JP4633909B2 - 重金属捕集用ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水溶液中、特に海水、河川、工場廃水等に溶存する重金属類、例えば、クロム、ニッケル、バナジウム、ウラン、コバルト等を効率良く吸着でき得る、重金属捕集用ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
工業排水の浄化や再利用、あるいは有用物質の回収などのために、水溶液中に微量に存在する重金属の分離・回収が行われている。また、金属資源の乏しいわが国においては、海水、河川、用水、鉱業排水などに存在している有用稀少重金属を分離・回収する技術が開発されてきており、そのための分離・回収においては、その金属類と錯体を形成させる化合物を用いた吸着・分離方法が応用されている。
【0003】
例えば、海水には1m3中に3.3mg程度のウランが、三炭酸ウラニルイオン(UO2(CO3)3 4-)という錯イオンの形態で溶解しており、ウラン資源に乏しいわが国において、この海水中に存在するウランの採取技術の開発が積極的に行われてきている。この場合のウランの採取技術として、アミドキシム基を有する樹脂が、海水中に溶存するウランの吸着材として良好な吸着能を発揮することが知られている。
【0004】
しかしながら、この吸着材では、親水性のアミドキシム基の分布が、基材樹脂の中心部まで分布するため、樹脂全体が膨潤し、機械的強度の低下や、吸・脱着の繰り返しにおける十分な耐久性に問題が残されていた。そのため、樹脂に替わり、ポリエチレン製繊維、あるいはポリプロピレン製繊維をベースとし、放射線を用いたグラフト重合法によりアクリロニトリル/メタアクリル酸の共グラフト重合によりニトリル基を導入した後、ヒドロキシルアミンによりニトリル基をアミドキシム基に変換した不織布が提案され、この不織布によるウランの吸着技術の開発が提案されてきている。
【0005】
アミドキシム基を導入した不織布によるウラン等の重金属の吸着・回収にあっては、複数枚の不織布を重ね合わせて使用しなければ、目的とする重金属等を効率良く捕集することはできない。したがって、複数枚の不織布を重ね合わせ、捕集材として海水と接触させているが、不織布を構成する繊維は、そのほとんどが平面方向に平行な状態で存在しているため、重ね合わせた不織布における水の透水性は、極めて一方向性の強いものとなり、不織布内における水の等方向透過性は必然的に妨げられることとなる。
【0006】
特に、海水内に溶解しているウランの捕集にあっては、捕集材と海水との接触量が多いこと、さらに捕集材内を海水が速やかに透過し、目的とする重金属の捕集を行うことが好ましい。したがって、そのためには、捕集材にある程度の厚みがあり、かつ、捕集材内部に等方向透過性があること必要であるが、不織布を重ね合わせた場合には、等方向透過性がなくなり、重金属の捕集に十分な機能を発揮しえず、厚みを確保することはできない。更に、ポリプロピレン製繊維によるアミドキシム基を導入した不織布の製造方法は、かなり煩雑なものであり、製造コストが高価なものとなる等の問題点もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、上記の問題点を解決した、工業的に簡便な手法による等方向の透水性を有する重金属捕集材を提供することを課題とする。かかる課題を解決するべく、本発明者は鋭意検討した結果、重金属捕集用の基材として、ポリウレタンフォーム、特に無膜化処理を行ったポリウレタンフォームを使用し、ポリウレタンの構成成分としてのポリオール成分に、ニトリル基を存在させて、ニトリル基をアミドキシム化すれば、ポリウレタンフォーム中に存在するアミドキシム基により、効率良く重金属を捕集し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
したがって本発明は、ポリプロピレンオキサイドにアクリロニトリルモノマーあるいはメタクリロニトリルモノマーをグラフト重合させた側鎖にニトリル基が存在するポリマーポリオール(A)と、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)とが、(A)/(B)の重量比で70/30〜30/70の範囲にある混合ポリオールをポリオール成分として、イソシアネート化合物との反応によりポリウレタンフォームを形成し、無膜処理した後、ポリウレタンフォーム中に含まれるニトリル基をヒドロキシルアミンによりアミドキシム化したことを特徴とする重金属捕集用ポリウレタンフォームを提供する。
【0009】
すなわち、本発明は、透水性に優れたポリウレタンフォームを構成するポリオール成分として、ニトリル基を導入したポリマーポリオールならびにポリアルキレン共重合体とからなる混合ポリオールを使用し、イソシアネート化合物との反応により、ポリウレタンフォーム中に当初からニトリル基を存在させる点、さらに、かかるニトリル基をアミドキシム基に変換させるとともに、ポリウレタンフォーム中のセル膜を除去し、透水性をより向上させた点に特徴を有するものである。
