本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、これらは実施の形態の一例を示すにすぎず、これらの実施の形態に限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。以下の説明では、ガスタービンロータを一例に挙げて説明する。
ガスタービンロータ1の軸曲がり分布を算出する際、ロータディスク50の芯ずれ量の算出が基礎となる。この芯ずれ量を算出する方法の基本的な考え方を以下に説明する。
図1は、ガスタービンロータ1のロータディスク50の断面を示したものであり、断面における計測値と基準円、計算円の関係を示したものである。ロータディスク50の周方向に沿って、ロータディスク50の外表面を等間隔で複数個(m)に分割して各計測点Xi(i=1〜m)を定め、ロータディスク50を白抜き矢印の方向に1回転させながら、各計測点Xi(i=1〜m)において変位計2で計測した計測値(変位計2の設置位置からロータディスクの外表面迄の距離と計測開始点からの回転角度)に基づき、ガスタービンロータの外表面における径方向の変位量aiを導出している。即ち、計測開始点X1における変位計2とロータディスク50の外表面迄の距離を便宜上「0(ゼロ)」として、各計測点Xi(i=2〜m)における距離と計測開始点X1での距離を対比して、両者の相対距離差を変位量aiとしている。尚、計測点Xi(i=1〜m)は、等間隔に選定してもよく、等間隔でなくてもよい。
基準円は、本願発明の構成に直接関係する要素ではないが、その図形中心がロータディスク50の回転中心O2と一致する円として、便宜的に表示したものである。ガスタービンロータの場合、基準円は真円であり、基準円の中心がロータの回転中心O2となる。
計算円は、各計測点Xi(i=1〜m)での振れ量の計測値Pi(計測角度θi及び径方向の変位量ai)から決定される。円周方向の計測点数(m)に対して各計測点Xi(i=1〜m)の位置及び計測角度を定め、各計測点Xi(i=1〜m)における計測値Pi(計測角度θi及び径方向の変位量ai)の中から、任意の3点を選択すれば、これら3点により必ず1つの円が決定できる。これら3点で決定される円を計算円としている。計算円は、全ての計測点(m)のうち、任意の3点の計測点の組合せで決定されるものであり、全部で(mC3)通りの組合せが存在する。ここで(mC3)とは、(m)個の計測点Xi(i=1〜m)に対し任意の3点を選択した場合に、全ての3点の組合せを選び出した組合せの総数を意味する。従って、n=(mC3)個とすれば、(n)個の計算円が存在する。
本発明では、全計測点Xi(i=1〜m)の中から任意の3点を選定し、これら3点から1つの計算円を算出する。図1は、3つの計測点X1、X2及びXmから算出される計算円を一例として示したものである。
次に、各計測点Xi(i=1〜m)のそれぞれについて、各計測値Pi(計測角度θi及び径方向の変位量ai)と計算円との径方向のずれ、即ち各計測値Piと計算円値(計算円上の値を意味する。計算円値の意義は後述する)との差を誤差量Δi、jとして計算する。具体的には、計算円から各計測点Xi(i=1〜m)での計算円値Qi、jを算出し、計測値Piと計算円値Qi、jから誤差量Δi、jを算出する。更に、各誤差量Δi、jから一つの計算円に対する誤差量合計値ΔSjを算出する。次に、全ての計測点の3点の他の組合せから他の計算円を順次算出し、各計算円について同様に誤差量合計値ΔSjを計算する。
全ての計算円について誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)を算出後、誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)の中で最小となるものを最小誤差量合計値ΔSj(j=a)として選定し、この最小誤差量合計値ΔSa(j=a)に対応する計算円を最確円とする。最確円が、全ての計算円の中で最もガスタービンロータの断面形状に近い図形を表示しているものとみなして、その最確円の中心を図形中心と考える。この最確円の中心と回転中心とのずれが芯ずれである。芯ずれの状態を定量的に表示するものが、芯ずれ量(偏心距離e)と芯ずれ角度θaからなる芯ずれデータである。芯ずれ量(偏心距離e)と芯ずれ角度θaの算出により、ロータディスク50の芯ずれの程度を容易に判断でき、データの妥当性の判断が容易である。
各計算円について各計測点Xi(i=1〜m)ごとに一つの誤差量Δi、jが算出され、各計算円ごとに一つの誤差量合計値ΔSjが算出できる。また、全ての計測点Xi(i=1〜m)に対して一つの最確円が定まる。
