JP4640162B2 - 粉末冶金用鉄基混合粉および鉄基焼結体 - Google Patents

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Description

本発明は、粉末冶金用鉄基混合粉に係り、とくに焼結体の切削性改善と、良好な切削後表面性状を得ることが可能である粉末冶金用鉄基混合粉に関する。
粉末冶金技術の進歩により、高寸法精度の複雑な形状の部品をニアネット形状に製造することができるようになっており、粉末冶金技術を利用した製品が各種分野で利用されている。
鉄系粉末冶金製品は、鉄基粉末に、銅粉、黒鉛粉などの合金用粉末と、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の潤滑剤とを混合した鉄基混合粉を金型に充填したのち、加圧成形し、ついで焼結処理を施して焼結体とし、必要に応じ切削加工されて製品とされる。このようにして製造された焼結体は、空孔の含有比率が高く、溶解法による金属材料(溶製材)にくらべて、切削抵抗が高い。このため、従来から、焼結体の切削性を向上させる目的で、鉄基粉末に、Pb、Se、Te等の種々の粉末を添加、あるいは鉄粉あるいは鉄基粉末に合金化して添加することが行なわれてきた。
しかしながら、Pbは融点が330℃と低いため、焼結過程で溶融し、しかも鉄中に固溶せず基地中に均一分散させることが難しいという問題があった。また、Se、Teは、焼結体を脆化させるため、焼結体の機械的特性の劣化が著しいという問題があった。これらの粉末以外にも、切削性改善のために種々の粉末を添加することが提案されている。
例えば、特許文献1には、鉄粉に、10μm以下の硫化マンガンを重量で0.05〜5%混合した鉄粉混合物が提案されている。特許文献1に記載された技術では、寸法変化や強度変化を伴うことなく焼結材の被削性を改善できるとしている。
また、特許文献2には、S:0.04〜0.2wt%、Mn:0.05〜0.5wt%、Si:0.01〜0.1wt%を含み、MnS粒子数の5%以上が酸素を含有しているアトマイズ鉄粉が提案されている。この鉄粉を用いて焼結体とすることにより、優れた切削性を有する粉末冶金製品を製造できるとしている。
また、特許文献3には、鉄基粉末に、黒鉛粉を含む合金用粉末と、潤滑剤とを含み、切削性改善用粉末としてアルカリ土類金属のフッ化物粉を鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末の合計量に対し、0.1〜0.7質量%含有するとともに、黒鉛粉および切削性改善用粉末を結合材により鉄基粉末表面に固着して含む粉末冶金用鉄基混合粉が提案されている。特許文献3に記載された技術によれば、焼結体の機械的特性劣化を生じることなく切削性が向上できるとしている。
また、特許文献4には、鉄または鉄基合金に切削性改善用粉末として硫酸バリウム、硫化バリウムを単独または合計で0.3〜3.0重量%添加した、粉末冶金法で製造された快削性金属材料が提案されている。
また、特許文献5には、鉄基粉末組成物において、焼結製品の切削性を改善する添加剤としてフッ化カルシウムとフッ化バリウムの粉末、好ましくはそれらの溶融物から作られた粉末を0.1〜1.0重量%含み、さらにMnSおよびMoSを含む1種またはそれ以上の従来の切削性改善剤を組み合わせた鉄基粉末組成物が提案されている。
特許文献1〜5に記載された技術では、切削性改善用粉をチッピング促進材として、焼結体内に分散させ切削時に切削部位が塑性変形する際に、これら切削性改善用粉(粒子)が応力の集中点となり切屑を微細化する。この切屑の微細化により切削工具と切屑間の接触面積が低減し、摩擦抵抗を下げることにより工具摩耗を防止、或いは低減しようとするものである。しかしながら、これらチッピング促進材には工具表面を保護する機能はなく、切削に際し、工具表面と被削材とが直接接触し、大気中で摩擦による発熱が生じ、工具表面が酸化するとともに、切削に際し焼結体内部に内在する空孔により工具に断続的衝撃が負荷され、これにより工具内部に微細亀裂が発生し工具材質が劣化し、所望の切削性向上が得られないという問題があった。
このような問題に対し、例えば特許文献6には、鉄粉を主体とし、アノールサイト相および/またはゲーレナイト相を有する平均粒径50μm以下のCaO−Al2O3−SiO2系複合酸化物の粉末を0.02〜0.3重量%含有する粉末冶金用鉄系混合粉末が提案されている。特許文献6に記載された技術では、被削材中に予め低融点のセラミックスを分散させ、切削時に加工面に露出したセラミックス粒子が工具表面に付着し工具保護膜(いわゆるベラーグ層)を形成し、工具の材質劣化を防止して、切削性を改善するとともに、焼結時の寸法変化を少なくできるとしている。
