JP4636426B2 - 光信号交換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信システムや光通信用測定器に使用されるキャリア注入光導波路型光スイッチを内蔵し、光信号を高速に交換する光信号交換装置に関し、詳しくは、偏光依存性を低減した光信号交換装置に関するものである。
従来、半導体光導波路構造に電流注入領域を設け、電流(キャリア)を注入することにより屈折率を変化させて、2入力2出力の光スイッチを行なう光スイッチ素子が製作されている。このような光スイッチ素子は、キャリア注入光導波路型光スイッチと呼ばれる。
図5および図6は、従来のキャリア注入光導波路型光スイッチの一例を示す平面図および断面図である(例えば、非特許文献1参照)。図5において基板1は、”X字状”の光導波路2が形成される。電極3は、”X字状”の光導波路2の交差部分に形成される。電極4は、”X字状”の光導波路2の交差部分の近傍であって電極3に並行して形成される。
一方、図6は図5中”A−A’”における断面図である。図6において、基板5はp型のSi等である。コア層6はp型のSiGe層であり、基板5上に形成される。そして、入射光の大部分は、このコア層6で導波され伝搬される。また、コア層6には”X字状”の光導波路2が形成される。コンタクト用のn領域7は、光導波路2の交差部分に形成される。コンタクト用のp領域8は、交差部分の近傍に形成される。
絶縁膜11はSiO等であり、n領域7、p領域8の上を除くコア層6の上に形成される。n側電極9は、n領域7の上に形成される。p側電極10は、p領域8の上に形成される。
続いて、図5、図6に示す従来例の動作を説明する。
光スイッチが”OFF”の場合、電極3(電極9)および電極4(電極10)には電流が供給されない。このため、図5に示す”X字状”の光導波路2の交差部分の屈折率の変化は生じないため、例えば、入射端Piから入射した光信号は交差部分を直進して出射端P1から出射される。
一方、光スイッチが”ON”の場合、p側電極10からn領域7を通ってn側電極9に電流が流れる。つまり、電極3(電極9)から電子が注入され、電極4(電極10)からは正孔が注入される。このため、交差部分にはキャリア(電子、正孔)が注入される。そして、n領域7側に近い光導波路のキャリア濃度が増加する。
このキャリア濃度の増加により図5に示す”X字状”の光導波路2の交差部分の屈折率が低くなるように変化する。例えば、入射端Piから入射した光信号は交差部分に生じた低屈折率の領域(光導波路2内のn領域7側に近い領域)と屈折率変化がほとんどない領域(光導波路2内の残り半分の領域)との境で全反射されて出射端P2から出射される。
この結果、電極に電流を供給して”X字状”の光導波路2の交差部分(光スイッチ部)にキャリア(電子、正孔)を注入して交差部分の屈折率を制御することにより、光信号の出射される位置を制御、言い換えれば、光信号が伝搬される伝送経路を切り換えることが可能になる。
従って、光導波路2内で、電流注入によってキャリア濃度が増加して屈折率変化が生じる領域と生じない領域との境を明確にして、光反射が生じるようにする方が効率よく光反射領域を生成できる。
また、キャリア濃度による屈折率変化はプラズマ分散効果あるいはバンドフィリング効果に基づいて生じることから(例えば、非特許文献2、非特許文献3参照)、同じキャリア濃度の時には、キャリア(自由電子と自由正孔)の有効質量が小さい方が屈折率変化が大きくなる。このため、有効質量が小さい材料系を用いることにより、より低い電流注入量(電流密度)で大きい屈折率変化が生じ、低電流駆動の光スイッチを実現できる。
次に、キャリア(自由電子と自由正孔)の有効質量が小さい材料系(例えば、InP系材料)を用いた従来の光スイッチの断面図の一例を図7に示す(例えば、非特許文献4参照)。
図7において、基板12はInP等である。コア層13は、例えば4元層のn型のInGaAsP層であり、基板12の上に形成される。n型のInP層14は、コア層13の上に形成される。n型のInGaAsP層15は、n型のInP層14の上に形成される。絶縁膜16はSiO 等であり、InGaAsP層15の上に形成される。p側電極17は、絶縁膜16の上に形成され、n側電極18は、基板12の裏面に形成される。
図7に示す光スイッチは、基板12上にコア層13、InP層14およびInGaAsP層15が順次形成され、コア層13までエッチングすることによって”X字状”の光導波路が形成される。
そして、図7中”DR11”に示す部分にはp型不純物が拡散される。そして、図7中”DR11”に示す部分に接触するように電極17が形成され、基板12の裏面には電極18が形成される。
