JP4641322B2 - 地下環境評価装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性廃棄物の地層処分場を設置するためのサイトの選定、及び地層処分する廃棄体や人工バリアの性能評価を行う地下環境評価装置および方法に関する。
原子炉等から廃棄される廃液をガラス原料に溶融固化させた高レベル放射性廃棄物を処理するための方法として地層処分が検討されており、地層処分の安全性に関する様々な評価が進められている。地層処分とは、崩壊熱の発生がある程度収まった高レベル放射性廃棄物を、深度300m以深の岩盤中に埋設して、生活圏から隔離して超長期間補完するという処分方法である。
地層処分場を建設するサイト選定及び地層処分場の仕様選定にあたっては、安全性が最重要評価項目である。放射性核種の地下水等による移行及びその他の核種移行の可能性を評価し、生活圏における放射線量が長い将来にわたり安全基準を満たすようにサイト及び仕様が選定されなければならない。
この安全性評価は、地中深くに埋設された高レベル放射性廃棄物の経時変化について様々なシナリオ(例えば地下水シナリオ、接近シナリオ)を設定し、これらのシナリオを記述するための数学的モデルを構築する。この数学的モデルに、核種移行に影響を与える様々なパラメータ(実測値、仮定値)を入力することにより、コンピュータ上で膨大な計算に基づくシミュレーションを行い、生活圏における放射線量の経時変化を求める、という手順で行われる。
この安全評価シミュレーションで用いるパラメータには様々なものがある。例えば、岩に対する地下水中の放射性核種の分配係数(Kd)、地下水のpH、地下水の酸化還元電位、地下水のゼータ電位などの化学的性質を特徴付けるものや、岩の拡散係数、岩の透水係数、地下水の温度などの物理的性質を特徴付けるものが挙げられる。
これらのパラメータを測定するために、岩サンプルと地下水サンプルを採取する必要がある。従来法においては、例えば地下にボーリングなどの穴を堀り、穴から採取した岩サンプルや地下水サンプルを地上の実験施設内に設置したグローブボックス内に持ち込み、グローブボックス内において上記パラメータの測定試験を実施している。グローブボックス内は、岩サンプルと地下水サンプルを取得した地下の穴における大気雰囲気に調整してある。
しかしながら、地下は地上と比較して気圧が異なることから地下水に溶存している元素の種類や溶存量が変化し、また微生物が生存する。更に、地上と比較して大気の酸素濃度が低く還元雰囲気である。このため、岩サンプルや地下水サンプルを元々の地下環境から切り離すと、岩サンプルや地下水サンプルが劣化し、上記パラメータに影響が生じる可能性がある。
また、地下に掘った穴から採取した岩サンプルや地下水サンプルは、採取する過程において、例えば切削液などによる異物混入などにより変質することが多い。このため、地上の研究施設内に設置されたグローブボックス内における試験では、核種移行パラメータを正確に取得することは難しい。
以上より、岩盤サンプルや地下水サンプルを元々の環境から切り離すことなく、地下環境下において地層の性能を特徴付けるパラメータを計測する手法が求められているが、現在のところ上記課題を解決する手段は見当たらない。
一方、上記のように岩盤のような固体と、地下水のような液体を接触させた場合に、その界面で起きる現象を評価する手段として、本発明者は、先に、次のような固液界面反応微小反応装置を提案している(特願2003−165585号)。
この装置では、反応溶液の流入口及び流出口が形成された基盤と、弾性を有し、基盤に比べて薄く中央にスリットを有するガスケットを備え、基盤と、ガスケットと、反応溶液の液相と界面反応を起こす固体の試験片とを積層し、外圧を掛ける。これにより、基盤とガスケットと試験片を密着させ、ガスケットのスリットとスリットの開口部に接する固相により反応流路を形成し、流入口から反応液を流入し、反応流路を経た反応溶液を流出口から流出させる。