上記の方法を、図1により具体的に説明する。図1において、各計測点Xi(i=1〜m)における各計測値は、Pi(θi、ai)で示される。ここで符号「i」は、「1」から「m」までのいずれか1つから選択されるが、計測点Xiとは計測開始点(X1)から「i」番目の計測点を意味する。符号「θi」は、計測点Xi(i=1〜m)における計測開始点X1からの時計方向廻りの計測角度を表し、符号「ai」は計測点Xi(i=1〜m)における径方向の変位量を示している。
任意の計測点3点の組合せから、後述する方法(数4式)により1つの計算円を決定できる。また、全て計測点の任意の3点の他の組合せから、同様の方法により他の計算円を算出し、前部で(n)個の計算円が決定できる。
次に、図1により計算円値Qi、jの意義について説明する。計算円値Qi、jは、全ての計測点Xi(i=1〜m)の内、任意の3点の計測点の組合せから選定される1つの計算円上にある値である。計算円値Qi、jは、計測点Xi(計測開始点からi番目の計測点)に対応する点、即ち、計測点Xiと同じ計測角度θiをもち、計算円から算出される計算円上にある値である。計算円値Qi、jは、符号「Qi、j(θi、bi、j)」で示される。ここで、上述と同様に、符号「θi」は、計測点Xiの計測開始点からの時計方向廻りの計測角度を示し、符号「bi、j」は計測角度が「θi」である計算円上にある計算値を示す。計算円値Qi、j(θi、bi、j)は、計算円が決定すれば、計算円と計測角度θiから算出できる。尚、(m)個の計測点の場合、(n)個の計算円が存在するから、以下に表示される符号「i」、「j」は、符号「i」は「1」から「m」までのいずれか1つ、符号「j」は「1」から「n」までのいずれか1つから選択される点を意味する。即ち、符号「i」は、(m)個の計測点に対して計測開始点X1からの計測点の順位番号を示し、符号「j」は、(n)個の計算円に対して対象となる計算円の順位番号を示す。
各計測値Pi(θi、ai)と対応する各計算円値Qi、j(θi、bi、j)との差を、各計測点Xi(i=1〜m)における誤差量Δi、jとすれば、誤差量Δi、jは数1式で表示される。
(数1) Δi、j=〔Pi(θi、ai)−Qi、j(θi、bi、j)〕2
数1式において、計測値Piと計算円値Qi、jの差を二乗するのは、両者の差の値のプラス・マイナスの符号の影響を排除するとともに、計測値に異常値が含まれる場合を考慮して、異常値と正常値との違いをより拡大させて、異常値を選別し易くするためである。
次に、対象となる計算円に関し、全ての計測点Xi(i=1〜m)について、数1式により誤差量Δi、jを算出する。
更に、これらの誤差量Δi、jを合計したものが、誤差量合計値ΔSjであり、数2式で示される。
(数2) ΔSj=Σ(Δi、j)
対象となる計算円について、数1式に示す各計測点における誤差量Δi、jを計測点X1から計測点Xmまで合算したものが、誤差量合計値ΔSjとなる。
次に、計測点Xi(i=1〜m)の他の任意の3点の組合せから、同様に他の計算円を決定する。更に、数1式及び数2式を用いて、それぞれの計算円に対して、誤差量Δi、j及び誤差量合計値ΔSjを算出する。尚、各計算円について、それぞれ1つの誤差量合計値ΔSjが算出できるので、(n)個の計算円については、(n)個の誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)が算出できる。
(n)個の計算円について誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)を算出後、各誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)の中で最小の誤差量合計値ΔSj(j=a)を選択し、この最小誤差量合計値ΔSa(j=a)を有する計算円を最確円とする。最確円が、全ての計算円の中で最もロータの断面形状に近い図形(真円)を表示しているものとみなして、その最確円の中心を断面の図形中心と考える。この最確円の中心とロータディスク50の回転中心O2とのずれを芯ずれとする。図1において、ロータディスク50の回転中心O2と最確円中心とのずれ長さ(偏心距離e)が芯ずれ量である。また、時計方向廻りで計測開始点X1からの芯ずれ方向を示す角度θaが、芯ずれ角度である。尚、回転中心O2とは、上述したように、図8に示すロータ回転中心O2と同じ意味である。
このような方法で芯ずれを決定すれば、特許文献1に示される従来技術である最小二乗法等と比較して、簡便な方法でデータの取得ができる。
また、仮に計測値の中に異常値が含まれている場合であっても、最確円の算出過程では異常値が確実に除外される。即ち、計算円は任意の3点の計測値から決定される円であるため、異常値を含まない計算円が必ず存在する。従って必然的に異常値を含まない計算円の中から、誤差量合計値が最小のものが最確円として選定されことになる。また、異常値を具体的に特定できるため、異常値を除外して、再計測後の計測値(再計測値)に入れ替えることが出来る。一方、特許文献1及び特許文献2に示される従来技術である最小二乗法等では、異常値も取り込んで芯ずれを計算するため、必ず異常値の影響が出る。また異常値の特定ができないため、異常値を除外して、再計測値に入れ替えることが困難である。
