に示す。車載機100において目的地が設定されると、経路探索サーバ404は現在地52と目的地53を設定し、その間をつなぐ推奨経路54が周知の経路探索演算処理により設定される。この経路における切り出し範囲55は、たとえば図中に網がけで示す範囲のように経路54から一定範囲内の部分として設定される。また、現在地52と目的地53の周辺では、他の経路上よりも広い範囲が設定される。この切り出し範囲55の領域内にある地図データが、地図を一定範囲ごとに区切ったメッシュ51の各メッシュごとに抽出され、地図情報データとして情報配信センター400から車載機100に配信される。
探索結果を車載機100へ送信する際の地図データの構造例を図6に示す。なお、本発明に関する部分以外のデータ構成については、以下の説明において詳細を省略する。地図データ60は、ヘッダデータ61、地図情報データ62、および経路誘導データ63により構成される。ヘッダデータ61には各種の管理用データが含まれる。経路誘導データ63は、探索経路上に定められた誘導ポイント、たとえば交差点や建造物などの名称データや形状データ、あるいは右左折データなどを含むデータにより構成される。地図情報データ62は、レイヤ数64およびレイヤデータ65より構成される。レイヤデータ65は、レイヤ(0)〜レイヤ(N)に含まれるデータによって構成される。レイヤ(0)〜レイヤ(N)は、それぞれ異なる縮尺の地図として定義される。レイヤ数64はレイヤの数(この例ではN+1個)を示す。
レイヤデータ65のうち、たとえばレイヤ(0)のデータは、メッシュ数66およびメッシュデータ67により構成される。他のレイヤについても同様のデータにより構成される。メッシュデータ67は、メッシュ(0)〜メッシュ(M)に含まれるデータによって構成される。メッシュ(0)〜メッシュ(M)は、レイヤ(0)を定義する縮尺の地図を一定の範囲ごとに区切った領域として定義される。メッシュ数66はメッシュの数(この例ではM+1個)を示す。
メッシュデータ67のうち、たとえばメッシュ(0)のデータは、ヘッダデータ68、切り出し形状データ69、道路データ70、背景データ71、および名称データ72により構成される。他のメッシュについても同様のデータにより構成される。ヘッダデータ68には各種の管理用データが含まれる。切り出し形状データ69には、後述するポリゴンを切り出す範囲を設定したときの情報などが含まれる。道路データ70は、道路の形状や接続状態を示すデータにより構成される。名称データ72は、道路データ70および背景データ71に示される道路や背景の名称を表すデータにより構成される。
背景データ71は、ポリゴン数などを含んだヘッダデータ73、およびポリゴンデータ74により構成される。ここでポリゴンとは、背景データのうち面状の領域を有するもの、たとえば、海、湖、川、緑地帯などのことを示す。背景データ71にはポリゴンによって表されるもの以外にも、点状の背景を表す点データ、および線状の背景を表す線データがあるが、ここでは図示しない。なお、ポリゴンに該当する前述の種類の背景であっても、縮尺によってはポリゴンでなく点データや線データとなる場合もある。ポリゴンデータ74は、ポリゴン(0)〜ポリゴン(n)のデータによって構成される。ポリゴンデータ74のうち、たとえばポリゴン(0)のデータは、ポリゴン形状データ75およびポリゴン付加データ76により構成される。他のポリゴンについても同様のデータにより構成される。
ポリゴン形状データ75は、ポリゴンの領域の形状、すなわち境界の形状などを表す。この形状は、地図上の座標を示すノードの組み合わせによって表現される。ポリゴン付加データ76は、後述するポリゴンの切り出しが行われたことを示す情報を含む。
第1の実施の形態による地図情報配信システムでは、ポリゴンの領域の一部分が地図切り出し領域に含まれる場合、地図切り出し領域の範囲に合わせてポリゴンの形状を変更する。これをポリゴンの切り出しという。ポリゴンの切り出しが行われたとき、ポリゴン付加データ76には、そのことを示す情報が付与される。
