JP4639788B2 - ガスセンサの出力制御方法および出力制御システム - Google Patents

ガスセンサの出力制御方法および出力制御システム Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関の排気系統に取り付けられて特定ガスの濃度を検出するガスセンサの出力制御方法および出力制御システムに係り、特に、ガス(大気)の漏れ量と温度との相関からガスセンサの出力値を精度よく補正することのできるガスセンサの出力制御方法および出力制御システムに関するものである。
排気ガス中の酸素濃度を測定しながら、空燃比をフィードバック制御する装置は従来知られるところである。中でも、空燃比を理論空燃比付近に調整するとともに排気系統に三元触媒を設けることにより、有害な排気ガスであるHCやCO、NOを浄化する排気ガス浄化装置(浄化システム)は、近時の自動車において一般に搭載されている。
上記する酸素濃度の測定に際しては、ガスセンサ(酸素センサ)が使用されている。この酸素センサは、筒状のハウジングと、ハウジングの一端に装着されるガス側カバーと、ハウジングの他端に装着される大気側カバーと、ハウジングおよびガス側カバーの内部に装着されるガスセンサ素子とから概略構成されている。ガスセンサを排気系統に装着することにより、少なくともガス側カバーは排気系統内に配設され、ハウジングの一部から大気側カバーにかけての部分は排気系統外に配設される。ガスセンサ素子の一例としては、コップ型形状のガスセンサ素子があり、さらにはその内部にヒータが内臓された形態もある。排気系統からガス側カバー内に入ってきた被測定ガスにガスセンサ素子が曝されることにより、コップ型のガスセンサ素子の外周面と内壁面に設けられた電極間に電流が流れることになる。この酸素センサの出力電圧は理論空燃比を境に急変する性質をもっており、この電圧変動の中間付近に空燃費制御点が設定されていて、かかる空燃費制御点と比較して出力電圧が高いときは空燃比が理論空燃比よりも濃い(リッチ)と判定され、空燃比が薄くなるようにフィードバック制御される。
ところで、上記のガスセンサ(酸素センサ)においては、その大気側からガス側にかけての気密性の良否によって車両の燃費や有害ガスの放出量に大きな差異が生じてくる。例えば、大気側からガス側にかけて空気が流入している場合、本来理論空燃比付近にある排気ガスに流入空気が混合されて薄められた後の排気ガスをガスセンサが誤検知することとなり、フィードバック指令時にはより空燃比を濃くするための誤指令が送られることとなる。図9は、大気側からガス側にかけて空気が流入することにより、ガスセンサのセンサ出力が本来のセンサ出力(グラフX)からリーン側にずれたセンサ出力(グラフY)となり、出力低下が招来されている実施例を示している。
上記の問題は、排気ガスの触媒浄化能が向上し、低濃度雰囲気の排ガス成分中における酸素濃度を検出する必要があることなどからクローズアップされてきている。上記の問題に対して、特許文献1においては、ガスセンサ素子とハウジングとの間の充填部に粉末充填材が充填されているガスセンサに関する発明が開示されている。この充填部に充填される粉末充填材としてはタルクが使用されており、かかるタルク粉末をかしめることにより、鱗片状粒子の層状構造が壊されることなく、粒子間の隙間が埋められることによって比重が高められ、ガスセンサ素子とハウジングとの間のシール性が確保されることになる。
特開2003−114210号公報
特許文献1のガスセンサは、ガスセンサ素子とハウジングとの間の一部に加圧充填された粉末充填材によってガスセンサの気密性を高めようとする、ガスセンサの構造面から気密性の向上にアプローチしようとするものである。かかる構造面の改善により気密性の向上を図ることができる一方で、高温雰囲気におけるガスセンサ構成部材の熱膨張(熱変形)や冷熱サイクルにより、ガスセンサの出力低下が否めないのが現状である。特に、気密性の良否を左右するガスセンサ素子とハウジングのシール箇所においては、ガスセンサ素子、タルクなどの充填材の熱膨張係数の差異によって双方の熱膨張量が相違し、該シール箇所にたとえ気密性向上に寄与できる充填材を使用したとしても気密性の低下は否めない。