JP4634627B2 - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD(コンパクト・ディスク)系の光ディスク、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)系の光ディスク等の光記録媒体に対して情報の記録、再生または消去を行う光ディスクドライブ装置等に装備される光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、CD系の光ディスクやDVD系の光ディスク等の光記録媒体に対して情報の記録、再生または消去を行う光ディスクドライブ装置に装備される光ピックアップ装置の従来例を示す。図8は従来の光ピックアップ装置の概要を示す概略構成図である。
図8において、半導体レーザからなるレーザ光源21から出射されたレーザ光はコリメートレンズ22により平行光とされた後、偏光ビームスプリッタ23により光記録媒体である光ディスク(図示せず)側に向けて反射される。この際、1/4波長板24を経た後、対物レンズ25により光ディスク面に集光照射される。光ディスクからの反射光は、再び、対物レンズ25、1/4波長板24を経ることにより偏光方向が90°変換されて偏光ビームスプリッタ23に入射することにより、この偏光ビームスプリッタ23を透過する。偏光ビームスプリッタ23を透過した光は検出レンズ26により検出系受光素子27に結像され、情報信号/フォーカスエラー信号/トラッキングエラー信号等の各種信号の検出に供される。尚、検出系自体は各種の方式がある。
【0003】
この種の光ピックアップ装置では、各種情報を安定して検出し、又は、安定した記録動作を行うためには、レーザ光源21から出射されるレーザ光の光量が安定していることが重要である。このため、従来からレーザ光源の発するレーザ光の光量をモニタ用受光素子でモニタし、そのモニタ受光量に応じてレーザ光源から発するレーザ光の光量を制御するようにしている(尚、この光量制御をオートパワーコントロール(APC)と言う)。
この場合のモニタ方式としては、レーザ光源のチップ内にその後方に向けて発せられる後方光を受光するモニタ用受光素子を一体に内蔵させてなるものがあるが、この方式では、レーザ光源の構造が制約される、実際に用いる前方光との対応が必ずしも正確でない、等の理由から、レーザ光源から前方に向けて出射される光束の一部を受光するモニタ用受光素子を設けるのが一般的である。図8に示す従来例では、レーザ光源21から前方に向けて出射された光束の一部を受光するモニタ用の受光素子28が偏光ビームスプリッタ23を介してレーザ光源21に対峙する位置に配設されている。すなわち、受光素子28はレーザ光源21から出射されて偏光ビームスプリッタ23を透過した光を受光することになる。尚、符号29はその透過光を受光素子28に結像させる集光レンズである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(従来技術の課題1:対物レンズへ向かう本来の光束の光量減少)
ところで、図8に示すような構成の従来の光ピックアップ装置によると、レーザ光源21から出射された光束の一部が受光素子28側にも向かうように偏光ビームスプリッタ23において分光させる必要がある。例えば、光ディスク側に向かう反射率と受光素子28側に向かう透過率との比率が9:1の如く設定される。この結果、レーザ光源21から出射されて対物レンズ25側へ向かう本来の光束の光量が減少してしまう不都合がある。
【0005】
(従来技術の課題2:APCによるパワー制御の信頼性)
また、偏光ビームスプリッタ23の反射率、透過率などの特性は、±5%程度のばらつきがあるので、5%〜15%の広い範囲で光ビームの反射が変動することを想定する必要があり、設計や調整が困難となる。さらに、偏光ビームスプリッタ23の反射率等の特性は、波長に応じて変動するため、APCによるパワー制御の信頼性を低下させることが問題となる。
【0006】
(本発明の目的)
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたものであり、レーザ光の利用効率を確保しつつ、製造ばらつきや波長変動の影響を受けにくく信頼性の高いAPCを行うことができる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、本発明は、レーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を0次光と複数の回折光に分岐するグレーティングパターンを備えた光学素子と、光路を偏向させる立上げミラーと、前記レーザ光源からのレーザ光を集光し光記録媒体に照射する光学系と、前記レーザ光源からのレーザ光を集光し光記録媒体に照射する光学系を通過し前記立上げミラーで偏向された前記光記録媒体からの反射光に対するビームスプリットを実行するホログラムパターンを備えた光学素子と、前記