【0010】
したがって、本発明によれば、ポリウレタンフォームの原料成分として、すでにニトリル基が導入されたポリオール成分を使用することより、ニトリル基の導入工程を省略することが可能となる。この点は、例えば、ポリエチレン製繊維、あるいはポリプロピレン製繊維の不織布にアミドキシム基を導入するに際して行われている、複雑な放射線照射によるグラフト重合によるニトリル基の導入等の工程を省略することができ得るものであり、工業的な製造法として、極めて簡便なものとなる利点を有する。
【0011】
さらに、本発明によれば、ポリウレタンフォームのセル膜を除去することにより、フォーム内部の透水性がより向上される。したがって、本発明のポリウレタンフォームを重金属捕集材として使用する場合には、ある程度の厚みを有する捕集材とすることが可能となり、例えば海水等との接触面の向上を確保し得る利点を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用されるポリウレタンフォームは、いわゆるポリオール成分とイソシアネート化合物とを、発泡剤、整泡剤、触媒、その他の助剤の存在下に反応させて得られるポリウレタンフォームである。
【0013】
特に、本発明の金属捕集材となるポリウレタンフォームにあっては、そのポリオール成分として、ポリプロピレンオキサイドにアクリロニトリルモノマーあるいはメタクリロニトリルをグラフト重合させたポリマーポリオール(A)と、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)の混合ポリオールを使用する。
【0014】
すなわち、ポリマーポリオール(A)として、ポリプロピレンオキサイドにアクリロニトリルモノマーあるいはメタクリロニトリルをグラフト重合させたものを使用することにより、ポリウレタンフォーム中に当初からニトリル基を存在させておくことができるのである。
【0015】
この場合のポリプロピレンオキサイドは、分子量が2,000ないし7,000程度の範囲内にあるものが好ましく、また、アクリロニトリルもしくはメタクリロニトリルの含有量は、ポリウレタンフォームを構成するポリマーポリオール中に15〜25%程度の範囲内で含有されているものが好ましい。
【0016】
なお、アクリロニトリルあるいは、メタクリロニトリルとポリプロピレンオキサイドとの重合は、いわゆるグラフト重合で行われる。すなわち、アクリロニトリル等のグラフト重合により、ニトリル基が樹脂則鎖に存在することとなり、イソシアネート化合物との反応により、ポリウレタン樹脂中にニトリル基が取り込まれることが少なくなり、その後のヒドロキシルアミンとの反応により、より多くのアミドキシム基が、ポリウレタンフォーム中に存在することとなるからである。
【0017】
本発明が提供するポリウレタンフォームにあっては、いわゆる上記のニトリル基を有するポリマーポリオールをポリオール成分とすることを基本とするが、その他のポリオール成分として、本発明の場合には、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)を使用した、いわゆる混合ポリオールをポリオール成分として、使用するのがよい。
【0018】
この場合のポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)としては、より具体的には、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイドが、30/70〜70/30の割合で共重合されたものがよく、その分子量としては、2000〜7000程度の範囲内にあるものが好ましい。
【0019】
本発明のポリウレタンフォームにあっては、上記のポリマーポリオール(A)と、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)とが、70/30〜30/70の混合比率、好ましくは60/40〜40/60の混合比率の範囲にある混合ポリマーを使用するのがよい。(B)成分が30%未満であるとポリウレタンフォームの膨潤率は10%前後と少なく、寸法安定性に優れたポリウレタンフォームとしての強度に問題はないものの、親水性に乏しくなるため、アミドキシム基の形成がなされたとしても、金属吸着性に劣ったものとなってしまう。また、(B)成分が70%を超えると、ポリウレタンフォームの膨潤率は30%以上となり、強度的に不十分なものとなってしまう。さらに、親水性は良好なものの、アミドキシム基の含有量が少なくなってしまい、金属吸着性は不十分なものとなる。
【0020】
