JP4641103B2 - 半導体エネルギー検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外光や放射線、粒子線などの吸収係数が大きいエネルギー線の照射に対して有効な半導体エネルギー検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
撮像素子として利用される電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)は、電荷群をクロックパルスに同期して一方向に転送するもので、空間情報を時系列信号に変換することができる。ただし、CCDに光を照射したまま電荷を転送すると、それぞれの部位で光励起された電荷と転送された電荷とが混じり合って、いわゆるスミアを起こし、画像信号が劣化する。そのため通常は、画像の撮像(エネルギー線像の検出)を行う電荷蓄積期間と、画像の転送を行う電荷転送期間とに時分割して、その動作が行われる。
【0003】
実用的な撮像素子としては、例えばフレーム転送型(FT型)、フル・フレーム転送型(FFT型)、インターライン転送型(IT型)などがある。このうち、計測用としては主にFFT型CCDが用いられる。FFT型CCDは、蓄積部が無く受光部を大きくできるので、光の利用率が高く、微弱光の計測に適している。
【0004】
ここで、半導体製造分野におけるウエハ検査やフォトマスク(レチクル)検査等に用いられるCCDなどの半導体エネルギー検出器としては、パターンの焼き付け露光に使用される光源を用いて検査が行われるために、紫外光(例えば、高圧水銀灯g線:波長436nm、高圧水銀灯i線:365nm、XeClエキシマレーザ:308nm、KrFエキシマレーザ:248nm、ArFエキシマレーザ:193nm、など)に高い感度を有する撮像素子が必要とされる場合がある。そのような撮像素子の1つとして、CCDが形成されている表面と対向する半導体基板の裏面側をエッチングして薄形化し、その裏面側から光を照射する裏面照射型CCDがある(例えば特開平6−29506号公報、特開平6−350068号公報参照)。
【0005】
表面照射型CCDにおいては、受光部を覆っている転送電極を例えば多結晶シリコンによる電極とし、各電極を例えば厚さ数μm程度になるPSG膜によって絶縁して、表面を受光面として撮像を行う。この場合、特に多結晶シリコンは、波長400nm以下の光などの吸収係数が大きい入射エネルギー線を吸収してしまうため、紫外光等に対する感度が低くなる。
【0006】
これに対して裏面照射型CCDとは、基板を例えば厚さ10〜30μm程度まで薄くしてCCDを形成し、裏面からエネルギー線を入射して撮像を行うものである。これにより、表面側に設けられる転送電極に影響されずに光の入射及び検出を行うことができ、紫外光などの短波長光(例えば200nm程度まで)に対しても高い感度を有するCCDが実現される。このようなCCDは、紫外光以外にもγ線や荷電粒子線など、吸収係数が大きいエネルギー線の照射に対して有効である。また、電子衝撃型CCDとしても応用することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
紫外光などに対して高い感度を有する上述した裏面照射型CCDに対し、その改良点として、(1)電荷転送速度のさらなる高速化、及び(2)過剰電荷によるブルーミングの発生の抑制、の2点が要求されている。
【0008】
まず、(1)電荷転送速度のさらなる高速化について説明する。
【0009】
CCDに多結晶シリコンによる転送電極を用いた場合、金属に比べて大きい多結晶シリコンの配線抵抗によって電荷転送速度が制限される。このため、垂直シフトレジスタでの高速の電荷転送などのCCDの高速動作が充分に実現されないという問題がある。
【0010】
また、配線抵抗の大きい転送電極では、外から印加される転送電圧によるクロック信号が配線の長さに応じて鈍ってしまい、場所によって波形が歪んでその立ち上がり時間に違いが生じる。このとき、CCDの転送効率(ポテンシャルウェル間の電荷転送の割合)が劣化する。この波形の歪みについては、抵抗だけでなく容量との組み合わせによって決まるが、容量を変化させると転送可能な電荷量が変化してしまうため、容量によっては波形の歪みの問題は解決できない。
【0011】
このような問題に対して、金属または金属シリサイドによる中間層、多層構造、または裏打ち構造を有する転送電極を用いる構成がある。しかしながら、このような構成においては、金属等を用いた配線の形状が転送電極と同様の形状に限定されるため、転送電極の低抵抗化の効果は必ずしも充分に得られない。例えば、解像度を上げるため画素を微細化した場合、配線が細くなって高抵抗化し、充分な電荷転送速度を得ることができない。また、CCDチップを大面積化した場合にも、配線が長くなり同様に高抵抗化の問題を生じる。
【0012】
次に、(2)過剰電荷によるブルーミングの発生の抑制について説明する。
【0013】
裏面照射型CCDは、他のイメージセンサと比較して飽和電荷量が小さい。このため、撮像される光像中に光強度が大きい点が存在すると、その点で発生した信号電荷が画素から溢れ出し、周囲の画素に入る場合がある。このとき、大強度の光像部分(ハイライト部)が数倍に広がってみえるブルーミングといわれる現象が発生し、ハイライト部の周辺画素での光像情報が失われてしまう。例えば、CCDを分光用に用いた場合、ブルーミングが発生すると、大強度点の近傍に現れる微弱光パターンを有効に検出することができなくなる。
【0014】
このような現象に対して、不要な過剰電荷を取り除いてブルーミングの発生を回避するため、オーバフロードレイン(OFD:Over Flow Drain)が設けられる。
