以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、利用者が建造物(例えば自宅、店舗、オフィス等)の扉、玄関口等のゲートを通過する際に、忘れ物があれば利用者にその不足物品を通知するものである。
図1は、本実施形態の無線タグ情報通信装置を建造物の出入口近傍に設けた状態を示す外観図である。図1に示すように、出入口10近傍の扉12には、無線タグ情報通信装置100が取り付けられている。この無線タグ情報通信装置100は、所定のタイミングに、利用者Lのバッグ16内に存在する物品毎に関連して取り扱われる無線タグ回路素子(後述の図2参照)を探す処理を行って、無線タグ回路素子の識別情報(タグID)を自動で取得する。そして、無線タグ情報通信装置100は、日々自動で取得した識別情報の中から所定条件(後述)に基づき識別情報群とされた識別情報の組み合わせ(言い換えれば物品の組み合わせ)と、現在バッグ16内に存在する各物品の識別情報とを比較して、不足している物品を不足物品として抽出し、音声や表示を用いて、不足物品を忘れ物として利用者Lに通知するようになっている(詳細は後述)。
図2は、無線タグ情報通信装置100と、利用者Lのバッグ16内に存在する物品に設けられた無線タグ回路素子との通信の様子を概念的に表す機能ブロック図である。図2において、利用者Lのバッグ16内に、利用者Lの定期券、財布、眼鏡、ポーチ、会社などの入門証、携帯電話等が入れられており、またそれら定期券、財布、眼鏡、ポーチ、入門証には、無線タグ回路素子(詳細は後述)を備えた無線タグT1,T2,T3,T4,T5,T6がそれぞれ関連して取り扱われる(添付、貼付、容器に取付、同梱等)ようになっている。
無線タグ情報通信装置100は、各種情報を搬送する電波の入出力を行うアンテナ130(装置側アンテナ)と、アンテナ130に対して送受信信号の入出力を行う制御部120とを備えている。無線タグ情報通信装置100は、有線又は無線による通信ネットワークNWを介して、識別情報、識別情報群、識別子等の各種情報を例えば建造物内の部屋305内に設置した端末300との間で送受信することが可能となっている。
図3は、端末300と無線タグ情報通信装置100の接続構成を概略的に表す図である。図3における端末300は、例えばパソコンで構成されており、操作部300Aと、表示部300Bと、CPUやROMやRAM(いずれも図示省略)を備えた本体部300Cとを備えている。操作部300Aは、操作入力手段として適宜のキー、ボタン、スイッチ、パッド等を備えており、必要に応じて、識別情報、識別情報群、識別子等の各種情報を追加入力したり、修正入力することが可能となっている。
またこの端末300には、例えば上記各物品に添付等された無線タグT1〜T6等の作成時において、当該物品の物品情報(物品名称、所有者等)とこれに対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)とが、関連づける形で格納保持された、データベース(物品情報データベース)を備えた記憶装置(図示せず)が設けられており、無線タグ情報通信装置100側からアクセスすることで識別情報から物品情報を取得できるようになっている。なお、この物品情報データベースは端末300内に限られず、ネットワークNWを介し接続された別の記憶装置内に設けても良い。
図4は、利用者Lのバッグ16内に存在する物品に関連する無線タグTに備えられた各無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
図4に示す無線タグ回路素子Toは、無線タグ情報通信装置100のアンテナ130とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行うアンテナ151(タグ側アンテナ)と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
IC回路部150は、アンテナ151が受信した搬送波を整流する整流部152と、この整流部152が整流した搬送波のエネルギを蓄積してIC回路部の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151が受信した搬送波からクロック信号を抽出して後述する制御部157に出力するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
上記無線タグ情報通信装置100のアンテナ130から出力された通信信号は、無線タグ回路素子Toのアンテナ151が受信して変復調部156に伝達される。変復調部156は、アンテナ151が受信した通信信号に対して復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、アンテナ151が受信した搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
図5は、無線タグ情報通信装置100に備えられた前述の制御部120の機能的構成の詳細を表す機能ブロック図である。図5において、制御部120は、CPU(中央演算装置)121と、上記ネットワークNWを介した信号授受の制御を行うネットワーク通信制御部122と、例えばRAMやROMからなるメモリ123と、現在の月日情報や休日情報等からなるカレンダー機能を有するリアルタイムクロック(RTC)127と、アンテナ130を介して無線タグ回路素子Toとの通信制御を行うタグ通信制御部124と、第2アンテナ128を介して利用者Lが所有するICカード18と無線による通信と認証を行う本人認証制御部126と、表示部140の表示を制御する表示制御部125と、物品の識別情報が記録されている群ファイルF2(詳細は後述)の更新を行うか否かの情報等を利用者Lが入力する操作部110を備えている。なお、ICカード18の内部構成は公知のもので足りるため詳細な説明を省略するが、例えば無線タグ回路素子Toと同様な回路構成としてもよい。
図6は、上記タグ通信制御部124及びアンテナ130の詳細構成を表す機能ブロック図である。
タグ通信制御部124は、上記アンテナ130を介して上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150にアクセスして、識別情報等の各種情報を読み取ったり、基本ファイルF1、群ファイルF2、識別子等の各種情報を書き込む指令を出力する処理を行うための、高周波回路を用いた送信部212及び受信部213と、送受分離器214とを備えている。CPU121は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から取得した信号を処理して識別情報等を読み出すとともに、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に対するアクセス情報を生成する機能を有する。
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報等にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる搬送波発生部として機能する発振回路215と、上記CPU121から供給される信号に基づいて上記搬送波発生部により発生させられた搬送波を変調(この例ではCPU121からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し「TX_ASK信号」の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例ではCPU121からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する増幅率可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記搬送波発生部により発生される搬送波は、例えば短波帯(13.56MHz等)、UHF帯、マイクロ波帯等の高周波を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しアンテナ130に伝達されて、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。