かかる構成により、厚みが非常に薄い反応流路からの液漏れを防止した固液界面反応微小反応装置を構築でき、実際の環境に近い固液界面反応を測定することにより、様々な固液界面反応を精度良く測定することができる。
本発明の目的は、地上の施設では地下の環境を正確に再現できない問題点に鑑み、実際の地下環境に上記固液界面反応微小反応装置を適用して、地下環境での固液界面反応を精度良く測定できる地下環境評価装置とその方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、地下環境下の地下水を用いて、岩における拡散係数又は岩−地下水間の分配係数を測定する地下環境評価装置であって、地下構内に地下水を流すための薄層流路を形成し、前記薄層流路に地下水を流したときの前記薄層流路の出入口における地下水の組成の濃度変化を測定する濃度分析装置を設けることを特徴とする。
前記薄層流路は、溶液の流入口と流出口をもつ基盤チップと、弾性を有する材料により、反応流路(流路兼反応槽)の一部となるスリットが形成されるガスケットと、測定対象である試験体とを、三層に重ねた地層評価センサーである。また、前記薄層流路は地下構内の岩盤表面に構成することを特徴とする。
すなわち、地上からボーリングにより設けた地層の穴や、地下研究施設より設けた浅い穴に、上記固液界面反応微小反応装置の基盤を構成し、該基盤にガスケットと基盤チップを重ねて地層評価センサーを設ける。さらに、ポンプ、計測装置、データ送信機などを搭載して、地下環境調査装置を地下に設ける。これにより、岩サンプルや地下水サンプルを元々の環境から切り離すことなく、地下環境下において岩盤と地下水の分配係数(Kd)や拡散係数を精度よく計測できる。
また、地下構内の底部に前記岩盤による突起を残し、前記突起の一側に該突起を試験体とする地層評価センサーを構成し、前記突起の他側に該突起を容器の一面として地下水にトレーサーを混入する溶液の容器を設け、前記容器から前記突起を拡散する溶液を前記地層評価センサーで計測し、その濃度変化から前記拡散係数や前記分配係数を計測することを特徴とする。これによれば、高感度の地下環境評価装置を提供できる。
本発明の地下環境評価方法は、岩盤表面を流路の一部として形成した地下水の薄層流路に地下水を流し、該薄層流路の出入口における地下水の組成の濃度変化を測定し、その破過曲線に基づいて前記拡散係数と前記分配係数を求めることを特徴とする。
本発明によれば、地層環境がもつ核種閉じ込め能力を正しく評価することができる。
本発明による地下環境評価装置の第1の実施形態の構成図。 本発明による地下環境評価方法の第1の実施形態のフロー図。 地層評価センサーにより取得された破過曲線の一例を示す特性図。 地層評価センサーにより取得された破過曲線の他の例を示す特性図。 地層評価センサーの適用例を示す説明図。 本発明による地下環境評価装置の第2の実施形態の構成図。 本発明による地下環境評価装置の第3の実施形態の構成図。
以下、本発明の第一実施形態による地層環境評価装置の構成について図1〜4を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態による地下環境評価装置の構成を示す図である。地下環境評価装置は、地下のボーリング穴の内部における岩盤(試験片)3に設けられる。
地下環境評価装置は、基盤チップ1、ガスケット2、試験片3、流路兼反応槽4、圧力付加装置5、液供給用ポンプ6、核種濃度分析装置7、PC(パソコン)8、溶液保管タンク9、流入口10、流出口11を設ける。さらに、岩盤から染み出してくる地下水を貯める地下水装置12、地下水装置12から地下水を取り込む取込装置13、取り込んだ地下水にトレーサー14を適量で混入させるトレーサー装置15から構成される。なお、図示は省略しているが、パソコン8を介して地上とデータを送受するデータ送信機なども設けられる。
