JP4633995B2 - 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動性および耐熱性に優れた難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂は耐衝撃性に優れ、さらに成形性も優れていることから、オフィスオートメーション機器部品、家電製品部品、自動車部品など多岐の分野で使用されているが、スチレン系樹脂の易燃性のために、その用途は制限されている。特に、近年製品の安全性を高める為にオフィスオートメーション機器や、家電製品の成形品には、アメリカの規格であるアンダーライターズラボラトリー(UL)社のサブジェクト94にもとづく難燃試験の規制が年々厳しくなっており、より高度の難燃化が要求されている。
【0003】
スチレン系樹脂の様な易燃性樹脂に難燃性を付与する方法として、従来からハロゲン系難燃剤が用いられている。ハロゲン系難燃剤は酸化アンチモンと併用することによって、高度な難燃化が達成されることが一般に知られており、多用されてきたが、近年、燃焼時の有害ガス発生等の環境問題からノンハロゲン系難燃剤の検討が盛んに行われている。
【0004】
かかる方法として、スチレン系樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂との混合物にリン系難燃剤を添加する方法が多数報告されている。かかる方法はスチレン系樹脂にポリフェニレンエーテル系樹脂を添加することによって熱安定性を向上させ、リン系難燃剤により難燃化を行う方法であり、特開昭54−38348号公報、特開平5−287119号公報、特開平5−339417号公報、特開平7−316383号公報、特開平9−132693号公報、特開平9−151315号公報等に開示されている。
【0005】
しかしながら上記公報の樹脂組成物はいずれも、難燃剤添加前と比較し、耐熱性が著しく低下するため、ポリフェニレンエーテル系樹脂添加の特性の一つである耐熱性の向上を生かせておらず、実用化に至っていない。これは上記公報の樹脂組成物に用いられているリン系難燃剤の可塑性に由来しており、芳香族系リン酸エステル単量体、あるいは芳香族系リン酸エステル縮合体を用いているためであり、リン系難燃剤を用いる限りは避けられないものとされてきた。
【0006】
また、WO01/57134明細書には、耐衝撃性ポリスチレンを主とする樹脂成分に特定の有機リン化合物を添加し、難燃性を付与した例が開示されている。具体的には、耐衝撃性ポリスチレンとポリフェニレンエーテルからなる樹脂に特定の環状リン酸エステル化合物を配合することによりUL−94規格の難燃レベルでV−2、好適にはV−1の難燃性樹脂組成物が得られることが示されている。
【0007】
また、米国特許4,162,278号公報では耐衝撃性ポリスチレンにポリフェニレンエーテルおよび特定の有機リン化合物を添加し、難燃性を付与した例が開示されている。しかしながら、この特許ではポリフェニレンエーテルの添加量が多く、ポリスチレンの大きな特徴の一つである流動性が損なわれるばかりでなく、難燃性能に関しても不十分であり、実用に耐えないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、流動性および耐熱性に優れ、且つ、難燃性能を併せ持つ樹脂組成物の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために、鋭意検討した結果、特定の構造を有するリン化合物を用いることにより上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち本発明は、(A)少なくとも50重量%がゴム変性スチレン系樹脂である樹脂成分(A成分)および(B)下記式(1−a)で示される有機リン化合物(B成分)からなる樹脂組成物であり、A成分を100重量部としたとき、B成分が1〜100重量部であることを特徴とする難燃性樹脂組成物に関するものである。さらに、好適にはベース樹脂からの荷重たわみ温度(HDT)保持率が80%以上であることを特徴とする難燃性樹脂組成物に関するものである。
【0011】
【化3】
Figure 0004633995
【0012】
本発明の樹脂組成物は、(A)少なくとも50重量%がゴム変性スチレン系樹脂である樹脂成分(A成分)および(B)上記式(1−a)で示される有機リン化合物(B成分)を含有する。上記A成分は成形用樹脂組成物の主成分であり、B成分は難燃性を付与するための成分である。
【0013】
本発明の構成樹脂(A成分)は、前記スチレン系樹脂(A−1成分)の他に他の樹脂成分(A−2成分)を含有していてもよい。他の樹脂成分(A−2成分)はA成分に基づいて50重量%以下であり、好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。また、A−2成分を使用する場合、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。
【0014】
本発明のA−1成分として使用するスチレン系樹脂とは、スチレン、α−メチルスチレンまたはビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体の単独重合体または共重合体、これらの単量体とアクリロニトリル、メチルメタクリレート等のビニル単量体との共重合体、ポリブタジエン等のジエン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、アクリル系ゴムなどにスチレンおよび/またはスチレン誘導体、またはスチレンおよび/またはスチレン誘導体と他のビニルモノマーをグラフト重合させたものである。スチレン系樹脂の具体例としては、例えばポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン系ゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)等の樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。耐衝撃性の観点からは、ゴム変性スチレン系樹脂が好ましく、ゴム変性スチレン系樹脂はビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体、必要に応じてビニル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合または乳化重合することにより得られる。
【0015】
前記ゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴムおよび上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、およびエチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ましい。
【0016】
上記のゴム状重合体の存在下に重合させるグラフト共重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ましい。
【0017】
必要に応じて添加することが可能な、ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。
【0018】
ゴム変性スチレン樹脂におけるゴム状重合体は、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%である。グラフト重合可能な単量体混合物は、99〜50重量%、好ましくは98〜60重量%である。この範囲内では目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上し、熱安定性が良い。