受信部213は、アンテナ130で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ130で受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相が90°遅れた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記CPU121に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」がCPU121に入力されるようになっている。このように、タグ通信制御部124では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる例を示している。
CPU121は、CPU121は、上述した高周波回路受信部213からの受信信号、上記操作部110からの操作信号や通信ネットワークNWを介した端末300からの信号等を入力した後、所定の演算処理を行い、上述した高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号、表示制御部125への画像処理制御信号、その他端末300への信号等を出力する。また、上記CPU121は、例えば上記ネットワーク通信制御部122(又はそれとは別の入出力インターフェイス)を介し、図示しないルートサーバ、他の端末、汎用コンピュータ、及び情報サーバ等との間で情報のやりとりが可能なように構成してもよい。
なお、前述した本人認証制御部126及び第2アンテナ128も、上記タグ通信制御部124及びアンテナ130と同様の構成としてもよい。この場合、本人認証制御部126は、上記第2アンテナ128を介して上記ICカード18にアクセスして、識別情報等の各種情報を読み取ったり、基本ファイルF1、群ファイルF2、識別子等の各種情報を書き込む指令を出力する処理を行うための、高周波回路を用いた送信部212及び受信部213を備える。CPU121は、ICカード18から取得した信号を処理して識別情報等を読み出すとともに、ICカード18に対するアクセス情報を生成する機能を有することとなる。
ここで、無線タグ情報通信装置100では、利用者Lのバッグ16内に存在する物品(定期、財布、眼鏡、ポーチ、会社入門証、携帯電話等)に関連して取り扱われた無線タグ回路素子Toとアンテナ130を介して無線通信を行い、当該物品をスキャン(探索)することで当該物品等を利用者Lが携行しているか否かを検出する。
そして、本実施形態の要部は、上記のような利用者Lの携行物品に係わる無線タグ回路素子Toの識別情報(言い換えればそれら物品の物品データ)を、所定条件が満たされるごとに(詳細は後述)ひとつの識別情報群(言い換えれば物品情報群)として関連付け、このように関連付けられた複数の識別情報群を、書込み及び読み出しが可能な記憶装置121D(後述の図8参照)等に書き込み記憶させることにある。以下、そのような詳細内容を順を追って説明する。
図7は、本実施形態の無線タグ情報通信装置100において、上記関連づけにより識別情報群を生成する手法原理を説明するための説明図である。図7における例では7月1日(金)より当該無線タグ情報通信装置100による処理を開始した状態を表しており、これ以降、各物品に対応した無線タグ回路素子Toのサーチ結果に基づき検出された、各日における携行物品の一覧が示されている。
すなわち、7月2日(土)、7月3日(日)、…、7月14日(木)の行は、それぞれの日において利用者Lがバッグ16内に入れて携行した物品(定期、財布、眼鏡、会社入門証、携帯電話等)の携行状況を表している(○はその物品を携行していたことを表し、空欄はその物品を携行していなかったことを表している)。例えば7月1日(金)には、利用者Lは定期、財布、ポーチ、会社入門証、携帯電話を携行している。また、次の7月2日(土)及び7月3日(日)は休日であり、利用者Lは定期、財布、ポーチ、携帯電話を携行している。
そして、7月3日の携行物品が検出された段階で、休日における所定の条件(詳細は後述)が満たされ、まず定期、財布、ポーチ、携帯電話にそれぞれ対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が関連づけられて識別情報群「Mika-Holiday」が形成され、これ以降は、休日外出時にはこの識別情報群「Mika-Holiday」の各要素である識別情報との比較が行われ、不足分がある際には所定の警報が行われる。この例では、7月10日(日)の外出の際に携帯電話に対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく、警告が行われている。
7月4日(月)及び7月5日(火)には、利用者Lは、定期、財布、眼鏡、会社入門証、携帯電話を携行しており、次の7月6日(水)には、利用者Lは、定期、財布、眼鏡、携帯電話を携行している。
そして、7月6日の携行物品が検出された段階で、平日における所定の条件(詳細は後述)が満たされ、定期、財布、眼鏡、会社入門証、携帯電話にそれぞれ対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が関連づけられて識別情報群「Mika-Weekday」が形成され、これ以降は、平日外出時にはこの識別情報群「Mika-Weekday」の各要素である識別情報との比較が行われ、不足分がある際には所定の警報が行われる。この例では、7月12日(火)の外出の際に会社入門証に対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく、警告が行われている。なお、この例では平日(第1の日付情報)と休日(第2の日付情報)とで行動パターンが異なるという前提に立ってそれぞれにおいて識別情報群を分けているが、これに限られず、他の日付情報(10の倍数の日とそれ以外、国民の休日とそれ以外等)でもよい。
図8は、無線タグ情報通信装置100の制御部120におけるCPU121の機能的構成を表す機能ブロック図である。図8において、CPU121は、前述した物品(定期、財布、眼鏡、ポーチ、会社入門証、携帯電話等の物品)に係わる無線タグ回路素子Toと無線通信を行い位置をスキャン(探索)する制御を行うタグサーチ部121Aと、後述する基本ファイルF1や群ファイルF2を書き換え可能に格納保持するデータベース(ファイルデータベース)を構成する記憶装置121D(記憶手段)と、上記スキャンにより検出された物品の識別情報に基づき、上記記憶装置121Dのデータベースに書き込み処理を行うデータ記録部121Bと、操作部110からの操作信号等に基づき、上記データベース内において所定の検索を行うデータ検索部121Cと、利用者Lが携行している携帯電話やICカード18等との間で本人認証処理を行う本人認証部121Eとを備えている。
記憶装置121D内には、この例では、図示のように基本ファイルF1、群ファイルF2等が例えばフォルダ形式で備えられている。基本ファイルF1は、各物品ごとに構成されたデータを収納しており、例えば、上記定期券に関連づけられた無線タグT1に係わるデータには、当該無線タグ回路素子Toの識別情報「Mika0001」、所有者を識別する情報「Mika」、物品名称「定期」、平日及び休日の累積経過日数、平日及び休日の当該定期券の携行日数、及び後述のように群化処理されて他の識別情報と関連づけられて識別情報群とされた場合にはその識別情報群の名称(=識別子)「Weekday」「Holiday」等が記録されている。その他、財布、眼鏡、ポーチ、会社入門証、携帯電話等に関連づけられる上記無線タグT2,T3,T4,T5についても、上記同様、それぞれの無線タグ回路素子Toの識別情報「Mika0001」「Mika0002」「Mika0003」「Mika0004」「Mika0005」「Mika0006」、所有者情報「Mika」、物品名称「財布」「眼鏡」「ポーチ」「会社入門証」「携帯電話」等が互いに関連づけられて記録されている。なお、このデータベースは、CPU121の記憶装置121D内に設けず、別の箇所、例えば通信ネットワークNWを介して装置100外に設けても良いし、上記端末300内に設けても良い。