基盤チップ1は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなり、その大きさは、例えば、縦60mm、横25mm、厚さ10mmである。基盤チップ1には、流体の流入口10と、流体の流出口11が厚さ方向に貫通する穴として形成されている。流入口10および流出口11の直径は、例えば0.5mmφである。
ガスケット2は、弾性を有する材料からなり、例えば、基盤チップ1と同じく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる。その大きさは、例えば、縦60mm、横25mm、厚さ160μmである。ガスケット2の中央部には、反応流路の一部となるスリットが形成されている。スリットの大きさは、例えば縦20mm、横2mm、厚さ160μmである。
試験片3は、例えばボーリングなどにより設けた穴の内部における岩盤の壁面であり、ボーリング孔の大きさは、例えば直径100mm、深さ500mである。試験片3の表面のうち、ガスケット2と接する面は、例えば#220のヤスリ等により平坦に研磨されている。しかし、ヤスリ等により研磨したとしても、その表面には微小な凹凸が残存する。
基盤チップ1と、ガスケット2と、試験片(岩盤)3との3体を重ね合わせて、圧力付加装置5から外力を加えることにより、ガスケット2は弾性変形して、試験片3の表面の凹凸を倣い、岩盤である試験片3と密着することで、地層評価センサーを構成する。ガスケット2のスリットと、基盤チップ1の表面の一部と、試験片3の表面の一部は、地層評価センサーに用いる反応流路、すなわち流路兼反応槽4を形成する。以上のようにして、固相である試験片3の一部が、液体の薄い流路壁の一部を構成する。
流路兼反応槽4は、基盤チップ1と、ガスケット2と、試験片(岩盤)3を重ね合わせて外力をかけることにより互いに密着して構成されている。基盤チップ1の流入口10には、液供給用ポンプ6が接続されている。基盤チップ1の流出口11には、分割サンプリング器7が接続されている。
圧力付加装置5は、例えば電磁式クランプであり、これにより基盤チップ1とガスケット2と試験片3との3体を重ね合わせて外力を加える。伸縮する面の一方は、基盤チップ1とガスケット2と試験片3を重ね合わせたものに設置し、もう一方は例えば試験片3と正対する岩盤面に設置する。圧力付加装置5の伸縮はPC8からその駆動を制御できる。
基盤チップ1とガスケット2と試験片3との3体を重ね合わせ、外力を与える他の構成としては、例えば油圧式クランプ、水式クランプなどが挙げられる。
本実施形態による地層評価センサーは、岩盤である試験片3と溶液の接触により、試験片3に含有されている物質の一部と溶液に溶解している物質との相互作用を生じる。この相互作用は、溶液中のトレーサー物質が試験片内部に拡散、あるいは試験片表面に吸着、あるいは試験片に含有されている物質の影響により、溶液内においてコロイドを形成することなどにより生じる。この試験片3と接触前後における溶液中のトレーサー濃度の変化を計測することにより、岩盤と核種の分配係数(Kd)や、岩盤の実効拡散係数を計測することが可能になる。
図2は試験手順を示すフローチャートである。この試験手順はPC8のプログラムによって処理される。最初に岩盤から染み出してくる地下水を貯める地下水装置12により地下水を採取する(s10)。次に採取した地下水を、地下水装置12から地下水を取り込む取込装置13によりトレーサー混入装置15に取り込む(s20)。装置15において、取り込んだ地下水にトレーサー14(SrCl2溶液)を適量(例えば混入液のSr濃度が1×10-7 mol/L程度)で混入させる(s30)。
次に、放射物質であるSrCl2のトレーサー溶液が流路兼反応槽4に供給される(s40)。トレーサー溶液は薄い流路を流れながら岩盤内部に拡散あるいは岩盤表面に吸着、あるいは岩盤に含有されている物質の影響により、溶液内においてコロイドを形成して流出口11より排出される(s50)。