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、ガスセンサにおける大気の漏れを許容し、ガスセンサ構成部品などの温度と温度ごとの大気の漏れ量との相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正することにより、構成部品の材料特性に左右されることなく、空燃比や排ガス量の適切な調整を可能としたガスセンサの出力制御方法および出力制御システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるガスセンサの出力制御方法は、少なくとも、筒状のハウジングと、ハウジングの一端に装着されるガス側カバーと、ハウジングおよびガス側カバーの内部に装着されるガスセンサ素子と、を含む構成部品からなり、ハウジングとガスセンサ素子とが、シール材によって気密性を備えた姿勢で組み付けられてなるガスセンサのセンサ出力を制御するガスセンサの出力制御方法であって、前記構成部品の温度、および/またはガスの温度と、大気側から被測定ガス側へ漏れる大気の漏れ量との相関を特定し、該相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正することを特徴とする。
ハウジングは、例えば、オーステナイト系ステンレスやフェライト系ステンレスなどのSUS材から製造できる。
また、ここでいうシール材とは、ハウジングとガスセンサ素子との間に加圧充填される充填材のことであり、シール材は特に限定するものではないが、タルクや窒化ホウ素、グラファイトなどが使用できる。これらの無機粉末材料は、その粒形が鱗片状を呈しており、充填後に加圧されることによって大気またはガスのリーク経路長を長くとることができるため、シール材としては特に好ましい。
本発明では、フィードバック制御を有する公知の内燃機関の排気制御装置において、ガスセンサの構成部品やガスの温度を計測するとともに、かかる温度において予め求められているガスセンサの酸素リーク量に基づいたセンサ出力の補正値をフィードバック制御に利用しようというものである。
排気制御装置は、例えば、内燃機関、触媒が排気マニホールドにて接続されており、ガスセンサ(酸素センサ)が、触媒の下流側の排気マニホールドに装着された構成となっている。ガスセンサによって排気ガス中の酸素濃度を検出し、該検出結果はフィードバック制御部に入力される。フィードバック制御部では、この入力結果に基づいて燃料噴射のパルス幅などが計算され、その計算結果に基づいた駆動パルスによって空気の供給量の調整がおこなわれる。なお、ガスセンサの適宜箇所には温度センサが備えられており、ガスセンサの構成部品やガスの温度を常時計測できる構成となっている。
使用されるガスセンサにおいては、予め、温度ごとの大気(ガス)の漏れ量を算定しておき、温度と漏れ量の相関を求めておく。かかる相関の算定は、実際に実験をおこなうことによって求めることのほかに、適宜の解析結果に基づくこともできる。なお、内燃機関が作動している際の排気マニホールド内の温度範囲程度内でかかる相関を求めておけばよい。
次に、前記相関に基づいて、センサ出力値の補正係数を設定しておく。すなわち、温度ごとに漏れ量が相違することから、温度ごとにセンサ特性を補正し、この補正値に基づいて排気ガス内の空気量(リーン側かリッチ側か)を同定し、フィードバック制御に使用されるデータとするものである。
本発明によれば、使用されるガスセンサのガス漏れ量と温度との関係からセンサ特性を補正し、かかる補正値に基づいて空燃比や排ガス量の調整をすることができるため、ガスセンサの構造や構成部品の材質に依存することなく、しかも簡易な方法で、センサ出力特性の改善を図ることが可能となる。
また、本発明によるガスセンサの出力制御方法の他の実施形態において、前記構成部品の温度、および/またはガスの温度と、大気の漏れ量との相関は、前記シール材の熱膨張量とハウジングの熱膨張量の差によって求められることを特徴とする。
ハウジングがSUSからなる場合の熱膨張係数は1〜2×10−5/℃程度、シール材としてタルクを使用した場合の熱膨張係数は1〜2×10−6/℃程度である。したがって、かかる実施形態においてはタルクの外周にあるハウジングがより大きな熱膨張量を呈することとなり、したがって、タルクとハウジングとの間に空気のリーク経路が形成され得る。
本発明においては、温度と漏れ量の相関の算定にあたり、上記するようにガスセンサ構成部品の熱膨張係数の差異に着目し、温度ごとの熱膨張量の差から大気(ガス)の漏れ量を同定しようとするものである。なお、漏れ量の同定に際しては、実際の実験結果に基づいた温度ごとの漏れ量のほかに、ガスセンサの形状や各構成部品の材質(少なくとも熱膨張係数を含む)などを入力データとする解析結果に基づくこともできる。尤も、実証試験で解析結果の妥当性を確認しておくことができればより好ましい。
また、本発明によるガスセンサの出力制御方法の他の実施形態において、前記シール材が加圧された姿勢でハウジングとガスセンサ素子との気密性が保持されている場合においては、さらに、シール材の加圧状態と大気の漏れ量との相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正することを特徴とする。