群ファイルF2には、後述のように群化処理されて他の識別情報と関連づけられて識別情報群とされた場合にその識別情報群ごとに構成されたデータを収納している。例えば後述のように平日外出に係わる識別子「Mika-Weekday」のデータには、当該グループを構成する識別子及びこれに対応する物品名、すなわち、「定期 Mika0001」、「財布 Mika0002」、「眼鏡 Mika0003」、「入門証 Mika0005」、「携帯 Mika0006」が互いに関連付けられて記憶されている。また後述のように休日外出に係わる識別子「Mika-Holiday」のデータには、当該グループを構成する識別子及びこれに対応する物品名、すなわち、「定期 Mika0001」、「財布 Mika0002」、「ポーチ Mika0004」、「携帯 Mika0006」が互いに関連付けられて記憶されている。
なお、群ファイルF2に、無線タグ情報通信装置100で自ら群化処理して形成した識別情報群以外にも、典型的なパターンとして、予め少なくとも1つの識別情報群(例えば識別子「成人女性外出一般」、「男性幼児外出一般」で表されるもの等)が例えば書き換え不能にプリセットされていてもよい。あるいはそれらプリセットされた識別情報群に対し検索抽出を行って対応するものを読み出した後、それをもとに無線タグ情報通信装置100が適宜の修正を行って、新たな識別情報群を形成していくようにしても良い。
図9は、上記基本ファイルF1における記憶内容の例を一覧して示す図である。前述したように、各物品に係わる識別情報と、これに対応する物品名、所有者、平日携行日数・平日累積経過日数、休日携行日数・休日累積経過日数、所属する上記識別情報群等とが関連づけられることとなる。なお、図中の各値は、先に述べた図7の例に沿うと、平日が4日間、休日が2日間累積経過した7月6日時点の状態に相当している。
図10は、上記群ファイルF2における記憶内容の例を一覧して示す図である。前述したように、各識別情報群に係わる識別子(「Mika-Weekday」「Mika-Holiday」等)と、これに対応する各物品の識別番号とが関連付けられることとなる。
図11は、上記無線タグ情報通信装置100に備えられたCPU121が実行する制御手順を表すフローチャートである。
図11において、まずステップS100で、利用者Lが出入口10近傍の扉12を通過する際(あるいは直前)に例えば所定の操作(ICカード18を第2アンテナ128にかざす等)を行うことにより、本人認証制御部126及び第2アンテナ128を介し無線通信による信号送受を行い、利用者Lが携行しているICカード18(あるいは携帯電話等、それ以外の本人認証手段でも良い)に関する本人認証処理を行う。この本人認証処理は、公知の手法で足りるので詳細な説明を省略するが、利用者Lの指紋、顔の画像等を用いて行うことも可能である。これにより、本人情報が読み出されて取得される。
その後、ステップS102に移り、利用者Lが(例えばバッグ16内に入れて)携行する物品に取り付けられている無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を読み取って取得する。すなわち、アンテナ130より通信距離範囲内(言い換えればバッグ16内)の無線タグ回路素子Toに対する呼びかけ信号であるPing信号(複数情報取得命令)を出力する。詳細には、「TX_ASK」信号を生成して送信乗算回路216に出力し、送信乗算回路216で対応する上記振幅変調が行われアクセス情報としての「Ping」信号となる。一方CPU121は「TX_PWR」信号を生成して送信アンプ217に出力し、送信アンプ217でその「TX_PWR」信号に基づく増幅率で信号増幅が行われ、最終的にアンテナ130を介し送信され、サーチ対象であるバッグ16内の全無線タグ回路素子Toからのリプライ信号の返信を促す。
上記「Ping」信号等に対応してサーチ対象の無線タグ回路素子Toから送信された返答信号(=リプライ信号;前述のように少なくともタグ識別情報であるタグIDを含む)はアンテナ130で受信され、上記受信部213を介しCPU121に取り込む(その後メモリ123に記憶する)。
なお、上記ステップS100が終了したらステップS102において(特に利用者Lの操作なく)自動的に上記のように読み取り処理を行うようにすることで、利用者Lによる読み取り操作等の入力が不要となり、利用者Lの負担や労力を低減することができる。
なお詳細には「Ping」信号(探索命令)を送信して階層的に各無線タグ回路素子Toからの応答を受信しBinaryTree方式で数を特定した後にScroll ID信号を送信し上記のようにリプライ信号を受信してIDを確定する。また、上記ステップS100で取得した本人情報に基づき、予めサーチ対象として予想される無線タグ回路素子ToのタグIDを指定してScroll ID信号を送信するようにしてもよい。
そして、ステップS103において、上記のようにして取得した各無線タグ回路素子Toの識別情報を元に、記憶装置121Dのデータベースの上記基本ファイルF1にアクセスし、各識別情報に対応した平日・休日累積経過日数、平日・休日携行回数等を読み出す(そして一旦メモリ123に記憶させる)。
そして、ステップS104に移り、上記ステップS102で取得した無線タグ回路素子Toの各識別情報について、群ファイルF2に対応する識別情報群が記憶されていればその識別情報群を構成する各識別情報と比較照合し、不足している物品があれば忘れ物と判断して利用者Lに通知(警告)するグループ(群)照合処理を行う。
上記グループ照合処理が終了したらステップS106に移り、今回取得した識別情報(今回利用者Lがバッグ16内に携行している物品の識別情報)の累積経過日数と携行日数を1日ずつ増やした後、再び記憶装置121Dのデータベースにアクセスし、その新たな累積経過日数及び携行日数を基本ファイルF1に記載し(言い換えれば基本ファイルF1を上書き更新し)て記憶させる。なお、端末300の記憶手段に記憶するようにしてもよい。
前述したように図9は前述の例に沿うと7月6日(水)の例を表しているが、翌7月7日(木)になると、図7に示したように、定期、財布、眼鏡、ポーチ、入門証、携帯電話それぞれに係わる識別情報「Mika0001」、「Mika0002」、「Mika0003」、「Mika0004」、「Mika0005」、「Mika0006」における平日累積経過日数を4から5に増加させる。またそのうちポーチ以外の定期、財布、眼鏡、入門証、携帯電話を携行していることから、それぞれに係わる識別情報「Mika0001」、「Mika0002」、「Mika0003」、「Mika0005」、「Mika0006」における平日携行日数を1つずつ(4→5、又は3→4)増加させて基本ファイルF1に記憶する処理を行う。なお、7月7日は平日であるから休日累積経過日数や休日携行日数は変化させない。
その後、ステップS108において、上記ステップS106で更新した後の基本ファイルF1に記憶されていた平日携行日数、平日累積経過日数、休日携行日数、休日累積経過日数をそれぞれ読み出し、頻度情報Cnとして、平日携行率(=平日携行日数/平日累積経過日数)及び休日携行率(=休日携行日数/休日累積経過日数)を算出し、対応する識別情報と関連付けて基本ファイルF1に記憶する処理を行う。例えば前述の図9の例では(7月6日(水)現在)、定期、財布、眼鏡、ポーチ、入門証、携帯電話に係わる識別情報、「Mika0001」、「Mika0002」、「Mika0003」、「Mika0004」、「Mika0005」、「Mika0006」それぞれについての平日頻度情報Cnwは、Cnw0001=1(=4/4)、Cnw0002=1(=4/4)、Cnw0003=0.75(=3/4)、Cnw0004=0.25(=1/4)、Cnw0005=0.75(=3/4)、Cnw0006=1(=4/4)となる。またそれぞれについての休日頻度情報Cnhは、Cnh0001=1(=2/2)、Cnh0002=1(=2/2)、Cnh0003=0(=0/2)、Cnh0004=1(=2/2)、Cnh0005=0(=0/2)、Cnh0006=1(=2/2)となる。
その後、ステップS110に移り、上記ステップS108で算出した上記平日頻度情報Cnwや休日頻度情報Cnhが、対応する平日頻度しきい値(例えば0.75)や休日頻度しきい値(例えば0.5)以上であるか否かの判定を行う。頻度情報Cnw,Cnhがそれぞれのしきい値未満である場合には判定が満たされず、そのままこのフローを終了する。頻度情報Cnw,Cnhがそれぞれのしきい値以上である場合には、判定が満たされ、その識別情報の物品は利用者Lが平日(又は休日)に携行する可能性が高いものであるとみなされて、ステップS112に進む。なお、この例では、Cnw,Cnhがしきい値以上の判定を行う前提として、平日については累積経過日数≧4、休日については累積経過日数≧2を前提としている。