特開昭61−147801号公報 特許第3443911号公報 特開2002−155301号公報 特公昭46−39564号公報 特許3073526号公報 特開平9−279204号公報
しかしながら、特許文献6に記載された技術では、CaO−Al2O3−SiO2系複合酸化物を不純物が少なく、かつ粒度を制限した粉末とする必要がある。不純物が少なく、かつ粒度を制限した粉末を使用しないと、粉体特性、焼結体特性が低下するという問題があった。また、さらに切削条件によっては、工具と被削材との摩擦発熱が不十分で、低融点のセラミックスが軟化せず、工具保護膜を形成しない場合があり、所望の切削性向上が得られないという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、機械的特性の劣化を伴うことなく、焼結体の切削性を向上できる粉末冶金用鉄基混合粉を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、更なる切削性向上に及ぼす切削性改善用粉末の種類、粒径の影響について鋭意考究した。 その結果、本発明者らは、切削性向上のためには、焼結体内に内在する空孔を減少させ、切削時に空孔を形成する自由表面と工具との衝突により生じる断続的衝撃を緩和し、工具表面の摩耗や工具内部の微細亀裂生成を抑制して、工具寿命を延長することが肝要であり、そのためには、切削性改善用粒子(粉末)で空孔を充填することが効率的であることに思い至った。そして、切削性改善用粉末として、平均粒径:1〜60μmの硫化マンガン粉、平均粒径:1〜60μmのフッ化カルシウム粉を単独または複合して使用することにより、焼結体の切削性が顕著に向上することを見出した。とくに、30μmを超える粗大な空孔を充填することができ、切削時に生じる強い断続的衝撃を顕著に緩和できることを知見した。
これは、切削性改善用粉末の平均粒径を1〜60μmの範囲とすることにより、切削性改善用粉末粒子により焼結体内の空孔が充填されやすくなり、焼結体の空孔が実質的に減少して、切削時に生じる断続的衝撃が緩和されるためであると、本発明者らは考えている。
また、本発明者らは、更なる検討により、切削性改善用粉末粒子の粒度分布を、切削性改善用粉末を含まない、鉄基粉末と合金用粉末と潤滑剤とを混合してなる鉄基混合粉を加圧成形し焼結して得られる鉄基焼結体に生じる空孔の粒度分布に相似するように調整することにより、切削性改善用粉末粒子による空孔の充填が効率的に行えることを知見した。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)鉄基粉末と、合金用粉末と、切削性改善用粉末と、さらに潤滑剤と、を混合してなる鉄基混合粉であって、前記切削性改善用粉末を、平均粒径:1〜10μmの硫化マンガン粉平均粒径:10〜60μmのフッ化カルシウム粉とし、且つ、前記硫化マンガン粉の平均粒径を前記フッ化カルシウム粉の平均粒径よりも小さくなるように調整し、前記フッ化カルシウム粉を切削性改善用粉末全量に対する質量%で10〜80%配合し、前記切削性改善用粉末を合計で、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末との合計量に対する質量%で0.1〜1.5%含有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
)(1)において、前記鉄基粉末の一部または全部が、表面に前記合金用粉末および/または前記切削性改善用粉末を結合材により固着してなることを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
(3)(1)または(2)に記載の粉末冶金用鉄基混合粉を、加圧成形し、さらに焼結してなる鉄基焼結体。
本発明によれば、機械的特性の劣化を伴うことなく焼結体の切削性を向上させることができ、切削加工を必要とする焼結部材の生産性を顕著に向上できるという、産業上格段の効果を奏する。
本発明の粉末冶金用鉄基混合粉は、鉄基粉末と、合金用粉末と、切削性改善用粉末と、さらに潤滑剤と、を混合してなる鉄基混合粉である。本発明では、切削性改善用粉末として、硫化マンガン粉およびフッ化カルシウム粉を使用する。硫化マンガン粉およびフッ化カルシウム粉は、いずれも焼結体の切削時に応力の集中点となり、切屑を微細化し、切削工具と切屑との接触面を低減し摩擦抵抗を低減し、切削性を改善する作用を有する。さらに、焼結体の空孔の粒度分布(空孔径の分布)に応じて、粒度分布の異なる2種の粒子を、適宜、鉄基粉末に混合して混合粉とし、これを成形、焼結すると、得られる焼結体中の空孔が充填され、空孔が実質的に減少する効果も有する。