図7に示す従来例においては、キャリア(自由電子と自由正孔)の有効質量が小さい材料系を用いることにより、より低い電流注入量(電流密度)で大きな屈折率変化が得られ、低電流駆動の光スイッチを実現することができる。
続いて、電流狭窄によって、屈折率変化領域を限定する構成の光スイッチを説明する。図8および図9は、交差部分の光導波路内にp型領域を設けて電流搾取を行い、高いキャリア濃度の領域を制限して屈折率変化領域を限定する従来の光スイッチの一例を示す平面図および断面図である(例えば、非特許文献5参照)。また、図4では、実際に光スイッチを光信号交換装置として使用する場合の構成で示している。
図8において半導体の基板19は、”X字状”の光導波路20が形成される。電極21は、”X字状”の光導波路20の交差部分に形成される。また、光信号は、入力光ファイバFiによって伝送され、集光レンズ系Liで光スイッチの入射端(例えば、Pi’)より入射される。また、光スイッチの出射端P1’、P2’から出射される光信号は、集光レンズ系Loで出力光ファイバFoに入射され、伝送される。なお、入力光ファイバFi、出力光ファイバFo共に、単一モード光ファイバである。
一方、図9は図8中”B−B’”における断面図である。図9において、基板22は、例えば、InP等である。下部クラッド層23は、例えば、n型のInP層であり、基板22の上に形成される。コア層24は、n型のInGaAsP層であり、下部クラッド層23の上に形成される。上部クラッド層25は、n型のInP層であり、コア層24の上に形成される。コンタクト層26は、n型のInGaAsP層であり、上部クラッド層25の上に形成される。
図9中”DR31”〜”DR33”に示す部分にはp型不純物であるZnが拡散される。酸化膜27は、SiO 等であり、図9中”DR33”に示す拡散領域以外のコンタクト層26の上に形成される。p側電極28は、図9中”DR33”に示す拡散領域上に形成される。n側電極29は、基板22の裏面に形成される。
ここで、図8および図9に示す従来例の動作を説明する。光スイッチが”OFF”の場合、電極21(電極28)および図示しない基板19裏面の電極(図9中の電極29に相当する。)には電流が供給されない。
このため、”X字状”の光導波路20の交差部分の屈折率の変化は生じないため、例えば、入力光ファイバFi、集光レンズ系Liから入射端Pi’に入射した光信号は、交差部分を直進して出射端P1’に示す部分から出射され、集光レンズ系Loを経て出力光ファイバFiによって伝送される。
一方、光スイッチが”ON”の場合、電極21(電極28)および図示しない基板19裏面の電極(電極29)に電流が供給され交差部分にキャリア(電子、正孔)が注入される。
このため、プラズマ効果によって”X字状”の光導波路20の交差部分の電極21直下の屈折率が低くなるように変化するため、入射端Pi’から入射した光信号は交差部分に生じた低屈折率部分との境で全反射されて出射端P2’に示す部分から出射され、集光レンズ系Loを経て出力光ファイバFiによって伝送される。
この結果、電極に電流を供給して”X字状”の光導波路20の交差部分(光スイッチ部)にキャリア(電子、正孔)を注入して交差部分の屈折率を制御することにより、光信号の出射される位置を制御、言い換えれば、光信号が伝搬される伝送経路を切り換えることが可能になる。
Baujun Li, Guozheng Li, Enke Liu, Zuimin Jiang, Chengwen Pei and Xun Wang,「1.55μm reflerction-type optical waveguide switch based on SiGe/Si plasma dispersion effect」, Appl. Phys. Lett., Vol.75, No.1, pp.1-3, (1999) 応用物理学会, 光学懇話会編者, 「光集積回路−基礎と応用−」, 初版, 朝倉書店, 1988年4月10日, 第5章, p104 Baujun Li, and Soo-Jin Chua, 「2×2 Optical Waveguide Switch with Bow-Tie Electrode Based on Carrier-Injection Total Internal Reflection in SiGe Alloy」, IEEE Photon. Tech. Lett. Vol.13, No.3, pp.206-208, 13(2001) Hiroaki Inoue, Hitoshi Nakamura, Kenichi Morosawa, Yoshimitsu Sasaki, Toshio Katsuyama, and Naoki