ステップS112では、上記ステップS110で判定が満たされた(=頻度情報Cnw,Cnhがしきい値以上であった)識別情報を選択抽出した後、ステップS114に移って、それら抽出された識別情報を、互いにひとつの識別情報群として関連づける(=群化する)群化処理を行う。具体的には、共通の識別子(前述の「Mika-weekday」等)を対応する基本ファイルF1の各データに書き込むとともに、その識別子をもつ群ファイルF2のデータ(各識別情報を含む)を新たに生成する(図8参照)。これら新たなデータは記憶装置121Dの基本ファイルF1及び群ファイルF2へ記憶され格納保持された後、このフローを終了する。
図12は、上記ステップS104の詳細手順を表すフローチャートである。まず、ステップS202において、前述のステップS102にてメモリ123に記憶された無線タグ回路素子Toの識別情報(「Mika0001」、「Mika0002」等)を読み出す。
その後、ステップS204において、記憶装置121Dのデータベースにアクセスし、上記ステップS202で読み出した識別情報に対応する識別情報群(構成要素として当該識別情報を含む識別情報群)を検索して抽出する。なお、このとき抽出された識別情報群の名称(識別子)を表示するための信号(抽出結果表示信号)を無線タグ情報通信装置100側の上記表示部140(図5参照)に対し出力し、当該名称を表示するようにしてもよい(第1表示信号生成手段)。
その後、ステップS208において、上記ステップS202で読み出した識別情報(=今回利用者Lが携行しているバッグ16内に存在する物品の無線タグ回路素子Toから取得した識別情報)と、上記ステップS204にて検索した(=対応するものとしてヒットした)識別情報群を構成する全識別情報とを比較し、漏れている識別情報があるかどうかを判定する。漏れている識別情報がなければ(=識別情報群を構成する全識別情報と一致すれば)判定が満たされず、忘れ物なしとみなされてこのルーチンを終了する。識別情報群から漏れている識別情報があれば、当該識別情報に対応する物品は忘れ物であるとみなされ、次のステップS210に移る。
ステップS210では、上記ステップS208で漏れていた識別情報に関し、前述の物品データベースにアクセスし、当該識別情報に対応する物品名等の物品情報を取得した後、音声又は表示を用いて不足物品として利用者Lに報知する。具体的には、例えば無線タグ情報通信装置100の上記表示部140(図5参照)に制御信号(被関連識別情報信号)を出力して所定の(警告、点滅等の)表示を行うようにすれば良い(第3表示信号生成手段)。あるいは、音声駆動部に制御信号を出力して所定のアラーム音声鳴動等を行うようにしてもよい。さらには、第2アンテナ128を介し利用者Lの所持する携帯電話等に通信制御を行い、表示や音声出力等を行わせるようにしても良い。
以上において、制御回路120のCPU121が実行する図11に示したフローのステップS102が、各請求項記載の、物品に関連して取り扱われる無線タグ回路素子の識別情報を、装置側アンテナを介した無線通信により取得する情報取得手段を構成する。また、ステップS112が、この情報取得手段で取得した複数の識別情報を、予め定められた条件が満たされるごとに自動的に少なくともひとつの識別情報群として関連付ける群化処理手段を構成し、ステップS114が、この群化処理手段で関連付けられた識別情報群又は各識別情報群を表す識別子を、出力する出力手段を構成する。
また、図12に示したステップS204が、記憶手段に記憶された若しくは対応する識別子が記憶された複数の識別情報群のうち、新たに情報取得手段で取得された複数の識別情報に対応する識別情報群を検索し抽出する検索手段を構成する。
以上のように構成した本実施形態の無線タグ情報通信装置100においては、上述したように、バック16内の各物品に対し無線タグ回路素子Toが添付等されており、例えば毎日の外出の都度、各無線タグ回路素子Toの識別情報(「Mika0001」等)が無線通信によって無線タグ情報通信装置100側にて取得される。このようにして複数の物品についての識別情報が日々取得されていき、ある日、それら複数の識別情報が所定の条件を満たすようになると(上記の例では頻度情報が所定のしきい値以上となると)、自動的にひとつの識別情報群として関連付けられ、データベースで群ファイルF2として書き込まれて記憶される(また基本ファイルF1の各識別情報データにも「Mika-weekday」等の識別子が書き込まれる。図11のステップS112、ステップS114参照)。このように、次々と取得される識別情報を自動的に関連付けて群化し記憶させ蓄積することにより、その後新たに識別情報が取得された際(例えば翌日の外出の際)、当該識別情報を既に蓄積された群ファイルF2の識別情報群と照合する(図12のステップS204参照)。そして、その識別情報群に共通に対応付けられる利用者L側の用途、状況等に基づき、今回取得された識別情報についてもその用途(=例えば平日の外出等)に対応するものであると類推して、上記照合結果に応じて、出かけるときの忘れ物の存在の可能性を、利用者L側に表示し報知することができる(図12のステップS210参照)。
このように、利用者L側が自ら入力や登録等の各種操作を行わなくても無線タグ情報通信装置100側で自動的にデータ蓄積を行うとともに、その蓄積データを利用し先回りして利用者L側の用途等に適応した処理(上記の例では忘れ物検知及び警告)を実行してくれるので、利用者Lの負担や労力を大きくすることなく高い利便性で物品管理を行うことができる。
なお、上記の例において、出入り口10の扉12の開閉等を検知する手段を設けて、その検知信号を契機として(連動して)無線タグ情報通信装置100の動作が開始される(例えば図11のフローが開始される)ようにしてもよい。あるいは扉12ではなく、キャビネットの扉等他の開閉手段と連動させてもよい。
また、上記の例では、外出する際の忘れ物検出及び警告を行う場合を例にとって説明したが、これに限られず、逆に帰宅の際の落とし物検出及び警告等に試用することもできる。また当該建造物を出入りする全人物に対して検出を行うようにすれば例えば夜間における盗難防犯等にも利用することも可能である。
さらに、上記実施形態で建造物入り口における忘れ物検知について本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、他の分野に適用してもよい。例えば、工場の材料搬入口に無線タグ情報通信装置100を設置しておき、搬入材料の欠品を検出する場合や、小売店の商品搬入口に無線タグ情報通信装置100を設置しておき、仕入れ商品の欠品を検出する場合等も考えられる。
また、上記では頻度情報検出を一日単位としたが、これに限られず、これより長い数日単位、数週間単位、一ヶ月単位、一年単位等とすることもできる。また逆に、上記より短い、半日単位、数時間単位、一時間単位、数十分単位、数分単位、数十秒単位等とすることもできる。この場合、小型化して例えば上記バッグ16の中に無線タグ情報通信装置100を配置する(無線タグ情報通信装置100の通信機能やデータベース機能を携帯電話機や携帯パソコン等に持たせる)ことにより、外出先でもバッグ16内の物品を短いサイクルで検出することができる。この場合、どこかでいずれかの物品を置き忘れた、落とした、盗難にあった等の場合に、その欠品状態を検知して報知することができるので、さらに利便性を向上できる。
以下、本発明の第2実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、利用者Lが買い物を行うときの買い物用カートに入れた物品の検出に本発明を適用した場合の実施形態である。上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図13は、本実施形態の無線タグ情報通信装置100が買い物用カート20(物品の収納部材)に取り付けられている状態を示す斜視図である。本実施形態では、例えば利用者Lが販売店にて商品(物品)を買い物用カート20内に入れて会計を実施する前に、買い物用カート20内に存在する物品毎に関連して取り扱われる無線タグ回路素子Toの識別情報を、買い物用カート20に取り付けられている無線タグ情報通信装置100が自動で取得する。そして、無線タグ情報通信装置100は、当該販売店で買い物をする都度自動で取得した識別情報の中から所定条件(後述)に基づき識別情報群とされた識別情報の組み合わせ(言い換えれば物品の組み合わせ)と、現在買い物用カート20内に存在する各物品の識別情報とを比較して、不足している物品を不足物品と、音声や表示を用いて、不足物品を買い忘れ品として利用者Lに通知するようになっている(詳細は後述)。なお、無線タグ情報通信装置100には、利用者Lの認証を行うための例えばICカード18が設置可能である。なお、上記無線タグ情報通信装置100はカート20ではなく例えば利用者Lが通常持ち歩く適宜の携帯端末(パソコンや携帯電話等を含む)に設けても良い。