次に、計測値から計算円を算出して誤差量を算出する方法に関し、平面座標での意義について概説する。
芯ずれを有するロータを回転させた場合の振れの変化は、偏心円板カムの振れに近似させることができる。図3に偏心円板カムの概念図を示す。図3において、偏心円板カムは回転円板Aと従節Bから構成され、従節Bは平板Cとこれに固定された軸部Dで構成される。従節Bは、回転円板Aの周面に対して平板Cを介して接点Pで接している。また従節Bは、軸部Dが拘束部材Eにおいてその軸方向の移動(図3の紙面上で上下方向)のみが可能な構造とし、回転円板Aの回転に応じて従節B全体が上下動可能な構造となっている。
更に、回転円板Aは、図形中心O1から距離eだけ偏心した点O2を中心として回転し、回転中心O2は従節Bの軸部Dの軸線上に位置している。このような偏心円板カムにおいて、回転円板Aが偏心した点O2を中心に回転した場合、従節Bは回転角度βの変化とともに、紙面に対して上下方向に移動する。
回転円板Aの動きに伴って、接点Pが変動する様子を図4に示す。図4は、回転円板Aが、回転中心O2を中心に回転して、回転角度βが時計方向廻りに0°から45°刻みで360°まで変化した場合に、接点Pが接点P1から接点P9まで、回転角度βに対して上下方向に変化する様子を示している。
図4によれば、回転角度βが「0°」の状態は、円板中心O1、回転中心O2と従節Bの軸部Dの軸線が上下方向(紙面上)で一致する状態を意味し、回転中心O2が接点P(P1)と円板中心O1の間にある状態である。この状態では、回転円板Aの直径を形成する弦Z1Z2は、円板中心O1、回転中心O2と軸部Dの軸線が紙面に対して上下方向で一致する鉛直線上に存在する。回転円板Aの回転に伴い変化する回転角度βは、弦Z1Z2と上記鉛直線(紙面に対して上下方向の直線であって、回転中心O2と軸部Dの軸線を結ぶ直線)とのなす時計方向廻りの角度で示される。
図4において、接点Pの回転中心O2に対する上下方向の相対的な位置関係を見てみると、回転角度βの変化に伴い接点Pの位置が上下する。この接点Pの軌跡は、後述するように正弦曲線(余弦曲線と呼んでも実質同じ)を描く。回転角度βが「0°」の位置で、接点P(P1)の高さが最小値(平板Cと回転中心O2の間の垂直距離が最小)を示し、回転角度βが「180°」の位置で、接点P(P5)の高さは最大値(平板Cと回転中心O2の間の垂直距離が最大)を示している。
尚、接点Pの変位の最大値(P5)と最小値(P1)との差が、最大振れ幅である。この最大振れ幅は、回転円板Aの芯ずれ量、即ち、回転円板Aの図形中心O1と回転中心O2の間の偏心距離eの2倍となっている。また、図4における回転角度βは、図1における計測角度θと同義であり、以下の説明では回転角度βを計測角度θに置き換えて説明する。
このような偏心円板カムの従節Bの変位、即ち、接点Pの上下方向の変位を「y」とすれば、変位yは数3式で表示される。
(数3) y=e(1−cosθ)
数3式は、回転円板Aが計測角度θだけ回転した時の従節Bの変位、即ち、接点Pの変位を表したものであり、y−θ座標の原点を通る正弦曲線で示される。また、上述のように計測角度「θ」が「0°」の状態は、円板中心O1、回転中心O2と軸部Dの軸線が一致する状態を意味し、接点Pの変位が最小となる位置を意味する。この時の変位yは、「0(ゼロ)」となる。この接点Pの変位yが、本発明において、芯ずれを生じたガスタービンロータの径方向の振れの変化に相当すると考えることができる。
ガスタービンロータの径方向の振れ量の計測は、計測開始点X1での変位(変位計2からロータディスク50の外表面迄の距離)を「0(ゼロ)」とし、この計測開始点X1を基準に他の計測点での変位を変位計の読みの変化として計測する。一方、数3式において、計測角度θが「0°」の時に、変位yが「0(ゼロ)」となる。一般に、芯ずれを有するガスタービンロータの真円度の計測に際しては、計測角度θが「0(ゼロ)」となる位置(変位が最小となる位置)は、計測開始時には不明である。そこで、計測角度θが「θa」、変位yが「ya」の時に実際の計測を開始するものとし、この点を計測開始点X1としている。また、この時の計測角度が「0°」、変位Yが「0(ゼロ)」となるように、数3式の座標変換を行う。
座標変換後の振れの式は、X−Y座標上で数4式に示される。
(数4) Y=e〔1−cos(X+θa)〕―ya
この式が、本発明に係わる芯ずれ算出方法の基礎となる振れの式となる。ここで、計測角度Xは計測開始点からの計測角度(回転角度)を意味する。変位Yは計測角度Xにおける変位量を意味する。尚、角度「θa」を初期角度と呼び、変位「ya」を初期変位と呼ぶ。図3に示す偏心円板カムの回転中心O2と図形中心O1との偏心距離eが、数4式の正弦曲線の振幅(全振れ幅の1/2)に相当する。
