JP4640280B2 - ロール紙排紙スタッカ及び該ロール紙排紙スタッカを備えた記録装置 - Google Patents

ロール紙排紙スタッカ及び該ロール紙排紙スタッカを備えた記録装置 Download PDF

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本発明は、所定長さにカットされ且つ上方に凸となるカール癖を残した状態で排紙手段から排紙されるロール紙をスタックするロール紙排紙スタッカに関する。また、本発明は、該ロール紙排紙スタッカを備えた記録装置に関する。
FAX、プリンタ等に代表される記録装置においては、被記録材としてロール紙が用いられることがある(例えば、特許文献1、2参照)。ロール紙は長尺に渡って連続的に印刷動作が可能である点で利便性が良いが、近年、この様なロール紙を使用可能な民生用のプリンタ、特に、写真画質を実現可能なインクジェットプリンタが開発され、デジタルカメラ等によって撮影された写真を、銀塩写真並の高画質で、ロール紙に長尺に渡って印刷可能となっている。
ここで、ロール紙は長尺である為、複数枚の写真の連続印刷を行った様な場合には、印刷後、ユーザ自らが写真サイズに切断する必要がある。従って、この様な切断作業を不要とする為に、排紙部にカッター装置を設け、当該カッター装置によって自動で切断作業を行う様に構成することもできる。
特開平7−61681号公報 特開平6−80297号公報
しかし、ロール紙は巻き解かれた後も巻き取り癖(カール癖)が残る為、前記カッター装置の下流側に単票紙用の排紙スタッカ、例えば、略水平なスタック面を有する排紙スタッカが設けられていても、所定長さにカットされた後に排出されるロール紙は、そのカール癖によって規則正しくスタックされず、例えばスタック面上において印刷面同士が干渉し、以て印刷面を傷める場合もある。
そこで本発明はこの様な問題に鑑みなされたものであり、その課題は、所定長さにカットされた後に排出される、カール癖を有するロール紙を、規則正しくスタックすることのできるロール紙排紙スタッカを得ることにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、所定長さにカットされ且つ上方に凸となるカール癖を残した状態で排紙手段から排紙されるロール紙をスタックするロール紙排紙スタッカであって、凸曲面が上を向いた状態の前記ロール紙先端部が当接する当接部と、該当接部から排紙方向下に位置する、凸曲面が下を向いた状態の前記ロール紙を受けるロール紙受け面と、を備え、前記ロール紙が、排紙方向を側視して前記当接部に当接した部分を支点に回転することにより、凸曲面を下にした状態で前記ロール紙受け面に落下する様に構成されたことを特徴とする。
本態様によれば、排紙手段によって排紙される際に上方に凸となるカール癖を有するロール紙は、先端部が当接部に当接し、当該当接した部分を支点に排紙方向を側視して回転することによって凸曲面が下となる様に姿勢を変え、そして前記当接部から排紙方向下に位置するロール紙受け面に、凸曲面が下を向いた状態で落下する。従って、排紙されるロール紙は凸曲面が下を向いた状態で次々とロール紙受け面に落下し、スタックされるので、これによってカール癖を有するロール紙を規則正しくスタックすることが可能となる。
また、凸曲面が上を向いた状態のロール紙上面に記録を行う場合には、記録面が下を向いた状態で前記ロール紙受け部へ落下し、そして順次スタックされることになる。従って通常の排紙スタッカ、即ち、記録面を上にした状態で、後から排紙される用紙が当該記録面の上に積み上げられていく排紙スタッカとは異なり、スタックされたロール紙の束は記録面を上にした状態で上位から下位に向かって記録順となり、以てユーザの利便性を向上させることが可能となる。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、前記ロール紙受け面が、前記凸曲面の形状に追従して変形可能であることを特徴とする。
本態様によれば、前記ロール紙受け面が、ロール紙の凸曲面の形状に追従して変形可能であるので、紙質、巻き取り径、使用環境(温度、湿度)等によってその度合いが変動するロール紙のカール癖に追従して常に最適なロール紙受け面を形成することが可能となる。
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、前記ロール紙受け面が布材によって形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、ロール紙の凸曲面の形状に追従して変形可能なロール紙受け面が布材によって形成されているので、前記ロール紙受け面を簡易に且つ低コストに構成できると共に、布材であるのでロール紙の記録面を傷めることがなく、以て適切な状態でロール紙をスタックすることができる。
本発明の第4の態様は、上記第1の態様において、前記ロール紙の両側端側において排紙方向に延びるアーム部材と、該アーム部材において前記排紙手段側に設けられる、該アーム部材と直交する第1の支持軸と、前記アーム部材において前記第1の支持軸から排紙方向側に所定間隔を置いて設けられる、前記第1の支持軸に平行な第2の支持軸と、前記第1の支持軸と前記第2の支持軸とにより、排紙方向を側視して下に凸となる様な湾曲状態に垂下される布材と、からなり、該布材において前記第1の支持軸から垂下された部分が前記当接部を形成し、且つ、該布材の湾曲面が前記ロール紙受け面を形成する様に構成されたことを特徴とする。
本態様によれば、ロール紙受け面が布材によって形成されているので、ロール紙受け面がロール紙のカール癖に追従して変形し、従って前述した第2及び第3の態様と同様な作用効果を得ることができると共に、前記当接部も当該布材によって形成されているので、ロール紙先端と布材との摩擦係数が高まり、これによってロール紙は先端を支点に回転し易くなり、以て安価に且つ簡易にロール紙の凸曲面を下にする構成を得ることが可能となる。