【0019】
本発明におけるスチレン系樹脂の分子量の尺度である還元粘度ηsp/C(0.5g/dl、トルエン溶液、30℃測定)は、0.2〜1.5dl/gであり、好ましくは0.3〜1.4dl/gである。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/Cに関する上記条件を満たすための手段としては、重合開始材料、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げることができる。還元粘度が低いと耐熱性、耐衝撃性も低くなる。
【0020】
本発明で使用されるスチレン系樹脂としては、好ましくは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)である。
【0021】
また、A−2成分としての樹脂成分としては好適にはポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂およびポリエーテルイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらA−2成分のうち、好ましいのはポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂であり、特にポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。
【0022】
次のこのA−2成分としての好ましい樹脂について具体的に説明する。
【0023】
本発明において、A−2成分として用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂(以下PPEと略)は下記一般式(2)で示される結合単位からなる単独重合体及び/又は共重合体である。
【0024】
【化4】
Figure 0004633995
【0025】
(ここでR1〜R4は同一または異なっていてもよく、水素原子または任意の炭化水素基を示す。)
かかるPPEの具体例としては、(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル等の単独重合体及び/又は共重合体が挙げられ、特に好ましくはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが挙げられる。また、これらのPPEにスチレン系化合物がグラフト重合した共重合体であっても良い。かかるPPEの製造法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3,306,874号記載の方法による第一銅塩とアミン類の錯体を触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造できる。
【0026】
本発明で用いられるPPEの分子量の尺度である還元粘度ηsp/C(0.5g/dl、トルエン溶液、30℃測定)は、0.2〜0.7dl/gであり、好ましくは0.3〜0.6dl/gである。還元粘度が本範囲内のPPEは成形加工性、機械物性のバランスがよく、PPE製造時の触媒量等を調製する事により、容易に還元粘度を調製することが可能である。
【0027】
A−2成分としてのポリカーボネート系樹脂とは、塩化メチレン等の溶媒を用いて種々のジヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重合反応によって得られるもの、またはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応により得られるものが挙げられる。代表的なものとしては、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートである。
【0028】
ポリカーボネートの原料となるジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどがある。これらのジヒドロキシアリール化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
【0029】
好ましいジヒドロキシアリール化合物には、耐熱性の高い芳香族ポリカーボネートを形成するビスフェノール類、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルケトンなどである。特に好ましいジヒドロキシアリール化合物には、ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネートを形成する2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
【0030】
なお、耐熱性、機械的強度などを損なわない範囲であれば、ビスフェノールA型芳香族ポリカーボネートを製造する際、ビスフェノールAの一部を、他のジヒドロキシアリール化合物で置換してもよい。
【0031】
ポリカーボネート樹脂の分子量は特に制限する必要はないが、あまりに低いと強度が十分でなく、あまりに高いと溶融粘度が高くなり成形し難くなるので、粘度平均分子量で表して通常10,000〜50,000、好ましくは、15,000〜30,000である。ここでいう粘度平均分子量(M)は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/C=[η]+0.45×[η]2
[η]=1.23×10-40.83
(但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
【0032】
ポリカーボネート樹脂を製造する基本的な手段を簡単に説明する。カーボネート前駆物質としてホスゲンを用いる界面重合法(溶液重合法)では、通常酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤として例えばフェノールやp−tert−ブチルフェノールのようなアルキル置換フェノール等の末端停止剤を用いることが望ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは10以上に保つのが好ましい。尚結果として得られた分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構造を有する必要はない。
【0033】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応(溶融重合法)では、不活性ガスの存在下に所定割合の二価フェノールを炭酸ジエステルと加熱しながら攪拌し、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行う。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。かかる反応の初期段階で二価フェノール等と同時にまたは反応の途中段階で末端停止剤を添加させる。また反応を促進するために現在公知のエステル交換反応に用いられる触媒を用いることができる。このエステル交換反応に用いられる炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0034】