図14は、無線タグ情報通信装置100と、利用者Lのカート20内に存在する物品に設けられた無線タグ回路素子との通信の様子を概念的に表す機能ブロック図であり、上記第1実施形態の図2に対応する図である。図14において、カート20内に、この例では、買い物対象物品であるカレー粉、牛肉、人参、ジャガイモ、玉ネギ等が入れられており、それらカレー粉、牛肉、人参、ジャガイモ、玉ネギには、上記同様の無線タグ回路素子Toを備えた無線タグT1,T2,T3,T4,T5,…がそれぞれ関連して取り扱われる(添付、貼付、容器に取付、同梱等)ようになっている。
無線タグ情報通信装置100は、上記第1実施形態と同様、アンテナ130(装置側アンテナ)と制御部120とを備え、この例では無線による通信ネットワークNWを介して、識別情報、識別情報群、識別子、カテゴリ情報等の各種情報を例えば当該販売店の部屋305内に設置した端末300(この例では販売店サーバ)との間で送受信することが可能となっている。
この端末300は、上記第1実施形態と同様、例えばパソコンで構成されており必要に応じて操作部から識別情報、識別情報群、識別子、カテゴリ等の各種情報を追加入力したり、修正入力することが可能となっている。またこの端末300には、例えば上記各物品に添付等された無線タグT1〜T5等の作成時において、当該物品の物品情報(物品名称、カテゴリ情報等)とこれに対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)とが、関連づける形で格納保持された、データベース(物品情報データベース)を備えた記憶装置(図示せず)が設けられており、無線タグ情報通信装置100側からアクセスすることで識別情報から物品情報を取得できるようになっている。なお、この物品情報データベースは端末300内に限られず、ネットワークNWを介し接続された別の記憶装置内に設けても良い。
ここで、本実施形態の無線タグ情報通信装置100は、利用者Lが買い物用カート20内に入れた物品(カレー粉、ジャガイモ、玉ねぎ、牛肉等の物品)に関連して取り扱われた無線タグ回路素子Toとアンテナ130を介して無線通信を行い、当該物品等をスキャン(探索)することで当該を購入するために買い物用カート20内に入れたか否かを検出する。
そして、本実施形態の要部は、上記のような利用者Lの購入(予定)物品に係わる無線タグ回路素子Toの識別情報(言い換えればそれら物品の物品データ)を、所定条件が満たされるごとに(詳細は後述)ひとつの識別情報群(言い換えれば物品情報群)として関連付け、このように関連付けられた複数の識別情報群を、書込み及び読み出しが可能な記憶装置121D(後述の図16参照)等に書き込み記憶させることにある。以下、そのような詳細内容を順を追って説明する。
図15は、本実施形態の無線タグ情報通信装置100において、上記関連づけにより識別情報群を生成する手法原理を説明するための説明図である。図15における例では7月1日(金)より当該無線タグ情報通信装置100による処理を開始した状態を表しており、これ以降、各物品に対応した無線タグ回路素子Toのサーチ結果に基づき検出された、各日における買い物物品の一覧が示されている。
すなわち、7月2日(土)、7月3日(日)、…、7月14日(木)の行は、それぞれの日において利用者Lが買い物カート20内に入れて購入した物品(この例では各種食材)の購入状況を表している(○はその物品を購入したことを表し、−はその物品を購入しなかったことを表している)。
例えば7月1日(金)には、利用者Lはカレー粉、牛肉、人参、ジャガイモ、玉ネギを購入している。そして、この7月1日の購入物品が検出された段階で、所定の条件(詳細は後述)が満たされ、これらカレー粉、牛肉、人参、ジャガイモ、玉ネギにそれぞれ対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が関連づけられて識別情報群「Suzuki-ビーフカレー」が形成され、これ以降は、これらカレー粉、牛肉、人参、ジャガイモ、玉ネギの組み合わせに類似する(詳細は後述)物品購入時にはこの識別情報群「Suzuki-ビーフカレー」の各要素である識別情報との比較が行われ、不足分がある際には所定の警報が行われる。この例では、7月3日(月)の買い物の際に玉ネギに対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく、警告が行われている。このときはこの警告に対応し、利用者Lによってこの日は購入しない旨の意思表示(操作入力、後述)が行われている。
また、7月2日(土)には、利用者Lは玉ネギ、パスタ、ベーコン、生クリームを購入している。そして、この7月2日の購入物品が検出された段階で、所定の条件(詳細は後述)が満たされ、これら玉ネギ、パスタ、ベーコン、生クリームにそれぞれ対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が関連づけられて識別情報群「Suzuki-カルボナーラ」が形成され、これ以降は、これら玉ネギ、パスタ、ベーコン、生クリームの組み合わせに類似する(詳細は後述)物品購入時にはこの識別情報群「Suzuki-カルボナーラ」の各要素である識別情報との比較が行われ、不足分がある際には所定の警報が行われる。この例では、7月7日(月)の買い物の際に生クリームに対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく、警告が行われている。このときはこの警告に対応し、利用者Lが生クリームも併せて購入している。
また同様に、7月5日(土)には、利用者Lはカレー粉、玉ネギ、エビ、ホタテ、キノコを購入している。そして、この7月5日の購入物品が検出された段階で、所定の条件(詳細は後述)が満たされ、これらカレー粉、玉ネギ、エビ、ホタテ、キノコにそれぞれ対応する無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)が関連づけられて識別情報群「Suzuki-シーフードカレー」が形成され、これ以降は、これらカレー粉、玉ネギ、エビ、ホタテ、キノコの組み合わせに類似する(詳細は後述)物品購入時にはこの識別情報群「Suzuki-シーフードカレー」の各要素である識別情報との比較が行われ、不足分がある際には所定の警報が行われる。
なお、この例では平日(第1の日付情報)と休日(第2の日付情報)とで特に上記識別情報群の処理について分けていないが、上記第1の実施形態と同様、それら平日と休日とで行動パターンや料理献立パターンが異なるという前提に立って、それぞれにおいて識別情報群の処理を分けてもよいし、さらにこれに限られず、他の日付情報(夏休み期間とそれ以外、年末年始・お盆・ゴールデンウィークとそれ以外等)で分けてもよい。
図16は、無線タグ情報通信装置100の制御部120におけるCPU121の機能的構成を表す機能ブロック図であり、上記第1の実施形態の図8に対応する図である。図16において、CPU121は、上記第1の実施形態と同様、タグサーチ部121A、データ記録部121B、データ検索部121C、記憶装置121D(記憶手段)、本人認証部121Eを備えている。
記憶装置121D内には、上記第1実施形態同様、各物品ごとに構成されたデータを収納した基本ファイルF1、群化処理されて他の識別情報と関連づけられて識別情報群とされた場合にその識別情報群ごとに構成されたデータを収納した群ファイルF2が備えられている。
この例では、基本ファイルF1は、例えば、上記カレー粉に関連づけられた無線タグT1に係わるデータには、当該無線タグ回路素子Toの識別情報「1001」、物品名称「カレー粉」、カテゴリ「カレー」、及び後述のように群化処理されて他の識別情報と関連づけられて識別情報群とされた場合にはその識別情報群の名称(=識別子)「Suzuki-ビーフカレー」「Suzuki-シーフードカレー」等が記録されている。その他、牛肉、人参、ジャガイモ、玉ネギ等に関連づけられる上記無線タグT2,T3,T4,T5等についても、上記同様、それぞれの無線タグ回路素子Toの識別情報「1002」「1003」「1004」「1005」、物品名称「牛肉」「人参」「ジャガイモ」「玉ネギ」等が互いに関連づけられて記録されている。なお、このデータベースは、CPU121の記憶装置121D内に設けず、別の箇所、例えば通信ネットワークNWを介して装置100外に設けても良いし、上記端末300内に設けても良い。