【0015】
表面照射型CCDにおけるオーバフロードレインとしては、通常は、開口率を確保するために、CCDが形成された表面の下側(基板側)に縦形オーバフロードレイン(VOFD:Vertical Over Flow Drain)が形成される。
【0016】
また、FT型及びFFT型の撮像素子に適用されるオーバフロードレインとして、例えば、文献「"True two-phase CCD image sensors employing a transparent gate", William Des Jardin, Stephen Kosman, January 1999, SPIE Vol.3649.」に記載されたものがある。この文献には、表面照射型CCDについて記載されており、各画素の1辺に連続して、オーバフロードレイン及びバリア領域が形成された構成の表面照射型CCDが示されている。
【0017】
裏面照射型CCDでは、上記した表面照射型CCDと同様に、各画素の1辺に連続してオーバフロ−ドレイン及びバリア領域が形成される。これは、裏面照射型CCDの場合には、基板部分をエッチング除去して薄形化する必要があり、基板側に縦形オーバフロードレインを形成する通常の表面照射型CCDでの構成を用いることができないためである。また、完全空乏型CCDについても、基板部分が電荷を集める領域とされているため、縦形オーバフロードレインを形成することができない。
【0018】
詳述すると、裏面照射型CCDの場合、基板を薄形化するという構造面からの物理的な制約に加えて、その動作面からの原理的な制約からも、縦形オーバフロードレインを採用することができない。
【0019】
すなわち、裏面照射型CCDでは、基板の裏面側となるエネルギー線の入射面付近で光電変換された電子を、表面側のポテンシャル井戸へと集める必要がある。このため、裏面照射型CCDは、裏面側のポテンシャルが最も低く、ポテンシャル井戸が形成された表面側でポテンシャルが高くなるように構成される。
【0020】
これに対して、縦形オーバフロードレインは、ポテンシャル井戸が形成されていない基板の裏面側へと過剰電荷を排出する。このため、縦形オーバフロードレインでは、表面側でポテンシャルが低く、裏面側でポテンシャルが高くなる。したがって、裏面照射型CCDに縦形オーバフロードレインを形成すると、基板の入射面(裏面)付近からの電子は、CCDのチャネルに移動する前にオーバフロードレインに排出されてしまい、正しく動作できないこととなる。
【0021】
以上より、裏面照射型CCDまたは完全空乏型CCDでは、その構造によりいずれも縦形オーバフロードレインを形成することができず、あるいは、縦形オーバフロードレインを形成すると正しく動作させることができない。このため、これらのCCDでは、上述したように各画素の1辺に沿って、連続してオーバフロードレイン及びバリア領域を設ける横形オーバフロードレイン(LOFD:Lateral Over Flow Drain)が採用される。
【0022】
このような横形オーバフロードレインを設けた場合、過剰電荷を外部へと排出するため、オーバフロードレインに集められた過剰電荷を効率的に排出する機構を設ける必要がある。すなわち、(1)電荷転送速度のさらなる高速化、及び(2)過剰電荷によるブルーミングの発生の抑制を両立させるためには、半導体基板の表面側に、転送電極を低抵抗化するための機構と、オーバフロードレインから過剰電荷を排出するための機構とを両立するように設けなくてはならない。
【0023】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、高速での電荷転送が可能であるとともに、過剰電荷によるブルーミングの発生が抑制される半導体エネルギー検出器を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による半導体エネルギー検出器は、半導体基板の表面側に電荷読み出し部が形成され、半導体基板の裏面側に半導体の一部が除去されて薄形化された薄形部が形成されて、半導体基板の裏面側からエネルギー線が入射される半導体エネルギー検出器であって、電荷読み出し部は、(1)2次元の画素配列を有して構成され、入射したエネルギー線が検出される受光部と、(2)受光部内の所定部位に形成され、受光部の各画素に発生した過剰電荷の排出に用いられる過剰電荷排出領域と、(3)受光部の表面側に2次元の画素配列における第1の方向を長手方向としてそれぞれ形成され、2次元の画素配列における第2の方向についての電荷転送を行うための転送電圧が印加される複数の転送電極と、(4)転送電極の表面側に形成され、転送電極に対して転送電圧を補助的に供給する補助配線と、(5)転送電極の表面側に補助配線に沿って形成され、過剰電荷排出領域に集められた過剰電荷を排出する電荷排出用配線とを備え、過剰電荷排出領域は、受光部の各画素に対して、第2の方向に沿った所定の1辺側にそれぞれ形成されており、過剰電荷排出領域は、受光部での第2の方向に沿った画素列に含まれる各画素に対して、第2の方向に沿った一方の辺側に過剰電荷排出領域が形成されている画素数と、第2の方向に沿った他方の辺側に過剰電荷排出領域が形成されている画素数とが略等しくなるように形成されていることを特徴とする。
【0025】
上記した半導体エネルギー検出器においては、転送電極を低抵抗化するための配線として、裏打ち配線等ではなく、転送電極の上部に、転送電極とは別個に形成された補助配線を設けている。このとき、補助配線としては、転送電極の形状に限定されずに様々な配線パターンを適用することが可能となるので、個々の検出器の構造に応じて、効率的に転送電極を低抵抗化することができる。
【0026】