レーザ光源の発するレーザ光の光量をモニタするモニタ用受光素子とを備え、前記光記録媒体に対してレーザ光を照射することで情報を検出する光ピックアップ装置において、前記グレーティングパターンの回折方向と、前記ホログラムパターンの回折方向が略直交するとともに、前記モニタ用受光素子は前記立上げミラーの後方で、前記立上げミラーと前記光学系の隙間を通過して照射される位置に配置され、前記レーザ光源からのレーザ光を集光し光記録媒体に照射する光学系には入射しない余分なレーザ光を検出するものであり、前記モニタ用受光素子を、前記レーザ光源から出射され光記録媒体に向かうレーザ光のうち、前記グレーティングパターンでレーザ出射方向へ分岐された0次光および複数の回折光が前記ホログラムパターンでレーザ出射方向へ回折されて前記立上げミラーの後方に照射される位置で、且つ、前記0次光および回折光の一つが前記ホログラムパターンにより回折されて重なる領域に配置することを特徴とする。すなわち本発明では、レーザ光源から出射され光記録媒体に向かうレーザ光のうち、グレーティングパターンでレーザ出射方向に回折され、さらにホログラムパターンで回折されて立上げミラーの後方に照射される回折光を用いてAPC制御を行なえるようにし、対物レンズ等の光学系でのレーザ光の利用効率を保持し、波長変動の影響を受けにくい信頼性の高いAPCを行うことができる光ピックアップ装置を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成、動作および作用を、図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[実施例1]
まず本発明にかかる光ピックアップ装置の構成例について説明する。図1は本発明の一実施例を示す光ピックアップ装置の概略構成図である。同図において符号1は光源や受光素子、ホログラム等が一体に組み込まれたホログラムユニットであり、11はレーザ光源であるレーザ素子(半導体レーザ)、12はホログラム素子である。このホログラム素子12の上面にはエッチングにより溝が形成されることでホログラムパターン14が構成され、下面にもエッチングにより溝が形成されることでグレーティングパターン13が構成されている。符号2,3,4は光学系を構成するカップリングレンズ、立上げミラー(または立上げプリズム)、対物レンズであり、符号5は光ディスク等の光記録媒体を示している。また、符号15はホログラムユニット1内に配設した5分割受光素子であり、図6に示すように15a,15b,15c,15d,15eの各分割受光素子部から構成される(詳細は後述する)。そして、符号6はオートパワーコントロール(APC)制御用のモニタ用受光素子であり、7はAPC制御用の回路(APC回路)である。
【0015】
ホログラムユニット1内のレーザ素子11から出射されたレーザ光は、グレーティングパターン13により回折されてトラッキングサーボ用に主ビーム(0次回折光)と2つの副ビーム(±1次回折光)に分離されるとともに、光記録媒体5からの反射光に対しビームスプリット機能を有するサーボ信号生成用に形成されたホログラムパターン14でも回折される。これらの回折光を利用してフロントモニタ方式のAPC制御を行うことが可能となるが、この詳細については後述する。このようにして複数のレーザ光(回折光)に分けられたホログラムユニット1からの出射光は、続くカップリングレンズ2でカップリングされ、立上げミラー(または立上げプリズム)3で反射されて光路を偏向され、対物レンズ4に入射し、対物レンズ4により光記録媒体5上に微小スポットとして集光され、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。光記録媒体5からの反射光は対物レンズ4を通過し、立上げミラー(または立上げプリズム)3で偏向され、カップリングレンズ2で収束光とされ、ホログラムパターン14によりレーザ素子11と同一キャン内にある5分割受光素子15方向に回折され、その5分割受光素子15の受光面で受光される。そして5分割受光素子15からは、情報信号及び、フォーカスエラー信号/トラッキングエラー信号等のサーボ信号が検出される。
【0016】
次にホログラムパターン14の信号光生成方法について説明する。ホログラムパターン14は、図7に示すように3つの領域14a,14b,14cから成り、領域14aと領域14b、領域14cの分割線は光記録媒体5の半径方向に一致し、領域14bと領域14cの分割線はジッタ方向に一致する。グレーティングパターン13での0次回折光の光記録媒体5からの反射光は、図6に示す5分割受光素子15の受光面上の分割受光素子部15b,15cの分割線上に集光され、他方の領域に入射したものは分割受光素子部15d上に集光される。またグレーティングパターン13での±1次回折光の光記録媒体5からの反射光は、それぞれ分割受光素子部15a,15e上に集光される。これらの集光光束は、光記録媒体上のレーザ光束の収束状態に応じて図6(a),(b),(c)に示すように変化する。従って、5分割受光素子15の各分割受光素子部15a,15b,15c,15d,15eの出力をS1,S2,S3,S4,S5とすると、フォーカス誤差信号FEは、