A−2成分としてのポリエステル樹脂は芳香族ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とし、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。好ましくはジカルボン酸成分の80モル%以上、より好ましくは90モル%以上が芳香族ジカルボン酸成分からなる。一方、グリコール成分は好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上が炭素数2〜10の脂肪族ジオール成分からなる。
【0035】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等を好ましい例として挙げることができる。これらは1種または2種以上を用いることができる。芳香族ジカルボン酸以外の従たるジカルボン酸としては例えばアジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸または脂環族ジカルボン酸などを挙げることができる。
【0036】
炭素数2〜10の脂肪族ジオールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。炭素数2〜10の脂肪族ジオール以外のグリコールとしては例えばp,p’−ジヒドロキシエトキシビスフェノールA、ポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。
【0037】
ポリエステル樹脂(A−2成分)の好ましい例としては、主たるジカルボン酸成分がテレフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸と、主たるジオール成分がエチレングリコール、トリメチレングリコール、およびテトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種のジオールからなるエステル単位を有するポリエステルである。
【0038】
具体的なポリエステル樹脂(A−2成分)は、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂およびポリトリメチレンナフタレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0039】
特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンナフタレート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0040】
また、本発明のポリエステル樹脂(A−2成分)として、上記繰り返し単位をハードセグメントの主たる繰り返し単位とするポリエステルエラストマーを用いることもできる。
【0041】
テトラメチレンテレフタレートまたはテトラメチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをハードセグメントの主たる繰り返し単位とするポリエステルエラストマーのソフトセグメントとしては、例えばジカルボン酸がテレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸およびアジピン酸より選ばれる少なくとも1種のジカルボン酸からなり、ジオール成分が炭素数5〜10の長鎖ジオールおよびH(OCH2CH2iOH(i=2〜5)よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールからなり、さらに融点が100℃以下または非晶性であるポリエステルまたはポリカプロラクトンからなるものを用いることができる。
【0042】
なお、主たる成分とは、全ジカルボン酸成分または全グリコール成分の80モル%以上、好ましくは90モル%以上の成分であり、主たる繰り返し単位とは、全繰り返し単位の80モル%以上、好ましくは90モル%以上の繰り返し単位である。
【0043】
本発明における芳香族ポリエステル樹脂の分子量は、通常成形品として使用しうる固有粘度を有していればよく、35℃、オルトクロロフェノール中で測定した固有粘度が好ましくは0.5〜1.6dl/g、さらに好ましくは0.6〜1.5dl/gである。
【0044】
またポリエステル樹脂は、末端カルボキシル基(−COOH)量が1〜60当量/T(ポリマー1トン)であるのが有利である。この末端カルボキシル基量は、例えばm−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定法により求めることができる。
【0045】
A−2成分としてのフェノール樹脂とは、フェノール性水酸基を複数有する高分子であれば任意であり、例えばノボラック型、レゾール型および熱反応型の樹脂、あるいはこれらを変性した樹脂が挙げられる。これらは、硬化剤未添加の未硬化樹脂、半硬化樹脂、あるいは硬化樹脂であってもよい。中でも、硬化剤未添加で非反応性であるフェノールノボラック樹脂が難燃性、耐衝撃性、経済性の点で好ましい。また、形状は特に限定されず、粉砕品、粒状、フレーク状、粉末状、針状、液状など何れも使用できる。上記フェノール樹脂は必要に応じて1種または2種以上の混合物として使用することができる。
【0046】
フェノール樹脂は特に限定するものではなく、一般に市販されているものを使用することができる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:0.7〜1:0.9となるように反応槽に仕込み、さらにシュウ酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸等の触媒を加えた後に加熱、還流反応を行う。生成した水を除去するため真空脱水あるいは静置脱水し、さらに残っている水と未反応のフェノール類を除去することにより得られる。これらの樹脂は複数の原料成分を用いることにより、共縮合フェノール樹脂を得ることができ、これについても同様に使用することができる。
【0047】
また、レゾール型フェノール樹脂の場合、フェノール類とアルデヒド類のモル比を1:1〜1:2となるように反応槽に仕込み、さらに水酸化ナトリウム、アンモニア水、その他の塩基性物質などの触媒を加えた後、ノボラック型フェノール樹脂と同様の操作を行うことによって得ることができる。
【0048】
ここで、フェノール類とはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、チモール、p−tert−ブチルフェノール、tert−ブチルカテコール、カテコール、イソオイゲノール、o−メトキシフェノール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、サルチル酸イソアミル、サルチル酸ベンジル、サルチル酸メチル、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらのフェノール類は必要に応じて1種または2種以上の混合物として用いることができる。一方、アルデヒド類とは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、トリオキサン等が挙げられる。これらのアルデヒド類についても必要に応じて1種または2種以上の混合物として用いることができる。
【0049】
フェノール樹脂の分子量についても、特に限定されるものではないが、好ましくは数平均分子量200〜2,000、さらに好ましくは400〜1,500の範囲のものが機械的物性、成形加工性、経済性に優れ好ましい。
【0050】
本発明において、B成分として使用する有機リン化合物は、下記式(1−a)で表される。