群ファイルF2には、上記識別子「Suzuki-ビーフカレー」のデータには、当該グループを構成する識別子及びこれに対応する物品名、すなわち、「カレー粉 1001」、「牛肉 1002」、「人参 1003」、「ジャガイモ 1004」、「玉ネギ 1005」が互いに関連付けられて記憶されている。また上記識別子「Suzuki-シーフードカレー」のデータには、当該グループを構成する識別子及びこれに対応する物品名、すなわち、「カレー粉 1001」、「玉ネギ 1005」、「エビ 1006」、「ホタテ 1007」、「キノコ 1008」が互いに関連付けられて記憶されている。さらに上記識別子「Suzuki-カルボナーラ」のデータには、当該グループを構成する識別子及びこれに対応する物品名、すなわち、「玉ネギ 1005」、「パスタ 1009」、「ベーコン 1010」、「生クリーム 1011」が互いに関連付けられて記憶されている。
なお、群ファイルF2に、無線タグ情報通信装置100で自ら群化処理して形成した識別情報群以外にも、典型的なパターンとして、予め少なくとも1つの識別情報群(例えば識別子「カレー一般」、「スパゲティー一般」で表されるもの等)が例えば書き換え不能にプリセットされていてもよい。あるいはそれらプリセットされた識別情報群に対し検索抽出を行って対応するものを読み出した後、それをもとに無線タグ情報通信装置100が適宜の修正を行って、新たな識別情報群を形成していくようにしても良い。
図17は、上記基本ファイルF1における記憶内容の例を一覧して示す図であり、上記第1の実施形態の図9に相当する図である。前述したように、各物品に係わる識別情報と、これに対応する物品名、カテゴリ、所属する上記識別情報群の名称(識別子)等とが関連づけられることとなる。
図18は、上記群ファイルF2における記憶内容の例を一覧して示す図であり、上記第1実施形態の図10に対応する図である。前述したように、各識別情報群に係わる識別子(「Suzuki-ビーフカレー」「Suzuki-シーフードカレー」「Suzuki-カルボナーラ」等)と、これに対応する各物品の識別番号とが関連付けられることとなる。
なお、この群ファイルF2の各データは、上述したように、所定条件を満たした群化処理によって利用者L固有のものを作成したものであってもよい。販売店側で予め作成しておいた汎用のものであってもよいし、この汎用のものを利用者Lが編集あるいは購入挙動によって修正したものであってもよい。
図19は、本実施形態における上記無線タグ情報通信装置100に備えられたCPU121が実行する制御手順を表すフローチャートであり、上記第1の実施形態の図11に相当する図である。
図19において、まずステップS400で、上記図11のステップS100同様、例えば利用者Lが無線タグ情報通信装置100の所定の箇所にICカード18を設置することにより、本人認証制御部126及び第2アンテナ128を介し無線通信による信号送受を行い、そのICカード18(あるいは携帯電話等、それ以外の本人認証手段でも良い)に関する本人認証処理(利用者認証処理)を行う。なお、この場合ICカード18としては、販売店が発行する会員カード、ポイントカード等でもよい。これにより、利用者情報(例えば「SUZUKI」)が読み出されて取得される。
その後、ステップS402に移り、利用者Lがカート20内に入れた物品に取り付けられている無線タグ回路素子Toの識別情報(タグID)を読み取って取得する。すなわち、アンテナ130より通信距離範囲内(言い換えればカート20内)の無線タグ回路素子Toに対する呼びかけ信号であるScroll ALL ID信号(無条件情報取得命令。又は前述したようにPing信号等の探索命令等でも良い)を出力し、サーチ対象であるカート20内の全無線タグ回路素子Toからのリプライ信号の返信を促す。上記「Scroll
ALL ID」信号等に対応してサーチ対象の無線タグ回路素子Toから送信された返答信号(=リプライ信号)はアンテナ130で受信され、上記受信部213を介しCPU121に取り込む(その後メモリ123に記憶する)。なお、上記ステップS400が終了したらステップS402において(特に利用者Lの操作なく)自動的に上記のように(通信範囲内の)読み取り処理を行うようにすることで、利用者Lによる読み取り操作等の入力が不要となり、利用者Lの負担や労力を低減することができる。
そして、ステップS500に移り、上記ステップS402で取得した無線タグ回路素子Toの各識別情報について、群ファイルF2に対応する識別情報群が記憶されていればその識別情報群を構成する各識別情報と比較照合し、不足している物品があれば買い忘れかどうかの検討の必要有りと判断して利用者Lに通知(警告)するグループ(群)照合処理を行う。
その後、ステップS412において、上記照合によって所定条件が満たされた(この例では後述のように同一のカテゴリの複数物品がカート20内に投入されたとき)識別情報を選択抽出した後、ステップS414に移って、それら抽出された識別情報を、互いにひとつの識別情報群として関連づける(=群化する)群化処理を行う。具体的には、前述の利用者情報を用いた共通の識別子(前述の「Suzuki-ビーフカレー」等)を対応する基本ファイルF1の各データに書き込むとともに、その識別子をもつ群ファイルF2のデータ(各識別情報を含む)を新たに生成する(図16参照)。これら新たなデータは記憶装置121Dの基本ファイルF1及び群ファイルF2へ記憶され格納保持された後、このフローを終了する。
図20は、上記ステップS500の詳細手順を表すフローチャートである。まず、ステップS502において、図12のステップS202と同様、前述のステップS402にてメモリ123に記憶された無線タグ回路素子Toの識別情報(「1001」、「1002」等)を読み出す。
その後、ステップS504において、前述のステップS204と同様、記憶装置121Dのデータベースにアクセスし、上記ステップS502で読み出した識別情報に対応する識別情報群(構成要素として当該識別情報を含む識別情報群)をすべて検索して抽出する。なお、このとき抽出された識別情報群の名称(識別子)を表示するための信号(抽出結果表示信号)を無線タグ情報通信装置100の上記表示部140(図5参照)に対し出力し、当該名称を表示するようにしてもよい(第1表示信号生成手段)。
そして、ステップS505において、上記ステップS502で読み出した識別情報(=今回利用者Lが利用しているカート20内に存在する物品の無線タグ回路素子Toから取得した識別情報)と、上記ステップS504にて検索した(=対応するものとしてヒットした)識別情報群を構成する全識別情報とを比較し、各識別情報群ごとに、それを構成する複数の識別情報のうち所定割合(例えばこの例では70%)の識別情報が上記ステップS502で読み出した識別情報と一致するかどうかを判定する。
なおこのときの一致判定は、前述のカテゴリ情報を用いて、各カテゴリごとに行う。例えば図15に示す例では、7月9日(土)において、利用者Lは、カレー粉(識別番号1001、カテゴリ「カレー」、所属する識別情報群「ビーフカレー」「シーフードカレー」)、玉ネギ(識別番号1005、カテゴリ「カレー」「パスタ」、所属する識別情報群「ビーフカレー」「シーフードカレー」「カルボナーラ」)、エビ(識別番号1006、カテゴリ「カレー」、所属する識別情報群「シーフードカレー」)、ホタテ(識別番号1007、カテゴリ「カレー」、所属する識別情報群「シーフードカレー」)、キノコ(識別番号1008、カテゴリ「カレー」、所属する識別情報群「シーフードカレー」)、パスタ(識別番号1009、カテゴリ「パスタ」、所属する識別情報群「カルボナーラ」)、ベーコン(識別番号1010、カテゴリ「パスタ」、所属する識別情報群「カルボナーラ」)、生クリーム(識別番号1011、カテゴリ「パスタ」、所属する識別情報群「カルボナーラ」)を購入している。