このような効果を得るために、本発明では、硫化マンガン粉、フッ化カルシウム粉の平均粒径を1〜60μmの範囲に限定する。これにより、焼結体の空孔が実質的に減少し、切削時の断続的衝撃を緩和することができ、工具表面の摩耗や工具内部における微細亀裂発生を抑制し、工具寿命を増加させることができる。切削性改善用粉末の平均粒径が1μm未満では、粒子が細かすぎて、空孔を十分に充填することができない。一方、60μmを超えて大きくなると、粒子が大きすぎて空孔を充填することができなくなるばかりか、焼結体の機械的強度の低下を招く。このため、硫化マンガン粉およびフッ化カルシウム粉の平均粒径を1〜60μmの範囲に限定した。これにより、30μmを超える粗大な空孔を充填することができる。
さらに好ましくは、切削性改善用粉末の粒度分布を、鉄基粉末と合金用粉末と潤滑剤とを混合してなる鉄基混合粉を加圧成形し焼結して得られた鉄基焼結体の空孔の粒度分布(空孔径の分布)と相似する粒度分布とする。これにより、切削性改善用粉末を焼結体中の空孔に、効率的に充填することができ、焼結体中の空孔を実質的に効率よく減少することができる。
なお、ここでは、切削性改善用粉末の粒径は、レーザを用いたマイクロトラック法で測定した値を用いるものとし、平均粒径は、50%累積透過粒径(d50)を用いるものとする。また、焼結体中の空孔径の分布は、焼結体断面の光学顕微鏡写真をスキャナーにより電子画像化し、画像の明度を明部と暗部とに2値化し、暗部の画素数の比率を求めることにより求めた。なお、空孔径の分布に相似する粒度分布を有する切削性改善用粉末とするには、篩を用いて分級し、空孔径の分布に相似する粒度分布になるように調整する。
本発明では、上記したような平均粒径あるいはさらに上記したような粒度分布を有する切削性改善用粉末を合計で、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末との合計量に対する質量%で0.1〜1.5%含有する。
切削性改善用粉末の合計の含有量が、0.1質量%未満では、切削性の顕著な向上が認められない。一方、1.5質量%を超えると、圧縮性の低下、圧壊強さの低下が顕著となり好ましくない。この範囲内の切削性改善用粉末の含有量であれば、焼結体の寸法変化率も小さく、寸法精度上問題とならない。このため、切削性改善用粉末の含有量は合計で、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末との合計量に対し0.1〜1.5質量%とする。なお、好ましくは鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末との合計量に対し0.3〜1.0質量%である。
また、切削性改善用粉末を、平均粒径:1〜10μmの硫化マンガン粉と平均粒径:10〜60μmのフッ化カルシウム粉とし、フッ化カルシウム粉を切削性改善用粉末全量に対する質量%で10〜80%配合することが好ましい。これにより、焼結密度:6.0〜7.3Mg/mの切削性が改善された鉄基焼結体をより容易に製造することができる。
切削性改善効果のある切削性改善用粉末の粒度分布は、想定する焼結部品の密度に応じた空孔径の分布に相似した粒度分布となるように、適宜選択することが好ましい。切削性改善用粉末の粒度分布の調整は、平均粒径の異なる2種の粉末の混合比を調整することにより行うのが望ましい。本発明では、切削性改善用粉末として、硫化マンガン粉とフッ化カルシウム粉の2種の粉末を使用するが、これら粉末の平均粒径の調整は、平均粒径1〜60μmの範囲で、一方を大きく、他方を小さくすればよい。
なお、硫化マンガン粒子の硬さは、フッ化カルシウム粒子の硬さより高いため、鉄基粉末に混合する以前に、予め微細に粉砕し、硫化マンガン粉の平均粒径を、フッ化カルシウム粉より相対的に小さい1〜10μmとし、フッ化カルシウム粉の平均粒径を10〜60μmとすることが望ましい。というのは、硫化マンガン粉の平均粒径を相対的に大きくすると、硬い粗大粒子が焼結体中の空孔に配されるため、切削加工時に工具に衝撃を与え工具の欠けの原因となり好ましくないためである。
また、フッ化カルシウム粉の配合量が、切削性改善用粉末全量に対する質量%で10%未満では、焼結体中の空孔を十分に充填できない。一方、80%を超えると、空孔径の分布より多くの粗大なフッ化カルシウム粒子が焼結体中に存在することになり、焼結体の機械的強度の低下を招く。