本発明の第5の態様は、上記第4の態様において、前記第1の支持軸が断面視において長方形の形状をなし、且つ、当該長方形の形状によって排紙方向下に向かう傾斜面を形成する様に設けられていることを特徴とする。
前記アーム部材が例えば記録装置を構成する排紙スタッカに設けられる場合、排紙されるロール紙は、先ず最初に前記排紙スタッカのスタック面に当接し、排紙動作に従って当該スタック面上を下流側に進み、やがて当該ロール紙排紙スタッカに到達する。ここで、前記スタック面の下流側端部と当該ロール紙排紙スタッカの上流側端部との間、即ち、前記スタック面の下流側端部と前記第1の支持軸との間に隙間があると、排紙されるロール紙の先端は当該隙間部分に入り込み、従ってロール紙が当該ロール紙排紙スタッカ内にスタックされない事態が生ずることになる。しかし一方で、これを防止する為に前記第1の支持軸と前記スタック面の下流側端部との隙間を狭くする(密着させる)と、当該第1の支持軸を着脱する際の作業性が低下することになる。
しかし、本発明の第5の態様によれば、前記第1の支持軸が断面視において長方形の形状をなし、且つ、当該長方形の形状によって排紙方向下に向かう傾斜面を形成する様に設けられているので、傾斜面の上方を前記スタック面の下流側端部に接近させることによって前述の様な被記録材先端の入り込みを防止し、傾斜面の下方を前記スタック面の下流側端部から離すことによって着脱の際の作業性を容易にすることが可能となる。
本発明の第6の態様は、上記第4のまたは第5の態様において、前記第1の支持軸が前記アーム部材から取り外し可能に設けられ、且つ、前記アーム部材と前記第2の支持軸とが一体的に形成されることによって平面視略コの字形の形状をなし、該平面視略コの字形の形状が拡開することによって前記アーム部材の被設部に着脱可能に設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1の支持軸が前記アーム部材から取り外し可能に設けられ、且つ、前記アーム部材と前記第2の支持軸とが一体的に形成されることによって平面視略コの字形の形状をなし、該平面視略コの字形の形状が拡開することによって前記アーム部材の被設部に着脱可能に設けられているので、前記アーム部材と前記第2の支持軸とを低コストで構成でき、且つ、着脱可能な構成を低コストに得ることができる。
本発明の第7の態様は、上記第6の態様において、前記第1の支持軸が、前記アーム部材に取り付けられた状態において前記平面視略コの字形の形状の拡開を防止するストッパ機能を備えていることを特徴とする。本態様によれば、これによって使用時には前記平面視略コの字形の形状が拡開することによって当該ロール紙排紙スタッカが脱落することなく、従って常に確実にロール紙をスタックすることができる。
本発明の第8の態様は、被記録材に記録を行う記録部と、該記録部によって記録の行われた被記録材を排紙する排紙手段と、を備えた記録装置であって、本発明の第1から第7の態様のいずれかに記載のロール紙排紙スタッカを備えたことを特徴とする。
本態様によれば、被記録材に記録を行う記録部と、該記録部によって記録の行われた被記録材を排紙する排紙手段と、を備えた記録装置が、本発明の第1から第7の態様のいずれかに記載のロール紙排紙スタッカを備えているので、前述した本発明の第1から第7の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることが可能となる。
本発明の第9の態様は、被記録材に記録を行う記録部と、前記記録部において記録の行われた被記録材を排紙する、回動駆動される排紙駆動ローラと、該排紙駆動ローラとの間で被記録材をニップして従動回動する排紙従動ローラと、スタッカ基部及び該スタッカ基部から排紙方向に引き出し可能な引き出し部によって使用状態と収納状態とをとることができ、且つ、上流側端部に回動支点を備えることによって回動可能に設けられる排紙スタッカと、略水平姿勢となった前記排紙スタッカの上流側上方に設けられ、排紙される被記録材を所定長さでカットする、着脱可能に設けられるカッター装置と、を備えた記録装置であって、本発明の第1から第7の態様のいずれかに記載のロール紙排紙スタッカが、前記収納状態にある前記排紙スタッカに着脱自在に設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、上記構成を備えた記録装置が本発明の第1から第7の態様のいずれかに記載のロール紙排紙スタッカを備えているので、前述した本発明の第1から第7の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<インクジェットプリンタの構成>
先ず、図1乃至図3を参照しつつ本発明に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の全体構成について説明する。ここで、図1及び図2はプリンタ100の外観斜視図であり、図3は同側断面図である。
図1において、プリンタ100は装置本体3の後方側(上流側)に給紙装置2を、前方側(下流側)に、後に詳説する排紙スタッカ1を備え、被記録材としての用紙P(図3参照)を給紙装置2によって後方側から給送し、前方側に設けられた用紙排出口6から排紙スタッカ1に向けて排出する構成を有している。
給紙装置2にはロール状に巻かれたロール紙ロールRを回動可能に軸支するロール紙ホルダ5が装着可能となっていて、また、プリンタ100の用紙排出口6には、ロール紙或いは単票紙を所定長さでカットするカッターユニット4が装着可能となっている。図2は、ロール紙ホルダ5を給紙装置2の後方側に装着し、且つ、カッターユニット4を用紙排出口6に装着した状態を示すものである。この様に、プリンタ100は単票紙とロール紙の双方を使用可能に構成され、且つ、所定の長さでカット可能に構成されている。