Chinone, 「An 8mm Length Nonblocking 4×4 Optical Switch Array」, IEEE Journal on Selected Areas in Communications, Vol.6, No.7, pp.1262-1266, (1988) K. Ishida, H. Nakamura, H. Matsumura, T. Kadoi, and H. Inoue,「InGaAsP/InP optical switches using carrier induced refractive index change」, Appl. Phys. Lett., Vol.50, No.19, pp.141-142, (1987)
図5、図8の従来例に示されるように、従来の光スイッチ素子は、光スイッチ部でのキャリア注入による屈折率変化で生じる反射を利用して光スイッチング動作を行う。そして、入射端Pi(または、入射端Pi’)から入射した光は、例えば、出射端P1から出射端P2(または、出射端P1’から出射端P2’)にスイッチングされる。また、図8に示すように、光信号交換装置は、光スイッチ素子単体に、集光レンズ系Li、Loを通して光入出力の光ファイバFi、Foが接続されて使用されることが前提とされる。従って、光スイッチ素子特性の改善が図られてきた。
しかしながら、このような構成で光信号交換装置を構成する場合、入射端Pi、Pi’から入射した光が透過側出射端P1、P1’、あるいは反射側出射端P2、P2’にスイッチングされる光パワー強度(各出力の消光比と挿入損失)が、入射光の偏光に依存してしまう。この偏光依存性は、光スイッチ素子の光導波路構造、光スイッチ部の構造、およびキャリア注入による屈折率変化領域の形状を含む素子構造が複雑に影響している。
また、出射端P1と出射端P2、出射端P1’と出射端P2’にスイッチングされる光パワー強度比も、光スイッチ部構造(屈折率変化領域、光導波路の交差角等)、光導波路幅等により変化し、透過側の光パワー強度が一般に大きくなってしまう。
これらの課題は、光信号交換装置が、従来から考えられている構成(光スイッチ素子単体と集光レンズ系Li,Loに光入出力の光ファイバFi、Foが接続された構成)を用いる限り、解決することが困難という問題があった。
特に、光信号交換装置に入射される光信号は、数十[m]〜数[km]あるいはそれ以上の長さの光ファイバで伝送される。そのため、光ファイバの敷設されている環境(例えば、圧力、温度、磁場等)変動により、伝送される光信号の偏光が時間的に変動する。従って、実際に光信号交換装置として用いる場合、従来例で示す光スイッチ素子を使用した光信号交換装置の構成では、入射光の偏光状態により、光スイッチ部で切り替えられた光出力強度が変化するという問題がある。
一方、偏光状態を保存する偏波面保存ファイバを用いて、光信号交換装置の偏光依存性に係る課題を回避する場合は、一般に偏波面保存ファイバーでは伝搬光が大きな偏波モード分散(PMD:Polarization Mode Dispersion)の影響を受けるために光信号の波形が劣化し、[Gbps]帯の光ビットレート・長距離伝送は困難であった。
そこで本発明の目的は、偏光依存性を低減した光信号交換装置を実現することにある。
請求項1記載の発明は、
入力された光信号を、複数設けられる出力ポートのうち所望の出力ポートから出力する光信号交換装置において、
前記入力された光信号を、互いに90度異なる第1、第2の偏光成分に分けて出力する分離素子と、
この分離素子からの光信号のうち、どちらか一方の光信号の偏光面を90度回転させる第1の偏光面制御素子と、
前記分離素子からの他方の光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第1のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
前記第1の偏光面制御素子からの光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第2のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
前記第1のキャリア注入光導波路型光スイッチからの光信号の偏光面を90度回転させる第2の偏光面制御素子と、
前記第2のキャリア注入光導波路型光スイッチと前記第2の偏光面制御素子とからの光信号を合わせ、前記出力ポートに出力するコンバイナと
を設け、
前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、複屈折性を有しない基板上に形成されることを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、