大気(ガス)の漏れは、上記するように使用されるハウジングとシール材それぞれの熱膨張量の差異によることのほかに、シール材に作用している加圧力(または軸力)が低減することによっても招来される。シール材に作用する加圧力が低減する場合には、加圧力の低減によってシール材を構成する粒子間の隙間が広がることによって大気のリーク経路が拡大することになる。そこで、シール材に作用する加圧力の低減と大気の漏れ量との相関をもさらに考慮することにより、より精度のよいセンサ出力値の補正をおこなうことが可能となる。
また、本発明によるガスセンサの出力制御方法の他の実施形態は、前記ガスセンサの出力制御方法において、前記シール材の加圧状態と大気の漏れ量との相関は、ガスセンサの構成部品の温度、および/またはガスの温度と該温度の継続時間と、該シール材を加圧するガスセンサの構成部品の軟化の程度と、から求められることを特徴とする。
例えば、ガスセンサ素子とハウジングとの間にシール材が充填され、該シール材の上部に絶縁碍子を配設し、ハウジング内にガスセンサ素子を装着しながら大気側カバーをハウジングに装着することにより、ハウジングの上端のかしめ部によって軸力が絶縁碍子に作用し、この軸力によってシール材も加圧される。
ガスセンサが高温雰囲気内で長時間使用されると、上記するかしめ部が該高温雰囲気下で軟化し、その結果としてかしめ部の剛性が低下し得る。このかしめ部の剛性低下により、シール材に作用している軸力が低下し、結果的にはシール材の粒子間に大気(ガス)のリーク経路が生じることによって大気の漏れに繋がる。
そこで、本発明では、比較的高温雰囲気であって、その高温雰囲気継続時間の長い場合には、シール材に作用する軸力の低下を勘案してセンサ出力の補正をおこなおうというものである。
例えば、上記するハウジングとシール材それぞれの熱膨張量の相違に基づくセンサ出力の補正値に対して、比較的高温雰囲気が継続する場合にはさらに該補正値を補正した値をフィードバック制御に使用するセンサ出力とするものである。かかる温度やその継続時間に関しても、実験や経験則などに基づいて適宜設定することができる。
さらに、本発明による制御システムは、内燃機関の排気系統に取り付けられたガスセンサのセンサ出力をフィードバック制御することにより、空燃比の調整をおこなう制御システムであって、前記出力制御システムは、ガスセンサの構成部品の温度、および/またはガスの温度と、大気側から被測定ガス側へ漏れる大気の漏れ量との相関を特定し、該相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正する第一の補正手段と、前記温度が一定の温度以上であって、かつ一定時間継続する場合には、該温度とその継続時間と、ガスセンサの気密性を保持するために設けられたシール材を加圧するガスセンサの構成部品の軟化の程度と、の相関を特定し、該相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正する第二の補正手段と、を備えており、第一の補正手段、または、第一の補正手段および第二の補正手段によって補正されたセンサ出力値をフィードバック制御することを特徴とする。
ここで、一定の温度とは、ガスセンサの構成部品の材質や、シール材に軸力を負荷する箇所(既述するハウジングの上端のかしめ部など)の構造などによって決定される。さらに、かかる温度が継続する一定時間についても、シール材に軸力を負荷する箇所が軟化するまでの継続時間となり、その構造や材質によって異なる。第一の補正手段のみでセンサ出力値の適正な補正がおこなわれる場合には第一の補正手段のみが実行され、さらにシール材に付与される軸力の低減を考慮する必要がある場合には、第一の補正手段にて補正されたセンサ出力値をさらに第二の補正手段にて補正し、その補正値をフィードバックするものである。
以上の説明から理解できるように、本発明のガスセンサの出力制御方法および出力制御システムによれば、使用されるガスセンサのガス漏れ量と温度との関係からセンサ出力値を補正し、かかる補正値に基づいて空燃比や排ガス量の調整をすることができるため、ガスセンサの構造や構成部品の材質に依存することなく、しかも簡易な方法で、センサ出力特性の改善を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、内燃機関の排気制御装置の一実施形態を示した模式図である。図2は、酸素センサの一実施形態を示した縦断図を、図3は、図2のIII部分の拡大図をそれぞれ示している。図4は、温度と大気の漏れ量の相関を示したグラフを、図5は、センサ出力の補正フローを、図6は、補正前後のセンサ出力を示したグラフをそれぞれ示している。図7は、高温雰囲気が継続する場合のセンサ出力の補正フローを、図8は、補正前後のセンサ出力を示したグラフをそれぞれ示している。なお、内燃機関の排気制御装置は図示する実施形態に限定されるものでないことは勿論のことである。