図1及び図2において排紙スタッカ1は装置前方及び後方に向かって伸縮する構成(3段構成)となっていて、装置前方に向かって伸びることによって上面が用紙Pの広いスタック面を形成し、以て図1及び図2に示す使用状態となる。また、装置後方に縮み、且つ、回動軸30a(図4参照)を中心に上方に回動することによって収納状態となる(当該収納状態は図示省略)。尚、排紙スタッカ1のより詳細な構成については後に説明することとし、また、本実施形態におけるプリンタ100は、カッターユニット4によって所定長さにカットされた、カール癖の残ったロール紙を規則正しくスタックするロール紙排紙スタッカ7を着脱可能に備えているが(図8参照)、当該ロール紙排紙スタッカ7の詳細な構成についても、後に説明する。
次に、図3を参照しつつプリンタ100の内部構成について説明する。先ず、前述の様にプリンタ100は後部(図3の右側)に給紙装置2を備えている。給紙装置2はホッパ16を備え、該ホッパ16上に単票紙としての用紙Pを傾斜姿勢で堆積・収納する。尚、ロール紙の場合はホッパ16の下側から下流側に向かって給送される(図示は省略)。ホッパ16は給紙装置2の後部上方に位置する回動支点(図示せず)を中心に回動可能に設けられ、その先端部が回動駆動される給紙ローラ14に対して圧接及び離間動作する様になっている。堆積された用紙Pの最上位のものは、ホッパ16が給紙ローラ14に対して圧接動作を行い、当該圧接状態において給紙ローラ14が回動することによって下流側に繰り出される。給紙ローラ14は側面視略D形の形状をなしていて、印刷動作時にはその平坦部が用紙Pに対向する状態に制御され(図3の状態)、これによって用紙Pの搬送負荷を軽減する。
給紙ローラ14から下流の下側には板状体としての紙案内15が略水平に設けられ、給紙装置2から繰り出された用紙Pの先端が該紙案内15に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内15から下流には回動駆動される搬送駆動ローラ19aと、該搬送駆動ローラ19aに圧接する搬送従動ローラ19bと、からなる搬送ローラ19が設けられ、用紙Pは、当該搬送ローラ19によってニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。
搬送従動ローラ19bは搬送従動ローラホルダ18の下流側において軸支され、当該搬送従動ローラホルダ18は、回動軸18aを中心に図3の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられ、且つ、ねじりコイルばね(図示せず)によって搬送従動ローラ19bが常に搬送駆動ローラ19aに圧接する方向(図3の反時計方向)に回動付勢されている。
次に、給紙ローラ14から搬送ローラ19に至る用紙Pの給送経路上には、用紙Pの通過を検出する、センサ本体部17aと検出子17bとからなる用紙検出器17が配設されている。検出子17bは側面視略「く」の字の形状をなし、その中央付近の回動軸17cを中心に図3の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられ、回動軸17cから下側は、下流から上流に進む用紙Pの先端と緩やかな角度で滑らかに当接する様に形成されている。
検出子17bの上方に位置するセンサ本体部17aは発光部(図示せず)及び該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備え、検出子17bの回動軸17cから上側が、その回動動作により、前記発光部から前記受光部に向かう光の遮断及び通過を行う様になっている。よって、図3に示す様に用紙Pの通過に伴って検出子17bが上方に押し上げられるように回動すると、検出子17bの上側がセンサ本体部17aから外れ、これによって前記受光部が受光状態となって、用紙Pの通過を検出する様になっている。
続いて、搬送ローラ19の下流には、プリンタ100の記録部(記録手段)を構成する、プラテン28及びインクジェット記録ヘッド13が上下に対向する様に配設されている。プラテン28は主走査方向(図3の紙面表裏方向)に長く、搬送ローラ19によってインクジェット記録ヘッド13の下へ搬送される用紙Pは、プラテン28によって下から支持される。インクジェット記録ヘッド13はインクカートリッジ11を搭載するキャリッジ10の底部に設けられ、該キャリッジ10は、主走査方向に延びるキャリッジガイド軸12にガイドされながら主走査方向に往復動する。
次に、インクジェット記録ヘッド13から下流はプリンタ100の排紙部(排紙手段)となっていて、回動駆動される排紙駆動ローラ20aと、該排紙駆動ローラ20aに軽く圧接することによって従動回動する排紙従動ローラ20bと、からなる排紙ローラ20が設けられ、インクジェット記録ヘッド13によって印刷の行われた用紙Pは、排紙ローラ20にニップされつつ排紙駆動ローラ20aが回動することにより排出される。排紙従動ローラ20bは排紙従動ローラホルダ23に軸支され、該排紙従動ローラホルダ23は、排紙従フレーム25に取り付けられている。排紙従フレーム25は主走査方向に長い板状体からなり、当該排紙従フレーム25は、同様に主走査方向に長い板状体からなる排紙主フレーム24に、上から圧接する様な状態で取り付けられている。
続いて、排紙従動ローラ20bのやや上流には排紙補助ローラ22が設けられ、用紙Pは、該排紙補助ローラ22によってやや下方に押しつけられる様になっている。また、排紙駆動ローラ20aと従動従動ローラ20bとのニップ点がやや上流側に設定されていて、更に、搬送駆動ローラ19aと搬送従動ローラ19bとのニップ点がやや下流側に設定されている。以上によって用紙Pは、排紙ローラ20と搬送ローラ19との間で僅かに下に凸となる湾曲状態となり、インクジェット記録ヘッド13の下に位置する用紙Pはプラテン28に押しつけられ、以て用紙Pの浮き上がりが防止され、正常な印刷品質が維持される様になっている。
ここで、用紙Pの後端が搬送ローラ19から外れると、用紙Pは排紙ローラ20のみによってプラテン28に押しつけられる様になる。従ってこの場合、用紙Pの排紙ローラ20から下流側部分が顕著に下方に垂れ下がると、これにつられて用紙Pの排紙ローラ20から上流側部分が浮き上がり、正常な印刷品質が得られなくなる。そこで、プリンタ100においては、カッターユニット4及び後述する排紙スタッカ1によって当該不具合を防止する様に構成されている。