入力された光信号を、複数設けられる出力ポートのうち所望の出力ポートから出力する光信号交換装置において、
前記入力された光信号を、互いに90度異なる第1、第2の偏光成分に分けて出力する分離素子と、
この分離素子からの光信号のうち、どちらか一方の光信号の偏光面を90度回転させる第1の偏光面制御素子と、
前記分離素子からの他方の光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第1のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
前記第1の偏光面制御素子からの光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第2のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
この第2のキャリア注入光導波路型光スイッチからの光信号の偏光面を90度回転させる第2の偏光面制御素子と、
前記第1のキャリア注入光導波路型光スイッチと前記第2の偏光面制御素子とからの光信号を合わせ、前記所望の出力ポートに出力するコンバイナと
を設け、
前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、複屈折性を有しない基板上に形成されることを特徴とするものである。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、
分離素子は、光信号をTE光とTM光に分離することを特徴とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、
第1、第2の偏光面制御素子は、λ/2板であることを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、
第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、経路の切り替えを相補的に行なうことを特徴とするものである。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、
第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチのそれぞれは、2本の光導波路が交差し、この交差部分に光スイッチ部が設けられ、
前記光スイッチ部は、キャリアが注入され光導波路の交差部分の屈折率変化によって前記光信号の伝搬される伝送経路を切り換え、
前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、同一の基板上に形成され、
前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、一方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入された場合、他方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入されず、他方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入された場合、一方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入されないことを特徴とするものである。

請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、
複数の入力ポートを有し、
第1の偏光面制御素子は、前記入力ポートごとに設けられることを特徴とするものである。
本発明によれば、以下のような効果がある。
請求項1〜7によれば、分離素子によって分離された一方の偏光成分を、偏光面制御素子が、他方の偏光成分と同じ偏光面に変換する。そして、光スイッチを通った後、再度、直交する偏光成分に戻し、それぞれの光信号をコンバイナが合波して、所望の出力ポートに出力する。これにより、光スイッチを透過する偏光がどちらか一方の偏光成分に限定されるので、光スイッチ特性に偏光依存性がある場合でも、入射された信号光の偏光依存性が非常に低減した光信号交換装置にすることができる。これにより、実際の光ネットワーク、光演算機器、光測定器等で使用できるため、実用的な価値も非常に高くなる。
請求項1によれば、分離素子によって分離された光信号のそれぞれが、偏光面制御素子を同じ数(1回)だけ通るので、偏光面制御素子による影響(例えば、光パワーの損失等)を軽減することができる。