排出された溶液は、経時的に液中のSr-85の濃度変化を計測され、PC8により岩盤とSrの破過曲線を得る(s60)。この取得された破過曲線から、シミュレーションにより岩盤の拡散係数を算出する(s70)。同じく、取得された破過曲線からシミュレーションにより、岩−地下水間の岩の分配係数を算出する(s80)。
具体的に説明する。図1の例で、地下環境評価装置は、試験片3であるボーリング穴の内部における岩盤の壁面と、SrCl2溶液中のSr2+イオンの吸着・脱離反応と、Sr2+イオンの岩盤内部へ拡散することによるSrCl2溶液中のSr2+イオンの変化を計測する試験装置である。
液供給ポンプ6により送液されたSrCl2溶液は、流体の流入口10を通り流路兼反応槽4に供給される。SrCl2溶液は試験片3上に形成されている薄い流路を流れながら、試験片3である岩盤内部に拡散もしくは岩盤表面に吸着、あるいは試験片3に含有されている物質の影響により、溶液内においてコロイドを形成することにより流出口11より排出される。排出された液は、核種濃度分析装置7により経時的に液中のSr-85の濃度変化を計測され、計測されたデータはPC8に送られ、PC8にて岩盤とSrの破過曲線が得られる。核種濃度分析装置7で核種濃度を計測後の溶液は、溶液保管タンク9に送られ、計測期間中保管される。
上記では、核種濃度分析装置7、PC8、溶液保管タンク9は、地層評価センサーと共に地下にある場合である。これに対し、核種濃度分析装置7、PC8、溶液保管タンク9が地上にあり、地下の地層評価センサーから排出された溶液等を地上の核種濃度分析装置7まで送液するものなど、幾つかの変形の構成も考えられる。
岩盤から染み出してくる地下水を貯める地下水装置12から、取込装置13により取り込まれた地下水に混入させるトレーサー14としては、例えば放射性廃棄物に含まれる放射性核種の同位体元素がある。例えばCs、Sr、Ra、Co、Ni、Pb、Sm、Eu、Ac、Am、Cm、Pb、Zr、Nb、Tc、Mo、Sn、Pa、Th、U、Np、Pu、Cl、I、Se、Cの元素のイオンもしくはコロイドがある。また、これらと同等の移行をするイオンもしくはコロイド、またはこれらと同等の移行をする蛍光イオンもしくは蛍光コロイドがある。
図3に地層評価センサーにより取得された破過曲線を示す。この破過曲線から、岩−地下水間の岩の拡散係数を算出する方法について説明する。図示の例は、岩サンプルとして稲田花崗岩を、地下水サンプルとして、地下水にH-3をトレーサーとして含む溶液を用いたときの破過曲線である。黒丸が実験値、実線が解析結果である。
破過曲線の縦軸は、流入口10におけるH-3の濃度に対する、流出口11のH-3の濃度の比であり、横軸は、H-3溶液の通液量である。H-3はHと同位体であり、放射線を放出すること以外は全く同じ性質を持つ物質であることから、水の動きに対するトレーサーとして用いる。H-3溶液を通液する流速は6μL/minである。
基盤チップ1の大きさは縦40mm、横25mm、厚さ10mmである。ガスケット2の大きさは、縦40mm、横25mm、厚さ160μmである。岩サンプル3である稲田花崗岩の大きさは、縦40mm、横25mm、厚さ10mmである。岩サンプルの表面は#220のヤスリにより研磨している。スリットの大きさは、縦20mm、横4mm、厚さ160μmである。
次に破過曲線について説明する。H-3を通液すると同時に、地層環境センサーの出口11におけるH-3濃度が上昇する。しかしH-3溶液を通液し続けても、地層環境センサーの出口11におけるH-3濃度と、地層環境センサー入口10におけるH-3濃度の比が1にはならない。斜線部Aに示すように、流出口10におけるH-3の濃度は、流入口11におけるH-3濃度よりも低い。
この原因は、H-3溶液が流路兼反応槽4を流れ、試験片3と接触した時に、H-3が試験片内部へ拡散することにより、流路兼反応槽4を流れるH-3溶液中のH-3が減少したためである。このことは、2次元移流拡散モデルに基づいたシミュレーションでの検討により分る。
図3の破過曲線に対して、シミュレーションにより検討した結果、稲田花崗岩の拡散係
数は6×10-12m2/sと算出された。