排紙ローラ20の下流に設けられるカッターユニット4は、図1及び図2を参照しつつ説明した様に装置本体3前方側の用紙排出口6に、図示しないスナップ手段によって着脱可能に設けられる。カッターユニット4は主走査方向に往復動可能に設けられるロータリカッター43と、該ロータリカッター43によって用紙Pを剪断する為の板部材44と、ロータリカッター43へ用紙Pを案内するガイド部材45を有し、図示しない駆動モータによってロータリカッター43を主走査方向に往復動させることにより用紙Pをカットする。
以上が、プリンタ100の全体構成である。
<排紙スタッカの構成および作用効果>
次に、図4乃至図7を参照しつつ、排紙スタッカ1の構成および作用効果について詳説する。ここで、図4及び図5は排紙スタッカ1の側面図であり、図4はカッターユニット4を取り外した状態を、図5はカッターユニット4を取り付けた状態を示している。また、図6は用紙排出口6を正面から見た斜視図であり、図7は排紙スタッカ1の分解斜視図である。
先ず、図4において排紙スタッカ1は、薄い箱形の形状をなすスタッカ基部30と、該スタッカ基部30に収納される、薄い箱形の形状をなす第1引き出し部31と、該第1引き出し部31に収納される、薄い箱形の形状をなす第2引き出し部32と、該第2引き出し部32の先端部に設けられる、板状体からなる用紙ストッパ部33と、によって構成され、スタッカ基部30と、第1引き出し部31と、第2引き出し部32とによって、装置前方(排紙方向:図4において左側)及び後方(図4において右側)に伸縮する構成(3段構成)となっている。
スタッカ基部30の上流側(図4及び図5の右側)両側面には回動軸30aが設けられていて、該回動軸30aが、用紙排出口6(図6参照)内の両側壁に設けられた図示しない軸受け部に軸支され、これによって排紙スタッカ1が装置本体3に取り付けられる。そして、使用時には装置前方に向かって伸びることにより、スタッカ基部30と、第1引き出し部31と、第2引き出し部32と、の上面が用紙Pの広いスタック面を形成し、非使用時には、第2引き出し部32が第1引き出し部31に、第1引き出し部31がスタッカ基部30にそれぞれ押し込まれることによって収納状態となり、以てプリンタ100の設置スペースを節約する。また、更には当該収納状態からスタッカ基部30が回動軸30aを中心に上方に回動する(図4の時計方向)ことによって、プリンタ100の設置スペースを更に節約することができる様になっている。
スタッカ基部30は図7に示す様に薄い板状体からなる蓋部30fを、図示しないスナップ手段によって本体部30gに取り付ける構成となっていて、本体部30gに、第1引き出し部31をスライド可能に収納する様になっている。より詳しくは、本体部30gには、第1引き出し部31の両側面をガイドする、排紙方向に延びる様に立設されるガイド板30e,30eが本体部30gと一体的に形成されている。そして、該ガイド板30e,30eにおいて第1引き出し部31と対向する側(内側)には、排紙方向(図5の左右方向)に延びる凸条としてのガイドレール上30bと、該ガイドレール上30bの下側に所定間隔を置いて、ガイドレール上30bと平行に延びる凸条としてのガイドレール下30cがそれぞれガイド板30eと一体的に形成されている。ここで、ガイドレール下30cは、ガイドレール上30bよりも下流側に長く延設されている(図4及び図5も参照)。
一方で、第1引き出し部31の両側面において上流側端部近傍(図5において右側)には、正面視において長方形の形状をなす係合突起31aが形成されている。係合突起31aは、第1引き出し部31がスタッカ基部30内に設けられる際、ガイドレール上30bとガイドレール下30cとの間に入り込む様になっている。即ち、第1引き出し部31をスタッカ基部30の本体部30gに設ける際、係合突起31aをガイドレール上30bの後端(図5の右端)からガイドレール上30bとガイドレール下30cとの間に入れ、これにより、第1引き出し部31がスタッカ基部30から引き出されても、第1引き出し部30bは、ガイドレール上30bとガイドレース下30cとによってスタッカ基部30の本体部30gに保持される。
尚、図7において本体部30g内に形成された突起部30d,30dは、第1引き出し部31の最大引き出し位置を規制するストッパであり、当該突起部30d、30dと、第1引き出し部31に設けられたストッパ部31b,31bとが係合することによって、第1引き出し部31の最大引き出し位置が規制され、これによって第1引き出し部31がスタッカ基部30から脱落しない様になっている。
以上の様に構成されたことによって、排紙スタッカ1は以下の様な作用効果を奏する。即ち、排紙スタッカ1は使用時にプリンタ100の前方側に向かって突出し、且つ、その下側にはプリンタ設置面との間に空間が形成される為(図4及び図5参照)、上方から必要以上の外力が付与されると破損し易い構成となっている。従って、例えば第1引き出し部31がスタッカ基部30の本体部30g内に、蓋部30fによって上方から保持される様に構成されていると、前記外力は強度的に低い蓋部30fに直接加わり、これによって蓋部30fが本体部30gから外れ、或いは、蓋部30fが破損する虞もある。
しかし、上述した様に本実施形態に係る排紙スタッカ1においては、第1引き出し部31が蓋部30fではなく強度的に高い本体部30gに、係合突起31aとガイドレール上30bとの係合によって支持される様になっている。従って、第1引き出し部31或いは第2引き出し部32に上方から必要以上の外力が加えられても、蓋部30fには影響が及ばず、強度的に高い本体部30gによって第1引き出し部31及び第2引き出し部32が支持されるので、これによって排紙スタッカ1の強度を高めることが可能となる。