請求項5によれば、一方の光スイッチが、光導波路の経路を反射側の出射端へ切り替えている時は、同時に他方の光スイッチが、光導波路の経路を透過側の出射端へ切り替えている。従って、光スイッチングにおいて透過側と反射側の減衰量(挿入損失)の差があっても、2個の光スイッチが経路の切り替え動作を相補的に行なうので、減衰量の差が低減される。これにより結果的に、入力ポートから出力ポートへの光信号の減衰量の差が小さくなる。
請求項6によれば、2個の光スイッチが同一基板上近傍に形成され、相補的に動作(必ずどちらかの光スイッチにキャリア注入を行なう動作)するので、キャリア注入による発熱の影響を低減することができる。
以下図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施例]
図1は、本発明の第1の実施例を示した構成図であり、2入力(入力ポートPi1、Pi2)、2出力(出力ポートPo1、Po2)型の光信号交換装置の例である。図1において、偏光ビームスプリッタ30a、30bは、分離素子であり、入力される光信号を、偏光面が互いに90度異なる第1、第2の偏光成分(例えば、TE(transverse electric wave)光とTM(transverse magnetic wave)光)に分離して出力する。また、偏光ビームスプリッタ30a、30bのそれぞれは、入力ポートPi1,Pi2ごとに設けられ、入力ポートPi1,Pi2に接続される。
λ/2板31a、31bは、第1の偏光面制御素子であり、偏光ビームスプリッタ30a、30bからのTM光の偏光面を90度回転させて、TE光に変換して出力する。
第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチ32a、32bは、例えば、図5〜図9に示す光スイッチ素子であり、同一基板上近傍に形成され、入射された光信号を、所望の出力ポートPo1,Po2側に経路を切り替えて出力する。
光スイッチ32aは、入射端Pri1、Pti1、出射端Pro1、Pto1を有し、入射端Pri1に偏光ビームスプリッタ30aからのTE光が入射され、入射端Pti1に偏光ビームスプリッタ30bからのTE光が入射される。
光スイッチ32bは、入射端Pri2、Pti2、出射端Pro2、Pto2を有し、入射端Pri2にλ/2板31aからのTE光が入射され、入射端Pti2にλ/2板31bからのTE光が入射される。
λ/2板33a、33bのぞれぞれは、第2の偏光面制御素子であり、光スイッチ32aの出射端Pro1、Pto1それぞれからのTE光の偏光面を90度回転させて、TM光に変換して出力する。
光カプラ34aは、λ/2板33aと光スイッチ32bの出射端Pro2とからの光信号を合波し、出力ポートPo1に出力する。光カプラ34bは、λ/2板33bと光スイッチ32bの出射端Pto2とからの光信号を合波し、出力ポートPo2に出力する。なお、光カプラ34a、34bは、コンバイナである。
このような装置の動作を説明する。具体例として、入力ポートPi1から光信号が入力される場合を説明する。入力ポートPi1から入力された光信号は、偏光ビームスプリッタ30aで、TE光とTM光とに分けられる。そして、TM光は、λ/2板31aでTE光に変換される。
偏光ビームスプリッタ30a、λ/2板31aそれぞれからのTE光は、光スイッチ32a、32bを通り、光導波路が交差する光スイッチ部のスイッチ動作で、透過側(図1中、破線で示される光導波路を通る)となる出射端Pto1、Pto2、あるいは反射側(図1中、点線で示される光導波路を通る)となる出射端Pro1、Pro2に切り替えられて出力される。つまり、光スイッチ32a、32bは、同時に同じ経路切替の動作を行なう。例えば、出力ポートPo1側に出力する場合は光スイッチ部を”ON”し、出力ポートPo2側に出力する場合は光スイッチ部を”OFF”する。
そして、出力ポートPo1に出力する場合は、出射端Pro1からのTE光が、λ/2板33aでTM光に変換され、出射端Pro2からのTE光と合波され、出力ポートPo1から出力される。
または、出力ポートPo2に出力する場合は、出射端Pto1からのTE光が、λ/2板33bでTM光に変換され、出射端Pto2からのTE光と合波され、出力ポートPo2から出力される。
もちろん、入力ポートPi2から入力された光信号に対しても同様に、光スイッチ32a、32bによって出力ポートPo1あるいはPo2への切替動作が可能である。