【0051】
【化5】
Figure 0004633995
【0053】
前記式(1−a)で表される有機リン化合物(B成分)は、当該樹脂に対して極めて優れた難燃効果を発現する。本発明者らが知る限り、従来当該樹脂のハロゲンフリーによる難燃化において、リン化合物単独の使用でV−2レベル好適にはV−0レベルの実用可能な組成物を得ることは困難であり、実用上多くの問題点があった。リン化合物を使用してV−2レベル好適にはV−0レベルを達成するためには多量のリン化合物を使用する必要があった。更に従来のリン化合物は低沸点化合物であり、比較的高温で押出および成形を行う当該樹脂において、押出時のガス発生や成形時の金型汚染等の問題が発生した。又、更に通常のリン化合物をスチレン系樹脂に添加すると耐熱性が極端に低下し、スチレン系樹脂本来の特徴を損なう事が一般に知られている。
【0054】
ところが本発明によれば、前記有機リン化合物(B成分)は驚くべきことにそれ自体単独の少量使用により当該樹脂のV−2レベル好適にはV−0レベルの難燃化が容易に達成され、更に驚くべき事に耐熱性の低下を起こさない。本発明により得られた樹脂組成物は、ベース樹脂からのHDT保持率が80%以上であり、かかる保持率の範囲では実用上大きな欠点となり得ず、ベース樹脂本来の高い耐熱性を保持することを特徴とする。HDT保持率が好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95%以上である。
【0055】
しかし本発明ではB成分の他に、B成分以外のリン化合物、フッ素含有樹脂または他の添加剤は、B成分の使用割合の低減、成形品の難燃性の改善、成形品の物理的性質の改良、成形品の化学的性質の向上またはその他の目的のために当然配合することができる。これらの他の配合成分については後に具体的に説明する。
【0058】
次に本発明における前記有機リン化合物(B成分)の合成法について説明する。B成分は、以下に説明する方法以外の方法によって製造されたものであってもよい。
【0059】
C成分は例えばペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させ、続いて酸化させた反応物を、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属化合物により処理し、次いでアラルキルハライドを反応させることにより得られる。
【0060】
また、ペンタエリスリトールにアラルキルホスホン酸ジクロリドを反応させる方法や、ペンタエリスリトールに三塩化リンを反応させることによって得られた化合物にアラルキルアルコールを反応させ、次いで高温でArbuzov転移を行う方法により得ることもできる。後者の反応は、例えば米国特許第3,141,032号明細書、特開昭54−157156号公報、特開昭53−39698号公報に開示されている。
【0061】
C成分の具体的合成法を以下説明するが、この合成法は単に説明のためであって、本発明において使用されるB成分は、これら合成法のみならず、その改変およびその他の合成法で合成されたものであってもよい。より具体的な合成法は後述する調製例に説明される。
(i)B成分中の前記(1−a)の有機リン化合物;
ペンタエリスリトールにジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを反応させることにより得ることができる。
【0062】
前述したB成分は、その酸価が好ましくは0.7mgKOH/g以下、より好ましくは0.5mgKOH/g以下であるものが使用される。酸価がこの範囲のB成分を使用することにより、難燃性および色相に優れた成形品が得られ、かつ熱安定性の良好な成形品が得られる。B成分は、その酸価が0.4mgKOH/g以下のものが最も好ましい。ここで酸価とは、サンプル(B成分)1g中の酸成分を中和するのに必要なKOHの量(mg)を意味する。
【0063】
さらに、B成分は、そのHPLC純度が、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%であるものが使用される。かかる高純度のものは成形品の難燃性、色相、および熱安定性に優れ好ましい。ここでB成分のHPLC純度の測定は、以下の方法を用いることにより効果的に測定が可能となる。
【0064】
カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。溶媒としてはアセトニトリルと水の6:4(容量比)の混合溶液を用い、5μlを注入した。検出器はUV−260nmを用いた。
【0065】
B成分中の不純物を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、水、メタノール等の溶剤でリパルプ洗浄(溶剤で洗浄、ろ過を数回繰り返す)を行う方法が最も効果的で、且つコスト的にも有利である。
【0066】
前記B成分は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは10〜70重量部の範囲で配合される。特に15〜50重量部の範囲が好ましい。B成分の配合割合は、所望する難燃性レベル、樹脂成分(A成分)の種類などによりその好適範囲が決定される。さらに他の難燃剤、難燃助剤、フッ素含有樹脂の使用によってもB成分の配合量を変えることができ、多くの場合、これらの使用によりB成分の配合割合を低減することができる。
【0067】
前記した本発明の難燃性樹脂組成物は、ハロゲンを実質的に含有しない組成物であり、V−2レベル好適にはV−0レベルの難燃性が達成される。本発明の樹脂組成物は、具体的には厚さ3.2mmの成形品においてUL−94規格の難燃レベルV−2好適にはV−0を達成することができる。
【0068】
本発明の難燃性樹脂組成物において、有機リン化合物(B成分)以外に、他の難燃剤としてリンまたはリン化合物(C成分)を併用することができる。C成分としては下記(C−1)〜(C−5)を例示することができる。
(C−1);赤リン
(C−2);下記一般式(C−2)で表されるトリアリールホスフェート
【0069】
【化7】
Figure 0004633995
【0070】
(C−3);下記一般式(C−3)で表される縮合リン酸エステル
【0071】
【化8】
Figure 0004633995
【0072】
(C−4);下記一般式(C−4)で表される縮合リン酸エステル
【0073】
【化9】
Figure 0004633995
【0074】
(C−5);下記一般式(C−5)で表される有機リン化合物
【0075】
【化10】
Figure 0004633995
【0076】
前記式(C−2)〜(C−4)中Q1〜Q4は、それぞれ同一もしくは異なっていてもよく、炭素数6〜15のアリール基、好ましくは炭素数6〜10のアリール基である。このアリール基の具体例としてはフェニル基、ナフチル基、またはアントリル基が挙げられる。これらアリール基は1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、その置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびノニル基の如き炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、(ii)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基の如き炭素数1〜12のアルキルオキシ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルオキシ基、(iii)メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基およびペンチルチオ基の如き炭素数1〜12のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルチオ基および(iv)Ar6−W1−式で表される基(ここでW1は−O−、−S−または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Ar6は炭素数6〜15、好ましくは炭素数6〜10のアリール基を示す)が挙げられる。