ところで、本実施形態においては、第1引き出し部31或いは第2引き出し部32に上方から外力が加わると、排紙スタッカ1全体が若干撓むものの、当該排紙スタッカ1により、装置本体3の前方側を支点として装置本体3の後方側が持ち上げ可能となる様な強度となっている。従って、排紙スタッカ1に必要以上の外力が上方から加わった場合においても、排紙スタッカ1が破損する前に装置本体3が上方に持ち上げられ、以て排紙スタッカ1の破損を効果的に防止することが可能となっている。
次に、排紙スタッカ1のスタック姿勢について説明する。排紙スタッカ1は、装置前方に向けて引き出された使用状態において、2つの排紙姿勢を備えている。図4は当該排紙スタッカ1の第1のスタック姿勢を示すものであり、図5は同第2のスタック姿勢を示すものである。
図4において、排紙スタッカ1は下流側端部(図4の左側)が上方向を向く様な傾斜姿勢となり、この様な第1のスタック姿勢において用紙Pをスタックする。ここで、該傾斜姿勢は、図6に示す付勢手段としての押圧板ばね26によって形成される。即ち、図6において、用紙排出口6の両側壁に押圧板ばね26,26が中央に向かって突出する様に設けられていて、スタッカ基部30の上流側端部を該押圧板ばね26,26によって上方から押さえ付ける構成となっている(図4の矢印がばね力の作用方向となる)。つまり、第1のスタック姿勢は強固に保持されない為、従って例えば、前述の様に上方から必要以上の外力が付与された場合には、排紙スタッカ1は押圧板ばね26,26の付勢力によって弾性的に水平方向に回動し、以て排紙スタッカ1の破損を回避することができるという作用効果が得られることになる。
尚、この様な第1のスタック姿勢(傾斜姿勢)によって用紙Pをスタックするのは、以下の理由による。即ち、プリンタ100は前述の様に排紙ローラ20と搬送ローラ19とによって用紙Pを下に凸となる様な湾曲姿勢とし、これによって用紙Pをプラテン28に押しつけ、以て用紙Pとインクジェット記録ヘッド13(図3参照)との距離を規定する。ところが、用紙Pの後端が搬送ローラ19を外れた後は、用紙Pの搬送姿勢を規制するのは排紙ローラ20のみとなる。従って、用紙Pにおいて排紙ローラ20から下流側の部分が下方に顕著に垂れ下がると、この影響によってインクジェット記録ヘッド13下の用紙Pがプラテン28から浮き上がり、正常な印刷品質が得られなくなる。よって、排紙スタッカ1を第1のスタック姿勢(傾斜姿勢)とすることにより、用紙Pの下方への顕著な垂れ下がりを防止し、この様な問題を解決する。
次に、前述したカッターユニット4を用紙排出口6に取り付ける場合、傾斜姿勢となった排紙スタッカ1が邪魔となる。ここで、図5において、カッターユニット4は前述した様に駆動ローラ41と従動ローラ42とを備え、カットされた用紙P(或いはカットされない場合も含む)をこれら2つのローラで送り出す機構を備えている。従って、当該駆動ローラ41と従動ローラ42とによって、用紙Pの後端が搬送ローラ19から外れた場合でも排紙ローラ20の下流側近傍は下方に垂れ下がることがなく、従ってカッターユニット4を装着すれば、前述の様なプラテン28からの用紙Pの浮き上がりの問題を防止できることになる。
そこで、本実施形態に係る排紙スタッカ1は、図4に示す第1のスタック姿勢の他に、図5に示す第2のスタック姿勢を採ることができる様になっている。第2のスタック姿勢は、カッターユニット4を用紙排出口6に装着する際に、カッターユニット4によって排紙スタッカ1を前述の押圧板ばね26,26の付勢力に抗して水平方向に回動させ、そして図示しないスナップ手段によってカッターユニット4を取り付けることによって形成される。即ち、カッターユニット4が、排紙スタッカ1の第2のスタック姿勢を形成する保持手段としての機能を果たしている。
尚、スタッカ基部30の上流側端部には、排紙スタッカ1の、水平姿勢から更に下を向く方向への回動を抑止するストッパ部材27が用紙排出口6に設けられていて(図4乃至図6参照)、これにより、排紙スタッカ1が必要以上に下を向く方向に回動しない様に規制を行っている。
以上により、本実施形態に係る排紙スタッカ1は傾斜姿勢において用紙Pをスタックする第1のスタック姿勢と、該第1のスタック姿勢から水平方向に回動して用紙Pをスタックする第2のスタック姿勢と、の2つの姿勢を切り替え可能に構成されたので、従って、前記第1のスタック姿勢においては、用紙Pの排紙ローラ20から下流側近傍が顕著に下方に垂れ下がらず正常な印刷品質を確保することができると共に、前記第2のスタック姿勢においては、カッターユニット4の装着の際に排紙スタッカ1が邪魔にならない。
尚、第2のスタック姿勢は水平姿勢に限定されず、カッターユニット4を容易に装着可能な傾斜角度であればどの様な角度であっても構わない。
ところで、排紙スタック1のスタック面は、第2のスタック姿勢において第1のスタック姿勢と比してより水平姿勢に近い為、カッターユニット4によってカットされ、排出される用紙Pが排紙スタッカ1上に落下すると、当該排出された用紙Pが排紙スタッカ1から滑り落ち、印刷面を汚す場合も発生する。また、カッターユニット4によってカットされない場合においても、カッターユニット4が装着されることによって排紙スタッカが第2のスタック姿勢にあれば、用紙P(単票紙)は排紙スタッカ1から滑り落ちる場合がある。
そこで、本実施形態に係る排紙スタッカ1は、下流側先端部に、第2のスタック姿勢におけるスタック面よりも下流側上方に向かって急角度で傾斜する傾斜面を備えた用紙ストッパ部33が設けられている。当該用紙ストッパ部は図5に示す様に板状体からなり、回動支点33cを中心に、用紙Pの排紙経路を側視して第2引き出し部32の先端で回動可能に設けられ、回動することによって出没自在となっている。即ち、図4に示す状態が没状態であり、当該没状態において用紙ストッパ部33の表側面33aが、スタッカ基部30,第1引き出し部31の上面と共に用紙Pの滑らかなスタック面を形成する。また、当該没状態から上流側に起き上がる方向に回動した図5に示す状態が出状態であり、当該出状態において用紙ストッパ部33の裏側面33bが第2のスタック姿勢にある排紙スタッカ1のスタック面よりも急な傾斜面を形成する。尚、用紙ストッパ部33はその端部に側面視においてL字形の形状を有し、回動すると、当該L字形状によって第2引き出し部32に形成されたストッパ32aに当接する様になっていて、これによって出状態における傾斜角度が規制される様構成されている。