なお、地図配信サーバ403には、図6に示すデータ構造で全国の地図データが記憶されている。すなわち、経路探索要求に従って、全国の地図データベースに基づいて、現在地から目的地までの推奨経路に沿った地図が切り出されて、図6の配信用地図データが作成される。
ポリゴンの切り出しを行う条件と、そのときのポリゴンの形状の変化を図7に示す。地図配信サーバ403は、経路探索サーバ404により設定された経路80から前述の方法により地図切り出し範囲81を設定し、この中に含まれるポリゴンデータを抽出する。
図7(a)は、地図切り出し範囲81によって抽出される前のポリゴンとその形状を示す。ポリゴン82〜84は、網掛に示す領域をそれぞれ有している。ポリゴン82は、領域の全てが地図切り出し範囲81の中に含まれる。ポリゴン83は、領域の全てが地図切り出し範囲81に含まれない。ポリゴン84は、領域の一部が地図切り出し範囲81に含まれ、他の部分が地図切り出し範囲81の外に存在する。なおポリゴン84は、ノード84a〜84zでその形状が定義されている。
図7(b)は、地図切り出し範囲81によって抽出された後のポリゴンとその形状を示す。ポリゴン82は、そのまま全ての領域が抽出され、地図データとして配信される。このときポリゴンの切り出しは行われず、ポリゴンの形状は変化しない。ポリゴン83は、全ての領域が抽出されず、地図データとして配信されることはないため、抽出後のポリゴンには含まれない。このときにもポリゴンの切り出しは行われない。
ポリゴン84は、その領域が地図切り出し範囲81に含まれる範囲と一致する新たなポリゴン85となる。このとき、地図切り出し範囲81の境界の形状に合わせてノード85a〜85eがポリゴン85のデータとして新たに作成され、その間を接続することで、ポリゴン85の境界が表される。ポリゴン84のデータのうち、ポリゴン85の領域外の形状を示すノードのデータについては、ポリゴン85のデータには含まれない。すなわち、ポリゴン85はノード84a〜84h、84r〜84v、および85a〜85eでその形状が定義される。このようにしてポリゴンの切り出しが行われ、新たなポリゴン85が地図データとして配信される。
図8に、第1の実施の形態による地図情報配信システムにおいて、ポリゴンを切り出す処理の制御フローを示す。この制御フローは地図配信サーバ403で実行されるプログラムに基づく処理フローであり、常時実行されている。ステップS1では、要求受付サーバ402からの地図要求を受信したか判定する。地図要求を受信した場合は次のステップS2へ進み、受信しない場合は再度ステップS1を繰り返す。
ステップS2では、地図メッシュを選択する。ここで地図メッシュとは、地図レイヤごとに一定の範囲毎(区画毎)に区切った地図データの一群を表す。地図レイヤとは、異なる縮尺ごとに定義された地図データの階層構造を表す。ステップS3では、選択したメッシュにおける切り出し範囲を設定する。ステップS4では、切り出し範囲内の地図データを抽出する。ステップS2〜4について以下に詳述する。
ステップS2において、現在地から目的地に至る推奨経路が通過する全てのメッシュを抽出し、いずれかひとつのメッシュを選択する。図8に示す制御フローの処理で初めてステップS2が実行される場合は、現在地が位置するメッシュが第1番目のメッシュとして選択される。次に、現在地が位置するメッシュに隣接し、推奨経路が通過するメッシュないし推奨経路付近のメッシュが第2番目のメッシュとして選択され、さらに、このメッシュに隣接し、推奨経路が通過するメッシュが第3番目のメッシュとして選択される。そして、最後は目的地が位置するメッシュが第n番目のメッシュとして選択される。
ステップS3において、選択されたメッシュに対して地図データ抽出のための切り出し範囲が設定される。現在地が位置する第1番目のメッシュが選択されると、現在地を中心として、たとえば半径250mの現在地周辺領域を特定し、これを切り出し範囲として設定する。この現在地周辺領域が隣接するメッシュに重なる場合、隣接メッシュの重なり領域も現在地周辺領域切り出し範囲と設定する。