したがって、本発明においては、(A)成分/(B)成分を70/30〜30/70とすることで、ウレタンフォームの膨潤率をできるかぎりおさえて、強度的にも問題がなく、金属吸着性に優れたポリウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0021】
一方、ポリウレタンフォームを形成するイソシアネート成分としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、芳香族系、脂環族系、脂肪族系のポリイソシアネート、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートの1種または2種以上が、適宜選択されて使用される。
【0022】
芳香族系ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソジシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートなどが挙げられる。
【0023】
脂環族系ポリイソシアネートとしては、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。また、脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイシシアネート、シクロヘキサンメタンジイソシアネートなどが挙げられる。これらのなかでも、本発明にあっては、イソシアネート化合物としてトルエンジイソジシアネートを使用することにより、好結果を与えた。
【0024】
上記したポリオール成分とイソシアネートとの反応によりポリウレタンフォームの製造に使用する触媒としては、例えば、アミン系触媒や有機金属系触媒等のポリウレタンフォームの発泡において公知のものを使用することができ、特に限定されない。そのような触媒としては、例えば、アミン系触媒としては、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられる。
【0025】
また、有機金属系触媒としては、オクチル酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等を挙げることができる。
【0026】
ポリウレタンフォームを製造する場合の発泡剤としては、水、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、メチレンクロライド、トリクロロフルオロエタン、トリクロロエタンなどの1種以上の混合物が挙げられる。
【0027】
また、整泡剤としては、従来から知られているオルガノシリコーン系界面活性剤が使用される。しかしながら、本発明の金属捕集材としてのポリウレタンフォームにあっては、フォーム中に疎水性物質、例えばシリコーンオイル等が存在すると、その後のアミドキシム化反応において好ましいものではなく、したがって整泡剤としては反応性のあるものか、あるいは容易に洗浄除去できるものを使用するのが好ましい。
【0028】
以上により製造される本発明のポリウレタンフォームは、フォーム内の浸透性を確保するために、セル密度が10〜40個/インチ程度、具体的には最大50個/インチを有するポリウレタンフォームとして構成されるのが好ましい。
【0029】
かくして製造されたポリウレタンフォームの無膜化法に際しては、アルカリ法あるいは爆発法があるが、本発明の無膜化方法にあっては、これを爆発法で行うのが好ましい。アルカリ法による無膜化では、ポリウレタンフォームに変性をきたし、その後のアミドキシム化において、好ましくない反応が進行しやすいこととなる。
【0030】
かかる爆発法による無膜化は、より具体的には、水素/酸素の混合気体を用い、通常ポリウレタンフォームの無膜化に使用される例えば、水素濃度50〜70%、酸素濃度25〜35%の混合気体を用い、容易に実施することができる。
【0031】
次いで、本発明のポリウレタンフォーム中に存在するニトリル基は、ヒドロキシアミンとの反応によりアミドキシム化される。このアミドキシム化反応は、具体的には、適当な溶媒中、ヒドロキシアミンの塩を使用し、中性もしくは弱アルカリ性の条件下に塩を除去し、遊離のヒドロキシアミノ基とニトリル基との反応によりアミドキシム化を行うことにより実施することができる。
【0032】
ポリエチレン製不織布にアクリロニトリルおよびメタクリル酸を、γ線を用いてグラフと重合した後、そのニトリル基をヒドロキシルアミンによりアミドキシム化する場合には、イミドオキシム化反応の生成を抑制するために、溶媒としてアルコール単独溶媒が使用されているが、本発明のアミドキシム化反応においては、水単独溶媒でも十分その目的を達成しうることが判明した。したがって、本発明においてアミドキシム化反応に使用される溶媒としては、水、アルコールあるいは水/アルコールの混合溶媒を挙げることができ、なかでも水単独溶媒で反応させるのがよい。
【0033】