数4式の変数X、Yに計測点3点の計測値を代入することにより、定数e、θa、yaが定まり、一つの計算円の式が決定される。
図1に示されるロータの計測値と基準円、計算円の関係を平面座標に展開したものが、図2に示される。図2において、横軸Xは計測開始点からの計測角度を示し、縦軸Yは計測点における変位を示している。数4式で示される振れの式は、図2に示すX−Y座標上の原点Oを通る正弦曲線で示される。
図2において、計算円は実線で示される。また基準円は真円であり、全ての計測角度に対する変位はいずれも「0(ゼロ)」と考えられるので、基準円はX軸に一致することになる。原点Oが計測開始点X1である。ロータの周方向の計測点は、X−Y座標上で、X軸を0〜360°の間を(m)個に分割して、計測角度θiに対応した計測点Xiとして表示される。各計測点Xi(i=1〜m)に対する計測値Piは、実測値である。原座標であるy−θ座標とX−Y座標の関係は、X軸で計測角度「θa」、Y軸で変位「ya」だけずれた関係にある。この正弦曲線の振幅(全振れ幅の1/2)が芯ずれ量に相当する。また、初期角度「θa」が芯ずれ角度に相当する。
上述のように、図1における任意の計測点3点の計測値から定まる計算円をX−Y座標に展開したものが、図2における実線で示される計算円の軌跡に相当する。図1では、計測点X1、X2、Xmに対する計測値P1、P2、Pmの3点から定まる計算円を1例として表示している。図2に示される計算円は、図1における計算円を正弦曲線としてX−Y座標に展開したものである。図1、図2では計算円は1つのみ(j番目の計算円)を示しているが、実際には数4式から定まる(n)通りの計算円が存在する。
更に、数1式で表示される誤差量Δi、jは、図2において、計測値Piと計算円上の計算円値Qi、jとの差として表せられる。具体的に説明すれば、振れ量の計測値は、X軸上の計測点Xi(計測角度θi)においてPi(θi、ai)で表示される。また、計算円上の計算円値は、Qi、j(θi、bi、j)で表示される。従って、誤差量Δi、jは、これらの計測値Pi(θi、ai)と計算円値Qi、j(θi、bi、j)との差として表示できる。但し、先に述べたように、誤差量Δi、jは、計測値と計算円値との差のプラス・マイナスの符号の違い及び異常値の選別のし易さを考慮して、数1式で示すように、計測値Piと計算円値Qi、jの差を二乗したものである。
次に、誤差量Δi、jを算出し、誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)を計算する。各計算円について誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)を算出後、最小の誤差量合計値ΔSj(j=a)を選定すれば、この最小誤差量合計値ΔSa(j=a)を有する計算円が最確円となる。
最終的に選定された最確円の中心と回転中心(基準円の中心と一致)との差が芯ずれとなる。即ち、芯ずれデータは芯ずれ量と芯ずれ角度で表す。図2において、芯ずれ量は最確円の正弦曲線の振幅として算出され、芯ずれ角度は初期角度θaとして算出される。このようにして決定される芯ずれ量及び芯ずれ角度が、本発明により求める最確円芯ずれデータである。
尚、ロータの円周方向の計測点数(m)を増やせば、最確円芯ずれデータの算出精度は上がるが、計算量は増加する。一方、計測点数を少なくすれば、最確円芯ずれデータの算出精度は悪くなる。但し、本発明の考え方から、計測点数は少なくとも4以上とする必要がある。計測点数が3以下では、本発明の基本思想が成立しないからである。
次に、ロータディスクの芯ずれ算出方法を基礎としたガスタービンロータの軸曲がり算出システムの構成を、図5を参照しつつ説明する。
本システム60は、入力部61、振れ量検出部62、記憶部63、演算部64及び表示部65から構成される。
入力部61では、ロータディスク数(DM)、各ロータディスクに対する周方向の計測点数(m)等の初期値が入力される。尚、計測点数(m)は、ロータディスク毎に異なる計測点数であってもよい。
振れ量検出部62は、入力されたロータディスクの周方向の計測点数(m)から、全てのロータディスクの外表面に沿って、周方向に少なくとも4点以上の計測点を選定し、ロータディスクの外表面に近接させて変位計2を設置する。ロータディスクの回転角度は、別途設ける回転計3又はガスタービンに備え付けの回転計3で計測する。ガスタービンロータ1を回転させつつ、ロータディスク50の各計測点における計測値を読み取り、記憶部63に取り込む。計測対象となる計測値は、振れ量(径方向の変位量)及び計測角度(計測開始点からの回転角度)である。尚、変位計としては、公知の各種センサーが適用される。例えば、ダイヤルゲージ等の接触センサーの他に、レーザセンサー、静電容量式センサー、超音波センサー等の非接触式センサーが使用できる。