FE=S2−S3
で与えられ、一方、トラッキング誤差信号TEは所謂3ビーム法で検出され、
TE=S1−S5
で与えられる。また、情報信号RFは、
RF=S2+S3+S4
で与えられる。
【0017】
次にホログラムユニット1から出射されるレーザ光の回折光に関して述べる。
前述の通り、レーザ素子11から出射したレーザ光がグレーティングパターン13により回折されてトラッキングサーボ用に主ビーム(0次回折光)と2つの±1次回折光に分離されるとともに、光記録媒体5からの反射光に対しビームスプリット機能を有するサーボ信号生成用に形成されたホログラムパターン14でも回折される。これらの回折光の様子を図2に示す。グレーティングパターン13により3ビームに分けられた後、さらにホログラムパターン14の各領域でそれぞれ0次、±1次の3ビームに分けられる。特にホログラムパターン14は フォーカス信号生成用の領域14aとトラッキング信号生成用の領域14b,14cの回折角度が異なっているため、最終的に5つの回折光に分けられる。このようにしてレーザ素子11から発したレーザ光は、グレーティングパターン13で3つに分けられるとともに、ホログラムパターン14により、グレーティングパターン13での回折光とは直交する方向に5方向に回折されるため、計15の回折光に分けられる。
【0018】
次に回折光の回折方向に関して述べる。グレーティングパターン13では、光記録媒体方向へ出射される回折光と、光記録媒体方向とは反対の光源方向へ反射回折される光(反射回折光)が発生する。 図1に示す構成の光ピックアップ装置において、このような反射回折光がサーボ信号検出用の受光素子15に入射すると、光記録媒体5からの信号出力にオフセットを生じせしめ、サーボ制御に支障を来す原因となる。そこで本発明では、ホログラムパターン14での回折光とグレーティングパターン13での回折光とは直交する方向に生成させている。これにより グレーティングパターン13での反射回折光は信号検出用の受光素子15とは直交する方向に向かい、結果的に不要なオフセットは発生しないようになっている。
【0019】
次にモニタ方式のAPC制御に関して述べる。上述のようにして生成された複数の回折光の一部は、対物レンズ4には入射しない、すなわち光記録媒体5の照射には用いられない。この余分なレーザ光をモニタ用受光素子6にて検出することにより、レーザ光のパワー(光量)に比例する検出信号が出力される。この検出信号は、APC回路7において所定の基準値と比較され、検出信号と基準値の差分に応じた駆動信号が生成されて、レーザ素子11に供給(フィードバック)される。これにより、レーザ素子11から出射されるレーザ光のパワーが制御され、モニタ用受光素子6の検出信号と前記基準値との差分をゼロに近づけるようフィードバック制御が行われるので、レーザ光のパワーを常に一定に保つように制御が行われることとなる。
【0020】
また、生成された複数の回折光のうち、対物レンズ4には入射しないレーザ光を、モニタ用受光素子6にて検出してパワー(光量)をモニタするが、そのモニタ用受光素子6の具体的な設置位置としては、例えば立上げミラー3の後方で、且つ図3に示すように、複数の回折光が重なる領域が挙げられる。そして、このように複数の回折光が重なる領域にモニタ用受光素子6を設置することにより、常に安定した光量が保持でき、信頼性の高い光量検出を行うことができる。
【0021】
[実施例2]
次に本発明の別の実施例について述べる。上述した実施例1の構成では、ホログラム素子12には、ホログラムパターン14とグレーティングパターン13が設けられているが、本実施例ではホログラム素子12にはホログラムパターン14のみが形成され、グレーティングパターンは施されない構成とした例である。
尚、その他の構成は実施例1と同様である。
このようにホログラム素子12にグレーティングパターンが施されていなくても、図4に示すように、複数の回折光が重なる領域にモニタ用受光素子6を設置すれば、実施例1と同様にレーザ光の光量のモニタ検出が可能である。
【0022】
[実施例3]
次に本発明のさらに別の実施例について述べる。本実施例では、図1の構成の光ピックアップ装置において、モニタ用受光素子は、レーザ素子11から出射され光記録媒体5に向かうレーザ光のうち、グレーティングパターン13で光源方向へ反射回折される反射回折光をモニタする構成とするものである。すなわち、レーザ素子11から出射され光記録媒体5に向かうレーザ光のうち、グレーティングパターン13で光記録媒体とは反対の光源方向へ反射回折される反射回折光を利用してAPC制御を行なうものである。