内燃機関の排気制御装置の一実施形態を図1に示している。排気制御装置は、内燃機関1と触媒2が排気マニホールド3にて接続されており、酸素センサ5が、触媒2の下流側の排気マニホールド3に装着された構成となっている。酸素センサ5によって排気ガス中の酸素濃度を検出し、該検出結果はフィードバック制御部4に入力される。フィードバック制御部4では、この入力結果に基づいて燃料噴射のパルス幅などが計算され、その計算結果に基づいた駆動パルスによって内燃機関に供給される空気量の調整をおこなうことができる。また、酸素センサ5の適宜箇所には温度センサが備えられており、酸素センサ5の構成部品やガスの温度を常時計測できる構成となっている。このフィードバック制御部4内には、第一の補正手段41と、第二の補正手段42が内臓されている。第一の補正手段41では、後述するように、温度ごとに決定されている補正係数がセンサ出力値に乗じられてセンサ出力値が決定される。一方、第二の補正手段42では、適宜の温度とその継続時間が決定されており、この温度および継続時間の条件を満足する場合には、第一の補正手段41にて補正されたセンサ出力値にさらに補正係数が乗じられてセンサ出力値が決定される。
図2は、排気マニホールド3に装着された状態の酸素センサ5を示している。
酸素センサ5は、筒状のハウジング51と、ハウジング51の一端に装着されたガス側カバー52、ハウジング51の他端に装着された大気側カバー53、ハウジング51およびガス側カバー52内部に配設されたガスセンサ素子54とから大略構成されている。
ガスセンサ素子54の外周面とハウジング51の内壁面との間には隙間が形成されており、この隙間内にシール材6が充填されている。シール材6としては、タルクや窒化ホウ素、グラファイトなどの無機粉末材料を使用できる。
ガスセンサ素子54の外周面とハウジング51の内壁面との間であってシール材6の上部には、インシュレータなどの適宜の絶縁碍子7が配設されており、さらにその上部にはリング部材8が配設されている。ハウジング51の上端部に大気側カバー53を装着する際にできるかしめ部51aにより、リング部材8および絶縁碍子7を介して加圧力(軸力)がシール材6に作用することになる。
図2のIII部(シール箇所)の拡大図を図3に示している。酸素センサ5のシール箇所においては、シール材6が一定の軸力Nで加圧されていることにより、ガスセンサ素子54とハウジング51の隙間がシールされた構成となっている。なお、ガスセンサ素子54の表面には絶縁コーティング54aが施されており、ガスセンサ素子54とハウジング51が当接する部分には図示しないパッキン9が介装されている。
図4は、ハウジングの温度と、酸素センサのセンサ出力値から換算された酸素濃度の相関を示したグラフを示している。これは、発明者等がおこなった実験に基づくグラフであり、ガスセンサの出力値からガスセンサ素子に装着されている図示しない電極近傍の酸素濃度(酸素の漏れ量)を温度ごとに換算した結果である。ハウジングの温度が上昇するに従い、酸素濃度が上昇していることが見て取れる。これは、温度の上昇に連れてガスセンサ内への大気の漏れ量が増加していることを意味している。
発明者等の検証によれば、このようなガスセンサ構成部品の温度上昇に伴う大気の漏れ量の上昇は、例えば、ハウジングの熱膨張量とシール材の熱膨張量の相違が大きな要因であり、したがって、温度と大気の漏れ量は比例関係となり得る。すなわち、温度の上昇に伴い、双方の熱膨張係数の差に比例した熱膨張変形の差が生じることとなる。ハウジングの熱膨張係数が大きな場合には、ハウジングの径方向への膨張変形にシール材の膨張変形が追随することができず、したがって双方の間の隙間が拡大することとなる。その結果、大気の漏れ量が拡大するというものである。なお、大気の漏れ量の上昇要因としては、上記するようなハウジング、シール材双方の熱膨張係数の相違のほかに、ガスセンサ素子の表面粗度なども十分に考えられる。したがって、熱膨張係数の相違以外の他の要素を詳細に精査することも重要ではあるが、大気の漏れ量の上昇が熱膨張係数の相違に大きく依存していると考えられるため、かかる主要な要素に基づいてセンサ出力値の補正をおこなうこととした。