ロータディスク50の計測点は、予めロータディスクの外表面の全ての計測点Xi(i=1〜m)の測定位置をけがき線等を入れて選定する。各計測点での計測値は、ロータディスク50を低速で回転させながら、所定の計測点の測定位置に達した時に、変位計の読みを計測値として自動的に取り込んでいる。計測点の位置は、予め設定された計測位置をCCDセンサー等(図示せず)で確認する。ロータディスク1個あたりの計測は、計測開始点を決定し、計測点の位置を確認しながらロータを1回転させることにより、全ての計測点の計測値を収集する。計測点は、計測開始点のみをロータディスクの外表面上で選定し、他の計測点は計測開始点からの回転角度で選定してもよい。また、計測開始点の位置は、ロータディスク毎に入力部61から入力してもよい。
1つのロータディスク50の計測が終了したら、ロータを移動させ、隣接する次のロータディスクの計測開始点の位置を決定し、同様の手順で計測する。全てのロータディスクの計測が終了すれば、ロータディスクの計測作業が完了する。尚、計測にあたっては、ロータを移動させずに、変位計を移動させてもよい。
演算部64は、芯ずれ演算手段641、芯ずれ判定手段642、軸曲がり分布算出手段643、修正ディスク選定手段644及び修正量決定手段645から構成される各機能を備える。
芯ずれ演算手段641では、記憶部63に取り込まれた計測角度及び振れ量(径方向の変位量)の実測値からなる計測値Piを呼び出し、数4式に基づき、3点の計測点から計算円を決定する。決定された計算円から各計測点Xi(i=1〜m)に対する計算円値Qi、jを算出する。次いで、各計測点Xi(i=1〜m)における計測値Piと計算円値Qi、jとから、数1式に基づき誤差量Δi、jを算出する。更に、誤差量Δi、jから数2式により、誤差量合計値ΔSjを導出する。同様な処理により、他の計測点3点の組合せから、他の計算円を決定し、各計算円に対する誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)を算出する。誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)の中から最小誤差量合計値ΔSa(j=a)を決定し、これに対する計算円を最確円とする。最確円の中心と回転中心とのずれを算出し、芯ずれデータ(芯ずれ量及び芯ずれ角度)を決定する。これが、対象となるロータディスクの最確円芯ずれデータとなる。全てのロータディスクについて、繰り返し演算を行い、それぞれのロータディスクの最確円芯ずれデータを算出し、記憶部63に格納する。
芯ずれ判定手段642では、記憶部63から呼び出した全てのロータディスクの最確円芯ずれデータから芯ずれ量を参照し、最大芯ずれ量及び最大芯ずれ量を有するロータディスクを決定する。次いで、最大芯ずれ量が基準値(基準値2)以内か否かを判定する。最大芯ずれ量が基準値以内と判定された場合、算出された各最確円芯ずれデータは適正と判定し、ガスタービンロータの軸曲がり分布を作成して、記憶部63に格納する。尚、最確円芯ずれデータについては、各ロータディスクごとに一つの最確円芯ずれデータが決定されるが、最大芯ずれ量はタービンロータの全体の組立体に対して一つの最大芯ずれ量が決定される。
最大芯ずれ量が基準値(基準値2)を越えている場合、タービンロータの軸曲がりの修正が必要と判定する。タービンロータの軸曲がりを修正する基本的な考え方は、背景技術において既に概説している(図8)。即ち、修正すべきロータディスクを選定して、ディスク修正量を決定すればよい。具体的な方法は後述する。
軸曲がり分布算出手段643は、適正と判定された最確円芯ずれデータに基づき、各ロータディスク毎の芯ずれ量及び芯ずれ角度をプロットして、ガスタービンロータの軸曲がり分布を作成する。その軸曲がり分布の一例が、図10に示すものである。
表示部65では、記憶部63から呼び出した各ロータディスクの振れ量の計測値(計測角度及び径方向の変位量)、最確円芯ずれデータ(芯ずれ量及び芯ずれ角度)及びガスタービンロータの軸曲り分布等を表示する。更に、最大芯ずれ量に異常値が発生した場合には、該当する計測点及びその計測点での計測値及び誤差量を表示する。本システムの入出力画面の一例を図7に示す。
軸曲がりの修正は、修正ディスク選定手段644及び修正量決定手段645により行う。以下では、修正ディスク選定手段644及び修正量決定手段645について説明する。
上述のごとく、修正ディスク選定手段644では、ロータディスクの修正は1つのロータディスクのみとし、最大芯ずれ量を有するロータディスク50を修正対象ディスクとして選定する。このようにすれば、その他のロータディスクを修正ディスクとして選定する場合に比較して、ディスク修正後の最大芯ずれ量を最も小さくできるからである。