なお、この場合の溶媒として使用する水は、本発明の金属捕集としての目的に鑑み、特に重金属を含有しない蒸留水または高度なイオン交換水を使用するのが好ましい。
【0034】
反応溶媒として、水単独溶媒を使用する場合には、ポリウレタンフォームの空隙部へ反応液を十分に浸透せしめるために、界面活性剤等を併用することが好ましい。そのような界面活性剤としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、アセチレングリコール誘導体等が挙げられ、その添加量は、0.01〜0.1%程度であるのが好ましい。
【0035】
また、反応溶媒として水/アルコールの混合溶媒を使用する場合におけるアルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を挙げることができ、その場合のアルコールの濃度は、3〜60%程度のものを使用することができる。
【0036】
アミドキシム化反応は、より具体的には、ヒドロキシルアミンの塩酸塩、またはヒドロキシルアミンの硫酸塩の水溶液、あるいはアルコール/水の混合溶液中で、中性もしくは弱アルカリ性の条件下に、無膜化処理したポリウレタンフォームを65〜85℃程度、好ましくは75〜80℃程度に加熱することにより行うことができる。
【0037】
反応時間は特に限定されず、アミドキシム化反応が完結するのに十分な時間をかければ良く、通常60〜240分で十分である。
【0038】
なお、ヒドロキシルアミンの塩を遊離アミンとするために使用するアルカリ物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機水酸化物が好ましく使用され、そのなかでも特に水酸化ナトリウムを使用するのがよい。
【0039】
アミドキシム化反応に使用するヒドロキシルアミンの濃度としては、ポリウレタンフォーム中に存在するニトリル基をアミドキシム化に変換する量の濃度を有するものであればよく、具体的には、塩酸ヒドロキシルアミンまたは硫酸ヒドロキシルアミンとして、10g/L〜70g/Lの濃度を有する溶液を使用し、ポリウレタンフォームを1L当たり10g程度で反応させるのがよい。
【0040】
上記のヒドロキシルアミンによるニトリル基のアミドキシム化反応は、ポリウレタンフォーム中に反応液を強制循環させることが特に好ましい。反応液中にポリウレタンフォームを静置しただけでは、フォーム表面と内部との間に反応条件の差異が生じ、均一なアミドキシム化反応を得ることが困難なものとなる。
【0041】
そのような反応容器としては、例えば、繊維製品に対する染色反応機として使用されているチーズ染色機、オーバーマイヤー染色機、ドラム染色機等を使用して好適に実施することができる。なお、反応は、副反応を抑える目的で空気をできるだけ遮断した状態で行うことが好結果を与える。
【0042】
なお、ポリウレタンフォーム中の空気を効率良く除去し、ポリウレタンフォーム全体に均一に反応液を置換させるべく、反応容器に減圧装置を付設して行うと、好結果を与えることが判明した。
【0043】
以上のようにしてアミドキシム化されたポリウレタンフォームには、いわゆる重金属をキレート結合により捕集するアミドキシム基がポリウレタンフォーム中に内在しており、さらにセル膜が無膜化されていることより、フォーム内部における水の透過性が極めて良好なものである。
【0044】
本発明で得られたポリウレタンフォームを、重金属捕集材として使用する場合の形状は特に限定されない。例えば、海水等が浸透しやすい形状のものとすればよく、そのような形状としては、板状もしくは縄状、さらには小寸法の立方体等の形状が挙げられる。板状形状を採用する場合にはフォームとして10mm程度の厚みがあればよく、また立方体の場合には、1辺が5〜10cm程度の立方体のフォームとするのがよい。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例により限定する意図を有するものではない。
【0046】
実施例:
アクリロニトリルを21%含有する水酸基価56.1のグリセリンベースポリプロピレンオキサイド系ポリマーポリオール(A)と、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50でグリセリンに付加した水酸基価56.1のポリアルキレンオキサイド(B)の混合ポリオールを、トルエンジイソシナネートと、常法に従い反応させ、密度0.029のポリウレタンフォームを得た。次いで、この得られたフォームを、水素:酸素=2.2:1の混合気体を用いて、爆発法によりセル膜を除去し、無膜化されたポリウレタンフォームとした。
【0047】
次いで、パイレックス製ガラスビーカーに、溶媒、塩酸ヒドロキシルアミンを50g/Lおよび水酸化ナトリウムを28.8/Lの割合で入れよく混合した。上記で得られた無膜化したポリウレタンフォームより4.0cm×5.0cm×4.0cmの大きさの試料を作成し、前記の混合液の入ったビーカーの中に浸漬させ、アミドキシム化を行い、本発明のポリウレタンフォームを製造した。