さらに、現在地が位置するメッシュ内において、現在地周辺領域外の推奨経路を特定する。この推奨経路を中心とする、たとえば幅500mの推奨経路に沿った領域を特定し、これを切り出し範囲として設定する。当該メッシュにおいて現在地周辺領域外の領域に推奨経路が存在しない場合、または当該メッシュが全て現在地周辺領域内となる場合は、このような経路周辺領域の切り出し範囲は設定されない。
ステップS2において、現在地が位置するメッシュに隣接し、推奨経路が通過する第2番目のメッシュが選択されたときは、ステップS3おいて、第2番目のメッシュ内を通過する経路を中心とする、たとえば幅500mの経路に沿った領域を特定し、切り出し範囲として設定する。
ステップS2において、目的地が位置する第n番目のメッシュが選択されたときは、ステップS3において、目的地を中心として、たとえば半径250mの目的地周辺領域を特定し、これを切り出し範囲として設定する。この目的地周辺領域が隣接するメッシュに重なる場合、隣接メッシュの重なり領域も目的地周辺領域切り出し範囲と設定する。さらに、目的地が位置するメッシュ内において、目的地周辺領域外の推奨経路を特定する。そして、この推奨経路を中心とする、たとえば幅500mの推奨経路に沿った領域を特定し、これを切り出し範囲として設定する。当該メッシュにおいて目的地周辺領域外の領域に推奨経路が存在しない場合、または当該メッシュが全て現在地周辺領域内となる場合は、このような経路周辺領域の切り出し範囲は設定されない。
ステップS4では、ステップS3で設定された切り出し範囲内の地図データを抽出する。道路データは、始点ノードと終点ノードを複数のノードで接続するリンク列データとして表されている。各ノードは座標値を有している。そこで、切り出し範囲として設定された領域内の座標値を有する全てのノード情報を含む地図データが抽出される。
このようなデータ抽出処理を現在地から目的地が位置するメッシュに至るまで行い、現在地から目的地に至る経路に沿った所定範囲内の経路周辺領域内の全ての地図データが抽出される。
図5(b)は図5(a)のメッシュ511の拡大図である。メッシュ511内の経路54を中心として、たとえば幅500mの経路周辺領域541内には、ノードn11〜n17で示されるリンク列R11と、ノードn21〜n23で示されるリンク列R12が存在している。リンク列R11,R12の内、経路周辺領域541内のノードn14,n15,n16,n21,n22が抽出される。n11〜n13,n17,n23は切り出し範囲外であり地図データは抽出されない。なお、推奨経路54は通過しないが経路周辺領域がかかる隣接メッシュ内に存在する全てのノード情報を含む地図データも抽出される。
ステップS5では、ステップS3で設定された切り出し範囲の中にポリゴンが含まれるかを判定する。ポリゴンが含まれる場合はステップS6へ進み、含まれない場合はステップS13へ進む。ステップS6では、ステップS5で切り出し範囲の中に含まれると判定されたポリゴンを1つ選択する。ステップS7では、選択したポリゴンが一部でも地図切り出し範囲の中にあるかを判定する。これは、ポリゴン形状を定義するノードの座標が切り出し範囲81に含まれるか否かにより、判定することができる。地図切り出し範囲の中にある場合はステップS8へ進み、ない場合はステップS10へ進む。ステップS8では、ステップS7で地図切り出し範囲の中にあると判定されたポリゴンについて、その一部分が地図切り出し範囲の中にある(全部は地図切り出し範囲の中にない)かを判定する。一部分が地図切り出し範囲の中にある場合はステップS9へ進み、ない場合はステップS11へ進む。