以上により、排紙スタッカ1に排出される用紙Pは、出状態にある用紙ストッパ部33の急斜面によって先端から下方に滑り落ちることが無く、以て用紙Pの印刷面を汚す等の問題を防止することが可能となっている。また同時に、用紙ストッパ部33は傾斜面によって形成されている為、長尺の用紙P、例えば、カットされないロール紙を排出する際にも、当該用紙ストッパ部33の部分で用紙先端が引っ掛かり、これによって排紙された用紙Pが排紙スタッカ上で滞留せず、当該用紙ストッパ部33を乗り越えることによって排紙スタッカ33上における用紙Pの干渉を防止し、印刷面を汚す等の不具合を防止することが可能となる。
尚、用紙ストッパ部33は不要時、例えば、第1のスタック姿勢(傾斜姿勢)によってスタックを行う場合には、没状態とすることによって用紙Pの排紙動作に邪魔にならない様にすることが可能となる。
<ロール紙排紙スタッカの構成および作用効果>
次に、図8乃至図11を参照しつつ、所定長さにカットされ、且つ、カール癖の残ったロール紙をスタックするロール紙排紙スタッカ7の構成および作用効果について説明する。ここで、図8はロール紙排紙スタッカ7を装着した状態を示すプリンタ100の外観斜視図であり、図9はロール紙排紙スタッカ7の側面図、図10(A)は第1支持軸51の正面図(プリンタ100の正面側から見た図)、図10(B)は同側断面図(図10(A)のx−x断面図)、図11(A)は第1支持軸51の左側軸端部の拡大図(斜視図)、図11(B)は図11(A)におけるy矢視図である。
図8において、ロール紙排紙スタッカ7は、排紙されるロール紙P(図9参照)の両側端側において排紙方向に延びるアーム部材53,54と、該アーム部材53,54と直交する、上流側に設けられる第1支持軸51と、該第1支持軸51から排紙方向に所定間隔を置いて設けられる、第1支持軸51と平行な第2支持軸52と、第1支持軸51と第2支持軸52とにより、排紙方向を側視して下に凸となる様な湾曲状態(図9参照)に垂下される布材50と、によって構成されていて、カッターユニット4が装着され、且つ、排紙スタッカ1の収納状態において、排紙スタッカ1を構成するスタッカ基部30に着脱可能に取り付けられる様になっている。
より詳しくは、アーム部材53,54と、第2支持軸52とは樹脂成形により一体的に形成されていて、平面視においてコの字形の形状をなしている。図9においてアーム部材53,54の上流側(図9の右側)には、前記コの字形の形状の内側に向かって突出する支持突起55(図11(A)も参照)がアーム部材53,54と一体的に形成されていて、一方で排紙スタッカのスタッカ基部30の両側面には、支持突起55が嵌入する嵌合孔30hが形成されている。また、支持突起55の下側にはスタッカ基部30の下面と係合するストッパ部57が形成されていて(図11(A)参照)、従ってアーム部材53,54を図8に示す矢印方向に拡開し、スタッカ基部30を両側から挟む様にして支持突起55を嵌合孔30hに嵌合させると、当該支持突起55及び嵌合孔30hと、ストッパ部57およびスタッカ基部30の下面とによって、アーム部材53,54、即ち、ロール紙排紙スタッカ7が支持される。
次に、図9において、柔軟に変形可能な布材50は平面視において長方形の形状をなし(図示せず)、その長さ(排紙方向長さ)は、第1支持軸51と第2支持軸52との配設間隔よりも充分に長くなっている。また、布材50の上流側と下流側には、それぞれ袋状部50c,50dが形成されている。従って、袋状部50cに第1支持軸51が、袋状部50dに第2支持軸52が挿通することにより、布材50は、第1支持軸51及び第2支持軸52に、排紙方向を側視して下方に凸となる様な湾曲状態に垂下される。
ここで、第2支持軸52は前述の通りアーム部材53,54と一体的に形成されているが、一方で第1支持軸51は、アーム部材53,54から取り外し可能に構成されている。以下、当該第1支持軸51について詳説する。図10(B)に示す様に第1支持軸51は断面が長方形の形状をなし、その両軸端部には、取り付け部58および59が樹脂成形によって一体的に形成されている。
取り付け部58および59は図10(A)に示す様に正面視において略コの字形の形状をなし、その内側には突起58aおよび59aがそれぞれ形成されている。取り付け部58および59は、コの字形の形状が弾性的に拡開することによってアーム部材53,54に弾性的に嵌合し、突起58aおよび59aによってアーム部材53,54を保持する様に取り付けられ、これによって第1支持軸51が容易に外れることなくアーム部材53,54に装着される様になっている。
取り付け部59は、取り付け部58とは異なり内側に突出する掛止突起60が形成されていて、一方で取り付け部58が取り付けられるアーム部材54の側には、図11(A)に示す様なU字形の形状をなす掛止溝56が形成されている。従ってこの様に構成することにより、取り付け部59をアーム部材54に取り付ける際、掛止溝56に掛止突起60を掛止させながら取り付けることになり、装着の方向を間違えること無く第1支持軸51をアーム部材53および54に正しく取り付けることができる様になっている。尚、アーム部材53および54の外側には、図11(B)に示す様な垂直方向に延びる凸条61が形成されていて(図11(B)はアーム部材54の側を示す)、取り付け部58および59が取り付けられた際に、取り付け部58および59が揺動しない様に規制を行っている。