また、過剰電荷排出領域(オーバフロードレイン)から過剰電荷を排出するための配線として、転送電極の上部に、電荷排出用配線を設けている。これにより、オーバフロードレインに集められた過剰電荷を効率的に排出することができる。さらに、この電荷排出用配線を、補助配線に沿った配線パターンで形成することとしている。これにより、(1)補助配線での転送電極の低抵抗化による電荷転送速度のさらなる高速化と、(2)電荷排出用配線での過剰電荷の排出によるブルーミングの発生の抑制とが、効率的に両立される半導体エネルギー検出器が実現される。
【0027】
ここで、補助配線及び電荷排出用配線は、金属または金属シリサイドからなる単一層の配線パターンによって形成されていることが好ましい。
【0028】
裏面照射型CCDでは、表面側の配線に対する開口率による制限がないが、裏面側からエネルギー線を入射するために基板が薄形化されているため、基板のたわみなどから、多層配線構造のパターニングが難しい。これに対して、上記した補助配線及びそれに沿った電荷排出用配線からなる配線構造によれば、単一層の配線パターンから各配線を構成することができる。
【0029】
また、電荷読み出し部は、n相の転送電圧によって電荷転送が行われるように構成され、補助配線は、n相の転送電圧がそれぞれ供給されるn本の補助配線を組として形成されていることを特徴とする。これにより、各転送電極に対して効率的に対応する転送電圧を供給することができる。
【0030】
また、過剰電荷排出領域は、受光部の各画素に対して、第2の方向に沿った所定の1辺側にそれぞれ形成されていることを特徴とする。これにより、各画素で発生した過剰電荷を効率的に排出することができる。
【0031】
このとき、過剰電荷排出領域は、受光部での第2の方向に沿った画素列に含まれる各画素に対して、第2の方向に沿った一方の辺側に過剰電荷排出領域が形成されている画素数と、第2の方向に沿った他方の辺側に過剰電荷排出領域が形成されている画素数とが略等しくなるように形成されていることが好ましい。
【0032】
例えば、ベルトコンベア上にある物体など、一定速度で移動する物体を撮像する方法として、物体の移動速度に対応した速度で受光部に蓄積される電荷を転送しつつ、電荷の蓄積を行うTDI(Time Delay and Integration)駆動法が用いられる場合がある。このような駆動法に対して、画素列の一方側または他方側にオーバフロードレインが形成されている画素数を画素列毎に略等しくしておけば、オーバフロードレインによる不感領域を好適に補完することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による半導体エネルギー検出器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0034】
まず、裏面照射型CCDを用いた半導体エネルギー検出器の基本的な構成について説明する。
【0035】
図1は、裏面照射型の半導体エネルギー検出器を裏面側からみた底面図である。また、図2は、図1に示した半導体エネルギー検出器のI−I矢印断面図である。なお、図2においては図面上の上方が図1に示されている裏面側、下方がCCDが形成されている表面側である。
【0036】
図1に示した半導体エネルギー検出器は、厚さ約300μm、抵抗率10〜100Ω・cm程度で、面方位(100)のP型シリコン基板1上に構成されている。裏面照射型の半導体エネルギー検出器においては、基板の薄形化、及び裏面入射面のポテンシャルスロープ(アキュムレーション層)の形成が必要である。
【0037】
基板の薄形化によって、入射面近傍で光電変換されて生じた電子が、電荷転送のポテンシャル井戸に拡散するまでに再結合によって消滅しないようにし、また、光電変換する基板裏面と電荷転送する基板表面との距離を短くして、隣接画素への拡散を抑制させて解像度の低下を防ぐことができる。一方、裏面入射面のポテンシャルスロープ(アキュムレーション層)の形成によって、入射面近傍で光電変換されて生じた電子が電荷転送のためのポテンシャル井戸へ容易に拡散するようにすることができる。このようなポテンシャルスロープ(アキュムレーション層)の形成は、例えばボロンイオンの注入と、その活性化熱処理によってなされる。
【0038】
基板1の、受光部に対応する領域を含む裏面側の領域には、厚さ10〜30μm程度に薄くされた(したがって270〜290μm程度の深さでエッチングされた)薄形部2が、エッチングが行われない領域である基板枠1bの内側に形成されている。この薄形部2によって、裏面から受光及び撮像を行うことができ、紫外光等への高い感度を有する裏面照射型の半導体エネルギー検出器が構成される。
【0039】
基板1の裏面側には、図2に示すように保護膜であるシリコン酸化膜3が例えば厚さ0.1μm程度に形成され、また、薄形部2に対応した基板部分には、P+高濃度層4が形成されている。P+高濃度層4は例えば厚さ0.2μm程度で濃度5×1018/cm3程度に形成され、光入射面に近い部位で光電変換された電荷を表面側へ拡散させる機能を有している。
【0040】
一方、表面側にはCCD5が形成されており、これによって、裏面照射型の半導体エネルギー検出器が構成されている。すなわち、裏面側から入射された光は、P+高濃度層4からCCD5までの領域において光電変換され、光電変換によって生じた電荷はCCD5に向けて拡散して、CCDのポテンシャル井戸に到達し蓄積される。
【0041】