修正量決定手段645を、図8を参照しつつ説明する。図8は、先に述べたように、ガスタービンロータ1が、ロータディスク50において、最大芯ずれ量Zを示す軸曲がりの状況を表したものである。図8において、図形FGHIは、ロータ軸心を含む平面でロータディスクを切った場合のロータ長手方向の断面形状を示したものである。隣接するロータディスク51の断面形状は、図形FGLMで示される。両ロータディスク50、51の接触面FGが、ロータディスクの接手面50b、51bとなる。ガスタービンロータ1は、複数のロータディスクが接手面を介して積層され、軸受S1及び軸受S2により両端を支持されて、一体のガスタービンロータ1を構成している。
尚、図8はロータの軸曲がり状態を誇張して示している。実際には、ロータの芯ずれ量Zに比較して、軸受S1からロータディスク50までの水平距離が十分に長い。従って、ロータディスクの外表面50aはロータ回転中心線RCにほぼ平行な面となる。また、ロータディスク50のロータ長手方向の断面形状を示す図形FGHIは、台形形状として表現しているが、実際は矩形に近い形状である。この例では、ロータディスク50の軸心O1が、ロータの回転中心O2に対して最大芯ずれ量Zだけ変位し、ロータディスク50(断面FGHI)が、接手面50b、51b(接触面FG)を介して、隣接するロータディスク51(断面FGLM)と接合した場合を示している。
軸曲がりを修正する方法は、修正対象ディスクを選定して、そのロータディスクの厚み分布を修正する方法により行う。即ち、図8において、修正対象となっているロータディスク50及び隣接するロータディスク51の接手面50bと50c、51bと51cの平行度を修正して、接手面50b、51bの接触面角度(α)を小さくすることにより軸曲がりの修正を行う。接手面50b、50c、51b、51cの平行度が確保されていれば、接触面角度(α)はほぼ「0(ゼロ)」となる。即ち、ガスタービンロータの軸曲がりの修正方法は、ロータディスク50、51の軸心O1の位置がロータの回転中心O2の位置に移るように、ロータディスク50、51の接手面50b、51bの一部を切削すればよい。
図8において、修正対象となるロータディスク50(断面形状FGHI)を例に、切削方法について具体的に説明する。図形FGHIの点Gから辺FIに垂線を下ろし交点をRとして、辺FRの長さをL1とする。断面形状FGHIのうち、斜線部で示す断面FGRを切削すれば、ロータディスク50の接手面50b、50cの平行度が維持される。同様に、隣接するロータディスク51(断面形状FGLM)について、点Gから辺FMに垂線を下ろし、その交点をTとして、辺FTの長さをL2とする。斜線部で示す断面FGTを切削すれば、隣接するロータディスク51の接手面51b、51cの平行度も確保できる。このように、隣接するロータディスク50,51の接手面50b、51bを挟んで、二つのロータディスク50,51の斜線部で示す部分(断面FGR、断面FGT)を切削して、ロータディスクの平行度を修正すれば、ロータの軸曲がりが修正できる。
修正対象ディスクの具体的な切削量の算出方法を以下に説明する。ここで、軸受S1からロータディスク50の接手面50bまでのロータ回転中心線RC上の距離をLL1とし、ロータ軸心CC1とロータ回転中心線RCとのなす角度をロータ軸心傾き角(α1)とする。同様に、軸受S2から接手面51bまでのロータ回転中心線RC上の距離をLL2とし、隣接するロータディスク51のロータ軸心CC2とロータ回転中心線RCとのなす角度をロータ軸心傾き角(α2)とする。また、ロータディスク50,51の直径をDDとする。
断面形状FGHIにおいて、切削対象となるロータディスク50の三角形FGRは、軸受S1、ロータ軸心CC1及びロータ回転中心線RCから形成される三角形O1O2S1と相似形である。従って、辺FRの長さL1は、数5式で示される。
(数5)L1=Z×(DD/LL1)
同様に、隣接するロータディスク51の辺FTの長さL2は、数6式で示される。
(数6)L2=Z×(DD/LL2)
従って、ロータディスク50の外表面基準で、ロータの長手方向に対して、接手面50bから軸受S1に向かって長さL1に相当する断面FGRを切削し、隣接するロータディスク51の外表面基準で、接手面51bから軸受S2に向かって長さL2に相当する断面FGTを切削すれば、ガスタービンロータ1の軸曲がりが解消できる。このようにして決定される辺FR(長さL1)及び辺FT(長さL2)に相当する断面FGR及び断面FGTが、修正対象ロータディスクに与えられる修正量である。
尚、接触面角度(α)は、ロータ軸心傾き角(α1)と(α2)を合計したものである。