より詳しく述べると、レーザ素子11から出射されたレーザ光は、グレーティングパターン13により光記録媒体方向へ回折されてトラッキングサーボ用に0次光(主ビーム)と±1次光(2つの副ビーム)に分離されるが、この際、図5に示すように、光源側に向かって反射する反射回折光が発生する。そこで本実施例では、この反射回折光を受光できる位置にモニタ用受光素子を設置して実施例1、2と同様にモニタし、APC制御を行なう構成とする。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、レーザ光源から出射され光記録媒体に向かうレーザ光のうち、グレーティングパターンでレーザ出射方向に回折され、さらにホログラムパターンで回折されて立上げミラーの後方に照射される回折光を用いてAPC制御を行なうようにしたので、対物レンズ等の光学系でのレーザ光の利用効率が保持でき、波長変動の影響を受けにくく、信頼性の高いAPC制御を行うことができる光ピックアップ装置を提供できる。
【0025】
また、本発明によればグレーティングパターンの回折方向とホログラムパターンの回折方向を略直交させているため、グレーティングパターンでの反射回折光は、信号検出用の受光素子に入射することがないので、結果的に不要なオフセットが発生しないようにすることができる。
【0026】
さらに本発明によれば、前記モニタ用受光素子は、前記グレーティングパターンでレーザ出射方向に回折され、さらにホログラムパターンで回折されて立上げミラーの後方に照射される複数の回折光が重なる領域に配置されるため、常に安定した光量が保持でき、波長変動の影響を受けにくく、信頼性の高いAPC制御を行うことができる光ピックアップ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図2】図1に示す光ピックアップ装置のホログラム素子に設けたグレーティングパターン及びホログラムパターンで回折される回折光の様子を示す説明図である。
【図3】図1に示す光ピックアップ装置のホログラム素子に設けたグレーティングパターン及びホログラムパターンで回折される回折光と、モニタ用受光素子の設置位置の関係を説明するための説明図である。
【図4】図1に示す光ピックアップ装置のホログラム素子にホログラムパターンのみを設けた場合の回折光と、モニタ用受光素子の設置位置の関係を説明するための説明図である。
【図5】図1に示す光ピックアップ装置のホログラム素子に設けたグレーティングパターンによる反射回折光を説明するための説明図である。
【図6】図1に示す光ピックアップ装置のホログラムユニット内に設置した5分割受光素子の受光面(各分割受光素子部)の構成例と、光記録媒体上のレーザ光束の収束(フォーカス)状態に応じた各分割受光素子上の集光状態の変化を説明するための説明図である。
【図7】図1に示す光ピックアップ装置のホログラム素子に設けたホログラムパターンの領域の説明図である。
【図8】従来の光ピックアップ装置の概要を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 ホログラムユニット
2 カップリングレンズ
3 立上げミラー(または立上げプリズム)
4 対物レンズ
5 光記録媒体
6 モニタ用受光素子
7 APC回路
11 レーザ素子(レーザ光源)
12 ホログラム素子
13 グレーティングパターン
14 ホログラムパターン
15 5分割受光素子

Claims (1)

  1. レーザ光源と、該レーザ光源から出射されたレーザ光を0次光と複数の回折光に分岐するグレーティングパターンを備えた光学素子と、光路を偏向させる立上げミラーと、前記レーザ光源からのレーザ光を集光し光記録媒体に照射する光学系と、前記レーザ光源からのレーザ光を集光し光記録媒体に照射する光学系を通過し前記立上げミラーで偏向された前記光記録媒体からの反射光に対するビームスプリットを実行するホログラムパターンを備えた光学素子と、前記レーザ光源の発するレーザ光の光量をモニタするモニタ用受光素子とを備え、前記光記録媒体に対してレーザ光を照射することで情報を検出する光ピックアップ装置において、
    前記グレーティングパターンの回折方向と、前記ホログラムパターンの回折方向が略直交するとともに、
    前記モニタ用受光素子は前記立上げミラーの後方で、前記立上げミラーと前記光学系の隙間をレーザー光が通過して照射される位置に配置され、前記レーザ光源からのレーザ光を集光し光記録媒体に照射する光学系には入射しない余分なレーザ光を検出するものであり、
    前記モニタ用受光素子を、前記レーザ光源から出射され光記録媒体に向かうレーザ光のうち、前記グレーティングパターンでレーザ出射方向へ分岐された0次光および複数の回折光が前記ホログラムパターンでレーザ出射方向へ回折されて前記立上げミラーの後方に照射される位置で、且つ、前記0次光および回折光の一つが前記ホログラムパターンにより回折されて重なる領域に配置することを特徴とする光ピックアップ装置。
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