図3は、図1に示した半導体エネルギー検出器を表面側からみた上面図である。ここでは、図2に示したCCD5として、FFT型CCD(例えば約20μm×20μmの画素が2次元的に、水平方向に512、1024または2048列、垂直方向に128、256または512行配置されてなる)が基板1の表面上に形成されている。ただし、図3においては、FFT型CCDの動作について説明するため、電荷転送のための電極または配線等については通常の転送電極のみを示し、後述する補助配線及び電荷排出用配線については図示していない。
【0042】
基板1の表面上の受光部1aには、垂直方向(第2の方向、図中の縦方向)を電荷の転送方向とした垂直転送チャネル6が複数列(例えば幅約20μmで、512、1024または2048列)配列されている。そして、これに直交する水平方向(第1の方向、図中の横方向)を長手方向として、多結晶シリコンからなる複数の垂直転送電極から構成される垂直転送電極群7が形成されて、垂直シフトレジスタが構成されている。
【0043】
垂直転送電極群7においては、複数相の転送電圧、図3においては2相の転送電圧φV1及びφV2、が印加される転送電極がそれぞれ組となって、受光部1aにおいて複数行(例えば幅約20μmで、128、256または512行)の配列が形成されている。これによって、受光部1aにおけるマトリクス状の2次元の画素配列が構成されるとともに、垂直方向への電荷転送が行われる。
【0044】
配列されたそれぞれの垂直転送チャネル6は水平転送チャネル8(例えば幅約25〜100μm)に接続されている。そして、これに直交して、複数の水平転送電極からなる水平転送電極群9が形成されて、水平シフトレジスタが構成されている。
【0045】
電荷蓄積期間での受光によってポテンシャル井戸に蓄積された電荷は、垂直転送チャネル6及び垂直転送電極群7からなる垂直シフトレジスタと、水平転送チャネル8及び水平転送電極群9からなる水平シフトレジスタとによって、電荷転送期間に順次転送され、時系列信号となる。
【0046】
転送された電荷は、一定電位のアウトプットゲート50の下を通過し、リセットゲート51によって一定の電位に保たれたフローティングディフュージョン52のポテンシャル井戸に送り込まれて、フローティングディフュージョン52の電位を変化させる。この電位の変化をオンチップのFET53と、外付けの負荷抵抗54からなるソースフォロワ回路を通して読み出し、出力端子55より画像出力を得る。その後、フローティングディフュージョン52に送り込まれた電荷は、リセットゲート51の下を通過してリセットドレイン56より放出される。
【0047】
なお、表面側の電荷読み出し部の構成については、このようなFFT型CCDに限られるものではなく、例えばFT型CCDなど他の形態のCCDを用いた半導体エネルギー検出器とすることも可能である。ただし、垂直シフトレジスタについては、FT型CCDの場合には上下2つの領域に分割されて、それぞれ受光部(上の領域)及び蓄積部(下の領域)が形成される。
【0048】
次に、本発明による裏面照射型の半導体エネルギー検出器における、複数列の垂直転送チャネル6を含む受光部1a、及び受光部1aの表面側に設けられた垂直転送電極群7の各電極及び配線からなる垂直シフトレジスタの構成について、具体的な構成例を参照して説明する。ここで、水平シフトレジスタの水平転送チャネル8、水平転送電極群9、及びそれに付設されるアウトプットゲート50等の構成については、図3に示したものと同様であり、以下では図示及び説明を省略する。
【0049】
また、以下においては、垂直シフトレジスタの垂直転送電極群7を構成している多結晶シリコンからなる垂直転送電極を、単に転送電極とする。また、垂直シフトレジスタでの電荷転送に用いられるn相の転送電圧については、i番目の転送電圧「φVi」を単に「φi」として示すこととする。
【0050】
図4は、本発明による裏面照射型の半導体エネルギー検出器の一実施形態の構成を模式的に示す上面図である。この半導体エネルギー検出器の構成は、上述した構成を有する裏面照射型の半導体エネルギー検出器(図1〜図3参照)に適用されるものである。
【0051】
図4においては、説明のため、垂直転送チャネル6及び垂直転送電極群7によって区分される2次元の画素配列を、受光部1a内を実線で区切って図示している。また、電極及び配線については、受光部1aの上部に設けられる垂直転送電極群7の各転送電極の図示を省略するとともに、転送電極の上部に設けられる補助配線及び電荷排出用配線の各配線を、その配線パターンによって模式的に図示している。
【0052】
受光部1aは、垂直方向に伸びる複数の垂直転送チャネル6によって、その水平方向が複数列に分割されている。図4においては、例として16列の画素列H1〜H16を示している。
【0053】
また、図4に示した半導体エネルギー検出器は、3相の転送電圧φ1〜φ3によって垂直方向の電荷転送が行われる3相駆動型に構成されている。受光部1aは、これら3相の転送電圧φ1〜φ3が印加される3個の転送電極が組となって構成された垂直転送電極群7によって、その垂直方向が複数行に分割されている。図4においては、例として16行の画素行V1〜V16を示している。
【0054】
以上の水平方向を区分する画素列H1〜H16、及び垂直方向を区分する画素行V1〜V16により、図4に示す受光部1aは、2次元に配列された16×16個の画素を有して構成されている。
【0055】
また、基板1の表面側で受光部1a内の所定部位には、受光部1aの各画素に発生した過剰電荷の排出に用いられる過剰電荷排出領域として、オーバフロードレイン12が形成されている。図4では、このオーバフロードレイン12は、受光部1aの各画素に対して、垂直方向に沿った画素の2辺のうちで所定の1辺側にそれぞれ形成されている。
【0056】