上記の修正方法は、互いに隣接するロータディスク50,51の接手面50b、51bを挟んで、両側のロータディスク50,51を切削する場合を示したが、最大の芯ずれ量を有するロータディスク50のみを切削してもよい。この場合、ロータディスク50の外表面基準で、接手面50bから軸受S1に向かって、辺FRの長さL1及び辺FTの長さL2を合算した長さで切削し修正する。即ち、接手面50b、51bを挟んで、両側のロータディスク50,51の切削量に相当する外表面規準の長さL1、L2を合算した長さを用いて、一方のロータディスク50のみを切削して修正しても構わない。ロータディスクの直径DDに比較して、軸受S1からロータディスク50までの距離LL1が十分に大きいので、大きな誤差が生じないからである。
上記の簡便法は、ロータディスク50の代わりに、隣接するロータディスク51に適用してもよいが、最大芯ずれ量を有するロータディスク50に適用する方が望ましい。修正後の最大芯ずれ量が最も小さくなるからである。
上記のガスタービンロータの軸曲がり算出システムの構成によれば、従来法に比較して簡便な方法で、ガスタービンロータの軸曲がりを算出できる。
次に、本発明に係わるガスタービンロータの軸曲がりの算出手順について、図6を参照しつつ説明する。
まず、入力部61で、ロータディスクの数(DM)、ロータディスクの諸元(ディスク直径DD、ディスク厚み、軸受からの距離LL1、LL2等)、ロータディスクの周方向の計測点数(m)が入力される。これら入力データに基づき、振れ量検出部62での計測により、各ロータディスクの振れ量(径方向の変位量及び計測角度)が導出される(ステップS1)。
次に、入力されたロータディスクの周方向の計測点数(m)から、計測点3点の組合せ数(n)を決定する(ステップS2)。組合せ数(n)は、n=(mC3)で決定できる。
次に、任意の計測点3点を選択する(ステップS3)。選択した3点から1つの計算円が定まる。
選択された3点の計測値を数4式に代入し、計算円を決定する(ステップS4)。
決定した計算円に対して、全ての計測点Xi(i=1〜m)に対する計算円値Qi、j(θi、bi、j)を計算する。それぞれの計測値Pi(θi、ai)と計算円値Qi、j(θi、bi、j)とから、数1式により各計測点Xi(i=1〜m)における誤差量Δi、jを算出する(ステップS5)。
全ての計測点Xi(i=1〜m)に対する誤差量Δi、jの算出を終了したら、対象となる計算円について、数2式により誤差量合計値ΔSjを算出する(ステップS6)。このステップの終了により、一つの計算円について一つの誤差量合計値ΔSjの算出が終了する。
全ての計測点数(m)に対する計測点3点の組合せ数(n)について、ステップS3からステップS6の計算を繰り返す(ステップS7)。全ての組合せ数(n)について、繰り返し計算を行うことにより、(n)個の計算円に対して、各計算円ごとに一つの誤差量合計値ΔSjが算出できる。
次に、(n)個の誤差量合計値ΔSj(j=1〜n)の中から最小誤差量合計値ΔSaを選択し、最確円を決定する(ステップS8)。最確円の決定により、最確円に対する各計測値に対応する計算円値、即ち最確円計算円値が算出できる。最確円計算円値と各計測値Piから、最確円と計測値との誤差量、即ち最確円誤差量Δi、a(i=1〜m、j=a)が決定される。
次に、各計測値Piに対して、異常値判定の要否を行うか否かを判断する(ステップS9)。
この手順を踏むのは、以下の理由による。仮に、計測値に異常値を含む場合であっても、決定した最確円は正しい最確円が選定されている。即ち、通常は計測点Xi(i=1〜m)の全計測点数(m)に対して、発生する異常値はごくわずかである。従って、計測値Piに異常値が含まれる場合であっても、任意の3点の組合せにより計算円を算出する過程で、異常値を含まない計測値Piの3点の組合せが必ず存在する。つまり、異常値を含まない計算円が必ず存在するので、仮に計測値Piに異常値を含む場合であっても、最終的に決定される最確円は、異常な計測値Piを含まない正しい最確円となる。即ち、計測値Piに異常値を含んだまま最確円を決定しても、最確円の決定には支障がない。従って、芯ずれ算出作業を簡便に進めたい場合には、各計測値の異常値判定を行うことなく芯ずれ算出を行っても、正しい最確円芯ずれデータが入手でき、そのまま芯ずれ算出作業を終了させることができる。
異常値判定の要否の判断をする過程で判定不要とする場合には、最確円芯ずれデータ(芯ずれ)を算出して(ステップS10)、芯ずれ算出作業は終了する。最確円芯ずれデータは、最確円の中心と回転中心O2とのずれであり、芯ずれ量(偏心距離e)及び芯ずれ角度からなる。具体的には、芯ずれ量は最確円の正弦曲線の振幅に相当し、芯ずれ角度は初期角度θaに相当する。尚、異常値判定要否の判断をすることなく、最確円を決定して、最確円芯ずれデータを算出し、作業を終了させる場合であっても、実質上本発明と同一の発明である。組合せ数(n)の算出(ステップS2)から芯ずれ算出(ステップS10)迄の手順が、芯ずれ演算手段641を構成する。
異常値判定が必要と判断する場合には、以下のステップS11及びステップS12で、異常値の有無及び異常値の認定を行う。