本発明で使用する鉄基粉末は、アトマイズ鉄粉、還元粉等の純鉄粉がいずれも好適に使用できる。また、鉄粉に代えて、合金元素を予め合金化した予合金鋼粉、あるいは鉄粉に合金元素が部分合金化された部分合金化鋼粉がいずれも好適に用いることができる。なお、これらを混合して用いてもなんら問題はない。
また、本発明で使用する合金用粉末は、黒鉛粉、銅粉等が例示でき、所望の製品特性に応じて、適宜選定し所定量含有することが好ましい。
また、本発明の鉄基混合粉中に含有される潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム等の金属石鹸、あるいはワックス等が好適である。潤滑剤の配合量は、本発明ではとくに限定されないが、鉄基粉末、合金用粉末、切削性改善用粉末の合計量100質量部に対し、0.2〜1.5質量部とすることが好ましい。潤滑剤の配合量が0.2質量部未満では、金型との摩擦が増加し抜出し力が増大し金型寿命が低下する。一方、1.5質量部を超えて多くなると、成形密度が低下し、焼結体密度が低下する。
つぎに、本発明の鉄基混合粉の好ましい製造方法について説明する。
上記した鉄基粉末に、合金用粉末、切削性改善用粉末および潤滑剤を所定量配合し、ヘンシュルミキサ、Vブレンダ、ダブルコーンブレンダ等の通常公知の混合機を用いて、一度に、あるいは二回以上に分けて混合し鉄基混合粉とすることが好ましい。なお、鉄基粉末の一部または全部を、合金用粉末および/または切削性改善用粉末の一部または全部を結合材を用いて表面に固着させる偏析防止処理を施した鉄基粉末を用いて、鉄基混合粉としてもよい。これにより、より偏析が少なく、より流動性に優れた鉄基混合粉となる。
偏析防止処理としては、特許第3004800号公報に記載の方法を用いることができる。すなわち、鉄基粉末に、合金用粉末および/または切削性改善用粉末を結合材とともに混合し、ついで結合材の融点のうちの最低値より10℃以上、好ましくは15℃以上に加熱することが好ましい。なお、結合材が2種以上の場合には、それら結合材の融点のうちの最低値より10℃以上、それら結合材の融点のうちの最高値以下の温度とすることが好ましい。この加熱により、少なくとも1種の結合材を溶融させたのち冷却固化させて、鉄基粉末表面に合金用粉末および/または切削性改善用粉末を固着させる。上記した下限温度未満では、結合材の結合機能が発揮されず、また上記した上限温度を超えると、熱分解等により結合機能が低下すると共に、ホッパ排出性能が低下する。
結合材としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミドまたはワックスとすることが好ましい。高級脂肪酸または高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸アミドとエチレンビスステアリン酸アミドとの溶融混合物のうちから選ばれた1種または2種以上、あるいは、オレイン酸、スピンドル油、タービン油のうちから選ばれた1種または2種以上とステアリン酸亜鉛との加熱溶融物とすることが好ましい。本発明では、結合材の含有量は、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善粒子粉との合計量100質量部に対し、0.1〜1.0質量部とすることが好ましい。0.1質量部未満では、合金用粉末等の偏析防止効果が認められない。一方、1.0質量部を超えて含有すると、鉄基混合粉の充填性が低下する。
なお、本発明の鉄基混合粉は、上記した製造方法に限定されるものでないことはいうまでもない。
本発明の鉄基混合粉は、一般の粉末冶金における工法を適用して、機械部品の製造に供することができる。具体的には、本発明の鉄基混合粉を、金型に充填し圧縮成形したのち、必要に応じてサイジングを行い、焼結し、焼結体とする。焼結後さらに浸炭焼入れ、光輝焼入れ、高周波焼入れ等の熱処理を施し、製品(機械部品等)とする。なお切削加工等の加工を随時施し、所定寸法の製品とすることは言うまでもない。
(実施例1)
鉄基粉末としてアトマイズ純鉄粉A(銘柄:JIP 260A(JFEスチール(株)製))100kgに、合金用粉末として表1に示す配合量の黒鉛粉(平均粒径:4μm)と、切削性改善用粉末として表1に示す種類、平均粒径、配合量の切削性改善用粉末と、を潤滑剤とともに配合し、Vブレンダに装入し、均一混合し鉄基混合粉とした。合金用粉末および切削性改善用粉末の配合量は、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末の合計量に対する質量%とした。なお、潤滑剤はステアリン酸亜鉛(平均粒径:20μm)とした。なお、一部の鉄基混合粉では、比較例として切削性改善用粉末の配合を行なわなかった。