具体的には、下方の8行の画素行V1〜V8に含まれる16×8個の画素に対しては、2列の画素列H1とH2、画素列H3とH4、画素列H5とH6、画素列H7とH8、画素列H9とH10、画素列H11とH12、画素列H13とH14、及び画素列H15とH16のそれぞれの境界領域に、垂直方向の辺に沿って連続して、それぞれオーバフロードレイン12が形成されている。
【0057】
また、上方の8個の画素行V9〜V16に含まれる16×8個の画素に対しては、2列の画素列H2とH3、画素列H4とH5、画素列H6とH7、画素列H8とH9、画素列H10とH11、画素列H12とH13、画素列H14とH15のそれぞれの境界領域、画素列H1の左側の領域、及び画素列H16の右側の領域に、垂直方向の辺に沿って連続して、それぞれオーバフロードレイン12が形成されている。
【0058】
16×16個の画素からなる受光部1a、及び受光部1aの上部に設けられた3相駆動による複数の転送電極に対し、転送電極の上部(表面側)に、補助配線21、22、23、及び電荷排出用配線30の各配線が設けられている。これらの配線21〜23、30は、例えば、転送電極に用いられている多結晶シリコンよりも低抵抗な材質、好ましくはアルミニウム(Al)などの金属または金属シリサイドによって形成されている。
【0059】
補助配線21、22、23のそれぞれは、3相の転送電圧φ1、φ2、φ3を対応する転送電極(図示していない)に対して補助的に供給するためのものであり、それぞれ複数の転送電極に電気的に接続されて設置されている。図4においては、補助配線21〜23と転送電極との接続点の位置を、各補助配線上の白丸によって図示している。
【0060】
これらの補助配線は、3相の転送電圧φ1、φ2、φ3に対応する上記した3個の補助配線21、22、23を組とした配線パターンにより、それぞれ略水平方向に伸びる形状に形成されている。それぞれの補助配線21〜23には、その左右の端部から転送電圧φ1〜φ3が供給されている。このように3相の転送電圧φ1〜φ3に対応した補助配線21〜23を組とする構成により、各転送電極に対して効率的に転送電圧が供給される。
【0061】
各補助配線21〜23は、折り返しを有する斜めの繰り返し構造による配線パターンを有している。このような斜め配線により、複数の転送電極に対する転送電圧の供給を実現している。この配線パターンは、本実施形態においては、画素列H1〜H2、H7〜H10、H15〜H16内では右上がり斜め、画素列H3〜H6、H11〜H14内では右下がり斜めの繰り返し構造となっている。
【0062】
また、3個の補助配線21〜23を組として、図4に示したように、4組の補助配線が設けられている。これらの補助配線のうち、補助配線211、221、231は、画素行V1〜V4内にある各転送電極に対して転送電圧を供給している。また、補助配線212、222、232は、画素行V5〜V8内にある各転送電極に対して転送電圧を供給している。また、補助配線213、223、233は、画素行V9〜V12内にある各転送電極に対して転送電圧を供給している。また、補助配線214、224、234は、画素行V13〜V16内にある各転送電極に対して転送電圧を供給している。
【0063】
一方、電荷排出用配線30は、オーバフロードレイン12に集められた過剰電荷を排出するためのものであり、所定のオーバフロードレイン12に電気的に接続されて設置されている。図4においては、電荷排出用配線30とオーバフロードレイン12との接続点の位置を、各電荷排出用配線上の黒丸によって図示している。
【0064】
この電荷排出用配線30は、補助配線21〜23に沿った配線パターンによって形成されている。したがって、電荷排出用配線30の配線パターンは、補助配線と同様に、折り返しを有する斜めの繰り返し構造による配線パターンとなっている。
【0065】
具体的には、2組目の補助配線212〜232に沿って、補助電極232の下方に電荷排出用配線302が設けられている。この電荷排出用配線302は、画素行V1〜V8に含まれる各画素に対して設けられた8個のオーバフロードレイン12に対して電気的に接続されている。
【0066】
また、3組目の補助配線213〜233に沿って、補助配線213の上方に電荷排出用配線303が設けられている。この電荷排出用配線303は、画素行V9〜V16に含まれる各画素に対して設けられた9個のオーバフロードレイン12に対して電気的に接続されている。
【0067】
上述した構成による半導体エネルギー検出器の効果について説明する。本実施形態の半導体エネルギー検出器においては、垂直転送電極群7を構成している転送電極を低抵抗化するための配線として、裏打ち配線等ではなく、転送電極の上部に、転送電極とは別個に形成された補助配線21〜23を設けている。
【0068】
このとき、補助配線21〜23としては、水平方向を長手方向とする転送電極の形状に限定されずに、図4に示した斜めの繰り返し構造による配線パターンなど、様々な配線パターンを適用することが可能となる。したがって、それぞれの補助配線により、複数の転送電極に対して転送電圧を供給する構成とすることができる。また、個々の検出器の構造に応じて、効率的に転送電極を低抵抗化する配線パターンを採用することができる。
【0069】
また、オーバフロードレイン12から過剰電荷を排出するための配線として、補助配線21〜23と同様に転送電極の上部に、電荷排出用配線30を設けている。これにより、オーバフロードレイン12に集められた過剰電荷を効率的に排出することができる。
【0070】
さらに、この電荷排出用配線30を、補助配線21〜23に沿った配線パターンによって形成している。これにより、補助配線21〜23と電荷排出用配線30とを、配線構造上で好適に両立させることができる。したがって、(1)補助配線21〜23での転送電極の低抵抗化による電荷転送速度のさらなる高速化と、(2)電荷排出用配線30での過剰電荷の排出によるブルーミングの発生の抑制とが、効率的に両立される半導体エネルギー検出器が実現される。