【0077】
前記式(C−5)の芳香族環は1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、その置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびノニル基の如き炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、(ii)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基の如き炭素数1〜12のアルキルオキシ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルオキシ基、(iii)メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基およびペンチルチオ基の如き炭素数1〜12のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルチオ基および(iv)Ar6−W1−式で表される基(ここでW1は−O−、−S−または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Ar6は炭素数6〜15、好ましくは炭素数6〜10のアリール基を示す)が挙げられる。
【0078】
式(C−3)および(C−4)において、Ar4およびAr5は、両者が存在する場合(C−4の場合)には同一または異なっていてもよく、炭素数6〜15のアリーレン基、好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基を示す。具体例としては、フェニレン基またはナフチレン基が挙げられる。このアリーレン基は1〜4個、好ましくは1〜2個の置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基の如き炭素数1〜4のアルキル基、(ii)ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基およびクミル基の如き炭素数7〜20のアラルキル基、(iii)Q5−W2−式で示される基(ここでW2は−O−または−S−を示し、Q5は炭素数1〜4、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜15、好ましくは6〜10のアリール基を示す)および(iv)フェニル基の如き炭素数6〜15のアリール基が挙げられる。
【0079】
式(C−3)および(C−4)において、mは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を示し、特に好ましくは1である。
【0080】
式(C−4)においてZはAr4およびAr5を結合する単結合もしくは基であり、−Ar4−Z−Ar5−は通常ビスフェノールから誘導される残基である。かくしてZは単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−または炭素数1〜3のアルキレン基を示し、好ましくは単結合、−O−、またはイソプロピリデンである。
【0081】
前記(C−1)〜(C−5)のリンまたはリン化合物以外のリン化合物であってもB成分と併用することができる。
【0082】
前記(C−1)〜(C−5)のリンもしくはリン化合物を樹脂組成物に配合する場合、その割合は、有機リン化合物(B成分)100重量部当たり、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜80重量部、特に好ましくは10〜60重量部の範囲が適当である。前記(C−1)〜(C−5)のリンもしくはリン化合物の内、好ましくは(C−2)〜(C−5)のリン化合物である。
【0083】
本発明の樹脂組成物には難燃助剤として、更に下記化学式で示されるビスクミル(D成分)を配合することができる。
【0084】
【化11】
Figure 0004633995
【0085】
このビスクミル化合物の芳香族環は1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基を有していてもよく、その置換基としては、(i)メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基およびノニル基の如き炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは炭素数1〜9のアルキル基、(ii)メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基およびペントキシ基の如き炭素数1〜12のアルキルオキシ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルオキシ基、(iii)メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基およびペンチルチオ基の如き炭素数1〜12のアルキルチオ基、好ましくは炭素数1〜9のアルキルチオ基および(iv)Ar6−W1−式で表される基(ここでW1は−O−、−S−または炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Ar6は炭素数6〜15、好ましくは炭素数6〜10のアリール基を示す)が挙げられる。
【0086】
このビスクミル(D成分)は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.02〜2重量部、特に好ましくは0.03〜1重量部配合される。このビスクミルを前記割合で配合することによる難燃効果はラジカル発生によるものと推測され、その結果として難燃性のレベルが向上する。
【0087】
本発明の樹脂組成物には、さらに知られた難燃助剤を配合することができる。難燃助剤としては、例えばシリコーンオイルを挙げることができる。かかるシリコーンオイルとしては、ポリジオルガノシロキサンを骨格とし、好ましくはポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、あるいはそれらの任意の共重合体または混合物であり、なかでもポリジメチルシロキサンが好ましく用いられる。その粘度は好ましくは0.8〜5000センチポイズ(25℃)、より好ましくは10〜1000センチポイズ(25℃)、さらに好ましくは50〜500センチポイズ(25℃)であり、かかる粘度の範囲のものは難燃性に優れ好ましい。かかるシリコーンオイルの配合量は、樹脂成分(A成分)100重量部に対して、0.5〜10重量部の範囲が好ましい。
【0088】
本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに滴下防止剤としてフッ素含有樹脂を配合することができる。フッ素含有樹脂の配合により成形品の難燃性が改良される。殊に成形品の燃焼テストにおける滴下が抑制される。