ステップS9では、ステップS8で一部分が地図切り出し範囲の中にあると判定されたポリゴンについて、前述の方法で地図切り出し範囲の中にある領域を切り出し、送信する地図データに含める。ステップS10では、ステップS7で地図切り出し範囲の中にないと判定されたポリゴン、すなわち全てが地図切り出し範囲外にあるポリゴンのデータを削除する。このとき、送信する地図データにはそのポリゴンは含まれない。ステップS11では、ステップS8で一部分が地図切り出し範囲の中にないと判定されたポリゴン、すなわち全てが地図切り出し範囲内にあるポリゴンのデータを、そのまま送信する地図データに含める。ステップS9〜ステップS11のいずれの場合も、処理が終了すると、次のステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS5で抽出した地図データ中の全てのポリゴンについてステップS6〜ステップS11の処理が行われたかを判定する。すべての処理が終了した場合はステップS13へ進み、終了しない場合はステップS6へ戻る。ステップS13では、ステップS2〜S12の処理が、地図要求を受信した経路における地図メッシュ全てについて終了したかを判定する。終了した場合は次のステップS14に進み、終了していない場合はステップS2へ戻って再度処理を行う。ステップS14では、ステップS13までの処理によりそれぞれ決定されたポリゴンを含んだ地図データをまとめ、送信データとして図6に示す所定のデータフォーマットに編集する。このとき、ポリゴンの切り出しが行われたポリゴンについては、送信する地図データのポリゴン付加データに、そのことを示すフラグを付与する。ステップS15では、ステップS13で編集された地図データを、要求受付サーバへ返信する。第1の実施の形態による地図情報配信システムによれば、このようにして推奨経路とポリゴンの切り出しが行われる。
上述した第1の実施の形態による地図情報配信システムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)推奨経路付近の地図切り出し範囲にポリゴンの一部分が含まれる場合は、ポリゴンの切り出し処理を行うことにより、地図切り出し範囲に含まれる部分と形状が一致するポリゴンを新たに作成した。その結果、経路付近の地図にポリゴンが含まれても、地図を切り出して道路データとともにポリゴンデータを送信することができる。さらに、情報配信センター400から車載機100へ配信する推奨経路付近の地図データのデータ量を削減でき、通信時間と通信コストを低減できる。
(2)情報配信センター400から車載機100へ配信する推奨経路付近の地図データに、ポリゴンの形状を変更したことを示す情報を付与した。その結果、車載機100においてポリゴンの形状が変更されていることを認識でき、配信地図上のポリゴンの色を変更して、ユーザに注意を喚起することができる。
――第2の実施の形態――
本発明による地図情報配信システムの第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態では、ポリゴンの一部分が地図切り出し範囲に含まれる場合は必ずポリゴンの切り出しを行っていたが、第2の実施の形態では、車載機からの要求の有無やポリゴンの切り出し前後でのデータサイズを比較することで、必要に応じてポリゴンの切り出しを行う。システム構成、経路に沿った一定範囲内の地図の切り出し方法、およびポリゴンの切り出しの条件と切り出し前後での形状の変化は、第1の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。
図9に、第2の実施の形態による地図情報配信システムにおいて、ポリゴンを切り出す処理の制御フローを示す。この制御フローは地図配信サーバ403で実行されるプログラムに基づく処理フローであり、常時実行されている。ステップS1〜ステップS4では、第1の実施の形態による地図情報配信システムにおける処理と同様の処理を実行する。
ステップS41では、車載機100からポリゴンの切り出し要求があるかを判定する。ここで、ポリゴンの切り出し要求は、たとえば入力装置107からユーザが入力し設定することなどによって行われ、車載機100から送信されるデータに含まれるフラグなどにより、要求の有無を判定する。ポリゴンの切り出し要求がある場合は次のステップS5へ進み、ない場合はポリゴンの切り出しを行わないと判断してステップS13に進む。ステップS5〜S8では、第1の実施の形態による地図情報配信システムにおける処理と同様の処理を実行する。