【0071】
ここで、これらの補助配線21〜23及び電荷排出用配線30は、金属または金属シリサイドからなる単一層の配線パターンによって形成されていることが好ましい。
【0072】
裏面照射型CCDでは、基板1が薄形化された薄形部2(図2参照)が設けられているため、基板のたわみなどから、多層配線構造のパターニングが難しい。これに対して、上記した補助配線21〜23及びそれに沿った電荷排出用配線30からなる配線構造によれば、単一層の配線パターンから各配線を構成することができる。
【0073】
補助配線21〜23及び電荷排出用配線30と、転送電極及びオーバフロードレイン12との接続等の具体的な構成について、図5及び図6を用いて説明する。なお、図5及び図6に示す構成においては、補助配線21〜23及び電荷排出用配線30は、転送電極の上部に設けられたアルミニウム等による単一層の配線パターンによって形成されている。
【0074】
まず、補助配線21〜23と転送電極との接続点等の構成について説明する。図5は、図4に示した半導体エネルギー検出器の構成を、画素行V10・画素列H5の画素及びその近傍の領域(図4に示す領域A)について一部拡大して示す図であり、図5(a)は上面図、図5(b)はII−II矢印断面図を示している。この領域は、補助配線21〜23と転送電極との接続点(図4中の白丸)を含んでいる。
【0075】
図5に示した領域では、P型シリコン基板1の表面近傍に、画素列H5の垂直転送チャネル6を構成するN型領域10が形成されている。このN型領域10に対して、右側(画素列H6側)の境界領域には、P+アイソレーション領域11が設けられている。一方、左側(画素列H4側)の境界領域には、オーバフロードレインとなるN+領域12が設けられている。また、N型領域10及びオーバフロードレイン12の間には、N型領域10からオーバフロードレイン12への障壁となるN-バリア領域13が形成されている。
【0076】
上記の各領域10〜13が形成されている基板1の表面上には、絶縁膜となるシリコン酸化膜75を介して、好ましくは多結晶シリコンからなる画素行V10用の転送電極が形成されている。本実施形態においては、1個の画素(1行の画素行)に対して、転送電圧φ1が供給される転送電極71、転送電圧φ2が供給される転送電極72、及び転送電圧φ3が供給される転送電極73、の3個の転送電極が設けられている。これらの転送電極71〜73は、シリコン酸化膜によって互いに電気的に絶縁されている。
【0077】
転送電極71〜73の上部には、さらに、シリコン酸化膜76を介して、好ましくはアルミニウムなどの金属または金属シリサイドからなる補助配線21〜23が形成されている。補助配線21は、転送電圧φ1を供給するためのものであり、コンタクトホール41を介して転送電極71と電気的に接続されている。また、補助配線22は、転送電圧φ2を供給するためのものであり、コンタクトホール42を介して転送電極72と電気的に接続されている。また、補助配線23は、転送電圧φ3を供給するためのものであり、コンタクトホール43を介して転送電極73と電気的に接続されている。
【0078】
図5(b)の断面図には、上記した3つのコンタクトホール41〜43のうち、コンタクトホール42における補助配線22及び転送電極72の接続構造について示されている。コンタクトホール42は、シリコン酸化膜76を貫通するように形成されている。これに対して、シリコン酸化膜76上の補助配線22は、このコンタクトホール42内を埋めるように形成されている。これにより、補助配線22と転送電極72とが電気的に接続される。他の補助配線21、23も、それぞれ同様に転送電極71、73に電気的に接続される。
【0079】
次に、電荷排出用配線30とオーバフロードレイン12との接続点等の構成について説明する。図6は、図4に示した半導体エネルギー検出器の構成を、画素行V12・画素列H5の画素及びその近傍の領域(図4に示す領域B)について一部拡大して示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)はIII−III矢印断面図を示している。この領域は、電荷排出用配線30とオーバフロードレイン12との接続点(図4中の黒丸)を含んでいる。なお、この図6に示した領域においても、領域10〜13を含む基板1の断面構造等については、図5に示した領域と同様である。
【0080】
各領域10〜13が形成されている基板1の表面上には、シリコン酸化膜75を介して、好ましくは多結晶シリコンからなる画素行V12用の3個の転送電極71〜73が形成されている。
【0081】
転送電極71〜73の上部には、さらに、シリコン酸化膜76を介して、好ましくはアルミニウムなどの金属または金属シリサイドからなる電荷排出用配線30が形成されている。電荷排出用配線30は、オーバフロードレイン12に集められた過剰電荷を排出するためのものであり、コンタクトホール45を介してオーバフロードレイン12と電気的に接続されている。
【0082】
図6(b)の断面図には、コンタクトホール45における電荷排出用配線30及びオーバフロードレイン12の接続構造について示されている。コンタクトホール45は、シリコン酸化膜76、転送電極72、及びシリコン酸化膜75を貫通するように形成されている。これに対して、シリコン酸化膜76上の電荷排出用配線30は、このコンタクトホール45内を埋めるように形成されている。これにより、電荷排出用配線30とオーバフロードレイン12とが電気的に接続される。なお、電荷排出用配線30と転送電極72とは、シリコン酸化膜によって電気的に絶縁されている。
【0083】