即ち、決定した最確円について、ステップS7で算出済の各計測点Xi(i=1〜m)に対する誤差量Δi、jの中から最確円に対応するものを最確円誤差量Δi、a(i=1〜m、j=a)として選定し、全ての計測点Xi(i=1〜m)についてそれぞれの最確円誤差量Δi、a(i=1〜m、j=a)が基準値(基準値1)以内か否かを判定する(ステップS11)。
最確円誤差量Δi、a(例えば、i=f、j=a)が基準値を超えている場合には、この計測点Xfにおける計測値Pf(θf、af)を異常値と認定する(ステップS12)。
全ての最確円誤差量Δi、a(i=1〜m、j=a)が基準値以内であれば、正常な計測が行われたものと判断して、最確円芯ずれデータを算出し、芯ずれ算出作業は終了する(ステップS10)。最確円芯ずれデータは、最確円の中心と回転中心とのずれ長さであり、芯ずれ量(偏心距離e)及び芯ずれ角度からなる。具体的には、芯ずれ量は最確円の正弦曲線の振幅に相当し、芯ずれ角度は初期角度θaに相当する。
計測値Pfを異常値と認定した場合、振れ量検出部62において、全ての計測点Xi(i=1〜m)について振れ量(径方向の変位量及び計測角度)の再計測を行ない、記憶部63から再計測値を取得して、計測値Pi(i=1〜m)を再計測値へ入れ替える(ステップS13)。
計測点Xi(i=1〜m)の各計測値の入替を終えたらステップS2に戻り、再計算を行う。最確円誤差量Δi、a(i=1〜m、j=a)が基準値内に納まるまで、図5に示すステップS2〜S9の算出手順を繰り返し、基準値内に納まったら、芯ずれ演算手段641は終了する。
尚、より簡便な軸曲がり算出方法を選択する場合、ステップS11、S12、S13の手順を省略し、異常値の有無に拘わらず、芯ずれ量及び芯ずれ角度を算出(ステップS10)して、次のロータディスクの芯ずれ算出作業(ステップS14)を行っても構わない。そのような場合でも、本発明の基本思想は変わらず、本発明の範囲に含まれる。
引続き、繰り返し演算により、他のロータディスクについて、それぞれの最確円芯ずれデータを算出する(ステップS14)。
全てのロータディスクの最確円芯ずれデータを参照して、最大値を示す芯ずれ量を最大芯ずれ量として選定する(ステップS15)。
芯ずれ判定手段642では、更に最大芯ずれ量が基準値(基準値2)以内か否かを判定する(ステップS16)。最大芯ずれ量が基準値以内であれば、ロータ軸曲がりは適正範囲内と判断して、軸曲がり分布を算出し(ステップS17)、軸曲がり算出作業は終了する。
最大芯ずれ量が基準値を越える場合には、軸曲がりの修正が必要となる。軸曲がりの修正方法は、修正ディスク選定手段644と修正量決定手段645により決定される。
修正ディスク選定手段644では、ロータディスクの中で最大芯ずれ量を示すロータディスクを修正対象ディスクに選定する(ステップS18)。最大芯ずれ量を有するロータディスクを修正対象ディスクとするのは、修正後のタービンロータの軸曲りが最も小さくなるからである。
修正量決定手段645では、算出されたロータディスクの芯ずれ量及び芯ずれ角度から修正対象ロータディスクに付与するディスク修正量を決定する。具体的には、ステップS15で算出した最大芯ずれ量Zを芯ずれ修正量として選定し、数5式及び数6式から算出できる長さL1及びL2に相当する断面形状(図8における断面FGR、断面FGT)の切削量が、求めるディスク修正量である。図8において、ロータディスクの外表面基準で、接手面から修正量に相当する切削量で切削すればよい。このように、最大芯ずれ量から算出される切削量をディスク修正量に選定するのは、修正方法が最も簡便であって、修正後のロータの軸曲がりが最も小さくなるからである(ステップS19)。
修正対象ディスクを切削して、ロータディスク50を修正する(ステップS20)。次に、修正後のロータディスクを一体に組み込んだ後、振れ量検出部62においてロータディスク50の振れ量を再計測する。再計測値が記憶部63に取り込まれ、振れ量計測値は初期の計測値から再計測値に入れ替える(ステップS21)。その後、スタートへ戻り、計測点の3点の組合数の算出(ステップS2)から計算が再スタートする。
この算出作業は、芯ずれ判定手段642において、最大芯ずれ量が基準値(基準値2)以内に納まるまで繰り返す(ステップS16)。最大芯ずれ量が基準値以内に納まれば、軸曲がり分布を算出(ステップS17)して、軸曲がり算出作業は終了する。
本発明の軸曲がり算出システムを適用すれば、従来法に比較して簡便な方法で、ロータの軸曲がりを算出できる。また、異常値を含んだ計測を行った場合には、容易に異常値を排除でき、作業員が再計測すべきか否かを即時に判断できるので、軸曲がり算出作業の信頼性も向上する。また、ロータディスクの修正作業において、修正対象ディスクの特定及び修正量の決定も容易であり、軸曲がりの修正も簡単である。