ステップS91では、ステップS8で一部分が地図切り出し範囲の中にあると判定されたポリゴンについて、第1の実施の形態による地図情報配信システムと同様の方法で地図切り出し範囲の中にある領域を切り出す。このとき、第1の実施の形態とは異なり、この段階では送信する地図データには切り出したポリゴンを含めない。
ステップS92では、ステップS91で切り出す前のポリゴンのデータサイズ、およびステップS91で切り出したポリゴンのデータサイズをそれぞれ算出する。ここでいうデータサイズとは、送信する際のデータ量を表す。ステップS93では、ステップS92で算出した切り出し前のデータサイズから、切り出し後のポリゴンのデータサイズを減算し、その値が所定値以上であるかを判定する。所定値以上であればステップS94へ進み、所定値以下であればステップS95へ進む。ステップS94では、ステップS91で切り出したポリゴンを送信する地図データに含める。ステップS95では、ステップS91で切り出す前のポリゴン、すなわち元の地図データに含まれるポリゴンをそのまま送信する地図データに含める。ステップS94、S95いずれの場合もステップS12へ進む。
ステップS93において、たとえば所定値に0を設定すると、切り出し前より切り出し後のポリゴンのデータサイズが小さくなった時に、切り出し後のポリゴンを地図データとして送信する。
ステップS12〜ステップS15では、第1の実施の形態による地図情報配信システムにおける処理と同様の処理を実行する。第2の実施の形態による地図情報配信システムによれば、このようにしてポリゴンの切り出しが行われる。
なお、上述の説明では切り出し前後のポリゴンのどちらを送信する地図データに含めるかの判定にデータサイズの差が所定値以上であることを用いていたが、これをデータサイズの差が所定値以下であることや、所定範囲内にあることを用いてもよい。あるいは、切り出し前後のポリゴンの面積を比較し、その面積比が所定値以上や以下、所定範囲内となることを用いてもよい。
上述した第2の実施の形態による地図情報配信システムによれば、第1の実施の形態による地図情報配信システムで得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。ユーザからの要求があるときや切り出し前後のポリゴンの比較結果が所定条件を満たすときに切り出したポリゴンを地図データとして送信することとした。その結果、通信時間や通信コストを低減できる場合には、切り出し範囲内のポリゴン(新ポリゴンデータ)だけを送信したり、あるいは、通信時間や通信コストの低減に寄与しないときは、切り出し範囲外のポリゴンも含めたすべてのポリゴン(原ポリゴンデータ)を送信することができる。これにより、通信時間や通信コストの低減に寄与しないポリゴンデータは不要な切り出しをすることなく、全てを地図に表示することができる。
――第3の実施の形態――
本発明による地図情報配信システムの第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態による地図情報配信システムでは、ポリゴン切り出し範囲を地図切り出し範囲とは別に設定し、その情報を情報配信センターから車載機に送信する。この情報を基に、車載機にてポリゴンの切り出しを行い表示する。
図10に、第3の実施の形態による地図情報配信システムにおいて、ポリゴンの切り出し範囲を地図切り出し範囲とは別に設定し車載機に送信する処理の制御フローを示す。この制御フローは地図配信サーバ403で実行されるプログラムに基づく処理フローであり、常時実行されている。システム構成および経路に沿った一定範囲内の地図の切り出し方法は、第1および第2の実施の形態と同じであるため、ここでは省略する。ステップS1〜ステップS3では、第1および2の実施の形態による地図情報配信システムにおける処理フローと同様の処理を実行する。