ここで、図10(B)に示す様に第1支持軸51は、その断面の長方形状が排紙方向下(図10(B)の左下)に向かう傾斜面をなす様にアーム部材53および54に取り付けられる様になっている。これは、スタッカ基部30の下流側端部と第1支持軸51との間に大なる隙間があると、排紙されるロール紙Pの先端がスタッカ基部30の下流側端部と第1支持軸51との間に入り込み、正常な排紙動作が行えなくなるからであり、この様に構成することにより、排紙されるロール紙Pの先端がスタッカ基部30の下流側端部と第1支持軸51との間に入り込まず、正常な排紙動作を行うことができると共に、第1支持軸の下側がスタッカ基部30の下流側端部から離れる為、第1支持軸51の着脱作業に際してスタッカ基部30の下流側端部が邪魔とならず、以て前記着脱作業が容易となる。
ところで、第1支持軸51は、前述した取り付け部58および59が設けられることによって、アーム部材53,54をスタッカ基部30から不用意に取り外しできない様なストッパ機能を発揮する様になっている。即ち、取り付け部58および59は、図10(A)に示す様な略コの字形の形状によってアーム部材53,54をそれぞれ保持する様に構成されているので、従ってこれにより、アーム部材53及び54と、第2支持軸52とによって形成される平面視略コの字形の形状が、不用意に拡開しない様なストッパ機能を実現することができる。従って、ロール紙のスタック時にはロール紙排紙スタッカ7が容易に脱落することなく、以て排紙されるロール紙を確実にスタックすることが可能となる。尚、この様なストッパ機能を発揮し得る第1支持軸51の軸端部の形状は、平面視略コの字形の形状の拡開を防止できる構造であればどの様なものであっても構わない。
以上がロール紙排紙スタッカ7の構成であり、次に、図9を参照しつつロール紙排紙スタッカ7の作用効果について説明する。
ロール紙排紙スタッカ7の上流側(図9において右側)には前述したカッターユニット4が装着されていて、排紙されるロール紙Pは、カッターユニット4内におけるロータリカッター43の配設位置でカットされ、そして上方に凸となる様なカール癖を残した状態で下流側(図9において左側)へ排紙される。
より詳しくは、排紙動作に従ってロール紙P先端がスタッカ基部30の上面に当接し、そして排紙動作が進むことにより更に下流側に進み、やがて先端部が布材50において第1支持軸51から下方に垂下された部分(符号50aで示す部分:以下これを「当接部」と言う)に当接した状態となる。図9において実線で示す排紙中のロール紙Pは先端が当接部50aに当接し、且つ、後端がロータリカッター43によって切断された直後の状態を示している。尚、当該状態では、ロール紙Pは後端部近傍を駆動ローラ41と従動ローラ42とにニップされた状態にある。
そして、当該状態から駆動ローラ41が回動すると、カットされた後端が駆動ローラ41と従動ローラ42とのニップ点に到達し、符号P’で示す状態となり、当該状態から駆動ローラ41が更に回動し、カットされた後端が駆動ローラ41と従動ローラ42とのニップ点から外れると、ロール紙P’は符号P’’→P’’’で示す様な順にその姿勢を反転させ、印刷面(凸曲面が上を向いた状態において上側の面)を下にして、当接部50aから排紙方向下側に位置するロール紙受け面50bに落下する。そしてまた、次位以降にスタックされるロール紙Pも同様となる。
つまり、ロール紙排紙スタッカ7は、排紙されるロール紙Pを、当接部50aに当接した先端部を支点に回転(反転)させることによって上を向いた凸曲面を下を向いた状態とし、そして当該状態でロール紙受け面50bへ落下させるので、これによってカール癖を有するロール紙Pを整然と規則正しくスタックすることが可能となり、排紙されたロール紙P同士が干渉して印刷面を傷める等の不具合を防止することができる。また、印刷面が下を向いた状態でロール紙受け面50bへ落下し、そして順次スタックされるので、印刷面を上にした状態で印刷順に下から上へ順次積み上げられていく様な排紙スタッカとは異なり、印刷面を上にした状態で上位から下位に向かって印刷順となり、以てユーザの利便性を向上させることが可能となる。
尚、凸曲面を上にしたロール紙Pが、凸曲面が下となる様に姿勢を反転させる為の構成として、本実施形態においては布材50の略垂直に垂下された部分(当接部50a)を利用しているが、当該構成に限られるものでは無く、ロール紙Pが、その先端部を支点として排紙方向を側視して回転可能となる様な構成、例えば、ロール紙P先端との摩擦係数が大なる他の材料を用いて当接部50aを構成する、或いはロール紙P先端が引っ掛かる様な突起部を設けて当接部50aを構成する、等であっても良いし、また、本実施形態に係る当接部50aの様にロール紙P先端が当接する面が垂直面に限定されるものではない。即ち、ロール紙Pが回転可能となる様に当該ロール紙Pの先端部と接触するものであれば、当接部50aはどの様な構成であっても構わない。従って、例えば図9においてロール紙Pが回転しないまま、その先端部が既にスタックされたロール紙Pの後端(符号50a’で示す部分)に当接し、そして回転するとすれば、当該既にスタックされたロール紙Pの後端部50a’が、排紙されたロール紙Pが回転する為に必要な当接部となる。
尚、この場合において、布材50の長さ(排紙方向長さ)及び第1支持軸51と第2支持軸52との配設間隔は、スタックするロール紙Pの長さに合わせて調節する必要がある。即ち、ロール紙Pの長さに対して用紙受け面50bが浅い位置にあると、排紙されたロール紙Pが充分に下方に垂れ下がる前に先端部が用紙受け面50bに当接してしまい、排紙されたロール紙PRに回転力が働かず、凸曲面を上にした状態のままスタックされることになる。従って、排紙されたロール紙Pが回転する様に、布材50の長さ(排紙方向長さ)及び第1支持軸51と第2支持軸52との配設間隔を、スタックするロール紙Pの長さに合わせて調節することが必要となる。尚、本実施形態においては、L判および2L判の写真サイズにカットされたロール紙Pが適切にスタック可能となる様に構成されている。