発明者等は、高温雰囲気におけるガスセンサのセンサ出力値(例えば、実際の出力値からリーン側へ誤判定しているセンサ出力値)と正規のセンサ出力値(実際の酸素濃度に基づいたセンサ出力値)とを対比することにより、センサ出力値に対して乗じる補正係数を温度ごとに算定した。この温度ごとの補正係数をセンサ出力値に乗じて得られた補正後のセンサ出力値を実際のフィードバック制御に使用することにより、車両の燃費や排気ガスの発生量を適切に調節することが可能となる。
センサ出力値の補正方法の一実施形態を図5に基づいて説明する。
ステップ10では、まず、ガスによる負荷の程度でセンサ出力値の補正をおこなうか否かの判断をおこなう。ガスが比較的高負荷の領域においては、ガスの量および圧力が多いことから、微量な酸素の漏れ量はガスセンサ出力値にほとんど影響を与えないためである。図示する実施形態では、例えば、ガスの質量流量Gaが10g/sec以上か未満かをその指標としているが、かかる数値が適宜の数値を選定できることは勿論のことである。また、センサ出力値の程度によってその補正をおこなう必要があるか否かを判断するために、本実施形態ではセンサ出力値が0.2未満か否かをその指標としている。かかるGaの値とセンサ出力値に基づいて、ステップ10を満足する場合にはセンサ出力値の補正はおこなわない。
一方、ステップ10の条件を満足しない場合には、例えばハウジング温度に応じてセンサ出力値の補正をおこなう。ここで、ハウジング温度の範囲は、内燃機関が駆動する際の通常の温度範囲である200℃〜500℃を本実施形態では採用している。
ステップ10の条件を満足しない場合であってハウジング温度が200℃未満の場合(ステップ20の条件を満たさず)は、センサ出力値に補正係数1.2を乗じた値を補正後のセンサ出力値Vaとする。ハウジング温度が200℃以上であって300℃未満の場合(ステップ30の条件を満たさず)は、センサ出力値に補正係数1.4を乗じた値を補正後のセンサ出力値Vaとする。以下、同様にハウジング温度が300℃以上であって400℃未満の場合(ステップ40の条件を満たさず)は、補正係数1.6を、400℃以上であって500℃未満の場合(ステップ50の条件を満たさず)は、補正係数1.8を、それぞれセンサ出力値に乗じる。
ハウジング温度が500℃以上の場合は、補正係数2.0をセンサ出力値に乗じた補正後のセンサ出力値Vaとする。
例えば、ハウジングの温度が500℃の場合(補正係数が2.0の場合)における、補正前後のセンサ出力値を図6に示している。ここで、補正前のグラフ(グラフX)は、本来リッチ雰囲気であるにもかかわらず、大気漏れによってリーン雰囲気であると誤判定したものである。このセンサ出力値を補正した補正後のグラフ(グラフY)とすることにより、本来の酸素濃度に基づくセンサ出力値に近似させることが可能となる。したがって、グラフXにおいて、図中のリーン雰囲気とリッチ雰囲気の閾ラインaよりも下にある範囲pは、本来のリッチ雰囲気である範囲qに補正されることになる。なお、図5によるセンサ出力を補正するフローや、かかるフローに基づいたセンサ出力値の補正は一つの実施形態であり、使用されるガスセンサ構成部品の材質や、ガスセンサの形状など、その条件によって上記フロー内の補正係数値が適宜調整できることは勿論のことである。
図7は、上記するシール材とハウジングの熱膨張量の差異に基づくセンサ出力値の補正に加えて、シール材に作用する軸力変動をも勘案してセンサ出力値の補正をおこなうフローを示したものである。
このシール材に作用する軸力変動は、高温雰囲気が一定時間継続する場合に生じ易いことから、適宜の温度条件と、この温度条件の継続時間を判断要素として補正係数を算定し、センサ出力値の補正をおこなうものである。発明者等の検討によれば、ハウジングの温度が500℃程度であって、該温度が2000時間程度継続する場合に、シール材とハウジング双方の熱膨張係数差のみに基づく補正ではセンサ出力値の適切な補正がおこなわれ得ないことが見出された。そこで、発明者等は、かかる高温雰囲気が一定時間継続することにより、例えばシール材に軸力を与えているガスセンサのかしめ部が軟化すること等により、シール材に付与されている軸力が低下し、その結果として大気のリークがより促進されているという結論に至った。そこで、一定の温度が一定時間継続する場合においては、ハウジングとシール材双方の熱膨張量の差による補正に加えて、かかる軸力低下による補正をおこなうこととした。本実施形態では、このような軸力低下による補正をおこなう条件として、ハウジングの温度を500℃、その継続時間を2000時間としているが、シール材に軸力を付与するかしめ部の実施形態等からかかる温度や継続時間は適宜調整できることは勿論のことである。
ステップ60では、まず、ガスの質量流量Gaが10g/sec以上であって、センサ出力値が0.2未満であり、ハウジングの温度が500℃以上か否かの判別をおこなう。