なお、2次元移流拡散方程式とは、移流場についてはナビエ・ストークス方程式、拡散場についてはダルシーの式によりモデル化し、これらを岩盤、地下水の2次元場について連立させることにより構築されるものである。例えば、「はじめてのCFD―移流拡散方程式(コロナ社(1996−10/15出版)、棚橋隆彦)」などに詳しい。
次に、地層評価センサーにより取得された破過曲線から、岩−地下水間の岩の分配係数を算出する方法について説明する。
図4は、岩サンプルとして稲田花崗岩を、地下水サンプルとして、SrCl2溶液を用いたときの破過曲線である。破過曲線の縦軸は、流入口10におけるSr2+の濃度に対する、流出口11のSr2+の濃度の比であり、横軸は、SrCl2溶液の通液量である。SrCl2溶液のSr濃度は1×10-7moL/L、pH=8であり、SrCl2溶液を通液する流速は3μL/minである。
基盤チップ1の大きさは縦40mm、横25mm、厚さ10mmである。ガスケット2の大きさは、縦40mm、横25mm、厚さ160μmである。岩サンプル3である稲田花崗岩の大きさは、縦40mm、横25mm、厚さ10mmである。岩サンプルの表面は#220のヤスリにより研磨している。スリットの大きさは、縦20mm、横2mm、厚さ160μmである。
次に、図4の破過曲線について説明する。Sr-85を通液すると同時に、流出口11におけるSr2+濃度が上昇する。しかしSrCl2溶液を通液し続けても、流出口11におけるSr2+濃度と、流入口10におけるSr2+濃度の比が1にはならない(図4のB)。即ち、流出口11におけるSr2+の濃度は、流入口10におけるSr2+濃度よりも低い。
また、図4のBと図3のAを比較することにより、流入口10におけるSr2+濃度の比が、流入口10におけるH-3濃度の比よりも低いことがわかる。この原因は、Sr2+溶液が流路兼反応槽4を流れ、試験片(岩盤)3と接触した時に、Sr2+が岩盤内部へ拡散し、岩盤内部において試験片試料にSr2+が吸着することにより、流路兼反応槽4を流れるSrCl2溶液中のSr2+が減少したためである。
このことも、2次元移流拡散モデルに基づいたシミュレーションによる検討により分る。図4の破過曲線に対して、シミュレーションにより検討した結果、稲田花崗岩−Srの分配係数は1×10-23/kgと算出された。
以上の説明では、反応流路の深さ(すなわち、ガスケット2の厚さ)は160μmとしている。この深さは試験対象の性質(例えば、実効拡散係数や、岩盤に対するSr2+イオンの吸着・脱離反応の反応速度)と、着目する固体―液体反応(岩盤とSr)に応じて選定される。流路の深さは、例えば、50〜200μm程度である。また、流路の長さは、例えば20〜100mm程度である。反応溶液としては、SrCl2溶液の他に、NiCl2溶液やCsCl2溶液等も用いることができる。
図5に本発明の地層評価センサーの種々の適用例を示す。図5のCは地下に設けられた研究施設であり、その底部に浅い孔を設け、孔内部に地層環境調査センサー(1)を埋め込むことにより、岩盤と地下水の分配係数(Kd)や拡散係数を計測する。また、研究施設の壁部に地層環境調査センサー(2)を設けてもよい。
図5のDは廃棄物処分の候補地に設けられたボーリング孔であり、その底部(3)又は孔深さの中間程度の壁内部(4)に地層環境調査センサーを埋め込むことにより、岩盤と地下水の分配係数(Kd)や拡散係数を計測する。
図6は本発明の第二の実施形態による地下環境評価装置の構成図である。本実施形態における構成は、ボーリング孔や地下研究施設内に設けた岩盤に突起17を形成している。 岩盤の突起17の片面には、突起の片面を一面にした容器18が設けられる。突起17の右側には第一実施形態の地下環境調査センサーが圧力付加装置5により取り付けられており、液供給用ポンプ6により水21(純水でも地下水でもよい)が流路兼反応槽4に送液されるように構成される。その他は第一実施形態の地下環境調査装置と同じ構成である。