ところで、本実施形態においては、ロール紙受け面50bを柔軟に変形可能な布材50によって形成している。従って、ロール紙受け面50bが、ロール紙Pの凸曲面の形状に追従して変形可能となり、紙質、巻き取り径、使用環境(温度、湿度)等によってその度合いが変動するロール紙Pのカール癖に追従して常に最適なロール紙受け面を形成することが可能となっている。また、布材とすることによって当接部50aとロール紙P先端との摩擦係数が高くなり、これによってロール紙Pが回転し易くなっている。
以上説明した様に、本発明によれば、排紙手段によって排紙される際に上方に凸となるカール癖を有するロール紙は、排紙の際に先ずその先端部が当接部に当接し、当該当接した先端を支点に排紙方向を側視して回転することによって凸曲面が下となる様に姿勢を変え、そして前記当接部から排紙方向下に位置するロール紙受け面に、凸曲面が下を向いた状態で落下する。従って、排紙されるロール紙は凸曲面が下を向いた状態で次々とロール紙受け面に落下し、そしてスタックされるので、これによってカール癖を有するロール紙を規則正しくスタックすることが可能となる。
また、凸曲面が上を向いた状態のロール紙上面に記録を行う場合には、記録面が下を向いた状態で前記ロール紙受け部へ落下し、そして順次スタックされることになる。従って通常の排紙スタッカ、即ち、記録面を上にした状態で、後から排紙される用紙が当該記録面の上に積み上げられていく排紙スタッカとは異なり、スタックされたロール紙の束は記録面を上にした状態で上位から下位に向かって記録順となり、以てユーザの利便性が向上することになる。
本発明に係るインクジェットプリンタの外観斜視図であり、カッターユニットを取り外した状態を示すものである。 本発明に係るインクジェットプリンタの外観斜視図であり、カッターユニットを取り付けた状態を示すものである。 本発明に係るインクジェットプリンタの側断面図である。 本発明に係る排紙スタッカの側面図であり、カッターユニットを取り外した状態を示すものである。 本発明に係る排紙スタッカの側断面図であり、カッターユニットを取り付けた状態を示すものである。 用紙排出口を正面から見た斜視図である。 本発明に係る排紙スタッカの分解斜視図である。 本発明に係るインクジェットプリンタの外観斜視図であり、ロール紙排紙スタッカの使用状態を示すものである。 本発明に係るロール紙排紙スタッカの側面図である。 (A)は本発明に係るロール紙排紙スタッカを構成する第1支持軸の正面図であり、(B)は(A)のx−x断面図である。 (A)は本発明に係るロール紙排紙スタッカを構成する第1支持軸の左側軸端部の拡大斜視図であり、(B)は(A)のy矢視図である。
符号の説明
1 排紙スタッカ、2 給紙装置、3 装置本体、4 カッターユニット、6 用紙排紙口、7 ロール紙排紙スタッカ、13 インクジェット記録ヘッド、19 搬送ローラ、20 排紙ローラ、26 押圧板ばね、27 ストッパ部材、28 プラテン、30 スタッカ基部、31 第1引き出し部、32 第2引き出し部、33 用紙ストッパ部、50 布材、51 第1支持軸、52 第2支持軸、53,54 アーム部、100 インクジェットプリンタ

Claims (6)

  1. 所定長さにカットされ且つ上方に凸となるカール癖を残した状態で排紙手段から排紙されるロール紙をスタックするロール紙排紙スタッカであって、
    凸曲面が上を向いた状態の前記ロール紙先端部が当接する当接部と、
    該当接部から排紙方向下に位置する、凸曲面が下を向いた状態の前記ロール紙を受けるロール紙受け面と、を備え、
    前記当接部が、前記排紙手段よりロール紙の排紙方向側に位置するとともに、前記排紙手段から排紙されたカット済みのロール紙が、排紙方向を側視して前記当接部に当接した先端部分を支点に自重によって回転しながら前記ロール紙受け面に向けて落下することにより、凸曲面を下にした状態で前記ロール紙受け面にスタックされる様に構成されたことを特徴とするロール紙排紙スタッカ。
  2. 請求項1において、前記ロール紙受け面が、前記凸曲面の形状に追従して変形可能であることを特徴とするロール紙排紙スタッカ。
  3. 請求項2において、前記ロール紙受け面が布材によって形成されていることを特徴とするロール紙排紙スタッカ。
  4. 請求項1において、前記ロール紙の両側端側において排紙方向に延びるアーム部材と、
    該アーム部材において前記排紙手段側に設けられる、該アーム部材と直交する第1の支持軸と、
    前記アーム部材において前記第1の支持軸から排紙方向側に所定間隔を置いて設けられる、前記第1の支持軸に平行な第2の支持軸と、
    前記第1の支持軸と前記第2の支持軸とにより、排紙方向を側視して下に凸となる様な湾曲状態に垂下される布材と、を備え、
    該布材において前記第1の支持軸から垂下された部分が前記当接部を形成し、且つ、該布材の湾曲面が前記ロール紙受け面を形成する様に構成されたことを特徴とするロール紙排紙スタッカ。
  5. 被記録材に記録を行う記録部と、
    該記録部によって記録の行われた被記録材を排紙する排紙手段と、を備えた記録装置であって、請求項1から4のいずれか1項に記載のロール紙排紙スタッカを備えたことを特徴とする記録装置。
  6. 被記録材に記録を行う記録部と、
    前記記録部において記録の行われた被記録材を排紙する、回動駆動される排紙駆動ローラと、
    該排紙駆動ローラとの間で被記録材をニップして従動回動する排紙従動ローラと、
    スタッカ基部及び該スタッカ基部から排紙方向に引き出し可能な引き出し部によって使用状態と収納状態とをとることができ、且つ、上流側端部に回動支点を備えることによって回動可能に設けられる排紙スタッカと、
    略水平姿勢となった前記排紙スタッカの上流側上方に設けられ、排紙される被記録材を所定長さでカットする、着脱可能に設けられるカッター装置と、を備えた記録装置であって、
    請求項1から4のいずれか1項に記載のロール紙排紙スタッカが、前記収納状態にある前記排紙スタッカに着脱自在に設けられていることを特徴とする記録装置。
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