ステップS31では、ステップS3で設定した地図切り出し範囲(第1の切り出し領域)とは別に、ポリゴン切り出し範囲(第2の切り出し領域)を設定する。このポリゴン切り出し範囲は、たとえば各レイヤに設定されている縮尺率が大きくなる(表示される地図が詳細表示される)に従って狭くなる範囲とすることで、画面表示の際に適した範囲として設定される。ステップS4では、ステップS3およびS31で設定した切り出し範囲に基づいて、ポリゴンとそれ以外の地図データとをそれぞれ抽出する。ステップS4の次には、第1および第2の実施の形態で行っていたポリゴンの切り出しにかかわる処理は行われず、ステップS13へ進む。ステップS13、ステップS14では、第1及び第2の実施の形態による地図情報配信システムにおける処理フローと同様の処理を実行する。
ステップS141では、ステップS31で設定したポリゴン切り出し範囲の情報を、送信データに付加する。この情報には、たとえば推奨経路からの幅を示す数値データ等が含まれる。ステップS15では、ステップS14およびステップS141で編集された地図データを要求受付サーバ402へ返信する。
上記の地図データを受信した車載機100は、ポリゴン切り出し範囲に合わせてポリゴンを切り出し、表示モニタ106に表示する。表示画面の例を図11に示す。図11(a)は、切り出しによりポリゴンの形状が変わった領域の表示を、形状が変わっていない通常のポリゴンの領域の表示より変化させた例を示す。経路110より所定の範囲にある地図切り出し範囲111、およびポリゴン切り出し範囲112にしたがって抽出された地図データを受信し表示する。このとき、切り出しにより形状が変わったポリゴン113を、形状が変わっていないポリゴン114と異なる表示形態で表示する。この表示形態としては、たとえば色の相違や、網掛けの有無などが考えられる。または図11(b)に示すように、ポリゴン切り出し範囲の境界に接する部分115の表示を変化させてもよい。この表示の変化には、たとえば線種を実線から破線等に変更することなどが考えられる。
あるいは、ポリゴン切り出し範囲より外側にある領域のポリゴンを表示する場合、ポリゴン切り出し範囲より内側にある領域の表示と外側の表示形態を変更する。図11(c)に示す表示例では、ポリゴン切り出し範囲より外側にある領域のポリゴン116の表示を網掛け表示として、内側にあるポリゴン113および114の表示と区別している。色により区別してもよい。または図11(d)に示すように、ポリゴン113とポリゴン116の境界部分、すなわちポリゴン切り出し範囲による境界部分116を破線として、ポリゴンを切り出す領域を表示してもよい。
上述した第3の実施の形態による地図情報配信システムによれば、第1および第2の実施の形態による地図情報配信システムで得られる作用効果に加えて、次の作用効果が得られる。ポリゴン切り出し範囲を道路切り出し範囲より広くしたので、ポリゴンで示される面状のデータが一部のみ表示されることが抑制され、ユーザが違和感を覚えることがない。また、ポリゴンを切り出した領域と通常のポリゴン領域とを異なる表示としたので、ポリゴンを切り出した領域を視認するのが容易となる。
なお、第3の実施の形態では車載機側でポリゴンの切り出しを行うときについて述べたが、これを第1および第2の実施の形態による地図情報配信システムに適用してもよい。この時には、情報配信センター側で処理が実行され、車載機へは画面表示のための情報が送信される。また、ポリゴン切り出し範囲の情報を情報配信センターから車載機に送信しなくてもよい。さらに、ポリゴン切り出し範囲の設定を車載機側で行ってもよい。
(1)請求項1の発明によれば、道路地図に対して背景データを広く抽出したため、一つのポリゴンの一部分が地図の切り出し領域に含まれ、ポリゴンで示される面状のデータの一部のみが表示されることが抑制され、ユーザが違和感を覚えることがない。
(2)請求項5の発明によれば、ポリゴンの切り出し処理によって、地図切り出し領域に含まれる部分の形状に合わせて再構築したポリゴンデータを新たに作成し、送信するようにした。その結果、経路付近の地図にポリゴンが含まれていても、道路データとともにポリゴンデータも切り出して送信することができる。