【0089】
滴下防止剤として使用するフッ素含有樹脂としては、フィブリル形成能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばテトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素含有モノマーの単独または共重合体が挙げられる。特にフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしてはテトラフルオロエチレンを乳化重合して得られるラテックスを凝析および乾燥した粉末(いわゆるポリテトラフルオロエチレンのファインパウダーであり、ASTM規格においてタイプ3に分類されるもの)が挙げられる。あるいはそのラテックスに界面活性剤を加え濃縮および安定化して製造される水性分散体(いわゆるポリテトラフルオロエチレンのディスパージョン)が挙げられる。
【0090】
かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において100万〜1,000万、より好ましく200万〜900万である。
【0091】
さらにかかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、1次粒子径が0.05〜1.0μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。ファインパウダーを使用する場合の2次粒子径としては1〜1,000μmのものが使用可能であり、さらに好ましくは10〜500μmのものを用いることができる。
【0092】
かかるポリテトラフルオロエチレンはUL規格の垂直燃焼テストにおいて試験片の燃焼テスト時に溶融滴下防止性能を有しており、かかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては具体的には、例えば三井・デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン6Jおよびテフロン30J、ダイキン化学工業(株)製のポリフロンMPA FA−500、ポリフロンF−201LおよびポリフロンD−1、および旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製のCD076などを挙げることができる。
【0093】
かかるポリテトラフルオロエチレンはファィンパウダーにおいて、2次凝集を防止するために各種の処理を施したものがより好ましく使用される。かかる処理としては、ポリテトラフルオロエチレンの表面を焼成処理することが挙げられる。またかかる処理としては、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンの表面を非フィブリル形成能のポリテトラフルオロエチレンで被覆することが挙げられる。本発明においてより好ましいのは後者の処理を行ったポリテトラフルオロエチレンである。前者の場合には、目的とするフィブリル形成能が低下しやすいためである。かかる場合フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが全体量の70〜95重量%の範囲であることが好ましい。またフィブリル非形成能ポリテトラフルオロエチレンとしては、その分子量が標準比重から求められる数平均分子量において1万〜100万、より好ましく1万〜80万である。
【0094】
かかるポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)は、上記の通り固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。
【0095】
かかるポリテトラフルオロエチレンは、通常の固体形状の他、水性エマルジョン、およびディスパージョン形態のものも使用可能であるが、分散剤成分が耐湿熱性に悪影響を与えやすいため、特に固体状態のものが好ましく使用できる。
【0096】
またかかるフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは樹脂中での分散性を向上させ、さらに良好な外観および機械的特性を得るために、ポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエマルジョンとの凝集混合物も好ましい形態として挙げることができる。
【0097】
ここでビニル系重合体としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MABS樹脂、AAS樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、スチレンおよびブタジエンからなるブロック共重合体およびその水添共重合体、スチレンおよびイソプレンからなるブロック共重合体、およびその水添共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンの共重合体、エチレン−ブチルアクリレート等のエチレン−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、ブチルアクリレート−ブタジエン等のアクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート等のゴム質重合体、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴム、さらにかかる複合ゴムにスチレン、アクリロニトリル、ポリアルキルメタクリレート等のビニル系単量体をグラフトした共重合体等を挙げることができる。
【0098】
かかる凝集混合物を調製するためには、平均粒子径0.01〜1μm、特に0.05〜0.5μmを有する上記ビニル系重合体の水性エマルジョンを、平均粒子径0.05〜10μm、特に0.05〜1.0μmを有するポリテトラフルオロエチレンの水性エマルジョンと混合する。かかるポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンは、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でポリテトラフルオロエチレンを重合させることにより得られる。なお、かかる乳化重合の際、ヘキサフルオロプロピレン等の他の共重合体成分をポリテトラフルオロエチレン全体の10重量%以下で共重合させることも可能である。
【0099】
なお、かかる凝集混合物を得る際には、適当なポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンは通常40〜70重量%、特に50〜65重量%の固形分含量を有し、ビニル系重合体のエマルジョンは25〜60重量%、特に30〜45重量%の固形分を有するものが使用される。さらに凝集混合物中のポリテトラフルオロエチレンの割合は、凝集混合物に使用されるビニル系重合体との合計100重量%中、1〜80重量%、特に1〜60重量%のものが好ましく使用できる。上記のエマルジョンを混合後、攪拌混合し塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固させることにより分離回収する製造方法を好ましく挙げることができる。他に攪拌した混合エマルジョンをスプレー乾燥、凍結乾燥等の方法により回収する方法も挙げることができる。
【0100】