このように、本構成では岩盤の突起17を挟んで、一方に水を供給される地層評価センサー
20が、他方に岩盤の突起にトレーサーを供給する容器18が設けられている。
図6の容器18にはトレーサー14を混入した地下水が送液される。突起17の左面に接触した容器18から、トレーサー溶液が突起17内部を左から右へと拡散し、いずれは突起17の右側に染み出す。染み出したトレーサーは、反応槽兼流路4に送液された水21と混合する。反応槽兼流路4にてトレーサーが混合した水は、第一実施形態の地下環境調査装置と同様にそのトレーサー濃度が計測される。
PC8は破過曲線を求める。地層評価センサー20の流入口と流出口でみた濃度は、流入口のトレーサー濃度が0に近いので、濃度比の変化は大きな値に増幅されることになる。この破過曲線から、岩盤の拡散係数や岩盤と核種間の分配係数が求められる。
一般に、岩盤を拡散するトレーサー溶液は非常に微量である。このため、感度の高いトレーサー濃度計測方法が必要になる。しかし、本実施形態によれば、トレーサー濃度を計測する地層評価センサーを突起17に設けているので、突起17の反対側から岩盤を拡散する微量のトレーサー溶液を与えることで、高感度の計測が可能になる。
次に、図7を用いて本発明の第三の実施形態による地下環境評価装置の構成について説明する。本地下環境評価装置の構成は、第一実施形態の基本構成のうち、試験片3が地上から持ち込んだ標準試料19であることを特徴とする。本地下環境評価装置により、例えば地上からボーリングにより設けた地層の穴や、地下研究施設から設けた浅い穴における、該拡散係数と分配係数を計測することができる。これにより、地上で用いる標準的な岩と、地下の岩との違いによる、該拡散係数と分配係数の影響を評価することができる。
本発明の第四の実施形態における地下環境評価装置は、第一実施形態の構成のうち、地下水12が地上から持ち込んだ模擬地下水となる点が異なる。本地下環境評価装置により、例えば地上からボーリングにより設けた地層の穴や、地下研究施設から設けた浅い穴における、拡散係数と分配係数を計測することができる。これにより同じ岩試料に対する、地上で用いる模擬地下水と、地下環境での地下水の違いによる、拡散係数と分配係数の影響を評価することができる。
1…基盤チップ、2…ガスケット、3…試験片、4…流路兼反応槽、5…圧力付加装置、6…液供給用ポンプ、7…核種濃度分析装置、8…PC、9…溶液保管タンク、10…流入口、11…流出口、12…地下水装置、13…地下水取込装置、14…トレーサー、15…トレーサー混入装置、16…岩盤表面、17…岩盤の突起、18…岩盤の突起の片面を一面にした容器、19…地上から持ち込んだ標準試料、20…地層評価センサー、21…水。

Claims (18)

  1. 地下環境の地下水を用いて、岩における拡散係数又は岩−地下水間の分配係数を測定する地下環境評価装置であって、
    地下構内に設けられ、地下水を取込む取込装置と、
    取込んだ地下水にトレーサを混入する、地下構内に設けられたトレーサー混入装置と、
    前記地下水及び前記トレーサーを含むトレーサー溶液を流すための薄層流路を形成し、地下構内に設けられた地層評価センサーと
    前記薄層流路に溶液を流したときの前記薄層流路の出入口における溶液の組成の濃度変化を測定する濃度分析装置、
    を設けることを特徴とする地下環境評価装置。
  2. 請求項1において、前記地層評価センサーは、溶液の流入口と流出口をもつ基盤チップと反応流路(流路兼反応槽)の一部となるスリットが形成されるガスケットとを、二層に重ねた地層評価センサーであることを特徴とする地下環境評価装置。
  3. 請求項において、前記ガスケットは弾性を有する材料であることを特徴とする地下環境評価装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、前記薄層流路は地下構内の岩盤表面に構成することを特徴とする地下環境評価装置。