これら鉄基混合粉を金型に装入し、圧縮成形し、成形体(リング状試験片A、B、タブレット型試験片C)とした。リング状試験片A(外径35mmφ×内径14mmφ×高さ10mm)は圧壊試験用とし、リング状試験片B(外径60mmφ×内径20mmφ×高さ25mm)は旋削試験用とし、タブレット型試験片C(外径60mmφ×高さ10mm)はドリル切削試験用、硬さ試験用とした。なお、成形体の密度は6.6Mg/m2一定とした。なお、密度測定はアルキメデス法によった。
ついで、これら成形体を5体積%H−窒素ガス雰囲気中でメッシュベルト炉を使用して1150℃×20minで焼結し焼結体とした。得られた焼結体について、圧壊試験(Ring Rupture)、旋削試験、ドリル切削試験、硬さ試験を実施した。
圧壊試験は、リング状試験片Aの焼結体を用いて、JIS Z 2507の規定に準拠して実施し、圧壊強さを求めた。
旋削試験は、リング状試験片Bの焼結体を3個重ねて長さ75mmの円筒状として、その側面を超硬製(三菱マテリアル製HT105T)バイトを用いて切削し、横逃げ面の摩耗深さが0.5mmに達するまで旋削した。旋削条件は、切削速度:92m/min、送り量:0.03mm/rev、切込み深さ:0.89mmとした。なお、横逃げ面の摩耗形態を模式的に図1に示す。旋削試験後に、試験片の切削面を接触式表面粗さ計を用いて、JIS B 0601−2001の規定に準拠して、試験片切削面の表面粗さRzを測定した。
ドリル切削試験は、タブレット型試験片Cの焼結体を用いて、該試験片Cの平面を、外径3.0mmの超硬製(三菱マテリアル製HT105T)ドリルで、回転速度:800rpm、送り量:0.02mm/revの条件でドリル切削を行った。200穴加工完了時のドリル外周部の摩耗深さ(逃げ面摩耗深さ)を測定した。ドリル外周部の摩耗状況を図2に示す。また、200穴加工時の切削抵抗としてトルクおよびその振動幅を測定した。なお、トルクおよびその振動幅は、試験片(被削材)を切削動力計(キースラー)にセットし、図3に示すような、ドリル切削時のトルクの経時変化を求め、矩形波の高さの平均値からトルクを、矩形波上の振動幅からトルクの振動幅を求めた。
硬さ試験は、タブレット型試験片Cの焼結体を用いて、JIS Z 2245の規定に準拠して実施し、ロックウェル(Bスケール)硬さHRBを求めた。
得られた結果を表2に示す。
Figure 0004640162
Figure 0004640162
本発明例はいずれも、焼結体の圧壊強さが高く大きな強度低下がない焼結体となっている。また、本発明例は、施削後の試験片の表面粗さRzが低減し、切削加工面の外観が改善されており、旋削性に優れた焼結体となっている。また、本発明例は、ドリル摩耗量が少なく、切削抵抗が小さく、さらに切削抵抗の振動幅が小さい焼結体となっている。切削抵抗の振動幅は、断続的衝撃の発生に対応し、切削抵抗の振動幅が小さいことは、断続的衝撃の主たる原因となる焼結体内部の空孔が低減したことによるものと考えられる。このように、本発明例は鉄基混合粉として優れた特性を有する鉄基混合粉である。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、圧壊強さが低いか、施削後の試験片の表面粗さが粗いか、切削抵抗が高いか、あるいは切削抵抗の振動が大きくなり、旋削性、切削性が低下している。
切削工具横逃げ面の摩耗形態を模式的に示す説明図である。 ドリル外周部の摩耗状況を模式的に示す説明図である。 ドリル切削時のトルクの経時変化の1例を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 鉄基粉末と、合金用粉末と、切削性改善用粉末と、さらに潤滑剤と、を混合してなる鉄基混合粉であって、前記切削性改善用粉末を、平均粒径:1〜10μmの硫化マンガン粉平均粒径:10〜60μmのフッ化カルシウム粉とし、且つ、前記硫化マンガン粉の平均粒径を前記フッ化カルシウム粉の平均粒径よりも小さくなるように調整し、前記フッ化カルシウム粉を切削性改善用粉末全量に対する質量%で10〜80%配合し、前記切削性改善用粉末を合計で、鉄基粉末と合金用粉末と切削性改善用粉末との合計量に対する質量%で0.1〜1.5%含有することを特徴とする粉末冶金用鉄基混合粉。
  2. 前記鉄基粉末の一部または全部が、表面に前記合金用粉末および/または前記切削性改善用粉末を結合材により固着してなることを特徴とする請求項1に記載の粉末冶金用鉄基混合粉。
  3. 請求項1または2に記載の粉末冶金用鉄基混合粉を、加圧成形し、さらに焼結してなる鉄基焼結体。
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