また、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエマルジョンとの凝集混合物の形態は種々のものが使用可能であり、例えばポリテトラフルオロエチレン粒子の周りをビニル系重合体が取り囲んだ形態、ビニル系重合体の周りをポリテトラフルオロエチレンが取り囲んだ形態、1つの粒子に対して、数個の粒子が凝集した形態などを挙げることができる。
【0101】
さらに、凝集混合体のさらに外層に、同じまたは別の種類のビニル系重合体がグラフト重合したものも使用可能である。かかるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、アクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸ドデシル、アクリロニトリル、アクリル酸−2−エチルヘキシルを好ましく挙げることができ、これらは単独でもまた共重合することも可能である。
【0102】
上記のフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンのエマルジョンとビニル系重合体のエマルジョンとの凝集混合物の市販品としては、三菱レイヨン(株)よりメタブレン「A3000」、およびGEスペシャリティーケミカルズ社より「BLENDEX449」を代表例として挙げることができる。
【0103】
フッ素含有樹脂を配合する場合その割合は、A成分100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部以上では十分な溶融滴下防止性能が得られ易く、10重量部以下では外観不良や分散不良を起こし難くなり、さらに経済的にも有利となるため好ましい。
【0104】
本発明の難燃性樹脂組成物には、種々の添加剤、例えば、難燃助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤などの劣化防止剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、可塑剤、ガラス繊維、炭素繊維などの補強繊維、タルク、マイカ、ワラストナイトなどの充填剤、顔料などの着色剤などを添加しても良い。前記添加剤の使用量は、耐熱性、耐衝撃性、機械的強度などを損なわない範囲で、添加剤の種類に応じて適当に選択できる。
【0105】
本発明の難燃性樹脂組成物の調整は、A成分、B成分および必要に応じてその他成分を、V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパーフローター、ヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて予備混合した組成物であっても良いが、通常、前記予備混合物を均一に溶融混合した混合物である場合が多い。このような混合物は、前記予備混合物を混練手段を用い、例えば、200〜250℃、好ましくは210〜240℃程度の温度で溶融混練し、ペレット化することより得ることができる。混練手段としては、種々の溶融混合機、例えば、ニーダー、単軸または二軸押出機などが使用できるが、二軸押出機などを用いて樹脂組成物を溶融して、サイドフィーダーにより液体成分を注入し、押出し、ペレタイザーによりペレット化する場合が多い。
【0106】
本発明の難燃性樹脂組成物は、オフィスオートメーション機器部品、家電製品部品、自動車部品などの種々の成形品を成形する材料として有用である。このような成形品は慣用の方法、例えば、ペレット状難燃性樹脂組成物を射出成形機を用いて、例えば、200〜250℃程度のシリンダー温度で射出成形することにより製造できる。
【0107】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ3.2mm(1/8インチ)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。
(2)酸素指数(L.O.I.)
JIS−K−7201酸素指数法による高分子材料の燃焼試験方法に準拠して行った。
(3)荷重たわみ温度(HDT)
ASTM−D648に準拠した方法により6.35mm(1/4インチ)試験片を用いて18.5Kg荷重で測定した。また、荷重たわみ温度保持率(M)は、使用した樹脂(A成分)からの成形品の荷重たわみ温度x(℃)と難燃性樹脂組成物(A成分とB成分の混合物)からの成形品の荷重たわみ温度y(℃)を測定し、M=(y/x)×100(%)の計算式により算出した。
(4)流動性(MVR)
JIS−K−7210に準拠して行った。
【0108】
調製例1
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(FR−1)の調製
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた10リットル三つ口フラスコに、ジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを2058.5g(7.22mol)とペンタエリスリトール468.1g(3.44mol)、ピリジン1169.4g(14.8mol)、クロロホルム8200gを仕込み、窒素気流下、60℃まで加熱し、6時間攪拌させた。反応終了後、クロロホルムを塩化メチレンで置換し、当該反応混合物にに蒸留水6Lを加え攪拌し、白色粉末を析出させた。これを吸引濾過により濾取し、得られた白色物をメタノールを用いて洗浄した後、100℃、1.33×102Paで10時間乾燥し、白色の固体1156.2gを得た。得られた固体は31P−NMR、1H−NMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31P−NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.3mgKOH/gであった。
【0109】
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ7.20−7.60(m,20H),5.25(d,2H),4.15−4.55(m,8H)、31P−NMR(DMSO−d6,120MHz):δ20.9、融点:265℃、元素分析 計算値:C,66.43;H,5.39、測定値:C,66.14;H,5.41
【0110】
調製例2
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(FR−2)の調製
3口フラスコに攪拌機、温度計、およびコンデンサーを取り付け、窒素気流下、このフラスコに3,9−ビス(ジフェニルメトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン40.4g(0.072モル)、ジフェニルメチルブロマイド35.5g(0.14モル)、キシレン48.0g(0.45モル)を入れ、還流温度(約130℃)で3時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン30mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン30mLで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール100mLをナス型フラスコにいれ、コンデンサーを取り付け、約1時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール50mLで2回洗浄した後、120℃にて減圧乾燥した。得られた固体は31P−NMR、1H−NMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。得られた固体は白色の粉末であり、収量は36.8g、収率は91%であった。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.07mgKOH/gであった。