本発明による半導体エネルギー検出器は、上述した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、受光部1a内に設けられる過剰電荷排出領域であるオーバフロードレイン12の配置については、図4に示した構成例に限らず、様々な配置構成が可能である。
【0084】
受光部1a内のオーバフロードレイン12は、受光部1aの各画素に対して、電荷転送方向である垂直方向に沿った所定の1辺側にそれぞれ形成されていることが好ましい。すなわち、オーバフロードレイン12及びバリア領域13は、受光部1a内で、入射したエネルギー線が検出されない不感領域となる。これに対して、垂直方向のいずれか1辺にオーバフロードレイン12及びバリア領域13を設ける構成とすれば、不感領域を最低限に抑えつつ、各画素で発生した過剰電荷を効率的に排出することができる。
【0085】
図7は、半導体エネルギー検出器の受光部1aにおけるオーバフロードレイン12の配置の一例を模式的に示す構成図である。図7に示す受光部1aは、6列の画素列H1〜H6及び6行の画素行V1〜V6によって区分される6×6個の画素からなる。そして、それぞれの画素列に対応する垂直転送チャネル6に含まれる6個の画素に対して、上下いずれかの3個の画素では左側の辺に沿って、また、他の3個の画素では右側の辺に沿ってオーバフロードレイン12が配置される構成となっている。この配置構成は、図4に示した構成と同様のものである。
【0086】
具体的には、図7に示す受光部1aでは、下方の画素行V1〜V3内の各画素に対しては、画素列H2とH3、画素列H4とH5のそれぞれの境界領域、画素列H1の左側の領域、及び画素列H6の右側の領域に、それぞれオーバフロードレイン12が形成されている。また、上方の画素行V4〜V6内の各画素に対しては、画素列H1とH2、画素列H3とH4、及び画素列H5とH6のそれぞれの境界領域に、それぞれオーバフロードレイン12が形成されている。
【0087】
図8は、半導体エネルギー検出器の受光部1aにおけるオーバフロードレイン12の配置の他の例を模式的に示す構成図である。図8に示す受光部1aは、6列の画素列H1〜H6及び6行の画素行V1〜V6によって区分される6×6個の画素からなる。そして、それぞれの画素列に対応する垂直転送チャネル6に含まれる6個の画素に対して、左側の辺または右側の辺に沿って交互に(千鳥に)オーバフロードレイン12が配置される構成となっている。
【0088】
具体的には、図8に示す受光部1aでは、画素行V1、V3、及びV5内の各画素に対しては、画素列H2とH3、画素列H4とH5のそれぞれの境界領域、画素列H1の左側の領域、及び画素列H6の右側の領域に、それぞれオーバフロードレイン12が形成されている。また、画素行V2、V4、及びV6内の各画素に対しては、画素列H1とH2、画素列H3とH4、及び画素列H5とH6のそれぞれの境界領域に、それぞれオーバフロードレイン12が形成されている。
【0089】
これらの図7及び図8に示した構成では、オーバフロードレイン12は、受光部1aでの画素列H1〜H6それぞれに含まれる各画素に対して、左辺側にオーバフロードレイン12が形成されている画素数と、右辺側にオーバフロードレイン12が形成されている画素数とが等しくなるように配置されている。このような配置構成は、TDI(Time Delay and Integration)駆動法を用いて撮像を行う場合に特に有効である。
【0090】
例えば、ベルトコンベア上にある物体を撮像する場合や、所定の速度で等速に移動する航空機から地上を撮像する場合など、撮像装置(半導体エネルギー検出器)及び撮像対象となる物体が相対的に一定速度で移動している場合の撮像方法として、その移動方向を垂直シフトレジスタでの電荷転送方向と一致させるとともに、移動速度に対応した速度で受光部に蓄積される電荷を転送しつつ、電荷の蓄積を行うTDI駆動法が用いられる場合がある。このような撮像方法によれば、撮像装置及び撮像対象の移動にかかわらず、特定の蓄積電荷が撮像対象の特定の位置に対応することとなり、スミアやぶれを生じることなく撮像を行うことができる。このようなTDI駆動法は、例えば、電荷転送制御部70による転送電圧φ1〜φ3の制御によって実現される(図4参照)。
【0091】
このようなTDI駆動法に対して、画素列の一方側または他方側にオーバフロードレインが形成されている画素数を上述のように画素列毎に略等しくしておけば、オーバフロードレイン及びバリア領域による不感領域を好適に補完することができる。
【0092】
例えば、画素列H5の左辺近傍を蓄積電荷が転送される図8に示した撮像位置Pについて考えると、TDI駆動法を用いた場合には、蓄積電荷とともに移動していく撮像位置Pは、画素毎に交互に、有感領域、またはオーバフロードレイン12(バリア領域13)による不感領域となる。このとき、撮像位置Pは、感度自体は半減するものの、不感領域は補完されているので、オーバフロードレイン12を設けたことによって開口率が低下することはない。
【0093】
また、撮像位置Pとは反対側で、画素列H5の右辺近傍を蓄積電荷が転送される撮像位置Qでは、画素毎に交互かつ撮像位置Pとは逆の順番で、有感領域、またはオーバフロードレイン12(バリア領域13)による不感領域となる。このとき、撮像位置Qは、撮像位置Pと同様の感度となるように不感領域が補完される。
【0094】
すなわち、図8に示した配置構成によれば、TDI駆動法を用いた場合において、転送される各蓄積電荷に対して、オーバフロードレイン12及びバリア領域13による不感領域を、開口率を低下させずにそれぞれ同様の感度となるように補完することができる。このような補完効果は、図4及び図7に示した配置構成においても同様に得られる。