第1〜第3の実施の形態による地図情報配信システムの構成を示すブロック図 第1〜第3の実施の形態による地図情報配信システムにおける車載機の構成を示すブロック図 第1〜第3の実施の形態による地図情報配信システムにおける情報配信センターの構成を示すブロック図 経路探索要求時のデータの流れを示す図 (a)は経路に沿った一定範囲内の地図を切り出す方法を示す図、(b)はその一部拡大図 送信する地図データの構造の例を示す図 ポリゴンの切り出しの条件と形状の変化とを示す図、(a)は切り出し前のポリゴンを示す図であり、(b)は切り出し後のポリゴンを示す図 第1の実施の形態による地図情報配信システムにおけるポリゴンの切り出しを行う処理の流れを示すフローチャート 第2の実施の形態による地図情報配信システムにおけるポリゴンの切り出しを行う処理の流れを示すフローチャート 第3の実施の形態による地図情報配信システムにおけるポリゴン切り出し範囲の設定を行う処理の流れを示すフローチャート 第3の実施の形態による地図情報配信システムにおけるポリゴン切り出し部分の表示例を示す図、(a)はポリゴン切り出し部分の領域の表示の変化を示す図、(b)はポリゴン切り出し部分の境界の表示の変化を示す図、(c)はポリゴン切り出し範囲より外側にある領域の表示の変化を示す図、(d)はポリゴン切り出し範囲より外側にある領域と内側にある領域の境界の表示の変化を示す図
符号の説明
1 車両
60 地図データ
74 ポリゴンデータ
80 経路
81 地図切り出し範囲
82 地図切り出し範囲に全て含まれるポリゴン
83 地図切り出し範囲に全て含まれないポリゴン
84 地図切り出し範囲に一部分が含まれるポリゴン
85、113 切り出し後のポリゴン
115 ポリゴン切り出し後の境界
116 ポリゴン切り出し範囲より外側にある領域のポリゴン
100 ナビゲーション装置(車載機)
200 通信端末
300 移動体通信網
400 情報配信センター
401 外部インタフェース
402 要求受付サーバ
403 地図配信サーバ
404 経路探索サーバ
405 位置情報検索サーバ
406 交通情報サーバ
407 顧客DBサーバ

Claims (5)

  1. 地図を表示する情報端末からの経路探索要求に基づいて、所定経路を探索する探索手段と、
    道路データと背景データを含む地図データに基づいて、前記探索された経路から所定距離内にある第1の切り出し領域の道路地図とこの道路地図を切り出した領域を含み、前記第1の切り出し領域よりも広い第2の切り出し領域の背景データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出した道路データおよび背景データを返信する返信手段とを有することを特徴とする地図データ送信装置。
  2. 請求項1の地図データ送信装置において、前記第2の切り出し領域は、前記表示される地図の縮尺率に従って異なることを特徴とする地図データ送信装置。
  3. 請求項1または2に記載の地図データ送信装置から送信される地図データを受信する受信手段と、受信した地図データに基づいて、地図を表示する表示手段とを有することを特徴とする情報端末。
  4. 所定経路を設定し、
    道路データと背景データを含む地図データに基づいて、前記設定された経路から所定距離内にある第1の切り出し領域の道路地図とこの道路地図を切り出した領域を含み、前記第1の切り出し領域よりも広い第2の切り出し領域の背景データを抽出し、前記抽出した道路データおよび背景データを送信する地図データ送信方法。
  5. 請求項4の地図データ送信方法において、
    前記抽出された背景データに含まれる一つのポリゴン(原ポリゴンデータと呼ぶ)の一部が前記第2の切り出し領域に含まれ、他部が前記第2の切り出し領域の外に含まれる場合には、前記原ポリゴンデータから前記第2の切り出し領域外のポリゴンデータを除去した新たなポリゴンデータ(新ポリゴンデータと呼ぶ)を作成し、前記新ポリゴンデータを含む背景データを送信する地図データ送信方法。
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