このように、偏光ビームスプリッタ30a、30bによって分離されたTM光を、λ/2板31a、31bが、TE光に変換する。そして、分離されたTE光と変換されたTE光とが、光スイッチ32a、32bを通る。さらに、光スイッチ32aを通過後に、変換の行なわれていないTE光を、λ/2板33a、33bがTM光に変換する。そして、TE光、TM光それぞれの光信号を光カプラ34a、34bが合わせて、所望の出力ポートPo1,Po2に出力する。これにより、光スイッチ32a、32bを透過する偏光がどちらか一方の偏光成分に限定されるので、光スイッチ特性に偏光依存性がある場合でも、入射された光信号の偏光依存性を非常に低減した光信号交換装置にすることができる。これにより、実際の光ネットワーク、光演算機器、光測定器等で使用できるため、実用的な価値も非常に高くなる。例えば、実際の光ファイバを用いたシステムにおいては、入力される光信号の偏光が変動するため、スイッチングされた光信号の出力の変動が低減される本装置の実用的価値は非常に高い。
また、偏光ビームスプリッタ30a、30bによって分離されたTM光、TE光のそれぞれが、λ/2板31a、31b、33a、33bを同じ数(1回)だけ通るので、λ/2板による影響(例えば、光パワーの損失等)を軽減することができる。
[第2の実施例]
図2は、本発明の第2の実施例を示した構成図であり、1入力(入力ポートPi1)、2出力(出力ポートPo1、Po2)型の光信号交換装置の例である。図1に示す装置では、光スイッチ32a、32bを同時に”ON”または”OFF”と動作する構成を示したが、相補的に動作する例を説明する。ここで、図1と同じものには同一符号を付し、説明を省略する。図2において、入力ポートPi2、偏光ビームスプリッタ30b、λ/2板31bが取り外される。
光スイッチ32aは、偏光ビームスプリッタ30aによって分けられたTE光が、入射端Pri1の代わりに入射端Pti1に入射される。
このような装置の動作を説明する。
入力ポートPi1から入力された光信号は、偏光ビームスプリッタ30aで、TE光とTM光とに分けられる。そしてTM光は、λ/2板31aでTE光に変換される。そして、偏光ビームスプリッタ30aからのTE光は、光スイッチ32aに入射され、λ/2板31aからのTE光は、光スイッチ32bに入射される。
ここで、出力ポートPo1側に出力する場合、光スイッチ32aは、光スイッチ部が”OFF”となり透過側(図2中、点線)となる出射端Pro1に切り替えられる。また、光スイッチ32bは、光スイッチ部が”ON”となり反射側(図2中、点線)となる出射端Pro2に切り替えられる。
一方、出力ポートPo2側に出力する場合、光スイッチ32aは、光スイッチ部が”ON”となり反射側(図2中、破線)となる出射端Pto1に切り替えられる。また、光スイッチ32bは、光スイッチ部が”OFF”となり透過側(図2中、破線)となる出射端Pto2に切り替えられる。
光スイッチ32a、32bから光信号が出射された後の動作は、図1に示す装置と同様なので説明を省略する。
このように、2個の光スイッチ32a、32bが相補的に動作する。つまり、一方の光スイッチが、光導波路の経路を反射側の出射端へ切り替えている時は、同時にもう一方の光スイッチが、光導波路の経路を透過側の出射端へ切り替えている。従って、光スイッチ32a、32bが光スイッチングにおいて、透過側と反射側の減衰量(挿入損失)の差がある場合に、2個の光スイッチ32a、32bが相補的に動作するので、この差が低減される。これにより結果的に、入力ポートPi1から出力ポートPo1、Po2への光信号の減衰量の差が小さくなる。
また、2個の光スイッチ32a、32bが同一基板上近傍に形成され、相補的に動作(必ずどちらかの光スイッチにキャリア注入を行なう動作)することから、キャリア注入による発熱の影響を低減することができる。
[第3の実施例]
図3は、本発明の第3の実施例を示した構成図であり、図2に示す装置を2入力(入力ポートPi1、Pi2)、2出力(出力ポートPo1、Po2)型の光信号交換装置に適用した例である。図3において、図1に示すのと同様の入力ポートPi2、偏光ビームスプリッタ30b、λ/2板31bが設けられる。
偏光ビームスプリッタ30bは、入力側が入力ポートPi2に接続され、入力される光信号をTE光とTM光に分離し、TE光を光スイッチ32aの入射端Pri1に出力する。λ/2板31bは、偏光ビームスプリッタ30bからのTM光をTE光に変換し、光スイッチ32bの入射端Pti2に出力する。
つまり、図3に示す装置は、図1に示す装置に対して、光スイッチ32aの入射端Pri1、Pti1と偏光ビームスプリッタ30a、30bとの接続が入れ替わっている。
このような装置の動作を説明する。入力ポートPi1から光信号が入力される場合の動作は、図2に示す装置度同様なので説明を省略する。