【0095】
以上、図7及び図8を用いてオーバフロードレインの配置構成の例について説明したが、これ以外にも、様々な配置構成が可能である。また、オーバフロードレインの配置構成以外の各部の構成、例えば補助配線及び電荷排出用配線の配線パターンなどについても、様々に変形してよい。配線パターンの例としては、受光部1aの全体で右上がり斜めまたは右下がり斜めとなる配線パターンなどがある。また、過剰電荷の排出効果を高めるため、1組の補助配線に対して、複数個の電荷排出用配線を設ける構成としても良い。
【0096】
あるいは、補助配線、電荷排出用配線に加えて、さらに、転送電極同士を電気的に接続する付加配線(特開2000−196063号公報参照)などを設けても良い。また、補助配線及び電荷排出用配線の材質については、上記したAl以外にも、例えばCu、Ti、W、Mo、Taなどの他の金属、または、TiSi2、WSi2、MoSi2、TaSi2、NbSi2などの金属シリサイドを用いても良い。
【0097】
【発明の効果】
本発明による半導体エネルギー検出器は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、転送電極の上部に、転送電極を低抵抗化するための補助配線と、オーバフロードレインから過剰電荷を排出するための補助配線に沿った電荷排出用配線とを設けた裏面照射型の半導体エネルギー検出器によれば、(1)電荷転送速度のさらなる高速化と、(2)過剰電荷によるブルーミングの発生の抑制とが効率的に両立される半導体エネルギー検出器が実現される。
【0098】
このような裏面照射型の半導体エネルギー検出器は、紫外光や放射線、粒子線などの吸収係数が大きいエネルギー線に対して高い感度を有し、例えば、半導体製造分野におけるウエハ検査やフォトマスク(レチクル)検査など、様々な分野に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】裏面照射型の半導体エネルギー検出器を裏面側からみた底面図である。
【図2】図1に示した半導体エネルギー検出器のI−I矢印断面図である。
【図3】図1に示した半導体エネルギー検出器を表面側からみた上面図である。
【図4】半導体エネルギー検出器の一実施形態の構成を模式的に示す上面図である。
【図5】図4に示した半導体エネルギー検出器を一部拡大して示す上面図である。
【図6】図4に示した半導体エネルギー検出器を一部拡大して示す上面図である。
【図7】半導体エネルギー検出器におけるオーバフロードレインの配置の一例を示す構成図である。
【図8】半導体エネルギー検出器におけるオーバフロードレインの配置の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1…P型シリコン基板、1a…受光部、1b…基板枠、2…薄形部、3…シリコン酸化膜、4…p+高濃度層、5…CCD、6…垂直転送チャネル、7…垂直転送電極群、8…水平転送チャネル、9…水平転送電極群、50…アウトプットゲート、51…リセットゲート、52…フローティングディフュージョン、53…FET、54…負荷抵抗、55…出力端子、56…リセットドレイン、
10…N型領域、11…P+アイソレーション領域、12…N+オーバフロードレイン(過剰電荷排出領域)、13…N-バリア領域、21〜23…補助配線、30…電荷排出用配線、41〜43、45…コンタクトホール、70…電荷転送制御部、71〜73…転送電極、75、76…シリコン酸化膜。
Claims (3)
- 半導体基板の表面側に電荷読み出し部が形成され、前記半導体基板の裏面側に半導体の一部が除去されて薄形化された薄形部が形成されて、前記半導体基板の裏面側からエネルギー線が入射される半導体エネルギー検出器であって、
前記電荷読み出し部は、
2次元の画素配列を有して構成され、入射したエネルギー線が検出される受光部と、
前記受光部内の所定部位に形成され、前記受光部の各画素に発生した過剰電荷の排出に用いられる過剰電荷排出領域と、
前記受光部の表面側に前記2次元の画素配列における第1の方向を長手方向としてそれぞれ形成され、前記2次元の画素配列における第2の方向についての電荷転送を行うための転送電圧が印加される複数の転送電極と、
前記転送電極の表面側に形成され、前記転送電極に対して前記転送電圧を補助的に供給する補助配線と、
前記転送電極の表面側に前記補助配線に沿って形成され、前記過剰電荷排出領域に集められた前記過剰電荷を排出する電荷排出用配線と
を備え、
前記過剰電荷排出領域は、前記受光部の各画素に対して、前記第2の方向に沿った所定の1辺側にそれぞれ形成されており、
前記過剰電荷排出領域は、前記受光部での前記第2の方向に沿った画素列に含まれる各画素に対して、前記第2の方向に沿った一方の辺側に前記過剰電荷排出領域が形成されている画素数と、前記第2の方向に沿った他方の辺側に前記過剰電荷排出領域が形成されている画素数とが略等しくなるように形成されていることを特徴とする半導体エネルギー検出器。 - 前記補助配線及び前記電荷排出用配線は、金属または金属シリサイドからなる単一層の配線パターンによって形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体エネルギー検出器。
- 前記電荷読み出し部は、n相の前記転送電圧によって電荷転送が行われるように構成され、
前記補助配線は、前記n相の前記転送電圧がそれぞれ供給されるn本の前記補助配線を組として形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体エネルギー検出器。
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