【0111】
1H−NMR(DMSO−d6,300MHz):δ7.2−7.6(m,20H),6.23(d,J=9Hz、2H),3.89−4.36(m,6H),3.38−3.46(m,2H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ20.9(S)、融点:265℃、元素分析 計算値:C,66.43;H,5.39、測定値:C,66.14;H,5.41
【0112】
実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(イ)スチレン系樹脂(A−1成分)
▲1▼市販の耐衝撃性ポリスチレン(A&Mスチレン製スタイロンH9152)を用いた(以下HIPS−1と称する)。
▲2▼市販の耐衝撃性ポリスチレン(A&Mスチレン製スタイロン433)を用いた(以下HIPS−2と称する)。
【0113】
(ロ)他の樹脂成分(A−2成分)
▲1▼市販のポリフェニレンエーテル(旭化成(株)製ザイロンP−402)を用いた(以下PPEと称する)。
【0114】
▲2▼市販のポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP)を用いた(以下PCと称する)。
【0115】
(ハ)有機リン化合物(B成分)
▲1▼調製例1で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1およびR4が水素原子、R2、R3、R5およびR6がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−1と称する)}
▲2▼調製例2で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1およびR4が水素原子、R2、R3、R5およびR6がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−2と称する)}
【0116】
(ニ)その他の有機リン化合物
▲1▼トリフェニルホスフェート
市販の芳香族リン酸エステル(大八化学工業(株)製TPP)を用いた(以下TPPと称する)。
▲2▼レゾルシノールビス(ジ−2,6−ジメチルフェニルホスフェート)
市販の芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業(株)製FP−500;前記一般式(C−3)でAr4がフェニレン基、Q1、Q2、Q3およびQ4が2,6−ジメチルフェニル基である有機リン酸エステル化合物)を用いた(以下FP−500と称する)。
【0117】
[実施例1〜18、比較例1〜21]
表1〜4記載の各成分を表1〜4記載の量(重量部で表示)でタンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にて樹脂温220℃でペレット化し、得られたペレットを70℃の熱風乾燥機にて4時間乾燥を行った。該ペレットを射出成形機((株)日本製鋼所、J75Si)にてシリンダー温度230℃で成形した。評価結果を表1〜4に示した。
【0118】
【表1】
Figure 0004633995
【0119】
【表2】
Figure 0004633995
【0120】
【表3】
Figure 0004633995
【0121】
【表4】
Figure 0004633995
【0122】
【発明の効果】
本発明は難燃性、耐熱性、耐衝撃性に優れたスチレン系樹脂組成物を提供するものであり、この樹脂組成物はオフィスオートメーション機器部品、家電製品部品、自動車部品等の種々の成形品を成形する材料として有用であり、工業的に極めて有用である。

Claims (13)

  1. (A)少なくとも50重量%がゴム変性スチレン系樹脂である樹脂成分(A成分)および(B)下記式(1−a)で示される有機リン化合物(B成分)からなる樹脂組成物であり、A成分を100重量部としたとき、B成分が1〜100重量部であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
    Figure 0004633995
  2. A成分が、ゴム変性スチレン系樹脂(A−1成分)50〜100重量部およびポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂およびポリエーテルイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分(A−2成分)50〜0重量部よりなる請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. A成分が、ゴム変性スチレン系樹脂(A−1成分)50〜100重量部およびポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂成分(A−2成分)50〜0重量部よりなる請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  4. A成分が、ゴム変性スチレン系樹脂(A−1成分)50〜100重量部、およびポリフェニレンエーテル樹脂またはポリカーボネート樹脂である樹脂成分(A−2成分)50〜0重量部よりなる請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  5. B成分の有機リン化合物は、酸価が0.7mgKOH/g以下である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  6. B成分の有機リン化合物は、HPLC純度が少なくとも90%である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 厚さ3.2mmの成形品においてUL−94規格の難燃レベルV−2を達成することができる請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  8. 厚さ3.2mmの成形品においてUL−94規格の難燃レベルV−0を達成することができる請求項記載の難燃性樹脂組成物。
  9. A成分の樹脂成分自体からの成形品の荷重たわみ温度x(℃)とA成分およびB成分からなる難燃性樹脂組成物からの成形品の荷重たわみ温度y(℃)との関係において、式M={y/x}×100(%)で示される荷重たわみ温度保持率(M)が80%以上である請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    成形品の荷重たわみ温度の測定方法;ASTM−D648に準拠した方法により6.35mm(1/4インチ)試験片を用いて18.5Kg荷重で測定
  10. 荷重たわみ温度保持率(M)が90%以上である請求項5記載の難燃性樹脂組成物。
  11. 荷重たわみ温度保持率(M)が95%以上である請求項5記載の難燃性樹脂組成物。
  12. A成分100重量部に対して、B成分が5〜90重量部の割合で含有する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  13. 請求項1記載の難燃性樹脂組成物より形成された成形品。
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