入力ポートPi2から入力された光信号は、偏光ビームスプリッタ30bで、TE光とTM光とに分けられる。そしてTM光は、λ/2板31bでTE光に変換される。偏光ビームスプリッタ30からのTE光は、光スイッチ32aに入射され、λ/2板31bからのTE光は、光スイッチ32bに入射される。
ここで、出力ポートPo1側に出力する場合、光スイッチ32aは、光スイッチ部が”ON”となり反射側(図3中、点線)となる出射端Pro1に切り替えられる。また、光スイッチ32bは、光スイッチ部が”OFF”となり透過側(図3中、点線)となる出射端Pro2に切り替えられる。
一方、出力ポートPo2側に出力する場合、光スイッチ32aは、光スイッチ部が”OFF”となり透過側(図3中、破線)となる出射端Pto1に切り替えられる。また、光スイッチ32bは、光スイッチ部が”ON”となり反射側(図3中、破線)となる出射端Pto2に切り替えられる。
光スイッチ32a、32bから光信号が出射された後の動作は、図1に示す装置と同様なので説明を省略する。
このように、どちらの入力ポートPi1、Pi2に光信号が入力されても、2個の光スイッチ32a、32bが相補的に動作する。つまり、一方の光スイッチが、光導波路の経路を反射側の出射端へ切り替えている時は、同時にもう一方の光スイッチが、光導波路の経路を透過側の出射端へ切り替えている。従って、光スイッチ32a、32bが光スイッチングにおいて、透過側と反射側の減衰量(挿入損失)の差がある場合に、2個の光スイッチ32a、32bが相補的に動作するので、この差が低減される。これにより結果的に、入力ポートPi1から出力ポートPo1、Po2への光信号の減衰量の差が小さくなる。
また、2個の光スイッチ32a、32bが同一基板上近傍に形成され、相補的に動作(必ずどちらかの光スイッチにキャリア注入を行なう動作)することから、キャリア注入による発熱の影響を低減することができる。
なお、本発明はこれに限定されるものではなく、以下のようなものでもよい。
λ/2板31a、31bが、TM光をTE光に変換し、光スイッチ32a、32bにはTE光のみが入射される構成を示したが、TE光をTM光に変換し、光スイッチ32a、32bにはTM光のみが入射される構成としてもよい。もちろん、光スイッチ32bを透過後にTM光をTE光に変換する。図1を例に説明する。図1において、λ/2板31a、31bのそれぞれは、偏光ビームスプリッタ30a、30bからのTE光をTM光に変換し、光スイッチ32aに出力する。そして、λ/2板33a、33bのそれぞれは、光スイッチ32bからのTM光をTE光に変換して、光カプラ34a、34bに出力する。
また、偏光ビームスプリッタ30a、30bによって分離されたTE光、TM光のそれぞれを1回ずつ各λ/2板31a、31b、32a、32bに通し、偏光面を変換する構成を示したが、TE光(またはTM光)のみを2回変換してもよい。図4は、本発明の第4の実施例を示した構成図である。ここで、図2と同一のものには同一符号を付し、説明を省略する。図4において、λ/2板33a、33bのそれぞれが、光スイッチ32aの後段でなく、光スイッチ32bの後段に設けられる。そして、光スイッチ32bからのTE光(既に一回変換されている)をTM光に変換し、光カプラ34a、34bに出力する。
また、図1に示す装置において、2入力2出力型とする光信号交換装置の構成を示したが、入出力数は何個でもよい。
さらに、図1〜図4に示す装置において、光スイッチ32a、32bを同一の基板上近傍に形成する構成を示したが、別々の基板上に形成してもよい。
本発明の第1の実施例を示した構成図である。 本発明の第2の実施例を示した構成図である。 本発明の第3の実施例を示した構成図である。 本発明の第4の実施例を示した構成図である。 従来の光スイッチの一例を示す平面図である。 従来の光スイッチの一例を示す断面図である。 キャリアの有効質量が小さい材料系を用いた従来の光スイッチの一例を示す断面図である。 電流狭窄によって、屈折率変化領域を限定する従来の光スイッチを従来の光信号交換装置に用いた一例を示す平面図である。 電流狭窄によって、屈折率変化領域を限定する従来の光スイッチの一例を示す断面図である。
符号の説明
30a、30b 偏光ビームスプリッタ
31a、31b、33a、33b λ/2板
32a、32b キャリア注入光導波路型光スイッチ
34a、34b 光カプラ
Pi1、Pi2 入力ポート
Po1、Po2 出力ポート

Claims (7)

  1. 入力された光信号を、複数設けられる出力ポートのうち所望の出力ポートから出力する光信号交換装置において、
    前記入力された光信号を、互いに90度異なる第1、第2の偏光成分に分けて出力する分離素子と、