【0048】
アミドキシム化反応における溶媒条件としては、水/メタノール50/50および100/0(水単独)とした。なお、水のみを反応溶媒とした場合には、反応液のポリウレタンフォーム中への浸透/拡散を促進させるために、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを併用した。
【0049】
各実施例における(A)成分と(B)成分の比率、およびその反応溶媒を下記表1にまとめて示す。
【0050】
【表1】
【0051】
金属捕集試験:
以上のようにして製造されたポリウレタンフォームを用い、重金属捕集試験を以下の以下のようにして行った。
すなわち、硫酸銅・5水塩水溶液(関東化学製:試薬特級)2.5gを1Lのイオン交換水に溶解させた液を500g秤量し、この溶液に、上記の実施例1〜10で製造された各アミドキシム化ポリウレタンフォーム4gを浸漬させ、7日間放置した。浸漬放置終了後、ポリウレタンフォームを取り出し、よく水洗し、乾燥後、ポリウレタンフォームの硫酸銅の捕集率を求めた。捕集率の測定は、分析方法の差異をあわせて検討するため、蛍光X線および原子吸光法の2方法により求めた。
なお、対象品として、アミドキシム化処理しないポリウレタンフォーム(ブランク品)も同様に浸漬処理を行った。
その結果は、以下の表2中に記載のとおりであった。
【0052】
【表2】
【0053】
上記表中の結果からも判明するように、水中でのポリウレタンフォームの水に対する親和性と、アクリロニトリルからアミドキシム基への変換量を総合したもので金属イオンの吸着量が決定されており、実施例3〜実施例8における、ポリマーポリオール(A)と、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)とが、(A)/(B)で70/30〜30/70の範囲にある混合ポリオールを使用したポリウレタンフォームが良好な金属捕集率を示していることが理解される。
【0054】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明が提供する金属捕集材としてのポリウレタンフォームは、簡便な方法によりポリウレタンフォーム中に当初からニトリル基を存在させ、そのニトリル基をアミドキシム基に変換させるとともに、ポリウレタンフォーム中のセル膜を除去することにより、フォーム内の透水性を向上させた点に特徴を有するものである。
【0055】
したがって、本発明によれば、例えば、ポリプロピレン製繊維の不織布にアミドキシム基を導入するに際して行われている、放射線照射によるグラフト重合によるニトリル基の導入等の工程を省略することができ得るものであり、工業的な製造法として、極めて簡便なものとなる利点を有する。
【0056】
さらに、本発明によれば、ポリウレタンフォームのセル膜を除去することにより、フォーム内部の透水性がより向上される。したがって、捕集材として、ある程度の厚みを有するものとすることが可能となる。
【0057】
特に、本発明は、ポリウレタンフォームを構成するポリオール成分として、ポリプロピレンオキサイドにアクリロニトリルモノマーあるいはメタクリロニトリルモノマーをグラフト重合させたポリマーポリオール(A)と、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)とが、(A)/(B)で70/30〜30/70の範囲にある混合ポリオールを使用するものであり、かかる範囲の混合ポリオール成分を使用することにより、ウレタンフォームの膨潤率をできるかぎりおさえて、強度的にも問題がなく、また、親水性が良好である金属吸着性に優れたポリウレタンフォームを得ることが可能となる。
【0058】
したがって、本発明の金属捕集材を海水中に存在させた場合には、捕集材と海水との接触量が多くなり、捕集材であるポリウレタンフォーム内を、海水が速やかに透過する。したがって、従来の不織布を重ね合わせた捕集材に比較し、例えば、海水中に存在する稀少金属であるウランの捕集に十分な機能を発揮し得る利点を有する。
Claims (1)
- ポリプロピレンオキサイドにアクリロニトリルモノマーあるいはメタクリロニトリルモノマーをグラフト重合させた側鎖にニトリル基が存在するポリマーポリオール(A)と、ポリプロピレンオキサイド/ポリエチレンオキサイド共重合体(B)とが、(A)/(B)の重量比で70/30〜30/70の範囲内にある混合ポリオールをポリオール成分としたポリウレタンフォームを無膜処理し、ポリウレタンフォーム中に存在するニトリル基をヒドロキシアミンによりアミドキシム化したことを特徴とする重金属捕集用ポリウレタンフォーム。
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