この場合、上記ステップS505では、まず「カレー」のカテゴリに属するカレー粉(識別番号1001)、玉ネギ(識別番号1005)、エビ(識別番号1006)、ホタテ(識別番号1007)、キノコ(識別番号1008)について、上記ステップS504にてヒットした各識別情報群ごとに、70%の識別情報が一致するかどうかを判定する。この場合、図16に示したように、これらカレー粉、玉ネギ、エビ、ホタテ、キノコはまさに「Suzuki-シーフードカレー」に属する識別情報と100%一致する(なお、これらカレー粉、玉ネギ、エビ、ホタテ、キノコの場合「Suzuki-ビーフカレー」に属する識別情報に対してはカレー粉と玉ネギの40%しか一致せず、該当しない)ので、まずカテゴリ「カレー」のこれら識別情報についてステップS505の判定が満たされる。なおこの場合、判定基準が前述のように70%以上であるので、利用者Lがどれか1つ(例えばキノコ)をこの時点でカート20に投入していなかったとしても、ステップS505の判定は(80%でクリアするので)満たされることとなる。
一方、上記ステップS505ではまた、「パスタ」のカテゴリに属する玉ネギ(識別番号1005)、パスタ(識別番号1009)、ベーコン(識別番号1010)、生クリーム(識別番号1011)についても、上記ステップS504にてヒットした各識別情報群ごとに、70%の識別情報が一致するかどうかを判定する。この場合、図16に示したように、これら玉ネギ、パスタ、ベーコン、生クリームはまさに「Suzuki-カルボナーラ」に属する識別情報と100%一致するので、カテゴリ「パスタ」のこれら識別情報についてもステップS505の判定が満たされる。なおこの場合、判定基準が前述のように70%以上であるので、利用者Lがどれか1つ(例えば生クリーム)をこの時点でカート20に投入していなかったとしても、ステップS505の判定は(75%でクリアするので)満たされることとなる。
このように、2つの異なる献立あるいはカテゴリにわたる食材がカート20内に混在している場合でも、それぞれに対応して識別情報の一致を判定できるようにすることにより、新たに取得された識別情報が比較的多数であったりあるいはそのために複数の識別情報群にわたるものであったりした場合でも、的外れな検索や抽出を行ったりエラーとなってしまうのを回避しつつ、素早い円滑な処理を実行することができる。
なお、上記ステップS505において、前述のように所定の割合以上の一致とせずに、所定の品目数量以上一致しているかどうかを判定するようにしてもよい。あるいはこのステップS505において、今回取得した識別情報(今回利用者Lが買い物用カート20内に入れた物品の識別情報)の組み合わせと、群ファイルF2に記憶されている各識別情報群の各構成要素(識別情報)とを比較算出し、上記70%のようなあてはまりの確からしさを上記表示部140に表示させるようにしてもよい(第2表示信号生成手段)。この場合、新たに取得された識別情報の属する識別情報群を類推した際の、例えばその類推の該当確率や根拠等を利用者L側に通知することができる。
以上のようにしてステップS505の判定が満たされたらステップS506に移る。ステップS505の判定が満たされない場合、このルーチンを終了する。
ステップS506では、ステップS505において判定が満たされた(すなわち群ファイルF2のデータと所定割合以上の合致した)識別情報について、カテゴリごとに、対応する料理名ごとに分別する。前述した例では、カレー粉(識別番号1001、カテゴリ「カレー」)、玉ネギ(識別番号1005、カテゴリ「カレー」「パスタ」、)、エビ(識別番号1006、カテゴリ「カレー」)、ホタテ(識別番号1007、カテゴリ「カレー」)、キノコ(識別番号1008、カテゴリ「カレー」)、パスタ(識別番号1009、カテゴリ「パスタ」)、ベーコン(識別番号1010、カテゴリ「パスタ」)、生クリーム(識別番号1011、カテゴリ「パスタ」)を、「カレー」のカテゴリに属し上記のように「Suzuki-シーフードカレー」に属するカレー粉(識別番号1001)、玉ネギ(識別番号1005)、エビ(識別番号1006)、ホタテ(識別番号1007)、キノコ(識別番号1008)と、「パスタ」のカテゴリに属し上記のように「Suzuki-カルボナーラ」に属する玉ネギ(識別番号1005)、パスタ(識別番号1009)、ベーコン(識別番号1010)、生クリーム(識別番号1011)に分別処理する。
その後、ステップS507に移り、記憶装置121Dのデータベースにアクセスし、上記ステップS505、ステップS506で所定割合(上記の例では70%)が一致するものとしてリストアップした識別情報群(前述の例では「シーフードカレー」「カルボナーラ」)について、その全構成要素の識別情報(言い換えれば全物品)を読み出す。これにより、前述の例では「Suzuki-シーフードカレー」を構成する「カレー粉 1001」、「玉ネギ 1005」、「エビ 1006」、「ホタテ 1007」、「キノコ 1008」と、「Suzuki-カルボナーラ」を構成する「玉ネギ 1005」、「パスタ 1009」、「ベーコン 1010」、「生クリーム 1010」とがそれぞれ組となった形で読み出される。
その後、ステップS508において、上記ステップS502で読み出した識別情報(=今回利用者Lが利用しているカート20内に存在する物品の無線タグ回路素子Toから取得した識別情報)と、上記ステップS507にて読み出した、識別情報群を構成する全識別情報とを比較し、漏れている識別情報があるかどうかを判定する。漏れている識別情報がなければ(=識別情報群を構成する全識別情報と一致すれば)判定が満たされず、買い忘れ等による欠品なしとみなされてこのルーチンを終了する。
一方、ステップS508において識別情報群から漏れている識別情報があれば、当該識別情報に対応する物品は買い忘れ等の可能性があるとみなされ、次のステップS510に移る。
ステップS510では、上記ステップS508で漏れていた識別情報に関し、前述の物品データベースにアクセスし、当該識別情報に対応する物品名等の物品情報を取得した後、音声又は表示を用いて不足物品として利用者Lに報知する。
これにより、例えば前述したように、利用者Lが「Suzuki-シーフードカレー」を構成するカレー粉、玉ネギ、エビ、ホタテ、キノコのどれか1つ(例えばキノコ)をこの時点でカート20に投入していなかった場合には、ステップS505の判定は(80%でクリアするので)満たされるものの、ステップS508で当該キノコが漏れているものして認識され、ステップS510でその旨が利用者Lに報知されることとなる。あるいは同様に、利用者Lが「Suzuki-カルボナーラ」を構成する玉ネギ、パスタ、ベーコン、生クリームのどれか1つ(例えば生クリーム)をこの時点でカート20に投入していなかった場合には、ステップS505の判定は(75%でクリアするので)満たされるものの、ステップS508で当該生クリームが漏れているものして認識され、ステップS510でその旨が利用者Lに報知されることとなる。
なお、具体的な報知方法としては、例えば無線タグ情報通信装置100の上記表示部140(図5参照)に制御信号(被関連識別情報信号)を出力して所定の(警告、点滅等の)表示を行うようにすれば良い(第3表示信号生成手段)。あるいは、音声駆動部に制御信号を出力して所定のアラーム音声鳴動等を行うようにしてもよい。さらには、第2アンテナ128を介し利用者Lの所持する携帯電話等に通信制御を行い、表示や音声出力等を行わせるようにしても良い。
その後、ステップS600に移り、利用者Lに通知した不足品目について、不足品目を買い足したか、今回不足品目の購入を見合わせるか、今後不足品目の通知が不要であるので群ファイルF2から削除するかの判別を含む不足物品確認処理を行い、このルーチンを終了する。
図21は、上記ステップS600の詳細手順を表すフローチャートである。なお、このフローは、例えば利用者Lが買い物用カート20内に物品を入れてレジで会計する直前に(レジから適宜の信号を受信する等により)開始するようにすればよい。
まず、ステップS602において、前述の図20におけるステップS510に対応して、利用者Lが「今回は不足物品を購入しない」旨の適宜の操作(キーやボタン等の操作)を操作部110で行ったか否かを判断する。利用者Lが、表示部140に表示されている不足物品の品目を承知の上で、当該物品は既に購入済みで家にあるために今回購入しないこととして上記「今回は不足物品を購入しない」旨を操作入力した場合、上記ステップS602の判定が満たされてこのルーチンを終了する。前述の図15に示した例では、例えば7月3日(日)の場合がこれに該当し、識別情報群「Suzuki-ビーフカレー」の各要素である識別情報との比較を行ったときに、玉ネギに対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく警告が行われ、例えば前日及び前々日にも玉ネギを購入しており家に残りがあった等の理由により利用者Lはこの日は購入しない旨の操作入力を行っている。