    この分離素子からの光信号のうち、どちらか一方の光信号の偏光面を90度回転させる第1の偏光面制御素子と、
    前記分離素子からの他方の光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第1のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
    前記第1の偏光面制御素子からの光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第2のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
    前記第1のキャリア注入光導波路型光スイッチからの光信号の偏光面を90度回転させる第2の偏光面制御素子と、
    前記第2のキャリア注入光導波路型光スイッチと前記第2の偏光面制御素子とからの光信号を合わせ、前記出力ポートに出力するコンバイナと
    を設け、
    前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、複屈折性を有しない基板上に形成されることを特徴とする光信号交換装置。
  2. 入力された光信号を、複数設けられる出力ポートのうち所望の出力ポートから出力する光信号交換装置において、
    前記入力された光信号を、互いに90度異なる第1、第2の偏光成分に分けて出力する分離素子と、
    この分離素子からの光信号のうち、どちらか一方の光信号の偏光面を90度回転させる第1の偏光面制御素子と、
    前記分離素子からの他方の光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第1のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
    前記第1の偏光面制御素子からの光信号を、前記所望の出力ポート側に経路を切り替えて出力する第2のキャリア注入光導波路型光スイッチと、
    この第2のキャリア注入光導波路型光スイッチからの光信号の偏光面を90度回転させる第2の偏光面制御素子と、
    前記第1のキャリア注入光導波路型光スイッチと前記第2の偏光面制御素子とからの光信号を合わせ、前記所望の出力ポートに出力するコンバイナと
    を設け、
    前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、複屈折性を有しない基板上に形成されることを特徴とする光信号交換装置。
  3. 分離素子は、光信号をTE光とTM光に分離することを特徴とする請求項1または2記載の光信号交換装置。
  4. 第1、第2の偏光面制御素子は、λ/2板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光信号交換装置。
  5. 第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、経路の切り替えを相補的に行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光信号交換装置。
  6. 第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチのそれぞれは、2本の光導波路が交差し、この交差部分に光スイッチ部が設けられ、
    前記光スイッチ部は、キャリアが注入され光導波路の交差部分の屈折率変化によって前記光信号の伝搬される伝送経路を切り換え、
    前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、同一の基板上に形成され、
    前記第1、第2のキャリア注入光導波路型光スイッチは、一方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入された場合、他方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入されず、他方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入された場合、一方のキャリア注入光導波路型光スイッチにキャリアが注入されないことを特徴とする請求項5記載の光信号交換装置。
  7. 複数の入力ポートを有し、
    第1の偏光面制御素子は、前記入力ポートごとに設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光信号交換装置。
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