  5. 請求項1において、岩盤から染み出してくる地下水を貯める地下水装置を有すること特徴とする地下環境評価装置。
  6. 請求項1において、前記トレーサー溶液を前記薄層流路に供給する溶液供給用ポンプを有することを特徴とする地下環境評価装置。
  7. 地下環境下の地下水を用いて、岩における拡散係数又は岩−地下水間の分配係数を測定する地下環境評価装置であって、
    地下構内に設けられ、地下水を取り込む取込装置と、
    溶液を流すための薄層流路を形成し、
    前記薄層流路は、弾性を有して流路兼反応槽となるスリットが形成されるガスケットと、溶液の流入口と流出口をもつ基盤チップとの二層に重ねた地層評価センサーであって、
    前記地層評価センサーを地下構内の岩盤表面に加圧する圧力付加手段と、
    取り込んだ地下水にトレーサーを混入した溶液を前記流入口に供給するトレーサー装置と、
    前記流出口からの溶液のトレーサー濃度の変化を測定する濃度分析装置と、
    前記流入口と前記流出口におけるトレーサー濃度の変化の割合から破過曲線を求め前記拡散係数又は前記分配係数を算出する演算装置と、
    を備えることを特徴とする地下環境評価装置。
  8. 請求項7において、前記ガスケットは弾性を有する材料であることを特徴とする地下環境評価装置。
  9. 請求項7又は請求項8において、前記薄層流路は地下構内の岩盤表面に構成することを特徴とする地下環境評価装置。
  10. 請求項7において、岩盤から染み出してくる地下水を貯める地下水装置を有することを特徴とする地下環境評価装置。
  11. 請求項7において、前記トレーサーを混入した溶液を前記薄層流路に供給する溶液供給用ポンプを有することを特徴とする地下環境評価装置。
  12. 地下環境下の地下水を用いて、岩における拡散係数又は岩−地下水間の分配係数を測定する地下環境評価装置であって、
    地下構内に設けられ、地下水を取り込む取込装置と、
    地下構内の底部に岩盤による突起を残し、前記突起の一側に該突起を試験体とし、流路兼反応槽の一部となるスリットが形成されるガスケットと、流入口と流出口をもつ基盤チップとを三層に重ねた地層評価センサーを構成し、前記突起の他側に該突起を容器の一面として地下水にトレーサーを混入した溶液の容器を設け、前記容器から前記突起を拡散する溶液を前記地層評価センサーで計測し、その濃度変化から前記拡散係数又は前記分配係数を計測することを特徴とする地下環境評価装置。
  13. 地下環境下の地下水を用いて、岩における拡散係数又は岩−地下水間の分配係数を測定する地下環境評価方法であって、
    地下構内に設けられた取込装置で地下水を取込み、
    岩盤表面を流路の一部として形成した溶液の薄層流路である地層評価センサーを前記地下環境下の岩盤へ加圧し、
    前記薄層流路に前記地下水及びトレーサーを含む溶液を流し、該薄層流路の出入口における溶液の組成の濃度変化を測定し、その破過曲線に基づいて前記拡散係数又は前記分配係数を求めることを特徴とする地下環境評価方法。
  14. 請求項13において、前記地層評価センサーは、溶液の流入口と流出口をもつ基盤チップと反応流路(流路兼反応槽)の一部となるスリットが形成されるガスケットとを、二層に重ねた地層評価センサーであることを特徴と地下環境評価方法。
  15. 請求項14において、前記ガスケットは弾性を有する材料であることを特徴とする地下環境評価方法。
  16. 請求項13乃至請求項15のいずれかにおいて、前記薄層流路は地下構内の岩盤表面に構成することを特徴とする地下環境評価方法。
  17. 請求項13において、岩盤から染み出してくる地下水を貯める地下水装置を有することを特徴とする地下環境評価方法。
  18. 請求項13において、前記トレーサーを前記薄層流路に供給する溶液供給用ポンプを有することを特徴とする地下環境評価方法。
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