一方、利用者Lが操作部110にて上記「不足物品を購入しない」旨の操作入力を行わなかった場合には、次のステップS604に進む。ステップS604では、利用者Lが「不足品目を群ファイルF2のデータから削除する」旨の適宜の操作(キーやボタン等の操作)を操作部110で行ったか否かを判断する。利用者Lが、例えば当該品目についてはもう今後は購入しないこととして上記「不足品目を群ファイルF2のデータから削除する」旨を入力した場合、ステップS604の判定が満たされてステップS606に移る。前述の図15に示した例では、例えば7月11日(月)の場合がこれに該当し、識別情報群「Suzuki-ビーフカレー」の各要素である識別情報との比較を行ったときに、人参に対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく警告が行われ、例えば野菜の値段の変化、味付けの嗜好の変化等に沿って材料を(この例ではピーマンに)変更した等の理由により、利用者Lは今後識別情報群「Suzuki-ビーフカレー」の要素の1つである人参をピーマンを削除する旨の操作入力を行っている。
ステップS606では、この時点で読み出している対応する識別情報群の構成要素(各識別情報)から、不足品目として利用者Lに通知している当該物品の識別情報を削除する。このとき、この削除によって内容が変化した当該識別情報群の名称(識別子)を変えるようにしても良い。特に、前述のようにプリセットされている識別情報群に対しこのような識別情報の削除を行った場合は利用者L固有の料理名として新たに登録すれば、利用者L固有の識別情報群のデータをこの時点で学習により生成することができ、効果的である。
一方、ステップS604において、利用者Lが上記「不足品目を群ファイルF2のデータから削除する」旨を入力しなかった場合、ステップS604の判定が満たされず、ステップS607に移る。ステップS607では、前述のステップS402と同様、カート20内の物品の無線タグ回路素子Toの識別情報を読み取って取得した後、ステップS608に移る。
ステップS608では、上記ステップS607での読み取り結果に応じ、前述の不足物品が買い物用カート20内に追加投入されたかどうかを判定する。利用者Lが表示部140に表示されている不足物品の品目を承知して、(買い忘れに気づいて)当該物品を追加して買い物用カート20内に新たに投入した場合は当該物品の識別情報がCPU121側で取得されるのでこの判定が満たされ、このルーチンを終了する。前述の図15に示した例では、例えば7月7日(木)の場合がこれに該当し、識別情報群「Suzuki-カルボナーラ」の各要素である識別情報との比較を行ったときに、生クリームに対応する無線タグ回路素子Toの検出がなく警告が行われ、利用者Lは生クリームを追加購入している。
一方、上記のような不足物品の買い物用カート20内への追加投入がない間はステップS608の判定が満たされずステップS610に移り、所定の時間TWが経過するまでは判定が満たされず、上記ステップS602に戻って同様の手順を繰り返す。所定の時間が経過した(=タイムアウト)の場合には、ステップS610の判定が満たされて、このルーチンを終了する。
以上のようにして、図21に示すルーチンでは、利用者Lに通知した不足品目について、不足品目を買い足したか、今回不足品目の購入を見合わせるか、今後不足品目の通知が不要であるので群ファイルF2のデータから削除するかの3つの対応のうちいずれを利用者Lが選択したかの判別を行う。
以上において、制御回路120のCPU121が実行する図19に示したフローのステップS402及び図21のステップS607が、各請求項記載の、物品に関連して取り扱われる無線タグ回路素子の識別情報を、装置側アンテナを介した無線通信により取得する情報取得手段を構成する。また、図19のステップS412が、この情報取得手段で取得した複数の識別情報を、予め定められた条件が満たされるごとに自動的に少なくともひとつの識別情報群として関連付ける群化処理手段を構成し、ステップS414が、この群化処理手段で関連付けられた識別情報群又は各識別情報群を表す識別子を、出力する出力手段を構成する。
また、図20に示したステップS504が、記憶手段に記憶された若しくは対応する識別子が記憶された複数の識別情報群のうち、新たに情報取得手段で取得された複数の識別情報に対応する識別情報群を検索し抽出する検索手段を構成する。
以上のように構成した本実施形態の無線タグ情報通信装置100においては、上述したように、カート20内の各物品に対し無線タグ回路素子Toが添付等されており、例えば買い物の都度、各無線タグ回路素子Toの識別情報(「1001」等)が無線通信によって無線タグ情報通信装置100側にて取得され、それら複数の識別情報が所定の条件を満たすようになると(上記の例では同一カテゴリの複数の物品がカート20内に投入されると)、自動的にひとつの識別情報群として関連付けられ、データベースで群ファイルF2として書き込まれて記憶される(また基本ファイルF1の各識別情報データにも「Suzuki-ビーフカレー」等の識別子が書き込まれる。図19のステップS412参照)。このように、取得される識別情報を自動的に関連付けて群化し記憶させ蓄積することにより、その後新たに識別情報が取得された際(例えばその後の買い物の際)、当該識別情報を既に蓄積された群ファイルF2の識別情報群と照合する(図20のステップS504参照)。そして、その識別情報群に共通に対応付けられる利用者L側の用途(料理献立)等に基づき、今回取得された識別情報についてもその用途(=例えば同一のメニュー等)に対応するものであると類推して、上記照合結果に応じて、買い忘れ品の存在の可能性を、利用者L側に表示し報知することができる(図20のステップS510参照)。
このように、利用者L側が自ら入力や登録等の各種操作を行わなくても無線タグ情報通信装置100側で自動的にデータ蓄積を行うとともに、その蓄積データを利用し先回りして利用者L側の用途等に適応した処理(上記の例では買い忘れ検知及び警告)を実行してくれるので、利用者Lの負担や労力を大きくすることなく高い利便性で物品管理を行うことができる。
また、本実施形態では特に、無線タグ情報通信装置100をカート20に設けたことにより、物品がカート20へ投入されたりとり出された場合に速やかに応答して処理できる。また表示部140によって個々の利用者Lそれぞれに個別に各種情報を提供できるという効果もある。
また、本実施形態では特に、前述多様に「カレー一般」「スパゲティー一般」等として予め記憶装置121D(又は販売店サーバ300の記憶手段)に蓄積されたプリセット識別情報群を利用可能とすることにより、例えば、稼動初期にてデータ蓄積が必ずしも十分でないときでも、当該記憶手段に典型例として用意されたそれらプリセット識別情報群を用いて円滑に検索抽出及びその後の処理を行うことができる。
なお、上記第2の実施形態では、上記第1の実施形態と異なり、同一カテゴリの複数物品を同一の買い物機会で1度購入したらそれらを群化処理した(図19のステップS412参照)が、これに限られず、複数回の購入を条件としても良い。いずれにしても、(1回の回数頻度も含む)所定の回数や頻度条件に達したら(言い換えれば上記情報取得繰り返し回数が所定の条件に達したら)上記群化処理を行うようにすればよい。
また、上記実施形態では、図21に示すフローのステップS606である識別情報群に属する識別情報を削除操作可能とすることで、効果的に利用者Lのオリジナルメニューを作成できることとしたが、これに限られない。逆に、ある識別情報群に属する全構成要素の識別情報に対し、同一のカテゴリに属する別の識別情報を追加することで利用者Lのオリジナルメニューを作成できるようにしてもよい。このようにすればさらに利便性の点で効果的である。
なお、以上で用いた「Scroll All ID」、「Scroll ID」、「Ping」等の信号及びコマンドは、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。