ステップ60の条件を満足しない場合は(例えば、センサ出力値が0.2以上である場合)、次にステップ70で、温度500℃の継続時間が2000時間よりも長いかの判別をおこない、長い場合には補正後のセンサ出力値Vaにさらに補正係数1.4を乗じた補正後のセンサ出力値Vbを算定する。
かかる補正係数に関しても、シール材に作用する軸力低下に応じて適宜調節することが可能である。
図8は、補正前のセンサ出力値を示したグラフ(グラフX)と、温度補正後のセンサ出力値を示したグラフ(グラフY)と、温度補正と軸力補正後のセンサ出力値を示したグラフ(グラフZ)を、ハウジング温度が500℃の条件で示したものである。
温度補正のみの場合には未だリーン雰囲気にある範囲pは、さらに軸力補正を加味した補正をおこなうことにより、本来のリッチ雰囲気の範囲qに補正することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
内燃機関の排気制御装置の一実施形態を示した模式図。 酸素センサの一実施形態を示した縦断図。 図2のIII部分の拡大図。 温度と大気の漏れ量の相関を示したグラフ。 センサ出力の補正フロー。 補正前後のセンサ出力を示したグラフ。 高温雰囲気が継続する場合のセンサ出力の補正フロー。 補正前後のセンサ出力を示したグラフ。 従来のセンサ出力を示したグラフ。
符号の説明
1…内燃機関、2…触媒、3…排気マニホールド、4…フィードバック制御部、41…第一の補正手段、42…第二の補正手段、5…酸素センサ(ガスセンサ)、51…ハウジング、51a…かしめ部,52…ガス側カバー、53…大気側カバー、54…ガスセンサ素子,6…タルク(シール材)、7…絶縁碍子

Claims (5)

  1. 少なくとも、筒状のハウジングと、ハウジングの一端に装着されるガス側カバーと、ハウジングおよびガス側カバーの内部に装着されるガスセンサ素子と、を含む構成部品からなり、ハウジングとガスセンサ素子とが、シール材によって気密性を備えた姿勢で組み付けられてなり、ラムダセンサであるガスセンサのセンサ出力を制御するガスセンサの出力制御方法であって、
    前記構成部品の温度、および/またはガスの温度と、大気側から被測定ガス側へ漏れる大気の漏れ量との相関を特定し、該相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正することを特徴とするガスセンサの出力制御方法。
  2. 前記構成部品の温度、および/またはガスの温度と、大気の漏れ量との相関は、前記シール材の熱膨張量とハウジングの熱膨張量の差によって求められることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの出力制御方法。
  3. 請求項2に記載のガスセンサの出力制御方法であって、前記シール材が加圧された姿勢でハウジングとガスセンサ素子との気密性が保持されている場合においては、さらに、シール材の加圧状態と大気の漏れ量との相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正することを特徴とするガスセンサの出力制御方法。
  4. 請求項3に記載のガスセンサの出力制御方法において、
    前記シール材の加圧状態と大気の漏れ量との相関は、ガスセンサの構成部品の温度、および/またはガスの温度と該温度の継続時間と、該シール材を加圧するガスセンサの構成部品の軟化の程度と、から求められることを特徴とするガスセンサの出力制御方法。
  5. 内燃機関の排気系統に取り付けられたラムダセンサであるガスセンサのセンサ出力をフィードバック制御することにより、空燃比の調整をおこなうガスセンサの出力制御システムであって、
    前記出力制御システムは、ガスセンサの構成部品の温度、および/またはガスの温度と、大気側から被測定ガス側へ漏れる大気の漏れ量との相関を特定し、該相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正する第一の補正手段と、
    前記温度が一定の温度以上であって、かつ一定時間継続する場合には、該温度とその継続時間と、ガスセンサの気密性を保持するために設けられたシール材を加圧するガスセンサの構成部品の軟化の程度と、の相関を特定し、該相関に基づいてガスセンサのセンサ出力を補正する第二の補正手段と、を備えており、
    第一の補正手段、または、第一の補正手段および第二の補正手段によって補正されたセンサ出力値をフィードバック制御することを特徴とするガスセンサの出力制御システム。
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